JPWO2009063576A1 - 抗癌剤 - Google Patents

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Abstract

ニレの花部またはその抽出物とウルシの葉部またはその抽出物とを含むことを特徴とする抗癌剤。この抗癌剤は安全で活性が高い。

Description

本発明は、ニレの花部に由来する成分とウルシの葉部に由来する成分とを含むことを特徴とする抗癌剤に関する。
自然界に生育している植物から得られる成分を利用して医薬組成物を開発する研究が従来から活発に行われている。自然界に存在する植物の中でも、動物や人間が食材として口にしているものは、毒性が低く入手が容易であることから特に活発な研究対象とされている。これまでにも、種々の医薬組成物が開発されるに至っており、その種類は極めて多い。
本発明者が着目したニレやウルシも、自然界に豊富に生育している植物であり、その入手は容易である。しかしながら、ニレについては、これまで医薬品としてほとんど研究の対象とされていなかった。また、ウルシについては、毒性があり皮膚に付着すると皮膚炎を起こすウルシオールを有することが広く知られており、人体に悪い作用があるとの印象が強い。このため、ニレもウルシも他の植物に比べると医薬として利用する試みは少なかった。そのような中で、ニレとウルシを選択して組み合わせた組成物が、高コレステロール症、動脈硬化、肝機能障害の予防または治療に有用であることが見出された(特許文献1)。
特開2001−354581号公報(0045〜0053参照)
しかしながら、上記以外の生理活性についてはまったく検討が試みられておらず、ニレとウルシを組み合わせた組成物の医薬用途は極めて限られたものしか知られていなかった。本発明者らは、このような技術状況下で、ニレとウルシを組み合わせた組成物の新たな医薬用途を開発することを目的として鋭意検討を進めた。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ニレの花部に由来する成分とウルシの葉部に由来する成分とを含む組成物に優れた抗癌作用があることを見出して、本発明を提供するに至った。
すなわち本発明は、ニレの花部またはその抽出物と、ウルシの葉部またはその抽出物とを含むことを特徴とする抗癌剤を提供する。本発明の抗癌剤に用いるニレは、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属するものが好ましく、中でもウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)からなる群から選択されるものが好ましく、特にウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)からなる群から選択されるものが好ましい。本発明の抗癌剤は、ニレの花部を乾燥した粉末とウルシの葉部を乾燥した粉末とを含むものであってもよいし、ニレの花部の抽出物とウルシの葉部の抽出物とを含むものであってもよい。
また、本発明は、(1)ニレの花部またはその抽出物と(2)ウルシの葉部またはその抽出物が、それぞれキットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする抗癌医薬キットも提供する。
ニレの花部またはその抽出物とウルシの葉部またはその抽出物とを含む本発明の組成物は、強い抗癌作用を有する。また、本発明の組成物は、毒性が低いことから、少量で強い活性を示す医薬品のみならず、食品や飲料としても有用である。
発明の実施の形態
以下において、本発明の抗癌剤について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の抗癌剤は、ニレの花部またはその抽出物と、ウルシの葉部またはその抽出物とを含むことを特徴とする。
本発明の抗癌剤に使用するニレの種類は特に制限されない。好ましいのは、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属するニレを使用する態様である。ウルムスホランディカは、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)とウルムスグラブラ(Ulmus glabra)の交雑品種を含むものであり、比較的大型のものが多い。また、小枝表面が平滑であり、翼片の中央に実がつかないのが一般的である。ウルムスホランディカは、欧州において街路樹や公園樹として植えられており、園芸品種もある。
