JPWO2012147705A1 - トレハロースを含有する炎症性呼吸器疾患の治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は,生体親和性に優れる炎症性呼吸器疾患の治療剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は,基本的には,トレハロース又はその誘導体により炎症性呼吸器疾患を治療することができるという実施例に基づくものである。本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は,トレハロースを有効成分とするため,生体親和性に優れた炎症性呼吸器疾患の治療剤を提供することができる。本発明は,特に気管支喘息の治療剤として有効に利用されうる。【選択図】図2

Description

本発明は,有効成分としてのトレハロースを有効量含有する炎症性呼吸器疾患等のアレルギー疾患の治療剤に関するものである。
特開2007−1926号公報には,トレハロースを糖類(担体)として用いる気管支喘息治療剤が開示されている。特開2007−1926号公報に開示された気管支喘息治療剤の有効成分は抗炎症ステロイドである。特開2007−1926号公報には,実際にトレハロースを用いた実施例は開示されていない。
特開2005−502675号公報には,喘息治療用の薬剤組成物が開示されている。この喘息治療用組成物は,バルキング剤としてトレハロースを含有しても良い旨が開示されている(請求項18)。特開2005−502675号公報において,バルキング剤は活性薬剤成分が分散されている不活性物質とされている([0021])。特開2005−502675号公報には,実際にトレハロースを用いた実施例は開示されていない。
特開2009−001548号公報には,トレハロースからなる気道杯細胞過形成抑制剤が開示されている。この公報によれば,トレハロースは,気道杯細胞の過形成を抑制し,その結果,咳を鎮め,痰を除去する効果があるとされている。また,この剤は,感冒の予防及び治療に有効であると考えられている。一方,この公報の実施例は,トレハロースが気道杯細胞の過形成を抑制することのみを検証している。
特開2007−1926号公報 特開2005−502675号公報 特開2009−001548号公報
本発明は,生体親和性に優れる炎症性呼吸器疾患などのアレルギー性疾患の治療剤を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,トレハロース又はトレハロースの誘導体により炎症性呼吸器疾患などのアレルギー性疾患を治療することができるという実施例に基づくものである。この発明の好ましい側面は,対象疾患が気管支喘息のものである。なお,対象症状が,気道狭窄であってもよい。そして,この発明の好ましい態様は,有効成分としてのトレハロース又はトレハロースの誘導体に加えて,ステロイド,抗生物質,抗ロイコトリエン薬,肥満細胞脱顆粒抑制薬,抗アレルギー薬,気管支拡張薬,メチルキサンチン系薬物,抗コリン薬及び抗ヒスタミン剤のいずれか又は2種以上をさらに含むものである。
本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は,トレハロース又はトレハロースの誘導体を有効成分とするため,生体親和性に優れた炎症性呼吸器疾患の治療剤を提供することができる。
図1Aは,マウスに吸入投与させるための系を示す図面に替わる写真である。 図1Bは,図1Aのうち,マウスとマウス収容容器部分を拡大した図面に替わる写真である。 図2は,気管支肺胞洗浄液中に含まれる細胞数とその分類を示す図面に替わるグラフである。 図3は,ムスカリン受容体刺激薬の量と気道コンプライアンスの関係を示す図である。 図4は,ムスカリン受容体刺激薬の量と気道抵抗の関係を示す図である。 図5は,マウス肺組織をH.E.染色した様子を示す図面に替わる写真である。 図6は,マウス肺組織をPAS染色した様子を示す図面に替わる写真である。 図7は,気管支肺胞の洗浄液中に含まれるサイトカインの量を測定したものである。図7Aは,IL−4の量を示し,図7Bは,IL−5の量を示し,図7Cは,IL−13の量を示す。 図8は,血清中のIgE抗体の量を測定したものである。図8Aは,総IgEの量を示し,図8Bは抗原(卵白アルブミン)特異的なIgEの量を示す。 図9は,実施例2における気道抵抗の測定結果を示す図である。 図10は,実施例2における気道コンプライアンスの測定結果を示す図である。 図11は,実施例2における気管支肺胞洗浄液に含まれる炎症を惹起する細胞の数の測定結果を示す図である。
