JPWO2013146525A1 - 工作機械 - Google Patents

Abstract

工具支持台に複数の工具を取り付けたまま芯高調整できるワークの径を大きくするとともに複数の工具のストローク長を同じにした状態で非切削時の無駄な時間を削減する工作機械を提供すること。相互に交差した第１送り軸（Ａ）及び第２送り軸（Ｂ）を有する移動手段（１１０）と、移動手段（１１０）により駆動され、各々の刃先が階段状にずれた複数の工具（１２０）とを備え、複数の工具（１２０）の刃先が、複数の工具（１２０）を一体的に傾斜させることで第２送り軸（Ｂ）に揃っている工作機械（１００）。

Description

本発明は、複数の工具をくし歯状に配置した工作機械に関するものである。

従来、主軸中心線に沿ったＺ軸に直交する平面内において、直交する２つの軸方向に送りねじを設け、両送りねじの軸方向からなるＡＢ座標系に対して傾斜した直交座標系であるＸＹ座標系で刃物台を移動させてワークを加工するＮＣ自動旋盤がある（例えば、特許文献１参照）。この場合工具はＸＹ座標系のＹ軸方向に沿って複数配置され、Ｘ軸方向に沿って移動することによってワークに切り込み、加工を行うことができる。

また、特許文献２には、くし歯刃物台を搭載したＮＣ旋盤等の工作機械で、被加工素材に対する各工具の刃先位置を加工データ上で調整する方法として、ＮＣ旋盤で棒材を旋削加工する場合、加工に使用するバイトをくし歯刃物台に装着した後、くし歯刃物台を移動させ、刃先位置の調整が必要なバイトの刃先を、実際の加工作業位置に固定された棒材の側面所望箇所（すなわち加工時の刃先当接部位である棒材頂点から周方向へ略９０°離れた箇所）に最初に当接させ、この当接位置のＹ座標値と、予め測定した棒材の半径寸法とから、当該バイトによって加工される棒材の中心、すなわち回転軸線のＹ座標値（相対値）を確定させる方法が示されている。その後、このバイトの刃先を、棒材の回転軸線のＹ座標上に移動させて棒材の頂点に当接させ、旋削加工を実施することによって高精度で加工を行うことができる。

ただし図１０Ａに示すように、隣り合うバイトに接触する外径寸法Ｒａを有する棒材Ｗ１より大きな外径寸法を有する棒材に対しては、隣り合うバイトとの干渉によって前記刃先位置調整の実施が困難であるため、特許文献２に記載された工作機械では、図１０Ｂに示すように、各工具２２０の刃先を、工具２２０の配置方向に沿って順に、該配置方向に直交する工具２２０の切り込み方向に階段状にずらしている。このため、隣り合う工具同士の間隔を超えるような外径寸法Ｒｂを有する棒材Ｗ２に対する前記刃先位置調整を可能にしている。

特開平７−３０８８０３号公報（特許請求の範囲、図１乃至図３） 特開２００１−３００８０２号公報（特許請求の範囲、図１乃至図６）

しかしながら、上述の工作機械によれば、図１１に示すように、各工具２２０の刃先が、切り込み方向に、順に階段状にずれているため、各工具２２０を切り換えて前記刃先位置調整する時やワークＷ３に切り込む時に、刃先のずれ量に応じて、各工具２２０に対して余分なストローク長ｄ１、ｄ２、ｄ３、ｄ４が生じてしまうという問題点があった。

例えば各工具２２０の刃先を棒材の回転軸線のＹ座標（Ｙ０）上に移動させる場合、工具Ｔ０に対して、工具Ｔ１は切り込み方向にｄ１、工具Ｔ２は切り込み方向にｄ２、工具Ｔ３は切り込み方向にｄ３、工具Ｔ４は切り込み方向にｄ４余分に移動させる必要がある。すなわち、各工具をストローク長ｄ１、ｄ２、ｄ３、ｄ４だけ移動させて加工を行わせ、工具Ｔ０、Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４の選択の際に、再度各工具をストローク長ｄ１、ｄ２、ｄ３、ｄ４だけ戻して工具を選択すると工具の選択に時間がかかり、非切削時の無駄な時間が発生して加工時間を長時間化させてしまうという問題があった。

