JPWO2012032609A1 - 治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法 - Google Patents

治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短い時間で改良MKM(マイクロドシメトリックキネティックモデル)を適用した治療計画を導出することのできる治療計画方法を提供する。
【解決手段】MKMを重粒子線用に改良した改良MKMを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画方法であって、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップS5と、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップS6と、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップS7と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出する治療計画方法、治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法に関する。
3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療では、治療を行う前にCTスキャンなどで得た画像や医学的所見などをもとに治療計画を作成している。
しかし、重粒子線治療で用いる重粒子線(ビームとも呼ばれる)を構成する重荷電粒子(一次粒子)は、患者の体内を飛行する際にそのエネルギーを損失したり、患者を構成する原子の原子核との間で生じる核反応にともなってその数を減らしたり、また、二次粒子を生成したりする。これらの重荷電粒子の相互作用は統計的に変動することからも、重粒子線には、図18に示すように、深さi1、i2、i3・・・inに応じて様々な種類、運動エネルギーをもったH、He、Li、Be、BなどのC以外の核種も混在することになり、イベント毎に患者体内の微小領域(ドメインと呼ばれる)へ付与されるエネルギー(比エネルギーと呼ぶ)には大きな広がりが生じる。重荷電粒子に対する細胞の生残率は、そのエネルギーによって大きく変化するため、同じ吸収線量であってもエネルギーの大きさによって細胞生残率が大きく変化してしまう。
したがって、重粒子線治療における治療計画の作成にあたっては、一般的な光子線治療や陽子線治療のように物理的な吸収線量(物理線量とも呼ばれる)のみに基づいて作成することはできず、生物学的効果を考慮した線量に基づいて腫瘍に照射する放射線量を決定している。なお、生物学的効果を考慮した線量としては、臨床線量や生物線量などが挙げられる。臨床線量とは、吸収線量と臨床結果の生物学的効果比(RBE;Relative Biological Effectiveness)との積で表される線量であり、生物線量とは、吸収線量と細胞照射実験のRBEとの積で表される線量である。また、RBEとは、異なった放射線の間で効果を比較する場合において、同じ効果を生ずるに必要な線量の逆比で得られる値であり、一般的に、式(1)のように定義される。
Figure 2012032609
式(1)において、Dstは基準X線によって目的とする効果(endpoint)を起こすのに必要な吸収線量であり、Dradは対象とする放射線によって同じendpointを起こすのに必要な吸収線量である。
前記した腫瘍に照射する放射線量の決定は、通常、重粒子治療のデータの少なさや臨床結果の評価の難しさなどの理由から、図19に示すように、生物線量を算出した後、この生物線量に、細胞から組織の応答に変換する経験的な係数(例えば1.45)を乗じて再スケールし、臨床線量としている。
最近、重粒子線治療におけるRBEを推定する一つの方法として、マイクロドシメトリックキネティックモデル(MKM)を重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデル(改良MKM)が提案された(非特許文献1、2)。MKMは、放射線によってドメインと呼ばれる微小体積内に付与されるエネルギー(比エネルギー)から細胞生残率を予測するモデルである。これを重粒子線用に改良した改良MKMは、重粒子線のように高い比エネルギーを付与するイベントのエネルギー付与分布(比エネルギースペクトル)から過剰殺傷効果(overkill)を考慮して補正した飽和補正線量平均比エネルギーz*を導出し、重粒子線治療照射場での細胞生残率を予測するというものである。ここで、飽和補正線量平均比エネルギーz*は、式(2)で求めることができる。
Figure 2012032609
式(2)において、zは過剰殺傷効果を考慮した補正を行っていない飽和未補正比エネルギーであり、f1(z)はドメインの単一のエネルギー付与イベントによって付与される飽和未補正比エネルギーzの確率密度であり、zsatは式(3)によって導かれる飽和補正比エネルギーである。
Figure 2012032609
式(3)におけるz0は飽和係数であり、式(4)によって導き出すことができる。
Figure 2012032609
式(4)において、Rnは細胞核の半径であり、rdはドメインの半径であり、βは放射線の種類に依存しない定数である。
図20を参照して改良MKMについてさらに詳しく説明する。
図20は、複数のペンシルビームが照射される混合照射場におけるRBEを改良MKMによって求める従来の概念を説明する図である。なお、この図20は、複数のビームとして最も簡単化した2つのビーム(ビーム1、ビーム2)の混合照射場について説明している。
図20の(a)は、ビーム1の線量を示しており、(b)はビーム2の線量を示している。そして、(d)と(e)はそれぞれ、ビーム1とビーム2の着目位置(深さ)iにおける比エネルギースペクトルである。
2つのビームの放射線照射場では、(a)に示すビーム1と(b)に示すビーム2とが加算され、(c)に示す線量となる。そして、着目位置iにおける比エネルギースペクトルは(d)に示す比エネルギースペクトルと(e)に示す比エネルギースペクトルとが加算され、(f)に示す比エネルギースペクトルとなる。
そして、加算して得た(f)の比エネルギースペクトルから過剰殺傷効果の補正を行った着目位置iにおける飽和補正線量平均比エネルギーz*(i)を求め、重粒子線治療照射場での細胞生残率Sを予測し、予測した細胞生残率SからRBEを推定する。ここで、細胞生残率Sは式(5)で算出することができる。
Figure 2012032609
なお、式(5)における<L>は細胞核内での致死傷害の平均数を表す指数であり、式(6)で算出することができる。
Figure 2012032609
式(6)において、α0は、線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数であり、Dは吸収線量であり、βはマイクロドシメトリックキネティックモデル(MKM)における放射線の種類に依存しない定数である。
α0+βz1D *≡αMKMと定義すれば、式(5)、(6)より、着目位置iでの細胞生残率S(i)は式(7)として計算することができる。なお、式(7)におけるD(i)は着目位置iでの吸収線量である。
Figure 2012032609
したがって、飽和補正線量平均比エネルギーがz*である混合照射場での着目位置iにおいて細胞生残率S(i)を達成したい場合は、式(8)で算出される吸収線量D(i)を照射すればよい。
Figure 2012032609
前述のとおり、RBEは目的となる放射線で細胞生残率Sを達成するのに要する吸収線量Drad(ここではD(i))と基準放射線で細胞生残率S(i)を達成するのに要する吸収線量Dstの比として式(1)で算出することができるので、着目位置iでのRBEは式(9)によって算出することが可能である。
Figure 2012032609
非特許文献1、2には、改良MKMによって推定したRBEやこれを用いた治療計画方法で作成した治療計画が、測定によって得られた実験値とよい一致性をもって再現できたことが示されている。
しかしながら、非特許文献1、2に記載の改良MKMに従って重粒子線を用いた3次元スポットスキャニング法におけるRBEを推定するためには、前述したように重粒子線照射場での細胞生残率Sを予測する必要があり、当該細胞生残率Sを予測するためには、図20を参照して説明したように、全ての着目位置(標的となる腫瘍のサイズにもよるが、例えば100000個)について、複数のペンシルビームから与えられる単一イベントの比エネルギースペクトルを加算し、さらに加算した比エネルギースペクトルから飽和補正線量平均比エネルギーz*(i)を求める必要があった。
3次元スポットスキャニング法の治療計画の導出には、逐次近似繰り返し演算が必要であり、逐次近似繰り返し演算に、加算した比エネルギースペクトルから飽和補正線量平均比エネルギーz*(i)を求める手法を適用すると、治療計画の導出に数日(例えば2〜3日)というような実用に耐えない長い計算時間を要するという問題があった。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出するにあたり、従来よりも短い時間で改良MKMを適用した治療計画を導出することのできる治療計画方法、治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法を提供することを課題とする。
〔1〕本発明に係る治療計画方法は、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画方法であって、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップと、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップと、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップと、を含むことを特徴とする。
〔2〕本発明に係る治療計画方法は、前記臨床線量算出ステップに続いて、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出ステップと、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力ステップと、を含み、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新ステップにてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値導出ステップにて前記評価指標値の導出を行う。
〔3〕本発明に係る治療計画方法は、予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、前記加重平均値算出ステップにおいて、前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を行う。
〔4〕本発明に係る治療計画方法は、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
〔5〕本発明に係る治療計画装置は、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画装置であって、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出手段と、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出手段と、を有することを特徴とする。
