JPWO2009057626A1 - 物理量検出装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、センサ本体に手を加えず、かつ時間分解能を劣化させることなく、電子回路によって信号対雑音比を改善して高感度なセンサシステムを提供するものである。電気的に駆動することにより、感受した物理量に応じた電気量を出力するセンサ素子に対し、m系列符号を搬送波信号に乗じて形成される帯域拡散信号によってセンサ素子を広帯域で駆動し、位相調整された前記帯域拡散信号を用いて広帯域に拡散された物理量に対応するセンサ出力信号を復調することによって物理量を元の帯域幅に復元し、センサが発生する電気的ノイズは広帯域に拡散し、低域濾波で抑制することにより信号対雑音比を改善する。
Description
本発明は検出感度を高めた物理量検出装置に関する。
現在、我々の快適な毎日の生活は、さまざまな物理量を検出するセンサシステムに負うところが大きい。センサシステムの数多くの応用分野では、さらなる高感度化や高分解能化、安定化が要求されている。例えば近年のナノテクノロジーやバイオテクノロジー分野の発展に伴って、センサシステムの高感度化や高分解能化の改善要求が高まっている。
センサシステムの感度や分解能を高めるには、センサ素子からの出力を増幅するだけではなく、センサ素子からの出力信号に対し妨害となるノイズ成分を極力小さくし、センサ素子からのセンシング信号の信号対雑音比を高くすることが必要である。
ここでセンサシステムの具体例として、ホール素子を用いた磁気センサシステムの場合を取り上げて説明を行う。非特許文献1(CQ出版株式会社トランジスタ技術2005年12月号電子部品選択&活用ガイド第9回「磁気センサ」)には、ホール素子を用いた磁気センサシステムが詳細に解説されている。
非特許文献1に解説されているように、ホール素子は素子に電流を流すことにより、外部磁束密度に比例した電圧の出力を得ることができ、良好な直線性を持った小型半導体磁気センサである。図6にホール素子の動作原理図を示す。ホール素子はインジウム・アンチモン(Insb)あるいはガリウム・砒素(GaAs)等の半導体で作られており、それぞれ一対の制御電流入力端子と電圧出力端子を持っている。
半導体のx方向に一定の電流を流すと半導体の内部では電子は電流とは逆向きに流れる。ここで外部からy方向の磁界を与えると電子はローレンツ力と呼ばれる電磁力を受け、過渡的には電子の移動方向が変わり、z方向手前面に電子が帯電し、z方向奥側には正に帯電したドナーが取り残される状態になる。そうするとz方向に受けた力に釣り合うような電界が発生し、電圧測定端子間に電位差が発生する。この平衡状態において半導体のx方向に流れる電流は直進するようになる。このときのローレンツ力の向きは図6(b)に示すように「フレミングの左手」の法則に従う。中指が電流の方向、人差し指が磁界の方向とするとき、親指が受ける力の方向を示す。従って、磁界の方向が変われば、発生する電界の方向も変わり出力電圧の極性が変わる。また、磁界の強さが変われば、電界の強さも変わり、出力電圧も比例的に変化する。この現象は1878年、アメリカのE.H.Hall氏が発見したので、ホール効果(Hall Effect)と呼ばれている。
ホール素子は磁気抵抗(MR)センサや磁気インピーダンス(MI)センサと比べて測定のダイナミックレンジが非常に広いという利点があり、今日非常に多くの産業応用分野で利用されている。しかしながらその反面、検出感度が他のセンサと比べて低いという欠点が存在しており、その適用分野に性能上の限界が存在している。
ホール素子の主要なノイズ成分は、1/fノイズと、ジョンソンノイズと呼ばれる熱雑音であり、これらのノイズによってホール素子の感度や分解能が支配されている。ここに1/fノイズは低周波域で特に顕著となる性質があり、またジョンソンノイズは抵抗体に電流が流れる際の熱現象によって生じる白色ノイズであって、Tを絶対温度[K]、kをボルツマン定数(=1.3806503×10−23m2・kg・s−2・K−1)、Rをホール素子の抵抗値[Ω]、Δfを測定周波数帯域[Hz]としたとき、電圧値で(4kRTΔf)1/2[V/Hz1/2]で与えられる。
通常の産業応用の事例では、ホール素子は、図7(a)に示したような直流定電流で駆動されて使用されている。図7(b)に示すように1/fノイズの影響が大きい低周波域では、帯域幅を狭くすると信号対雑音比が低下する。ホール素子を用いた高感度の磁界測定では、低周波域で特に顕著となる1/fノイズなどの低域におけるノイズの影響を小さくするために、図7(c)のブロック図に示されているように、ホール素子に周波数の高い搬送波電流を流して搬送波の周波数のホール電圧を発生させ、発生したホール電圧の検出には、この搬送波を基準波として用いて同期検波する同期検波方式が用いられている。この同期検波回路はロックインアンプとも呼ばれる。