ウルムスホランディカに属する具体的な植物種として、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)をはじめとするニレを例示することができる。これらの中でも、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)が特に好ましい。
ウェガタア(Vegeta)は、複数の主枝からなり、非常に頑丈なニレである。若木の主枝は斜めに伸びようとするが、生長するにつれて横に広がって垂れてくるのが一般的である。このため、枝はまとまりがなく勝手な方向に伸びているものが多い。幹には長い裂けめが多く見受けられ、灰色をしている。ウェガタア(Vegeta)の葉は、後述するベルギカ(Belgica)の葉よりも大きく、コメリン(Commelin)の葉より平たい。葉の根元は幅広であり、形状は逆卵型や楕円形など様々である。また、芽は一般に大きくて光沢のある赤茶色をしている。ウェガタア(Vegeta)には、ハンティンドン(Huntingdon)ニレも含まれる。
コメリン(Commelin)は、樹冠が開いた頑丈なニレである。幹はやや螺旋状になりながら比較的まっすぐに伸びているものが多い。ウェガタア(Vegeta)に比べると枝はまばらで細い。枝の色は赤味を帯びた茶色であるのが一般的である。樹冠は下から透けて見えることが多い。また、葉は薄緑色で小さく、葉脈は明るい色を呈しているのが一般的である。葉序はまばらであり、ウェガタア(Vegeta)よりもかなり後に落葉する。葉は楕円形で先端が短くて尖っているものが多い。コメリン(Commelin)は、一般に風に強くて落葉が遅い。
グロネフェト(Groenveid)は、大型で風に強いニレである。樹高は約15〜20mで頂点が複数に分かれており、樹冠が細くて整った形をしているのが一般的である。葉は小さくて非常に密であり、濃緑色をしているが秋には完全に黄色になる。葉の裏面には産毛があり、少し鈍い色をしている。生長が遅いために、花と実が比較的多くつく。このため、本発明で必要な花部を1本のニレから多量に取得することができるという利点がある。
クルシウス(Clusius)は、形が整った樹冠を有しており、風に強い特徴を有するニレである。コルメラ(Columella)は、樹体が小さなニレである。ドドエンス(Dodoens)は、葉が艶のある濃緑色であって、太枝が上に伸びている頑丈なニレである。ホメステッド(Homestead)は、米国において栽培されているニレである。ドドエンス(Dodoens)とホメステッド(Homestead)は、ともにウェガタア(Vegeta)に似ている点が多い。
本発明で使用するウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)の中には、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)とウルムスグラブラ(Ulmus glabra)の交雑品種が含まれる。
ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)は、樹高が約25〜30mで、幅広で楕円状の樹形をしているのが一般的である。樹齢を重ねるに従って樹肌は荒くなる。小枝は比較的細くて、毛は生えていないものが多い。また、種によっては、生長の早い若枝にコルク層が明瞭に形成されることがある。葉は、逆卵型をしていて、8cm未満の小さいものが多い。左右には12組前後の葉脈がある。
ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)に属するニレの種類は豊富であり、例えば、ダンピエリ(Dampieri)、ホエルショルミエンシス(Hoersholmiensis)、サルニエンシス(Sarniensis)、ウレデイ(Wredei)を例示することができる。
一方、ウルムスグラブラ(Ulmus glabra)は、幅広で丸い樹冠を有する大型のニレである。根はあまり発達しておらず、樹皮は灰色ではじめは平滑であるが後に浅い溝ができる。一般に、厚ぼったい茶色の太枝が密に生えており、冠部分の皮は桃色を呈している。葉は8〜16cmであり、ウルムスカルピニフォラ(Ulmus carpinifolla)よりも荒いものが多い。葉柄は短く、斜めになった葉脚が全体を覆っているのが一般的である。左右に伸びる葉脈は12〜18組であり、花序は大きめである。また、種子を飛ばすための翼片は逆卵型をしており、実は中央についている。
