JPWO2008126151A1 - 質量分析データ解析方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

試料上の二次元領域を細かく区分した各微小領域(ピクセル)に対して得られる質量スペクトルデータを解析処理しタンパク質を同定するに際し、まず各ピクセルの質量スペクトルに現れるピークを含むように質量ウインドウを設定し(S10)、各質量ウインドウ内に入るピークのイオン強度の積算値を計算する(S11)。そして、質量ウインドウ毎に各ピクセルの強度積算値を集めてマッピング画像を作成し(S12)、マッピング画像の類似性を判断して質量ウインドウをグループ分けする(S13、S14)。同一グループに入る質量ウインドウ内のピークは同一種類の物質に由来するとみなし、それらピークを集めて質量スペクトルを作成し(S15)、該スペクトルに基づいてPMF法などによりタンパク質を同定する(S16、S17)。これにより、複数種類のタンパク質が混在している場合でも、同定精度を高めることができる。

Description

本発明は、試料上の二次元範囲に含まれる各微小領域についてそれぞれ収集された質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法及び装置に関し、特に、生体由来の試料に含まれるタンパク質などを同定するために好適な質量分析データ解析方法及び装置に関する。
近年、ポストゲノム研究として生体組織中のタンパク質の構造や機能の解析が急速に進められている。このようなタンパク質の構造・機能解析手法(プロテオーム解析)の一つとして、近年、質量分析装置を用いたタンパク質の発現解析や一次構造解析が広く行われるようになってきている。そうした手法の1つとして、従来、ペプチド・マス・フィンガープリンティング(Peptide Mass Fingerprinting:PMF)と呼ばれる方法が用いられている。この手法では、試料から抽出されたタンパク質を二次元電気泳動等によって精製・分離した上で、適当な酵素で消化してペプチド断片の混合物としてから、マトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOFMS)などを用い各断片ペプチドの質量を高い精度で測定する。そして、データベース検索エンジンを用い、測定された質量データに一致する質量を有するペプチドを含むタンパク質をデータベースから検索し、確からしい複数個の候補タンパク質を同定結果として出力する。
また、四重極型イオントラップや衝突誘起分解(CID)などによって特定のピークの捕捉と開裂を行う、いわゆるMS/MS分析(タンデム分析ともいう)が可能な質量分析装置を用い、次のようにしてタンパク質のアミノ酸配列を決定する手法も知られている。即ち、まずタンパク質を適当な酵素で消化してペプチド断片の混合物としてから、該ペプチド混合物を質量分析する。このとき、各ペプチドを構成する元素には質量の異なる安定同位体が存在するため、同一のアミノ酸配列から成るペプチドであっても、その同位体組成の違いによって質量電荷比の異なる複数のピークを生じる。該複数のピークは、同位体元素を含まないイオン(モノアイソトピックイオン)のピークと、それ以外の同位体を含むイオン(同位体イオン)のピークとから成り、これらは1Da(1価イオンの場合)間隔で並んだ複数本のピークから成るピーク群(以下同位体ピーク群という)を形成する。
続いて、上記のようなペプチド混合物の質量スペクトルデータの中から、単一のペプチドに由来する一組の同位体ピーク群(場合によってはその一部)をプリカーサイオンとして選択し、該プリカーサイオンを開裂させて得られたイオン(プロダクトイオン)の質量分析(MS/MS分析)を行う。以上のようにして得られたプロダクトイオンの質量スペクトルパターンや、上記プリカーサイオンの質量スペクトルパターンをデータベース検索に供することによって、被検ペプチドのアミノ酸配列を決定し、タンパク質を同定することができる(例えば特許文献1など参照)。
上述のようなタンパク質同定手法では基本的に、細胞などからタンパク質を抽出し、精製・分離して測定対象の試料を調製することを前提としているが、生化学分野、医療分野等では、生体内細胞を壊すことなくその細胞に含まれるタンパク質の二次元的な分布情報を得たいという要求が大きい。こうした要求に応えるものとして、顕微鏡と質量分析装置との機能を兼ね備えた顕微質量分析装置(イメージング質量分析装置と呼ばれることもある)の開発が進められている。顕微質量分析装置では、例えばプレパラートなどにセットされた試料上の二次元範囲の物質の分布情報(マッピング画像)を得ることが可能である。顕微質量分析装置において試料上の二次元範囲内の各微小領域に対する質量スペクトルデータを取得するために、従来、種々の構成が提案されている。