図7(c)において、交流電流源の出力電流は搬送波信号としてホール素子に流され、ホール素子からはホール素子が感知する磁界の値に比例したホール電圧が搬送周波数で出力される。この搬送周波数のホール電圧は増幅器で増幅された後、乗算器にて基準波信号発生器の出力信号を移相器に通して位相調整を施したものを参照信号として用いた位相検波を行った後、低域濾波器を通すことにより、ホール素子が感知した磁界値に比例した出力を得る。
しかし、こうした同期検波方式を用いた場合でも、磁気測定の分解能は、ジョンソンノイズや干渉信号などのノイズの影響を受ける。このため、ホール素子を用い、同期検波方式によって信号を検出する磁気センサシステムの感度は、1〜10ミリガウス程度が限度であった。
ノイズの影響を低減する方法として、n回のセンシングを行ってn個のデータを取得して加算平均することにより、信号に対するノイズの影響を、1/n1/2に低減する方法がある。ロックインアンプの場合にも、積分時間を長くとって信号に対するノイズの影響を低減させることができる。しかしながら、こうした方法を用いると、サンプリングの回数を増やしたり積分時間を長くするなど、センシングに長時間を要することになり、その結果、時間分解能が1/nに低下してしまう。
また、サンプリング分解能を維持したまま、サンプリングレートをn倍に改善すれば、時間分解能の維持が可能である。しかし、この場合には非常に高価な高速A/Dコンバータが必要であり、しかもその後に加算平均のための演算処理が必要となる。
電子部品選択&活用ガイド第9回「磁気センサ」、トランジスタ技術2005年12月号、CQ出版株式会社刊
電子部品選択&活用ガイド第9回「磁気センサ」、トランジスタ技術2005年12月号、CQ出版株式会社刊
(発明が解決しようとする課題)
このため、センサの時間分解能を低下させることなく、センサ信号に対し、1/fノイズやジョンソンノイズなどのノイズの影響を低下させた高感度なセンサシステムの実現が望まれる。しかしながら高感度なセンサ素子の開発には、新しい材料を用いた多くの試みを重ねる研究に加えて、巨額の設備投資を伴う研究開発、製造方法の確立、および長期間の耐久試験を必要としてきた。そこでもしも可能であれば、このようなこれらの過程によらずに高感度なセンサ素子を開発できることが望ましい。本発明はこうした要求に応えるものであって、センサ自体は既存の素子を使用し、電子回路を用いた信号処理技術によって、センサ信号に対するノイズの影響の少ない高感度で高分解能のセンサシステムを提供することを目的としている。
このため、センサの時間分解能を低下させることなく、センサ信号に対し、1/fノイズやジョンソンノイズなどのノイズの影響を低下させた高感度なセンサシステムの実現が望まれる。しかしながら高感度なセンサ素子の開発には、新しい材料を用いた多くの試みを重ねる研究に加えて、巨額の設備投資を伴う研究開発、製造方法の確立、および長期間の耐久試験を必要としてきた。そこでもしも可能であれば、このようなこれらの過程によらずに高感度なセンサ素子を開発できることが望ましい。本発明はこうした要求に応えるものであって、センサ自体は既存の素子を使用し、電子回路を用いた信号処理技術によって、センサ信号に対するノイズの影響の少ない高感度で高分解能のセンサシステムを提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段)
本発明の物理量検出装置は、電気的に駆動することにより、感受した物理量に応じた電気信号を出力する広帯域センサ1と、帯域拡散信号を発生する帯域拡散信号発生器2と、帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号により広帯域センサ1を駆動し、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を帯域拡散した出力信号として広帯域センサ1から出力させる帯域拡散駆動回路3と、帯域センサ1の帯域拡散した出力信号を、帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号を用いて同期検波することにより、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、広帯域センサ1の電気的駆動に用いた帯域拡散信号と無相関なノイズ成分は広帯域に拡散させた状態で低域濾波する復調回路4とを備えたことを特徴としている。
本発明の物理量検出装置は、電気的に駆動することにより、感受した物理量に応じた電気信号を出力する広帯域センサ1と、帯域拡散信号を発生する帯域拡散信号発生器2と、帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号により広帯域センサ1を駆動し、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を帯域拡散した出力信号として広帯域センサ1から出力させる帯域拡散駆動回路3と、帯域センサ1の帯域拡散した出力信号を、帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号を用いて同期検波することにより、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、広帯域センサ1の電気的駆動に用いた帯域拡散信号と無相関なノイズ成分は広帯域に拡散させた状態で低域濾波する復調回路4とを備えたことを特徴としている。
