JPWO2013077108A1 - シールドフィルム、シールドプリント配線板、及び、シールドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽し、良好な伝送特性を有するシールドフィルム、シールドプリント配線板、及び、シールドフィルムの製造方法を提供するために、層厚が0.5μm〜12μmの金属層3と、厚み方向のみだけ電気的な導電状態が確保された異方導電性を有する異方導電性接着剤層4とを積層状態で設けて、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽することができるようにした。
Description
本発明は、携帯機器などの装置内等において用いられるシールドフィルム、シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板、及び、シールドフィルムの製造方法に関する。
従来から、電磁波などのノイズを遮蔽するシールドフィルムが公知である。例えば、特許文献1及び2には、金属層、及び、接着剤層が順次積層されたプリント配線板用シールドフィルムが開示されている。
ところで、近年では、スマートフォンを始めとした携帯機器の多機能化が進んでいる。例えば、インターネットの接続は勿論のこと、高精細、高画質、3D化、高速化などを実現するために、大容量の信号処理が必要となってきている。従って、このような大容量の信号を処理するため、信号処理も高速化となり、信号線が受けるノイズの抑制や信号の伝送特性が要求され、現状より優れたシールド特性と伝送特性を兼ね備えたフレキシブルプリント配線板の要望が高くなっている。
本発明は、上記の問題を鑑みてされたものであり、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽し、良好な伝送特性を有するシールドフィルム、シールドプリント配線板、及び、シールドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属層を0.5μm〜12μmとすると共に接着剤層に異方導電性接着剤を用いることで、良好なシールド特性及び伝送特性を得られることを見出した。
即ち、本発明は、層厚が0.5μm〜12μmの金属層と、異方導電性接着剤層とを積層状態で備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、層厚が0.5μm〜12μmの金属層を有することによって、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽することができる。また、導電性接着剤層が異方導電性接着剤層であることによって、等方導電性接着剤層である場合よりも良好な伝送特性を有している。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記金属層は金属箔である。
上記の構成によれば、所望の層厚の金属層を容易に得ることができると共に、蒸着法で形成された薄膜の金属層よりも良好なシールド特性を得ることができる。
上記の構成によれば、所望の層厚の金属層を容易に得ることができると共に、蒸着法で形成された薄膜の金属層よりも良好なシールド特性を得ることができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記金属箔が圧延加工により形成されている。
上記の構成によれば、良好な形状保持性によりシールドフィルムを貼り合わせたフレキシブル基板等の基体フィルムを組み付ける際の作業性を良好にすることができる。
上記の構成によれば、良好な形状保持性によりシールドフィルムを貼り合わせたフレキシブル基板等の基体フィルムを組み付ける際の作業性を良好にすることができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記金属箔は、エッチングにより層厚が調整されている。
上記の構成によれば、圧延加工により第1寸法の層厚の金属箔とした後に、その金属箔をエッチングにより第2寸法にまで薄くすることによって、圧延加工では高精度に得ることのできない薄い層厚の金属層を得ることができる。
上記の構成によれば、圧延加工により第1寸法の層厚の金属箔とした後に、その金属箔をエッチングにより第2寸法にまで薄くすることによって、圧延加工では高精度に得ることのできない薄い層厚の金属層を得ることができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記金属箔は、銅を主成分とされている。
上記の構成によれば、形状保持が優れていることによる良好な加工性及び導電性を得ることができると共に、安価なシールドフィルムを得ることができる。
上記の構成によれば、形状保持が優れていることによる良好な加工性及び導電性を得ることができると共に、安価なシールドフィルムを得ることができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、銅を主成分とする金属箔で形成された金属層と異方導電性接着剤層との間に保護金属層を設けた構成としてもよい。
上記構成によれば、金属層の酸化を抑制して、金属層の表面抵抗の上昇を抑制することができ、安定したシールド効果を保持することができる。
上記構成によれば、金属層の酸化を抑制して、金属層の表面抵抗の上昇を抑制することができ、安定したシールド効果を保持することができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記金属層は、アディティブ法により形成されたものであってもよい。
上記構成によれば、金属層を形成する際に、金属層の厚みをきめ細やかに調整することができる。
上記構成によれば、金属層を形成する際に、金属層の厚みをきめ細やかに調整することができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、前記アディティブ法として、電解メッキ法及び無電解メッキ法の少なくとも1つを使用して前記金属層を形成してもよい。
上記構成によれば、金属層を形成する際に、金属層の厚みをきめ細やかに調整することができるとともに、生産効率を上げることができる。
上記構成によれば、金属層を形成する際に、金属層の厚みをきめ細やかに調整することができるとともに、生産効率を上げることができる。
また、本発明のシールドフィルムにおいて、10MHz〜10GHzの周波数の信号を伝送する信号伝送系に対するシールドフィルムとして適用されている。
上記の構成によれば、高速伝送に対応できると共に、安価なシールドフィルムを得ることができる。
上記の構成によれば、高速伝送に対応できると共に、安価なシールドフィルムを得ることができる。
また、本発明のシールドプリント配線板は、プリント回路が形成されたベース部材と、当該プリント回路を覆って当該ベース部材上に設けられた絶縁フィルムと、を有したプリント配線板と、前記プリント配線板上に設けられた上記のシールドフィルムとを有する。
また、本発明のシールドプリント配線板の前記プリント回路は、グランド用配線パターンを含んでいる。