以下,本発明の実施の形態について説明する。以下,トレハロース又はトレハロースの誘導体を有効成分として含有する気管支喘息の治療剤や炎症性呼吸器疾患の治療剤を中心に説明する。
本発明のアレルギー性疾患の治療剤の有効成分であるトレハロース又はトレハロースの誘導体は,既に知られた化合物であり,市販されている。
トレハロースには,含水結晶トレハロース,無水結晶トレハロース,及びトレハロース含有糖液が含まれる。また,トレハロースには,α,α−トレハロース(狭義のトレハロース),α,β−トレハロース(ネオトレハロース),及びβ,β−トレハロース(イソトレハロース)も含まれる。トレハロースとして,α,α−トレハロース(α−D−グルコピラノシルα−Dグリコピラノシド)の含水結晶トレハロース又は無水結晶トレハロースが好ましい。なお,トレハロースには,トレハロースのプロドラッグが含まれる。すなわち,例えば,トレハロースに保護基がつけられており,本発明の剤が投与された後に生体内でトレハロースを生ずるものは,実質的にトレハロースを有効成分として含むこととなる。
トレハロースの誘導体の例は,トレハロースの糖質誘導体,アセチル化或いは長鎖のアシル基でアシル化したアシル化誘導体,硫酸エステル化した硫酸化トレハロース及びその薬学的に許容される塩,リン酸エステル化したリン酸化トレハロース又はその薬学的に許容される塩である。トレハロースの糖質誘導体の例は,分子内にトレハロース構造を有する3個以上のグルコースからなる非還元性オリゴ糖である。トレハロースの糖質誘導体は,分子の末端にトレハロース構造を持つ糖質が好ましい。分子の末端にトレハロース構造を持つ糖質の例は,α−グルコシルα,α−トレハロースなどのグルコシルトレハロース,α−マルトシルα,α−トレハロース,α−マルトトリオシルα,α−トレハロース及びα−マルトテトラオシルα,α−トレハロースである。トレハロースの糖質誘導体は,全糖質に対して,α−グルコシルα,α−トレハロースを,無水物換算で,約5質量%以上,望ましくは約10質量%以上,さらに望ましくは約30質量%以上含有する糖質が望ましい。トレハロースの糖質誘導体は,例えば,α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売,商品名「ハローデックス」),これを水素添加して共存する還元性糖質をその糖アルコールに変換した糖質(株式会社林原生物化学研究所販売,商品名「トルナーレ」;α,α-トレハロースの糖質誘導体47%,水26%を含有)として市販されている。硫酸化トレハロース又はその薬学的に許容される塩は市販されている。薬学的に許容される塩の例は,ナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩,カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属塩,アンモニウム塩,トリエタノールアミン塩,トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類,リジン塩,アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩である。
本発明に基づく,炎症性呼吸器疾患を含むアレルギー性疾患の治療においても,公知のトレハロースを適宜用いることができる。アレルギー性疾患の例はアトピー性皮膚炎,結膜炎,花粉症及び炎症性呼吸器疾患である。
トレハロースは,単体でも有効成分として用いることができる。また,トレハロースに他の有効成分を配合させることができる。本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は,トレハロースと他の有効成分との凍結乾燥(リオフィライズ)体であってもよい。トレハロースと配合剤とを投与する場合よりも,これらの分子間化合物を形成したものを投与した方が,炎症性呼吸器疾患の治療に有効な場合があるからである。