ここに、帯域幅とは周波数帯域幅であり、測定対象である物理量の要求帯域と帯域幅とは、センサが物理量をセンシングする際に要求される周波数帯域と帯域幅である。その例として、例えば回転センサに対し回転を検出するための帯域とこれに必要な帯域幅を挙げることができる。また、帯域拡散信号には、擬似的に無秩序な信号を用いることが好ましい。ここに擬似的に無秩序な信号とは、周期性を有し無秩序でないが、見かけ上は無秩序な信号に良く似たランダム性を備えている信号である。また広帯域センサとは、帯域拡散駆動回路による駆動によって、感受する物理量に応じた電気信号を、帯域幅拡散状態の出力信号として出力するセンサである。
また、本発明の物理量検出装置においては、広帯域センサ1として、帯域拡散駆動により、感受する物理量に応じた電気信号を帯域幅拡散状態の出力信号として出力することのできる各種センサを目的に応じて用いることができる。そのようなセンサの一つとして、磁界測定に用いるホール素子がある。本発明の物理量検出装置において、広帯域センサ1としてホール素子を用いた場合には、従来に比べ磁界の検出や測定が著しく高感度化でき、ホール素子の新しい応用分野が展開できる。
また本発明の物理量検出装置においては、十分な高感度化を得るために、帯域拡散信号発生器2が発生する帯域拡散信号として、m系列符号を用いることができる。m系列符号は、測定対象である物理量の要求帯域幅と比べて少なくとも10倍以上のクロック周波数を用いて発生されるものであることが好ましい。m系列符号の発生は、クロック発振器と、n段のシフトレジスタと、少なくとも1個以上の排他的論理和とを用いて容易に行うことができる。m系列符号は2進量子化符号であるので、センサ駆動回路や復調回路を容易に設計することができる。
また本発明の物理量検出装置においては、帯域拡散信号発生器2が発生する帯域拡散信号として、測定対象である物理量の要求帯域幅に比べて少なくとも10倍以上のクロック周波数を用いて発生されるm系列符号の論理状態によって正弦波または矩形波のいずれか一方の形状を有する搬送波に対し、予め定められた波数を単位として位相変調を施した信号を用いることができる。このような帯域拡散信号を用いると、1/fノイズや環境ノイズの多い低周波域を使用せずに検出を行うことができるので、信号対雑音比の改善に有利である。
また本発明の物理量検出装置においては、帯域拡散信号発生器2が発生する帯域拡散信号として、測定対象である物理量の要求帯域幅に比して少なくとも10倍以上のクロック周波数を用いて発生されるm系列符号の論理状態に基づいて正弦波または矩形波のいずれか一方の形状を有する搬送波の周波数を変化させるものを用いることができる。このような帯域拡散信号を用いると、m系列を使用する場合に比べ、帯域幅を均質に拡散することができるので、より一層の信号対雑音比の改善が得られる。
さらに、本発明の物理量検出装置においては、センサ駆動回路3として差動出力回路を用いることができる。センサ駆動回路3を差動出力回路にすることにより、駆動回路の信号の立上りと立下りの特性の違いによる信号対雑音比の劣化を抑制することができる。
本発明の物理量検出方法は、電気的に駆動することにより感受した物理量に応じた電気信号を出力する広帯域センサに対し、帯域拡散信号で駆動することにより、感受した物理量に応じた電気信号を帯域拡散させた状態の出力信号として出力させ、前述の帯域拡散信号を用いて前記出力信号を同期検波することにより、広帯域センサが感受した物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、広帯域センサの電気的駆動に用いた帯域拡散信号とは無相関なノイズ成分を広帯域に拡散させた状態で低域濾波することにより、測定対象の物理量の要求帯域幅にて物理量を出力することを特徴としている。
図1は、本発明により高感度化された物理量検出装置の基本構造を説明する図である。図1において、広帯域センサ1には、物理量が環境ノイズを伴ってセンシングされて入力される。広帯域センサ1には、このほかにジョンソンノイズや1/fなどを含む素子ノイズが加わる。この広帯域センサ1は、帯域拡散信号発生器2で発生する帯域拡散信号により駆動され、帯域拡散されたセンサ信号を出力する。この帯域拡散されたセンサ出力は、復調回路4で復調されて測定出力となる。このような構成において、センサが物理量をセンシングする際の帯域幅をW[Hz]、帯域拡散信号により帯域拡散される周波数帯域幅をfm[Hz]とすれば、本来必要な帯域幅のW/fm倍で計測されることになり、その信号対雑音比は最大(W/fm)1/2となる。