例えば、特許文献2、非特許文献1などに記載の質量分析装置では、イオン化のためのレーザ光や粒子線の照射位置を試料上で順次走査し、その照射位置が移動する毎に照射位置から発生したイオンを質量毎に分離して検出するようになっている。また、非特許文献2には、試料上の物質の二次元分布を反映するようにイオンを二次元状にほぼ一斉に発生させ、これを飛行時間型質量分離器で質量分離して二次元検出器で検出する方法が提案されている。
いずれの構成でも、試料上の二次元範囲内に存在する物質のマッピング画像を作成するには、その二次元範囲内の各微小領域毎に得られる質量スペクトルデータを解析処理し、それぞれの微小領域に存在する物質(例えばタンパク質)を特定する必要がある。或いは、MS/MS分析(タンデム分析)が可能である質量分析装置では、まずイオンを開裂させずに質量分析した結果として得られる質量スペクトルデータを解析処理することによりプリカーサイオンとして選択すべきイオンを特定し、次に各微小領域毎に適当なプリカーサイオンを設定した上でMS/MS分析を行うことで取得した質量スペクトルデータを解析処理することにより該微小領域に存在する物質を同定する。
しかしながら、試料上の微小領域に対して得られる質量スペクトルデータに基づいて該領域に存在するタンパク質を同定する作業は容易ではない。その大きな理由の1つは、試料が生体組織の一部である場合、1つの微小領域に複数種類のタンパク質が存在していることが多いことによる。即ち、前述のタンパク質同定手法では前処理によって予め分析対象物に含まれるタンパク質を精製・分離しているため、異なるタンパク質由来のピークが質量スペクトル上で重なる可能性は小さい。これに対し、複数種のタンパク質が混在した状態の試料を質量分析すると、質量スペクトル上で複数種類のタンパク質由来のピークが混在してしまうから、これをそのままアミノ酸配列推定用のデータベースと照合しても正確な同定は行えない。また、そうした質量スペクトルにおいて上記のように同位体ピーク群を見つけようとしても、異なるタンパク質由来の同位体ピーク群が重なってしまっていることが多く、ピーク強度比だけでは1つの同位体ピーク群に属するピークを適切に選択することが困難である。そのため、同一物質由来のピーク群をMS/MS分析用のプリカーサイオンとして適切に選択することができず、同定精度の低下をもたらすことになる。
特開2006−284509号公報 米国特許第5808300号明細書 小河潔、ほか5名、「顕微質量分析装置の開発」、島津評論 、株式会社島津製作所、2006年3月31日発行、第62巻、第3・4号、p.125−135 内藤康秀、「生体試料を対象にした質量顕微鏡」、日本質量分析学会誌、Vol.53、No.3、2005年
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、試料上の二次元範囲内の各微小領域に対する質量分析によりそれぞれ得られる質量スペクトルデータを用い、例えばその二次元範囲内の物質分布画像を作成するための質量分析データ解析方法及び装置において、物質の同定精度や定量精度を向上させ、より正確な物質分布画像を作成することができるような質量分析データ解析方法及び装置を提供することである。
前述の顕微質量分析装置(イメージング質量分析装置)では、各微小領域毎の質量スペクトルデータ、つまり質量と強度という二次元的な情報、を取得することができるだけなく、各ピークの空間分布情報、つまりX軸上の位置とX軸に直交するY軸上の位置という二次元的な情報も得ることができる。従来、同一物質由来のピークを判別するために空間分布情報は利用されていなかったが、本発明は、質量スペクトルに加えてこの空間分布情報を利用する、つまり合わせて四次元的な情報を利用することで、複数の物質由来のピークが混合した中から同一物質由来のピークを判別するようにしたものである。
即ち、上記課題を解決するために成された第1発明は、試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についての二次元分布を利用して、同一種類の物質に由来するピーク又はピーク集合と異なる種類の物質に由来するピーク又はピーク集合とを判別する判別ステップを含むことを特徴としている。
上記第1発明に係る質量分析データ解析方法の一態様である第2発明は、試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
a)全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査ステップと、
