JPWO2010061807A1 - ケトンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

下記式(1):【化1】(式(1)中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、R1とR2がアルキル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)で表されるアミド系溶媒中、水、パラジウム触媒および分子状酸素の存在下で、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめて、前記炭素−炭素二重結合を構成する少なくとも一方の炭素原子にオキソ基を結合せしめるケトンの製造方法。

Description

本発明は、オレフィンを酸化してケトンを製造する方法に関する。
メチルエチルケトン(MEK)やメチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトンといったケトン類、アセトアルデヒドに代表されるアルデヒド類などのカルボニル化合物は、溶剤や化学原料として有用であり、様々な分野で用いられている。このようなカルボニル化合物は、通常、オレフィンの水和により生成したアルコールを脱水素せしめる2段反応法により製造されているが、より簡便な方法として、オレフィンを直接酸化せしめる1段反応法も知られている。
このオレフィンを直接酸化せしめる方法としては、PdCl/CuCl触媒によるワッカー法が知られているが、この方法は、分子内の末端に炭素−炭素二重結合(以下、「C=C結合」と略す)を有する末端オレフィンの酸化には有効であるが、末端以外の部位にC=C結合を有する内部オレフィンの酸化においては反応性が低いといった問題がある。また、オレフィンの炭素数が増加すると反応速度が著しく低下するといった問題もあった。このため、工業的には低級の末端オレフィンを酸化するアセトアルデヒドやアセトンなど低級のカルボニル化合物の製造以外には用いられていない。
このようなオレフィンの直接酸化によるカルボニル化合物の製造における問題点を解消するために様々な方法が提案されている。例えば、Tetrahedron Letters、1985、2263−2264(非特許文献1)には、パラジウム触媒、銅触媒、ポリエチレングリコールおよび水を用いて末端および内部オレフィンを酸化させる方法が開示されている。
特開平5−140020号公報(特許文献1)には、パラジウム、レドックス活性を有する金属(銅、鉄など)の酸素酸塩、ヒドロキノン類、および前記ヒドロキノン類をキノン類に変換可能な化合物(鉄フタロシアニン、コバルトテトラフェニルポルフィリンなど)の存在下、酸性水溶液中でオレフィン類を分子状酸素により酸化させるカルボニル化合物の製造方法が開示されている。
特開平5−148177号公報(特許文献2)には、パラジウム化合物と、銅化合物および/または鉄化合物とからなる触媒の存在下、水とウレアとを含む溶液中でオレフィンを酸化させるカルボニル化合物の製造方法が開示されている。
特開平7−17891号公報(特許文献3)には、パラジウム化合物、銅化合物および有機リン化合物の存在下にオレフィンと水とを反応させるカルボニル化合物の製造方法が開示されている。
特開平7−149685号公報(特許文献4)には、パラジウム化合物、ポリオキソアニオン系化合物および鉄含有化合物の存在下に、含酸素化合物や含硫黄化合物からなる溶媒中でオレフィンと酸素ガスとを反応させるカルボニル化合物の製造方法が開示されている。
J.Org.Chem.、1990、55、2924−2927(非特許文献2)には、パラジウム触媒の存在下、強酸を用いて環状または内部オレフィンとp−ベンゾキノンとを反応させる改良ワッカー法が開示されており、また、特開平8−67648号公報(特許文献5)には、水およびパラジウム化合物の存在下でp−ベンゾキノンを用いてオレフィン系化合物を酸化させるケトンの製造方法において、前記酸化反応を不均質な強酸(例えば、スルホン酸のイオン交換体など)を用いて実施するケトンの製造方法が開示されている。
J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1、2000、1915−1918(非特許文献3)には、酢酸パラジウムの存在下、トルエン中でピリジンと2−プロパノールとを用いたオレフィンの酸化反応が開示されている。
特開2002−191979号公報(特許文献6)には、パラジウム化合物とヘテロポリ酸と強酸とからなる酸化触媒の存在下でアルケン類を分子状酸素で酸化させるケトンの製造方法が開示されている。
特開2008−231043号公報(特許文献7)には、パラジウム源、メソポーラスシリケート、水およびプロトン酸の存在下、オレフィンを分子状酸素と反応させるケトンの製造方法が開示されている。
しかしながら、内部オレフィンや環状オレフィンを酸化して高収率且つ高選択性でケトンを製造するには、従来のカルボニル化合物の製造方法は未だ十分に満足できる方法ではなかった。