ウルムスグラブラ(Ulmus glabra)に属するニレの具体例として、カンペルドウニ(Camperdownii)、エキソニエンシス(Exoniensis)、ホリゾンタリス(Horizontalis)を例示することができる。
本発明では、これらの具体例以外のウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属する植物種やニレ種を使用することもできる。
また、本発明では、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属する植物種やその他のニレ種を他の植物種と交配させた植物種も好ましく使用することもできる。交配させる他の植物種は、他のニレ種であってもよいし、ニレ以外の植物種であってもよい。また、交配させる植物種は、1種類のみであってもよいし、複数種であってもよい。さらに、交配させて得た品種をさらに交配させて得た品種であってもよい。このように、本発明の抗癌剤には、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)をはじめとするニレに由来する植物種を利用したものがすべて包含される。
本発明では、これらのニレ種を1種類だけ使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、ニレの花部を利用する。例えば、ウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に由来する植物種は、冬から初春にかけて莟をつけ、春に花を咲かせる。花芽の大きさは小さくてもよい。このため本発明では、莟の段階から花が散るまでの間に花部を取得して利用するのが好ましい。
ニレの花部は、抗癌剤として使用しやすい状態にして利用することができる。例えば、細片状または粉末状にしたうえで適当な成分と混合することによって使用してもよいし、適当な溶媒を用いて抽出した抽出物を使用してもよい。
花部を細片状または粉末状にするときには、採取した花部をそのままカッター、細断機、コロイドミルなどを用いて処理してもよいが、いったん乾燥してから細断、粉末化処理を行うのが好ましい。花部の乾燥は、水分含量が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満になるまで行うのが一般的である。乾燥は、自然乾燥でも機械乾燥でもよい。また、乾燥を行う場合は、花部採取から30分以内に行うのが好ましい。
花部の乾燥温度は特に制限されない。このため、加圧式ドラム加熱装置や電磁波などを用いて急速加熱乾燥してもよい。加圧式ドラム加熱装置を用いる場合は、80〜140℃の範囲内で加熱乾燥するのが好ましい。乾燥時間は、通常2分以内にし、好ましくは1分以内、より好ましくは40〜50秒程度にする。また、電子レンジなどの電磁波を使用する場合には、例えば600Wで20〜50秒程度加熱乾燥することができる。このような条件下で加熱乾燥することによって、花部原料中に含まれている望ましくない酵素の活性を抑制または失活させ、生理活性成分の分解をある程度防ぐことができる。
急速加熱乾燥したものは、そのまま使用してもよいし、さらに低温乾燥させてから使用してもよい。低温乾燥を行う場合には、−5℃〜10℃の範囲内で行うのが好ましい。低温乾燥は、遠赤外線乾燥装置などの熱風乾燥装置、通風乾燥装置、氷温乾燥装置などを単独または組み合わせて用いることによって行うことができる。例えば、遠赤外線乾燥を行った後に氷温乾燥することができる。このような低温乾燥を行えば、生理活性成分の分解を防止することができる。
花部の細断や粉末化は、目的にあった装置や道具を用いて行うことができる。例えば、コロイドミルを用いて50〜100μmの粉末にすることができる。このような細断や粉末化は、乾燥前、高温乾燥後、低温乾燥後のいずれであってもよい。
花部はこのようにして細片状または粉末状にする他に、抽出物として使用することもできる。抽出の対象となる花部は、採取した花部そのもの、採取した花部を細片化したもの、高温乾燥したもの、低温乾燥したものなどのいずれであってもよい。抽出効率を上げるために、花部はある程度細片化しておくのが好ましい。抽出溶媒は、水またはアルコールであるのが好ましいがこれ以外の抽出溶媒も使用することができる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノールなどを例示することができる。これらの溶媒はいずれか1種だけを使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。例えば、30〜50%のエチルアルコールまたはメチルアルコール水溶液を用いることができる。