また、各工具２２０の刃先を切り込み方向に順に階段状にずらした場合、刃物台を、工具Ｔ０の切り込み方向のストロークに加えてずれ量の最大値となるｄ４だけ余分に移動させることができるように、送りねじを設定する必要がある。しかし、このストロークは、ずれ量がｄ４より小さい他の工具に対しては不要に長いストロークとなり、送りねじの長尺化による工作機械の大型化や加工時間の長時間化等が発生する等の問題があった。

そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、複数の工具の装着状態で前記刃先位置調整を行うことができる棒材の径を大きくした状態で非切削時の無駄な時間を削減する工作機械を提供することである。

本請求項１に係る発明は、相互に交差した第１及び第２送り軸を有する移動手段と、該移動手段により一体的に移動する複数の工具とを備え、該複数の工具のそれぞれの刃先が、切り込み方向に階段状にずれて配置され、前記複数の工具が、前記工具の選択軸方向に沿う直線上に複数の工具の刃先が揃うように配置されていることによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項２に係る発明は、前記工具の選択軸方向が、前記第１又は第２送り軸方向であり、各工具の刃先が前記第１又は第２送り軸方向に揃うように、各工具が一体的に傾斜配置されることによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項３に係る発明は、前記第１及び第２送り軸が、互いに直交する水平方向及び垂直方向に設定されていることによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項４に係る発明は、前記複数の工具が、前記垂直方向に配置されていることによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項５に係る発明は、前記複数の工具の上方側の工具の刃先が、加工時の切削屑が下方側の工具にかからない程度の長さだけ前記下方側の工具の刃先より突出していることによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項６に係る発明は、前記第１及び第２の送り軸のうち前記選択軸として選択された一方の送り軸に対して他方の送り軸を工具の傾斜方向に沿わせて傾斜して設けたことによって、前述した課題を解決したものである。

本請求項１の発明に係る工作機械によれば、各工具の刃先が、工具の選択軸方向に沿う直線上に揃っていることで工具待機位置に工具を直接移動できるため、非切削時の無駄な時間を削減することができる。選択軸方向に工具を移動させることによって、刃先のずれ量に関係なく、工具の切り換えを行い、各工具によってワークの加工を行うことができる。各工具の刃先は、切り込み方向に階段状にずれて配置されているため、従来同様隣り合う工具同士の間隔を超えるような外径寸法を有する棒材に対する刃先位置調整が可能になる。

本請求項２に係る発明は、上述した請求項１に係る発明の効果に加えて、第１又は第２送り軸方向に工具を移動させることによって、容易に工具の切り換えを行うことができ、刃先のずれ量に応じた余分なストロークを切り込み方向に設けることなく、各工具によってワークの加工を行うことができ、第１又は第２送り軸をコンパクトにすることができる。

本請求項３に係る発明は、上述した請求項２に係る発明の効果に加えて、水平方向及び垂直方向にストローク長を長く取る必要がないため、水平方向及び垂直方向に工作機械のサイズをコンパクトにすることができる。

本請求項４に係る発明は、上記の効果に加えて、水平方向にストローク長を長くとる必要がないため、水平方向に工作機械をコンパクトにすることができる。

本請求項５に係る発明は、上記の効果に加えて、下方側の工具に加工時の切削屑がかからないため、工具への切削屑の付着を防止することができる。

本請求項６に係る発明は、上記の効果に加えて、選択軸として選択された一方の送り軸のみを駆動して工具を選択できるため、工作機械にかかる負荷を軽減することができる。

本発明の実施例に係る工作機械の斜視図。 本発明の実施例に係る工作機械の内部から正面主軸側を見た内部正面図。 本発明の実施例に係る工作機械の要部概略正面図。 第２送り軸に対する複数の工具の傾斜状態を示した概念図。 芯高調整方法の一工程を示す概念図。 工具をワークに切り込む状態を示した概念図。 工具を切り換える状態を示す概念図。 第２送り軸に対する複数の工具の他の傾斜状態を示した概念図。 本発明の他の実施例に係る工作機械の要部概略正面図。 従来における複数の工具及びワークの相対的な位置関係（その１）を示す概念図。 従来における複数の工具及びワークの相対的な位置関係（その２）を示す概念図。 従来における複数の工具及びワークの相対的な位置関係（その３）を示す概念図。

