以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(スライスヘッダの冗長度低減)
2.第2の実施の形態(画像符号化装置)
3.第3の実施の形態(画像復号装置)
4.第4の実施の形態(多視点画像符号化・多視点画像復号装置)
5.第5の実施の形態(コンピュータ)
6.第6の実施の形態(応用例)
7.第7の実施の形態(スケーラブル符号化の応用例)
8.第8の実施の形態(セット・ユニット・モジュール・プロセッサ)
9.第9の実施の形態(MPEG-DASHのコンテンツ再生システムの応用例)
10.第10の実施の形態(Wi-Fi規格の無線通信システムの応用例)
<1.第1の実施の形態>
<画像符号化の標準化の流れ>
近年、画像情報をデジタルとして取り扱い、その際、効率の高い情報の伝送、蓄積を目的とし、画像情報特有の冗長性を利用して、離散コサイン変換等の直交変換と動き補償により圧縮する符号化方式を採用して画像を圧縮符号する装置が普及しつつある。この符号化方式には、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)などがある。
特に、MPEG2(ISO/IEC 13818-2)は、汎用画像符号化方式として定義されており、飛び越し走査画像及び順次走査画像の双方、並びに標準解像度画像及び高精細画像を網羅する標準である。例えば、MPEG2は、プロフェッショナル用途及びコンシューマ用途の広範なアプリケーションに現在広く用いられている。MPEG2圧縮方式を用いることにより、例えば720x480画素を持つ標準解像度の飛び越し走査画像であれば4乃至8Mbpsの符号量(ビットレート)を割り当てることができる。また、MPEG2圧縮方式を用いることにより、例えば1920x1088画素を持つ高解像度の飛び越し走査画像であれば18乃至22 Mbpsの符号量(ビットレート)を割り当てることができる。これにより、高い圧縮率と良好な画質の実現が可能である。
MPEG2は主として放送用に適合する高画質符号化を対象としていたが、MPEG1より低い符号量(ビットレート)、つまりより高い圧縮率の符号化方式には対応していなかった。携帯端末の普及により、今後そのような符号化方式のニーズは高まると思われ、これに対応してMPEG4符号化方式の標準化が行われた。画像符号化方式に関しては、1998年12月にISO/IEC 14496-2としてその規格が国際標準に承認された。
更に、近年、当初テレビ会議用の画像符号化を目的として、H.26L (ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) Q6/16 VCEG(Video Coding Expert Group))という標準の規格化が進められた。H.26LはMPEG2やMPEG4といった従来の符号化方式に比べ、その符号化、復号化により多くの演算量が要求されるものの、より高い符号化効率が実現されることが知られている。また、現在、MPEG4の活動の一環として、このH.26Lをベースに、H.26Lではサポートされない機能をも取り入れ、より高い符号化効率を実現する標準化がJoint Model of Enhanced-Compression Video Codingとして行われた。
標準化のスケジュールとしては、2003年3月にはH.264及びMPEG-4 Part10 (Advanced Video Coding、以下AVCと記す)という名の元に国際標準となった。
さらに、このH.264/AVCの拡張として、RGBや4:2:2、4:4:4といった、業務用に必要な符号化ツールや、MPEG-2で規定されていた8x8DCTや量子化マトリクスをも含んだFRExt (Fidelity Range Extension) の標準化が2005年2月に完了した。これにより、H.264/AVCを用いて、映画に含まれるフィルムノイズをも良好に表現することが可能な符号化方式となって、Blu-Ray Disc(商標)等の幅広いアプリケーションに用いられる運びとなった。
しかしながら、昨今、ハイビジョン画像の4倍の、4000x2000画素程度の画像を圧縮したい、あるいは、インターネットのような、限られた伝送容量の環境において、ハイビジョン画像を配信したいといった、更なる高圧縮率符号化に対するニーズが高まっている。このため、先述の、ITU-T傘下のVCEGにおいて、符号化効率の改善に関する検討が継続され行なわれている。
そこで、現在、AVCより更なる符号化効率の向上を目的として、ITU-Tと、ISO/IEC(International Organization for Standardization / International Electrotechnical Commission)の共同の標準化団体であるJCTVC(Joint Collaboration Team - Video Coding)により、HEVC(High Efficiency Video Coding)と呼ばれる符号化方式の標準化が進められている。HEVC規格については、2013年1月にドラフト版仕様であるCommittee draftが発行されている(例えば、非特許文献1参照)。
<符号化方式>
以下においては、HEVC(High Efficiency Video Coding)方式の画像符号化・復号に適用する場合を例に、本技術を説明する。
<コーディングユニット>
AVC(Advanced Video Coding)方式においては、マクロブロックとサブマクロブロックによる階層構造が規定されている。しかしながら、16x16画素のマクロブロックでは、次世代符号化方式の対象となるような、UHD(Ultra High Definition;4000画素x2000画素)といった大きな画枠に対して最適ではない。
これに対して、HEVC方式においては、図1に示されるように、コーディングユニット(CU(Coding Unit))が規定されている。
CUは、Coding Tree Block(CTB)とも呼ばれ、AVC方式におけるマクロブロックと同様の役割を果たす、ピクチャ単位の画像の部分領域である。後者は、16x16画素の大きさに固定されているのに対し、前者の大きさは固定されておらず、それぞれのシーケンスにおいて、画像圧縮情報中において指定されることになる。
例えば、出力となる符号化データに含まれるシーケンスパラメータセット(SPS(Sequence Parameter Set))において、CUの最大サイズ(LCU(Largest Coding Unit))と最小サイズ(SCU(Smallest Coding Unit))が規定される。
それぞれのLCU内においては、SCUのサイズを下回らない範囲で、split-flag=1とすることにより、より小さなサイズのCUに分割することができる。図1の例では、LCUの大きさが128であり、最大階層深度が5となる。2Nx2Nの大きさのCUは、split_flagの値が「1」である時、1つ下の階層となる、NxNの大きさのCUに分割される。
更に、CUは、イントラ若しくはインター予測の処理単位となる領域(ピクチャ単位の画像の部分領域)であるプレディクションユニット(Prediction Unit(PU))に分割され、また、直交変換の処理単位となる領域(ピクチャ単位の画像の部分領域)である、トランスフォームユニット(Transform Unit(TU))に分割される。現在、HEVC方式においては、4x4及び8x8に加え、16x16及び32x32直交変換を用いることが可能である。
以上のHEVC方式のように、CUを定義し、そのCUを単位として各種処理を行うような符号化方式の場合、AVC方式におけるマクロブロックはLCUに相当し、ブロック(サブブロック)はCUに相当すると考えることができる。また、AVC方式における動き補償ブロックは、PUに相当すると考えることができる。ただし、CUは、階層構造を有するので、その最上位階層のLCUのサイズは、例えば128x128画素のように、AVC方式のマクロブロックより大きく設定されることが一般的である。
よって、以下、LCUは、AVC方式におけるマクロブロックをも含むものとし、CUは、AVC方式におけるブロック(サブブロック)をも含むものとする。つまり、以下の説明に用いる「ブロック」は、ピクチャ内の任意の部分領域を示し、その大きさ、形状、および特性等は限定されない。つまり、「ブロック」には、例えば、TU、PU、SCU、CU、LCU、サブブロック、マクロブロック、またはスライス等任意の領域(処理単位)が含まれる。もちろん、これら以外の部分領域(処理単位)も含まれる。サイズや処理単位等を限定する必要がある場合は、適宜説明する。
また、本明細書において、CTU(Coding Tree Unit)は、LCU(最大数のCU)のCTB(Coding Tree Block)と、そのLCUベース(レベル)で処理するときのパラメータを含む単位であるとする。また、CTUを構成するCU(Coding Unit)は、CB(Coding Block)と、そのCUベース(レベル)で処理するときのパラメータを含む単位であるとする。
<モード選択>
ところで、AVCそしてHEVC符号化方式において、より高い符号化効率を達成するには、適切な予測モードの選択が重要である。
かかる選択方式の例として、JM (Joint Model) と呼ばれるH.264/MPEG-4 AVCの参照ソフトウエア (http://iphome.hhi.de/suehring/tml/index.htm において公開されている) に実装されている方法を挙げることが出来る。
JMにおいては、以下に述べる、High Complexity Modeと、Low Complexity Modeの2通りのモード判定方法を選択することが可能である。どちらも、それぞれの予測モードModeに関するコスト関数値を算出し、これを最小にする予測モードを当該ブロック乃至マクロブロックに対する最適モードとして選択する。
High Complexity Modeにおけるコスト関数は、以下の式(1)のように示される。
ここで、Ωは、当該ブロック乃至マクロブロックを符号化するための候補モードの全体集合Dは、当該予測モードで符号化した場合の、復号画像と入力画像の差分エネルギーである。λは、量子化パラメータの関数として与えられるLagrange未定乗数である。Rは、直交変換係数を含んだ、当該モードで符号化した場合の総符号量である。
つまり、High Complexity Modeでの符号化を行うには、上記パラメータD及びRを算出するため、全ての候補モードにより、一度、仮エンコード処理を行う必要があり、より高い演算量を要する。
Low Complexity Modeにおけるコスト関数は、以下の式(2)のように示される。
ここで、Dは、High Complexity Modeの場合と異なり、予測画像と入力画像の差分エネルギーとなる。QP2Quant(QP)は、量子化パラメータQPの関数として与えられ、HeaderBitは、直交変換係数を含まない、動きベクトルや、モードといった、Headerに属する情報に関する符号量である。
すなわち、Low Complexity Modeにおいては、それぞれの候補モードに関して、予測処理を行う必要があるが、復号画像までは必要ないため、符号化処理まで行う必要はない。このため、High Complexity Modeより低い演算量での実現が可能である。
<階層符号化>
ところで、これまでの、MPEG2、AVCといった画像符号化方式は、スケーラビリティ(scalability)機能を有していた。スケーラブル符号化(階層符号化)とは、画像を複数レイヤ化(階層化)し、レイヤ毎に符号化する方式である。図2は、階層画像符号化方式の一例を示す図である。
図2に示されるように、画像の階層化においては、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータを基準として1の画像が複数の階層(レイヤ)に分割される。つまり、階層化された画像(階層画像)は、その所定のパラメータの値が互いに異なる複数の階層(レイヤ)の画像を含む。この階層画像の複数のレイヤは、他のレイヤの画像を利用せずに自身のレイヤの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースレイヤ(base layer)と、他のレイヤの画像を利用して符号化・復号を行うノンベースレイヤ(non-base layer)(エンハンスメントレイヤ(Enhancement layer)とも称する)とによりなる。ノンベースレイヤは、ベースレイヤの画像を利用するようにしても良いし、他のノンベースレイヤの画像を利用するようにしてもよい。
一般的に、ノンベースレイヤは、冗長性が低減されるように、自身の画像と、他のレイヤの画像との差分画像のデータ(差分データ)により構成される。例えば、1の画像をベースレイヤとノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)に2階層化した場合、ベースレイヤのデータのみで元の画像よりも低品質な画像が得られ、ベースレイヤのデータとノンベースレイヤのデータを合成することで、元の画像(すなわち高品質な画像)が得られる。
このように画像を階層化することにより、状況に応じて多様な品質の画像を容易に得ることができる。例えば携帯電話のような、処理能力の低い端末に対しては、ベースレイヤのみの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の低い、或いは、画質の良くない動画像を再生し、テレビやパーソナルコンピュータのような、処理能力の高い端末に対しては、ベースレイヤに加えて、エンハンスメントレイヤの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の高い、或いは、画質の高い動画像を再生するといったように、トランスコード処理を行うことなく、端末やネットワークの能力に応じた画像圧縮情報を、サーバから送信することが可能となる。
<スケーラブルなパラメータ>
このような階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)において、スケーラビリティ(scalability)機能を有するパラメータは、任意である。例えば、図3に示されるような空間解像度をそのパラメータとしてもよい(spatial scalability)。このスペーシャルスケーラビリティ(spatial scalability)の場合、レイヤ毎に画像の解像度が異なる。つまり、図3に示されるように、各ピクチャが、元の画像より空間的に低解像度のベースレイヤと、ベースレイヤの画像と合成することにより元の画像(元の空間解像度)が得られるエンハンスメントレイヤの2階層に階層化される。もちろん、この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
また、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、他には、例えば、図4に示されるような、時間解像度を適用しても良い(temporal scalability)。このテンポラルスケーラビリティ(temporal scalability)の場合、レイヤ毎にフレームレートが異なる。つまり、この場合、図4に示されるように、互いに異なるフレームレートのレイヤに階層化されており、低フレームレートのレイヤに、高フレームレートのレイヤを加えることで、より高フレームレートの動画像を得ることができ、全てのレイヤを加えることで、元の動画像(元のフレームレート)を得ることができる。この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
さらに、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、例えば、信号雑音比(SNR(Signal to Noise ratio))を適用しても良い(SNR scalability)。このSNRスケーラビリティ(SNR scalability)の場合、レイヤ毎にSN比が異なる。つまり、図5に示されるように、各ピクチャが、元の画像よりSNRの低いベースレイヤと、ベースレイヤの画像と合成することにより元の画像(元のSNR)が得られるエンハンスメントレイヤの2階層に階層化される。すなわち、ベースレイヤ(base layer)画像圧縮情報においては、低PSNRの画像に関する情報が伝送されており、これに、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)画像圧縮情報を加えることで、高PSNR画像を再構築することが可能である。もちろん、この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
スケーラビリティ性を持たせるパラメータは、上述した例以外であっても、もちろんよい。例えば、ベースレイヤ(base layer)が8ビット(bit)画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、10ビット(bit)画像が得られるビット深度スケーラビリティ(bit-depth scalability)がある。
また、ベースレイヤ(base layer)が4:2:0フォーマットのコンポーネント画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、4:2:2フォーマットのコンポーネント画像が得られるクロマスケーラビリティ(chroma scalability)がある。
<拡張規格のハイレベルシンタクス>
ところで、例えば非特許文献2や非特許文献3に記載のように、上述したHEVCについて拡張規格共通の、例えばビデオパラメータセット(VPS(Video Parameter Set))、シーケンスパラメータセット(SPS(Sequence Parameter Set))、ピクチャパラメータセット(PPS(Picture Parameter Set))、スライスヘッダ(SliceHeader)等の、ハイレベルシンタクス(HL Syntax)構造が提案されている。
非特許文献2や非特許文献3においては、スライスヘッダにおけるレイヤ間予測に関する情報の伝送が提案されている。図6は、そのスライスヘッダのレイヤ間予測に関する情報のシンタクスの例を示す図である。図7は、スライスヘッダのセマンティクスの例を示す図である。
図6に示されるように、スライスヘッダにおいては、レイヤ間予測に関する情報として、inter_layer_pred_enabled_flag, num_inter_layer_ref_pics_minus1, inter_layer_pred_layer_idc[ i ], inter_layer_sample_pred_only_flag等の情報が伝送される。
inter_layer_pred_enabled_flagは、処理対象であるカレントスライスについて、レイヤ間予測が許可されているか否かを示すレイヤ間予測可否情報である。この値が0の場合、予測画像生成においてレイヤ間予測を使用することができない。
num_inter_layer_ref_pics_minus1は、カレントスライスのレイヤ間予測において、参照対象である参照レイヤの数を示す参照レイヤ数情報である。この値に1を足したレイヤ数がカレントスライスのレイヤ間予測における参照レイヤの数となる。参照レイヤの数は、ビデオパラメータセット(VPS)においても規定されている(NumDirectRefLayers[N])。num_inter_layer_ref_pics_minus1は、その値から1減算した値以下で参照レイヤ数を規定する。つまり、参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1 + 1)は、ビデオパラメータセット(VPS)において規定される参照レイヤの中から、カレントスライスにおいて参照レイヤとして選択する数を規定する。
なお、NumDirectRefLayers[N]は、レイヤNにおけるレイヤ間予測において、参照することができるレイヤ番号の最大値を示す情報である。つまり、レイヤ0からこの値のレイヤまでを参照することができる。
inter_layer_pred_layer_idc[ i ]は、カレントスライスのレイヤ間予測において、どのレイヤを参照レイヤとするかを指定する参照レイヤ指定情報である。inter_layer_pred_layer_idc[ i ]は、レイヤ0からNumActiveRefLayerPicsにより指定されるレイヤまでを参照レイヤとして指定することができる。
NumActiveRefLayerPicsは、カレントスライスのレイヤ間予測において、参照レイヤとして指定可能な(アクティブな状態の)レイヤの数を示すアクティブレイヤ数情報である。カレントスライスのレイヤ(カレントレイヤ(nuh_layer_id))がレイヤ0(nuh_layer_id == 0)か、カレントレイヤの参照レイヤ数が0(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] == 0)か、若しくは、レイヤ間予測が許可されていない(inter_layer_pred_enabled_flag)場合、NumActiveRefLayerPicsの値は0となる。また、CVS(Coded Video Sequence)の各ピクチャのレイヤ間予測に1ピクチャのみが用いられる(max_one_active_ref_layer_flag)か、若しくは、ビデオパラメータセット(VPS)において規定されるカレントレイヤにおけるレイヤ間予測において、参照することができるレイヤ番号の最大値が1(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] == 1)の場合、NumActiveRefLayerPicsの値は1となる。さらに、それ以外の場合、NumActiveRefLayerPicsの値は参照レイヤ数情報に1を足した値(num_inter_layer_ref_pics_minus1 + 1)となる。
inter_layer_sample_pred_only_flagは、カレントスライスにおいてインター予測が許可されているか否かを示すインター予測可否情報である。この値が0の場合、予測画像生成においてインター予測を用いることができない。
換言するに、符号化側から復号側に伝送されるレイヤ間予測に関する情報には、レイヤ間予測可否情報、参照レイヤ数情報、参照レイヤ指定情報、およびインター予測可否情報が含まれるようにしてもよい。もちろん、これら以外の情報がレイヤ間予測に関する情報に含まれていても良いし、これらの一部が省略されるようにしてもよい。
図6に示されるように、これらのレイヤ間予測に関する情報は、カレントレイヤがレイヤ0でなく(nuh_layer_id > 0)、かつ、カレントレイヤのレイヤ間予測において、参照することができるレイヤが存在する(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] > 0)場合、伝送される。
しかしながら、その場合であっても、上述したレイヤ間予測に関する情報が不要になることがあることが考えられるが、非特許文献2や非特許文献3に記載の方法では、そのようなことを考慮されずにレイヤ間予測に関する情報が伝送されていた。そのため、不要なシンタクスも伝送されてしまい、スライスヘッダの符号量が不要に増大し、符号化効率が低減する可能性があった。
そこで、レイヤ間予測に関する情報を伝送する条件をさらに厳密に行うようにし、スライスヘッダの冗長性を低減させ、符号化効率を向上させるようにする。具体的な方法の例は、以下に説明する。
<スライスタイプによる制御>
非特許文献2や非特許文献3に記載の方法では、このレイヤ間予測に関する情報は、例えばGOP(Group of Pictures)の先頭となるIRAP(Intra Random Access Point)の場合、レイヤ間予測に関する情報を伝送しないようにナルユニットタイプ(nal_unit_type)の値によって制御していた。
しかしながら、例えば、図8のAに示されるように、IRAPであっても、PスライスやBスライスが存在することが可能であり、そのようなPスライスやBスライスでは、レイヤ間予測を行うことができる。これに対して、例えば、図8のBに示されるように、IRAPが全てIスライスにより構成される場合は、レイヤ間予測は行われない。
つまり、ナルユニットタイプ(nal_unit_type)の値のみからでは、レイヤ間予測が行われるのか否かを判別することはできない。そして、レイヤ間予測が行われない場合、レイヤ間予測に関する情報は冗長なデータとなってしまう。つまり、このような場合に、レイヤ間予測に関する情報を伝送すると、不要にスライスヘッダの符号量を増大させることになり、符号化効率を低減させる恐れがあった。
そこで、レイヤ間予測に関する情報の伝送制御において、スライスタイプ(slice_type)の値も考慮するようにする。つまり、スライスタイプがPスライス若しくはBスライスのであれば、レイヤ間予測に関する情報を伝送することができるようにする。
図9にこの場合のスライスヘッダのシンタクスの一部の構成例を示す。図9に示されるように、レイヤ間予測に関する情報を規定するシンタクスの前に、『if(slice_type == P || slice_type == B) {』の条件式が追加されている。つまり、この条件が真の場合のみ、レイヤ間予測に関する情報が伝送されるようになされている。
このようにすることにより、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送を抑制し、符号化効率の低減を抑制することができる。
<参照レイヤ数による制御>
また、上述したように、ビデオパラメータセット(VPS)とスライスヘッダに、参照レイヤの数を規定するシンタクスが存在する。つまり、例えば図10のAに示されるように、ビデオパラメータセット(VPS)においてシーケンス全体に適用される参照レイヤの数が規定される。そして、例えば図10のBに示されるように、スライスヘッダにおいては、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤ群の中から参照レイヤが選択される。これによりピクチャ毎に参照レイヤを変えることができる。