〔6〕本発明に係る治療計画装置は、さらに、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出手段と、前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力手段と、を有し、前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新手段にてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値算出手段にて前記評価指標値の導出を行う。
〔7〕本発明に係る治療計画装置は、予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、前記加重平均値算出手段において、前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を行う。
〔8〕本発明に係る治療計画装置は、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
〔9〕本発明に係る治療計画プログラムは、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画プログラムであって、コンピュータに、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップ、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップ、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップ、を実行させることを特徴とする。
〔10〕本発明に係る治療計画プログラムは、前記臨床線量算出ステップに続いて、コンピュータに、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出ステップ、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力ステップ、を実行させ、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新ステップにてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値導出ステップにて前記評価指標値の導出を実行させる。
〔11〕本発明に係る治療計画プログラムは、予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、前記加重平均値算出ステップにおいてコンピュータに、前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を実行させる。
〔12〕本発明に係る治療計画プログラムは、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
〔13〕本発明に係る生物学的効果比算出方法は、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出するために用いられる生物学的効果比算出方法であって、前記生物学的効果比を、着目する深さ位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和線量平均比エネルギーの線量加重平均値から算出することを特徴とする。
〔14〕本発明に係る生物学的効果比算出方法は、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
本発明に係る治療計画方法、治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法はいずれによっても、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出するにあたり、従来よりも短い時間で改良MKMを適用した治療計画を導出することができる。
本発明に係る治療計画方法の一実施形態を説明するフロー図である。 原子番号が1〜6(同図中のZ=1〜6)の単一エネルギーを有するイオンの運動エネルギーと飽和補正線量平均比エネルギーz*の関係を示すデータ表である。なお、横軸は運動エネルギー[MeV/u]を示し、縦軸は飽和補正線量平均比エネルギーz*[Gy]を示す。 (a)は深さ[mmWEL]と相対線量のデータ表であり、(b)は深さ[mmWEL]と飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]のデータ表である。なお、(a)および(b)において横軸は深さ[mmWEL]を示し、(a)の縦軸は相対線量を示し、(b)の縦軸は飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]を示す。 複数のペンシルビームが照射される混合照射場におけるRBEを改良MKMによって求める本発明における概念を説明する図であって、(a)はビーム1(実線)とビーム2(破線)の相対線量を示し、(b)はビーム1(実線)とビーム2(破線)の飽和補正線量平均比エネルギーz1D *を示し、(c)はビーム1(実線)とビーム2(破線)の飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1D *)iを算出する概念を示す。 本発明に係る治療計画装置の一実施形態を説明するブロック図である。 円柱状の有感体積(同図中のドメイン)に関する入射イオンの概略図である。 (a)および(b)は、50MeV/uの炭素イオンに関する衝突パラメータと線量/比エネルギーとの関係を示すグラフである。なお、(a)および(b)ともに横軸は衝突パラメータ[m]を示し、縦軸は線量/比エネルギー[Gy]を示す。 3He−、12C−および20Ne−イオンビームに関する線量平均LET(線エネルギー付与)とHSG腫瘍細胞のD10値との関係を示すグラフである。なお、横軸はLET[keV/μm]を示し、縦軸はD10[Gy]を示す。 50MeV/uの炭素イオンに関して、Kiefer-Chatterjeeモデルで計算した原子番号が1〜6(Z=1〜6)のイオンのトラック構造を示すグラフである。なお、横軸は衝突パラメータ[m]を示し、縦軸は線量/比エネルギー[Gy]を示す。 原子番号が1〜6(同図中のZ=1〜6)の単一エネルギーを有するイオンの運動エネルギーと飽和補正線量平均比エネルギーz1D *の関係を示すデータ表である。なお、横軸は運動エネルギー[MeV/u]を示し、縦軸は飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]を示す。 (a)は深さ[mmWEL]と相対線量のデータ表であり、(b)は深さ[mmWEL]と飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]のデータ表である。 290MeV/uの単一エネルギー炭素ビームを用いて付与された7.3mm水等価深の深さにおけるHSGの生残曲線を示すグラフである。なお、横軸は線量[Gy]を示し、縦軸は細胞生残率を示す。 (a)は100mmの直径と60mmの長さの円柱標的体積に対して計画された臨床線量分布、生物線量分布および物理線量分布を示すグラフであり、(b)は水中での深さの関数として改良MKMに基づいて示された対応するαMKMの分布図である。なお、(a)および(b)における横軸は深さ[mmWEL]を示し、(a)における縦軸は線量を示し、(b)における縦軸はα値[Gy-1]を示す。 (a)はビーム中心軸における吸収線量分布を示すグラフであり、(b)は水平軸における線量分布を示すグラフである。なお、(a)における横軸は深さ[mWEL]を示し、(b)における横軸は水平軸における位置x[mm]を示し、(a)および(b)における縦軸は吸収線量[Gy]を示す。 測定された細胞生残率(白いプロット□、○、△、▽)が改良MKMによって予測された細胞生残率(実線)と比較されている様子を示すグラフである。なお、横軸は深さ[mmWEL]を示し、縦軸は細胞生残率を示す。 円柱標的容積のSOBPの領域の中心部におけるHSGの生残曲線を示すグラフである。なお、横軸は線量[Gy]を示し、縦軸は細胞生残率を示す。 測定された細胞生残率(記号)と、“10年前の”HSGの反応を使用した放射生物学モデル(Kanaiら(下記参照文献15))に基づいて計画された生残曲線(破線)と、を比較したグラフである。なお、横軸は深さ[mmWEL]を示し、縦軸は細胞生残率を示す。 深さに応じて様々な種類、運動エネルギーをもった核種が生じることにより、領域(ドメイン)に付与されるエネルギーに大きな広がりが生じることを説明する概念図である。 吸収線量と生物線量と臨床線量の関係を示すグラフである。なお、横軸は深さ[mmWEL]を示し、縦軸は線量[Gy or GyE]を示す。 複数のペンシルビームが照射される混合照射場におけるRBEを改良MKMによって求める従来の概念を説明する図であって、(a)はビーム1の線量を示し、(b)はビーム2の線量を示し、(c)はビーム1とビーム2を加算した線量を示し、(d)は(a)の着目位置iにおける比エネルギースペクトルを示し、(e)は(b)の着目位置iにおける比エネルギースペクトルを示し、(f)は(e)で加算した線量の着目位置iにおける比エネルギースペクトルを示す。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る治療計画方法、治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法の一実施形態について説明する。
[治療計画方法]
はじめに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る治療計画方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る治療計画方法は、マイクロドシメトリックキネティックモデル(MKM)を重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデル(改良MKM)を用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比(以下、RBE)と、の積で表される臨床線量を算出し、算出した臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出するものである。
本発明の一実施形態に係る治療計画方法は、かかる治療計画を導出するため、図1のフロー図に示すように、加重平均値算出ステップS5と、生物学的効果比算出ステップS6と、臨床線量算出ステップS7と、を含み、これらのステップをこの順に行う。なお、本発明においては、生物学的効果比算出ステップS6を改良MKMにて行う。
具体的には、図1のフロー図に示すように、臨床線量算出ステップS7に引き続いて、評価指標値導出ステップS8、判定ステップS9、重み更新ステップS10および出力ステップS11を含んでいる。
また、同じく図1に示すように、加重平均値算出ステップS5の前に、情報入力ステップS1、ビーム照射位置決定ステップS2、カーネル作成ステップS3および初期値決定ステップS4を含んでいる。
これらのステップS1〜S4、S8〜S11は、概ね公知の技術で実施することができる。
本発明の要部である加重平均値算出ステップS5、生物学的効果比算出ステップS6および臨床線量算出ステップS7の説明に先立って、情報入力ステップS1、ビーム照射位置決定ステップS2、カーネル作成ステップS3および初期値決定ステップS4について説明する。
(情報入力ステップ)
情報入力ステップS1では、治療計画を得るために必要な情報を、治療計画を導出するための装置に入力する。
治療計画を得るために必要な情報としては、例えば、照射部位および非照射部位と、ビームを照射する照射門数および照射方向と、前記した照射部位に対する目標線量および前記した非照射部位に対する線量制限(この目標線量と線量制限を総称して線量処方と呼ぶこともある)などがある。