本発明によれば、センサ出力信号に重畳する1/fノイズやジョンソンノイズと呼ばれる熱雑音が電気的手段によって拡散抑制され、大幅に低減される。通信の分野においては、スペクトラム拡散を用いた通信方式は広く用いられている。その解説は、例えば朝日新聞1978年6月29日付の“期待集めるスペクトル拡散方式”の解説記事や、ジャテック出版“最新スペクトラム拡散通信方式”R.C.Dixon著などによってなされている。ここでは本発明の位置付けを明確にするために、このスペクトラム拡散通信方式と本発明との相違点を明瞭にしておくことが必要であることから、以下にその要点を述べる。
携帯電話や無線LANなどで、今日広く使われているスペクトラム拡散通信方式の歴史は、ヘディー・ラマー(Hedy Lamarr、本名;Hedwig Eva Maria Kiesler)がHedy Kiesler Markeyの名でジョージ・アンタイルと共願で周波数ホッピングスペクトラム拡散に関する米国特許2,292,387、“Secret communication System”を1942年8月11日に取得したことによって始まった。ここにヘディー・ラマーは、オーストリア、ウィーン出身のハリウッド女優であり、またジョージ・アンタイルは作曲家である。この発明は自動演奏用のピアノ・ロールを用いてピアノの鍵盤の数と同じ数の88個の周波数から通信で使用する周波数を順次選択することにより、通信の秘話性を実現するものであった。しかし、この技術は、米国海軍が1962年のキューバ危機で使われるまでの20年もの間、採用されることがなかった。この技術が世界的に注目されるようになったのは、限られた電波資源の効率的利用方法としての符号分割多重通信の方式として1978年に京都で開催された国際無線通信諮問委員会(CCIR)で報告されたときからである。帯域を拡散する擬似雑音として用いるm系列符号に、互いに相互相関性が低い符号を選択することによって、例えば1MHzの帯域幅で9万チャンネルもの符号分割多重通信が可能になることなどが知られるようになった。狭帯域通信方式が標準的に採用されていた当時の技術では、1MHzの帯域幅には300チャンネル程度しか割り当てることができなかったので、この通信方式は通信技術に大きなブレークスルーをもたらした。こうして基本特許の取得から65年、京都で開催されたCCIRにおける報告から29年経過した今日、スペクトラム拡散通信は前述したように携帯電話や無線LANなどの通信技術に広く採用され、普及するに至っている。
しかしながら、計測分野においては、現在においても、m系列が有する数学的性質の1つである鋭い自己相関特性の利用については、電波、光波あるいは超音波の伝搬遅延時間に着目した測距技術などの限られた場合を別とすれば、まだ十分に用いられるには至っていない。この測距技術とは、複数個の発信源からの距離をm系列の自己相関特性を用いて精確に測定する技術である。カーナビゲーションで普及しているGPS(Global Positioning System)が、この測距技術の最も普及した実例である。測距技術においては、距離測定や複数点間の距離から3次元的な座標を求めることが発明の目的であって、センサ自体に鋭い自己相関特性を持つ変調信号を作用させることにより、センサ感度を向上させるものではないことは明らかである。また、特開2006−218013号公報には、生体内にスペクトラム拡散変調した光信号を送信し、逆拡散して受信する方法及び装置の発明が記載されている。しかし、この発明は光を用いたスペクトラム拡散通信の場を生体内とした通信技術の発明であって、この場合も、センサ自体に鋭い自己相関特性を持つ変調信号を作用させてセンサ感度を向上させるものではない。
m系列符号を用いた帯域拡散信号などの帯域拡散信号を用いてセンサの電気的駆動を行い、センサ出力として広帯域拡散された状態の物理量の情報を含んだ出力を得て、これを復調処理して物理量情報を本来の帯域幅に復元し、ノイズを広帯域に拡散させ低域濾波を行うことによって得られる信号対雑音比の改善効果は、次に述べるシャノンのチャンネル容量の法則によって説明できる。
シャノンのチャンネル容量の法則によれば、通信容量Cは、
C=Wlog2(1+(S/N)) (1)
で与えられる。ここにCは通信容量[bps]、Wは帯域幅[Hz]、Sは送信電力[W]、そしてNはノイズ電力[W]である。
C=Wlog2(1+(S/N)) (1)
で与えられる。ここにCは通信容量[bps]、Wは帯域幅[Hz]、Sは送信電力[W]、そしてNはノイズ電力[W]である。
この式から、帯域幅Wを広くすれば通信容量Cを大きくできることがわかる。本発明では、Cをセンサが感受する物理量の情報量、またSをセンサの信号電力との読み替えをすることができる。従って帯域拡散信号を用いて広帯域でセンサを電気的に駆動し、帯域幅Wを広くしてセンサが感受する物理量の情報量Cを大きくすれば、拡散符号の有する数学的性質および統計的性質により、センサの信号を妨害するノイズの影響を低減でき、センサ感度を高めることができるとの予測が得られる。しかしながら、前述したようにスペクトラム拡散通信技術が公知化して29年経過した現在においても、この原理を利用し、センサの感度を向上する技術は見出すことができなかった。