ところが、このビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数とが互いに同一である場合、ビデオパラメータセット(VPS)で規定される参照レイヤを全て、カレントスライスの参照レイヤとして規定することになる。つまり、この場合、参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])によりどのレイヤを参照レイヤとするかを指定する必要がない。
しかしながら、非特許文献2や非特許文献3に記載の方法では、このような場合であっても、参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])が伝送されていた。つまり、不要にスライスヘッダの符号量が増大し、符号化効率を低減させる恐れがあった。
そこで、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id])とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数(アクティブレイヤ数情報(NumActiveRefLayerPics))とが互いに同一でなければ、参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を伝送することができるようにする。
図11にこの場合のスライスヘッダのシンタクスの一部の構成例を示す。図12にこの場合のスライスヘッダのセマンティクスの例を示す。図11に示されるように、参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を規定するシンタクスの前に、『if( NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] != NumActiveRefLayerPics )』の条件式が追加されている。つまり、この条件が真の場合のみ、レイヤ間予測に関する情報が伝送されるようになされている。
このようにすることにより、参照レイヤ指定情報の不要な伝送を抑制し、符号化効率の低減を抑制することができる。
<参照パターンの事前定義>
非特許文献2や非特許文献3に記載の方法では、各スライスにおいて、レイヤ間予測に関する情報を伝送していた。つまり、各スライスにおいて、どのレイヤを参照レイヤとするかを全て指定していた。
しかしながら、実際には、レイヤ間の参照関係は、例えば、図13に示される例のように、GOP内での位置(すなわち、時間方向の参照関係)に依存し易い傾向がある。つまり、カレントスライスのGOP内での位置によって、レイヤ間方向の参照関係が決定される場合が多い。
したがって、予め出現頻度の高いレイヤ間の参照関係(つまりどのレイヤを参照レイヤとするかのパターン(レイヤ間参照ピクチャセットとも称する))を定義し(定型化し)、各スライスにおいては、該当する定型の参照関係(レイヤ間参照ピクチャセット)をインデックスにより指定するようにすれば、非特許文献2や非特許文献3に記載の方法のようにスライス毎に全参照レイヤを指定するよりも、符号量を低減させることができる。すなわち、符号化効率の低減を抑制することができる。
このレイヤ間参照ピクチャセットは、シーケンス全体で(シーケンス内の全てのスライスにおいて)利用することができるように、シーケンスパラメータセット(SPS)において伝送するようにする。また、カレントスライスにおいて、予め定義されたレイヤ間参照ピクチャセットの中に該当する参照関係が無い場合、そのスライスヘッダにおいて、カレントスライス用のレイヤ間参照ピクチャセットを定義するようにすればよい。
つまり、非特許文献2や非特許文献3に記載の方法では、図14のAに示されるように、ビデオパラメータセット(VPS)において規定される参照レイヤ情報の上書きまたは補足が各スライスヘッダにおいて行われていたが、これを図14のBに示されるように、シーケンスパラメータセット(SPS)において参照関係のパターン(レイヤ間参照ピクチャセット)を保持しておき、ピクチャレベル(各スライス)では、インデックス(例えば識別番号)により指定するようにする。RPS(Reference Picture Set)のようにシーケンスパラメータセット(SPS)において保持される参照関係のパターン(レイヤ間参照ピクチャセット)以外の場合、スライスヘッダ(若しくはピクチャパラメータセット(PPS))において、そのスライス専用の参照関係のパターン(レイヤ間参照ピクチャセット)を定義するようにする。
なお、このレイヤ間参照ピクチャセットは、複数定義することができる(それぞれにインデックスを割り当てれば、定義する数は任意である)。
図15にこの場合のシーケンスパラメータセット(SPS)のシンタクスの一部の構成例を示す。図16にレイヤ間参照ピクチャセットを規定するシンタクスの例を示す。図17にこの場合のスライスヘッダのシンタクスの一部の構成例を示す。
また、図18にこの場合のシーケンスパラメータセット(SPS)のセマンティクスの例を示す。図19にレイヤ間参照ピクチャセットを規定するセマンティクスの例を示す。図20にこの場合のスライスヘッダのセマンティクスの一部の構成例を示す。
図15に示されるように、シーケンスパラメータセット(SPS)においては、定義するレイヤ間参照ピクチャセットの数を示すセット数情報(num_inter_layer_ref_pic_sets)と、そのセット数分のレイヤ間参照ピクチャセット(inter_layer_ref_pic_set(i))とが設定される。
各レイヤ間参照ピクチャセットにおいては、図16に示されるように、参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)と、その参照レイヤ数分の参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])とが設定される。
また、図17に示されるように、スライスヘッダにおいては、レイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)と、レイヤ間参照ピクチャセットを利用可能か否かを示すレイヤ間参照ピクチャセット可否情報とが設定される。また、レイヤ間参照ピクチャセットを利用可能な場合、レイヤ間参照ピクチャセットを指定するインデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)が設定され、レイヤ間参照ピクチャセットを利用不可能な場合、カレントスライス用のレイヤ間参照ピクチャセット(inter_layer_ref_pic_set( num_inter_layer_ref_pic_sets ))が設定される。また、インター予測可否情報(inter_layer_sample_pred_only_flag)も設定される。
このようにすることにより、レイヤ間予測に関する情報の符号量を低減させることができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
<制御の組み合わせ>
以上においては、レイヤ間予測に関する情報の制御として3つの方法を説明したが、例えば、これらの方法を組み合わせて用いるようにしても良い。例えば、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法とを組み合わせて用いるようにしてもよい。また、例えば、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせて用いるようにしてもよい。さらに、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
また、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
さらに、上述した方法と、それら以外の方法とを組み合わせるようにしてもよい。
図21乃至図23は、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法とを組み合わせた場合のスライスヘッダのシンタクスの例を示す図である。図24は、その場合のスライスヘッダのセマンティクスの例を示す図である。
図22の斜線模様で示される部分において、レイヤ間予測に関する情報の伝送(生成も含む)が制御される。
このようにすることにより、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送を抑制し、参照レイヤ指定情報の不要な伝送をさらに抑制することができ、<スライスタイプによる制御>において説明した方法や、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法の場合よりも、符号化効率の低減を抑制することができる。
図25および図26は、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせた場合のシーケンスパラメータセット(SPS)のシンタクスの例を示す図である。図27は、その場合の、各レイヤ間参照ピクチャセットを設定するシンタクスの例を示す図である。図28乃至図31は、その場合の、スライスヘッダのシンタクスの例を示す図である。
図32は、この場合のシーケンスパラメータセット(SPS)のセマンティクスの例を示す図である。図33は、この場合のレイヤ間参照ピクチャセットを設定するセマンティクスの例を示す図である。図34は、この場合の、スライスヘッダのセマンティクスの例を示す図である。
図26の斜線模様で示される部分において、レイヤ間参照ピクチャセットの定義が行われ、図27において各レイヤ間参照ピクチャセットのパラメータが定義が行われている。さらに、図29の斜線模様で示される部分において、レイヤ間予測に関する情報の伝送(生成も含む)が制御される。
このようにすることにより、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送を抑制し、参照レイヤ指定情報の不要な伝送をさらに抑制し、さらに、伝送するレイヤ間予測に関する情報の符号量を低減させることができ、<スライスタイプによる制御>において説明した方法や、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法や、<参照パターンの事前定義>において説明した方法の場合よりも、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、復号側においては、上述した符号化側のレイヤ間予測に関する情報の制御と同様の方法でレイヤ間予測に関する情報を含むヘッダ情報を解析することにより、レイヤ間予測に関する情報を正しく解析することができ、その値に基づいて、レイヤ間予測を正しく制御することができる。したがって、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送の抑制を実現し、符号化効率の低減を抑制することができる。
もちろん、上述した複数の制御方法の組み合わせも、符号化側の場合と同様に適用することができる。
<2.第2の実施の形態>
<画像符号化装置>
次に、以上のような本技術を実現する装置とその方法について説明する。図35は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である、画像符号化装置を示す図である。図35に示される画像符号化装置100は、階層画像符号化(スケーラブル符号化)を行う装置である。図35に示されるように、画像符号化装置100は、ベースレイヤ画像符号化部101、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102、多重化部103、および制御部104を有する。
ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤ画像を符号化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤ画像を符号化し、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを生成する。多重化部103は、ベースレイヤ画像符号化部101において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102において生成されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを多重化し、階層画像符号化ストリームを生成する。多重化部103は、生成した階層画像符号化ストリームを復号側に伝送する。
ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤの符号化において得られた復号画像(ベースレイヤ復号画像とも称する)を、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、ベースレイヤ画像符号化部101から供給されるベースレイヤ復号画像を取得し、記憶する。エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、その記憶したベースレイヤ復号画像を参照画像として、エンハンスメントレイヤの符号化における予測処理に用いる。
制御部104は、画像データ全体に関係する設定を行い、その設定に基づいてベースレイヤ画像符号化部101およびエンハンスメントレイヤ画像符号化部102を制御することにより、各レイヤの符号化を制御する。また、制御部104は、その設定を用いてビデオパラメータセット(VPS)を生成し、多重化部103に供給し、復号側に伝送させる。その際、ビデオパラメータセットは、階層画像符号化ストリームに含めて伝送するようにしてもよいし、階層画像符号化ストリームとは別のデータとして伝送するようにしてもよい。
エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、制御部104の制御(制御部104から供給されるビデオパラメータセット(VPS)の情報)に従って、シーケンスパラメータセット(SPS)やスライスヘッダ等のヘッダ情報を生成する。
<ベースレイヤ画像符号化部>
図36は、図35のベースレイヤ画像符号化部101の主な構成例を示すブロック図である。図36に示されるように、ベースレイヤ画像符号化部101は、A/D変換部111、画面並べ替えバッファ112、演算部113、直交変換部114、量子化部115、可逆符号化部116、蓄積バッファ117、逆量子化部118、および逆直交変換部119を有する。また、ベースレイヤ画像符号化部101は、演算部120、ループフィルタ121、フレームメモリ122、選択部123、イントラ予測部124、インター予測部125、予測画像選択部126、およびレート制御部127を有する。
A/D変換部111は、入力された画像データ(ベースレイヤ画像情報)をA/D変換し、変換後の画像データ(デジタルデータ)を、画面並べ替えバッファ112に供給し、記憶させる。画面並べ替えバッファ112は、記憶した表示の順番のフレームの画像を、GOP(Group Of Picture)に応じて、符号化のためのフレームの順番に並べ替え、フレームの順番を並び替えた画像を、演算部113に供給する。また、画面並べ替えバッファ112は、フレームの順番を並び替えた画像を、イントラ予測部124およびインター予測部125にも供給する。
演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125から供給される予測画像を減算し、その差分情報を直交変換部114に出力する。例えば、イントラ符号化が行われる画像の場合、演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、イントラ予測部124から供給される予測画像を減算する。また、例えば、インター符号化が行われる画像の場合、演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、インター予測部125から供給される予測画像を減算する。
直交変換部114は、演算部113から供給される差分情報に対して、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施す。直交変換部114は、その変換係数を量子化部115に供給する。
量子化部115は、直交変換部114から供給される変換係数を量子化する。量子化部115は、レート制御部127から供給される符号量の目標値に関する情報に基づいて量子化パラメータを設定し、その量子化を行う。量子化部115は、量子化された変換係数を可逆符号化部116に供給する。
可逆符号化部116は、量子化部115において量子化された変換係数を任意の符号化方式で符号化する。係数データは、レート制御部127の制御の下で量子化されているので、この符号量は、レート制御部127が設定した目標値となる(若しくは目標値に近似する)。
また、可逆符号化部116は、イントラ予測のモードを示す情報などをイントラ予測部124から取得し、インター予測のモードを示す情報や差分動きベクトル情報などをインター予測部125から取得する。さらに、可逆符号化部116は、シーケンスパラメータセット(SPS)、およびピクチャパラメータセット(PPS)等を含むベースレイヤのNAL(Network Abstraction Layer)ユニットを適宜生成する。
可逆符号化部116は、これらの各種情報を任意の符号化方式で符号化し、符号化データ(符号化ストリームとも称する)の一部とする(多重化する)。可逆符号化部116は、符号化して得られた符号化データを蓄積バッファ117に供給して蓄積させる。
可逆符号化部116の符号化方式としては、例えば、可変長符号化または算術符号化等が挙げられる。可変長符号化としては、例えば、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)などが挙げられる。算術符号化としては、例えば、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)などが挙げられる。
蓄積バッファ117は、可逆符号化部116から供給された符号化ストリーム(ベースレイヤ符号化ストリーム)を、一時的に保持する。蓄積バッファ117は、所定のタイミングにおいて、保持しているベースレイヤ符号化ストリームを多重化部103(図15)に出力する。すなわち、蓄積バッファ117は、ベースレイヤ符号化ストリームを伝送する伝送部でもある。
また、量子化部115において量子化された変換係数は、逆量子化部118にも供給される。逆量子化部118は、その量子化された変換係数を、量子化部115による量子化に対応する方法で逆量子化する。逆量子化部118は、得られた変換係数を、逆直交変換部119に供給する。
逆直交変換部119は、逆量子化部118から供給された変換係数を、直交変換部114による直交変換処理に対応する方法で逆直交変換する。逆直交変換された出力(復元された差分情報)は、演算部120に供給される。
演算部120は、逆直交変換部119から供給された逆直交変換結果である、復元された差分情報に、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125からの予測画像を加算し、局部的に復号された画像(復号画像)を得る。その復号画像は、ループフィルタ121またはフレームメモリ122に供給される。
ループフィルタ121は、デブロックフィルタや適応ループフィルタ等を含み、演算部120から供給される再構成画像に対して適宜フィルタ処理を行う。例えば、ループフィルタ121は、再構成画像に対してデブロックフィルタ処理を行うことにより再構成画像のブロック歪を除去する。また、例えば、ループフィルタ121は、そのデブロックフィルタ処理結果(ブロック歪みの除去が行われた再構成画像)に対して、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いてループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行う。ループフィルタ121は、フィルタ処理結果(以下、復号画像と称する)をフレームメモリ122に供給する。
なお、ループフィルタ121が、再構成画像に対してさらに、他の任意のフィルタ処理を行うようにしてもよい。また、ループフィルタ121は、必要に応じて、フィルタ処理に用いたフィルタ係数等の情報を可逆符号化部116に供給し、それを符号化させるようにすることもできる。
フレームメモリ122は、供給される復号画像を記憶し、所定のタイミングにおいて、記憶している復号画像を参照画像として、選択部123に供給する。
より具体的には、フレームメモリ122は、演算部120から供給される再構成画像と、ループフィルタ121から供給される復号画像とをそれぞれ記憶する。フレームメモリ122は、所定のタイミングにおいて、若しくは、イントラ予測部124等の外部からの要求に基づいて、記憶している再構成画像を、選択部123を介してイントラ予測部124に供給する。また、フレームメモリ122は、所定のタイミングにおいて、若しくは、インター予測部125等の外部からの要求に基づいて、記憶している復号画像を、選択部123を介して、インター予測部125に供給する。
選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像の供給先を選択する。例えば、イントラ予測の場合、選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像(カレントピクチャ内の画素値若しくはベースレイヤ復号画像)をイントラ予測部124に供給する。また、例えば、インター予測の場合、選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像(エンハンスメントレイヤのカレントピクチャ外の復号画像若しくはベースレイヤ復号画像)をインター予測部125に供給する。
イントラ予測部124は、処理対象のフレームの画像であるカレントピクチャについて、予測処理を行い、予測画像を生成する。イントラ予測部124は、この予測処理を、所定のブロック毎に(ブロックを処理単位として)行う。つまり、イントラ予測部124は、カレントピクチャの、処理対象であるカレントブロックの予測画像を生成する。その際、イントラ予測部124は、選択部123を介してフレームメモリ122から参照画像として供給される再構成画像を用いて予測処理(画面内予測(イントラ予測とも称する))を行う。つまり、イントラ予測部124は、再構成画像に含まれる、カレントブロックの周辺の画素値を用いて予測画像を生成する。このイントラ予測に利用される周辺画素値は、カレントピクチャの、過去に処理された画素の画素値である。このイントラ予測には(すなわち、予測画像の生成の仕方には)、複数の方法(イントラ予測モードとも称する)が、候補として予め用意されている。イントラ予測部124は、この予め用意された複数のイントラ予測モードでこのイントラ予測を行う。
イントラ予測部124は、候補となる全てのイントラ予測モードで予測画像を生成し、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像を用いて各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。イントラ予測部124は、最適なイントラ予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。
また、上述したように、イントラ予測部124は、採用されたイントラ予測モードを示すイントラ予測モード情報等を、適宜可逆符号化部116に供給し、符号化させる。
インター予測部125は、カレントピクチャについて、予測処理を行い、予測画像を生成する。インター予測部125は、この予測処理を、所定のブロック毎に(ブロックを処理単位として)行う。つまり、インター予測部125は、カレントピクチャの、処理対象であるカレントブロックの予測画像を生成する。その際、インター予測部125は、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像の画像データと、フレームメモリ122から参照画像として供給される復号画像の画像データとを用いて、予測処理を行う。この復号画像は、カレントピクチャより前に処理されたフレームの画像(カレントピクチャでない他のピクチャ)である。つまり、インター予測部125は、他のピクチャの画像を用いて予測画像を生成する予測処理(画面間予測(インター予測とも称する))を行う。
このインター予測は、動き予測と動き補償よりなる。より具体的には、インター予測部125は、入力画像と参照画像を用いて、カレントブロックについて動き予測を行い、動きベクトルを検出する。そして、インター予測部125は、参照画像を用いて、検出された動きベクトルに応じて動き補償処理を行い、カレントブロックの予測画像(インター予測画像情報)を生成する。このインター予測には(すなわち、予測画像の生成の仕方には)、複数の方法(インター予測モードとも称する)が、候補として予め用意されている。インター予測部125は、この予め用意された複数のインター予測モードでこのようなインター予測を行う。
インター予測部125は、候補となる全てのインター予測モードで予測画像を生成する。インター予測部125は、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像と、生成した差分動きベクトルの情報などを用いて、各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。インター予測部125は、最適なインター予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。