以下、本発明の一実施例に係る工作機械１００を説明する。図１及び図２に示すように、本実施例に係る工作機械１００は、例えばＮＣ自動旋盤等の工作機械であって、刃物台１１２に支持されたバイト等の複数の工具１２０、正面主軸１３０、背面主軸１４０、背面刃物台１５０、及びタレット１６０を備えている。そして、工作機械１００は、正面主軸１３０と背面主軸１４０との間でワークを授受して加工を行うことができる。

刃物台１１２は、相互に直交する第１送り軸Ａと第２送り軸Ｂの各送り機構１１０Ａ、１１０Ｂによって移動自在に支持されている。両送り機構１１０Ａ、１１０Ｂによって刃物台１１２の移動手段１１０が構成されている。第１送り軸Ａ及び第２送り軸Ｂは、図１に示した正面主軸１３０の軸線方向Ｚ１に対して直交する。

図１乃至図３に示すように、第１送り軸Ａの送り機構１１０Ａは、第１送り軸Ａに沿ったスライドレール１１０Ａ―２上に第１スライド台１１０Ａ―１が移動自在に支持され、第１スライド台１１０Ａ―１が第１送り軸Ａに沿った第１送りねじ１１１Ａに螺合されて構成されている。第１送りねじ１１１Ａは第１モータ１１３Ａによって回転駆動される。第１モータ１１３Ａの駆動によって第１スライド台１１０Ａ―１が第１送り軸Ａに沿って移動する。第２送り軸Ｂの送り機構１１０Ｂは、第２送り軸Ｂに沿ったスライドレール１１０Ｂ−２上に第２スライド台１１０Ｂ−１が移動自在に支持され、第２スライド台１１０Ｂ−１が第２送り軸Ｂに沿った第２送りねじ１１１Ｂに螺合されて構成されている。第２送りねじ１１１Ｂは第２モータ１１３Ｂによって回転駆動される。第２モータ１１３Ｂの駆動によって第２スライド台１１０Ｂ−１が第２送り軸Ｂに沿って移動する。刃物台１１２は、第２スライド台１１０Ｂ−１に装着され、第１送りねじ１１１Ａの回転駆動によって第１送り軸Ａに沿って移動し、第２送りねじ１１１Ｂの回転駆動によって第２送り軸Ｂに沿って移動する。

各工具１２０は、刃物台１１２に一体的に装着されている。移動手段１１０は、第１送りねじ１１１Ａ及び第２送りねじ１１１Ｂの合成動作により任意の方向に刃物台１１２を移動させることができる。本工作機械１００は、移動手段１１０によって工具１２０を任意の方向に移動させ、各工具１２０を切り換えながら、図１及び図２に示した正面主軸１３０に把持された丸棒状のワークＷを加工することができる。

各工具１２０は、第１送り軸Ａ及び第２送り軸Ｂに対して傾斜したＹ１軸方向に沿って、各々平行に配置されている。各工具１２０は、Ｙ１軸方向を水平方向に記載した図４の想像線に示されるように、各々の刃先位置が、Ｙ１軸方向に対して直交するＸ１軸方向に、順に階段状にずれて配置されている。各工具１２０の刃先は、比例的にずれており、直線Ｌ上に位置している。そして図４の実線に示されるように、各工具１２０は、直線Ｌが、第１送り軸Ｂに沿うように、一体的に傾斜して設けられている。

従って前記Ｘ１軸方向及びＹ１軸方向からなるＸ１Ｙ１座標系が、第１送り軸Ａ及び第２送り軸ＢからなるＡＢ座標系に対して所定角度回転して設定される。これにより加工時の刃先当接部位が、材料ＷのＸ１軸方向の頂点となり、各工具１２０は、Ｘ１軸方向が切り込み方向となる。