なお、ビームの照射方法は、単門最適化された照射方法でも、多門最適化された照射方法のいずれでもよい。単門最適化された照射方法とは、複数の方向から腫瘍全体に均一な線量を与えるように計画され、それらを複数の方向から重ね合わせることで治療を行う照射方法をいい、多門最適化された照射方法とは、複数の方向から照射を行う際に各方向から均一に線量を与えるのではなく、(1)腫瘍に対して必要十分な線量を与える、(2)OARへのダメージを線量制限(許容値)以下に抑える、という条件の下で複数の方向から部分的に線量を与え、全体として腫瘍全体に均一にダメージを与える照射方法をいう。
このような治療計画を得るために必要な情報は、医師や医学物理士などの治療計画者によって入力される。
治療計画者は、予め標的となる照射対象が撮影されたCT画像などを基に医学的所見に基づいてペンシルビームを照射すべき部位(照射部位)、ペンシルビームを照射すべきではない部位(非照射部位)を特定し、特定した照射部位に対して効果的と思える照射門数およびその照射方向を決定し、さらに、照射部位に対する目標線量と非照射部位に対する線量制限とを決定し、情報として治療計画装置(電子計算機)に入力する。
照射部位は、一般にPTV(Planning Target Volume;計画標的体積)として設定されるものであり、例えば、腫瘍等のできた部位および腫瘍が浸潤している可能性のある部位などを含めた領域が設定される。また、非照射部位は、OAR(Organ At Risk;重要臓器)として設定されるものであり、例えば、脳や視神経などの重要な臓器が設定される。照射部位に対する目標線量および非照射部位に対する線量制限は、治療計画者により適宜設定される。
(ビーム照射位置決定ステップ)
ビーム照射位置決定ステップS2では、予め入力された照射部位および非照射部位と、照射門数および照射方向と、に基づいて、照射対象に対するペンシルビームの照射位置を決定する。
(カーネル作成ステップ)
カーネル作成ステップS3では、ビーム照射位置決定ステップS2で決定したビームの照射位置で重ね合わせるスポット毎のビームの線量カーネルと飽和補正線量平均比エネルギーカーネルとを作成する。
カーネル作成ステップS3におけるビームの線量カーネルは、公知の重粒子線スキャニング照射用治療計画計算エンジンを用いることにより得ることができ、飽和補正線量平均比エネルギーカーネルは、CT画像と、予め記憶部に記憶させておいた飽和補正線量平均比エネルギーz1D *とから、例えばモンテカルロシミュレーションと、後記する図2(図10)に示される核種毎の運動エネルギーと飽和補正線量平均比エネルギーz1D *との関連を表すデータ表により得ることができる。
(初期値決定ステップ)
そして、初期値決定ステップS4では、スポット毎のペンシルビームの重みの初期値を決定する。かかる初期値は、情報入力ステップS1で予め入力された照射部位に対する目標線量および非照射部位に対する線量制限に基づいて任意に設定される。後に詳述するように、より良い解を得るためペンシルビームの重みは特定の条件を満たすまで新たな値に更新されて演算が繰り返される。
なお、前記したビーム照射位置決定ステップS2と、カーネル作成ステップS3におけるビームの線量カーネルの作成と、初期値決定ステップS4とは、公知の重粒子線スキャニング照射用治療計画計算エンジンを用いることにより行うことができる。
次に、本発明の要部である加重平均値算出ステップS5から臨床線量算出ステップS7について、図1を参照して説明する。
(加重平均値算出ステップ)
加重平均値算出ステップS5は、混合照射場での着目する位置(以下、着目位置)iに影響する複数のペンシルビーム(以下、単にビームということがある)によって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iを算出するステップである。
位置iでの飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1D *)iは、式(2)に基づいて次式(10)の右辺のように表すことができる。なお、式(10)に示す方程式の変換については、後に詳述する。
Figure 2012032609
なお、式(10)中、1は一回のイベントであることを表し、Dは線量平均であることを表し、mixは混合照射場内で行ったことを表す。また、zsatは飽和補正比エネルギーであり、既に説明した式(3)、式(4)で導き出すことができる。また、zは飽和未補正比エネルギーであり、(f1mix(z))iは混合照射場内の着目位置iでの飽和未補正比エネルギーzの確率密度である。なお、補正、未補正の別は、過剰殺傷効果(overkill)を考慮して補正しているか否かをいう。
さらに、式(10)中、Nspotは着目位置iに影響する複数のビームのビーム位置の合計数であり、wjは治療計画により決定されたビーム強度の重みであり、dijはj番目のビームによって与えられる着目位置iで重ね合わされる線量であり、(z1D *)ijはj番目のビームによって付与された着目位置iのドメインの飽和補正線量平均比エネルギーである。
なお、(z1D *)ijの量は、式(11)に表すように、k番目のイベントによって生じるj番目のビームによる着目位置iへの全てのエネルギー付与を知ることで得ることができる。
Figure 2012032609
式(11)において、Nijはj番目のビームによってもたらされるi番目の位置でのエネルギー付与イベントの数であり、ekはk番目のエネルギー付与イベント中にi番目のボクセルに与えられるエネルギーである。また、(z1D *)kはk番目のエネルギー付与イベント中に付与された着目位置iのボクセル内にあるドメインの飽和補正線量平均比エネルギーである。なお、ボクセルとは、イオンが標的に対して照射された際に生じるさまざまな物理量の空間分布を記録するために、例えば、1mmサイズの立方体に分けて設定される領域をいう。
これらの値は、シミュレーションにより得ることができる。特に限定されるものではないが、例えば、モンテカルロシミュレーションを用いることができる。モンテカルロシミュレーションを用いることで、さまざまなエネルギー付与イベントを発生させることができ、スキャニングされるビームに関するこれらの値を得ることができる。より具体的には、Geant4(Agostinelliら(下記参照文献1))を粒子治療用に改良したモンテカルロシミュレーション(Asoら(下記参照文献2)を用いると好適である。
シミュレートされたイオンは、ボクセルへの入射毎に、例えば、イオン軌道番号、電荷と質量によって特徴付けられた粒子種、ボクセルの位置、イオンの運動エネルギー、およびボクセルに付与されたエネルギーekなどのデータを得ることができる。したがって、得られたこれらのデータを用いて前記式(11)によりスキャニングされるビームに関する(z1D *)ijの値を導き出すことができる。
(z1D *)ijの値は、このイベントの原因となったイオンの運動エネルギー[MeV/u]と、その原子番号(Z=1〜6)を引数として(これらは、Geant4シミュレーションによって出力される。)、図2に示すデータ表から得ることができる。なお、図2に示すデータ表の作成については実施例の項目にて説明する。
そして、図2に示すデータ表から、例えば、図3(a)に示す深さ[mmWEL]と相対線量のデータ表と、図3(b)に示す深さ[mmWEL]と飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]のデータ表と、を得ることができる。なお、図3(a)および(b)のデータ表は、0mm(RSF0)、30mm(RSF30)、60mm(RSF60)および90mm(RSF90)の厚さのレンジシフターを用いて、290MeV/uの炭素ビームをビーム軸方向にスキャニングした結果を示している。なお、図3に示すデータ表の作成については実施例の項目にて説明する。
図3(a)および(b)に示すように、深さに対する線量と飽和補正線量平均比エネルギーz1D *は予め計算することができ、これらを前記した式(10)に適用することで飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iを算出することができる。
以上に説明した飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1D *)iを算出する概念について図4を参照して説明する。なお、この図4は、複数のビームとして最も簡単化した2つのビーム(ビーム1、ビーム2)の混合照射場について説明している。
図4の(a)は、ビーム1(実線)とビーム2(破線)の相対線量を示し、(b)は、ビーム1(実線)とビーム2(破線)の飽和補正線量平均比エネルギーz1D *を示し、(c)は、ビーム1(実線)とビーム2(破線)の飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1D *)iを算出する様子を示している。
図4の(a)に示すビーム1とビーム2の着目位置iにおける相対線量は、(c)に示した相対線量d1(i)およびd2(i)となる。
他方、(b)に示すように、ビーム1とビーム2の着目位置iにおける飽和補正線量平均比エネルギーはそれぞれz1D1 *(i)およびz1D2 *(i)となる。
本発明においては、(b)に示すz1D1 *(i)およびz1D2 *(i)について、それぞれ(c)に示した相対線量d1(i)およびd2(i)を重みとして考慮した平均を算出するというものである(同図(c)の下に示す式を参照)。
よって、本発明においては、ペンシルビームのビーム進行方向における着目位置iを、例えばi1、i2、i3・・・in(つまり深さ)などとして予め飽和補正線量平均比エネルギーz1D *と関連付けて求めておき、これをデータとして予めハードディスクドライブ(HDD)などの記憶部に記憶させておくのがよい。
このようにすれば、加重平均値算出ステップS5において混合照射場での着目位置iに影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iの算出を行うにあたり、着目位置i(深さ)という位置情報から記憶部に記憶させた飽和補正線量平均比エネルギーz1D *のデータを容易に得ることが可能となる。その結果、着目位置iに影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーz1D *の加重平均を迅速に算出することができるようになる。
つまり、本発明によれば、従来のように(前述した式(2)〜(9)参照)、混合照射場での着目位置iに影響する複数のペンシルビームから与えられる単一イベントの比エネルギースペクトルの導出およびこれらの加算と、当該加算した比エネルギースペクトルから過剰殺傷効果の補正を行った混合照射場での着目位置iについての飽和補正線量平均比エネルギーz1D *の算出と、当該着目位置iでの細胞生残率Sの予測と、予測した細胞生残率Sに基づくRBEの推定と、を行う場合と比較すると、比エネルギースペクトルの加算と、これに基づく飽和補正線量平均比エネルギーz1D *の算出と、に替わって、前記したように混合照射場での着目位置iに影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iの算出を行うようにしたため、従来よりも迅速にRBEの算出を行うことが可能である。
(生物学的効果比算出ステップ)
次いで行う生物学的効果比算出ステップS6は、式(10)により算出した飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iからRBEを算出するステップである。
飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iからのRBEの算出は、次のようにして行うことができる。
まず、式(10)で算出した飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iのz1Dmix *を式(6)のz1D *に代入するとともに当該式(6)を式(5)に代入し、また、αMKM≡α0+βz1Dmix *と定義すれば、式(12)により着目位置iにおける細胞生残率Siを算出することができる。なお、式(12)中のDiは着目位置iでの吸収線量を示す。