b)前記二次元分布の類似性に基づいて前記ピーク又はピーク集合を1乃至複数のグループに区分するグループ分けステップと、
c)前記グループ毎に、そのグループに分類されたピーク又はピーク集合から成る質量スペクトルを作成するスペクトル作成ステップと、
を含み、前記スペクトル作成手段により作成された質量スペクトルが同一物質由来のものであるとみなして同定処理を行うことを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第3発明は、第2発明に係る質量分析データ解析方法を具現化する装置であって、
a)全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査手段と、
b)前記二次元分布の類似性に基づいて前記ピーク又はピーク集合を1乃至複数のグループに区分するグループ分け手段と、
c)前記グループ毎に、そのグループに分類されたピーク又はピーク集合から成る質量スペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
d)前記スペクトル作成手段により作成された質量スペクトルが同一物質由来のものであるとみなして同定処理を行う同定手段と、
を備えることを特徴としている。
上記「同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合」とは、例えば、質量スペクトル上で所定の質量幅の質量ウインドウを設定し、その質量ウインドウ内に存在する複数のピークの強度を積算した値を強度値とする1本のピークとすることができる。
例えば生体試料を分析する場合、質量スペクトル上には、同一種類のタンパク質に由来する複数のピーク(ペプチドのピーク)が出現する。質量分析対象の微小領域に複数種類のタンパク質が存在する場合、質量スペクトル上ではこの複数種類のタンパク質由来のピークが混在し、いずれが同一種類のタンパク質由来のピークであるのかを判別するのは難しい。一方、二次元範囲全体で考えると、同一種類のタンパク質由来の複数のピークは同じように分布している筈である。そこで、分布調査ステップでは、例えば全ての微小領域に対する質量スペクトルに出現している同一質量範囲に含まれるピーク集合の二次元分布を調べ、質量範囲毎にピーク集合の分布状況を示すマッピング画像を作成する。従って、設定された質量範囲の数だけマッピング画像が作成される。
グループ分けステップでは、例えば上記マッピング画像の類似性を調べ、類似しているとみなせるマッピング画像(つまりはそのマッピング画像作成の元となったピーク若しくはピーク集合、又は質量若しくは質量範囲)を同一のグループに入れるようにグループ分けを行う。但し、明らかにノイズピークであると判別されるピークは除外するとよい。同一グループに入れられたピーク又はピーク集合は、同一種類のタンパク質に由来するものであると考えられる。そこで、スペクトル作成ステップでは、各グループ毎に、そのグループに入れられたピーク又はピーク集合を集めて新たに質量スペクトルを作成する。従って、グループの数だけ質量スペクトルが作成される。そうして、この質量スペクトルが同一種類のタンパク質に由来する質量スペクトルであるとして、該タンパク質の同定を行う。この同定には既存の手法、例えば前述のPMF法を利用することができる。
また上記第1発明に係る質量分析データ解析方法の別の態様である第4発明は、試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
a)1つの微小領域に対する質量スペクトル上で複数種類の物質由来の同位体ピーク群が重なった重畳同位体ピーク群を抽出する同位体ピーク群抽出ステップと、
b)前記重畳同位体ピーク群を構成する複数本のピークの中の特定のピークの質量から推定される理論的なピーク強度比を用いて、前記重畳同位体ピーク群をそれぞれ一種類の物質に由来する同位体ピーク群に分離するピークの組み合わせの候補を見い出す分離候補算出ステップと、
c)前記ピークの組み合わせの候補のそれぞれについて同位体ピーク群に属するピークを含む質量範囲を設定し、全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている前記質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査ステップと、
d)前記二次元分布に基づいて前記ピークの組み合わせの候補を選択することで重畳同位体ピーク群をそれぞれの同位体ピーク群に分離する同位体ピーク群分離ステップと、
を含むことを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第5発明は、第4発明に係る質量分析データ解析方法を具現化する装置であって、