インター予測部125は、採用されたインター予測モードを示す情報や、符号化データを復号する際に、そのインター予測モードで処理を行うために必要な情報等を可逆符号化部116に供給し、符号化させる。必要な情報としては、例えば、生成された差分動きベクトルの情報や、予測動きベクトル情報として予測動きベクトルのインデックスを示すフラグなどがある。
予測画像選択部126は、演算部113や演算部120に供給する予測画像の供給元を選択する。例えば、イントラ符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてイントラ予測部124を選択し、そのイントラ予測部124から供給される予測画像を演算部113や演算部120に供給する。また、例えば、インター符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてインター予測部125を選択し、そのインター予測部125から供給される予測画像を演算部113や演算部120に供給する。
レート制御部127は、蓄積バッファ117に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部115の量子化動作のレートを制御する。
また、フレームメモリ122は、記憶しているベースレイヤ復号画像を、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
<エンハンスメントレイヤ画像符号化部>
図37は、図35のエンハンスメントレイヤ画像符号化部102の主な構成例を示すブロック図である。図37に示されるように、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、図36のベースレイヤ画像符号化部101と基本的に同様の構成を有する。
つまり、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、図37に示されるように、A/D変換部131、画面並べ替えバッファ132、演算部133、直交変換部134、量子化部135、可逆符号化部136、蓄積バッファ137、逆量子化部138、および逆直交変換部139を有する。また、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、演算部140、ループフィルタ141、フレームメモリ142、選択部143、イントラ予測部144、インター予測部145、予測画像選択部146、およびレート制御部147を有する。
これらのA/D変換部131乃至レート制御部147は、図36のA/D変換部111乃至レート制御部127に対応し、それぞれ、対応する処理部と同様の処理を行う。ただし、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部は、ベースレイヤではなく、エンハンスメントレイヤ画像情報の符号化についての処理を行う。したがって、A/D変換部131乃至レート制御部147の処理の説明として、上述した図36のA/D変換部111乃至レート制御部127についての説明を適用することができるが、その場合、処理するデータは、ベースレイヤのデータではなく、エンハンスメントレイヤのデータであるものとする必要がある。また、データの入力元や出力先の処理部は、適宜、A/D変換部131乃至レート制御部147の中の対応する処理部に置き換えて読む必要がある。
なお、フレームメモリ142は、ベースレイヤ画像符号化部101から供給されるベースレイヤ復号画像を取得し、例えばロングターム参照フレーム等として記憶する。このベースレイヤ復号画像は、イントラ予測部144やインター予測部145による予測処理において、例えばレイヤ間予測の参照画像として利用される。
また、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、ヘッダ情報生成部151および予測制御部152をさらに有する。
ヘッダ情報生成部151は、制御部104の制御に従って(すなわち、制御部104から供給されるビデオパラメータセット(VPS)等の情報を利用して)、シーケンスパラメータセットやスライスヘッダ等の各種ヘッダ情報を生成する。
ヘッダ情報生成部151は、例えば、第1の実施の形態において説明したように制御して、レイヤ間予測に関する情報を適宜生成し、シーケンスパラメータセット(SPS)やスライスヘッダ等のヘッダ情報に含める。
ヘッダ情報生成部151は、生成したヘッダ情報を可逆符号化部136に供給し、復号側に伝送させる。可逆符号化部136は、例えば、そのヘッダ情報を、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームに含めて蓄積バッファ137に供給し、復号側に伝送させる。
ヘッダ情報生成部151は、生成したレイヤ間予測制御情報等を予測制御部152に供給する。予測制御部152は、レイヤ間予測に関する情報の生成結果(生成したレイヤ間予測に関する情報、若しくは、レイヤ間予測に関する情報が生成されなかったこと)に応じて、イントラ予測部144およびインター予測部145において行われるレイヤ間予測を制御する。
ヘッダ情報生成部151は、例えば、CPU、RAM、ROM等を有し、CPUがROM等から読み出したプログラムをRAMを用いて実行する等して、上述した処理を実行する。
<ヘッダ情報生成部>
図38は、図37のヘッダ情報生成部151が有する機能ブロックの構成例を示す図である。ヘッダ情報生成部151において、例えば、CPUがROM等から読み出したプログラムをRAMを用いて実行する等して、上述した処理が実行されることにより、図38に示される各種の機能ブロックが実現される。
図38に示されるように、ヘッダ情報生成部151は、スライスヘッダ生成部161、シーケンスパラメータセット生成部162、およびレイヤ間参照ピクチャセット生成部163を有する。
スライスヘッダ生成部161は、カレントスライスのスライスヘッダを生成する。シーケンスパラメータセット生成部162は、カレントスライスが属するシーケンス(カレントシーケンスとも称する)のシーケンスパラメータセット(SPS)を生成する。レイヤ間参照ピクチャセット生成部163は、シーケンスパラメータセット生成部162において定義される各レイヤ間参照ピクチャセットを構成するパラメータを生成する。
スライスヘッダ生成部161は、従属判定部171、スライスタイプ判定部172、レイヤ判定部173、参照レイヤ数判定部174、レイヤ間予測可否判定部175、レイヤ間参照ピクチャセット判定部176、セット数判定部177、レイヤ間予測関連シンタクス生成部178、パラメータセット生成部179、およびインデックス設定部180を有する。
従属判定部171は、カレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属するか否かを判定する。スライスタイプ判定部172は、カレントスライスのスライスタイプを判定する。レイヤ判定部173は、カレントスライスのレイヤに関する判定を行う。参照レイヤ数判定部174は、参照レイヤ数に関する判定を行う。レイヤ間予測可否判定部175は、レイヤ間予測が可能か否かを判定する。レイヤ間参照ピクチャセット判定部176は、事前に定義されたレイヤ間参照ピクチャセットを利用するか否かを判定する。セット数判定部177は、レイヤ間参照ピクチャセットの数を判定する。レイヤ間予測関連シンタクス生成部178は、レイヤ間予測に関する情報の生成に関する処理を行う。パラメータセット生成部179は、レイヤ間参照ピクチャセットの生成に関する処理を行う。インデックス設定部180は、レイヤ間参照ピクチャセットを指定するインデックスの生成に関する処理を行う。
レイヤ間予測関連シンタクス生成部178は、レイヤ間予測可否情報生成部181、参照レイヤ数情報生成部182、参照レイヤ指定情報生成部183、およびインター予測可否情報生成部184を有する。
レイヤ間予測可否情報生成部181は、レイヤ間予測可否情報の生成に関する処理を行う。参照レイヤ数情報生成部182は、参照レイヤ数情報の生成に関する処理を行う。参照レイヤ指定情報生成部183は、参照レイヤ指定情報の生成に関する処理を行う。インター予測可否情報生成部184は、インター予測可否情報の生成に関する処理を行う。
シーケンスパラメータセット生成部162は、セット数情報生成部185およびパラメータセット生成部186を有する。
セット数情報生成部185は、シーケンスパラメータセットにおいて定義するパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)の数を示すセット数情報を生成する。パラメータセット生成部186は、パラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)を生成(定義)する。
レイヤ間参照ピクチャセット生成部163は、参照レイヤ数情報生成部187および参照レイヤ指定情報生成部188を有する。
参照レイヤ数情報生成部187は、参照レイヤ数情報生成部182と同様の処理を行う処理部であり、そのレイヤ間参照ピクチャセットにおける参照レイヤ数情報を生成する。参照レイヤ指定情報生成部188は、参照レイヤ指定情報生成部183と同様の処理を行う処理部であり、そのレイヤ間参照ピクチャセットにおいて指定する参照レイヤを全て示す参照レイヤ指定情報を生成する。
なお、第1の実施の形態において説明したように、レイヤ間予測に関する情報の制御方法として複数の方法があり、また、それらを組み合わせて使用することもできる。したがって、図38に示される機能ブロックの内、採用する制御方法またはその組み合わせにおいて不要な機能ブロックは、適宜省略することができる。
<画像符号化処理の流れ>
次に、以上のような画像符号化装置100により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図39のフローチャートを参照して、画像符号化処理の流れの例を説明する。
画像符号化処理が開始されると、画像符号化装置100の制御部104は、ステップS101において、スケーラブル符号化全体の設定を行う。
ステップS102において、制御部104は、ステップS101において行った設定に従ってベースレイヤ画像符号化部101乃至多重化部103の各部を制御する。
ステップS103において、制御部104は、ステップS101において行った設定を反映させてビデオパラメータセット(VPS)を生成する。
ステップS104において、ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤの画像データを符号化する。
ステップS105において、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤの画像データを符号化する。
ステップS106において、多重化部103は、ステップS104において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、ステップS105において生成されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを(すなわち、各レイヤのビットストリームを)多重化し、1系統の階層画像符号化ストリームを生成する。なお、多重化部103は、必要に応じて、ステップS103において生成されたビデオパラメータセット(VPS)を階層画像符号化ストリームに含める。多重化部103は、その階層画像符号化ストリームを出力し、復号側に伝送する。
ステップS106の処理が終了すると、画像符号化装置100は、画像符号化処理を終了する。このような画像符号化処理により1ピクチャが処理される。したがって、画像符号化装置100は、このような画像符号化処理を階層化された動画像データの各ピクチャについて繰り返し実行する。ただし、例えば、ステップS101乃至ステップS103の処理等、ピクチャ毎に行う必要の無い処理は、適宜省略する。
<ベースレイヤ符号化処理の流れ>
次に、図39のステップS104において、ベースレイヤ画像符号化部101により実行されるベースレイヤ符号化処理の流れの例を、図40のフローチャートを参照して説明する。
ベースレイヤ符号化処理が開始されると、ベースレイヤ画像符号化部101のA/D変換部111は、ステップS121において、入力された動画像の各フレーム(ピクチャ)の画像をA/D変換する。
ステップS122において、画面並べ替えバッファ112は、ステップS121においてA/D変換された画像を記憶し、各ピクチャの表示する順番から符号化する順番への並べ替えを行う。
ステップS123において、イントラ予測部124は、イントラ予測モードのイントラ予測処理を行う。
ステップS124において、インター予測部125は、インター予測モードでの動き予測や動き補償等を行うインター予測処理を行う。
ステップS125において、予測画像選択部126は、コスト関数値等に基づいて、予測画像を選択する。つまり、予測画像選択部126は、ステップS123のイントラ予測により生成された予測画像と、ステップS124のインター予測により生成された予測画像のいずれか一方を選択する。
ステップS126において、演算部113は、ステップS122の処理によりフレーム順を並び替えられた入力画像と、ステップS125の処理により選択された予測画像との差分を演算する。つまり、演算部113は、入力画像と予測画像との差分画像の画像データを生成する。このようにして求められた差分画像の画像データは、元の画像データに比べてデータ量が低減される。したがって、画像をそのまま符号化する場合に較べて、データ量を圧縮することができる。
ステップS127において、直交変換部114は、ステップS126の処理により生成された差分画像の画像データを直交変換する。
ステップS128において、量子化部115は、レート制御部127により算出された量子化パラメータを用いて、ステップS127の処理により得られた直交変換係数を量子化する。
ステップS129において、逆量子化部118は、ステップS128の処理により生成された量子化された係数(量子化係数とも称する)を、量子化部115の特性に対応する特性で逆量子化する。
ステップS130において、逆直交変換部119は、ステップS129の処理により得られた直交変換係数を逆直交変換する。
ステップS131において、演算部120は、ステップS130の処理により復元された差分画像に、ステップS125の処理により選択された予測画像を加算することにより、再構成画像の画像データを生成する。
ステップS132においてループフィルタ121は、ステップS131の処理により生成された再構成画像の画像データにループフィルタ処理を行う。これにより、再構成画像のブロック歪み等が除去される。
ステップS133において、フレームメモリ122は、ステップS132の処理により得られた復号画像(ベースレイヤ復号画像)やステップS131の処理により得られた再構成画像等のデータを記憶する。
ステップS134において、可逆符号化部116は、ステップS128の処理により得られた、量子化された係数を符号化する。すなわち、差分画像に対応するデータに対して、可変長符号化や算術符号化等の可逆符号化が行われる。
また、このとき、可逆符号化部116は、ステップS125の処理により選択された予測画像の予測モードに関する情報を符号化し、差分画像を符号化して得られる符号化データに付加する。つまり、可逆符号化部116は、イントラ予測部124から供給される最適イントラ予測モード情報、または、インター予測部125から供給される最適インター予測モードに応じた情報なども符号化し、符号化データに付加する。
さらに、可逆符号化部116は、各種ナルユニット等のシンタクス要素も設定し、符号化し、符号化データに付加する。
ステップS135において蓄積バッファ117は、ステップS134の処理により得られた符号化データ(ベースレイヤ画像符号化ストリーム)を蓄積する。蓄積バッファ117に蓄積されたベースレイヤ画像符号化ストリームは、適宜読み出され、多重化部103に供給されてエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームと多重化された後、伝送路や記録媒体を介して復号側に伝送される。
ステップS136においてレート制御部127は、ステップS135の処理により蓄積バッファ117に蓄積された符号化データの符号量(発生符号量)に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部115の量子化動作のレートを制御する。また、レート制御部127は、量子化パラメータに関する情報を、量子化部115に供給する。
ステップS137において、フレームメモリ122は、記憶しているベースレイヤ復号画像を、エンハンスメントレイヤの符号化処理に供給する。
ステップS137の処理が終了すると、ベースレイヤ符号化処理が終了し、処理は図39に戻る。
<エンハンスメントレイヤ符号化処理の流れ>
次に、図39のステップS105において、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102により実行されるエンハンスメントレイヤ符号化処理の流れの例を、図41のフローチャートを参照して説明する。
エンハンスメントレイヤ符号化処理が開始されると、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102のヘッダ情報生成部151は、ステップS141において、例えばシーケンスパラメータセット(SPS)やスライスヘッダ等の各種ヘッダ情報を生成する。
ステップS142において、フレームメモリ142は、ベースレイヤ復号画像を取得し、記憶する。例えば、フレームメモリ142は、このベースレイヤ復号画像をロングターム参照フレームに格納する。
ステップS143乃至ステップS158の各処理は、図40のステップS121乃至ステップS136の各処理に対応し、それらの処理と基本的に同様に実行される。ただし、図40のステップS121乃至ステップS136の各処理がベースレイヤに対して行われたのに対し、ステップS143乃至ステップS158の各処理は、エンハンスメントレイヤに対して行われる。
ステップS158の処理が終了すると、エンハンスメントレイヤ符号化処理が終了し、処理は、図39に戻る。
<レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理の流れ>
ヘッダ情報生成部151および予測制御部152は、図41のステップS141においてレイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理を行い、第1の実施の形態において説明したように、ヘッダ情報(スライスヘッダ)として、レイヤ間予測に関する情報の生成とレイヤ間予測の制御を行う。
次に、図42のフローチャートを参照して、そのレイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理の流れの例を説明する。図42においては、第1の実施の形態の、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法とを組み合わせた場合の処理の流れを説明する。
レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が開始されると、従属判定部171は、ステップS161において、カレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属するか否かを判定する。独立している(!dependent_slice_segment_flag)と判定された場合、処理はステップS162に進む。
ステップS162において、スライスタイプ判定部172は、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスであるか否かを判定する。カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスである(slice_type == P || slice_type == B)と判定された場合、処理はステップS163に進む。
ステップS163において、レイヤ判定部173は、カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されているか否かが判定される。カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されている(nuh_layer_id > 0 && NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] >0)と判定された場合、処理はステップS164に進む。
ステップS164において、レイヤ間予測可否情報生成部181は、レイヤ間予測に関する情報として、レイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)を生成する。
ステップS165において、参照レイヤ数情報生成部182は、レイヤ間予測に関する情報として、参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を生成する。
ステップS166において、インター予測可否情報生成部184は、レイヤ間予測に関する情報として、インター予測可否情報(inter_layer_sample_pred_only_flag)を生成する。
ステップS167において、参照レイヤ数判定部174は、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数(アクティブレイヤ数情報)とが互いに同一であるか否かが判定される。互いに同一でない(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] != NumActiveRefLayerPics)と判定された場合、処理はステップS168に進む。
ステップS168において、参照レイヤ指定情報生成部183は、レイヤ間予測に関する情報として、参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を生成する。ステップS168の処理が終了すると、処理はステップS169に進む。
また、ステップS167において、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数(アクティブレイヤ数情報)とが互いに同一であると判定された場合、ステップS168の処理が省略され、処理はステップS169に進む。
ステップS169において、予測制御部152は、ヘッダ情報生成部151がレイヤ間予測に関する情報として以上のように設定した各パラメータに基づいてレイヤ間予測を制御する。ステップS169の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が終了する。
また、ステップS161において、カレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属すると判定された場合、処理はステップS170に進む。また、ステップS162において、カレントスライスのスライスタイプがIスライスであると判定された場合、処理はステップS170に進む。さらに、ステップS163において、カレントスライスのレイヤがベースレイヤであるか、または、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されていないと判定された場合、処理はステップS170に進む。
ステップS170において、予測制御部152は、レイヤ間予測を禁止し、イントラ予測およびインター予測においてレイヤ間予測が行われないように制御する。
ステップS170の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が終了する。
以上のように各処理を実行することにより、画像符号化装置100は、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送を抑制し、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、<スライスタイプによる制御>において説明した方法のみを行う場合、図42のステップS167の処理を省略するようにすればよい。また、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法のみを行う場合、図42のステップS162の処理を省略するようにすればよい。
<レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理の流れ2>
次に、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理の他の例として、図43のフローチャートを参照して、第1の実施の形態の、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせた場合の例を説明する。
レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が開始されると、セット数情報生成部185は、ステップS181において、シーケンスパラメータセットとしてセット数情報(num_inter_layer_ref_pic_sets)を生成する。
ステップS182において、パラメータセット生成部186は、シーケンスパラメータセットとしてレイヤ間参照ピクチャセット(inter_layer_ref_pic_set(i))を生成する。
ステップS183において、参照レイヤ数情報生成部187は、レイヤ間参照ピクチャセットとして参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を生成する。
ステップS184において、参照レイヤ指定情報生成部188は、レイヤ間参照ピクチャセットとして参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を生成する。