また、本発明のシールドフィルムの製造方法は、圧延加工により所定寸法の層厚の金属箔とした後に、その金属箔をエッチングにより0.5μm〜12μm内の所定の層厚にする工程と、前記金属層の一方面に異方導電性接着剤層を形成する工程とを備える。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(シールドフィルム1の構成)
図1に示すシールドフィルム1は、絶縁層2の片面に、層厚が0.5μm〜12μmの金属層3と、異方導電性接着剤層4とを順次設けてなるものである。即ち、シールドフィルム1は、金属層3と、異方導電性接着剤層4とを積層状態で備えている。
図1に示すシールドフィルム1は、絶縁層2の片面に、層厚が0.5μm〜12μmの金属層3と、異方導電性接着剤層4とを順次設けてなるものである。即ち、シールドフィルム1は、金属層3と、異方導電性接着剤層4とを積層状態で備えている。
(絶縁層2)
絶縁層2は、カバーフィルムや絶縁樹脂のコーティング層からなる。
カバーフィルムは、エンジニアリングプラスチックからなる。例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、アラミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
あまり耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはアラミドフィルムやポリイミドフィルムが好ましい。
絶縁樹脂は、絶縁性を有する樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、及びそれらのメタクリレート変性品などが挙げられる。尚、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化などどれでもよく、硬化するものであればよい。
尚、シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板に適用する場合、絶縁層2の厚みの下限は、1μmが好ましく、3μmがより好ましい。また、絶縁層2の厚みの上限は、10μmが好ましく、7μmがより好ましい。
絶縁層2は、カバーフィルムや絶縁樹脂のコーティング層からなる。
カバーフィルムは、エンジニアリングプラスチックからなる。例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、アラミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
あまり耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはアラミドフィルムやポリイミドフィルムが好ましい。
絶縁樹脂は、絶縁性を有する樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、及びそれらのメタクリレート変性品などが挙げられる。尚、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化などどれでもよく、硬化するものであればよい。
尚、シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板に適用する場合、絶縁層2の厚みの下限は、1μmが好ましく、3μmがより好ましい。また、絶縁層2の厚みの上限は、10μmが好ましく、7μmがより好ましい。
金属層3は、厚みが0.5μm〜12μmの範囲で形成される。これにより、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽することができ、フレキシブルプリント配線板に適用する場合にも好適となる。
また、金属層3は、金属箔であることが好ましい。これにより、所望の層厚の金属層を容易に得ることができると共に、蒸着法で形成された薄膜の金属層よりも良好なシールド特性を得ることができる。また、金属層3は、圧延加工により形成されることが好ましい。これにより、シールドフィルムは良好な形状保持性を有することができる。従って、シールドフィルムを貼り合わせたフレキシブル基板等を組み付ける際の作業性を良好にすることができる。例えば、シールドフィルムを備えたフレキシブルプリント配線板を屈曲させて携帯機器等に組み付けた場合、前記シールドフィルムはその良好な形状保持性があることによりフレキシブルプリント配線板がその屈曲状態を維持するため、作業者が折り曲げ状態を維持する必要が無く、携帯機器等の組み付け作業の負荷を軽減することができ良好な加工性が得られる。さらに、金属層3が圧延加工により形成された場合、エッチングにより層厚が調整されることが好ましい。
また、金属層3を形成する金属材料としては、銅を主成分としていることが好ましい。これにより、形状保持が優れているため良好な加工性及び導電性を得ることができると共に、安価にシールドフィルムを製造することができる。尚、金属層3は、銅を主成分とすることに限定されず、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、及び、亜鉛の何れか、またはこれらの2つ以上を含む合金等であってもよい。
尚、金属層3は、圧延加工により形成された金属箔であることに限定されず、電解による金属箔(特殊電解銅箔など)、またはアディティブ法である真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキなどにより形成されるものであってもよい。
メッキは、電解メッキ(外部電極等からの電気を使用して、電気分解反応を通じてメッキする方法である)、無電解メッキ(外部電極等からの電気を使用せず、化学的反応を通じてメッキする方法であり、置換メッキや化学メッキなどがある)いずれでもよいが、生産効率の観点から下地として無電解メッキを行った後、電解メッキを行うことが好ましい。これまでの無電解メッキは前処理としてメッキ面のエッチング、触媒反応等が煩雑であったが、その前処理を簡略化する方法として導電性ポリマーをコーティングする方法を用いることができる。導電体ポリマーの導電種としては特に限定されないが、パラジウム等の触媒種を使用することが好ましい。
また、金属層3の厚みの下限は、1μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。また、摺動特性を向上すべく、金属層3の厚みの上限は、6μmがより好ましく、3μmがさらに好ましい。
また、金属層3を形成する金属材料としては、銅を主成分としていることが好ましい。これにより、形状保持が優れているため良好な加工性及び導電性を得ることができると共に、安価にシールドフィルムを製造することができる。尚、金属層3は、銅を主成分とすることに限定されず、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、及び、亜鉛の何れか、またはこれらの2つ以上を含む合金等であってもよい。
尚、金属層3は、圧延加工により形成された金属箔であることに限定されず、電解による金属箔(特殊電解銅箔など)、またはアディティブ法である真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキなどにより形成されるものであってもよい。