a)1つの微小領域に対する質量スペクトル上で複数種類の物質由来の同位体ピーク群が重なった重畳同位体ピーク群を抽出する同位体ピーク群抽出手段と、
b)前記重畳同位体ピーク群を構成する複数本のピークの中の特定のピークの質量から推定される理論的なピーク強度比を用いて、前記重畳同位体ピーク群をそれぞれ一種類の物質に由来する同位体ピーク群に分離するピークの組み合わせの候補を見い出す分離候補算出手段と、
c)前記ピークの組み合わせの候補のそれぞれについて同位体ピーク群に属するピークを含む質量範囲を設定し、全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている前記質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査手段と、
d)前記二次元分布に基づいて前記ピークの組み合わせの候補を選択することで重畳同位体ピーク群をそれぞれの同位体ピーク群に分離する同位体ピーク群分離手段と、
を備えることを特徴としている。
第4発明に係る質量分析データ解析方法においては、質量スペクトル上で複数種類の物質(典型的にはタンパク質)由来の同位体ピーク群を構成するピークが混在している重畳同位体ピーク群に着目し、この重畳同位体ピーク群に含まれる各ピークが複数の同位体ピーク群のいずれに属するものかを決定するために、二次元範囲全体に亘る分布情報を利用する。そのために分布調査ステップでは、例えば分離候補算出ステップで挙げられた各候補毎に同位体ピーク群の二次元分布を表すマッピング画像を作成する。例えば試料の二次元範囲内で顕微観察などによる視認上、他の部位とは明確に区別可能な特定の部位に属する微小範囲についての質量スペクトル上に現れている重畳同位体ピーク群を対象とするとき、同位体ピーク群の分離が適切であれば、その特定部位を他の部位と識別可能なマッピング画像が得られる筈である。そこで、同位体ピーク群分離ステップでは、作成されたマッピング画像を判断することで、例えば顕微観察により得られた観察画像と比較することで、いずれの同位体ピーク群の分離が適切であるのかを判断する。
このように同位体ピーク群が確定できた後には例えばモノアイソトピックピークを求め、これをデータベース検索に供してタンパク質の同定を試みたり、或いは、分離した同位体ピーク群(又はその一部)をプリカーサイオンとしてMS/MS分析を行い、それにより得られる質量スペクトルデータに基づいてタンパク質同定を行えばよい。
第1乃至第5発明に係る質量分析データ解析方法及び装置によれば、試料上の二次元範囲に複数種類の物質が存在する場合でも、各物質を高い精度で以て同定することができる。従って、その同定結果や同定された各物質の定量分析結果から、上記二次元範囲の各物質についての正確なマッピング画像を作成することができる。
本発明に係る質量分析データ解析方法及び装置で解析処理する質量スペクトルデータを収集するための質量分析装置の一実施例の概略構成図。 本発明に係る質量分析データ解析方法及び装置で解析処理する質量スペクトルデータを収集するための質量分析装置の他の実施例の概略構成図。 図1又は図2の質量分析装置における質量スペクトルデータ収集動作を説明するための図。 本発明の第1実施例による質量分析データ解析方法の処理手順を示すフローチャート。 第1実施例による質量分析データ解析方法の手順を説明するための模式図。 第1実施例による質量分析データ解析方法の手順を説明するための模式図。 本発明の第2実施例による質量分析データ解析方法の処理手順を示すフローチャート。 第2実施例による質量分析データ解析の対象とする試料の一例を示す図。 第2実施例による質量分析データ解析方法の手順を説明するための模式図。 第2実施例による質量分析データ解析方法の手順を説明するための模式図。 第2実施例による質量分析データ解析方法の手順を説明するための模式図。
符号の説明
2…試料ステージ
3…ステージ駆動部
4…レーザ照射部
5、11…イオン輸送光学系
6…質量分析器
7…イオン検出器
8、15…データ処理部
10…レーザ光
13…イオン拡大光学系
14…二次元イオン検出器
まず本発明に係る質量分析データ解析方法及び装置で解析対象となる質量スペクトルデータを収集するための質量分析装置の構成例について説明する。