また、Angew.Chem.Int.Ed.、2006、45、481−485(非特許文献4)には、パラジウム触媒の存在下、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性溶媒中で末端オレフィンを酸化させる際に、再酸化剤として分子状酸素を用いるケトンの製造方法が開示されている。
特開平5−140020号公報 特開平5−148177号公報 特開平7−17891号公報 特開平7−149685号公報 特開平8−67648号公報 特開2002−191979号公報 特開2008−231043号公報
D.J.H.Smithら、Tetrahedron Letters、1985、2263−2264 D.D.M.Waynerら、J.Org.Chem.、1990、55、2924−2927 S.Uemuraら、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1、2000、1915−1918 K.Kanedaら、Angew.Chem.Int.Ed.、2006、45、481−485
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、内部オレフィンや環状オレフィンを酸化して対応するケトンを高収率且つ高選択性で製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、パラジウム触媒、水および分子状酸素の存在下で特定のアミド系溶媒を用いることによって、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめ、従来の方法では高収率且つ高選択性で製造することが困難であった前記内部オレフィンまたは前記環状オレフィンに対応するケトンを高収率且つ高選択性で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のケトンの製造方法は、下記式(1):
Figure 2010061807
(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、RとRがアルキル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
で表されるアミド系溶媒中、水、パラジウム触媒および分子状酸素の存在下で、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめて、前記炭素−炭素二重結合を構成する少なくとも一方の炭素原子にオキソ基を結合せしめる方法である。前記パラジウム触媒の濃度としては0.002〜1mol/Lが好ましい。
本発明のケトンの製造方法において、前記内部オレフィンまたは環状オレフィンとしては、下記式(2):
Figure 2010061807
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選択される1種を表し、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよく、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
で表される化合物が好ましく、分子内の末端に炭素−炭素二重結合を有しないものがより好ましい。
また、前記パラジウム触媒としてはハロゲン化パラジウムおよびハロゲン化パラジウムのニトリル錯体からなる群から選択される少なくとも1種のパラジウム化合物が好ましく、前記アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
なお、本発明の製造方法によって内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化して対応する所望のケトンを高収率且つ高選択性で製造することができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、内部オレフィンや環状オレフィンは末端オレフィンに比べて反応性が低いため、従来のワッカー法においては十分に酸化反応が進行せず、対応するケトンの収率が低下するものと推察される。また、従来のワッカー法においては、内部オレフィンを酸化させる際に、オレフィンの異性化反応が起こるため、内部オレフィンに対応するケトンの生成量が減少し、対応する所望のケトンの選択率も低下するものと推察される。
一方、本発明のケトンの製造方法においては、銅を用いずに分子状酸素のみを再酸化剤として用いることができるため、末端オレフィンに比べて反応性が低い内部オレフィンや環状オレフィンに対しても効率的にワッカー反応を進行させることができ、対応するケトンの収率が高くなるものと推察される。また、本発明のケトンの製造方法においては、内部オレフィンを酸化させる際にオレフィンの異性化反応が起こらないため、対応する所望のケトンの選択率が高くなるものと推察される。
本発明によれば、内部オレフィンや環状オレフィンを酸化して高収率且つ高選択性で対応するケトンを製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のケトンの製造方法は、下記式(1):
Figure 2010061807