抽出は、常温で行っても還流下で行ってもよい。また、ソックスレー抽出器などの抽出装置を使用してもよい。具体的には、50%エタノール水溶液を用いて還流温度でソックスレー抽出器によって30〜60分間抽出する方法を例示することができる。
抽出した抽出液は、そのまま抗癌剤として使用に供してもよいが、効果を高めるために濃縮して使用するのが好ましい。濃縮の程度は使用環境によって異なる。また、粉末状になるまで溶媒を除去してもよく、粉末にした後にさらに生理食塩水などに溶解して濃度調整を行ってもよい。本発明の抗癌剤を液剤として用いる場合は、固形分濃度が1〜20重量%であることが好ましく、2〜15重量%であることがより好ましく、3〜13重量%であることがさらに好ましく、5〜10重量%であることがさらにより好ましい。
本発明の抗癌剤には、ニレの花部またはその抽出物とともに、ウルシの葉部またはその抽出物を使用する。
本発明で使用するウルシは、ウルシ科に属するものの中から選択することができる。特に好ましいのは、ウルシ科ウルシ属に属する植物種の葉部である。例えば、ウルシ(Rhus vernicitlua)、ヤマウルシ(Rhus trichocarpa)、シタウルシ(Rhus ambigna)、ヌルデ(Rhus javanica)、ヤマハゼ(Rhus sylvestris)を例示することができる。また、使用するウルシは葉が柔らかい若葉であるのが好ましい。特に8週令以下のものが好ましく、中でも4週令以下のものがより好ましい。
これらのウルシの葉部は、ニレの花部と同じように、上記方法にしたがって乾燥、粉末化、細片化、抽出することができる。ニレの花部に由来する成分とウルシの葉部に由来する成分の混合比率は適宜決定することができるが、一般に1:0.1〜10の範囲内、好ましくは1:0.3〜3、より好ましくは1:0.5〜2の比率で混合した場合である。
ニレの花部またはその抽出物と、ウルシの葉部またはその抽出物とを含むことを特徴とする本発明の組成物は、抗癌作用を有する。このため、本発明の抗癌剤の予防または治療有効量を、ヒトを含む哺乳動物に投与することによって癌を予防または治療するために使用することができる。ここでいう予防とは、癌の発生・転移・着床の防止を含む概念であり、ここでいう治療とは、癌細胞増殖抑制・癌縮小などの癌進行阻止や、症状改善を含む概念である。
本発明の抗癌剤の適用対象となる癌として、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、尿管腫瘍、肺癌、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、睾丸腫瘍、上顎癌、舌癌、口唇癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、甲状腺癌、脳腫瘍、カポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経芽細胞腫、網膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉腫、皮膚癌、基底細胞癌、皮膚付属器癌、皮膚転移癌、皮膚黒色腫、間葉系腫瘍および軟部肉種などを具体例として挙げることができるが、本発明の抗癌剤の適用対象はこれらに限定されるものではない。特に、悪性肉腫、悪性腺腫、血管肉腫、非ホジピンリンパ腫、間葉系腫瘍および軟部肉種に対して有用である。
本発明の抗癌剤は、その使用目的に応じて様々な形態で使用することができる。
たとえば、本発明の抗癌剤を医薬品として使用する場合には、その投与経路によって様々な剤型を選択することができる。本発明の抗癌剤は、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、直腸投与、鼻内投与、頬側投与、舌下投与、膣内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与を行なうことが可能である。中でも、本発明の抗癌剤は、経口投与、皮下投与または経皮投与するのが好ましく、経口投与することが特に好ましい。