メッキは、電解メッキ(外部電極等からの電気を使用して、電気分解反応を通じてメッキする方法である)、無電解メッキ(外部電極等からの電気を使用せず、化学的反応を通じてメッキする方法であり、置換メッキや化学メッキなどがある)いずれでもよいが、生産効率の観点から下地として無電解メッキを行った後、電解メッキを行うことが好ましい。これまでの無電解メッキは前処理としてメッキ面のエッチング、触媒反応等が煩雑であったが、その前処理を簡略化する方法として導電性ポリマーをコーティングする方法を用いることができる。導電体ポリマーの導電種としては特に限定されないが、パラジウム等の触媒種を使用することが好ましい。
また、金属層3の厚みの下限は、1μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。また、摺動特性を向上すべく、金属層3の厚みの上限は、6μmがより好ましく、3μmがさらに好ましい。
異方導電性接着剤層4は、厚み方向のみだけ電気的な導電状態が確保された異方導電性を有する異方導電性接着剤層である。これにより、厚み方向および幅方向、長手方向からなる三次元の全方向に電気的な導電状態が確保された等方導電性を有する等方導電性接着剤層である場合よりも良好な伝送特性を有することができる。異方導電性接着剤層4は、接着剤に難燃剤や導電性フィラーが添加されて、異方導電性接着剤層が形成される。
シールドフィルム1をFPC(フレキシブルプリント配線板)に適用する場合、異方導電性接着剤層4の厚みの下限は、2μmが好ましく、3μmがより好ましい。また、異方導電性接着剤層4の厚みの上限は、15μmが好ましく、9μmがより好ましい。
異方導電性接着剤層4に含まれる接着剤は、接着性樹脂として、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂や、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂で構成されている。尚、接着剤は、上記樹脂の単体でも混合体でもよい。また、接着剤は、粘着性付与剤をさらに含んでいてもよい。粘着性付与剤としては、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂などのタッキファイヤーが挙げられる。
シールドフィルム1をFPC(フレキシブルプリント配線板)に適用する場合、異方導電性接着剤層4の厚みの下限は、2μmが好ましく、3μmがより好ましい。また、異方導電性接着剤層4の厚みの上限は、15μmが好ましく、9μmがより好ましい。
異方導電性接着剤層4に含まれる接着剤は、接着性樹脂として、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂や、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂で構成されている。尚、接着剤は、上記樹脂の単体でも混合体でもよい。また、接着剤は、粘着性付与剤をさらに含んでいてもよい。粘着性付与剤としては、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂などのタッキファイヤーが挙げられる。
異方導電性接着剤層4に添加される導電性フィラーは、金属材料により一部または全部が形成されている。例えば、導電性フィラーは、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コート銅粉(AgコートCu粉)、金コート銅粉、銀コートニッケル粉(AgコートNi粉)、金コートニッケル粉があり、これら金属粉は、アトマイズ法、カルボニル法などにより作製することができる。また、上記以外にも、金属粉に樹脂を被覆した粒子、樹脂に金属粉を被覆した粒子を用いることもできる。そして、異方導電性接着剤層4には、1以上の種類の導電性フィラーが混合されて添加されてもよい。尚、導電性フィラーは、AgコートCu粉、またはAgコートNi粉であることが好ましい。この理由は、安価な材料により導電性の安定した導電性粒子を得ることができるからである。
導電性フィラーは、異方導電性接着剤層4の全体量に対して、3wt%〜39wt%の範囲で添加される。また、導電性フィラーの平均粒径は、2μm〜20μmの範囲が好ましいが、異方導電性接着剤層4の厚みによって最適な値を選択すればよい。金属フィラーの形状は、球状、針状、繊維状、フレーク状、樹枝状のいずれであってもよい。
(シールドプリント配線板10の構成)
次に、図2を用いて、上記のシールドフィルム1をFPC(フレキシブルプリント配線板)に貼付したシールドプリント配線板10について説明する。尚、本実施形態では、シールドフィルムをFPCに貼付した場合について説明するがこれに限定されない。例えば、COF(チップオンフレックス)、RF(リジットフレックスプリント板)、多層フレキシブル基板、リジット基板などに利用できる。
次に、図2を用いて、上記のシールドフィルム1をFPC(フレキシブルプリント配線板)に貼付したシールドプリント配線板10について説明する。尚、本実施形態では、シールドフィルムをFPCに貼付した場合について説明するがこれに限定されない。例えば、COF(チップオンフレックス)、RF(リジットフレックスプリント板)、多層フレキシブル基板、リジット基板などに利用できる。
図2に示すように、シールドプリント配線板10は、上述したシールドフィルム1と、基体フィルム(FPC)8とが積層されて形成されている。基体フィルム8は、ベースフィルム5、プリント回路6、及び、絶縁フィルム7が順次積層されてなるものである。
図2(a)に示すように、プリント回路6の表面は、信号回路6aとグランド回路6bとからなり、グランド回路6bの少なくとも一部(非絶縁部6c)を除いて、絶縁フィルム7によって被覆されている。また、絶縁フィルム7は、内部にシールドフィルム1の異方導電性接着剤層4の一部が流れ込んでいる絶縁除去部7aを有している。これにより、グランド回路6bと金属層3とが電気的に接続される。
そして、信号回路6a及びグランド回路6bは、導電性材料をエッチング処理することにより配線パターンが形成される。また、グランド回路6bは、グランド電位を保つパターンのことを指す。即ち、ベースフィルム5には、グランド用配線パターンであるグランド回路6bが形成されている。
尚、図2(b)に示すように、プリント回路6は、グランド回路6bを含まないものであってもよい。この場合、プリント回路6は絶縁フィルム7によって被覆される。
図2(a)に示すように、プリント回路6の表面は、信号回路6aとグランド回路6bとからなり、グランド回路6bの少なくとも一部(非絶縁部6c)を除いて、絶縁フィルム7によって被覆されている。また、絶縁フィルム7は、内部にシールドフィルム1の異方導電性接着剤層4の一部が流れ込んでいる絶縁除去部7aを有している。これにより、グランド回路6bと金属層3とが電気的に接続される。