配合剤の例は,ステロイド,抗生物質,抗ロイコトリエン薬,肥満細胞脱顆粒抑制薬,抗アレルギー薬,気管支拡張薬,メチルキサンチン系薬物,抗コリン薬及び抗ヒスタミン剤である。
ステロイドの例は,プロピオン酸クロベタゾール,酢酸ジフロラゾン,フルオシノニド,フランカルボン酸モメタゾン,ジプロピオン酸ベタメタゾン,酪酸プロピオン酸ベタメタゾン,吉草酸ベタメタゾン,ジフルプレドナート,ブデソニド,吉草酸ジフルコルトロン,アムシノニド,ハルシノニド,デキサメタゾン,プロピオン酸デキサメタゾン,吉草酸デキサメタゾン,酢酸デキサメタゾン,酢酸ヒドロコルチゾン,酪酸ヒドロコルチゾン,酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン,プロピオン酸デプロドン,吉草酸酢酸プレドニゾロン,フルオシノロンアセトニド,プロピオン酸ベクロメタゾン,トリアムシノロンアセトニド,ピバル酸フルメタゾン,プロピオン酸アルクロメタゾン,酪酸クロベタゾン,プレドニゾロン,プロピオン酸ペクロメタゾン,フルドロキシコルチド,酢酸コルチゾン,ヒドロコルチゾン,リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム,コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム,酢酸フルドロコルチゾン,酢酸プレドニゾロン,コハク酸プレドニゾロンナトリウム,ブチル酢酸プレドニゾロン,リン酸プレドニゾロンナトリウム,酢酸ハロプレドン,メチルプレドニゾロン,酢酸メチルプレドニゾロン,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム,トリアムシノロン,酢酸トリアムシノロン,リン酸デキサメタゾンナトリウム,パルミチン酸デキサメタゾン,酢酸パラメサゾン,ベタメタゾン,プロピオン酸フルチカゾン,フルニソリド,ST−126P,シクレソニド,デキサメタゾンパロミチオネート,モメタゾンフランカルボネート,プラステロンスルホネート,デフラザコート,メチルプレドニゾロンスレプタネート,メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネートである。これらの中では,ステロイドとしてデキサメタゾン,ハイドロコルチゾン,及びプレドニゾロンが好ましい。
抗生物質の例は,セフロキシムナトリウム,メロペネム三水和物,硫酸ネチルマイシン,硫酸シソマイシン,セフチブテン,トブラマイシン,ドキソルビシン,硫酸アストロマイシン,及び塩酸セフェタメトピボキシルである。
抗ロイコトリエン薬の例は,プランルカスト,及びモンテルカストである。
肥満細胞脱顆粒抑制薬の例は,クロモグリク酸吸入薬である。
抗アレルギー薬の例は,スプラタミド,ケトチフェン,及びアゼラスチンである。
気管支拡張薬の種類は,短時間吸入薬,長時間吸入薬,貼付薬,及び内服薬がある。短時間吸入薬の例は,サルブタモール,プロカテロール,及びフェノテロールである。長時間吸入薬の例は,サルメテロール,及びホルメテゾールブテソニドである。貼付薬の例は,ツロブテロールである。内服薬の例は,ホルモテロールである。
メチルキサンチン系薬物の例は,テオフィリン,及びアミノフェリンである。
抗コリン薬の例は,臭化イプラトピウム及びオキシトロピウムである。
本発明の治療剤の対象となる炎症性呼吸器疾患の例は,急性咽頭炎,急性鼻炎,急性副鼻腔炎,急性扁桃炎,急性喉頭炎,急性喉頭蓋炎,急性気管炎などの急性上気道感染症;蓄膿症,慢性副鼻腔膿瘍,慢性副鼻腔化膿,慢性上顎洞炎,慢性前頭洞炎,慢性し骨洞炎,慢性蝶形骨洞炎,汎副鼻腔炎などの慢性副鼻腔炎;アレルギー性鼻炎;慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎,気管支拡張症などの慢性下気道感染症;肺気腫;肺炎;気管支喘息;肺結核後遺症;急性呼吸窮迫症候群;嚢胞性線維症;および肺線維症からなる群から選ばれる1種または2種以上の炎症性呼吸器疾患である。これらの中で,本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は,気道上皮傷害を抑制できるので気管支喘息の治療剤として好ましく用いることができる。