図2は、本発明に係るノイズ低減センサシステムを、一般的なスペクトラム拡散通信システムと比較して示した図である。図2(a)は、本発明に係るスペクトラム拡散を用いたノイズ低減センサシステムの一実施形態を示したブロック図である。図2(a)においては、疑似ランダム符号発生回路202で発生する疑似ランダム符号と、クロック周波数としての中心周波数発生のための中心周波数発生回路204が発生する中心周波数とを、第1の乗算器206を用いて乗算する。こうして乗算された信号を駆動回路208に入力することによって駆動回路208からの出力される駆動信号を用い、センサ素子210を駆動する。その結果、センサ素子210からは、測定物理量212をセンシングして得られた測定物理量212に応じた電気信号が、スペクトラム拡散された形で出力される。次にこのセンサ素子210からの出力信号を、プリアンプ214で増幅し、第2の乗算器216に入力する。第2の乗算器216では、第1の乗算器206の出力信号、または疑似ランダム符号発生回路202で発生する疑似ランダム符号を用いて、このセンサ素子210からの出力信号を同期検波し、さらに低域濾波器218にて高周波数成分を除去し、所要の測定信号220を得る。
他方、図2(b)は、図2(a)に示した本発明に係るスペクトラム拡散を用いたノイズ低減センサシステムとの比較のために、スペクトラム拡散通信システムを用いた通信システムのブロック図を示したものである。この図2(b)において、情報信号222は乗算器228に入力され、送信側の乗算器228にて疑似ランダム符号と積算される。ここで用いられる疑似ランダム符号は、送信側の疑似ランダム符号発生回路226から出力されるもので、送信側の中心周波数発生回路224が発生する信号を取り込み、これを中心周波数としたものである。この積算された信号は、変調回路230にて、送信側の中心周波数発生回路224の出力信号により変調され、さらに送信側の増幅器232で増幅された後、送信側のアンテナ234を経て送信される。こうして送信された情報信号は、受信側のアンテナ236で受信され、受信側の増幅器238で信号増幅され、復調回路240にて復調される。この復調には、受信側の中心周波数発生回路242の発生する中心周波数と受信側の疑似ランダム符号発生回路244の出力とが積算された疑似ランダム符号が用いられる。復調された信号は、さらに低域濾波器246にて低域濾波され、情報信号248を得る。
本発明に係る図2(a)においては、擬似ノイズ発生器202は、スペクトラム拡散に使用されるとともに、スペクラム逆拡散にも使用できる。本発明におけるセンサが感受する測定物理量212は、スペクトラム通信における情報信号222と対応させることができると考えられる。こうして得られる作用効果は、センサ素子210において、センサ自体を帯域拡散信号で駆動し、これを同じ帯域拡散信号を用いて逆拡散し、低域濾波して測定物理量を得るので、測定物理量212を変調する帯域拡散信号とは無相関の1/fノイズやジョンソンノイズ等の電気的ノイズを拡散・抑制できる点にある。なお、測定対象である物理量に伴う環境ノイズは、測定物理量と区別されないので、ここでの拡散・抑制の対象ではない。
これに対し、スペクトラム拡散通信においては、送信側と受信側の両方で互いに同期した擬似ノイズ発生器を持ち、通信で使用する電磁波と同じ物理量を持った空電ノイズや混信を除去することができる。しかしながら、センサ自体を帯域拡散信号で駆動し、同じ帯域拡散信号を用いて逆拡散し低域濾波して測定物理量を得る本発明とは異なり、スペクトラム拡散通信の場合には、通信される情報信号に重畳したノイズや、送信機で重畳するジョンソンノイズ(熱雑音)は拡散・抑制されない。
本発明に係るセンサシステムの構成においては、広帯域に拡散された状態で抽出されたセンサ出力に含まれる物理量の情報は本来の帯域に復元され、ノイズスペクトラムは帯域拡散信号と無相関であるために広帯域に拡散され、低域濾波によって不要成分が取り除かれ抑制されるので、信号対雑音比が改善される。この場合には、センシングの時間を増す必要はないので、センサの時間分解能の低下はない。
スペクトラム拡散通信の方式は、携帯電話などの多チャンネルを必要とする通信分野において広く用いられている。これらの通信分野では、この変調方式を用いることにより、送受信のチャンネル数を非常に多くでき、しかも他からの干渉に強い通信システムが実現されている。しかしなから、スペクトラム拡散変調を用いた通信では、送信側の信号に重畳したジョンソンノイズなどのホワイトノイズを低減することはできない。
本発明者は、拡散符号を用いたスペクトラム拡散変調のもつ興味ある特徴に着目し、その新しい応用について鋭意研究を進めた。特にスペクトラム拡散変調の技術をセンサシステムに適用し、センサを帯域拡散信号で駆動し、出力をスペクトラム拡散変調された信号として取り出し、これを復調することによって、センサ素子の出力信号に含まれるジョンソンノイズなどのノイズを大幅に低減することができ、これによってセンサの感度の著しい向上が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
(発明の効果)