そして、信号回路6a及びグランド回路6bは、導電性材料をエッチング処理することにより配線パターンが形成される。また、グランド回路6bは、グランド電位を保つパターンのことを指す。即ち、ベースフィルム5には、グランド用配線パターンであるグランド回路6bが形成されている。
尚、図2(b)に示すように、プリント回路6は、グランド回路6bを含まないものであってもよい。この場合、プリント回路6は絶縁フィルム7によって被覆される。
また、本実施形態では、信号回路6aに、10MHz〜10GHzの周波数の信号が伝送される。即ち、シールドフィルム1は、10MHz〜10GHzの周波数の信号が伝送される信号伝送系に対するシールドフィルムとして適用されることが好ましいが、これに限定されない。
シールドフィルム1が適用される信号伝送系の周波数の下限は、10MHzが好ましく、100MHzがより好ましい。また、シールドフィルム1が適用される信号伝送系の周波数の上限は、10GHzが好ましく、5GHzがより好ましい。
シールドフィルム1が適用される信号伝送系の周波数の下限は、10MHzが好ましく、100MHzがより好ましい。また、シールドフィルム1が適用される信号伝送系の周波数の上限は、10GHzが好ましく、5GHzがより好ましい。
また、ベースフィルム5とプリント回路6との接合は、接着剤によって接着しても良いし、接着剤を用いない、所謂、無接着剤型銅張積層板と同様に接合しても良い。また、絶縁フィルム7は、可撓性絶縁フィルムを接着剤を用いて張り合わせても良いし、感光性絶縁樹脂の塗工、乾燥、露光、現像、熱処理などの一連の手法によって形成しても良い。接着剤を用いて絶縁フィルム7を貼付する場合は、この接着剤のグランド回路6bの箇所についても絶縁除去部7aを形成する。また、更には、基体フィルム8は、ベースフィルムの一方の面にのみプリント回路を有する片面型FPC、ベースフィルムの両面にプリント回路を有する両面型FPC、この様なFPCが複数層積層された多層型FPC、多層部品搭載部とケーブル部を有するフレクスボード(登録商標)や、多層部を構成する部材を硬質なものとしたフレックスリジッド基板、或いは、テープキャリアパッケージの為のTABテープ等を適宜採用して実施することができる。
また、ベースフィルム5、絶縁フィルム7はいずれもエンジニアリングプラスチックからなる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂が挙げられる。あまり耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが好ましい。
尚、ベースフィルム5の厚みの下限は、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、ベースフィルム5の厚みの上限は、60μmが好ましく、40μmがより好ましい。
また、絶縁フィルム7の厚みの下限は、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、絶縁フィルム7の厚みの上限は、60μmが好ましく、40μmがより好ましい。
尚、ベースフィルム5の厚みの下限は、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、ベースフィルム5の厚みの上限は、60μmが好ましく、40μmがより好ましい。
また、絶縁フィルム7の厚みの下限は、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、絶縁フィルム7の厚みの上限は、60μmが好ましく、40μmがより好ましい。
(シールドフィルム1の製造方法)
本実施形態のシールドフィルム1の製造方法について説明する。
先ず、回転するロールの間に銅を通して圧延加工を行い、厚みを第1寸法まで薄くする。この第1寸法の厚みの下限は、3μmが好ましく、6μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。また、この第1寸法の厚みの上限は35μmが好ましく、18μmがより好ましく、12μmがさらに好ましい。
そして、圧延加工されて厚みが第1寸法になった銅箔に対して、エッチングを行なって、厚みを第2寸法(0.5μm〜12μm)まで薄くして金属層3を形成する。具体的には、銅箔6μmを硫酸、過酸化水素水のエッチング液に浸して厚み2μmに加工する。尚、エッチングされた銅箔面に対し、プラズマ処理を行なって接着性を改質することが好ましい。
さらに、金属層3の一方面については、異方導電性接着剤層4をコーティングする。また、形成した金属層3の他方面については、保護フィルムである絶縁層2を貼付する。尚、絶縁層を形成する工程を省くこともできる。
本実施形態のシールドフィルム1の製造方法について説明する。
先ず、回転するロールの間に銅を通して圧延加工を行い、厚みを第1寸法まで薄くする。この第1寸法の厚みの下限は、3μmが好ましく、6μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。また、この第1寸法の厚みの上限は35μmが好ましく、18μmがより好ましく、12μmがさらに好ましい。
そして、圧延加工されて厚みが第1寸法になった銅箔に対して、エッチングを行なって、厚みを第2寸法(0.5μm〜12μm)まで薄くして金属層3を形成する。具体的には、銅箔6μmを硫酸、過酸化水素水のエッチング液に浸して厚み2μmに加工する。尚、エッチングされた銅箔面に対し、プラズマ処理を行なって接着性を改質することが好ましい。
さらに、金属層3の一方面については、異方導電性接着剤層4をコーティングする。また、形成した金属層3の他方面については、保護フィルムである絶縁層2を貼付する。尚、絶縁層を形成する工程を省くこともできる。
(シールドプリント配線板10の製造方法)
先ず、基体フィルム8の絶縁フィルム7に対して、レーザー加工などによって穴を開けて絶縁除去部7aを形成する。これにより、グランド回路6bの一部の領域が絶縁除去部7aにおいて外部に露出される。
次に、基体フィルム8の絶縁フィルム7上に、シールドフィルム1が接着される。この接着時においては、ヒーターによってシールドフィルム1を加熱しながら、プレス機によって上下方向からプリント配線板10とシールドフィルム1とを圧着する。これにより、シールドフィルム1の異方導電性接着剤層4がヒーターの熱によって軟らかくなり、プレス機の加圧によって絶縁フィルム7上に接着される。この際、柔らかくなった異方導電性接着剤層4の一部が絶縁除去部7aに充填される。従って、絶縁除去部7aで露出していたグランド回路6bの一部が充填された異方導電性接着剤層4に接着する。これにより、グランド回路6bと金属層3とが異方導電性接着剤層4を介して電気的に接続されることになる。
先ず、基体フィルム8の絶縁フィルム7に対して、レーザー加工などによって穴を開けて絶縁除去部7aを形成する。これにより、グランド回路6bの一部の領域が絶縁除去部7aにおいて外部に露出される。
