JPWO2015008831A1 - 無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特にポリブチレンテレフタレートのような結晶化速度が速いポリエステル樹脂は、成形時の結晶化に伴い、金型への転写性が悪いため、満足する外観を得ることは非常に困難である。
[1] (A)還元粘度が0.5〜0.7dl/gの範囲にある低粘度ポリブチレンテレフタレート樹脂20〜45質量%、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)および共重合ポリエステル樹脂(B2)10〜20質量%、(C)ガラス繊維35〜65質量%、(D)ポリカーボネート系樹脂および(E)エステル交換防止剤を下記(イ)の範囲で含有し、全体で100質量%の無機強化熱可塑性ポリステル樹脂組成物であって、かつ下記(ロ)を満たすことを特徴とする無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
(イ)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(D)ポリカーボネート系樹脂を、ポリカーボネート成分の量として15〜20質量部、(E)エステル交換防止剤を0.1〜0.8質量部である。
(ロ)無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTC2(℃)とするとき、このTC2が180〜190℃の範囲にある。
[2] ポリカーボネート系樹脂(D)が、ポリカーボネート樹脂(D1)および、ポリカーボネートを含む共重合体またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのアロイ材(D2)からなる、[1]に記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[3] ポリカーボネート系樹脂(D)が、ポリカーボネート樹脂(D1)および、ポリカーボネートにアクリル樹脂がグラフトされた共重合体またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのアロイ材(D2)からなる、[1]に記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[4] 前記無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の曲げ弾性率が12GPa以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[5] 共重合ポリエステル樹脂(B2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を共重合成分として含むポリエステル樹脂である、[1]〜[4]のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を用いて成形された、ムラのない均一な表面シボ外観を有する、成形品。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)は、基本的にエチレンテレフタレート単位の単独重合体である。また、各種特性を損なわない範囲内において、他の成分を全ジカルボン酸成分100モル%(または全グリコール成分100モル%)に対して5モル%程度まで共重合することができる。他の成分としては、下記で説明する共重合ポリエステル樹脂(B2)に用いられる成分を上げることができる。
よって、(B)成分としては、(B1)成分と(B2)成分の質量比((B1):(B2))が20:80〜50:50であることが好ましく、30:70〜50:50であることがより好ましい。
これらのガラス繊維は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用しても良い。
(E)エステル交換防止剤としては、ポリエステル系樹脂の触媒失活効果を有するリン系化合物を好ましく用いることができ、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブAX−71」が使用可能である。
逆に、TC2が180℃未満の場合は、結晶化速度が遅くなりため、そのガラス浮き等が抑えられ鏡面外観は良好な傾向にはなるものの、結晶化が遅いゆえに金型への張り付きなどによる離型不良が発生したり、突き出し時に変形が起こったりすることがあり、また、成形時の圧力によりシボのより奥深くまで樹脂が入り込むことが容易になるため、金型内の樹脂の収縮時や離型の際にシボがずれたりすることでシボの深さが不均一になりやすくなり、良好なシボ外観を得ることが困難になってくる。本発明の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、これらの成形時懸念点を鑑み最適なTC2となるよう調整を実施したものであるため、金型温度が100℃以下でも良好な外観と成形性を得ることができる。
0.1gのサンプルをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。(単位:dl/g)
(2)降温結晶化温度(TC2)
示差走査熱量計(DSC)を用い、窒素気流下で20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持したあと、10℃/分の速度で100℃まで降温させることにより得られるサーモグラムの結晶化ピークのトップ温度で求めた。
シリンダー温度275℃、金型温度90℃にて、100×100×3mmtの成形品を射出成形により成形する際、充填時間が1秒〜2秒になる射出速度範囲で成形した成形品の外観を、目視により観察した。
○:表面にガラス繊維等の浮きによる外観不良がなく、良好
△:特に成形品の末端部分等に、若干の外観不良が発生している
×:成形品全体に外観不良が発生している
上記(3)の条件で成形した成形品のシボ外観を、目視により観察した。シボは、GR−003シボを用いた。
○:表面にシボのずれによる外観不良が全くなく、良好
×:成形品にシボのずれによる外観不良が発生しており、角度を変えて観察すると白く見えたりする部分が存在する