本発明により、帯域拡散信号を用いてセンサを電気的に広帯域で駆動し、センサにおいて感受される物理量を広帯域に拡散した状態で検出し、これを逆拡散して復調し低域濾波することにより、本来の帯域幅にて物理量の測定値を得るとともに、ジョンソンノイズなどのノイズを大幅に低減できるようになった。この結果、たとえセンサ素子自体の特性向上を行わない場合であっても、電子回路による信号処理により、センサシステムとしての感度を大幅に向上させることができるようになった。
本発明により、帯域拡散信号を用いてセンサを電気的に広帯域で駆動し、センサにおいて感受される物理量を広帯域に拡散した状態で検出し、これを逆拡散して復調し低域濾波することにより、本来の帯域幅にて物理量の測定値を得るとともに、ジョンソンノイズなどのノイズを大幅に低減できるようになった。この結果、たとえセンサ素子自体の特性向上を行わない場合であっても、電子回路による信号処理により、センサシステムとしての感度を大幅に向上させることができるようになった。
1…広帯域センサ、2…帯域拡散信号発生器、3…センサ駆動部、4…復調回路、202…疑似ランダム符号発生回路、204…中心周波数発生回路、206…第1の乗算器、208…駆動回路、210…センサ素子、212…測定物理量、214…プリアンプ、216…第2の乗算器、218…低域濾波器、220…測定信号、222…情報信号、224…中心周波数発生回路、226…疑似ランダム符号、228…乗算器、230…変調回路、232…増幅器、234…アンテナ、236…アンテナ、238…増幅器、240…復調回路、242…中心周波数発生回路、244…疑似ランダム符号発生回路、246…低域濾波器、248…情報信号、401…GaAsホール素子、402…m系列符号発生器、403…搬送波発振器、404…乗算器、405…差動論理出力のゲート、406a,406b…2本の抵抗、407a,407b…差動増幅器、408a,408b…アナログスイッチ、409…差動出力ゲート、410…位相器、411…増幅器、412…低域濾波器。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を示すことにより、本発明のさらなる詳細を述べる。
本発明の一実施形態に係る物理量検出装置においては、すでに図1に示したように、広帯域センサに対し、帯域拡散信号発生回路を用い、広帯域センサを電気的に駆動するための帯域拡散駆動回路によって駆動し、広帯域センサからの帯域拡散された出力を、帯域拡散信号を用いて物理量本来の帯域幅に復元する。こうすることにより、要求帯域幅をW[Hz]、帯域拡散信号によって帯域拡散される周波数帯域幅をfm[Hz]としたとき、本来必要な帯域幅のW/fm倍で計測されることになり、信号対雑音比が最大(W/fm)1/2となる。なお、本発明においては、広帯域センサは、本来アプリケーションで必要とする物理量の帯域幅に比べ少なくとも10倍以上の帯域幅で変調が可能であることが好ましい。また、この広帯域センサに帯域拡散信号を加えてセンサ信号の変調を行い、センサが出力する信号の帯域幅を、本来アプリケーションで必要とする物理量の帯域幅に比べ、少なくとも10倍以上にすることが好ましい。
本発明においては、キャリア信号に拡散符号を乗算して帯域拡散信号を得て、この帯域拡散信号によりセンサを電気的に駆動する。この際の帯域拡散信号を得るために用いる拡散符号としては、多種の符号系列が使用可能であり、符号系列同士の直交性が高いこと、みかけ上のランダム性が高く平衡符号であること、及び周期性を持ち、自己相関性が高いことが望まれる。
これらの要望を満たす符号系列として、疑似ランダム雑音系列があり、符号系列のすべてが疑似ランダム雑音系列である符号系列としてm系列がある。m系列は、原始多項式をもとにシフトレジスタを用いて発生させることができる。本発明に用いる帯域拡散信号を得るためのキャリア信号に乗算する拡散符号としては、このm系列符号が、上記の要求を満たすことがとできるので好ましい。
広帯域センサの具体例として、ホール素子を取り上げ、本発明の実施の形態について、さらにその詳細を述べる。現在、ホール素子を使用するほとんどの用途においては、直流〜数100Hz程度、高くても20kHz程度までしか利用されていない。しかし、ホール素子自体の感受特性は、200kHz以上でも利用可能であることが確認されている。センサの磁界検出原理がローレンツ力によるものであることを考慮すると、感受特性は1GHz程度まで伸びていることが予想される。しかし、このような高周波磁界を発生する手段そのものがまだ存在しないため、ホール素子の感受帯域の限界周波数に関する詳細はまだ不明である。いずれにしてもホール素子は本発明の広帯域センサとしての条件を満たすことができるセンサの一種である。