次に、基体フィルム8の絶縁フィルム7上に、シールドフィルム1が接着される。この接着時においては、ヒーターによってシールドフィルム1を加熱しながら、プレス機によって上下方向からプリント配線板10とシールドフィルム1とを圧着する。これにより、シールドフィルム1の異方導電性接着剤層4がヒーターの熱によって軟らかくなり、プレス機の加圧によって絶縁フィルム7上に接着される。この際、柔らかくなった異方導電性接着剤層4の一部が絶縁除去部7aに充填される。従って、絶縁除去部7aで露出していたグランド回路6bの一部が充填された異方導電性接着剤層4に接着する。これにより、グランド回路6bと金属層3とが異方導電性接着剤層4を介して電気的に接続されることになる。
以上、本発明の実施形態を説明した。尚、本発明は上記の実施形態に限定される必要はない。
例えば、本実施形態に係るシールドプリント配線板10において、シールドフィルム1は片面に貼付されるものであったがこれに限定されない。例えば、シールドフィルムが両面に貼付されるものでもよい。
また、本実施形態に係るシールドプリント配線板10において、金属層3を形成する金属材料として銅を使用した場合、製造条件・製造工程の影響で金属層3の表面が酸化し、表面抵抗が上昇してしまう場合がある。このように表面抵抗が上昇すると、異方導電性接着剤層4からグランド回路6bへの接続抵抗も上昇することになり、結果としてシールドフィルム1のシールド効果を低下させてしまうおそれがある。
そこで、図11に示すように、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、表面抵抗・接触抵抗の低い保護金属層3aを設ける構成にしてもよい。この場合の保護金属層3aには、銀(Ag)や金(Au)を使用するのが好ましい。また、保護金属層3aの形成方法としては、上記金属層3の形成方法同様に、アディティブ法である真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキなどの手法が挙げられる。
このように、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に保護金属層3aを設けることにより、金属層3の酸化を抑制して、金属層3の表面抵抗の上昇を抑制することができ、安定したシールド効果を保持することができる。
そこで、図11に示すように、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、表面抵抗・接触抵抗の低い保護金属層3aを設ける構成にしてもよい。この場合の保護金属層3aには、銀(Ag)や金(Au)を使用するのが好ましい。また、保護金属層3aの形成方法としては、上記金属層3の形成方法同様に、アディティブ法である真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキなどの手法が挙げられる。
このように、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に保護金属層3aを設けることにより、金属層3の酸化を抑制して、金属層3の表面抵抗の上昇を抑制することができ、安定したシールド効果を保持することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施形態に記載された、作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
次に、本実施形態に係るシールドフィルムの実施例1〜5と比較例1・2とを用いて、本発明を具体的に説明する。
尚、実施例1〜5と比較例1・2について、表1に示すシールドフィルム(測定試料)101を用いた。尚、表1には、金属層の製造方法及び材料、並びに、接着剤層が異方導電性接着剤であるか等方導電性接着剤であるかを示している。
尚、実施例1〜5と比較例1・2について、表1に示すシールドフィルム(測定試料)101を用いた。尚、表1には、金属層の製造方法及び材料、並びに、接着剤層が異方導電性接着剤であるか等方導電性接着剤であるかを示している。
<電界波及び磁界波シールド特性>
先ず、シールドフィルムの電界波及び磁界波シールド特性について、一般社団法人KEC関西電子工業振興センターで開発された電磁波シールド効果測定装置11(電界波シールド効果評価装置11a、磁界波シールド効果評価装置11b)を用いたKEC法により評価した。図3は、KEC法で用いられるシステムの構成を示す図である。KEC法で用いられるシステムは、電磁波シールド効果測定装置11と、スペクトラム・アナライザ21と、10dBの減衰を行うアッテネータ22と、3dBの減衰を行うアッテネータ23と、プリアンプ24とで構成される。
尚、スペクトラム・アナライザ21には、株式会社アドバンテスト社製のU3741を用いた。また、アジレントテクノロジーズ社製のHP8447Fを用いた。
先ず、シールドフィルムの電界波及び磁界波シールド特性について、一般社団法人KEC関西電子工業振興センターで開発された電磁波シールド効果測定装置11(電界波シールド効果評価装置11a、磁界波シールド効果評価装置11b)を用いたKEC法により評価した。図3は、KEC法で用いられるシステムの構成を示す図である。KEC法で用いられるシステムは、電磁波シールド効果測定装置11と、スペクトラム・アナライザ21と、10dBの減衰を行うアッテネータ22と、3dBの減衰を行うアッテネータ23と、プリアンプ24とで構成される。
尚、スペクトラム・アナライザ21には、株式会社アドバンテスト社製のU3741を用いた。また、アジレントテクノロジーズ社製のHP8447Fを用いた。
図3に示すように、電界波及び磁界波シールド特性の測定で用いる治具(測定治具13・15)が夫々異なっている。図3(a)が電界波シールド効果評価装置11aを示し、図3(b)が磁界波シールド効果評価装置11bを示す。
電界波シールド効果評価装置11aには、2つの測定治具13が対向して設けられている。この測定治具13・13間に、表1に示される測定対象のシールドフィルム(測定試料)101が挟持されるように設置する。測定治具13には、TEMセル(Transverse ElectroMagnetic Cell)の寸法配分が取り入れられ、その伝送軸方向に垂直な面内で左右対称に分割した構造になっている。但し、測定試料101の挿入によって短絡回路が形成されることを防止するために、平板状の中心導体14は各測定治具13との間に隙間を設けて配置されている。
また、電界波シールド効果評価装置11aには、2つの測定治具15が対向して設けられている。この測定治具15・15間に、測定対象のシールドフィルム101が挟持されるように設置される。磁界波シールド効果評価装置11bは、磁界波成分の大きな電磁界を発生させるために、測定治具15にシールド型円形ループ・アンテナ16を使用し、90度角の金属板と組み合わせて、ループ・アンテナの1/4の部分が外部に出ている構造になっている。
電界波シールド効果評価装置11aには、2つの測定治具13が対向して設けられている。この測定治具13・13間に、表1に示される測定対象のシールドフィルム(測定試料)101が挟持されるように設置する。測定治具13には、TEMセル(Transverse ElectroMagnetic Cell)の寸法配分が取り入れられ、その伝送軸方向に垂直な面内で左右対称に分割した構造になっている。但し、測定試料101の挿入によって短絡回路が形成されることを防止するために、平板状の中心導体14は各測定治具13との間に隙間を設けて配置されている。