経口投与に適した製剤として、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適した製剤として、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤などを挙げることができる。注射剤は、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、点滴などのいずれに用いるものであってもよい。本発明の抗癌剤は、特に経口用製剤、注射剤、貼付剤のいずれかであるのが好ましい。
本発明の抗癌剤には、必要に応じて薬理学的および製剤学的に許容しうる添加物を添加することができる。例えば、賦形剤、崩壊剤または崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤または溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤、湿潤剤などを使用することができる。また、他の生理活性成分(例えば、ボタン皮、オウセイ、ニンジン、レイシ、クコなど)を添加してもよい。これらの添加剤を適宜組み合わせて使用することによって、本発明の抗癌剤にさまざまな付加的機能を持たせることができる。
上記賦形剤としては、デンプン、コーンスターチ、白糖、乳糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、無機塩類等が具体例として挙げられる。
上記崩壊剤または崩壊補助剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガント、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウムが具体例として挙げられる。
上記結合剤としては、寒天、ゼラチン、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが具体例として挙げられる。
上記滑沢剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ロウ類、水素添加油、ポリエチレングリコールが具体例として挙げられる。
上記界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、大豆レシチン、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが具体例として挙げられる。
また、本発明の抗癌剤は、必要に応じて活性成分が徐放されるように設計することができる。また、体内の必要な個所において活性成分が集中的に放出されるように設計することもできる。このような徐放性製剤やドラッグデリバリーシステムは、製剤業界において周知の方法にしたがって設計のうえ製造することができる。
また、本発明の抗癌剤には、有機物または無機物の担体を使用することができる。そのような担体として、乳糖、でんぷん、植物性および動物性脂肪や油脂を例示することができる。本発明の抗癌剤には、ニレの花部とウルシの葉部に由来する活性物質を0.01〜100重量%の範囲内で使用することができる。
本発明の抗癌剤を投与する際には、ニレの花部に由来する成分とウルシの葉部に由来する成分を必ずしも同時に投与しなくてもよい。例えば、ニレの花部に由来する成分を先に投与し、遅れてウルシの葉部に由来する成分を投与してもよいし、その逆でもよい。好ましいのは同時に投与する場合である。また、本発明の抗癌剤は、ニレの花部に由来する成分とウルシの葉部に由来する成分が別個の容器に入れられており、使用時に混合するタイプのものであっても構わない。このため、本発明には、(1)ニレの花部またはその抽出物と(2)ウルシの葉部またはその抽出物が、キットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする抗癌医薬キットが含まれる。
成分(1)と成分(2)は、本発明の医薬キットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていればよい。例えば、成分(1)を含む組成物と成分(2)を含む組成物からなるキットであってもよいし、成分(1)と成分(2)の存在比が異なる複数の組成物からなるキットであってもよい。使用する際には、これらの組成物をそのまま投与してもよいし、適宜組み合わせて投与してもよい。
投与対象は、犬などの人以外の哺乳類や人とすることができる。本発明の抗癌剤の投与量は、治療または予防の目的、患者の性別、体重、年齢、疾患の種類や程度、剤型、投与経路、投与回数などの種々の条件に応じて適宜決定する。例えば、経口投与する場合には、0.1μg〜100mg(活性成分乾燥重量)/kg体重/日で、一日一回から数回に分けて投与することができるが、投与量はこの範囲に限定されるものではない。
