JPWO2010047315A1 - ゴム組成物及びポリアミド積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、接地部、意匠部、ベース部からなるアウトソールにおいて、前記ベース部の接地部側にはラバーが配置され、接着面側はポリアミドエラストマーが配置され、ラバーと熱可塑性エラストマーとが溶融一体化して接合された構造を有するアウトソールが開示されている。
特許文献2には、ポリアミドエラストマーを、加熱下で、加硫ゴム部材と接触させて得られる樹脂部材と加硫ゴム部材とが直接接合した樹脂/ゴム複合体が開示されている。
特許文献3には、ポリアミド6をベースとしたブロックを有するエラストマーと、カルボン酸基または無水ジカルボン酸基を有するエラストマーと架橋系とからなる組成物を金型内で加硫する複合材料の製造方法が記載されている。
しかしながら、これらの技術においては、ポリアミドエラストマーとゴムとの接着力(接着強度)が満足できるものではない。
すなわち、本発明は、下記[1]及び[2]を提供するものである。
[1]ポリエーテルポリアミドエラストマーと、架橋ゴムとの積層体における該架橋ゴムの材料として用いられるゴム組成物であって、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム(A)100質量部に対し、シリカ(B)35〜80質量部と、下記式(1)で表されるアリールスルホン酸アミド誘導体及び下記式(2)で表されるヒドロキシ安息香酸アルキルエステル誘導体の中から選ばれる少なくとも一種の可塑剤(C)0.5〜10質量部と、架橋剤(D)0.1〜3質量部とを含むゴム組成物。
[2]下記式(3)で表わされるアミノカルボン酸化合物(X1)及び/又は下記式(4)で表わされるラクタム化合物(X2)、下記式(5)で表わされるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(Y)、並びに下記式(6)で表わされるジカルボン酸化合物(Z)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーと、上記[1]のゴム組成物から得られた架橋ゴムとが積層されてなるポリアミド積層体。
H2N−R5−COOH (3)
[但し、R5は、炭化水素鎖を含む連結基を示す。]
HOOC−(R7)m−COOH (6)
[但し、R7は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、mは0又は1である。]
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)として、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを含有する。
前記ジエン系合成ゴムとしては、特に制限なく、公知のものを使用することができる。例えば、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系単量体の重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、ニトリルイソプレンゴムなどのアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴムなどのスチレン−ジエン共重合ゴム,エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。
これらの中で、ポリエーテルポリアミドエラストマーと、ゴム組成物から得られた架橋ゴムとの積層体における層間接着強度(以下、単に「接着強度」という)の観点から、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムが好ましく、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムがより好ましく、ブタジエンゴムがさらに好ましい。
この併用系の場合、ポリブタジエンゴムと天然ゴムとの使用割合は、質量比で80:20〜20:80であることが好ましく、70:30〜30:70であることがより好ましい。
さらに、ブタジエンゴムとしては、接着強度の観点から、シス−1,4結合を90%以上含むものが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカ(B)は接着強度を高めるために用いられる。このシリカとしては、湿式シリカ(含水ケイ酸)及び乾式シリカ(無水ケイ酸)があるが、接着強度の観点から湿式シリカが好ましい。
前記湿式シリカは、接着強度の観点から、BET法による窒素吸着比表面積(N2SA)が140〜280m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。好適な湿式シリカとしては、例えば東ソー・シリカ株式会社製のAQ、VN3、LP、NA等、デグサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
シリカ(B)の配合量は、前記の(A)ゴム成分100質量部に対し、35〜80質量部の範囲で選定される。この含有量が35質量部未満では、充分な接着強度が得られず、一方、80質量部を超えると、逆に接着強度が低下する。以上の観点から、シリカの配合量は、40〜70質量部の範囲であることが好ましい。また、カーボンブラックを前記シリカと併用することができる。
本発明のゴム組成物において、接着強度を向上させるために、下記式(1)で表されるアリールスルホン酸アミド誘導体及び下記式(2)で表されるヒドロキシ安息香酸アルキルエステル誘導体の中から選ばれる少なくとも一種の可塑剤(C)を含有する。
この炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などが挙げられる。
R3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
nは0〜5の整数であって、nが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。
このようなアリールスルホン酸アミド誘導体としては、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類及びトルエンスルホン酸アルキルアミド類などが挙げられる。
ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド及びベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。