上記(3)の条件で成形を実施する際、射出工程終了後の冷却時間を8秒に設定したときの離型性で判定を実施した。(トータル成形サイクルは20秒)
○:離型も問題なく、連続成形が容易に可能である
×:毎ショットもしくは数ショットに一回離型不良が発生し、連続成形が不可能
ISO−178に準じて測定した。
(A)−1:ポリブチレンテレフタレート:東洋紡(株)製 還元粘度0.65dl/g
(A)−2:ポリブチレンテレフタレート:東洋紡(株)製 還元粘度0.83dl/g
(B1):ポリエチレンテレフタレート:東洋紡(株)製 還元粘度0.65dl/g
TPA//EG/NPG=100//70/30モル%の組成比の共重合体、還元粘度0.83dl/g
(B2)−2:共重合ポリエステル樹脂 CoPE2
TPA/IPA//EG/NPG=50/50//50/50モル%の組成比の共重合体、還元粘度0.56dl/g
(D1):ポリカーボネート樹脂 住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「カリバー301−40」(300℃、1.2kg荷重時のMVR:40)
(D2)−1:ポリカーボネート/アクリロニトリル樹脂のグラフト共重合体 日油株式会社製「モディパーCL−430g」(PC成分70質量%)
(D2)−2:ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートのアロイ樹脂 住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「SDポリカ CR3420T」(PC成分80質量%)
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積10Lのエステル化反応槽にテレフタル酸(TPA)2414質量部、エチレングリコール(EG)1497質量部、ネオペンチルグリコール(NPG)515質量部を投入し、触媒として二酸化ゲルマニウムを8g/Lの水溶液として生成ポリマーに対してゲルマニウム原子として30ppm、酢酸コバルト4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として生成ポリマーに対してコバルト原子として35ppm含有するように添加した。その後、反応系内を最終的に240℃となるまで徐々に昇温し、圧力0.25MPaでエステル化反応を180分間行った。反応系内からの留出水が出なくなるのを確認後、反応系内を常圧に戻し、リン酸トリメチルを130g/Lのエチレングリコール溶液として生成ポリマーに対してリン原子として53ppm含有するように添加した。得られたオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、徐々に昇温しながら減圧し最終的に温度が280℃で圧力が0.2MPaになるようにした。固有粘度に対する攪拌翼のトルク値が所望の数値となるまで反応させ、重縮合反応を終了した。反応時間は100分であった。得られた溶融ポリエステル樹脂を重合槽下部の抜き出し口からストランド状に抜き出し、水槽で冷却したあとチップ状に切断し、回収した。以上のようにして得られた共重合ポリエステル樹脂はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール70モル%、ネオペンチルグリコール30モル%の組成を有していた。
使用する原料・組成比以外は、CoPE1の重合例と同様に作製した。
Claims (6)
- (A)還元粘度が0.5〜0.7dl/gの範囲にある低粘度ポリブチレンテレフタレート樹脂20〜45質量%、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)および共重合ポリエステル樹脂(B2)の合計で10〜20質量%、(C)ガラス繊維35〜65質量%、(D)ポリカーボネート系樹脂および(E)エステル交換防止剤を下記(イ)の範囲で含有し、全体で100質量%の無機強化熱可塑性ポリステル樹脂組成物であって、かつ下記(ロ)を満たすことを特徴とする無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
(イ)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(D)ポリカーボネート系樹脂を、ポリカーボネート成分の量で15〜20質量部、(E)エステル交換防止剤を0.1〜0.8質量部である。
(ロ)無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTC2(℃)とするとき、このTC2が180〜190℃の範囲にある。 - ポリカーボネート系樹脂(D)が、ポリカーボネート樹脂(D1)および、ポリカーボネートを含む共重合体またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのアロイ材(D2)からなる、請求項1に記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- ポリカーボネート系樹脂(D)が、ポリカーボネート樹脂(D1)および、ポリカーボネートにアクリル樹脂がグラフトされた共重合体またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのアロイ材(D2)からなる、請求項1に記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の曲げ弾性率が12GPa以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 共重合ポリエステル樹脂(B2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を共重合成分として含むポリエステル樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を用いて成形された、ムラのない均一な表面シボ外観を有する、成形品。
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