本発明の抗癌剤は、必ずしも医薬品の形態をとる必要はない。例えば、本発明の抗癌剤は各種食品や飲料に含ませることによって、機能性食品や機能性飲料としても安全かつ有効に使用することができる。特に、抗癌作用を有する旨を表示した食品や飲料として有効に使用することができる。
具体的には、紅茶、清涼飲料水、ジュース、あめ、澱粉質食品、各種加工食品等に使用することができるが、使用形態はこれらの具体例に限定されるものではない。ニレの花部とウルシの葉部に由来する活性物質の添加量は、約0.1〜99重量%の範囲内に設定することができる。また、必要に応じて、ゲル化剤などを添加して食感を改良してもよい。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作順序等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
(実施例1)
本実施例において、本発明の抗癌剤(液剤)の具体例を例示する。
ウルムスホランディカ(ulmus hollandica)に属するウェガタア(Vegeta)、コメリン(commelin)およびグロネフェト(Groenveid)の花の莟を、オランダ国アムステルダム市内にて3月に採取した。採取した莟をそれぞれミキサーを用いて粉砕し、110〜120℃にて水分量1〜5%になるまで乾燥した。得られた乾燥粉末に脱酸素剤を入れて密封し、常温で保存した。
ウルシ若葉を石川県にて3月に採取し、ミキサーを用いて粉砕した後、110〜120℃にて水分量が1〜5%になるまで乾燥した。得られた乾燥粉末に脱酸素剤を入れて密封し、常温で保存した。
各乾燥粉末をそれぞれ1週間保存した後、ニレの乾燥粉末7.5gとウルシの乾燥粉末7.5gを混合した。混合粉末に70%エタノール100mlを添加して5時間撹拌し、固形分が58%(重量)となるように濃縮した。濃縮物を生理食塩水に溶解して、5%、10%、15%、20%の各濃度を有する本発明の液剤を得た。
(実施例2)
本実施例において、本発明の抗癌剤(粉剤)の具体例を例示する。
実施例1で得られたニレの花部の乾燥粉末、ウルシ若葉の乾燥粉末、およびデンプンをそれぞれ以下の表に示す量で混合した。これによって、抗癌作用を有する本発明の混合粉剤を得た。
Figure 2009063576
(実施例3)
本実施例において、本発明の抗癌剤(カプセル剤)の具体例を例示する。
実施例2で製造した粉剤を、ゼラチンカプセルに充填することによって抗癌作用を有するカプセル剤を製造した。
(実施例4)
本実施例において、本発明の抗癌剤(注射剤)の具体例を例示する。
実施例1で得られたニレの花部の乾燥粉末7.5gとウルシ若葉の乾燥粉末7.5gを混合した。混合粉末を80℃の水で抽出して溶媒を減圧留去した。得られた抽出物を塩化ナトリウムとともに蒸留水に溶解した。乾燥粉末、塩化ナトリウムおよび蒸留水は、それぞれ以下の表に示す量で混合した。得られた水溶液を濾過することによって、抗癌作用を有する注射剤を製造した。
Figure 2009063576
(実施例5)
本実施例において、本発明の抗癌作用を有する機能性飲料の具体例を例示する。
実施例1で得られたニレの花部の乾燥粉末7.5gとウルシ若葉の乾燥粉末7.5gを混合した。混合粉末を60℃の水で抽出して、得られた抽出液を固形分重量が10%になるまで濃縮した。その後、以下の成分と以下の表に示す割合で混合した。これによって、抗癌作用を有する機能性飲料を得た。
Figure 2009063576
(試験例1)
本試験例において、実施例1で得られた抗癌剤の抗癌作用を調べた。
血管肉腫(Hemagsarcoma)の3匹の成犬(体重45±5kg、5〜6歳、グレートデン等)のそれぞれについて、実施例1で調製した10%濃度の液剤を1.5mlずつ1日2回50日間経口投与し、その後、濃度を15%に変えた液剤を15日間投与し、濃度を20%に変えた液剤を30日間投与した。投与開始から30日後、65日後、95日後の肉腫の大きさを測定するとともに、転移の有無を調べた。結果を以下の表4に示す。なお、成犬1については感染症で死亡したため60日以降のデータは取得していない。
Figure 2009063576
投与開始から95日後以降も、成犬2と成犬3には濃度15%の液剤を投与し続けたが、変化は見られなかった。投与期間中、嘔吐・下痢・食欲減退などの副作用はみられず、いずれも腎機能・肝臓機能は正常値を維持し、体重も増加した。