図3(a)は、本発明の一実施形態において帯域拡散信号を発生させる際のM系列符号と帯域拡散信号の関係を示す図である。また図3(b)は、この帯域拡散信号によって変調され帯域拡散された信号を復調したときに、スペクトラム拡散のためにノイズが拡散され、信号対雑音比が改善されることを説明した電圧ノイズ密度と周波数の関係を示す図である。図に示したように、直流定電流駆動によって検出した場合に検出信号に伴なうノイズは、検出方式を通常の同期検波方式に変えることにより、低周波域におけるノイズ増大が回避されて低減する。さらに本発明に係るノイズ拡散を行なってノイズを拡散抑制した同期検波方式を用いることによって、さらに顕著なノイズ低減が得られる。本実施例では、物理量の要求帯域幅を直流から200Hzまでの200Hzとした。また搬送波の周波数を120kHzとし、m系列符号のクロック速度を80kHz、符号長を4095ビット、拡散させる帯域幅を80kHzとした。すなわち図3(a)に示したように、m系列符号の論理状態によって周波数120kHzの搬送波を3波毎に位相を0度と180度の2通りから選択的に出力することにより、帯域拡散信号を発生した。この場合には、図3(b)に示したように、信号対雑音比の改善は最大(80000/200)1/2=(400)1/2=20倍程度と計算される。実際には、m系列符号におけるスペクトラムの包絡線の形状は矩形ではなく、(sinx/x)1/2の形状であるため、最大でも15倍程度となる。
図4には本実施例のホール素子を用いた物理量検出装置のブロック図を示す。GaAsのホール素子401は、本発明の広帯域センサ1に相当する。また帯域拡散信号発生回路2は、m系列符号発生器402と搬送波周波数がfc[Hz]の搬送波発振器403と乗算器404により構成されており、図3(a)に示したようなタイミングの帯域拡散信号を発生している。またセンサ駆動回路3は、入力信号に応じた作動信号を出力する差動論理出力のゲート405と2本の抵抗406aと406bにより構成され、定電圧差動出力を差動電流出力に変換しており、ホール素子401を広帯域で電気的に駆動するため、ホール素子401の電流供給端子に接続している。さらに本発明の復調回路4に相当する復調器は、互いに反対の極性でホール素子401のホール電圧観測端子に接続された差動増幅器407aおよび407bと、帯域拡散信号の論理状態によって差動増幅器407aまたは407bのいずれか一方の出力信号を選択して、後段の増幅器411に供給するためのアナログスイッチ408aおよび408bと、帯域拡散信号の論理状態の変化に対して2個のアナログスイッチのオンオフ切り替えを円滑に行うための差動出力ゲート409と、差動出力ゲート409からの帯域拡散信号の供給を受けて適切に同期検波を行うための位相調整を行うための移相器410と、帯域拡散信号によって排他的に選択onされることで同期検波の中枢部である乗算器を構成しているアナログスイッチ408aまたは408bを通して検波された信号の供給を受けて増幅する増幅器411と、増幅された検波信号からリップル成分を除去するための低域濾波器412により構成されている。
図4に図示した回路は、図示していないワンチップ・マイクロコンピュータにて制御され、本発明に係るm系列符号に基づく帯域拡散信号を用いたノイズ拡散低減処理を行う物理量検出装置である。この装置は、本発明に係るm系列符号に基づく帯域拡散信号を用いたノイズ拡散低減処理を行う物理量検出装置としての動作モードのほかに、従来技術である直流定電流駆動回路としての動作モード、及び搬送波を用いた同期検波回路としての動作モードにて動作させることもできるようにしてある。
そこでこの装置を用い、m系列符号に基づく帯域拡散信号を用い、ノイズ拡散低減処理を行う物理量検出装置としてこの装置を動作させた場合の結果を、直流定電流駆動回路としてこの装置を動作させた場合の結果、及び搬送波を用いた同期検波回路としてこの装置を動作させた場合の結果との比較を試みた。各モードにおけるノイズレベルの測定結果を図5に示す。m系列符号に基づく帯域拡散信号を用いてノイズ拡散低減処理を行った場合には、直流定電流駆動回路として動作させた場合の結果及び搬送波を用いた同期検波回路として動作させた場合の結果に比べ、時間分解能を劣化させることなくノイズレベルを20dB改善されることがわかった。本実施例ではすでに述べたようにベースバンド幅200Hzに対し、拡散帯域幅を80kHzとしたので、信号対雑音比の改善は近似計算で最大(8000/200)1/2=20倍程度と予測され、このことがこの測定データによってその裏付けが得られた。この拡散帯域幅をさらに大きくすれば、さらに信号対雑音比を改善することができる。このようにして、本発明に係るノイズ拡散低減処理によりノイズを大幅に低減することができることがわかった。なお、本実施例においては、直流と搬送波周波数が120kHzしか離れていないので、拡散スペクトルの折り返しがあり、性能を若干劣化させていることが考えられる。
また、より高感度でより低ノイズを必要とし、その際に時間分解能は低下してもさしつかえない場合には、本発明による物理量検出装置によって得られるデータを順次n回取得して加算平均することにより、ノイズ成分をさらに低減することができる。