加工時の刃先当接部位がＸ１軸方向のワークＷの頂点となるため、前記刃先位置調整は、図５に示されるように、ワークＷのＹ１軸方向の頂点に工具１２０の刃先を当接させ、従来同様この当接位置のＹ１座標値と、予め測定したワークＷの半径寸法とから、当該工具１２０によって加工されるワークＷの中心、すなわちワークＷの回転軸線のＹ１座標値（相対値）を確定させる。各工具１２０の刃先は、第２送り軸Ｂに沿って位置し、第２送り軸Ｂに揃っているが、Ｘ１軸方向に階段状にずれて配置されており、隣り合う工具１２０同士の間隔を越える外径寸法のワークＷに対して、前記刃先位置調整を行うことが可能となる。

そして図６に示されるように、所定の工具１２０の刃先を、ワークＷの回転軸線のＹ１座標（Ｙ０）上に移動させ、前記工具１２０をＸ１軸方向に切り込み移動させることによって、ワークＷを加工することができる。各工具１２０の刃先が、第２送り軸Ｂに揃っているため、Ｘ１軸方向への刃先のずれに関係なく、図７に示すように、刃物台１１２を、第２送り軸Ｂに沿って移動させることによって、各工具１２０を選択して切り換えることができる。

例えば、図７に示すように、加工に使用した工具１２０を、ワークＷの表面から工具１２０の切り込み方向であるＸ１軸方向に沿ったわずかな距離ｄだけ離れた逃げ位置、すなわち工具待機位置に逃がし、次の加工に使用する工具１２０を選択する場合、加工に使用した工具１２０を逃がし、第２送り軸Ｂに沿って刃物台１１２を移動させるだけで、工具待機位置を通る第２送り軸Ｂに沿った直線上に、各工具１２０の刃先が揃っているため、複数の工具１２０のどれを選択しても刃先のずれに関係なく、次の加工に使用する工具１２０を、前記逃げ位置に位置決めし、刃先のずれ分を考慮することなく、最小の移動量である共通の距離ｄだけ工具１２０を移動させることによって、加工を開始することが可能となる。また各工具１２０に対して加工時に必要となるストロークは等しいため、Ｘ１軸方向への刃先のずれに応じて加工ストロークを長く取る必要はない。

従って、複数の工具１２０の刃先が工具１２０を選択する選択軸、例えば第２送り軸Ｂに沿う直線上に揃っていることで、工具待機位置に工具１２０を直接移動できるため、非切削時の無駄な時間が削減される。加えて、第２送り軸Ｂを選択軸とし、各工具１２０の刃先が第２送り軸Ｂ方向に揃うように、各工具を一体的に傾斜配置することによって、第１送りねじ１１１Ａと第２送りねじ１１１Ｂのストロークは、各工具１２０の刃先位置のずれ量に依存することなく、ＡＢ座標系に対するＸ１Ｙ１座標系の回転（傾斜）角度に応じて設定することができ、第１送りねじ１１１Ａと第２送りねじ１１１Ｂのストロークを刃先位置のずれ量に応じた長さ分だけ長くとる必要はなく、第１送りねじ１１１Ａ及び第２送りねじ１１１Ｂをコンパクトに設定することができる。特に、複数の工具１２０が垂直方向に配置されていることで水平方向にストローク長を長くとる必要がないため、水平方向に工作機械１００をコンパクトにすることができる。さらに、本実施例では、水平方向及び垂直方向に第１送りねじ１１１Ａと第２送りねじ１１１Ｂのストローク長を長く取る必要がないため、水平方向及び垂直方向に工作機械１００のサイズをコンパクトにすることができる。

上記実施形態は、第２送り軸Ｂを選択軸とし、各工具１２０の刃先を第２送り軸Ｂに沿って揃えた例について説明したが、第１送り軸Ａを選択軸とし、第１送り軸Ａに沿って揃えるようにすることもできる。この場合各工具の切り換えは、刃物台１１２を第１送り軸Ａに沿って移動させて行う。