同様の試験において、実施例1の液剤を抗生物質や鎮痛剤とともに投与したが、実施例1の液剤は抗生物質や鎮痛剤などの並行治療剤の作用を阻害しなかった。また、これらの並行治療剤によって抗癌作用が阻害されることもなかった。
一方、実施例1の液剤を投与しなかった比較群については、血管肉腫が皮下増殖し、急速に転移して6〜8週後に死亡した。
(試験例2)
本試験例においても、実施例1で得られた液剤の抗癌作用を調べた。
血管肉腫(Hemagsarcoma)の成犬11(体重50±5kg、6〜7歳、グレートデン)に、実施例1で調製した10%濃度の液剤を3mlずつ1日2回33日間経口投与しながら、血液検査を並行して行った。下記表5に検査結果の代表的な値について示す。
Figure 2009063576
投与開始時には肝臓機能(SGOT/ASAT値、SGPT/ALAT値、LDH−L値、アルカリホスファターゼ値)は正常値を外れていたが、33日間の本発明の抗癌剤を投与することにより正常値に入るか、正常値に近づく傾向が見られた。また、さらに、クレアチン値は試験期間を通じて正常値の範囲を維持しており、実施例1の液剤が毒性を示さなかったことが確認された。また、癌の転移もみられなかった。
(試験例3)
本試験例においても、実施例1で得られた液剤の抗癌作用を調べた。
血管肉腫(Hemagsarcoma)の成犬12(体重23kg±5kg、5〜6歳、ダルメーションとの雑種)について、実施例1で調製した10%濃度の液剤を3mlずつ1日2回28日間経口投与し、その後濃度を15%に変えた液剤を35日間投与し、その後濃度を20%に変えた液剤を9日間投与した。その後、濃度を15%に変えた液剤を約43日間投与した時点において肉眼で腫瘍の大きさを確認したところ、明らかに腫瘍の大きさが小さくなっていることが判明した。このとき、成犬12の体調は良好であり、食欲も正常であり、体重が大きく減少することもなかった。また、試験例2と同様に試験期間を通じて血液検査を行った結果、合計115日間に渡り成犬12が障害を生じたり、実施例1の液剤が毒性を示したりすることはなかった。また、癌の転移もみられなかった。なお、さらに濃度を15%のまま50日投与したところ、成犬12に変化はみられなかった。
その後、実施例1の液剤の投与を中止したところ、すぐに成犬12の腫瘍は劇的に肥大し、体重が約3kg減少し、明らかな衰弱を示した。
血管肉腫(Hemagsarcoma)は、潜行性で転移が速く体の至るところに肉腫が発生する非常に悪性な癌であり、血管肉腫の腫瘍発見から死に至るまでの期間は通常6〜8週間(42〜56日間)である。そのため、実施例1の液剤の投与を中止したところ直ちに衰弱が見られたことは、予測の範囲と言える。このような非常に悪性な癌に対し、実施例1の液剤を投与することで165日間に渡り腫瘍の縮小ないし肥大抑制に効果を発揮し、腫瘍を転移させなかった上、成犬の体調が良好であったことから、実施例1の液剤が特に血管肉腫の抗癌剤として極めて有用であることが判明した。
また、血管肉腫は特に摘出手術による治癒可能性も高いことが知られている。試験例3の結果から、実施例1の液剤を摘出手術と併用するような使用態様も好ましいことがうかがえる。実施例1の液剤を用いれば長期にわたり腫瘍の肥大抑制や転移予防ができる上、成犬についても体重維持や体調維持が可能であり、血液検査上も問題がないためである。
(試験例4)
本試験例においても、実施例1で得られた液剤の抗癌作用を調べた。
性病感染腫瘍および悪性非ホジキンリンパ腫瘍の成犬(成犬13:体重25kg±5kg、5〜6歳、雑種)について、実施例1で調製した15%濃度の液剤を3mlずつ1日3回33日間経口投与した。投与開始時には約12cmであった円形腺性腫瘍が、50%のサイズに縮小したことが観察された。また、腹部腫瘍についてもこの間に30%のサイズに縮小したことが観察された。
その後、濃度を20%に変えた液剤を34日間投与し、濃度を15%に変えた液剤を79日間投与した。これらの試験期間中において試験例2と同様の血液検査を並行して行ったところ、LDH−L(乳酸脱水酵素)値が一度わずかに基準値を超えた以外は、基準値の範囲であった。このような一時的なLDH−L値の増加は、この間も目視で腫瘍サイズが減少していたことから誤差の範囲と考えられる。したがって、実施例1の液剤は長期の投与においても成犬13の血液検査値に異常を生じさせず、性病感染腫瘍および悪性非ホジキンリンパ腫瘍の縮小という効果を示すことが判明した。
(試験例5)
本試験例においても、実施例1で得られた液剤の抗癌作用を調べた。