図1は一実施例による質量分析装置の概略構成図である。この質量分析装置では、分析対象の試料Sが載置された試料ステージ2はステージ駆動部3により図1中の互いに直交するX軸、Y軸の二軸方向にそれぞれ所定範囲で移動可能である。レーザ照射部4から出射された微小径のレーザ光が試料Sに照射されると、照射された部位に存在する各種分子は気化してイオン化される。試料Sから飛び出したイオンはイオン輸送光学系5に捕捉されて後段の質量分析器6に送り込まれる。質量分析器6は例えば飛行時間型質量分析器であり、導入されたイオンは質量(厳密には質量電荷比m/z)に応じた飛行時間で以て質量分析器6を通り抜けてイオン検出器7に到達する。イオン検出器7は入射したイオン量に応じた検出信号をデータ処理部8に出力する。データ処理部8は入力される検出信号をデジタル値に変換し、飛行時間を質量軸に変換することで各質量に対する強度データを求める。これが質量スペクトルデータであり、このデータを横軸がm/z、縦軸がイオン強度(相対強度)であるグラフに表すことで質量スペクトルが得られる。
1回のレーザ照射によって質量分析される試料S上の部位はレーザ光が当たったごく狭い領域(微小領域)である。そこで、ステージ駆動部3により試料ステージ2を所定の順序でX軸、Y軸の二軸方向にステップ状に移動させつつレーザ光を照射し、その度に上述のような質量分析を行って検出信号を得る。これにより、試料S上の所定の二次元範囲内に設定された各微小領域に対する質量スペクトルデータをそれぞれ収集することができる。なお、図示しないが、上記質量分析装置には試料Sの表面上を光学的に観察可能な顕微鏡又は試料Sの二次元像をCCDカメラ等で撮像してモニタに表示する撮像装置が付設されており、そうした観察像に基づいて質量分析を行う二次元範囲をユーザが自由に設定することができるようになっている。
いま例えばマウスの脳をスライスしたものを試料Sとしたとき、試料S上の二次元観察像は例えば図3(a)に示すように得られる。この二次元範囲内を、図3(b)に示すように、X軸、Y軸方向にそれぞれΔx、Δyのサイズに格子状に区切ることで微小領域を設定する。つまり、1個の微小領域のサイズが(Δx)×(Δy)である。この微小領域毎に上述のような質量スペクトルデータが得られる。なお、上記説明では、質量分析位置を移動させるためにレーザ照射位置を固定して試料ステージ2を移動させているが、試料ステージ2の位置を固定し、レーザ照射位置を走査するようにしてもよい。但し、その場合にはイオンが発生する部位の絶対的位置が変化するから、発生したイオンを効率良く収集するには、イオン輸送光学系5や質量分析器6もレーザ照射位置に同期して移動させるのがよい。
図2は別の実施例による質量分析装置の概略構成図である。この実施例では、二次元的に広がりを持つレーザ光10を試料ステージ2上に載置された試料Sに照射する。このレーザ光10の照射により試料S上の二次元範囲内で一斉にイオン化が行われ、発生したイオンはイオンの発生位置の相対関係を維持可能なイオン輸送光学系11を通して質量分析器12に導入される。そして、質量分析器12によりイオンの発生位置の相対関係を維持したままイオンは質量毎に分離され、イオン拡大光学系13を通して微小なイオン検出器が二次元的に配列された二次元イオン検出器14に入射される。つまり、二次元イオン検出器14では試料Sの二次元範囲から発生したイオンをそのイオンの発生位置の位置情報を保存したまま検出する。データ処理部15は入力される検出信号をデジタル値に変換し、図3(b)に示したように二次元範囲内の各微小領域に対応するようにデータを分離し、さらに飛行時間を質量軸に変換することで各質量に対する強度データを求める。これが質量スペクトルデータであり、このデータを横軸がm/z、縦軸がイオン強度(相対強度)であるグラフに表すことで質量スペクトルが得られる。
図1、図2のいずれの構成の質量分析装置でも、試料S上の所定の二次元範囲に含まれる各微小領域に対する質量スペクトルデータが得られる。これら質量スペクトルデータはデータ処理部8、15において一旦ハードディスクなどの記憶装置に保存され、その後にデータ処理部8、15における後述するようなデータ解析処理によって試料Sに含まれる物質の同定が行われる。
次に、上記のような各微小領域毎の質量スペクトルデータを対象とする第1実施例による質量分析データ解析方法を説明する。図4はこの質量分析データ解析方法の処理手順を示すフローチャート、図5、図6はその解析処理の動作説明のための模式図である。
マウス脳などの生体試料から切り出した試料に酵素消化を行うことでタンパク質をペプチド断片化し、これを測定対象の試料Sとして上述のような質量分析装置により質量スペクトルデータを取得する。それにより、各ピクセル(微小領域)において図5に示すような質量スペクトルが得られるものとする。図5において(x,y)は、ピクセルの位置を表現するためにX軸、Y軸上で各ピクセルに与えられたアドレスである。これら質量スペクトルを表す質量スペクトルデータがデータ処理部8、15に与えられ、タンパク質を同定するための解析処理が実行される。