Figure 2012032609
式(12)から、飽和補正線量平均比エネルギーがz1Dmix *である混合照射場での着目位置iについて細胞生残率Siを達成したい場合は、式(13)で算出される吸収線量Diを照射する必要があるということになる。
Figure 2012032609
既に説明しているように、RBEは目的となる放射線で細胞生残率Sを達成するのに必要な吸収線量Drad(式(12)、(13)ではDi)と基準放射線で細胞生残率Sを達成するのに必要な吸収線量Dstとの比として式(1)で算出することができるので、着目位置iでのRBEiは式(14)で算出することができる。
Figure 2012032609
(臨床線量算出ステップ)
次いで行う臨床線量算出ステップS7は、算出したRBEiに基づいて臨床線量を算出するステップである。
なお、臨床線量は、前述したように吸収線量とRBEとの積で算出することができる。
ここで、重粒子治療のデータが少なく、臨床結果の評価が十分になされていないために臨床線量が得られていない場合は、事前に、培養した細胞株に対して重粒子線を照射する実験(細胞照射実験)と、細胞照射実験による生物学的な評価と、を行って細胞照射実験におけるRBEを得ておき、吸収線量と細胞照射実験におけるRBEから一旦、生物線量を算出し、当該生物線量に、細胞から組織の応答に変換する経験的な係数(例えば1.45)を乗じて再スケールし、臨床線量を算出するようにしてもよい。
本発明では、このようにして算出した臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する。治療計画を導出するにあたって、前記した臨床線量算出ステップS7以降の手順は常法により行うことができる。
例えば、図1のフロー図を参照して既に簡単に説明しているように、前記した臨床線量算出ステップS7に続いて、評価指標値導出ステップS8と、判定ステップS9と、重み更新ステップS10と、出力ステップS11と、を行い、治療計画を導出するのが好ましい。以下、評価指標値導出ステップS8から出力ステップS11について説明する。
(評価指標値導出ステップ)
評価指標値導出ステップS8は、算出した臨床線量に基づいて評価指標値Fを導出するステップである。
ここで、評価指標値Fとは、例えば、位置決め誤差や臓器の移動や変形などに起因して線量分布が悪化し、粗密が生じるといった起こり得る誤差を仮定した値をいう。
この評価指標値導出ステップS8と、既に説明した加重平均値算出ステップS5と、生物学的効果比算出ステップS6と、臨床線量算出ステップS7とは、逐次近似繰り返し演算により行われる。
評価指標値Fは、照射部位に設定された目標線量に対して必要十分な線量(この線量が臨床線量に相当する)が与えられるという第一条件、および非照射部位に対しては線量制限以下に抑えるという第二条件から導出することができる。この第一条件および第二条件に基づく評価指標値Fは、式(15)で算出することができる。
なお、式(15)の第一項は前記した第一条件に相当するものであり、PTVへの線量制限を記述したものである。第二項は前記した第二条件に相当するものであり、OARへの線量制限を記述したものである。
Figure 2012032609
式(15)において、Di(w)は位置iにおける全てのポートからの合計線量を表し、Tはターゲット内であることを意味し、Qはその項のペナルティーであり、oは過剰線量であり、Oは重要臓器を意味し、Pは治療標的を意味し、uは過少線量を意味する。
このようにして導出した評価指標値Fが予め設定された閾値C以上、かつ、評価指標値導出ステップS8における計算の繰り返し回数nが予め設定された回数N以下の場合(判定ステップS9においてNo)、重み更新ステップS10で繰り返し回数nを更新するとともに(n=n+1)重みを更新して新たな初期値とし、再度、評価指標値導出ステップS8を行う。なお、予め設定された閾値Cおよび予め設定された回数Nは、治療計画者によって任意に設定しておくことができる。
(出力ステップ)
他方、導出した評価指標値Fが予め設定された閾値Cよりも低いか、または、評価指標値導出ステップS8における計算の繰り返し回数nが予め設定された回数Nよりも多い場合(判定ステップS9においてYes)、出力ステップS11に移行し、決定または更新した重みを照射パラメータとして出力する。
本発明に係る治療計画方法の各ステップの内容は以上のとおりである。
以上に説明したように、本発明の一実施形態に係る治療計画方法によれば、着目位置iに影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iを算出する加重平均値算出ステップS5と、算出した飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値(z1Dmix *)iからRBEを算出する生物学的効果比算出ステップS6と、を含んでいるため、従来技術のように逐次近似繰り返し演算の中で、着目位置iでの比エネルギースペクトルを導出する必要がなく、計算時間およびメモリ使用領域を大幅に軽減することができる。したがって、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を逐次近似繰り返し演算を用いて導出する場合であっても、従来よりも短い時間(標的となる腫瘍のサイズにもよるが、例えば100000個程度のスポット位置(着目位置)を有するものであれば数分)で改良MKMを適用した治療計画を導出することができる。
また、本発明に係る治療計画方法によって改良MKMによってRBEを予測した治療計画の導出が容易になったため、治療計画で推定される生物線量分布の検証を容易に行うことが可能となった。
治療計画で推定される生物線量分布を検証するためには、その治療計画にしたがって細胞株に対して細胞照射実験を行って得た実験値と、治療計画で導出された計画値との比較を行うのが好ましいとされている。ところが、細胞株の放射線感受性は経年変化することが知られており、過去に行われた細胞照射実験の実験値から得たパラメータ(すなわち、線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0、照射線の種類に依存しない定数β、ドメインの半径rd、細胞核の半径Rn)にしたがって治療計画を導出すると、計画値と実験値の間に差が生じてしまい、正当な比較、検証を行うことが難しいという問題があった。
改良MKMを用いて、式(10)〜(14)によりRBEを算出する際に現れる4つのパラメータα0、β、rd、Rnのうちの一つ、α0についてのみ現在の細胞株を用いて細胞照射実験を行い、α0のみを現在の細胞株の値に置き換え、過去に行われた細胞照射実験の実験値から得た他のパラメータβ、rd、Rnとともに改良MKMによってRBEを予測することで、前述したように治療計画で推定される生物線量分布の検証を容易に行うことが可能となる。当該検証を容易に行うことができることについては後述する。これは既に説明しているとおり、本発明により改良MKMによってRBEを予測した治療計画の導出が容易になったため可能になったものである。
[治療計画装置]
次に、本発明の一実施形態に係る治療計画装置について説明する。
本発明の一実施形態に係る治療計画装置1は、改良MKMを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出するものである。
かかる治療計画装置1は、かかる治療計画を導出するため、図5に示すように、加重平均値算出手段5と、生物学的効果比算出手段6と、臨床線量算出手段7と、を有している。
具体的には、図5に示すように、これらの手段の他にも評価指標値導出手段8と、判定手段9と、重み更新手段10と、出力手段11と、を有している。
また、同じく図5に示すように、ビーム照射位置決定手段2と、カーネル作成手段3と、初期値決定手段4と、を有している。
これらの各手段は、コンピュータにおいて、図示しないハードディスクドライブなどの記憶装置に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することで、前記した各ステップの内容を実現することにより達成される。
つまり、治療計画装置1の各手段は、前記した治療計画方法の各ステップに対応するものである。すなわち、ビーム照射位置決定手段2とビーム照射位置決定ステップS2とが対応し、カーネル作成手段3とカーネル作成ステップS3とが対応し、初期値決定手段4と初期値決定ステップS4とが対応し、加重平均値算出手段5と加重平均値算出ステップS5とが対応し、生物学的効果比算出手段6と生物学的効果比算出ステップS6とが対応し、臨床線量算出手段7と臨床線量算出ステップS7とが対応し、評価指標値導出手段8と評価指標値導出ステップS8とが対応し、判定手段9と判定ステップS9とが対応し、重み更新手段10と重み更新ステップS10とが対応し、出力手段11と出力ステップS11とが対応する。
したがって、各手段の内容についてのここでの詳細な説明は省略する。
なお、治療計画装置1は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(いずれも不図示)などの、通常のコンピュータが有する各種装置を備えており、また、例えば、キーボード、マウス、CT画像等を入力するための入力手段(不図示)、出力結果の表示を行う表示手段などを備えていることもいうまでもない。
[治療計画プログラム]
本発明の一実施形態に係る治療計画プログラムは、改良MKMを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画プログラムであって、コンピュータに、加重平均値算出ステップS5、生物学的効果比算出ステップS6、臨床線量算出ステップS7を実行させるものである。
具体的には、臨床線量算出ステップS7に引き続いて評価指標値導出ステップS8と、判定ステップS9と、重み更新ステップS10と、出力ステップS11と、を含み、コンピュータにこれらのステップを実行させる。
また、加重平均値算出ステップS5の前に、ビーム照射位置決定ステップS2と、カーネル作成ステップS3と、初期値決定ステップS4と、を含み、コンピュータにこれらのステップを実行させるものである。
これらのステップは順に、前記した本発明の一実施形態に係る治療計画方法のビーム照射位置決定ステップS2、カーネル作成ステップS3、初期値決定ステップS4、加重平均値算出ステップS5、生物学的効果比算出ステップS6、臨床線量算出ステップS7、評価指標値導出ステップS8、判定ステップS9、重み更新ステップS10、出力ステップS11、に対応するものである。したがって、ここでの詳細な説明は省略する。
本発明に係る治療計画プログラムは、CD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(不図示)に記録し、記録媒体駆動装置(不図示)によって、当該記録媒体から治療計画プログラムを読み出して図示しない記憶手段にインストールして実行するようにしてもよい。
また、治療計画装置1として機能するコンピュータ(クライアント)が通信ネットワークなどの通信手段を備えている場合、本発明に係る治療計画プログラムが通信ネットワークを介して接続された他のコンピュータ(サーバ)に記憶され、当該コンピュータから通信ネットワークを介して治療計画プログラムをダウンロードして実行させたり、サーバに記憶された本発明に係る治療計画プログラムを実行させたりして、改良MKMを用いたRBEの算出と、RBEに基づく臨床線量の算出と、を行うようにしてもよい。またさらに、評価指標値Fの導出と、照射パラメータの出力と、所定の条件を満たさない場合は重みの更新と、を行うようにしてもよい。なお、この場合、数値解析した結果をサーバに備えられた記憶手段(不図示)に記憶することとしてもよい。