本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は,経口的に,あるいは静脈内,皮下,筋肉内,経皮,経鼻等の非経口的に,または吸入によって投与することができる。これらの中では,本発明の炎症性呼吸器疾患の治療剤は経鼻投与される液剤又は粉末剤であることが好ましい。
経口投与のための剤型の例は,錠剤,丸剤,散剤,顆粒剤,液剤,懸濁剤,シロップ剤,及びカプセル剤である
錠剤を調製する際には常法に従ってラクトース,スターチ,炭酸カルシウム,結晶性セルロース,あるいはケイ酸などの賦形剤;カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,リン酸カルシウム,あるいはポリビニルピロリドン等の結合剤;アルギン酸ナトリウム,重ソウ,ラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸モノグリセライド等の崩壊剤;グリセリン等の潤滑剤;カオリン,コロイド状シリカ等の吸収剤;タルク,粒状ホウ酸などの滑沢剤などの添加剤が用いられて製剤化される。
丸剤,散剤または顆粒剤も上記と同様添加剤を用いて常法に従って製剤化される。
液剤,懸濁剤,シロップ剤などの液体製剤も常法に従って製剤化される。担体としては例えばトリカプリリン,トリアセチン,ヨード化ケシ油脂肪酸エステル等のグリセロールエステル類;水;エタノール等のアルコール類;流動パラフィン,ココナッツ油,大豆油,ゴマ油,トウモロコシ油等の油性基剤が用いられる。
カプセル剤は散剤,顆粒剤,液体製剤等をゼラチン等のカプセルに充填することにより成型される。
静脈内,皮下,筋肉内投与の剤型としては無菌の水性あるいは非水溶性溶液剤などの形態にある注射剤がある。水溶性液剤は例えば生理食塩水などが用いられる。
経皮投与用薬剤の剤形の例は,軟膏,クリーム,ローション,液剤等が挙げられる。
経鼻による投与の製剤は,液状または粉末状の組成物として与えられる。液状剤の基剤としては水,食塩水,リン酸緩衝液,酢酸緩衝液等が用いられ,さらに界面活性剤,酸化防止剤,安定剤,保存剤,粘性付与剤を含んでいてもよい。粉末状剤の基剤としては,水吸収性のものが好ましく,例えば,水易溶性のポリアクリル酸ナトリウム,ポリアクリル酸カリウム,ポリアクリル酸アンモニウムなどのポリアクリル酸塩類,メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース低級アルキルエーテル類,ポリエチレングリコール,ポリビニルピロリドン,アミロース,プルランなどが,また水難溶性の結晶セルロース,α−セルロース,架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース類,ヒドロキシプロピン澱粉,カルボキシメチル澱粉,架橋澱粉,アミロース,アミロペクチン,ペクチンなどの澱粉類,ゼラチン,カゼイン,カゼインナトリウムなどのタンパク類,アラビアガム,トラガントガム,グルコマンナンなどのガム類,ポリビニルポリピロリドン,架橋ポリアクリル酸およびその塩,架橋ポリビニルアルコールなどが挙げられ,これらを混合して用いてもよい。さらに粉末状剤には,酸化防止剤,着色剤,保存剤,防腐剤,矯腐剤等を添加してもよい。かかる液状剤,粉末状剤は例えばスプレー器具等を用いて投与することができる。
また吸入のためには,スプレー,ネブライザー,アトマイザー等の投与装置を用いて,粉末状または液状組成物として疾患部位に投与することができる。あるいはフロン等のエアロゾル用噴射剤に懸濁することによって疾患部位に投与することもできる。
本発明の有効成分であるトレハロースの有効量は,投与経路,患者の年齢,性別,疾患の程度によって異なるが,通常0.01g/日〜10g/日,より好適には0.1g/日〜1g/日であり,投与回数は通常1〜3回/日であり,このような条件を満足するように製剤を調製するのが好ましい。