また、電界波シールド効果評価装置11aには、2つの測定治具15が対向して設けられている。この測定治具15・15間に、測定対象のシールドフィルム101が挟持されるように設置される。磁界波シールド効果評価装置11bは、磁界波成分の大きな電磁界を発生させるために、測定治具15にシールド型円形ループ・アンテナ16を使用し、90度角の金属板と組み合わせて、ループ・アンテナの1/4の部分が外部に出ている構造になっている。
尚、表1に示す実施例3、実施例5、及び、比較例1のシールドフィルム101について、15cm四方に裁断したもの用いて測定を行った。また、1MHz〜1GHzの周波数範囲で測定を行った。また、温度25℃、相対湿度30〜50%の雰囲気で測定を行った。
KEC法は、先ず、スペクトラム・アナライザ21から出力した信号を、アッテネータ22を介して送信側の測定治具13又は測定治具15に入力する。そして、受信側の測定治具13又は測定治具15で受けてアッテネータ23を介した信号をプリアンプ24で増幅してから、スペクトラム・アナライザ21により信号レベルを測定する。尚、スペクトラム・アナライザ21は、シールドフィルムを電磁波シールド効果測定装置11に設置していない状態を基準として、シールドフィルムを電磁波シールド効果測定装置11に設置した場合の減衰量を出力する。
KEC法による電界波シールド性能の測定結果を図4(a)に、磁界波シールド性能の測定結果を図4(b)に、それぞれ示す。これを見ると比較例1に対して、実施例3・5の減衰量が大きく、シールド特性として効果的であることが分かった。
<周波数特性>
次に、シールドフィルムの周波数特性について、図5に示すような、ネットワークアナライザ31を用いて評価した。尚、ネットワークアナライザ31には、ローデ・シュワルツ社製のZVL6を用いた。ネットワークアナライザ31は、入力端子と出力端子とを有し、これらの夫々に接続用基板32が接続されている。この1対の接続用基板32の間に、測定対象のシールドフレキシブルプリント配線板110を空中に浮かした直線状態に支持されるように接続して測定を行う。
次に、シールドフィルムの周波数特性について、図5に示すような、ネットワークアナライザ31を用いて評価した。尚、ネットワークアナライザ31には、ローデ・シュワルツ社製のZVL6を用いた。ネットワークアナライザ31は、入力端子と出力端子とを有し、これらの夫々に接続用基板32が接続されている。この1対の接続用基板32の間に、測定対象のシールドフレキシブルプリント配線板110を空中に浮かした直線状態に支持されるように接続して測定を行う。
尚、表1に示す実施例5、比較例1、及び、比較例2のシールドフィルム101を用いて、図2(b)に示すような、プリント回路にグランド回路を含まないシールドフレキシブルプリント配線板110を作製したもの(以下、片面シールドと称す)を測定対象(シールドフレキシブルプリント配線板110a)とした。また、シールドフレキシブルプリント配線板110aのベースフィルム側にシールドフィルム101を貼付して作製したもの(以下、両面シールドと称す)についても測定対象(シールドフレキシブルプリント配線板110b)とした。これらのシールドフレキシブルプリント配線板110において、厚さ12.5μmポリイミドフィルムと厚さ25μmの接着剤層を合わせた37.5μmの絶縁フィルムを用いた。また、回路パターンには、12μmの銅箔に6μmの銅メッキを施したものを用いた。尚、上述のように回路パターンには、グランド回路は含まれない。また、ベースフィルムには、25μmのポリイミドフィルムを用いた。また、シールドフレキシブルプリント配線板110は、200mmの長さのものを用いた。また、100kHz〜6GHzの周波数範囲で測定を行った。また、温度25℃、相対湿度30〜50%の雰囲気で測定を行った。
ネットワークアナライザ31は、入力した信号が出力した信号に対してどれだけ減衰したかを、周波数ごとに測定する。ネットワークアナライザ31による片面シールドの測定結果を図6(a)に、両面シールドの測定結果を図6(b)に、それぞれ示す。これを見ると、片面シールド及び両面シールドのいずれにおいても、比較例1・2に対して、実施例5の減衰量が低く、良好な伝送特性を有していることが分かった。
図6(a)および図6(b)について、比較例1、2、実施例5の代表的な周波数での減衰量を表2に示す。
表2の測定結果によると、10MHzをこえた30MHzあたりから、金属層に銅箔を用いたもの(実施例5及び比較例2)と金属層に銅箔を用いていないもの(比較例1)とでは減衰量に差が出始め、それが高周波側になると顕著になっていく。さらに、6GHz(6000MHz)では比較例1と等方導電性接着剤を使用した比較例2のものが同程度の減衰量になっているのに対して、異方導電性接着剤を使用した実施例5のものは減衰量が小さくなっている。これにより、本発明のシールドフィルムは、10MHz〜10GHzの周波数の信号を伝送する信号伝送系に対するシールドフィルムとして適用することで、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽することができる。
<出力波形特性>
次に、シールドフィルムの出力波形特性について、図7に示すような、システム構成を用いて評価した。このシステムは、データジェネレータ41と、オシロスコープ42と、オシロスコープ42に取り付けられたサンプリングモジュール43と1対の接続用基板32とで構成される。
尚、データジェネレータ41には、アジレントテクノロジーズ社製の81133Aを用いた。オシロスコープ42には、テクトロニクス社製のDSC8200を用いた。またサンプリングモジュール43は、テクトロニクス社製の80E03を用いた。
次に、シールドフィルムの出力波形特性について、図7に示すような、システム構成を用いて評価した。このシステムは、データジェネレータ41と、オシロスコープ42と、オシロスコープ42に取り付けられたサンプリングモジュール43と1対の接続用基板32とで構成される。
尚、データジェネレータ41には、アジレントテクノロジーズ社製の81133Aを用いた。オシロスコープ42には、テクトロニクス社製のDSC8200を用いた。またサンプリングモジュール43は、テクトロニクス社製の80E03を用いた。
図7に示すように、接続用基板32は、入力端子と出力端子とを有しており、1対の接続用基板32との間に、測定対象のシールドフレキシブルプリント配線板110を空中に浮かした直線状態に支持されるように接続し、さらに、データジェネレータ41とサンプリングモジュール43とに接続してアイパターンの観測を行う。
尚、周波数特性の測定で用いたシールドプリント配線板110と同様のものを用いて測定を行った。また、150mV/side(300mVdiff)の入力振幅とした。また、データパターンは、PRBS23とした。また、温度25℃、相対湿度30〜50%の雰囲気で測定を行った。