本発明に係る治療計画方法、治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法の有用性を示すべく、次のような検討を行った。
[1.方法]
[1.1.改良マイクロドシメトリックキネティックモデル(改良MKM)]
改良MKMによるイオン照射後の細胞生残率を予測するための数学的手順は、その理論的背景とともにKaseら(下記参照文献3)によって詳細に記載されている。したがって、手順の説明はここでは最小限にとどめる。
MKMでは、細胞生残率Sは、細胞核内での致死傷害の数がゼロであるという確率と等しく、また、細胞核内での致死傷害の平均数を表す指数<Ln>を用いて式(16)として表すことができる。なお、Kaseら(下記参照文献3)によれば、<Ln>は式(17)で計算することができる。
Figure 2012032609
Figure 2012032609
ここで、α0は、LET=0の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数であり、Dは吸収線量である。また、βは、MKMにおける放射線の種類に依存しない定数として扱われ、変数z1D *は一つのイベントで付与されるドメインの飽和補正線量平均比エネルギーを意味する。改良MKMでは、z1D *は式(18)とされている。
Figure 2012032609
ここで、f1(z)はドメインの単一のエネルギー付与イベントによって付与されたzの確率密度であり、zsatは式(19)によって導かれる飽和補正比エネルギーを示す。
Figure 2012032609
式(19)中のz0は飽和係数であり、式(20)によって導かれる。
Figure 2012032609
式(20)におけるRnは細胞核の半径であり、rdはドメインの半径である。
ここでは、式(17)に表れる量(α0+βz1D *)をαMKMとして示す。
[1.2.改良MKMのパラメータrd、Rnおよびα0の決定]
改良MKMでは、細胞生残率Sを予測するためにβ、Rn、rdおよびα0が必要である。改良MKMによるRBEの計算に先立って、これらのパラメータを決定しなければならない。今回の検討では、Kaseら(下記参照文献4)によるヒト顎下腺由来腺癌細胞株(HSG)のパラメータβと同じ値を採用した(β=0.0165Gy2)。他の3つのパラメータを決定するための手順を以下に述べる。
改良MKMでは、細胞生残率Sはドメインに与えられる飽和補正線量平均比エネルギーz1D *から計算される。z1D *の算出のため、細胞核を、半径Rnをもつ円柱体積と仮定し、ドメインを、半径rdをもつ円柱体積と仮定した。
Kiefer-Chatterjeeトラック構造モデル(下記参照文献5、6)はイオンの軌跡の周りの放射線量分布を表している。Kaseら(下記参照文献4)も同様にして飽和していない1つのイベントの平均線量比エネルギーz1Dを算出している。
図6は、円柱状の有感体積(同図においてはドメイン)に関する入射イオンの概略図である。ドメインに与えられるエネルギーは、以下の(a)〜(d)の仮定によって計算される。
(a)入射イオンの軌跡は、ドメインの円柱の軸と平行である;
(b)イオン軌道と、ドメインを通過する間の速度の変化は無視することができる;
(c)イオンは、常にイオン種とそれらのエネルギーに特有のいろいろな放射線量−トラック構造で近似されるエネルギーを付与する;そして、
(d)全ターゲットは水で構成されていると仮定する。
図7に示す例では、z−とzsat−をドメインの中心からイオン軌道までの距離(すなわち衝突パラメータ)の関数として示している。
図7(a)中、飽和補正比エネルギーzsatおよび飽和未補正比エネルギーzは、半径Rn5.0μmの細胞核の中の2つの異なる半径rd0.1μmと半径rd1.0μmをもつ円柱状のドメインに、50MeV/uの運動エネルギーをもつ入射12Cによって付与される各エネルギーであり、入射12Cの衝突パラメータの関数として示されており、Kiefer-Chatterjeeモデル(K&C model(実線))のトラック構造に基づいて計算される。
他方、図7(b)は、2つの異なる半径Rn2.0μmおよび半径Rn5.0μmの細胞核中に含まれる半径rd0.1μmのドメインに付与した飽和補正比エネルギーzsatおよび飽和未補正比エネルギーzを示している。
Furusawaら(下記参照文献7)による実験でそうであったように、単一エネルギーイオン照射を考慮するとき、飽和補正平均比エネルギーzsat(x)および飽和未補正平均比エネルギーz(x)は、半径rdおよび半径Rnによって与えられた衝突パラメータxの関数として表すことができる。
これらのケースでは、飽和補正線量平均比エネルギーz1D *の値は、x−zsat(x)およびx−z(x)の関係から、式(21)により導き出すことができる。
Figure 2012032609
ここで、式(21)中のXmはイオンが核内のドメインの一つにエネルギー付与で与えることのできる最大衝突パラメータである。なお、このXm値はトラック構造のペナンブラ半径と円柱体状のドメインの半径rdの合計と等しい。
その結果、D10値は、式(16)とともに3つのパラメータRn、rdおよびα0の組み合わせが与えられた式(17)〜(21)によって計算される細胞生残率Sから導き出すことができる。
前記の手順に従って3つのパラメータのさまざまな組み合わせについてD10値について計算した後、それらをFurusawaら(下記参照文献7)によって測定された3He−、12C−および20Ne−イオンビームに関するin vitro HSGの公表されたD10値と比較した。
その結果、Rnとして3.9μm、rdとして0.32μm、およびα0として0.172Gy-1の値とすると、図8に示されるように加重最小二乗回帰により、公表されたデータに最良適合を与えることができることが確かめられた。なお、図8は、3He−、12C−および20Ne−イオンビームに関する線量平均LET(線エネルギー付与)とHSG腫瘍細胞のD10値との関係を示すグラフである。図8中のプロットされた点は実験結果(Furusawaら(下記参照文献7))を示し、2つの実線および1つの一点鎖線は加重最小二乗回帰で導き出されたパラメータを用いた改良MKMの結果を示す(α0=0.172Gy-1、rd=0.32μmおよびRn=3.9μm)。
[1.3.z1D *テーブルの準備]
nとrdの値はともに前のサブセクションで決定しているので、x−zsat(x)およびx−z(x)の関係を用いることによって単一エネルギーイオンのどのような種類に関してもz1D *を導き出すことができる。
一例として、図9に50MeV/uの運動エネルギーをもつ1〜6の原子番号のイオンに関するx−zsat(x)およびx−z(x)の関係を示す。なお、図9は、50MeV/uの炭素イオンに関して、Kiefer-Chatterjeeモデルで計算した原子番号が1〜6(Z=1〜6)のイオンのトラック構造を示すグラフである。図9においては、全イオンの運動エネルギーは等しく50MeV/uであり、飽和補正比エネルギーzsatおよび飽和未補正比エネルギーzと、細胞核の半径Rn3.9μmおよびドメインの半径rd0.32μmは、セクション1.2.で決定されている値を用いた。
イオンエネルギースペクトルから細胞生残率Sを効率的に計算するため、これらのエネルギーの関数として1〜6の原子番号のイオンについて表にした単一エネルギーイオンに関するz1D *のデータ表を作成した。当該データ表を図10に示す。なお、この図10が先に説明した図2に相当するものである。
[1.4.スキャニング炭素ビーム照射法におけるz1D *の算出]
治療用イオンビームを用いたスキャニング照射法では、着目位置iに処方される線量分布は、j番目のビームによって、着目位置iに与えられる線量dijの重ね合わせによって達成される。
スキャニング照射法によって付与された混合照射場でのRBEを改良MKMに基づいて予測するためには、混合照射場中の着目位置iにおける飽和補正線量平均比エネルギー(z1Dmix *)iを求めなければならない。
後述するAPPENDIX Aで説明する方程式変換によると、(z1Dmix *iは式(22)のように書き換えることができる。なお、式(22)と前述した式(10)とは同じである。
Figure 2012032609
式(22)において、(f1mix(z))iは、混合照射場内の着目位置iでの飽和未補正比エネルギーzの確率密度であり、(z1D *)ijは、j番目のビームによって付与された着目位置iのドメインにおける飽和補正線量平均比エネルギーである。また、Nspotは、スキャンされるビーム位置の合計数である。
次に、治療計画に使用されるペンシルビームに(z1D *)ijの値を割り当てる。(z1D *)ijの量は、式(23)としてk番目のイベントによって生じるj番目のビームによる着目位置iへのエネルギー付与の全てを知ることができれば得ることができる。
Figure 2012032609
式(23)において、j番目のビームによってもたらされる着目位置iでのエネルギー付与イベントの数であり、ekは、k番目のエネルギー付与イベント中にi番目のボクセルに与えられるエネルギーである。また、(z1D *)kは、k番目のエネルギー付与イベント中に付与されたi番目のボクセル内にあるドメインの飽和補正線量平均比エネルギーである。
なお、スキャニング炭素ビームに関するこれらの値を得るために、モンテカルロシミュレーションが採用された。
今回の検討では、Geant4(下記参照文献1)に基づく粒子治療のためのシミュレーションコードであるモンテカルロシミュレーションソフトウェアPTSsim(下記参照文献2)を用いた。
また、スキャン磁石、真空チャンバー、レンジシフター、リッジフィルター、位置モニターおよび2つのビームモニターを含んでいる放射線医学総合研究所(NIRS)の重粒子線がん治療装置 (Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba;HIMAC)で開発されているスキャン照射システムを表現するために新しいC++ライブラリーを作成した。
今回の検討では、パッチ01を当てたGeant4バージョン9.2を用いた。そして、‘標準的な電磁気のプロセス’のパッケージを電磁相互作用のために用いた一方で、イオン非弾性核反応のためにパッケージ‘G4QMDReaction'に基づく量子分子動力学(QMD)を核脱励起モデルの‘G4Evaporation’と組み合わせて用いた。
かかるシミュレーションでは、230MeV/u、290MeV/uおよび350MeV/uの3つの異なるエネルギーを有する単一エネルギー炭素イオンがスキャン磁石の直ぐ上流で生成されることとした。また、生成された炭素イオンは、スキャニングシステムを通ってシミュレーション内において100×100×255mm3の容積の標的に入射することとした。
標的は、シミュレートされたイオンの様々な量の空間分布を記録するため‘ボクセル’と呼ばれる1mmサイズの立方体に分けられている。シミュレートされたイオンの履歴は、イオン軌道番号、電荷と質量によって特徴付けられた粒子種、ボクセルの位置、ボクセルへの入射毎にイオンの運動エネルギーとボクセルekへのエネルギーの付与といたデータ列として読み出した。
このようにしてシミュレートされたイオンの得られたデータから、式(23)にしたがってスキャニング炭素ビームについての(z1D *)ijの値を導き出すことができる。また、(z1D *)ijの値は、運動エネルギーの指数とこのイベントの原因となったイオンの原子番号とともに図10に示すデータ表から得ることができる。なお、運動エネルギーの指数とこのイベントの原因となったイオンの原子番号は、Geant4シミュレーションの出力のうちの2つである。