本発明は,有効成分としてのトレハロースと,薬学的に許容される担体とを含有する炎症性呼吸器疾患の治療用医薬組成物をも提供する。
本発明は,炎症性呼吸器疾患の治療剤を製造するための有効成分としてのトレハロースの使用をも提供する。本発明は,有効成分としてのトレハロースを有効量混合する工程を含む炎症性呼吸器疾患の治療剤を製造するため方法をも提供する。
本発明は,ヒト又は非ヒト哺乳動物に有効成分としてのトレハロースを有効量投与する工程を含む炎症性呼吸器疾患の治療方法をも提供する。
BALB/cマウス(8〜10週令)を用い,抗原として卵白アルブミン(OVA)を使用して,喘息モデルマウスを作成し,トレハロースを吸入投与することで検討を行った。初日及び14日目に生理食塩水又はOVAを腹腔内投与した。OVAは,1個体あたり20マイクログラム,アジュバンドとして水酸化アルミニウムを用いて投与した。27日目から31日目は,毎日10%トレハロース又は蒸留水を20分間吸入させることで投与した。また,28日目から30日目は,上記の吸入から1時間〜1.5時間後に生理食塩水又は1%OVAを20分間吸入させることで投与した。32日目に,アレルギー性気道炎及び気道過敏症を評価するためのアッセイ系にて評価を行った。
図1Aは,マウスに吸入投与させるための系を示す図面に替わる写真である。図1Bは,図1Aのうち,マウスとマウス収容容器部分を拡大した図面に替わる写真である。
図2は,気管支肺胞洗浄液中に含まれる細胞数とその分類を示す図面に替わるグラフである。図2中,Totalは全細胞,Moは単球,Lyはリンパ球,Eoは好酸球,Ntは好中球を示す。図中*は,Non/NonとOVA/OVAでt検定(P<0.05)による優位差が見出されたものを意味する。Non/Nonは,1日から14日に生理食塩水を投与し,28日から30日についても生理食塩水を投与したものを示す。OVA/OVAは,1日から14日にOVAを投与し,28日から30日についてもOVAを投与したものを示す。シャープは,OVA/OVAとOVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出されたものを意味する。OVA/OVA+Trehは,1日から14日にOVAを投与し,28日から30日についてもOVAを投与し27日目から31日は,トレハロースを投与したものを意味する。
図2から,Ly(リンパ球),Eo(好酸球)及び全体の細胞数において,OVA/OVAとOVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出された。
図3は,ムスカリン受容体刺激薬の量と気道コンプライアンスの関係を示す図である。図3から,ムスカリン受容体刺激薬が12.5mg/ml及び25mg/mlにおいて,Non/NonとOVA/OVAでt検定による優位差が見出された。また,同様にOVA/OVAとOVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出された。
図4は,ムスカリン受容体刺激薬の量と気道抵抗の関係を示す図である。図中*は,Non/NonとOVA/OVAでt検定(P<0.05)による優位差が見出されたものを意味する。図中シャープは,OVA/OVAとOVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出されたものを意味する。図4から,OVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出された。特に,ムスカリン受容体刺激薬が12.5mg/ml以上においてOVA/OVA+Trehの優位性が見いだされた。
図5は,マウス肺組織をH.E.染色した様子を示す図面に替わる写真である。図5に示される通り,Non/Nonは,肺組織中に好酸球を主体とした炎症細胞の浸潤が見られない。一方,OVA/OVAは広い領域について炎症細胞の浸潤が見られる。そして,OVA/OVA+Trehでは,細胞浸潤が軽減されている。
図6は,マウス肺組織をPAS染色した様子を示す図面に替わる写真である。トレハロースの前吸入により,好酸球を主体としたアレルギー性炎症による,気道上皮傷害が抑制されることが観察された。