(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、RとRがアルキル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
で表されるアミド系溶媒中、水、パラジウム触媒および分子状酸素の存在下で、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめて、前記炭素−炭素二重結合を構成する少なくとも一方の炭素原子にオキソ基を結合せしめる方法である。
<オレフィン>
本発明に用いられるオレフィンは、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンである。また、本発明においては、分子内部に1個以上の炭素−炭素二重結合を有していれば、末端に炭素−炭素二重結合を有しているオレフィンも、有していないオレフィンも、内部オレフィンまたは環状オレフィンとして使用することができる。
このようなオレフィンとしては、下記式(2):
Figure 2010061807
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選択される1種を表し、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよく、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
で表される化合物が好ましい。
前記アルキル基および前記アルケニル基は、直鎖状のものであっても分枝状のものであっても環状のものであってもよい。また、アルキル基の炭素数としては1〜12が好ましく、4〜12がより好ましい。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいてヘテロ原子を含有していてもよい。前記アルケニル基中のC=C結合の位置としては特に制限はなく、アルケニル基の末端であっても内部であってもよい。例えば、アルケニル基の末端にC=C結合を有するオレフィンは、分子内の末端と内部にC=C結合を有するポリエンとなり、アルケニル基の内部にC=C結合を有するオレフィンは、分子の内部に2個以上のC=C結合を有するポリエンとなる。前記アリール基としてはフェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基が挙げられ、本発明の効果を損なわない限りにおいてヘテロ原子を含有していてもよい。
また、RとR および/または、RとRはそれぞれ互いに結合して環構造を形成してもよい。このような環構造としては、シクロアルケンおよびシクロアルカジエンといった環状オレフィン類などが挙げられる。この場合、環構造以外の部分(例えば、RとRとが結合して環構造を形成した場合にはRおよび/またはR)にC=C結合が存在していてもよい。
このような内部オレフィンの具体例としては、2−ブテン、2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4−メチル−2−ペンテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、5−メチル−2−ヘキセン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、6−メチル−2−ヘプテン、2−ノネン、7−メチル−2−オクテン、1−フェニル−1−プロピレン、1−シクロヘキシル−1−プロピレン、2−デセン、3−デセン、4−デセン、5−デセン、8−メチル−2−ノネン、1−フェニル−2−ブテン、1−シクロヘキシル−2−ブテン、5−ウンデセン、6−ドデセン、7−テトラデセン、8−ヘキサデセンといったモノオレフィン類、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、2,4−デカジエンといったジエン類などが挙げられる。また、これらの内部オレフィンは、シス型、トランス型といった異性体も区別なく使用できる。
前記環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセンといったシクロアルケン類、シクロオクタジエンに代表されるシクロアルカジエン類、およびこれらのシクロアルケン類やシクロアルカジエン類にアルキル基やアルケニル基などが置換したもの(例えば、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン)などが挙げられる。
これらの内部オレフィンおよび環状オレフィンは1種を単独で用いてもまたは2種以上を併用してもよい。また、このような内部オレフィンおよび環状オレフィンのうち、生成する対応のケトンの収率および選択率が高くなるという観点から、2−ブテン、2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4−メチル−2−ペンテン、2−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、5−デセン、6−メチル−2−ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンが好ましく、3−ヘキセン、4−オクテン、5−デセン、7−テトラデセンがより好ましい。