図11(a)は、深さ[mmWEL]と相対線量のデータ表であり、図11(b)は、深さ[mmWEL]と飽和補正線量平均比エネルギーz1D *[Gy]のデータ表である。つまり、図11(b)は、(a)で示したスキャンした炭素ビームに関して、j番目のビームによって付与された着目位置iのドメインの飽和補正線量平均比エネルギー(z1D *)ijを示している。なお、図11(a)および(b)のデータ表は、0mm(RSF0)、30mm(RSF30)、60mm(RSF60)および90mm(RSF90)の厚さのレンジシフターを用いて、290MeV/uの炭素ビームでスキャニングした結果を示したものである。なお、この図11が先に説明した図3に相当するものである。
モンテカルロシミュレーションの有効性は、シミュレートした水ファントム中のペンシルビームの物理線量分布と、230MeV/u、290MeV/uおよび350MeV/uでスキャンされる炭素ビームに関する実験測定値と、を比較することにより調べることができる。シミュレーションにより、Geant4で電磁気のプロセスをシミュレートした2、3のパラメータを修正すると測定結果をよく再生できることが分かった(下記参照文献8)。
[1.5.HSGの反応のためのα0の補正]
Furusawaら(下記参照文献7)による単一エネルギーイオンに関して公表されたD10データから改良MKMのパラメータRn、rdおよびα0を決定し、また、決定されたパラメータRnおよびrdを用いてスキャニング炭素ビームに関する(z1D *)ijを導き出した。
混合照射場でのRBEを予測することを目的として提案されている手法を検証するために、スキャニング炭素ビームを用いた混合照射場中で細胞照射実験を行った。しかしながら、例えば、2006年にKaseら(下記参照文献3)によって測定された5.15Gy(αx=0.190Gy-1、βx=0.00500Gy-2)、200kVpのX線でのHSGの10%生残線量は、2000年にFurusawaら(下記参照文献7)によって測定された4.04Gy(αx=0.331Gy-1、βx=0.0593Gy-2)の値よりも若干高いというように、いくつかの実験結果はHSGの放射線感受性が変わっていることを示唆している。
そのため、HSGの放射線感受性の変化を明らかにすべく、α0の値を補正することとした。
まず、現在のHSGのα0の値を得るため、7.3mm水等価深の深さでレンジシフターを用いない290MeV/uの炭素ビームによって100×100mm2のサイズの単一エネルギー均一場における生残曲線を測定した。
その結果、図12に示すように、αの値は、β=0.0615Gy-2の値で固定してLQモデルで最小二乗フィットすれば、0.282Gy-1であると決定された。なお、図12は、290MeV/uの単一エネルギー炭素ビームを用いて付与された7.3mm水等価深の深さにおけるHSGの生残曲線を示すグラフである。図12の適合曲線は、細胞生残率に関する対数スケールで最小二乗法を用いることによって得られ、また、0.0615Gy-2のβ値で固定された線形二次モデルにより決定された。なお、図12における記号□、○、△はそれぞれサンプル1〜3を示し、記号■はサンプル1〜3の平均を示す。
また、7.3mmWELの深さでの飽和補正線量平均比エネルギーz1D *は3.43Gyであった。よって、α0の値は、α0=α−βz1D *=0.0708Gy-2と導き出すことができる。そのため、治療計画での深さ−線量および深さ−(z1D *)ijをともに用いたペンシルビームのデータとしてα0に関してこの値を用いることとした。
[1.6.生物線量最適化]
改良MKMに基づく計算方法は、Inaniwaら(下記参照文献9、10)によって開発された治療計画ソフトウェアに統合されている。HSGに関する生物線量分布は、水の中で116mmの中心位置に位置する100mmの直径と60mmの長さをもつ円柱を標的として最適化した。
所定の線量は、HSGにおける生物線量が3.99GyE(Gray Equivalent;グレイ等価線量(重粒子線の照射量をX線に換算して表した単位をいう))であるのに対応して標的体積内の臨床線量は5.79GyEとなった。
また、ビーム中心軸に沿って計画された臨床線量分布、生物線量分布および物理線量分布は図13(a)に示したとおりとなり、改良MKMによって計算されるαMKM分布は図13(b)に示した通りとなった。なお、図13の(a)は、100mmの直径と60mmの長さの円柱標的体積に対して計画された臨床線量分布、生物線量分布および物理線量分布を示すグラフであり、図13の(b)は、水中での深さの関数として改良MKMに基づいて示された対応するαMKMの分布図である。
[1.7.細胞照射実験]
混合照射場におけるRBEを予測することを目的として提案された方法を検証するため、前のサブセクション1.6.で決定された照射パラメータにしたがって細胞照射実験を行った。
今回の検討では、ヒト腫瘍細胞株としてHSG(JCRB1070:HSGc−C5)を用いた。HSGは、CO2インキュベーター中で、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone社製Lot No. KTC30729)および抗生物質(100U/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシン)を追加したイーグル最小必須培地(E−MEM)にて培養した。
継代培養された細胞は採取後、3mLの培地を用いておよび1.5〜2.0×105個/フラスコとなるようにスライドチャンバーフラスコ内に播種し、実験に先立って37℃の5%CO2インキュベーターで2日間インキュベートした。フラスコは、実験の1日前に培地を添加して満たし、それからインキュベーターに戻して保温した。
細胞照射実験をするにあたって、前記したフラスコをHIMACで開発された炭素イオンスキャニング照射システム(Furukawaら(下記参照文献11))のアイソセンターに置いた。そして、混合照射場内での細胞照射の深さを調節するため、細胞の直ぐ上流に所定の厚さのポリメチルメタクリレート(PMMA)で作製された吸収体を挿入した。深さ−生残曲線の測定においては、標的体積中で6つの深さを含む12の異なる深さを選択した。また、深さ−生残曲線の測定に加えて、拡大ブラッグピーク(Spread-Out Bragg Peak;SOBP)(ここでは116mm水等価深)の領域の中心部における生残曲線を測定した。なお、細胞照射実験におけるコロニー形成実験において、6つのサンプルに対するコロニー形成率を得るため、非照射コントロール用として1つの追加サンプルを用意した。
HSGへの照射は、1.5×108粒子/秒のビーム密度をもつ290MeV/uの炭素ビームを用いた。放射線を照射した後、サンプルをリン酸緩衝生理食塩水(PBS-)で2回リンスし、0.025%トリプシン中に1回浸し、そして、細胞を採取する前に、残っているトリプシンの中で4分間37℃を保持した。
その後、細胞を適当な量(2〜3mL)の新鮮な培地で集め、粒子分析器(Coulter Z1)にて細胞濃度を計数した。培地を用いて細胞懸濁液を希釈し、生残している細胞が一皿あたりおよそ100個存在するように、3つの6cm培養皿(Falcon社製3002)に播種し、その後、13日間インキュベーターでインキュベートした。
インキュベート後、培養皿の中のコロニーをPBS-でリンスし、10〜15分間10%形成溶液を含むPBS-で固定させ、水道水でリンスし、1%メチレンブルー溶液で染色し、再び水道水でリンスし、それから空気中で乾燥させた。
そして、立体顕微鏡下で50以上の細胞からなるコロニーを生残細胞数としてカウントした。
[2.結果および考察]
[2.1.物理線量分布]
ビーム中心軸上と水ファントムの116mmWELの深さにおける水平方向の吸収線量を平行平板電離箱(PTW社製34035)により測定した。また、当該水ファントムでの測定に加えて、12の異なる厚みのあるPMMA吸収体の直ぐ後ろに電離箱を設定して細胞照射と同じ条件で吸収線量を測定した。
図14に、このようにして測定された吸収線量分布と、計画された吸収線量分布とを示す。なお、図14の(a)は、ビーム中心軸における吸収線量分布を示すグラフであり、(b)は、水平軸における線量分布を示すグラフである。図14(a)および(b)中の白丸(○)は水ファントム中で測定された線量であり、(a)に示される黒い四角(■)は、PMMA吸収体のすぐ後方の位置で測定された線量である。また、実線は、細胞照射のために計画された線量分布を示す。
治療計画に使用される正確な物理的なビームモデルにより(下記参照文献12)、測定された吸収線量分布は、全領域で±1%以内の精度で計画されたものとよく一致していることが明らかとなった。
[2.2.深部生残および生残曲線]
図15は、細胞照射実験に関する水等価深の関数として、測定された生残値と予測された生残値を示している。なお、エラーバーは、各深さにおける4つの測定値の中の最大または最小の生残値を示している。生残についての小さな過小評価がターゲットにみられた。なお、図15は、測定された細胞生残率(白いプロット□、○、△、▽)が改良MKMによって予測された細胞生残率(実線)と比較されている様子を示すグラフである。図15中の黒い四角(■)は4つの測定値の平均を示している。
SOBPの領域で測定された細胞生残率の平均値は0.155であったのに対し、予測された細胞生残率の平均値は0.141であった。
これは、均一場プランのためのKramerとScholz(2000)による同様の測定(下記参照文献13)および強度変調イオン療法プランのためのGemmelら(2008)による同様の測定(下記参照文献14)と比較すると、予測された細胞生残率と測定された細胞生残率とが、プラトー部からテイル部までの全領域においてよく一致していることは明白である。
さらに、図16に示されるように、SOBPの領域の中心部で測定した生残曲線と予測された生残曲線αMKMとの間でより高い一致性が確認された。測定された生残曲線に適する最小二乗法から算出されるα値は、0.652Gy-1であり、αMKMは0.664Gy-1であった。なお、図16は、円柱標的容積のSOBPの領域の中心部におけるHSGの生残曲線を示すグラフである。図16における適合曲線(破線)は細胞生残率の対数スケールに関する最小二乗法を用いることによって得られ、また、0.0615Gy-2の固定β値を用いた線形二次モデルによって決定された。実線は、改良MKMを用いて推定された生残曲線を示す。
[2.3.α0についての補正の妥当性]
サブセクション2.2.にみられた、予測された細胞生残率と測定された細胞生残率の間のよい一致は、細胞株の10年前の反応を現在の反応に変換するパラメータとしてα0の適用性を証明している。
α0の適用性についてさらに検討するため、Furusawaら(下記参照文献7)によって測定されたHSGのin vitroでの実験データ、すなわち“10年前の”HSGの放射線感受性を考慮に入れた放射生物学モデル(Kanaiら(下記参照文献15))に基づいて生物線量分布を最適化した。この最適化では、10.0%という、“10年前の”HSG腫瘍細胞の細胞生残率が、生物線量4.04GyEに対応するendpointとして選択された。
図17に、予測された生残曲線を破線にて示すとともに、測定された細胞生残率を記号(□、○、▽、△)にて示した。なお、図17は、測定された細胞生残率(記号)と、“10年前の”HSGの反応を使用した放射生物学モデル(Kanaiら(下記参照文献15))に基づいて計画された生残曲線(破線)と、を比較したグラフである。
最適化された照射パラメータによれば、細胞照射実験は“現在の”HSGを使用することで実行された。なお、実験の設定とその手順はサブセクション1.7.で記載したのと同じである。
図17に示すように、横ばい状態の細胞生残率がSOBPの領域中に観測されるが、その平均細胞生残率は、計画された平均細胞生残率(すなわち10.0%)よりもわずかに高い13.4%であった。
次に、サブセクション1.5.で決定されたα0の値を通してHSGの現在の反応が反映された改良MKMに基づいて、細胞生残率を再計算した。図17中の実線が当該再計算した生残曲線である。
改良MKMに基づく再計算は、測定された細胞生残率をよく再現することができた。再計算された細胞生残率の平均値はSOBPの領域中では13.9%であった。