図7は,気管支肺胞の洗浄液中に含まれるサイトカインの量を測定したものである。図7Aは,IL−4の量を示し,図7Bは,IL−5の量を示し,図7Cは,IL−13の量を示す。なお,インターフェロンγ(IFN−γ)は,いずれの群からも検出されなかった。図7A〜図7Cは,トレハロースによりサイトカインの発現を優位に抑制できることを示す。
図8は,血清中のIgE抗体の量を示す図である図8は,血清中のIgE抗体の量を測定したものである。図8Aは,総IgEの量を示し,図8Bは抗原(卵白アルブミン)特異的なIgEの量を示す。図8A及び図8Bから,トレハロースによりIgEの産生量を軽減できたことを示す。すなわち,トレハロースは,アレルギー疾患の予防に有効であるといえる。
ラクトースとトレハロースとの比較
市販されている吸入ステロイド剤には,ラクトースが含まれている。このため,ラクトースと比較してトレハロースが気道抵抗や気道コンプライアンスの点で優れているか否かについて検討した。
実施例1と同様にして喘息モデルマウスを得た。実施例1におけるOVA/OVA+Trehにおけるトレハロースに替えてラクトースを用いたものOVA/OVA+Lacについても気道抵抗及び気道コンプライアンスを測定した。
図9は,実施例2における気道抵抗の測定結果を示す図である。図9に示されるように,OVA/OVAとOVA/OVA+Lacとは気道抵抗について差がみられなかった。このことは,ラクトースには気道抵抗の上昇を抑制する作用がないことを示している。また,OVA/OVA+TrehとOVA/OVA+Lacとを比較すると,ラクトースに比べてトレハロースは,気道抵抗の上昇を抑制する作用が極めて高いことがわかる。
図10は,実施例2における気道コンプライアンスの測定結果を示す図である。図10に示されるように,OVA/OVAとOVA/OVA+Lacとは気道コンプライアンスについて差がみられなかった。このことは,ラクトースには気道コンプライアンスの改善作用がないことを示している。また,OVA/OVA+TrehとOVA/OVA+Lacとを比較すると,ラクトースに比べてトレハロースは,気道コンプライアンスを改善する作用が極めて高いことがわかる。
図11は,実施例2における気管支肺胞洗浄液に含まれる炎症を惹起する細胞の数の測定結果を示す図である。図11中,Totalは全細胞,Moは単球,Lyはリンパ球,Eoは好酸球,Ntは好中球を示す。図中*は,Non/Non(コントロール)とOVA/OVAでt検定(P<0.05)による優位差が見出されたものを意味する。シャープは,OVA/OVAとOVA/OVA+Trehでt検定による優位差が見出されたものを意味する。OVA/OVAとOVA/OVA+Lac(ラクトース)とでは優位差が見いだされなかった。
実施例2により,トレハロースの前吸入により,好酸球を主体としたアレルギー性気道炎症(炎症細胞浸潤・気道上皮細胞杯細胞過形成(傷害))と気道過敏性,さらには気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞やTh2サイトカイン,さらには血清IgEが有意に抑制されることが観察された。一方,ラクトースによる前吸入では気道抵抗や気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞は抑制されなかった。
本発明は,医薬産業において利用されうる。

Claims (5)

  1. トレハロース又はトレハロースの誘導体を有効成分として含有する炎症性呼吸器疾患の治療剤。
  2. 請求項1に記載の治療剤であって,
    前記炎症性呼吸器疾患が気管支喘息である,
    治療剤。
  3. 請求項1に記載の治療剤であって,
    ステロイド,抗生物質,非ステロイド系消炎鎮痛剤,及び抗ヒスタミン剤のいずれか又は2種以上をさらに含む,
    治療剤。
  4. トレハロース又はトレハロースの誘導体を有効成分として含有する気道狭窄抑制剤。
  5. トレハロース又はトレハロースの誘導体を有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療剤。
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