オシロスコープ42で観測された、ビットレートが1.0Gbpsである場合の測定結果を図8(a)に、ビットレートが3.0Gbpsである場合の測定結果を図8(b)に、それぞれ示す。これを見ると、いずれのビットレートにおいても、片面シールド又は両面シールドによらず、実施例5よりも比較例1・2のアイパターンでジッタが多く出ており、実施例5の方が高速処理に適していることが分かった。
<形状保持性>
次に、シールドフィルムの形状保持性について評価を行った。尚、50μmポリイミドフィルムの両面に、表1に示すシールドフィルム101を貼り合わせたものを試験体51とした。試験体51は、10mm×100mmの形状に切り出したものを用いた。
図9に示すように、このような試験体51を長手方向の中心付近(50mm辺り)の曲折部51aで軽く折り目を付けるように曲折し、この曲折部51aにより分けられる上部51bと下部51cとが対向するような態様とした。
このような試験体51の全体をPP(ポリプロピレン)基板54上に載置すると共に、試験体51の長手方向と並行になるように、試験体51の両サイドにスペーサとして厚さ0.3mmのSUS板(図示せず)を配置した。そして、上方からシリコンゴム53を下降させて試験体51全体をSUS板と共にプレスした。即ち、0.3mmのSUS板があることにより、試験体51の曲折部51aにおける曲げ半径は0.15mmとなる。
そして、プレスによる加圧力を0.1MPa、0.3MPaの両方の場合について、加圧時間を1秒・3秒・5秒とし、プレス後の試験体51について、上部51bと下部51cとがなす角度(戻り角)を計測した。
後述の表3に、実施例1から5と比較例1,2について、戻り角を計測した結果を示す。評価は両面貼付のものについて、角度が90度以内のものは○、120度を超えるものは×とした。表3によると、圧延銅箔の方が良好な形状保持性を有していることがわかる。即ち、圧延銅箔が、形状保持性にとって有効であることがわかる。
次に、シールドフィルムの形状保持性について評価を行った。尚、50μmポリイミドフィルムの両面に、表1に示すシールドフィルム101を貼り合わせたものを試験体51とした。試験体51は、10mm×100mmの形状に切り出したものを用いた。
図9に示すように、このような試験体51を長手方向の中心付近(50mm辺り)の曲折部51aで軽く折り目を付けるように曲折し、この曲折部51aにより分けられる上部51bと下部51cとが対向するような態様とした。
このような試験体51の全体をPP(ポリプロピレン)基板54上に載置すると共に、試験体51の長手方向と並行になるように、試験体51の両サイドにスペーサとして厚さ0.3mmのSUS板(図示せず)を配置した。そして、上方からシリコンゴム53を下降させて試験体51全体をSUS板と共にプレスした。即ち、0.3mmのSUS板があることにより、試験体51の曲折部51aにおける曲げ半径は0.15mmとなる。
そして、プレスによる加圧力を0.1MPa、0.3MPaの両方の場合について、加圧時間を1秒・3秒・5秒とし、プレス後の試験体51について、上部51bと下部51cとがなす角度(戻り角)を計測した。
後述の表3に、実施例1から5と比較例1,2について、戻り角を計測した結果を示す。評価は両面貼付のものについて、角度が90度以内のものは○、120度を超えるものは×とした。表3によると、圧延銅箔の方が良好な形状保持性を有していることがわかる。即ち、圧延銅箔が、形状保持性にとって有効であることがわかる。
<摺動性>
IPC規格に則り、図10に示すように、固定板121と摺動板122との間にシールドフレキシブルプリント配線板111(上記実施例1〜5、比較例1、2の試料のいずれかを用いて作製したものである)を、曲率を0.65mm、固定板121と摺動板122とのギャップを1.30mmとした状態でU字型に屈曲させて装着し、試験雰囲気25℃、相対湿度30〜50%において、摺動板122を50mmのストローク(摺動領域25mm)、摺動速度60cpmで上下に摺動させたときのシールドフレキシブルプリント配線板おけるシールドフィルムの金属層の耐性(何回の摺動に耐えうるか)について検証した。なお、各シールドフィルムは、長さが140mmのものを使用した。実施例1〜5、及び、比較例1,2の検証結果を、形状保持性と共に下記表3に示す。
IPC規格に則り、図10に示すように、固定板121と摺動板122との間にシールドフレキシブルプリント配線板111(上記実施例1〜5、比較例1、2の試料のいずれかを用いて作製したものである)を、曲率を0.65mm、固定板121と摺動板122とのギャップを1.30mmとした状態でU字型に屈曲させて装着し、試験雰囲気25℃、相対湿度30〜50%において、摺動板122を50mmのストローク(摺動領域25mm)、摺動速度60cpmで上下に摺動させたときのシールドフレキシブルプリント配線板おけるシールドフィルムの金属層の耐性(何回の摺動に耐えうるか)について検証した。なお、各シールドフィルムは、長さが140mmのものを使用した。実施例1〜5、及び、比較例1,2の検証結果を、形状保持性と共に下記表3に示す。
また、上述した周波数特性、及び、シールド特性についての実施例1〜5、及び、比較例1,2の検証結果についても表3に示す。周波数特性については、減衰が−3dBになったときと−10dBになったときの周波数について示している。また、シールド特性については、1GHz時の電界波に対する減衰量を示している。
表3の検証結果によると、高速伝送対応においては、同じ減衰値に対して、異方導電性接着剤を用いた場合は高い周波数を示していることが分かる。即ち、高い周波数まで、減衰しないことを示しており、異方導電性接着剤を用いた場合に高速処理に対応できることが明らかである。
また、シールド特性においては、金属層が0.5μm以上ある場合に、高いシールド特性を示している。
従って、金属層を少なくとも0.5μmの厚さとして、かつ、異方導電性接着剤を用いることで、シールド特性を維持しつつ高速処理化に対応可能なシールドフィルムを提供することができる。
また、摺動性に関しては、金属層が5μmを超えると極端に低下することがわかる。従って、摺動性を求める場合は、金属層を5μm以下とするのが好ましいことが明らかである。
また、形状保持性に関しては、金属層を銅箔とし、圧延加工により形成した場合に良好な形状保持性が得られることがわかる。従って、形状保持性を求める場合は、圧延銅箔とするのが好ましいことが明らかである。
また、シールド特性においては、金属層が0.5μm以上ある場合に、高いシールド特性を示している。
従って、金属層を少なくとも0.5μmの厚さとして、かつ、異方導電性接着剤を用いることで、シールド特性を維持しつつ高速処理化に対応可能なシールドフィルムを提供することができる。
また、摺動性に関しては、金属層が5μmを超えると極端に低下することがわかる。従って、摺動性を求める場合は、金属層を5μm以下とするのが好ましいことが明らかである。
また、形状保持性に関しては、金属層を銅箔とし、圧延加工により形成した場合に良好な形状保持性が得られることがわかる。従って、形状保持性を求める場合は、圧延銅箔とするのが好ましいことが明らかである。
<接続抵抗>