この実験結果は、少なくともHSGについては、α0がHSGの10年前の反応を現在の反応に変換するパラメータとなり得ることを示している。
サブセクション1.5.に記載されているように、α0の値は、現在の客観的な細胞に対する単一エネルギー均一場中における一つの生残曲線の測定から決定することができる。また、入力データとして決定値α0を使用することによって、治療用炭素ビームを用いた混合照射場中の現在の細胞に関する細胞生残率を予測することができ、また、これにより細胞照射実験に基づいて計画された混合照射場の検証が可能となる。
[3.結び]
細胞生残率を予測するための方法や改良MKMに基づいて治療用炭素ビームを用いた混合照射場のRBEを予測するための方法を開発することができた。この方法は、炭素イオンスキャニング法のための治療計画ソフトウェアと完全に統合された。したがって、改良MKMによる生物線量分布は治療計画を通して最適化することができる。改良MKMに基づく治療計画の信頼性がHSGに関する生残曲線の測定を通して確認された。細胞株の現在の反応は、単一エネルギー均一場での一つの生残曲線の測定を通して得られるパラメータα0を用いて治療計画に反映することができる。そして、今回開発された方法は、臨床および研究に適用することができ、また、回顧的に患者の治療データを分析するのに用いることもできる。
[4.APPENDIX A]
前述した式(22)を導き出すのに用いられる方程式変換をここで記述する。なお、前述したように、式(22)と式(10)は同じものである。
混合照射場中の着目位置iにおける飽和補正線量平均比エネルギー(z1Dmix *iは、着目位置iでのzの確率密度(f1mix(z))iとともに式(22−1)として表すことができる。
Figure 2012032609
炭素イオンスキャニング照射法を用いた混合照射場では、(f1mix(z))iは、j番目のビームからの着目位置iの粒子流束量(F(z))ijを用いて表すことができ、得られる飽和未補正比エネルギーzは式(22−2)のとおりである。
Figure 2012032609
式(22−2)において、wjはスキャニング照射中のj番目のビームに関する重みである。
式(22−1)を式(22−2)に代入することによって、(z1Dmix *)iを式(22−3)に変換することができる。
Figure 2012032609
ここで、式(22−3)中に表れた関数
Figure 2012032609
は、ドメインの一つのエネルギー付与イベントの着目位置iにj番目のビーム(f(z))ijによって付与された飽和未補正比エネルギーzの確率密度と等しい。
その結果、式(22−3)は、式(22−4)としてさらに変換することができる。
Figure 2012032609
ここで、式(22−4)中に表れる
Figure 2012032609
は、j番目のビームによる位置iについての頻度平均比エネルギーであり、
Figure 2012032609
によって定義される。
Figure 2012032609
と、j番目のビームにより付与された着目位置iでのエネルギー付与イベントの総数の積(すなわち、
Figure 2012032609
)は、着目位置iでのビームjによる線量分布dijに比例するので式(22−4)は、
Figure 2012032609
のj番目のビームによって付与された着目位置iのドメインの飽和補正線量平均比エネルギーz1D *とともに最終的な形である式(22)(式(10))に変換することができる。
Figure 2012032609
[5.参照文献]
[参照文献1]Agostinelli S. et al, “Geant4 - a simulation toolkit”, Nucl. Instrum. Methods. Phys. Res., A 506, p.250-303 (2003)
[参照文献2]Aso T. et al, “GEANT4 Based Simulation Framework for Particle Therapy System”, Nuclear Science Symposium IEEE, Conference Record, 4, p.2564-2567 (2007)
[参照文献3(非特許文献1)]Kase Y, Kanai T, Matsumoto Y, Furusawa Y, Okamoto H, Asaba T, Sakama M and Shinoda H, “Microdosimetric measurements and estimation of human cell survival for heavy-ion beams”, Radiat. Res., 166, p.629-638 (2006)
[参照文献4(非特許文献2)]Kase Y, Kanai T, Matsufuji N, Furusawa Y, Elsasser T and Scholz M, “Biophysical calculation of cell survival probabilities using amorphous track structure models for heavy-ion irradiation”, Phys. Med. Biol., 53, p.37-59 (2008)
[参照文献5]Kiefer J and Straaten H, “A model of ion track structure based on classical collision dynamics” Phys. Med. Biol., 31, p.1201-1209 (1986)
[参照文献6]Chatterjee A and Schaefer H J, “Microdosimetric structure of heavy ion tracks in tissue”, Radiat. Environm. Biophys., 13, p.215-227 (1976)
[参照文献7]Furusawa Y, Fukutsu K, Aoki M, Itsukaichi H, Eguchi-Kasai K, Ohara H, Yatagai F, Kanai T and Ando K, “Inactivation of aerobic and hypoxic cells from three different cell lines by accelerated He-, C- and Ne-ion beams”, Radiat. Res., 154, p.485-496 (2000)
[参照文献8]Toshito T, Inaniwa T, Furukawa T, Takeshita E, Himukai T, Sato S, Noda K, Kanematsu N and Kase Y, “Introduction of Monte Carlo method to treatment planning for scanning carbon beam therapy “, Proc of the 99thScientific Meeting of JSMP, p.125-126 (2010)
[参照文献9]Inaniwa T, Furukawa T, Tomitani T, Sato S, Noda K and Kanai T, “Optimization for fast-scanning irradiation in particle therapy”, Med. Phys., 34, p.3302-3311 (2007)
[参照文献10]Inaniwa T, Furukawa T, Sato S, Tomitani T, Kobayashi M, Minohara S, Noda K and Kanai T, “Development of treatment planning for scanning irradiation at HIMAC”, Nucl. Instrum. Methods. Phys. Res., B 266, p.2194-2198 (2008)
[参照文献11]Furukawa T, Inaniwa T, Sato S, Shirai T, Takei Y, Takeshita E, Mizushima K, Iwata Y, Himukai T, Mori S, Fukuda S, Minohara S, Takada E, Murakami T and Noda K, “Performance of NIRS fast scanning system for heavy-ion radiotherapy”, Med. Phys. submitted (2010)
[参照文献12]Inaniwa T, Furukawa T, Nagano A, Sato S, Saotome N, Noda K and Kanai T, “Field-size effect of physical doses in carbon-ion scanning using range shifter plates”, Med. Phys., 36, p.2889-2897 (2009)
[参照文献13]Kramer M, and Scholz M, “Treatment planning for heavy-ion radiotherapy: calculation and optimization of biologically effective dose”, Phys. Med. Biol., 45, p.3319-3330 (2000)
[参照文献14]Gemmel A, Hasch B, Ellerbrock M, Weyrather W K, and Kramer M, “Biological dose optimization with multiple ion fields”, Phys. Med. Biol., 53, p.6991-7012 (2008)
[参照文献15]Kanai T et al, “Biophysical characteristics of HIMAC clinical irradiation system for heavy-ion radiation therapy”, Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys., 44, p.201-210 (1999)
S1 情報入力ステップ
S2 ビーム照射位置決定ステップ
S3 カーネル作成ステップ
S4 初期値決定ステップ
S5 加重平均値算出ステップ
S6 生物学的効果比算出ステップ
S7 臨床線量算出ステップ
S8 評価指標値導出ステップ
S9 判定ステップ
S10 重み更新ステップ
S11 出力ステップ
1 治療計画装置
2 ビーム照射位置決定手段
3 カーネル作成手段
4 初期値決定手段
5 加重平均値算出手段
6 生物学的効果比算出手段
7 臨床線量算出手段
8 評価指標値導出手段
9 判定手段
10 重み更新手段
11 出力手段
本発明は、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出する治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法に関する。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出するにあたり、従来よりも短い時間で改良MKMを適用した治療計画を導出することのできる治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法を提供することを課題とする。
〕本発明に係る治療計画装置は、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画装置であって、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出手段と、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出手段と、を有することを特徴とする。