ステップS185において、スライスタイプ判定部172およびレイヤ判定部173は、カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスであるか否かを判定する。カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり(Layer_id > 0)、かつ、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスである(slice_type == P || slice_type == B)と判定された場合、処理はステップS186に進む。
ステップS186において、レイヤ間予測可否判定部175は、カレントスライスにおいてビデオパラメータセット(VPS)のシンタクスからレイヤ間予測が可能であるか否かを判定する。可能であると判定された場合、処理はステップS187に進む。
ステップS187において、レイヤ間参照ピクチャセット判定部176は、シーケンスパラメータセット(SPS)のパラメータ、すなわち、レイヤ間参照ピクチャセットから予測するか否かを判定する。予測すると判定された場合、処理はステップS188に進む。
ステップS188において、セット数判定部177は、レイヤ間参照ピクチャセットが複数存在するか否かを判定する。複数存在する(num_inter_layer_ref_pic_sets > 1)と判定された場合、処理はステップS189に進む。
ステップS189において、インデックス設定部180は、スライスヘッダとして、カレントスライスに適用するレイヤ間参照ピクチャセットを指定するインデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)を生成する。ステップS189の処理が終了すると、処理はステップS192に進む。
また、ステップS188において、レイヤ間参照ピクチャセットが単数であると判定された場合、処理はステップS190に進む。
ステップS190において、インデックス設定部180は、インデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)の生成を省略する。この場合、インデックスがなくても、0番目のパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)しか存在しないため、そのレイヤ間参照ピクチャセットが指定される。ステップS190の処理が終了すると、処理はステップS192に進む。
また、ステップS187において、シーケンスパラメータセット(SPS)のパラメータ、すなわち、レイヤ間参照ピクチャセットを利用しないと判定された場合、処理はステップS191に進む。
ステップS191においてパラメータセット生成部179は、スライスヘッダとして、カレントピクチャ専用のパラメータセット(カレントピクチャ専用のレイヤ間参照ピクチャセット)(inter_layer_ref_pic_set(num_inter_layer_ref_pic_sets))を生成する。ステップS191の処理が終了すると、処理はステップS192に進む。
ステップS192において、予測制御部152は、以上のように設定したパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)に基づいて、レイヤ間予測を制御する。ステップS192の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が終了する。
また、ステップS185において、レイヤ判定部173が、カレントスライスのレイヤがベースレイヤであると判定するか、若しくは、カレントスライスのスライスタイプがIスライスであると判定された場合、処理はステップS193に進む。さらに、ステップS186において、カレントスライスにおいてビデオパラメータセット(VPS)のシンタクスからレイヤ間予測が可能であると判定された場合、処理はステップS193に進む。
ステップS193において、予測制御部152は、レイヤ間予測を禁止し、イントラ予測およびインター予測においてレイヤ間予測が行われないように制御する。
ステップS193の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が終了する。
以上のように各処理を実行することにより、画像符号化装置100は、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送を抑制し、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、図43の例においては、図42のステップS167の処理のような参照レイヤ数の比較をセマンティクスにおいて行うようにしているため、その説明を省略している。もちろん、図42と同様にシンタクスによってこの比較を行うようにしても良い。
また、<スライスタイプによる制御>において説明した方法を省略する場合、図43のステップS185の処理を省略するようにすればよい。また、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法を省略する場合、図43のステップS184若しくはステップS191の処理において、図42のステップS167の処理のような参照レイヤ数の比較を行わないようにすればよい。
なお、第1の実施の形態において説明したようにレイヤ間予測に関する情報の伝送を制御することができれば良いので、画像符号化装置100の構成や、画像符号化処理の処理内容は、上述した例に限定されない。
<3.第3の実施の形態>
<画像復号装置>
次に、以上のように符号化された符号化データの復号について説明する。図44は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である、画像符号化装置100に対応する画像復号装置の主な構成例を示すブロック図である。図44に示される画像復号装置200は、画像符号化装置100が生成した符号化データを、その符号化方法に対応する復号方法で復号する(すなわち、階層符号化された符号化データを階層復号する)。図44に示されるように、画像復号装置200は、逆多重化部201、ベースレイヤ画像復号部202、およびエンハンスメントレイヤ画像復号部203を有する。
逆多重化部201は、符号化側から伝送された、ベースレイヤ画像符号化ストリームとエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとが多重化された階層画像符号化ストリームを受け取り、それを逆多重化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームと、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを抽出する。ベースレイヤ画像復号部202は、逆多重化部201により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ベースレイヤ画像を得る。エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、逆多重化部201により抽出されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを復号し、エンハンスメントレイヤ画像を得る。
ベースレイヤ画像復号部202は、ベースレイヤの復号において得られたベースレイヤ復号画像を、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、ベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ復号画像を取得し、記憶する。エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、その記憶したベースレイヤ復号画像を参照画像として、エンハンスメントレイヤの復号における予測処理に用いる。
<ベースレイヤ画像復号部>
図45は、図44のベースレイヤ画像復号部202の主な構成例を示すブロック図である。図45に示されるようにベースレイヤ画像復号部202は、蓄積バッファ211、可逆復号部212、逆量子化部213、逆直交変換部214、演算部215、ループフィルタ216、画面並べ替えバッファ217、およびD/A変換部218を有する。また、ベースレイヤ画像復号部202は、フレームメモリ219、選択部220、イントラ予測部221、インター予測部222、および予測画像選択部223を有する。
蓄積バッファ211は、伝送されてきた符号化データ(逆多重化部201から供給されるベースレイヤ画像符号化ストリーム)を受け取る受け取り部でもある。蓄積バッファ211は、伝送されてきた符号化データを受け取って、蓄積し、所定のタイミングにおいてその符号化データを可逆復号部212に供給する。この符号化データには、予測モード情報などの復号に必要な情報が付加されている。
可逆復号部212は、蓄積バッファ211より供給された、可逆符号化部116により符号化された情報を、その符号化方式に対応する復号方式で復号する。可逆復号部212は、復号して得られた差分画像の量子化された係数データを、逆量子化部213に供給する。
また、可逆復号部212は、最適な予測モードにイントラ予測モードが選択されたかインター予測モードが選択されたかを判定し、その最適な予測モードに関する情報を、イントラ予測部221およびインター予測部222の内、選択されたと判定したモードの方に供給する。つまり、例えば、符号化側において最適な予測モードとしてイントラ予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報(イントラ予測モード情報)がイントラ予測部221に供給される。また、例えば、符号化側において最適な予測モードとしてインター予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報(インター予測モード情報)がインター予測部222に供給される。
さらに、可逆復号部212は、例えば、量子化行列や量子化パラメータ等の、逆量子化に必要な情報を、符号化データから抽出し、逆量子化部213に供給する。
逆量子化部213は、可逆復号部212により復号されて得られた量子化された係数データを、量子化部115の量子化方式に対応する方式で逆量子化する。なお、この逆量子化部213は、逆量子化部118と同様の処理部である。逆量子化部213は、得られた係数データ(直交変換係数)を逆直交変換部214に供給する。
逆直交変換部214は、逆量子化部213から供給される直交変換係数を、必要に応じて、直交変換部114の直交変換方式に対応する方式で逆直交変換する。なお、この逆直交変換部214は、逆直交変換部119と同様の処理部である。
この逆直交変換処理により差分画像の画像データが復元される。この復元された差分画像の画像データは、符号化側において直交変換される前の差分画像の画像データに対応する。以下においては、この、逆直交変換部214の逆直交変換処理により得られた、復元された差分画像の画像データを、復号残差データとも称する。逆直交変換部214は、この復号残差データを、演算部215に供給する。また、演算部215には、予測画像選択部223を介して、イントラ予測部221若しくはインター予測部222から予測画像の画像データが供給される。
演算部215は、この復号残差データと予測画像の画像データとを用いて、差分画像と予測画像とを加算した再構成画像の画像データを得る。この再構成画像は、演算部113により予測画像が減算される前の入力画像に対応する。演算部215は、その再構成画像をループフィルタ216に供給する。
ループフィルタ216は、供給された再構成画像に対して、デブロックフィルタ処理や適応ループフィルタ処理等を含むループフィルタ処理を適宜施して復号画像を生成する。例えば、ループフィルタ216は、再構成画像に対してデブロックフィルタ処理を行うことにより、ブロック歪を除去する。また、例えば、ループフィルタ216は、そのデブロックフィルタ処理結果(ブロック歪みの除去が行われた再構成画像)に対して、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いてループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行う。
なお、ループフィルタ216が行うフィルタ処理の種類は任意であり、上述した以外のフィルタ処理を行ってもよい。また、ループフィルタ216が、画像符号化装置から供給されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うようにしてもよい。さらに、ループフィルタ216が、このようなフィルタ処理を省略し、入力されたデータをフィルタ処理せずに出力することもできる。
ループフィルタ216は、フィルタ処理結果である復号画像(若しくは再構成画像)を画面並べ替えバッファ217およびフレームメモリ219に供給する。
画面並べ替えバッファ217は、復号画像についてフレームの順番の並べ替えを行う。すなわち、画面並べ替えバッファ217は、画面並べ替えバッファ112により符号化順に並べ替えられた各フレームの画像を、元の表示順に並べ替える。つまり、画面並べ替えバッファ217は、符号化順に供給される各フレームの復号画像の画像データを、その順に記憶し、符号化順に記憶した各フレームの復号画像の画像データを、表示順に読み出してD/A変換部218に供給する。D/A変換部218は、画面並べ替えバッファ217から供給された各フレームの復号画像(デジタルデータ)をD/A変換し、アナログデータとして、図示せぬディスプレイに出力し、表示させる。
フレームメモリ219は、供給される復号画像を記憶し、所定のタイミングにおいて、若しくは、イントラ予測部221やインター予測部222等の外部の要求に基づいて、記憶している復号画像を参照画像として、選択部220を介してイントラ予測部221やインター予測部222に供給する。
イントラ予測部221には、イントラ予測モード情報等が可逆復号部212から適宜供給される。イントラ予測部221は、イントラ予測部124において用いられたイントラ予測モード(最適イントラ予測モード)でイントラ予測を行い、予測画像を生成する。その際、イントラ予測部221は、選択部220を介してフレームメモリ219から供給される再構成画像の画像データを用いてイントラ予測を行う。すなわち、イントラ予測部221は、この再構成画像を参照画像(周辺画素)として利用する。イントラ予測部221は、生成した予測画像を予測画像選択部223に供給する。
インター予測部222には、最適予測モード情報や動き情報等が可逆復号部212から適宜供給される。インター予測部222は、可逆復号部212から取得された最適予測モード情報が示すインター予測モード(最適インター予測モード)で、フレームメモリ219から取得した復号画像(参照画像)を用いてインター予測を行い、予測画像を生成する。
予測画像選択部223は、イントラ予測部221から供給される予測画像またはインター予測部222から供給される予測画像を、演算部215に供給する。そして、演算部215においては、その予測画像と逆直交変換部214からの復号残差データ(差分画像情報)とが加算されて再構成画像が得られる。
また、フレームメモリ219は、記憶しているベースレイヤ復号画像を、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
<エンハンスメントレイヤ画像復号部>
図46は、図44のエンハンスメントレイヤ画像復号部203の主な構成例を示すブロック図である。図46に示されるように、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、図45のベースレイヤ画像復号部202と基本的に同様の構成を有する。
つまり、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、図46に示されるように、蓄積バッファ231、可逆復号部232、逆量子化部233、逆直交変換部234、演算部235、ループフィルタ236、画面並べ替えバッファ237、およびD/A変換部238を有する。また、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、フレームメモリ239、選択部240、イントラ予測部241、インター予測部242、および予測画像選択部243を有する。
これらの蓄積バッファ231乃至予測画像選択部243は、図45の蓄積バッファ211乃至予測画像選択部223に対応し、それぞれ、対応する処理部と同様の処理を行う。ただし、エンハンスメントレイヤ画像復号部203の各部は、ベースレイヤではなく、エンハンスメントレイヤ画像情報の符号化についての処理を行う。したがって、蓄積バッファ231乃至予測画像選択部243の処理の説明として、上述した図45の蓄積バッファ211乃至予測画像選択部223についての説明を適用することができるが、その場合、処理するデータは、ベースレイヤのデータではなく、エンハンスメントレイヤのデータであるものとする必要がある。また、データの入力元や出力先の処理部は、適宜、エンハンスメントレイヤ画像復号部203の、対応する処理部に置き換えて読む必要がある。
なお、フレームメモリ239は、ベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ復号画像を取得し、例えばロングターム参照フレーム等として記憶する。このベースレイヤ復号画像は、イントラ予測部241やインター予測部242による予測処理において、例えばレイヤ間予測の参照画像として利用される。
エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、さらに、ヘッダ情報解析部251および予測制御部252を有する。
可逆復号部232は、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームから例えばシーケンスパラメータセット(SPS)やスライスヘッダ等のヘッダ情報を取得する。このヘッダ情報には、符号化側から伝送されたレイヤ間予測に関する情報が含まれている可能性がある。可逆復号部232は、そのヘッダ情報をヘッダ情報解析部251に供給する。
ヘッダ情報解析部251は、可逆復号部232から供給されるヘッダ情報を取得すると、そのヘッダ情報を解析する。ヘッダ情報解析部251は、例えば、第1の実施の形態において説明した制御方法に応じた方法でヘッダ情報を解析することにより、そのヘッダ情報からレイヤ間予測に関する情報を得る。このレイヤ間予測に関する情報は、符号化側(例えば画像符号化装置100)から伝送された情報であり、符号化の際に行われたレイヤ間予測に関する情報である。したがって、復号側(画像復号装置200)においても、この情報に基づいてレイヤ間予測を制御することにより、符号化の際と同様にレイヤ間予測を行うことができ、正しく復号を行うことができる。
したがって、予測制御部252は、ヘッダ情報解析部251により行われた解析結果に基づいて、イントラ予測部241若しくはインター予測部242において行われるレイヤ間予測を制御する。
以上のように、画像復号装置200は、第1の実施の形態において説明した制御による符号化効率の改善を実現することができる。
<ヘッダ情報生成部>
図47は、図46のヘッダ情報解析部251が有する機能ブロックの構成例を示す図である。ヘッダ情報解析部251において、例えば、CPUがROM等から読み出したプログラムをRAMを用いて実行する等して、上述した処理が実行されることにより、図47に示される各種の機能ブロックが実現される。
図47に示されるように、ヘッダ情報解析部251は、スライスヘッダ解析部261、シーケンスパラメータセット解析部262、およびレイヤ間参照ピクチャセット解析部263を有する。
スライスヘッダ解析部261は、カレントスライスのスライスヘッダを解析する。シーケンスパラメータセット解析部262は、カレントスライスが属するシーケンス(カレントシーケンスとも称する)のシーケンスパラメータセット(SPS)を解析する。レイヤ間参照ピクチャセット解析部263は、シーケンスパラメータセット解析部262において定義される各レイヤ間参照ピクチャセットを構成するパラメータを解析する。
スライスヘッダ解析部261は、従属判定部271、スライスタイプ判定部272、レイヤ判定部273、参照レイヤ数判定部274、レイヤ間予測可否判定部275、レイヤ間参照ピクチャセット判定部276、セット数判定部277、レイヤ間予測関連シンタクス解析部278、パラメータセット解析部279、およびインデックス解析部280を有する。
従属判定部271は、カレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属するか否かを判定する。スライスタイプ判定部272は、カレントスライスのスライスタイプを判定する。レイヤ判定部273は、カレントスライスのレイヤに関する判定を行う。参照レイヤ数判定部274は、参照レイヤ数に関する判定を行う。レイヤ間予測可否判定部275は、レイヤ間予測が可能か否かを判定する。レイヤ間参照ピクチャセット判定部276は、事前に定義されたレイヤ間参照ピクチャセットを利用するか否かを判定する。セット数判定部277は、レイヤ間参照ピクチャセットの数を判定する。レイヤ間予測関連シンタクス解析部278は、レイヤ間予測に関する情報の解析に関する処理を行う。パラメータセット解析部279は、レイヤ間参照ピクチャセットの解析に関する処理を行う。インデックス解析部280は、レイヤ間参照ピクチャセットを指定するインデックスの解析に関する処理を行う。
レイヤ間予測関連シンタクス解析部278は、レイヤ間予測可否情報解析部281、参照レイヤ数情報解析部282、参照レイヤ指定情報解析部283、およびインター予測可否情報解析部284を有する。
レイヤ間予測可否情報解析部281は、レイヤ間予測可否情報の解析に関する処理を行う。参照レイヤ数情報解析部282は、参照レイヤ数情報の解析に関する処理を行う。参照レイヤ指定情報解析部283は、参照レイヤ指定情報の解析に関する処理を行う。インター予測可否情報解析部284は、インター予測可否情報の解析に関する処理を行う。
シーケンスパラメータセット解析部262は、セット数情報解析部285およびパラメータセット解析部286を有する。
セット数情報解析部285は、シーケンスパラメータセットにおいて定義するパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)の数を示すセット数情報を解析する。パラメータセット解析部286は、パラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)を解析する。
レイヤ間参照ピクチャセット解析部263は、参照レイヤ数情報解析部287および参照レイヤ指定情報解析部288を有する。
参照レイヤ数情報解析部287は、参照レイヤ数情報解析部282と同様の処理を行う処理部であり、そのレイヤ間参照ピクチャセットにおける参照レイヤ数情報を解析する。参照レイヤ指定情報解析部288は、参照レイヤ指定情報解析部283と同様の処理を行う処理部であり、そのレイヤ間参照ピクチャセットにおいて指定する参照レイヤを全て示す参照レイヤ指定情報を解析する。
なお、第1の実施の形態において説明したように、レイヤ間予測に関する情報の制御方法として複数の方法があり、また、それらを組み合わせて使用することもできる。したがって、図47に示される機能ブロックの内、採用する制御方法またはその組み合わせにおいて不要な機能ブロックは、適宜省略することができる。
<画像復号処理の流れ>
次に、以上のような画像復号装置200により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図48のフローチャートを参照して、画像復号処理の流れの例を説明する。
画像復号処理が開始されると、ステップS201において、画像復号装置200の逆多重化部201は、符号化側から伝送される階層画像符号化ストリームをレイヤ毎に逆多重化する。
ステップS202において、ベースレイヤ画像復号部202は、ステップS201の処理により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号する。ベースレイヤ画像復号部202は、この復号により生成されたベースレイヤ画像のデータを出力する。
ステップS203において、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、ステップS201の処理により抽出されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを復号する。エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、この復号により生成されたエンハンスメントレイヤ画像のデータを出力する。
ステップS203の処理が終了すると、画像復号装置200は、画像復号処理を終了する。このような画像復号処理により1ピクチャが処理される。したがって、画像復号装置200は、このような画像復号処理を階層化された動画像データの各ピクチャについて繰り返し実行する。
<ベースレイヤ復号処理の流れ>
次に、図48のステップS202において実行されるベースレイヤ復号処理の流れの例を、図49のフローチャートを参照して説明する。
ベースレイヤ復号処理が開始されると、ステップS221において、ベースレイヤ画像復号部202の蓄積バッファ211は、伝送されてきたベースレイヤ符号化ストリームを蓄積する。ステップS222において、可逆復号部212は、蓄積バッファ211から供給されるベースレイヤ符号化ストリームを復号する。すなわち、可逆符号化部116により符号化されたIスライス、Pスライス、並びにBスライス等の画像データが復号される。このとき、ヘッダ情報などのビットストリームに含められた画像データ以外の各種情報も復号される。