次に、シールドプリント配線板10を製造する製造工程を経たシールドフィルムとシールドプリント配線板との接続抵抗について測定した(リフロー後の接続抵抗の測定)。具体的には、表4に示すように、実施例6では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀を真空蒸着させて厚み0.05μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例7では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀を真空蒸着させて厚み0.1μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例8では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀をメッキして厚み0.05μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例9では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀をメッキして厚み0.1μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例5では、銅箔の処理として防錆処理を施し、保護金属層3aを設けないシールドプリント配線板におけるシールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。なお、実施例5〜9のシールドフィルム1は、絶縁層2の厚みを5μm、金属層3(圧延銅箔)の厚みを6μm、異方導電性接着剤層4の厚みを9μmにしており、また、実施例6〜9のシールドフィルム1は、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に保護金属層3aを更に設けた構成としている。
次に、シールドプリント配線板10を製造する製造工程を経たシールドフィルムとシールドプリント配線板との接続抵抗について測定した(リフロー後の接続抵抗の測定)。具体的には、表4に示すように、実施例6では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀を真空蒸着させて厚み0.05μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例7では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀を真空蒸着させて厚み0.1μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例8では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀をメッキして厚み0.05μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例9では、銅箔には防錆処理を施さず、シールドフィルム1の金属層3と異方導電性接着剤層4との間に、銀をメッキして厚み0.1μmにした保護金属層3aを設けたシールドプリント配線板10を使用して、シールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。また、実施例5では、銅箔の処理として防錆処理を施し、保護金属層3aを設けないシールドプリント配線板におけるシールドフィルム1とグランド回路6bとの間の接続抵抗値(Ω)を測定した。なお、実施例5〜9のシールドフィルム1は、絶縁層2の厚みを5μm、金属層3(圧延銅箔)の厚みを6μm、異方導電性接着剤層4の厚みを9μmにしており、また、実施例6〜9のシールドフィルム1は、金属層3と異方導電性接着剤層4との間に保護金属層3aを更に設けた構成としている。
表4の測定結果によると、実施例5の接続抵抗であっても2Ω以下であるので実用に耐えるレベルであるが、実施例6〜9のように、保護金属層3aを設けた方が、接続抵抗はより小さくなることが分かる。更に、実施例6と実施例8、及び、実施例7と実施例9を比べると、保護金属層3aの形成方法として、真空蒸着するよりもメッキにより形成した方が、接続抵抗は小さくなることが分かる。また、実施例6と実施例7、及び、実施例8と実施例9を比べると、保護金属層3aは、厚みがあった方が、接続抵抗は小さくなることが分かる。
1 シールドフィルム
2 絶縁層
3 金属層
4 異方導電性接着剤層
5 ベースフィルム
6 プリント回路
6a 信号回路
6b グランド回路
6c 非絶縁部
7 絶縁フィルム
7a 絶縁除去部
8 基体フィルム
10 シールドプリント配線板
2 絶縁層
3 金属層
4 異方導電性接着剤層
5 ベースフィルム
6 プリント回路
6a 信号回路
6b グランド回路
6c 非絶縁部
7 絶縁フィルム
7a 絶縁除去部
8 基体フィルム
10 シールドプリント配線板
Claims (12)
- 層厚が0.5μm〜12μmの金属層と、異方導電性接着剤層とを積層状態で備えたことを特徴とするシールドフィルム。
- 前記金属層が金属箔であることを特徴とする請求項1に記載のシールドフィルム。
- 前記金属箔が圧延加工により形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載のシールドフィルム。
- 前記金属箔は、エッチングにより層厚が調整されたものであることを特徴とする請求項3に記載のシールドフィルム。
- 前記金属箔は、銅を主成分としていることを特徴とする請求項4に記載のシールドフィルム。
- 前記銅を主成分とする金属箔で形成された金属層と前記異方導電性接着剤層との間に保護金属層を設けたことを特徴とする請求項5に記載のシールドフィルム。
- 前記金属層は、アディティブ法により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のシールドフィルム。
- 前記アディティブ法として、電解メッキ法及び無電解メッキ法の少なくとも1つを使用して前記金属層を形成したことを特徴とする請求項7に記載のシールドフィルム。
- 10MHz〜10GHzの周波数の信号を伝送する信号伝送系に対する電磁波シールドフィルムとして適用されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のシールドフィルム。
- プリント回路が形成されたベース部材と、当該プリント回路を覆って当該ベース部材上に設けられた絶縁フィルムと、を有したプリント配線板と、
前記プリント配線板上に設けられた請求項1乃至8の何れか1項に記載のシールドフィルムと、
を有することを特徴とするシールドプリント配線板。 - 前記プリント回路は、グランド用配線パターンを含んでいることを特徴とする請求項10に記載のシールドプリント配線板。
- 圧延加工により所定寸法の層厚の金属箔とした後に、その金属箔をエッチングにより0.5μm〜12μm内の所定の層厚にする工程と、
前記金属層の一方面に異方導電性接着剤層を形成する工程と
を備えたことを特徴とするシールドフィルムの製造方法。
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