〕本発明に係る治療計画装置は、さらに、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出手段と、前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力手段と、を有し、前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新手段にてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値算出手段にて前記評価指標値の導出を行う。
〕本発明に係る治療計画装置は、予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、前記加重平均値算出手段において、前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を行う。
〕本発明に係る治療計画装置は、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
〕本発明に係る治療計画プログラムは、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画プログラムであって、コンピュータに、着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップ、算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップ、算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップ、を実行させることを特徴とする。
〕本発明に係る治療計画プログラムは、前記臨床線量算出ステップに続いて、コンピュータに、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出ステップ、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力ステップ、を実行させ、前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新ステップにてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値導出ステップにて前記評価指標値の導出を実行させる。
〕本発明に係る治療計画プログラムは、予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、前記加重平均値算出ステップにおいてコンピュータに、前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を実行させる。
〕本発明に係る治療計画プログラムは、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
〕本発明に係る生物学的効果比算出方法は、マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出するために用いられる生物学的効果比算出方法であって、前記生物学的効果比を、着目する深さ位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から算出することを特徴とする。
〔1〕本発明に係る生物学的効果比算出方法は、前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる。
本発明に係る治療計画装置、治療計画プログラムおよび生物学的効果比算出方法はいずれによっても、3次元スポットスキャニング法を用いた重粒子線治療の治療計画を導出するにあたり、従来よりも短い時間で改良MKMを適用した治療計画を導出することができる。

Claims (14)

  1. マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画方法であって、
    着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップと、
    算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップと、
    算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップと、
    を含む
    ことを特徴とする治療計画方法。
  2. 前記臨床線量算出ステップに続いて、
    算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出ステップと、
    前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力ステップと、を含み、
    前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新ステップにてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値導出ステップにて前記評価指標値の導出を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の治療計画方法。
  3. 予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、
    前記加重平均値算出ステップにおいて、
    前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を行う
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の治療計画方法。
  4. 前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の治療計画方法。
  5. マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画装置であって、
    着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
    算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出手段と、
    算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出手段と、
    を有する
    ことを特徴とする治療計画装置。
  6. さらに、算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出手段と、
    前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力手段と、を有し、
    前記評価指標値導出手段で導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出手段における計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新手段にてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値算出手段にて前記評価指標値の導出を行う
    ことを特徴とする請求項5に記載の治療計画装置。
  7. 予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、
    前記加重平均値算出手段において、
    前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を行う
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の治療計画装置。
  8. 前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる
    ことを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか一項に記載の治療計画装置。
  9. マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出する治療計画プログラムであって、
    コンピュータに、
    着目する位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値を算出する加重平均値算出ステップ、
    算出した前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値から前記生物学的効果比を算出する生物学的効果比算出ステップ、
    算出した前記生物学的効果比に基づいて前記臨床線量を算出する臨床線量算出ステップ、
    を実行させる
    ことを特徴とする治療計画プログラム。
  10. 前記臨床線量算出ステップに続いて、
    コンピュータに、
    算出した前記臨床線量に基づいて評価指標値を導出する評価指標値導出ステップ、
    前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値よりも低いか、または、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数よりも多い場合は、算出した前記生物学的効果比を照射パラメータとして出力する出力ステップ、を実行させ、
    前記評価指標値導出ステップで導出した前記評価指標値が予め設定された閾値以上、かつ、前記評価指標値導出ステップにおける計算の繰り返し回数が予め設定された回数以下の場合は、重み更新ステップにてペンシルビームの重みを更新して、再度、前記評価指標値導出ステップにて前記評価指標値の導出を実行させる
    ことを特徴とする請求項9に記載の治療計画プログラム。
  11. 予め記憶部に前記飽和補正線量平均比エネルギーがペンシルビームのビーム進行方向における位置と関連付けられて記憶されており、
    前記加重平均値算出ステップにおいて、
    コンピュータに、
    前記記憶部に記憶されている前記飽和補正線量平均比エネルギーを読み出して、前記着目する位置における前記飽和補正線量平均比エネルギーの線量加重平均値の算出を実行させる
    ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の治療計画プログラム。
  12. 前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる
    ことを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか一項に記載の治療計画プログラム。
  13. マイクロドシメトリックキネティックモデルを重粒子線用に改良した改良マイクロドシメトリックキネティックモデルを用いて、吸収された放射線のエネルギーを示す吸収線量と、放射線の生体に対する作用の程度を示す生物学的効果比と、の積で表される臨床線量を算出し、当該臨床線量を用いて3次元スポットスキャニング法における治療計画を導出するために用いられる生物学的効果比算出方法であって、
    前記生物学的効果比を、着目する深さ位置に影響する複数のペンシルビームによって与えられる飽和線量平均比エネルギーの線量加重平均値から算出する
    ことを特徴とする生物学的効果比算出方法。
  14. 前記生物学的効果比の算出にあたり、事前の細胞照射実験によって求められた線エネルギー付与がゼロ(LET=0)の極限における生残率曲線の初期の傾きを示す定数α0を用いる
    ことを特徴とする請求項13に記載の生物学的効果比算出方法。
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