ステップS223において、逆量子化部213は、ステップS222の処理により得られた、量子化された係数を逆量子化する。
ステップS224において、逆直交変換部214は、ステップS223において逆量子化された係数を逆直交変換する。
ステップS225において、イントラ予測部221およびインター予測部222は、予測処理を行い、予測画像を生成する。つまり、可逆復号部212において判定された、符号化の際に適用された予測モードで予測処理が行われる。より具体的には、例えば、符号化の際にイントラ予測が適用された場合、イントラ予測部221が、符号化の際に最適とされたイントラ予測モードで予測画像を生成する。また、例えば、符号化の際にインター予測が適用された場合、インター予測部222が、符号化の際に最適とされたインター予測モードで予測画像を生成する。
ステップS226において、演算部215は、ステップS225において逆直交変換されて得られた差分画像に、ステップS226において生成された予測画像を加算する。これにより再構成画像の画像データが得られる。
ステップS227において、ループフィルタ216は、ステップS227の処理により得られた再構成画像の画像データに対して、デブロックフィルタ処理や適応ループフィルタ処理等を含むループフィルタ処理を適宜行う。
ステップS228において、画面並べ替えバッファ217は、ステップS227においてフィルタ処理された再構成画像の各フレームの並べ替えを行う。すなわち、符号化の際に並べ替えられたフレームの順序が、元の表示の順序に並べ替えられる。
ステップS229において、D/A変換部218は、ステップS228においてフレームの順序が並べ替えられた画像をD/A変換する。この画像が図示せぬディスプレイに出力され、画像が表示される。
ステップS230において、フレームメモリ219は、ステップS227の処理により得られた復号画像やステップS226の処理により得られた再構成画像等のデータを記憶する。
ステップS231において、フレームメモリ219は、以上のようなベースレイヤの復号処理において得られたベースレイヤ復号画像を、エンハンスメントレイヤの復号処理に供給する。
ステップS231の処理が終了すると、ベースレイヤ復号処理が終了し、処理は図48に戻る。
<エンハンスメントレイヤ復号処理の流れ>
次に、図48のステップS203において実行されるエンハンスメントレイヤ復号処理の流れの例を、図50のフローチャートを参照して説明する。
エンハンスメントレイヤ復号処理が開始されると、エンハンスメントレイヤ画像復号部203のヘッダ情報解析部251は、ステップS241において、可逆復号部232により符号化ストリームから抽出されたヘッダ情報を解析する。予測制御部252は、その解析結果に従ってレイヤ間予測を制御する。
ステップS242において、フレームメモリ239は、供給されたベースレイヤ復号画像を取得し、記憶する。例えば、フレームメモリ239は、このベースレイヤ復号画像をロングターム参照フレームに格納する。
ステップS243乃至ステップS252の各処理は、図49のステップS221乃至ステップS230の各処理に対応し、それらの処理と基本的に同様に実行される。ただし、図49のステップS221乃至ステップS230の各処理がベースレイヤに対して行われたのに対し、ステップS243乃至ステップS252の各処理は、エンハンスメントレイヤに対して行われる。また、ステップS247においては、予測画像を生成するための予測処理としてレイヤ間予測が行われる場合もある。
ステップS252の処理が終了すると、エンハンスメントレイヤ復号処理が終了し、処理は、図48に戻る。
<レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理の流れ>
ヘッダ情報解析部251および予測制御部252は、図50のステップS241においてレイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理を行い、第1の実施の形態において説明したように、ヘッダ情報(スライスヘッダ)に含まれるレイヤ間予測に関する情報の解析とレイヤ間予測の制御を行う。
次に、図51のフローチャートを参照して、そのレイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理の流れの例を説明する。図51においては、第1の実施の形態の、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法とを組み合わせた場合の処理の流れを説明する。
レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理が開始されると、従属判定部271は、ステップS261において、スライスヘッダに含まれる従属情報(dependent_slice_segment_flag)の値を解析し、カレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属するか否かを判定する。独立している(!dependent_slice_segment_flag)と判定された場合、処理はステップS262に進む。
ステップS262において、スライスタイプ判定部272は、スライスヘッダに含まれるスライスタイプ(slice_type)を解析し、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスであるか否かを判定する。カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスである(slice_type == P || slice_type == B)と判定された場合、処理はステップS263に進む。
ステップS263において、レイヤ判定部273は、スライスヘッダに含まれるレイヤ情報(nuh_layer_id)と、ビデオパラメータセット(VPS)に含まれるカレントスライスのレイヤに関する参照レイヤ情報(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id])とを解析し、カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されているか否かが判定される。カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されている(nuh_layer_id > 0 && NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] >0)と判定された場合、処理はステップS264に進む。
ステップS264において、レイヤ間予測可否情報解析部281は、スライスヘッダに含まれるレイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、そのレイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)を取得する。
ステップS265において、参照レイヤ数情報解析部282は、スライスヘッダに含まれる参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、その参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を取得する。
ステップS266において、インター予測可否情報解析部284は、スライスヘッダに含まれるインター予測可否情報(inter_layer_sample_pred_only_flag)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、そのインター予測可否情報(inter_layer_sample_pred_only_flag)を取得する。
ステップS267において、参照レイヤ数判定部274は、ビデオパラメータセット(VPS)に含まれるカレントスライスのレイヤに関する参照レイヤ情報(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id])とスライスヘッダに含まれるアクティブレイヤ数情報(!= NumActiveRefLayerPics)とを解析し、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数とが互いに同一であるか否かが判定される。互いに同一でない(NumDirectRefLayers[nuh_layer_id] != NumActiveRefLayerPics)と判定された場合、処理はステップS268に進む。
ステップS268において、参照レイヤ指定情報解析部283は、スライスヘッダに含まれる参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、その参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を取得する。ステップS268の処理が終了すると、処理はステップS269に進む。
また、ステップS267において、ビデオパラメータセット(VPS)で規定された参照レイヤの数とスライスヘッダで規定された参照レイヤの数とが互いに同一であると判定された場合、ステップS268の処理が省略され、処理はステップS269に進む。
ステップS269において、予測制御部252は、ヘッダ情報解析部251がレイヤ間予測に関する情報として以上のように取得した各パラメータに基づいてレイヤ間予測を制御する。ステップS269の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理が終了する。
また、ステップS261においてカレントスライスのスライスヘッダが他のスライスに従属すると判定された場合、ステップS262においてカレントスライスのスライスタイプがIスライスであると判定された場合、並びに、ステップS263においてカレントスライスのレイヤがベースレイヤであるか、または、ビデオパラメータセット(VPS)においてレイヤ1以上まで参照することができると規定されていないと判定された場合、符号化においてレイヤ間予測は行われていないので、レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理が終了する。
以上のように各処理を実行することにより、画像復号装置200は、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送の抑制を実現し、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、<スライスタイプによる制御>において説明した方法のみを行う場合、図51のステップS267の処理を省略するようにすればよい。また、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法のみを行う場合、図51のステップS262の処理を省略するようにすればよい。
<レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理の流れ2>
次に、レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理の他の例として、図52のフローチャートを参照して、第1の実施の形態の、<スライスタイプによる制御>において説明した方法と、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法と、<参照パターンの事前定義>において説明した方法とを組み合わせた場合の例を説明する。
レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理が開始されると、セット数情報解析部285は、ステップS281において、シーケンスパラメータセットのセット数情報(num_inter_layer_ref_pic_sets)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、そのセット数情報(num_inter_layer_ref_pic_sets)を取得する。
ステップS282において、パラメータセット解析部286は、シーケンスパラメータセットのレイヤ間参照ピクチャセット(inter_layer_ref_pic_set(i))を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、そのレイヤ間参照ピクチャセット(inter_layer_ref_pic_set(i))を取得する。
ステップS283において、参照レイヤ数情報解析部287は、各レイヤ間参照ピクチャセットの参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、その参照レイヤ数情報(num_inter_layer_ref_pics_minus1)を取得する。
ステップS284において、参照レイヤ指定情報解析部288は、各レイヤ間参照ピクチャセットの参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、その参照レイヤ指定情報(inter_layer_pred_layer_idc[i])を取得する。
ステップS285において、スライスタイプ判定部272およびレイヤ判定部273は、スライスヘッダに含まれるカレントスライスのレイヤ情報(Layer_id)とスライスタイプ(slice_type)を解析し、カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり、かつ、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスであるか否かを判定する。カレントスライスのレイヤがエンハンスメントレイヤであり(Layer_id > 0)、かつ、カレントスライスのスライスタイプがPスライス若しくはBスライスである(slice_type == P || slice_type == B)と判定された場合、処理はステップS286に進む。
ステップS286において、レイヤ間予測可否情報解析部281は、スライスヘッダに含まれるレイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)を解析し、レイヤ間予測に関する情報として、そのレイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)を取得する。そして、レイヤ間予測可否判定部275は、そのレイヤ間予測可否情報(inter_layer_pred_enabled_flag)に基づいて、カレントスライスにおいてビデオパラメータセット(VPS)のシンタクスからレイヤ間予測が可能であるか否かを判定する。可能であると判定された場合、処理はステップS287に進む。
ステップS287において、レイヤ間参照ピクチャセット判定部276は、スライスヘッダに含まれるレイヤ間参照ピクチャセット可否情報(inter_layer_ref_pic_set_sps_flag)の値に基づいて、シーケンスパラメータセット(SPS)のパラメータ、すなわち、レイヤ間参照ピクチャセットから予測するか否かを判定する。予測すると判定された場合、処理はステップS288に進む。
ステップS288において、セット数判定部277は、ステップS281において取得したセット数(num_inter_layer_ref_pic_sets)に基づいて、レイヤ間参照ピクチャセットが複数存在するか否かを判定する。複数存在する(num_inter_layer_ref_pic_sets > 1)と判定された場合、処理はステップS289に進む。
ステップS289において、インデックス解析部280は、スライスヘッダに含まれるインデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)を解析し、そのインデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)を取得する。インデックス解析部280は、そのインデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)によりレイヤ間参照ピクチャセットを指定する。ステップS289の処理が終了すると、処理はステップS292に進む。
また、ステップS288において、レイヤ間参照ピクチャセットが単数であると判定された場合、処理はステップS290に進む。
ステップS290において、インデックス解析部280は、インデックス(inter_layer_ref_pic_set_idx)の解析を省略する。この場合、インデックスがなくても、0番目のパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)しか存在しないため、インデックス解析部280は、インデックス無しに0番目のレイヤ間参照ピクチャセットを指定する。ステップS290の処理が終了すると、処理はステップS292に進む。
また、ステップS287において、シーケンスパラメータセット(SPS)のパラメータ、すなわち、レイヤ間参照ピクチャセットを利用しないと判定された場合、処理はステップS291に進む。
ステップS291においてパラメータセット解析部279は、スライスヘッダに含まれるカレントピクチャ専用のパラメータセット(カレントピクチャ専用のレイヤ間参照ピクチャセット)(inter_layer_ref_pic_set(num_inter_layer_ref_pic_sets))を取得する。ステップS291の処理が終了すると、処理はステップS292に進む。
ステップS292において、予測制御部252は、以上のように設定したパラメータセット(レイヤ間参照ピクチャセット)に基づいて、レイヤ間予測を制御する。ステップS292の処理が終了すると、レイヤ間予測関連ヘッダ情報解析処理が終了する。
また、ステップS285において、レイヤ判定部273が、カレントスライスのレイヤがベースレイヤであると判定するか、若しくは、カレントスライスのスライスタイプがIスライスであると判定された場合、または、ステップS286において、カレントスライスにおいてビデオパラメータセット(VPS)のシンタクスからレイヤ間予測が可能でないと判定された場合、レイヤ間予測は行われないので、レイヤ間予測関連ヘッダ情報生成処理が終了する。
以上のように各処理を実行することにより、画像復号装置200は、レイヤ間予測に関する情報の不要な伝送の抑制を実現し、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、図52の例においては、図51のステップS267の処理のような参照レイヤ数の比較をセマンティクスにおいて行うようにしているため、その説明を省略している。もちろん、図52と同様にシンタクスによってこの比較を行うようにしても良い。
また、<スライスタイプによる制御>において説明した方法を省略する場合、図52のステップS285の処理を省略するようにすればよい。また、<参照レイヤ数による制御>において説明した方法を省略する場合、図52のステップS284若しくはステップS291の処理において、図51のステップS267の処理のような参照レイヤ数の比較を行わないようにすればよい。
なお、第1の実施の形態において説明したようにレイヤ間予測に関する情報の伝送を制御することができれば良いので、画像復号装置200の構成や、画像復号処理の処理内容は、上述した例に限定されない。
本技術の適用範囲は、スケーラブルな符号化・復号方式に基づくあらゆる画像符号化装置及び画像復号装置に適用することができる。
また、本技術は、例えば、MPEG、H.26x等の様に、離散コサイン変換等の直交変換と動き補償によって圧縮された画像情報(ビットストリーム)を、衛星放送、ケーブルテレビジョン、インターネット、または携帯電話機などのネットワークメディアを介して受信する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。また、本技術は、光、磁気ディスク、およびフラッシュメモリのような記憶メディア上で処理する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。
<4.第4の実施の形態>
<多視点画像符号化・多視点画像復号への適用>
上述した一連の処理は、多視点画像符号化・多視点画像復号に適用することができる。図53は、多視点画像符号化方式の一例を示す。
図53に示されるように、多視点画像は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む。この多視点画像の複数のビューは、他のビューの情報を利用せずに自身のビューの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースビューと、他のビューの情報を利用して符号化・復号を行うノンベースビューとによりなる。ノンベースビューの符号化・復号は、ベースビューの情報を利用するようにしても良いし、他のノンベースビューの情報を利用するようにしてもよい。
つまり、多視点画像符号化・復号におけるビュー間の参照関係は、階層画像符号化・復号におけるレイヤ間の参照関係と同様である。したがって、図53のような多視点画像の符号化・復号において、図1乃至図52を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<多視点画像符号化装置>
図54は、上述した多視点画像符号化を行う多視点画像符号化装置を示す図である。図54に示されるように、多視点画像符号化装置600は、符号化部601、符号化部602、および多重化部603を有する。
符号化部601は、ベースビュー画像を符号化し、ベースビュー画像符号化ストリームを生成する。符号化部602は、ノンベースビュー画像を符号化し、ノンベースビュー画像符号化ストリームを生成する。多重化部603は、符号化部601において生成されたベースビュー画像符号化ストリームと、符号化部602において生成されたノンベースビュー画像符号化ストリームとを多重化し、多視点画像符号化ストリームを生成する。
このような多視点画像符号化装置600において、図1乃至図52を参照して上述した階層符号化への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<多視点画像復号装置>
図55は、上述した多視点画像復号を行う多視点画像復号装置を示す図である。図55に示されるように、多視点画像復号装置610は、逆多重化部611、復号部612、および復号部613を有する。
逆多重化部611は、ベースビュー画像符号化ストリームとノンベースビュー画像符号化ストリームとが多重化された多視点画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースビュー画像符号化ストリームと、ノンベースビュー画像符号化ストリームとを抽出する。復号部612は、逆多重化部611により抽出されたベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ベースビュー画像を得る。復号部613は、逆多重化部611により抽出されたノンベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ノンベースビュー画像を得る。
この多視点画像復号装置610において、図1乃至図52を参照して上述した階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<5.第5の実施の形態>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図56は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図56に示されるコンピュータ800において、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803は、バス804を介して相互に接続されている。
バス804にはまた、入出力インタフェース810も接続されている。入出力インタフェース810には、入力部811、出力部812、記憶部813、通信部814、およびドライブ815が接続されている。
入力部811は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部812は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部813は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部814は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ815は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア821を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU801が、例えば、記憶部813に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース810およびバス804を介して、RAM803にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM803にはまた、CPU801が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
コンピュータ(CPU801)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ815に装着することにより、入出力インタフェース810を介して、記憶部813にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部814で受信し、記憶部813にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM802や記憶部813に、あらかじめインストールしておくこともできる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