本発明の製造方法において、内部オレフィンまたは環状オレフィンの濃度としては、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.05〜1mol/Lがより好ましい。前記オレフィンの濃度が前記下限未満になると高収率で対応するケトンを得ることができない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記オレフィンの酸化反応が十分に進行せず、高収率で対応するケトンを製造することができない傾向にある。
<パラジウム触媒>
本発明に用いられるパラジウム触媒としては、パラジウム原子を含有する化合物であれば特に制限はされず、通常のケトンの製造において用いられるものを使用することが可能である。このようなパラジウム触媒として具体的には、硫酸パラジウム、硝酸パラジウムおよび炭酸パラジウムといったパラジウムの無機塩類、ヘテロポリ酸パラジウム塩およびイソポリ酸パラジウム塩といったパラジウムを含有するポリオキソアニオン系化合物、塩化パラジウムおよび臭化パラジウムといったハロゲン化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラブロモパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウムおよびテトラブロモパラジウム酸カリウムといったパラジウム酸塩類、テトラアンミンパラジウムジクロリドおよびジアンミンパラジウムテトラクロリドといったハロゲン化パラジウムのアンミン錯体、水酸化パラジウムおよび酸化パラジウムといった無機系パラジウム化合物および錯体、酢酸パラジウムに代表されるパラジウム有機酸塩、パラジウムアセチルアセトナートおよびアルキルパラジウム化合物といったパラジウム含有有機化合物、ジアセトニトリルパラジウムジクロリドおよびジベンゾニトリルパラジウムジクロリドといったハロゲン化パラジウムのニトリル錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムに代表されるパラジウムホスフィン錯体、エチレンジアミン四酢酸パラジウムに代表されるパラジウムアミン錯体、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムのクロロホルム付加物およびシクロオクタジエンパラジウムジクロリドといった有機系パラジウム化合物および錯体、パラジウムコロイドおよび高分散パラジウム金属といった活性な金属パラジウムなどが挙げられる。また、これらの化合物の無水物、結晶水含有物も前記パラジウム触媒として使用することができる。これらのパラジウム触媒は1種を単独で用いてもまたは2種以上を併用してもよい。
これらのパラジウム触媒のうち、前記オレフィンの酸化反応において収率および選択性が高くなるという観点から、ハロゲン化パラジウムおよびハロゲン化パラジウムのニトリル錯体が好ましく、ハロゲン化パラジウムがより好ましい。
本発明において、パラジウム触媒は、後述するアミド系溶媒に溶解した状態であっても、均一または不均一に分散した状態であってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、アミド系溶媒にパラジウム触媒の一部の成分(例えば、配位子)を溶解させ、残りの成分を均一または不均一に分散させてもよい。
また、本発明において、パラジウム触媒の濃度としては、0.002〜1mol/Lが好ましく、0.001〜0.05mol/Lがより好ましい。パラジウム触媒の濃度が前記下限未満になると前記オレフィンの酸化反応が十分に進行せず、高収率で対応するケトンを製造することができない傾向にあり、他方、前記上限を超えると不活性種であるPd blackが生成し、オレフィンの酸化反応が十分に進行しない傾向にある。
<アミド系溶媒>
本発明においては、溶媒として前記式(1)で表されるアミド系溶媒を使用する。このようなアミド系溶媒を使用することによって、分子状酸素によりパラジウム触媒を効率よく再酸化することが可能となる。
前記式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはアリール基を表す。RとRがアルキル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。このような環構造としては、ピロリドン骨格、カプロラクタム骨格などが挙げられる。
本発明に用いられる具体的なアミド系溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N−メチル−N−エチルアセトアミド、N−ブチル−N−フェニルアセトアミド、N,N−ジメチルプロパンアミド、N,N−ジエチルプロパンアミド、N−メチル−N−エチルプロパンアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−カプロラクタム、N−エチル−2−カプロラクタムなどが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもまたは2種以上を併用してもよい。また、本発明においては、これらのアミド系溶媒と他の溶媒とを併用してもよい。