トルエンスルホン酸アルキルアミド類としては、N−エチル−o−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−o−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。
上記式(2)において、R4で表される炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などが挙げられる。
したがって、可塑剤(C)としては、前記式(1)で表されるアリールスルホン酸アミド誘導体及び式(2)で表されるヒドロキシ安息香酸アルキルエステル誘導体の中から、前記SP値が、好ましくは19〜25の範囲、より好ましくは19〜24.5の範囲、さらに好ましくは19〜24の範囲にあるものを選択することが望ましい。
このような可塑剤としては、例えばベンゼンスルホン酸ブチルアミド(SP値=23.5(MJ/m3)1/2)、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル(SP値=19.5(MJ/m3)1/2)などを挙げることができる。
なお、SP値が前記の範囲にあれば、当該可塑剤以外の可塑剤や軟化剤などを、必要により併用してもよい。
本発明のゴム組成物における架橋剤(D)としては、従来公知の化合物、例えば硫黄や有機過酸化物などを用いることができるが、これらの中で有機過酸化物が好適である。
天然ゴムやジエン系合成ゴムに対する架橋剤として用いることのできる有機過酸化物としては、例えばt−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロルベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボナート、t−ブチルペルベンゾエートなどが挙げられる。
これらの中ではジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、架橋性や接着強度の観点から好適である。
これらの有機過酸化物は一種単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、ゴム組成物中へのシリカの分散性を向上させ、接着強度を向上させるために、所望により、シランカップリング剤(E)を含有させることができる。
当該シランカップリング剤としては、硫黄含有シランカップリング剤やアミノ基含有シランカップリング剤を用いることができる。硫黄含有シランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられる。これらの中でビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド[デグサ・ジャパン株式会社製、商品名「Si69」、Sの平均数3.8]や、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド混合物[デグサ・ジャパン株式会社製、商品名「Si75」、Sの平均数2.4]が好適である。
これらのシランカップリング剤は、一種単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば架橋剤として硫黄(加硫剤)を用いる場合には加硫促進剤を、さらには老化防止剤、ポリエチレングリコール、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
前記加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン系などが挙げられる。
前記老化防止剤としては、例えば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、前述したゴム成分(A)、シリカ(B)、可塑剤(C)、架橋剤(D)及び必要に応じて用いられるシランカップリング剤(E)やその他各種薬品を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることにより、調製することができる。
このようにして得られた本発明のゴム組成物は、ポリエーテルポリアミドエラストマーと、架橋ゴムとの積層体における該架橋ゴムの材料として用いることにより、層間接着力の高いポリアミド積層体を与えることができる。
本発明において、架橋ゴムは、原料であるゴム組成物を射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等の公知の方法にてシート状等の所望の形状に成形することができる。更に、必要に応じて後工程で更に架橋処理を行ってもよい。
本発明のポリアミド積層体は、以下に示す特定の各種原料を重合して得られたポリエーテルポリアミドエラストマーと、前述した本発明のゴム組成物から得られた架橋ゴムとが積層されてなる構成を有する。
[ポリエーテルポリアミドエラストマー]
本発明のポリアミド積層体に用いられるポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマー[即ち、アミノカルボン酸化合物(X1)及び/又はラクタム化合物(X2)]、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(Y)(Yはポリオキシブチレンである)、及びジカルボン酸(Z)を重合して得られるものであることが好ましい。
特に、ポリアミド形成性モノマーの一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸又はカルボキシ基の場合、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸は、ポリエーテルジアミンのアミノ基とジカルボン酸のカルボキシ基がほぼ等モルになるような割合とするのが好ましい。
次に、アミノカルボン酸化合物(X1)及びラクタム化合物(X2)について説明する。
ポリエーテルポリアミドエラストマーに使用するアミノカルボン酸化合物(X1)は、下記式(3)で表される化合物である。
H2N−R5−COOH (3)
ここで、R5は炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数2〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15アルキレン基を示す。