上述した実施形態に係る画像符号化装置及び画像復号装置は、例えば、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信などにおける送信機若しくは受信機、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録する記録装置、又は、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置などの様々な電子機器に応用され得る。以下、4つの応用例について説明する。
<6.第6の実施の形態>
<第1の応用例:テレビジョン受像機>
図57は、上述した実施形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示している。テレビジョン装置900は、アンテナ901、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、表示部906、音声信号処理部907、スピーカ908、外部インタフェース(I/F)部909、制御部910、ユーザインタフェース(I/F)部911、及びバス912を備える。
チューナ902は、アンテナ901を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ902は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ903へ出力する。即ち、チューナ902は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ904へ出力する。また、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)などの補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部910に供給する。なお、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
デコーダ904は、デマルチプレクサ903から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ904は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部905へ出力する。また、デコーダ904は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部907へ出力する。
映像信号処理部905は、デコーダ904から入力される映像データを再生し、表示部906に映像を表示させる。また、映像信号処理部905は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部906に表示させてもよい。また、映像信号処理部905は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部905は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
表示部906は、映像信号処理部905から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)など)の映像面上に映像又は画像を表示する。
音声信号処理部907は、デコーダ904から入力される音声データについてD/A変換及び増幅などの再生処理を行い、スピーカ908から音声を出力させる。また、音声信号処理部907は、音声データについてノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。
外部インタフェース部909は、テレビジョン装置900と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース部909を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ904により復号されてもよい。即ち、外部インタフェース部909もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
制御部910は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置900の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部911から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置900の動作を制御する。
ユーザインタフェース部911は、制御部910と接続される。ユーザインタフェース部911は、例えば、ユーザがテレビジョン装置900を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部911は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部910へ出力する。
バス912は、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、音声信号処理部907、外部インタフェース部909及び制御部910を相互に接続する。
このように構成されたテレビジョン装置900において、デコーダ904は、上述した実施形態に係る画像復号装置200の機能を有する。それにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
<第2の応用例:携帯電話機>
図58は、上述した実施形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示している。携帯電話機920は、アンテナ921、通信部922、音声コーデック923、スピーカ924、マイクロホン925、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、制御部931、操作部932、及びバス933を備える。
アンテナ921は、通信部922に接続される。スピーカ924及びマイクロホン925は、音声コーデック923に接続される。操作部932は、制御部931に接続される。バス933は、通信部922、音声コーデック923、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、及び制御部931を相互に接続する。
携帯電話機920は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録などの動作を行う。
音声通話モードにおいて、マイクロホン925により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック923に供給される。音声コーデック923は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック923は、圧縮後の音声データを通信部922へ出力する。通信部922は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック923へ出力する。音声コーデック923は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部931は、操作部932を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部931は、文字を表示部930に表示させる。また、制御部931は、操作部932を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部922へ出力する。通信部922は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部931へ出力する。制御部931は、表示部930に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
記録再生部929は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリなどの内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカードなどの外部装着型の記憶媒体であってもよい。
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部926は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、カメラ部926から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
さらに、画像表示モードにおいて、記録再生部929は、記憶媒体に記録されている符号化ストリームを読み出して画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、記録再生部929から入力される符号化ストリームを復号し、画像データを表示部930に供給し、その画像を表示させる。
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部928は、画像処理部927により符号化された映像ストリームと、音声コーデック923から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部922へ出力する。通信部922は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部928へ出力する。多重分離部928は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部927、音声ストリームを音声コーデック923へ出力する。画像処理部927は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部930に供給され、表示部930により一連の画像が表示される。音声コーデック923は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
このように構成された携帯電話機920において、画像処理部927は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100や画像復号装置200の機能を有する。それにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
<第3の応用例:記録再生装置>
図59は、上述した実施形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示している。記録再生装置940は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置940は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置940は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置940は、音声データおよび映像データを復号する。
記録再生装置940は、チューナ941、外部インタフェース(I/F)部942、エンコーダ943、HDD(Hard Disk Drive)944、ディスクドライブ945、セレクタ946、デコーダ947、OSD(On-Screen Display)948、制御部949、およびユーザインタフェース(I/F)部950を備える。
チューナ941は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ941は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。即ち、チューナ941は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
外部インタフェース部942は、記録再生装置940と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース部942は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェースなどであってよい。例えば、外部インタフェース部942を介して受信される映像データおよび音声データは、エンコーダ943へ入力される。即ち、外部インタフェース部942は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
エンコーダ943は、外部インタフェース部942から入力される映像データおよび音声データが符号化されていない場合に、映像データおよび音声データを符号化する。そして、エンコーダ943は、符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。
HDD944は、映像および音声などのコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラムおよびその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD944は、映像および音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
ディスクドライブ945は、装着されている記録媒体へのデータの記録および読み出しを行う。ディスクドライブ945に装着される記録媒体は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)ディスク(DVD-Video、DVD-RAM(DVD - Random Access Memory)、DVD-R(DVD - Recordable)、DVD-RW(DVD - Rewritable)、DVD+R(DVD + Recordable)、DVD+RW(DVD + Rewritable)等)又はBlu-ray(登録商標)ディスクなどであってよい。
セレクタ946は、映像および音声の記録時には、チューナ941又はエンコーダ943から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD944又はディスクドライブ945へ出力する。また、セレクタ946は、映像及び音声の再生時には、HDD944又はディスクドライブ945から入力される符号化ビットストリームをデコーダ947へ出力する。
デコーダ947は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ947は、生成した映像データをOSD948へ出力する。また、デコーダ947は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
OSD948は、デコーダ947から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD948は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を重畳してもよい。
制御部949は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置940の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部950から入力される操作信号に応じて、記録再生装置940の動作を制御する。
ユーザインタフェース部950は、制御部949と接続される。ユーザインタフェース部950は、例えば、ユーザが記録再生装置940を操作するためのボタンおよびスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部950は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部949へ出力する。
このように構成された記録再生装置940において、エンコーダ943は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100の機能を有する。また、デコーダ947は、上述した実施形態に係る画像復号装置200の機能を有する。それにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
<第4の応用例:撮像装置>
図60は、上述した実施形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示している。撮像装置960は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
撮像装置960は、光学ブロック961、撮像部962、信号処理部963、画像処理部964、表示部965、外部インタフェース(I/F)部966、メモリ部967、メディアドライブ968、OSD969、制御部970、ユーザインタフェース(I/F)部971、およびバス972を備える。
光学ブロック961は、撮像部962に接続される。撮像部962は、信号処理部963に接続される。表示部965は、画像処理部964に接続される。ユーザインタフェース部971は、制御部970に接続される。バス972は、画像処理部964、外部インタフェース部966、メモリ部967、メディアドライブ968、OSD969、および制御部970を相互に接続する。
光学ブロック961は、フォーカスレンズ及び絞り機構などを有する。光学ブロック961は、被写体の光学像を撮像部962の撮像面に結像させる。撮像部962は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部962は、画像信号を信号処理部963へ出力する。
信号処理部963は、撮像部962から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正などの種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部963は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部964へ出力する。
画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した符号化データを外部インタフェース部966またはメディアドライブ968へ出力する。また、画像処理部964は、外部インタフェース部966またはメディアドライブ968から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した画像データを表示部965へ出力する。また、画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを表示部965へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部964は、OSD969から取得される表示用データを、表示部965へ出力する画像に重畳してもよい。
OSD969は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部964へ出力する。
外部インタフェース部966は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース部966は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置960とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース部966には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスクなどのリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置960にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース部966は、LAN又はインターネットなどのネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。即ち、外部インタフェース部966は、撮像装置960における伝送部としての役割を有する。
メディアドライブ968に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリなどの、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ968に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
制御部970は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置960の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部971から入力される操作信号に応じて、撮像装置960の動作を制御する。
ユーザインタフェース部971は、制御部970と接続される。ユーザインタフェース部971は、例えば、ユーザが撮像装置960を操作するためのボタン及びスイッチなどを有する。ユーザインタフェース部971は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部970へ出力する。
このように構成された撮像装置960において、画像処理部964は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100や画像復号装置200の機能を有する。それにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
<7.第7の実施の形態>
<スケーラブル符号化の応用例:第1のシステム>
次に、スケーラブル符号化(階層(画像)符号化)されたスケーラブル符号化データの具体的な利用例について説明する。スケーラブル符号化は、例えば、図61に示される例のように、伝送するデータの選択のために利用される。
図61に示されるデータ伝送システム1000において、配信サーバ1002は、スケーラブル符号化データ記憶部1001に記憶されているスケーラブル符号化データを読み出し、ネットワーク1003を介して、パーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置に配信する。
その際、配信サーバ1002は、端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切な品質の符号化データを選択して伝送する。配信サーバ1002が不要に高品質なデータを伝送しても、端末装置において高画質な画像を得られるとは限らず、遅延やオーバフローの発生要因となる恐れがある。また、不要に通信帯域を占有したり、端末装置の負荷を不要に増大させたりしてしまう恐れもある。逆に、配信サーバ1002が不要に低品質なデータを伝送しても、端末装置において十分な画質の画像を得ることができない恐れがある。そのため、配信サーバ1002は、スケーラブル符号化データ記憶部1001に記憶されているスケーラブル符号化データを、適宜、端末装置の能力や通信環境等に対して適切な品質の符号化データとして読み出し、伝送する。
例えば、スケーラブル符号化データ記憶部1001は、スケーラブルに符号化されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011を記憶するとする。このスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011は、ベースレイヤとエンハンスメントレイヤの両方を含む符号化データであり、復号することにより、ベースレイヤの画像およびエンハンスメントレイヤの画像の両方を得ることができるデータである。
配信サーバ1002は、データを伝送する端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切なレイヤを選択し、そのレイヤのデータを読み出す。例えば、配信サーバ1002は、処理能力の高いパーソナルコンピュータ1004やタブレットデバイス1006に対しては、高品質なスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011をスケーラブル符号化データ記憶部1001から読み出し、そのまま伝送する。これに対して、例えば、配信サーバ1002は、処理能力の低いAV機器1005や携帯電話機1007に対しては、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011からベースレイヤのデータを抽出し、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011と同じコンテンツのデータであるが、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011よりも低品質なスケーラブル符号化データ(BL)1012として伝送する。
このようにスケーラブル符号化データを用いることにより、データ量を容易に調整することができるので、遅延やオーバフローの発生を抑制したり、端末装置や通信媒体の負荷の不要な増大を抑制したりすることができる。また、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011は、レイヤ間の冗長性が低減されているので、各レイヤの符号化データを個別のデータとする場合よりもそのデータ量を低減させることができる。したがって、スケーラブル符号化データ記憶部1001の記憶領域をより効率よく使用することができる。