このようなアミド系溶媒のうち、前記オレフィンの酸化反応において収率および選択性が高くなるという観点から、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
本発明におけるアミド系溶媒の使用量は、前記オレフィンおよび前記パラジウム触媒の濃度が前記範囲内となるように適宜設定される。
<水>
本発明においては、前記オレフィンと水とを反応させて対応するケトンを製造する。水の添加量は反応必要量であれば特に制限はなく、使用するオレフィン、パラジウム触媒およびアミド系溶媒の種類、反応方式およびその条件によって適宜設定することができる。具体的には、前記アミド系溶媒100容量部に対して0.5〜70容量部が好ましく、1〜50容量部がより好ましい。水の添加量が前記下限未満になると十分な酸化反応速度が得られず、対応するケトンの収率が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えるとパラジウム成分が金属パラジウムとして沈降または凝集して触媒活性が低下する傾向にある。また、前記オレフィンの水への溶解度が低いため、前記オレフィンとパラジウム触媒との接触効率が低下して十分な酸化反応速度が得られず、対応するケトンの収率が低下する傾向にある。
<酸素>
本発明においては、前記オレフィンを酸化した後のパラジウム触媒を、分子状酸素を用いて再酸化する。このとき、銅触媒などの共触媒を実質的に使用しないため、前記オレフィンの酸化反応が銅触媒により阻害されず、内部オレフィンまたは環状オレフィンから対応するケトンを高収率且つ高選択性で製造することが可能となる。
前記分子状酸素の供給源としては、酸素ガス、酸素富化空気、空気、酸素ガスと希釈ガスとの混合ガスなど(これらをまとめて「酸素含有ガス」という)が挙げられる。希釈ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素などが挙げられるが、通常、窒素ガスが用いられる。
本発明においては、発明の効果を損なわない限りにおいて、これらの酸素含有ガスや希釈ガス以外のガスを併用することができる。また、このような酸素含有ガスは、必要に応じて水やアミド系溶媒などと混合して供給してもよい。
本発明においては、酸素含有ガスを、0.1〜1MPa(より好ましくは0.3〜1MPa)の酸素圧で供給することが好ましい。酸素圧が前記下限未満になると不活性種であるPd blackが生成し、高収率で対応するケトンを製造できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると一部のオレフィンにおいて、酸素化副生成物が生成する(例えば、シクロヘキセンの場合、アリル位が酸化された2−シクロヘキセン1−オンが生成する)傾向にある。
<酸化反応>
本発明のケトンの製造方法においては、前記アミド系溶媒中、水、パラジウム触媒および分子状酸素の存在下で、前記内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化させ、このオレフィン中のC=C結合を構成する少なくとも一方の炭素原子にオキソ基(=O)を結合させることによってケトンが生成する。なお、本明細書においては、このようなケトンを「対応するケトン」という。
本発明において、酸化反応の方式としては前記パラジウム触媒と前記オレフィンとを接触させることができる限り、特に制限はなく、例えば、使用するオレフィンおよびパラジウム触媒に応じて、気液反応および/または液液反応のいずれでも実施することが可能であり、また、回分式、半回分式、半連続式、連続流通式、またはこれらの組み合わせを採用することができる。また、オレフィンなどの各成分の供給方法も特に制限はなく、液体状で供給しても気体状で供給してもよい。
具体的な製造方法としては、前記パラジウム触媒と前記アミド系溶媒とを混合して調製した触媒溶液またはこれに前記オレフィンを混合した混合溶液と、前記酸素含有ガスとを回分式反応装置に仕込んで反応させる回分式、前記触媒溶液中に前記オレフィンと前記酸素含有ガスとを連続的に供給したり、前記混合溶液中に前記酸素含有ガスを連続的に供給する半回分式または半連続式、前記触媒溶液と前記オレフィンと前記酸素含有ガスとを同時に反応領域に流通させる連続流通式などが挙げられる。
本発明において、前記触媒溶液中に前記オレフィンと前記酸素含有ガスとを連続的に供給する場合、前記オレフィンの供給速度としては、パラジウム1mol当り10〜5000mol/hが好ましい。前記オレフィンの供給速度が前記下限未満になると単位時間当たりの対応するケトンの生産量が減少する傾向にあり、他方、前記上限を超えると不活性種であるPd Blackが生成し、対応するケトンを高収率で得ることができない傾向にある。なお、前記酸素含有ガスの供給速度については、反応系内の酸素圧が前記範囲内となるように適宜調整される。
本発明において、前記酸化反応を実施する際の反応温度としては、0〜200℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。反応温度が前記下限未満になると反応速度が遅く、対応するケトンの収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとオレフィンの異性化などの副反応が起こり、対応するケトンの選択率が低下する傾向にある。