まず、質量スペクトルに現れている各ピークについて、各ピクセルに共通な所定質量幅のウインドウ(質量ウインドウ)を設定する(ステップS10)。例えば図5中でW1、W2、…と示すように質量ウインドウを設定する。ここでは必ずしも全てのピークが網羅されるように質量ウインドウを設ける必要はなく、例えば明らかにノイズピークであることが判明しているピークなどは除外することができる。また、質量ウインドウは自動的に設定するようにしてもよいし、或いは、図5のような質量スペクトルをモニタの画面上に表示させてピークの位置を確認しながら適宜に質量ウインドウを設定してもよい。なお、一般的にペプチドのピークについては同位体ピーク群が存在するから、同位体ピーク群に属すると考えられる複数本のピークが1つの質量ウインドウに入るように質量ウインドウを設定することが望ましい。
次に、各ピクセル毎に1つの質量ウインドウ内に含まれるイオン強度を積算する(ステップS11)。例えば図5において、アドレスが(1,1)であるピクセルにおいて質量ウインドウW1内に複数本のピークが存在していれば、それらピークのイオン強度を積算し、その質量ウインドウに対する強度積算値とする。
図3(b)に示したように所定の二次元範囲に含まれる全てのピクセルにおいて質量ウインドウ毎の強度積算値が求まったならば、全ピクセルの同一質量ウインドウに対する強度積算値を集め、この強度積算値によりマッピング画像を作成する(ステップS12)。例えば全ピクセルの質量ウインドウW1に対する強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図6に示すようなマッピング画像が得られる。また、質量ウインドウW2、W3、…についても同様に、強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図6に示すようなマッピング画像が得られるものとする。つまり、設定された質量ウインドウの数だけマッピング画像が作成されることになる。
続いて、画像パターンが類似したマッピング画像を集めるために、マッピング画像の相関性の評価を行う(ステップS13)。例えば各マッピング画像同士のパターンマッチング度を調べ、そのマッチング度により相関性を評価することができる。また、それ以外にも画像認識等で使用されている様々な手法を用いて類似しているか否かを判別することができる。
そうして相関性の高い(つまり類似している)マッピング画像が同じグループに入るように、全てのマッピング画像をグループ分けする(ステップS14)。図6の例では、質量ウインドウW1と質量ウインドウW4に対するマッピング画像が類似しており、これが同一のグループAに分類され、質量ウインドウW3と質量ウインドウW5に対するマッピング画像が類似しており、これが同一のグループCに分類されている。もちろん、1枚のマッピング画像しか属さないグループ(図6の例ではグループB)も存在し得る。マッピング画像は質量ウインドウに対応しているから、上記グループ分けは質量ウインドウをグループ分けしているのと同義である。
上記のようなグループ分けを行った結果、同一のグループに属する質量ウインドウに含まれるピークは、同一種類のタンパク質に由来するペプチドのピークであると推測できる。そこで、グループ毎に、そのグループに属する質量ウインドウに含まれるピークを収集し、これらを統合して1つの質量スペクトルを作成する(ステップS15)。従って、グループの数だけ質量スペクトルが作成されることになる。
上記一連の処理は、各微小領域に対する質量スペクトル上では混在していた複数種類のタンパク質由来のピークを、二次元的な分布情報を利用してタンパク質毎のピークに分離する処理である。従って、ステップS15で作成される質量スペクトルは1種類のタンパク質に由来するペプチドのピークから成ると考えることができる。そこで、各質量スペクトルに現れるピークの情報(質量及びピーク強度)を用い、PMF法によるデータベース検索を行うことでタンパク質を同定する(ステップS16、S17)。
なお、グループ毎の質量スペクトルを作成した後にこれを利用してタンパク質を同定する手法としては既存の様々な手法を用いることができる。例えば、質量スペクトル中で同位体ピーク群を見つけ、同位体ピーク群に属する複数本のピークの中でモノアイソトピックピークを見い出してモノアイソトピックイオンの質量をデータベース検索に供したり、或いは同位体ピーク群に属する複数本のピークの質量の平均質量を求め、これをデータベース検索に供してもよい。