なお、パーソナルコンピュータ1004乃至携帯電話機1007のように、端末装置には様々な装置を適用することができるので、端末装置のハードウエアの性能は、装置によって異なる。また、端末装置が実行するアプリケーションも様々であるので、そのソフトウエアの能力も様々である。さらに、通信媒体となるネットワーク1003も、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等、有線若しくは無線、またはその両方を含むあらゆる通信回線網を適用することができ、そのデータ伝送能力は様々である。さらに、他の通信等によっても変化する恐れがある。
そこで、配信サーバ1002は、データ伝送を開始する前に、データの伝送先となる端末装置と通信を行い、端末装置のハードウエア性能や、端末装置が実行するアプリケーション(ソフトウエア)の性能等といった端末装置の能力に関する情報、並びに、ネットワーク1003の利用可能帯域幅等の通信環境に関する情報を得るようにしてもよい。そして、配信サーバ1002が、ここで得た情報を基に、適切なレイヤを選択するようにしてもよい。
なお、レイヤの抽出は、端末装置において行うようにしてもよい。例えば、パーソナルコンピュータ1004が、伝送されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011を復号し、ベースレイヤの画像を表示しても良いし、エンハンスメントレイヤの画像を表示しても良い。また、例えば、パーソナルコンピュータ1004が、伝送されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011から、ベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1012を抽出し、記憶したり、他の装置に転送したり、復号してベースレイヤの画像を表示したりするようにしてもよい。
もちろん、スケーラブル符号化データ記憶部1001、配信サーバ1002、ネットワーク1003、および端末装置の数はいずれも任意である。また、以上においては、配信サーバ1002がデータを端末装置に伝送する例について説明したが、利用例はこれに限定されない。データ伝送システム1000は、スケーラブル符号化された符号化データを端末装置に伝送する際、端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切なレイヤを選択して伝送するシステムであれば、任意のシステムに適用することができる。
そして、図61のようなデータ伝送システム1000においても、図1乃至図52を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<スケーラブル符号化の応用例:第2のシステム>
また、スケーラブル符号化は、例えば、図62に示される例のように、複数の通信媒体を介する伝送のために利用される。
図62に示されるデータ伝送システム1100において、放送局1101は、地上波放送1111により、ベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を伝送する。また、放送局1101は、有線若しくは無線またはその両方の通信網よりなる任意のネットワーク1112を介して、エンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を伝送する(例えばパケット化して伝送する)。
端末装置1102は、放送局1101が放送する地上波放送1111の受信機能を有し、この地上波放送1111を介して伝送されるベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を受け取る。また、端末装置1102は、ネットワーク1112を介した通信を行う通信機能をさらに有し、このネットワーク1112を介して伝送されるエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を受け取る。
端末装置1102は、例えばユーザ指示等に応じて、地上波放送1111を介して取得したベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を、復号してベースレイヤの画像を得たり、記憶したり、他の装置に伝送したりする。
また、端末装置1102は、例えばユーザ指示等に応じて、地上波放送1111を介して取得したベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121と、ネットワーク1112を介して取得したエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122とを合成して、スケーラブル符号化データ(BL+EL)を得たり、それを復号してエンハンスメントレイヤの画像を得たり、記憶したり、他の装置に伝送したりする。
以上のように、スケーラブル符号化データは、例えばレイヤ毎に異なる通信媒体を介して伝送させることができる。したがって、負荷を分散させることができ、遅延やオーバフローの発生を抑制することができる。
また、状況に応じて、伝送に使用する通信媒体を、レイヤ毎に選択することができるようにしてもよい。例えば、データ量が比較的多いベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を帯域幅の広い通信媒体を介して伝送させ、データ量が比較的少ないエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を帯域幅の狭い通信媒体を介して伝送させるようにしてもよい。また、例えば、エンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を伝送する通信媒体を、ネットワーク1112とするか、地上波放送1111とするかを、ネットワーク1112の利用可能帯域幅に応じて切り替えるようにしてもよい。もちろん、任意のレイヤのデータについて同様である。
このように制御することにより、データ伝送における負荷の増大を、より抑制することができる。
もちろん、レイヤ数は任意であり、伝送に利用する通信媒体の数も任意である。また、データ配信先となる端末装置1102の数も任意である。さらに、以上においては、放送局1101からの放送を例に説明したが、利用例はこれに限定されない。データ伝送システム1100は、スケーラブル符号化された符号化データを、レイヤを単位として複数に分割し、複数の回線を介して伝送するシステムであれば、任意のシステムに適用することができる。
そして、このようなデータ伝送システム1100においても、図1乃至図52を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<スケーラブル符号化の応用例:第3のシステム>
また、スケーラブル符号化は、例えば、図63に示される例のように、符号化データの記憶に利用される。
図63に示される撮像システム1200において、撮像装置1201は、被写体1211を撮像して得られた画像データをスケーラブル符号化し、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1221として、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給する。
スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、撮像装置1201から供給されるスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221を、状況に応じた品質で記憶する。例えば、通常時の場合、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1221からベースレイヤのデータを抽出し、低品質でデータ量の少ないベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1222として記憶する。これに対して、例えば、注目時の場合、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、高品質でデータ量の多いスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221のまま記憶する。
このようにすることにより、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、必要な場合のみ、画像を高画質に保存することができるので、画質劣化による画像の価値の低減を抑制しながら、データ量の増大を抑制することができ、記憶領域の利用効率を向上させることができる。
例えば、撮像装置1201が監視カメラであるとする。撮像画像に監視対象(例えば侵入者)が写っていない場合(通常時の場合)、撮像画像の内容は重要でない可能性が高いので、データ量の低減が優先され、その画像データ(スケーラブル符号化データ)は、低品質に記憶される。これに対して、撮像画像に監視対象が被写体1211として写っている場合(注目時の場合)、その撮像画像の内容は重要である可能性が高いので、画質が優先され、その画像データ(スケーラブル符号化データ)は、高品質に記憶される。
なお、通常時であるか注目時であるかは、例えば、スケーラブル符号化データ記憶装置1202が、画像を解析することにより判定しても良い。また、撮像装置1201が判定し、その判定結果をスケーラブル符号化データ記憶装置1202に伝送するようにしてもよい。
なお、通常時であるか注目時であるかの判定基準は任意であり、判定基準とする画像の内容は任意である。もちろん、画像の内容以外の条件を判定基準とすることもできる。例えば、収録した音声の大きさや波形等に応じて切り替えるようにしてもよいし、所定の時間毎に切り替えるようにしてもよいし、ユーザ指示等の外部からの指示によって切り替えるようにしてもよい。
また、以上においては、通常時と注目時の2つの状態を切り替える例を説明したが、状態の数は任意であり、例えば、通常時、やや注目時、注目時、非常に注目時等のように、3つ以上の状態を切り替えるようにしてもよい。ただし、この切り替える状態の上限数は、スケーラブル符号化データのレイヤ数に依存する。
また、撮像装置1201が、スケーラブル符号化のレイヤ数を、状態に応じて決定するようにしてもよい。例えば、通常時の場合、撮像装置1201が、低品質でデータ量の少ないベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1222を生成し、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給するようにしてもよい。また、例えば、注目時の場合、撮像装置1201が、高品質でデータ量の多いベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221を生成し、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給するようにしてもよい。
以上においては、監視カメラを例に説明したが、この撮像システム1200の用途は任意であり、監視カメラに限定されない。
そして、図63のような撮像システム1200においても、図1乃至図52を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えばMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングにも適用することができる。つまり、このような複数の符号化データ間で、符号化や復号に関する情報を共有することもできる。
<8.第8の実施の形態>
<実施のその他の例>
以上において本技術を適用する装置やシステム等の例を説明したが、本技術は、これに限らず、このような装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
<ビデオセット>
本技術をセットとして実施する場合の例について、図64を参照して説明する。図64は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示している。
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
図64に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
図64に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、およびセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
図64の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ、ビデオプロセッサ、ブロードバンドモデム1333、およびRFモジュール1334を有する。
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
図64のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方若しくは両方)に関する機能を有するプロセッサである。
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(またはその両方)の広帯域通信により送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、その広帯域通信により受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。ブロードバンドモデム1333は、例えば、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データ、画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報を処理する。
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
なお、図64において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。図64に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、および増幅部1353を有する。
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナおよびその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
<ビデオプロセッサの構成例>
図65は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図64)の概略的な構成の一例を示している。
図65の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号およびオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータおよびオーディオデータを復号し、ビデオ信号およびオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
図65に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、およびメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408Aおよび1408B、並びに、オーディオESバッファ1409Aおよび1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、およびストリームバッファ1414を有する。
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(図64)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321(図64)等に出力する。
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、およびエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321等に供給する。
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給する。
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402または第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換および拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
また、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリーム若しくはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームまたはファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した画像符号化装置100や画像復号装置200の機能を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、上述した各実施形態に係る画像符号化装置や画像復号装置の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
<ビデオプロセッサの他の構成例>
図66は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図64)の概略的な構成の他の例を示している。図66の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能とを有する。
より具体的には、図66に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、および内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、およびビデオインタフェース1520を有する。
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
図66に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、およびシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531およびサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531およびサブCPU1532の動作を制御する。
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、またはデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321のモニタ装置等に出力する。
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化若しくは符号化データの復号を行うようにしてもよい。
図66に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、およびMPEG-DASH1551を有する。
MPEG-2 Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514若しくはコーデックエンジン1516)に供給される。
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322等向けのインタフェースである。
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
さらに、例えば、コネクティビティ1321等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した実施の形態に係る画像符号化装置100や画像復号装置200を実現する機能ブロックを有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、上述した各実施形態に係る画像符号化装置や画像復号装置の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
<装置への適用例>
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置900(図57)、携帯電話機920(図58)、記録再生装置940(図59)、撮像装置960(図60)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、ビデオセット1300は、例えば、図61のデータ伝送システム1000におけるパーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置、図62のデータ伝送システム1100における放送局1101および端末装置1102、並びに、図63の撮像システム1200における撮像装置1201およびスケーラブル符号化データ記憶装置1202等にも組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、または、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置900(図57)、携帯電話機920(図58)、記録再生装置940(図59)、撮像装置960(図60)、図61のデータ伝送システム1000におけるパーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置、図62のデータ伝送システム1100における放送局1101および端末装置1102、並びに、図63の撮像システム1200における撮像装置1201およびスケーラブル符号化データ記憶装置1202等に組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<9.第9の実施の形態>
<MPEG-DASHの応用例>
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えば、後述するMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングのコンテンツ再生システムにも適用することができる。
<コンテンツ再生システムの概要>
まず、図67乃至図69を参照し、本技術を適用可能なコンテンツ再生システムについて概略的に説明する。
以下では、まず、このような各実施形態において共通する基本構成について図67および図68を参照して説明する。
図67は、コンテンツ再生システムの構成を示した説明図である。図67に示したように、コンテンツ再生システムは、コンテンツサーバ1610、1611と、ネットワーク1612と、コンテンツ再生装置1620(クライアント装置)と、を備える。
コンテンツサーバ1610、1611とコンテンツ再生装置1620は、ネットワーク1612を介して接続されている。このネットワーク1612は、ネットワーク1612に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。
例えば、ネットワーク1612は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク1612は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
コンテンツサーバ1610は、コンテンツデータを符号化し、符号化データおよび符号化データのメタ情報を含むデータファイルを生成して記憶する。なお、コンテンツサーバ1610がMP4形式のデータファイルを生成する場合、符号化データは「mdat」に該当し、メタ情報は「moov」に該当する。
また、コンテンツデータは、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、文書、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトウエアなどであってもよい。
ここで、コンテンツサーバ1610は、同一コンテンツに関し、異なるビットレートで複数のデータファイルを生成する。またコンテンツサーバ1611は、コンテンツ再生装置1620からのコンテンツの再生要求に対して、コンテンツサーバ1610のURLの情報に、コンテンツ再生装置1620で当該URLに付加させるパラメータの情報を含めてコンテンツ再生装置1620に送信する。以下、図68を参照して当該事項について具体的に説明する。
図68は、図67のコンテンツ再生システムにおけるデータの流れを示した説明図である。コンテンツサーバ1610は、同一のコンテンツデータを異なるビットレートで符号化し、図68に示したように例えば2MbpsのファイルA、1.5MbpsのファイルB、1MbpsのファイルCを生成する。相対的に、ファイルAはハイビットレートであり、ファイルBは標準ビットレートであり、ファイルCはロービットレートである。
また、図68に示したように、各ファイルの符号化データは複数のセグメントに区分されている。例えば、ファイルAの符号化データは「A1」、「A2」、「A3」、・・・「An」というセグメントに区分されており、ファイルBの符号化データは「B1」、「B2」、「B3」、・・・「Bn」というセグメントに区分されており、ファイルCの符号化データは「C1」、「C2」、「C3」、・・・「Cn」というセグメントに区分されている。