ポリエーテルポリアミドエラストマーに使用するXYX型トリブロックポリエーテルジアミン(Y)は、下記式(5)で表される化合物であり、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーに使用するジカルボン酸化合物(Z)は、下記式(6)で表される化合物である。
HOOC−(R7)m−COOH (6)
ここで、R7は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜15の上記炭化水素基又は炭素数1〜15のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜12の上記炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4〜10の上記炭化水素基又は炭素数4〜10のアルキレン基を示すものである。また、mは0又は1を示す。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの硬度(ショアD)は、好ましくは15〜70の範囲、より好ましくは18〜70の範囲、さらに好ましくは20〜70の範囲、特に好ましいのは25〜70の範囲のものである。なお、本発明において、硬度(ショアD)は、ASTM D2240に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、さらにポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸の二成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンを重合させる方法も利用できる。
上記のモノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、及びジカルボン酸等の添加量は、得られるポリエーテルポリアミドエラストマーの特性が阻害されない範囲とするのが好ましく、最終的に得られるエラストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
本発明のポリアミド積層体は、前記ポリエーテルポリアミドエラストマーと、前記ゴム組成物から得られた架橋ゴムとが積層された積層体である。
本発明のポリアミド積層体は、ポリエーテルポリアミドエラストマーからなる層と、架橋ゴム層を1層又は2層以上有する。各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層体における全体の層数、用途などに応じて調節することができる。
また、積層体の層数は2層以上であるが、積層体における全体の層数は特に制限されず、いずれでもよい。積層体製造装置の機構から判断して、好ましくは7層以下、さらに好ましくは2層〜5層である。
成形温度としては、ポリエーテルポリアミドエラストマーを射出成形する場合は、160〜300℃が好ましく、190〜270℃が更に好ましい。ポリエーテルポリアミドエラストマーをインサートしてゴムの架橋を行う場合は、ポリエーテルポリアミドエラストマーの融点を超える温度で行うことが望ましく、一般的には160〜170℃で5〜15分程度で行う。温度が低い場合や、時間が短い場合は、ゴムの架橋が進まなかったり、熱溶着強度が十分出なかったりすることがあり、また温度が高い場合や時間が長すぎるとゴムが劣化するおそれがあるため好ましくない。
基材層は、X層及びY層のポリマーを除く、他のポリマー材料から得られるフィルム、シート、膜及び成形物など;天然・合成繊維、ガラス・セラミックスなどを原料とする無機繊維から得られる織物、編物、組み物及び不織布など;ガラス、金属、セラミックス、塗膜、紙など;皮革などを用いることができる。
接着層は、公知の各接着成分、接着性を有するシートやフィルムなどを用いることができ、本発明の特性を損なわないものを用いることが好ましい。
(1)相対粘度(ηr)(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dm3の濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた容積70リットル反応容器に宇部興産株式会社製12−アミノドデカン酸(ADA)11.231kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542、アミン価:1.94meq/g)7.680kg及びアジピン酸(AA)1.089kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて230℃に昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られた重合物は白色強靭でゴム弾性に富むポリマーであり、ηr=1.98であった。
(1)ポリエーテルポリアミドエラストマー(PAE)シートの作製
前記製造例1で得られたPAEのペレット約25gをスペーサー(150mm×150mm、厚み1.5mm)にセットした。次に、上記スペーサー、金属プレート及びテフロン(登録商標、以下同じ)シートを、金属プレート/テフロンシート/スペーサー/テフロンシート/金属プレートの層構成となるようにセットし、これをプレス成形機にセットし、加圧なしで1分間、190℃で予熱した後、1MPaで1分間、190℃で加圧プレスした後に取り出し、2分間冷却し成形した。
表1に示したゴム配合成分を、バンバリーミキサーを用いて、混練温度90℃で、時間4.5分混練した。次に、得られた混合物をプレス機中で、165℃,10MPa、15分間の条件で硬化させ、150mm×150mm×2mmの架橋ゴムシートを作製した。
上記(1)、(2)で作製したPAEシート及び架橋ゴムシートを、PAEシート/架橋ゴムシート/PAEシートとなるように3層に重ねて、150mm×150mm及び厚み5mmのスペーサーにセットした。
次に、上記スペーサー、金属プレート層及びテフロンシートを、層構成が金属プレート/テフロンシート/スペーサー/テフロンシート/金属プレートとなるようにセットし、これをプレス成形機にセットした。温度180℃にて加圧なしで5分間、上記温度で予熱した後、1MPaで5分間、同温で加圧プレスした後に取り出し、2分間冷却して成形した。上記サンプルを25mm幅で切り出し、試験用サンプルとしてT剥離試験に使用した。
剥離強度は、T剥離試験装置として、オリエンテック株式会社製、「テンシロン2500」を用い、引張速度50mm/分で行った。結果を表1に示す。