また、本発明においては、従来のワッカー法で用いられる銅触媒の濃度が0.03mol/L以下であることが好ましく、0.01mol/L以下であることがより好ましく、0.003mol/L以下であることが特に好ましい。銅触媒の濃度が前記上限を超えると対応するケトンの収率が低下する傾向にある。このような観点から本発明においては銅触媒の非存在下で前記内部オレフィンまたは前記環状オレフィンを酸化せしめることが最も好ましい。銅触媒は、従来のワッカー法においてはパラジウム触媒の再酸化を促進していたものであるが、本発明のような内部オレフィンまたは環状オレフィンのワッカー反応においては、銅触媒の共存により対応するケトンの収率が低下する傾向にあることから、分子状酸素により効率的に進行するパラジウム触媒の活性を阻害するものと推察される。
このようにして得られた対応するケトンは、常法に従って分離精製することにより所望の純度または組成の単独化合物または混合物として得ることができる。本発明の製造方法においては、酸化反応時の副反応が少ないため、未反応の原料は回収して再度ケトンの製造に使用することができる。また、アミド系溶媒やパラジウム触媒も分離回収して繰り返し使用することができる。このとき、パラジウム触媒は必要に応じて適宜再生してもよい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
耐圧容器に、塩化パラジウム(8.8mg、0.05mmol)、ジメチルアセトアミド(DMA、5ml)および水(0.5ml)を仕込み、80℃に加熱して塩化パラジウムを溶解した。得られた溶液をオートクレーブ型反応器に移した後、酸素ガスを供給して反応器内を0.9MPaに加圧して1時間攪拌した。反応器内を脱圧し、トランス−4−オクテン(112mg、1.0mmol)を加えた後、酸素ガスを供給して反応器内を0.6MPaに加圧して80℃で10時間酸化反応を行なった。
反応終了後、生成物をFID検出器を装着したガスクロマトグラフ((株)島津製作所製「GC−2014」、カラム:KOCL 3m)を用いて分析したところ、トランス−4−オクテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、4−オクタノンが生成していることが確認された。従って、トランス−4−オクテンは、下記反応式(I):
Figure 2010061807
のように酸化されたものと推察される。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表1に示す。
(比較例1〜2)
ジメチルアセトアミドの代わりにジメチルホルムアミド(DMF、5ml)またはアセトニトリル(CHCN、5ml)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、トランス−4−オクテンは、前記反応式(I)のように酸化されたものと推察された。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表1に示す。
Figure 2010061807
表1に示した結果から明らかなように、溶媒としてDMAを用いた場合(実施例1)においては、高収率且つ高選択率で4−オクタノンを製造できることが確認された。また、生成物としては4−オクタノンのみが検出され、本発明においてはトランス−4−オクテンの異性化反応は起こらなかったものと推察される。一方、溶媒としてDMFやCHCNを用いた場合(比較例1〜2)においては、収率が低く、選択率も低くなった。また、生成物としては2−オクタノンや3−オクタノンが検出され、オレフィンの異性化反応が進行した後に、酸化反応が進行したと推察される。
(実施例2〜6)
トランス−4−オクテンの代わりにそれぞれトランス−2−オクテン(112mg、1.0mmol)、トランス−3−オクテン(112mg、1.0mmol)、トランス−5−デセン(140mg、1.0mmol)、7−テトラデセン(196mg、1.0mmol)およびトランス−3−ヘキセン(84mg、1.0mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、各内部オレフィンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、対応するケトンが生成していることが確認された。また、各内部オレフィンの仕込量に対する対応のケトンの収率、および全生成物量に対する対応のケトンの選択率を表2に示す。
(実施例7)
トランス−4−オクテンの代わりに2−ブテン(300mg、5.3mmol)を用い、塩化パラジウムの量を30.4mg(0.17mmol)、ジメチルアセトアミドの量を30ml、水の量を3.0ml、反応時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、2−ブテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、メチルエチルケトンが生成していることが確認された。また、2−ブテンの仕込量に対するメチルエチルケトンの収率、および全生成物量に対するメチルエチルケトンの選択率を表2に示す。