なお、各セグメントはMP4のシンクサンプル(たとえば、AVC/H.264の映像符号化ではIDR−ピクチャ)で始まる単独で再生可能な1または2以上の映像符号化データおよび音声符号化データより構成サンプルで構成されてもよい。例えば、一秒30フレームのビデオデータが15フレーム固定長のGOP(Group of Picture)にて符号化されていた場合、各セグメントは、4GOPに相当する2秒分の映像ならびに音声符号化データであっても、20GOPに相当する10秒分の映像ならびに音声符号化データであってもよい。
また、各ファイルにおける配置順番が同一のセグメントによる再生範囲(コンテンツの先頭からの時間位置の範囲)は同一である。例えば、セグメント「A2」、セグメント「B2」、およびセグメント「C2」の再生範囲は同一であり、各セグメントが2秒分の符号化データである場合、セグメント「A2」、セグメント「B2」、およびセグメント「C2」の再生範囲は、いずれもコンテンツの2秒乃至4秒である。
コンテンツサーバ1610は、このような複数のセグメントから構成されるファイルA乃至ファイルCを生成すると、ファイルA乃至ファイルCを記憶する。そして、コンテンツサーバ1610は、図68に示したように、異なるファイルを構成するセグメントをコンテンツ再生装置1620に順次に送信し、コンテンツ再生装置1620は、受信したセグメントをストリーミング再生する。
ここで、本実施形態によるコンテンツサーバ1610は、各符号化データのビットレート情報およびアクセス情報を含むプレイリストファイル(以下、MPD:Media Presentation Description)をコンテンツ再生装置1620に送信し、コンテンツ再生装置1620は、MPDに基づき、複数のビットレートのうちのいずれかのビットレートを選択し、選択したビットレートに対応するセグメントの送信をコンテンツサーバ1610に要求する。
図67では、1つのコンテンツサーバ1610のみが図示されているが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。
図69は、MPDの具体例を示した説明図である。図69に示したように、MPDには、異なるビットレート(BANDWIDTH)を有する複数の符号化データに関するアクセス情報が含まれる。例えば、図69に示したMPDは、256Kbps、1.024Mbps、1.384Mbps、1.536Mbps、2.048Mbpsの各々の符号化データが存在することを示す共に、各符号化データに関するアクセス情報を含む。コンテンツ再生装置1620は、かかるMPDに基づき、ストリーミング再生する符号化データのビットレートを動的に変更することが可能である。
なお、図67にはコンテンツ再生装置1620の一例として携帯端末を示しているが、コンテンツ再生装置1620はかかる例に限定されない。例えば、コンテンツ再生装置1620は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。また、コンテンツ再生装置1620は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器などの情報処理装置であってもよい。
<コンテンツサーバ1610の構成>
以上、図67乃至図69を参照し、コンテンツ再生システムの概要を説明した。続いて、図70を参照し、コンテンツサーバ1610の構成を説明する。
図70は、コンテンツサーバ1610の構成を示した機能ブロック図である。図70に示したように、コンテンツサーバ1610は、ファイル生成部1631と、記憶部1632と、通信部1633と、を備える。
ファイル生成部1631は、コンテンツデータを符号化するエンコーダ1641を備え、同一のコンテンツでビットレートが異なる複数の符号化データ、および上述したMPDを生成する。例えば、ファイル生成部1631は、256Kbps、1.024Mbps、1.384Mbps、1.536Mbps、2.048Mbpsの各々の符号化データを生成した場合、図69に示したようなMPDを生成する。
記憶部1632は、ファイル生成部1631により生成されたビットレートが異なる複数の符号化データおよびMPDを記憶する。この記憶部1632は、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu-Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
通信部1633は、コンテンツ再生装置1620とのインタフェースであって、ネットワーク1612を介してコンテンツ再生装置1620と通信する。より詳細には、通信部1633は、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620と通信するHTTPサーバとしての機能を有する。例えば、通信部1633は、MPDをコンテンツ再生装置1620に送信し、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620からMPDに基づいて要求された符号化データを記憶部1632から抽出し、HTTPレスポンスとしてコンテンツ再生装置1620に符号化データを送信する。
<コンテンツ再生装置1620の構成>
以上、本実施形態によるコンテンツサーバ1610の構成を説明した。続いて、図71を参照し、コンテンツ再生装置1620の構成を説明する。
図71は、コンテンツ再生装置1620の構成を示した機能ブロック図である。図71に示したように、コンテンツ再生装置1620は、通信部1651と、記憶部1652と、再生部1653と、選択部1654と、現在地取得部1656と、を備える。
通信部1651は、コンテンツサーバ1610とのインタフェースであって、コンテンツサーバ1610に対してデータを要求し、コンテンツサーバ1610からデータを取得する。より詳細には、通信部1651は、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620と通信するHTTPクライアントとしての機能を有する。例えば、通信部1651は、HTTP Rangeを利用することにより、コンテンツサーバ1610からMPDや符号化データのセグメントを選択的に取得することができる。
記憶部1652は、コンテンツの再生に関する種々の情報を記憶する。例えば、通信部1651によりコンテンツサーバ1610から取得されるセグメントを順次にバッファリングする。記憶部1652にバッファリングされた符号化データのセグメントは、FIFO(First In First Out)で再生部1653へ順次に供給される。
また記憶部1652は、後述のコンテンツサーバ1611から要求された、MPDに記述されているコンテンツのURLへのパラメータの付加指示に基づき、通信部1651でURLにパラメータを付加して、そのURLへアクセスするための定義を記憶する。
再生部1653は、記憶部1652から供給されるセグメントを順次に再生する。具体的には、再生部1653は、セグメントのデコード、DA変換、およびレンダリングなどを行う。
選択部1654は、MPDに含まれるいずれのビットレートに対応する符号化データのセグメントを取得するかを同一コンテンツ内で順次に選択する。例えば、選択部1654がネットワーク1612の帯域に応じてセグメント「A1」、「B2」、「A3」を順次に選択すると、図68に示したように、通信部1651がコンテンツサーバ1610からセグメント「A1」、「B2」、「A3」を順次に取得する。
現在地取得部1656は、コンテンツ再生装置1620の現在の位置を取得するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)受信機などの現在地を取得するモジュールで構成されていても良い。また現在地取得部1656は、無線ネットワークを使用してコンテンツ再生装置1620の現在の位置を取得するものであってもよい。
<コンテンツサーバ1611の構成>
図72は、コンテンツサーバ1611の構成例を示す説明図である。図72に示したように、コンテンツサーバ1611は、記憶部1671と、通信部1672と、を備える。
記憶部1671は、MPDのURLの情報を記憶する。MPDのURLの情報は、コンテンツの再生を要求するコンテンツ再生装置1620からの求めに応じ、コンテンツサーバ1611からコンテンツ再生装置1620へ送信される。また記憶部1671は、コンテンツ再生装置1620へのMPDのURLの情報を提供する際に、当該MPDに記述されているURLにコンテンツ再生装置1620でパラメータを付加させる際の定義情報を記憶する。
通信部1672は、コンテンツ再生装置1620とのインタフェースであって、ネットワーク1612を介してコンテンツ再生装置1620と通信する。すなわち通信部1672は、コンテンツの再生を要求するコンテンツ再生装置1620から、MPDのURLの情報の要求を受信し、コンテンツ再生装置1620へMPDのURLの情報を送信する。通信部1672から送信されるMPDのURLには、コンテンツ再生装置1620でパラメータを付加させるための情報が含まれる。
コンテンツ再生装置1620でMPDのURLに付加させるパラメータについては、コンテンツサーバ1611およびコンテンツ再生装置1620で共有する定義情報で様々に設定することが出来る。一例を挙げれば、コンテンツ再生装置1620の現在位置、コンテンツ再生装置1620を使用するユーザのユーザID、コンテンツ再生装置1620のメモリサイズ、コンテンツ再生装置1620のストレージの容量などの情報を、コンテンツ再生装置1620でMPDのURLに付加させることが出来る。
以上のような構成のコンテンツ再生システムにおいて、図1乃至図52を参照して上述したような本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、コンテンツサーバ1610のエンコーダ1641は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100の機能を有する。また、コンテンツ再生装置1620の再生部1653は、上述した実施形態に係る画像復号装置200の機能を有する。それにより、画像における色差信号のフォーマットが4:2:2の場合のイントラ予測の符号化効率を向上させることができる。
また、コンテンツ再生システムにおいて、本技術により符号化されたデータを送受信することにより、画像における色差信号のフォーマットが4:2:2の場合のイントラ予測の符号化効率を向上させることができる。
<10.第10の実施の形態>
<Wi-Fi規格の無線通信システムの応用例>
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えば、Wi-Fi規格の無線通信システムにも適用することができる。
<無線通信装置の基本動作例>
本技術を適用可能な無線通信システムにおける無線通信装置の基本動作例について説明する。
最初に、P2P(Peer to Peer)接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信がなされる。
次に、第2層で接続する前に、使用する特定のアプリケーションを指定してからP2P接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信がなされる。その後、第2層での接続後に、特定のアプリケーションを起動する場合の無線パケット送受信がなされる。
<特定のアプリケーション動作開始時における通信例>
図73および図74は、上述したP2P(Peer to Peer)接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信の例であり、無線通信の基礎となる各装置による通信処理例を示すシーケンスチャートである。具体的には、Wi-Fi Allianceにおいて標準化されているWi-Fiダイレクト(Direct)規格(Wi-Fi P2Pと呼ばれることもある)での接続に至るダイレクト接続の確立手順の一例を示す。
ここで、Wi-Fiダイレクトでは、複数の無線通信装置が互いの存在を検出する(Device Discovery、Service Discovery)。そして、接続機器選択を行うとその選択された機器間において、WPS(Wi-Fi Protected Setup)で機器認証を行うことによりダイレクト接続を確立する。また、Wi-Fiダイレクトでは、複数の無線通信装置が親機(Group Owner)または子機(Client)の何れとしての役割を担うかを決定して通信グループを形成する。
ただし、この通信処理例では、一部のパケット送受信については省略して示す。例えば、初回接続時には、上述したように、WPSを使うためのパケット交換が必要であり、AuthenticationRequest/Responseのやり取り等においてもパケット交換が必要となる。しかしながら、図73および図74では、これらのパケット交換についての図示を省略し、2回目以降の接続についてのみを示す。
なお、図73および図74では、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間における通信処理例を示すが、他の無線通信装置間における通信処理についても同様である。
最初に、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてDevice Discoveryが行われる(1711)。例えば、第1無線通信装置1701は、Probe request(応答要求信号)を送信し、このProbe requestに対するProbe response(応答信号)を第2無線通信装置1702から受信する。これにより、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702は、互いの存在を発見することができる。また、Device Discoveryにより、相手のデバイス名や種類(TV、PC、スマートフォン等)を取得することができる。
続いて、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてService Discoveryが行われる(1712)。例えば、第1無線通信装置1701は、Device Discoveryで発見した第2無線通信装置1702が対応しているサービスを問い合わせるService Discovery Queryを送信する。そして、第1無線通信装置1701は、Service Discovery Responseを第2無線通信装置1702から受信することにより、第2無線通信装置1702が対応しているサービスを取得する。すなわち、Service Discoveryにより、相手が実行可能なサービス等を取得することができる。相手が実行可能なサービスは、例えば、service、protocol(DLNA(Digital Living Network Alliance) DMR(Digital Media Renderer)等)である。
続いて、ユーザにより接続相手の選択操作(接続相手選択操作)が行われる(1713)。この接続相手選択操作は、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702の何れか一方のみに発生することもある。例えば、第1無線通信装置1701の表示部に接続相手選択画面が表示され、この接続相手選択画面において接続相手として第2無線通信装置1702がユーザ操作により選択される。
ユーザにより接続相手選択操作が行われると(1713)、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてGroup Owner Negotiationが行われる(1714)。図73および図74では、Group Owner Negotiationの結果により、第1無線通信装置1701がグループオーナー(Group Owner)1715になり、第2無線通信装置1702がクライアント(Client)1716になる例を示す。
続いて、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間において、各処理(1717乃至1720)が行われることにより、ダイレクト接続が確立される。すなわち、Association(L2(第2層) link確立)(1717)、Secure link確立(1718)が順次行われる。また、IP Address Assignment(1719)、SSDP(Simple Service Discovery Protocol)等によるL3上でのL4 setup(1720)が順次行われる。なお、L2(layer2)は、第2層(データリンク層)を意味し、L3(layer3)は、第3層(ネットワーク層)を意味し、L4(layer4)は、第4層(トランスポート層)を意味する。
続いて、ユーザにより特定のアプリケーションの指定または起動操作(アプリ指定・起動操作)が行われる(1721)。このアプリ指定・起動操作は、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702の何れか一方のみに発生することもある。例えば、第1無線通信装置1701の表示部にアプリ指定・起動操作画面が表示され、このアプリ指定・起動操作画面において特定のアプリケーションがユーザ操作により選択される。
ユーザによりアプリ指定・起動操作が行われると(1721)、このアプリ指定・起動操作に対応する特定のアプリケーションが第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間において実行される(1722)。
ここで、Wi-Fi Direct規格以前の仕様(IEEE802.11で標準化された仕様)の範囲内で、AP(Access Point)−STA(Station)間の接続を行う場合を想定する。この場合には、第2層で接続する前(IEEE802.11用語ではassociation前)には、どのようなデバイスと繋ごうとしているのかを事前に知ることができなかった。
これに対して、図73および図74に示すように、Wi-Fi Directでは、Device discoveryやService Discovery(option)において、接続候補相手を探す際に、接続相手の情報を取得することができる。この接続相手の情報は、例えば、基本的なデバイスのタイプや、対応している特定のアプリケーション等である。そして、その取得された接続相手の情報に基づいて、ユーザに接続相手を選択させることができる。
この仕組みを拡張して、第2層で接続する前に特定のアプリケーションを指定して、接続相手を選択し、この選択後に、自動的に特定のアプリケーションを起動させる無線通信システムを実現することも可能である。このような場合の接続に至るシーケンスの一例を、図76に示す。また、この通信処理において送受信されるフレームフォーマット(frame format)の構成例を図75に示す。
<フレームフォーマットの構成例>
図75は、本技術の基礎となる各装置による通信処理において送受信されるフレームフォーマット(frame format)の構成例を模式的に示す図である。すなわち、図75には、第2層での接続を確立するためのMAC frameの構成例を示す。具体的には、図76に示すシーケンスを実現するためのAssociation Request/Response(1787)のフレームフォーマットの一例である。
なお、Frame Control(1751)からSequence Control(1756)までは、MACヘッダである。また、Association Requestを送信する際には、Frame Control(1751)において、B3B2="0b00"、かつ、B7B6B5B4="0b0000"が設定される。また、Association Responseをencapsulateする際には、Frame Control(1751)において、B3B2="0b00"、かつ、B7B6B5B4="0b0001"が設定される。なお、「0b00」は、2進法で「00」であることを示し、「0b0000」は、2進法で「0000」であることを示し、「0b0001」は、2進法で「0001」であることを示す。
ここで、図75に示すMAC frameは、基本的には、IEEE802.11-2007仕様書section7.2.3.4節と7.2.3.5節に記載のAssociation Request/Responseframe formatである。ただし、IEEE802.11仕様書内で定義されているInformation Element(以下、IEと省略)だけでなく、独自に拡張したIEを含めている点が異なる。
また、Vendor Specific IE(1760)であることを示すため、IE Type(Information Element ID(1761))には、10進数で127がセットされる。この場合、IEEE802.11−2007仕様7.3.2.26節により、Lengthフィールド(1762)と、OUIフィールド(1763)が続き、この後にvendor specific content(1764)が配置される。
Vendor specific content(1764)の内容としては、最初にvendor specific IEのtypeを示すフィールド(IE type(1765))を設ける。そして、この後に、複数のsubelement(1766)を格納することができる構成とすることが考えられる。
subelement(1766)の内容として、使われるべき特定のアプリケーションの名称(1767)や、その特定のアプリケーション動作時のデバイスの役割(1768)を含めることが考えられる。また、特定のアプリケーション、または、その制御のために使われるポート番号等の情報(L4セットアップのための情報)(1769)や、特定のアプリケーション内でのCapabilityに関する情報(Capability情報)を含めることが考えられる。ここで、Capability情報は、例えば、指定する特定のアプリケーションがDLNAの場合に、音声送出/再生に対応している、映像送出/再生に対応している等を特定するための情報である。
以上のような構成の無線通信システムにおいて、図1乃至図52を参照して上述したような本技術を適用することにより、図1乃至図52を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、画像における色差信号のフォーマットが4:2:2の場合のイントラ予測の符号化効率を向上させることができる。また、上述した無線通信システムにおいて、本技術により符号化されたデータを送受信することにより、画像における色差信号のフォーマットが4:2:2の場合のイントラ予測の符号化効率を向上させることができる。
また、本明細書では、各種情報が、符号化ストリームに多重化されて、符号化側から復号側へ伝送される例について説明した。しかしながら、これら情報を伝送する手法はかかる例に限定されない。例えば、これら情報は、符号化ビットストリームに多重化されることなく、符号化ビットストリームと関連付けられた別個のデータとして伝送され又は記録されてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、ビットストリームに含まれる画像(スライス若しくはブロックなど、画像の一部であってもよい)と当該画像に対応する情報とを復号時にリンクさせ得るようにすることを意味する。即ち、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の伝送路上で伝送されてもよい。また、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の記録媒体(又は同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されてもよい。さらに、情報と画像(又はビットストリーム)とは、例えば、複数フレーム、1フレーム、又はフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられてよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 複数レイヤよりなる画像データ全体に対して設定される、レイヤ間予測の際に参照する他のレイヤの最大数と、レイヤ間予測の際に参照する他のレイヤの数とが一致しない場合に、レイヤ間予測において参照するレイヤを指定する参照レイヤ指定情報を生成する参照レイヤ指定情報生成部と、
前記画像データを符号化する符号化部と
を備える画像符号化装置。
(2) 前記参照レイヤ指定情報生成部により生成された前記参照レイヤ指定情報に基づいて、前記レイヤ間予測を制御する予測制御部
をさらに備える(1)に記載の画像符号化装置。
(3) 前記参照レイヤ指定情報をスライスヘッダで伝送する伝送部
をさらに備える(1)または(2)に記載の画像符号化装置。
(4) 前記参照レイヤ指定情報生成部は、カレントレイヤがレイヤ0でなく、かつ、カレントレイヤの参照レイヤ数が0でない場合、前記参照レイヤ指定情報を生成する
(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(5) レイヤ間予測が許可されているかを示すレイヤ間予測可否情報を生成するレイヤ間予測可否情報生成部
をさらに備える(4)に記載の画像符号化装置。
(6) 前記参照レイヤ指定情報生成部は、さらに、前記レイヤ間予測可否情報によりレイヤ間予測が許可されていることが示されており、かつ、カレントレイヤの参照レイヤ数が複数である場合、前記参照レイヤ指定情報を生成する
(5)に記載の画像符号化装置。
(7) レイヤ間予測の際に参照する他のレイヤの数を示す参照レイヤ数情報を生成する参照レイヤ数情報生成部
をさらに備える(6)に記載の画像符号化装置。
(8) 前記参照レイヤ数情報生成部は、レイヤ間予測において参照可能なレイヤが単数に制限されていない場合、前記参照レイヤ数情報を生成する
(7)に記載の画像符号化装置。
(9) 複数レイヤよりなる画像データ全体に対して設定される、レイヤ間予測の際に参照する他のレイヤの最大数と、レイヤ間予測の際に参照する他のレイヤの数とが一致しない場合に、レイヤ間予測において参照するレイヤを指定する参照レイヤ指定情報を生成し、
前記画像データを符号化する
画像符号化方法。