ここではセンサ素子としてホール素子を用いた磁界測定の場合を例示したが、本発明に係る検出装置は、さまざまな物理量の検出に用いることができるものである。磁界の検出や測定に用いるセンサ素子は、ホール素子のほかに、異方的磁気抵抗効果素子や巨大磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子などの各種磁気抵抗効果素子を用いることができる。また測定対象の物理量は、磁界のほか、電界、電磁波、光、温度や湿度、圧力、など、さまざまな測定対象となる物理量を挙げることができ、これらに用いる広帯域センサ素子としては、これらの物理量を感知し、物理量に比例したセンサ素子からの電気的な信号を出力信号として出力でき、その出力信号を帯域拡散信号で電気的に駆動して帯域拡散することのできるものであればよく、そのようセンサとして例えば感圧センサ、匂いセンサ、ジャイロセンサ、熱電対、サーミスタなどの各種センサを挙げることができる。
本発明によれば、センサ自体には何らの加工を施すことなく、電子回路のみで信号に対するノイズの影響を大幅に低減することができ、センサの感度を大幅に高めることができることから、本発明は多くの産業分野において、今後広く利用されるものと考えられる。
Claims (8)
- 電気的に駆動することにより、感受した物理量に応じた電気信号を出力する広帯域センサ1と、
帯域拡散信号を発生する帯域拡散信号発生器2と、
帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号により広帯域センサ1を駆動し、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を帯域拡散した出力信号として広帯域センサ1から出力させる帯域拡散駆動回路3と、
広帯域センサ1の帯域拡散した出力信号を、帯域拡散信号発生器2が出力する帯域拡散信号を用いて同期検波することにより、広帯域センサ1が感受する物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、広帯域センサ1の電気的駆動に用いた帯域拡散信号と無相関なノイズ成分は広帯域に拡散させた状態で低域濾波する復調回路4と
を備えたことを特徴とする物理量検出装置。 - 帯域拡散信号発生器2の発生する帯域拡散信号が、m系列符号を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
- 帯域拡散信号発生器2の発生する帯域拡散信号が、測定対象である物理量の要求帯域幅に比して少なくとも10倍以上のクロック周波数を用いて発生されるm系列符号の論理状態によって正弦波または矩形波のいずれか一方の形状を有する搬送波に対し、予め定められた波数を単位として位相変調を施した信号であることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
- 帯域拡散信号発生器2が、発生する帯域拡散信号が測定対象である物理量の要求帯域幅に比して少なくとも10倍以上のクロック周波数を用いて発生されるm系列符号の論理状態に基づいて正弦波または矩形波のいずれか一方の形状を有する搬送波の周波数を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
- センサ駆動回路3が差動出力回路であることにより、センサ駆動回路3の信号の立上りと立下りの特性の違いによる信号対雑音比の劣化を抑制したことを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
- 広帯域センサ1としてホール素子を用いることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
- 電気的に駆動することによって、感受した磁界の強さに応じた電気信号を出力するホール素子と、
m系列符号帯域拡散信号を用いて発生する帯域拡散信号発生器と、
前記ホール素子に対し、前記帯域拡散信号発生器が出力する帯域拡散信号に従って電気的に駆動し、帯域拡散させた状態の出力信号として前記ホール素子が感受する磁界強度に応じた電気信号を出力させる帯域拡散駆動回路と、
帯域拡散信号発生器が出力する帯域拡散信号を用いてホール素子の出力信号に同期検波処理を施すことにより、ホール素子が感受する物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、ホール素子の電気的駆動に用いた帯域拡散信号と無相関なノイズ成分を広帯域に拡散し低域濾波する復調回路と
を備えたことを特徴とする微小磁界検出装置。 - 電気的に駆動することにより感受した物理量に応じた電気信号を出力する広帯域センサに対し、帯域拡散信号で駆動することにより、感受した物理量に応じた電気信号を帯域拡散させた状態の出力信号として出力させ、前記帯域拡散信号を用いて前記出力信号を同期検波することにより、前記広帯域センサが感受した物理量に応じた電気信号を測定対象の物理量の要求帯域幅に逆拡散し、前記広帯域センサの電気的駆動に用いた帯域拡散信号とは無相関なノイズ成分を広帯域に拡散させた状態で低域濾波することにより、測定対象の物理量の要求帯域幅にて物理量を出力することを特徴とする物理量検出方法。
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