また、MS/MS分析が可能な質量分析装置を使用する場合には、同位体ピーク群(場合によってはその一部)をプリカーサイオンに設定してMS/MS分析を実行し、その結果得られる質量スペクトル(MS/MSスペクトル)に現れるピークの質量を用いてアミノ酸配列を推定し、さらにタンパク質を同定するようにしてもよい。
次に、上記のような各微小領域毎の質量スペクトルデータを対象とする第2実施例による質量分析データ解析方法を説明する。図7はこの質量分析データ解析方法の処理手順を示すフローチャート、図8は分析対象の試料の一例の観察像を示す図、図9、図10及び図11はその解析処理の動作説明のための模式図である。
ここでは図8に示すように、正常組織Pの中に癌などの病理組織Qが存在する試料を分析する場合について説明する。なお、一般に、正常組織Pと病理組織Qとは顕微観察や撮像による目視観察でおおよそ識別することができるから、所定の二次元範囲に対して質量分析を実行したときにいずれのピクセルが病理組織Qに対応するのかはおおよそ判別することが可能である。
図8に示したような試料に酵素消化を行うことでタンパク質をペプチド断片化し、これを測定対象の試料Sとして上述のような質量分析装置により質量スペクトルデータを取得する。それにより、各ピクセルにおいて図9に示すような質量スペクトルが得られるものとする。このようにして得られた質量スペクトルの中で複数種類のタンパク質由来の同位体ピークが混在していると推定される重畳同位体ピーク群を抽出する(ステップS20)。いま一例として図9ではアドレス(1,1)のピクセルの質量スペクトルの中でピークUが、6本のピークを持つ重畳同位体ピーク群であるとする。
次に、この重畳同位体ピーク群の質量に相当する物質(ペプチド)の同位体ピーク群に属する複数本のピークの理論的なピーク強度比を算出する(ステップS22)。いまここでは、ピーク本数は3本でピーク強度比が100:70:40であるとする。このピーク強度比を参考に、重畳同位体ピーク群に属する6本のピークを2つに分割することを試みるが、図10(a)に示すように、前半3本のピークと後半3本のピークとの2つに分割してそれぞれ同位体ピーク群を構成すると考える場合(2価イオンに相当)と、図11(a)に示すように1本おきの3本のピークを取り出すことで2つに分割してそれぞれ同位体ピーク群を構成すると考える場合(1価イオンに相当)と、の2つの組み合わせが候補として想定される。そこで、図10(a)、図11(a)に示すように、それぞれの候補において重畳同位体ピーク群を2つの同位体ピーク群に分割するための質量ウインドウW1、W2又はW1’、W2’を設定する(ステップS22)。
次に、同位体ピーク群分割のための上述のような2つの組み合わせの候補のそれぞれについて、各ピクセル毎に1つの質量ウインドウW1、W2(又はW1’、W2’)内に含まれるイオン強度を積算する(ステップS23)。例えば図10(a)のように質量ウインドウW1、W2が設定された場合には、各ピクセルにおいて103.5〜105.5の質量範囲に存在する1乃至複数本のピークのイオン強度を積算し質量ウインドウW1に対する強度積算値とし、各ピクセルにおいて105.5〜107.5の質量範囲に存在する1乃至複数本のピークのイオン強度を積算し質量ウインドウW2に対する強度積算値とする。
所定の二次元範囲に含まれる全てのピクセルにおいて質量ウインドウW1、W2(又はW1’、W2’)毎の強度積算値が求まったならば、全ピクセルの同一質量ウインドウに対する強度積算値を集め、この強度積算値によりマッピング画像を作成する(ステップS24)。例えば全ピクセルの質量ウインドウW1に対する強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図10(b)に示すようなマッピング画像が得られる。また、質量ウインドウW2についても同様に、強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図10(c)に示すようなマッピング画像が得られる。一方、全ピクセルの質量ウインドウW1’に対する強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図11(b)に示すようなマッピング画像が得られる。また、質量ウインドウW2’についても同様に、強度積算値を集めてマッピング画像を作成することで、図11(c)に示すようなマッピング画像が得られる。