(比較例3〜5)
以下の従来の方法により各種内部オレフィンから製造された各種ケトンの前記内部オレフィンの仕込量に対する収率、および全生成物量に対する選択率を表3に示す。比較例3はD.D.M.Waynerらの方法による結果(J.Org.Chem.1990,55,2924)、比較例4はD.J.H.Smithらの方法による結果(Tetrahedron Letters.1985,2263)、比較例5はS.Uemuraらの方法による結果(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2000,1,1915)である。なお、表3中、Acはアセチル基を表し、BQはベンゾキノンを表し、PEGはポリエチレングリコールを表す。
Figure 2010061807
Figure 2010061807
表2〜3に示した結果から明らかなように、パラジウム触媒とベンゾキノンを用いて内部オレフィンを酸化した場合(比較例3)においては、オレフィンのC=C結合にオキソ基が結合したケトン以外に、オレフィンの異性化反応を経て生成したものと推察される4−オクタノンが生成している。また、従来の方法では、アルキル鎖が長くなると対応するケトンの収率が著しく低下している(比較例4〜5)。
一方、PdCl触媒の存在下、DMA中で内部オレフィンを酸化した本発明の製造方法(実施例1〜6)においては、高収率且つ高選択率でオレフィンのC=C結合にオキソ基が結合したケトンが得られた。特に、アルキル鎖が長くなっても対応するケトンの収率の著しい低下は見られず、選択率は非常に高いものであった(実施例4〜5)。なお、実施例7は他の実施例に比べて収率が低く見えるが、これは触媒量が少なく反応時間も短かったことによる。しかしながら、従来の方法では内部オレフィンの酸化はほとんど反応が進まなかったことを考慮すると、本発明の製造方法は十分優位性があると言える。すなわち、従来の方法、例えば、溶媒としてDMFを用い、触媒としてPdCl/CuClを実施例7と同程度の濃度で用いた場合に比べて、実施例7では、高収率且つ高選択率でメチルエチルケトンを製造できたと言える。
(実施例8)
トランス−4−オクテンの代わりにシクロヘキセン(42mg、0.5mmol)を用い、塩化パラジウムの量を17.5mg(0.1mmol)に変更した以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、シクロヘキセンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、シクロヘキサノンが生成していることが確認された。また、シクロヘキセンの仕込量に対するシクロヘキサノンの収率、および全生成物量に対するシクロヘキサノンの選択率を表4に示す。
(実施例9)
シクロヘキセンの量を82mg(1.0mmol)に変更し、反応温度を70℃に変更した以外は実施例8と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、シクロヘキセンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、シクロヘキサノンが生成していることが確認された。また、シクロヘキセンの仕込量に対するシクロヘキサノンの収率、および全生成物量に対するシクロヘキサノンの選択率を表4に示す。
(実施例10)
シクロヘキセンの代わりにシクロペンテン(670mg、9.8mmol)を用い、塩化パラジウムの量を28.7mg(0.16mmol)、ジメチルアセトアミドの量を30ml、水の量を3.0ml、反応時間を4時間に変更した以外は実施例8と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、シクロペンテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、シクロペンタノンが生成していることが確認された。また、シクロペンテンの仕込量に対するシクロペンタノンの収率、および全生成物量に対するシクロペンタノンの選択率を表4示す。
Figure 2010061807
表4に示した結果から明らかなように、環状オレフィンにおいても高収率且つ高選択率で対応する環状ケトンを製造できることが確認された。また、実施例8と実施例9を比較すると反応温度を低下させることによって選択率が向上することが分かった。
(実施例11)
塩化パラジウムの量を3.5mg(0.02mmol)、トランス−4−オクテンの量を56mg(0.5mmol)、酸化反応時の酸素圧を0.9MPaおよび反応時間を6時間に変更した以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、トランス−4−オクテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、4−オクタノンが生成していることが確認された。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表5に示す。
(実施例12)