実施例1(1)において、製造例1で得たPAEの代わりに、ナイロン12(PA12)[宇部興産株式会社製、商品名「3030U」]を用いて、ナイロン12シートを温度210℃にて作製した以外は、実施例1と同様にして積層体シートを作製し、T剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(2)天然ゴム:標準マレーシア産天然ゴム
(3)NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム、JSR株式会社製、商品名「N230SV」
(4)シリカ:湿式シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil AQ」
(5)カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」
(6)HDPE:p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル(SP値19.5(MJ/m3)1/2)、花王株式会社製、商品名「エキセパールHD−PB」
(7)BBSA:ベンゼンスルホン酸ブチルアミド(SP値23.5(MJ/m3)1/2)、大八化学工業株式会社製、商品名「バル−BS」
(8)加工油:エクソンモービルケミカル社製、商品名「VARSOL 110 FLUID」
(9)DCP:ジクミルパーオキシド、日油株式会社製、商品名「パークミルD」
(10)3M:1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、日油株式会社製、商品名「パーヘキサ3M」
(11)シランカップリング剤:デグサ・ジャパン社製、商品名「Si69」
(12)老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
(13)積層体シートのポリアミド側シートとして、実施例1〜6及び比較例1〜3は、製造例1で得たPAEのシートを用い、比較例4は、PA12のシート(宇部興産株式会社製、商品名「3030U」)を用いた。
また、本発明のポリアミド積層体は、ポリエーテルポリアミドエラストマーと架橋ゴムとの強固な接着強度を有するため、タイヤ部材、各種振動吸収部材、ドアロック部材、ラジエターマウントなどの自動車部品、スポーツシューズ、作業用靴、靴底などの靴用部品、防振ゴムなどの各種産業用部材、さらにゴムだけでは強度が足りず大きな変形をしてしまう部分、例えば滑り止めのゴム、ゴムチューブ・スポーツ用品・電気製品のグリップなどの用途に好適に利用することができる。
Claims (14)
- ポリエーテルポリアミドエラストマーと、架橋ゴムとの積層体における該架橋ゴムの材料として用いられるゴム組成物であって、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム(A)100質量部に対し、シリカ(B)35〜80質量部と、下記式(1)で表されるアリールスルホン酸アミド誘導体及び下記式(2)で表されるヒドロキシ安息香酸アルキルエステル誘導体の中から選ばれる少なくとも一種の可塑剤(C)0.5〜10質量部と、架橋剤(D)0.1〜3質量部とを含むゴム組成物。
- 可塑剤(C)が、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド及び/又はp−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルである請求項1に記載のゴム組成物。
- 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム(A)が、ポリブタジエンゴム、又はポリブタジエンゴムと天然ゴムとの併用系である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- ポリブタジエンゴムが、シス−1,4結合を90%以上含むものである、請求項3に記載のゴム組成物。
- さらに、シランカップリング剤(E)を、シリカ(B)に対して、1〜10質量%の範囲で含む、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- 下記式(3)で表わされるアミノカルボン酸化合物(X1)及び/又は下記式(4)で表わされるラクタム化合物(X2)、下記式(5)で表わされるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(Y)、並びに下記式(6)で表わされるジカルボン酸化合物(Z)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーと、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物から得られた架橋ゴムとが積層されてなるポリアミド積層体。
H2N−R5−COOH (3)
[但し、R5は、炭化水素鎖を含む連結基を示す。]
HOOC−(R7)m−COOH (6)
[但し、R7は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、mは0又は1である。] - (X1)化合物、(X2)化合物、(Y)化合物、及び(Z)化合物の総量に対する、アミノカルボン酸化合物(X1)及び/又はラクタム化合物(X2)の量が10〜95質量%である、請求項6に記載のポリアミド積層体。
- (X1)化合物及び/又は(X2)化合物が15〜70質量%、(Y)化合物と(Z)化合物との合計量が30〜85質量%で用いられる、請求項6又は7に記載のポリアミド積層体。
- 式(3)のR5が炭素原子数2〜20のアルキレン基を含む、請求項6〜8のいずれかに記載のポリアミド積層体。
- 式(4)のR6が炭素原子数3〜20のアルキレン基を含む、請求項6〜9のいずれかに記載のポリアミド積層体。
- 式(5)のxが2〜6の範囲、yが6〜12の範囲、zが1〜5の範囲である、請求項6〜10のいずれかに記載のポリアミド積層体。
- 式(5)のxが2〜10の範囲、yが13〜28の範囲、zが1〜9の範囲である、請求項6〜10のいずれかに記載のポリアミド積層体。
- 式(6)のジカルボン酸化合物が脂肪族ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸である、請求項6〜12のいずれかに記載のポリアミド積層体。
- 式(6)のmが1で、R7が炭素原子数1〜20のアルキレン基を表わす、請求項6〜13のいずれかに記載のポリアミド積層体。
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