なお、本発明の「工具の選択軸方向に沿う直線上に複数の工具の刃先が揃う」は、図８に示すように、複数の工具１２０の上方側の工具１２０の刃先が、加工時の切削屑が下方側の工具１２０にかからない程度の長さだけ下方側の工具１２０の刃先より突出している範囲も含む概念である。

すなわち、加工時の切削屑が下方側の工具１２０にかからない程度の長さだけ上方側の工具１２０の刃先が下方側の工具１２０の刃先より突出していれば、複数の工具１２０の刃先を通る直線Ｌは、図８に示すように、第２送り軸Ｂに沿えばよく、必ずしも第２送り軸Ｂに一致する直線でなくてもよい。このような工具１２０の配置形態によれば、ワーク加工時に上方側の工具１２０で発生した切削屑が下方側の工具１２０にかからないため、工具１２０への切削屑の付着を防止することができる。なお直線Ｌを選択軸とすることもできる。

上記実施形態では第１送り軸Ａと第２送り軸Ｂとが直交し、第１送りねじ１１１Ａと第２送りねじ１１１Ｂとの合成動作によって、工具１２０（刃物台１１２）をＸ１軸方向に移動させるように構成した例について説明したが、図９に示されるように、第２送りねじ１１１ＢをＸ１軸方向に沿って設け、第２送り軸ＢをＸ１軸方向に沿わせて設定することもできる。

この場合、第１送りねじ１１１Ａのみの駆動によって刃物台１１２を第１送り軸Ａに沿って移動させることができるとともに、第２送りねじ１１１Ｂのみの駆動によって刃物台１１２をＸ１軸方向に沿って移動させることができ、刃物台１１２の移動を簡単且つ低負荷で行うことが可能となる。

１００ ・・・ 工作機械
１１０ ・・・ 移動駆動手段
１１０Ａ ・・・ Ａ方向の送り機構
１１０Ａ−１ ・・・ 第１スライド台
１１０Ａ―２ ・・・ スライドレール
１１０Ｂ ・・・ Ｂ方向の送り機構
１１０Ｂ−１ ・・・ 第２スライド台
１１０Ｂ−２ ・・・ スライドレール
１１１Ａ ・・・ 第１送りねじ
１１１Ｂ ・・・ 第２送りねじ
１１２ ・・・ 刃物台
１２０、２２０ ・・・ 工具
１３０ ・・・ 正面主軸
１４０ ・・・ 背面主軸
１５０ ・・・ 背面刃物台
１６０ ・・・ タレット
ｄ１、ｄ２、ｄ３、ｄ４ ・・・ 余分なストローク長
Ａ ・・・ 第１送り軸
Ｂ ・・・ 第２送り軸
Ｘ ・・・ 工具の切り込み方向
Ｙ ・・・ 工具の配置方向
Ｗ、Ｗ１、Ｗ２、Ｗ３ ・・・ ワーク

Claims (6)

1. 相互に交差した第１及び第２送り軸を有する移動手段と、該移動手段により一体的に移動する複数の工具とを備え、
   該複数の工具のそれぞれの刃先が、切り込み方向に階段状にずれて配置され、
   前記複数の工具が、前記工具の選択軸方向に沿う直線上に複数の工具の刃先が揃うように配置されたことを特徴とする工作機械。
2. 前記工具の選択軸方向が、前記第１又は第２送り軸方向であり、各工具の刃先が前記第１又は第２送り軸方向に揃うように、各工具が一体的に傾斜配置されること
   を特徴とする請求項１に記載の工作機械。
3. 前記第１及び第２送り軸が、互いに直交する水平方向及び垂直方向に設定されていることを特徴とする請求項２に記載の工作機械。
4. 前記複数の工具が、前記垂直方向に配置されていること
   を特徴とする請求項３に記載の工作機械。
5. 前記複数の工具の上方側の工具の刃先が、加工時の切削屑が下方側の工具にかからない程度の長さだけ前記下方側の工具の刃先より突出していること
   を特徴とする請求項４に記載の工作機械。
6. 前記第１及び第２の送り軸のうち前記選択軸として選択された一方の送り軸に対して他方の送り軸を工具の傾斜方向に沿わせて傾斜して設けたことを特徴とする請求項２に記載の工作機械。

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