間葉系腫瘍(軟部腫瘍・Soft tissue)の成犬(成犬14:体重30±5kg、6〜7歳、メルチーズ ハーダー)について、まず腫瘍の一部摘出手術を実施し、その6日後から実施例1の液剤の投与を開始した。成犬14は腫瘍の増大が急激であったためである。摘出手術に伴い、液剤投与開始時において成犬14は貧血状態であることが血液検査により判明した。
実施例1で調製した15%濃度の液剤を3mlずつ1日3回44日間経口投与した。その結果、腫瘍は70%のサイズに縮小し、さらに暗い色であったのがピンク色に変わり、臨床外見に好転がみられた。また、食欲と体調にも回復がみられた。
また、試験期間中において試験例2と同様に血液検査を実施した。血液検査で得られた結果のうち、赤血球、ヘモグロビンおよび血球容量についての結果を下記表6に示す。
Figure 2009063576
表6から、実施例1の液剤の投与期間において、腫瘍一部摘出手術に伴う貧血症状を示していた赤血球数、ヘモグロビン量、血球容量のすべてが改善されており、成犬14は貧血症状から回復したことが判明した。したがって、試験例5の結果から実施例1の液剤を摘出手術と併用する使用態様も好ましいことが判明した。手術後の貧血状態の成犬に対して投与しても、摘出後に残存する腫瘍の再度の肥大を抑制し、さらにサイズを縮小できる上、成犬の貧血状態からの体調回復もできたためである。また、摘出手術との併用の中でも、一部摘出手術後に併用することがより好ましく、特に間葉系腫瘍(軟部腫瘍)などの一部摘出手術後の併用が好ましい。間葉系腫瘍(軟部腫瘍)などの摘出手術が難しい部位に多く発生する腫瘍は、腫瘍の一部が手術後も残存することがあり、そのような場合に成犬を実質的に癌から回復させることが可能であるためである。
(試験例6)
本試験例において、実施例1で得られた液剤の組成を調べた。その結果を下記表7に示す。表7中、%RDAは人における食品安全規制値(許容限度値)を表す。
Figure 2009063576
表7より、組成を検討した限りにおいて、実施例1で得られた液剤は、人体への悪影響をおよぼさないことが判明した。
以上より、実施例1の抗癌剤は全体的に成犬の症状を好転させた。また、実施例1の抗癌剤は嘔吐や下痢などの体調不良を引き起こす副作用はなく、免疫に影響を与える副作用もなく、癌治療試験期間中の成犬の食欲増進および体重増加に寄与していた。さらに、実施例の濃度範囲での経口投与において、血液検査の結果が基準値から大きく外れることはなく、腎臓・肝臓機能は正常のままであった。また、特に抗癌作用の中でも腫瘍を急激に抑制・縮小させる作用、長期に渡り癌の抑制・縮小を維持して生存期間を延長させる作用に優れていた。一方、人体に悪影響を及ぼすような組成ではないことが確認された。

Claims (7)

  1. ニレの花部またはその抽出物と、ウルシの葉部またはその抽出物とを含むことを特徴とする抗癌剤。
  2. ニレがウルムスホランディカ(Ulmus hollandica)に属することを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
  3. ニレが、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)、グロネフェト(Groenveid)、ベルギカ(Belgica)、クルシウス(Clusius)、コルメラ(Columella)、ドドエンス(Dodoens)およびホメステッド(Homestead)からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の抗癌剤。
  4. ニレが、ウェガタア(Vegeta)、コメリン(Commelin)およびグロネフェト(Groenveid)からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の抗癌剤。
  5. ニレの花部を乾燥した粉末とウルシの葉部を乾燥した粉末とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗癌剤。
  6. ニレの花部の抽出物とウルシの葉部の抽出物とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗癌剤。
  7. (1)ニレの花部またはその抽出物と(2)ウルシの葉部またはその抽出物が、それぞれキットを構成する複数の組成物のいずれかに含まれていることを特徴とする抗癌医薬キット。
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