塩化パラジウムの代わりに塩化パラジウムのフェニルニトリル錯体(PdCl(PhCN)、7.7mg、0.02mmol)を用いた以外は実施例11と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、トランス−4−オクテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、4−オクタノンが生成していることが確認された。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表5に示す。
Figure 2010061807
(実施例13)
耐圧容器に、塩化パラジウム(8.8mg、0.05mmol)、塩化銅(II)(3.4mg、0.025mmol)、ジメチルアセトアミド(DMA、5ml)および水(0.5ml)を仕込み、酸素圧を0.3MPaおよび反応時間を12時間に変更した以外は実施例1と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、トランス−4−オクテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、4−オクタノンが生成していることが確認された。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表6に示す。
(実施例14〜15)
塩化銅(II)の添加量を6.8mg(0.05mmol)または13.6mg(0.1mmol)に変更した以外は実施例13と同様にして酸化反応を実施した。生成物を実施例1と同様に分析したところ、トランス−4−オクテンのC=C結合中の炭素原子にオキソ基(=O)が結合され、4−オクタノンが生成していることが確認された。また、トランス−4−オクテンの仕込量に対する4−オクタノンの収率、および全生成物量に対する4−オクタノンの選択率を表6に示す。
Figure 2010061807
表6に示した結果から明らかなように、4−オクタノンの選択率は塩化銅(II)の添加量に依存せず、非常に高いものであったが、収率については塩化銅(II)の添加量が少ないほど高くなることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、従来の方法では高収率且つ高選択性で製造することが困難であった内部オレフィンまたは環状オレフィン由来の対応するケトンを高収率且つ高選択性で製造することが可能となる。
したがって、本発明のケトンの製造方法は、対応するケトンの収率および選択性が高く、経済的に有利であり、この方法により得られたケトンは、溶媒や化学原料などの工業原料として有用である。

Claims (7)

  1. 下記式(1):
    Figure 2010061807
    (式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、RとRがアルキル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
    で表されるアミド系溶媒中、水、パラジウム触媒および分子状酸素の存在下で、分子内の末端以外の部位に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめて、前記炭素−炭素二重結合を構成する少なくとも一方の炭素原子にオキソ基を結合せしめるケトンの製造方法。
  2. 前記パラジウム触媒がハロゲン化パラジウムおよびハロゲン化パラジウムのニトリル錯体からなる群から選択される少なくとも1種のパラジウム化合物である、請求項1に記載のケトンの製造方法。
  3. 前記内部オレフィンまたは環状オレフィンが下記式(2):
    Figure 2010061807
    (式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選択される1種を表し、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RおよびRのうちの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれかであり、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよく、RとRがアルキル基またはアルケニル基の場合には互いに結合して環構造を形成してもよい。)
    で表される化合物である、請求項1に記載のケトンの製造方法。
  4. 前記内部オレフィンまたは環状オレフィンが分子内の末端に炭素−炭素二重結合を有しないものである、請求項1に記載のケトンの製造方法。
  5. 前記アミド系溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のケトンの製造方法。
  6. 銅触媒の非存在下で前記内部オレフィンまたは環状オレフィンを酸化せしめる請求項1に記載のケトンの製造方法。
  7. 前記パラジウム触媒の濃度が0.002〜1mol/Lである、請求項1に記載のケトンの製造方法。
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