次に上述のように作成されたマッピング画像を評価する(ステップS25)。ここでは、観察像で判別できる正常組織Pと病理組織Qとに対応するようにマッピング画像が得られるか否かで以てマッピング画像を評価する。いま、図10(b)、(c)の場合にはいずれも正常組織Pに対応するマッピング画像であって病理組織Qに対応するマッピング画像が得られていないのに対し、図11(b)、(c)の場合には正常組織Pと病理組織Qに対応するマッピング画像が得られている。従って、図11(a)に示したようなピークの選択方法により重畳同位体ピーク群を2つの同位体ピーク群に分割するのが適切であると判断する。これにより、同位体ピーク群が確定し(ステップS26)、一方の同位体ピーク群は正常組織Pに対応し、他方の同位体ピーク群は病理組織Qに対応しているとすることができる。
そこで、同位体ピーク群の中でモノアイソトピックピークを見い出し(ステップS27)、そのモノアイソトピックピークの質量からタンパク質を同定する(ステップS28)。例えば図11の例では、病理組織Qに特徴的に現れる同位体ピーク群のモノアイソトピックピークのm/zは104(価数+1)であるから、この情報を例えばデータベース検索に供することにより、病理組織Qのタンパク質を同定する。
また、MS/MS分析が可能な質量分析装置を使用する場合には、上記のようにして病理組織に対応する同位体ピーク群が求まったならば、この同位体ピーク群(場合によってはその一部)をプリカーサイオンに設定してMS/MS分析を実行し、その結果得られる質量スペクトル(MS/MSスペクトル)に現れるピークの質量を用いてアミノ酸配列を推定し、さらにタンパク質を同定するようにしてもよい。
上記のように物質の同定を行った後に、さらに二次元範囲全体に亘りこの物質由来のイオン総量を求めることで、該物質の定量を行うこともできる。
また、上述のようなタンパク質等の物質の同定を行うための質量スペクトルデータの解析処理は、実際には汎用のコンピュータ上で専用のソフトウエア(プログラム)を動作させることにより実現することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
上記第1発明に係る質量分析データ解析方法の一態様である第2発明は、試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
a)全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査ステップと、
b)前記二次元分布の類似性に基づいて前記ピーク又はピーク集合を1乃至複数のグループに区分するグループ分けステップと、
c)前記グループ毎に、そのグループに分類されたピーク又はピーク集合から成る質量スペクトルを作成するスペクトル作成ステップと、
を含み、前記スペクトル作成ステップにより作成された質量スペクトルが同一物質由来のものであるとみなして同定処理を行うことを特徴としている。

Claims (7)

  1. 試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
    全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についての二次元分布を利用して、同一種類の物質に由来するピーク又はピーク集合と異なる種類の物質に由来するピーク又はピーク集合とを判別する判別ステップを含むことを特徴とする質量分析データ解析方法。
  2. 試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
    a)全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査ステップと、
    b)前記二次元分布の類似性に基づいて前記ピーク又はピーク集合を1乃至複数のグループに区分するグループ分けステップと、
    c)前記グループ毎に、そのグループに分類されたピーク又はピーク集合から成る質量スペクトルを作成するスペクトル作成ステップと、
    を含み、前記スペクトル作成手段により作成された質量スペクトルが同一物質由来のものであるとみなして同定処理を行うことを特徴とする質量分析データ解析方法。
  3. 前記分布調査ステップでは、同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についての二次元分布を表すマッピング画像を作成し、前記グループ分けステップでは、マッピング画像の類似性を判断してグループ分けを実行することを特徴とする請求項2に記載の質量分析データ解析方法。
  4. 試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析装置であって、
    a)全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査手段と、
    b)前記二次元分布の類似性に基づいて前記ピーク又はピーク集合を1乃至複数のグループに区分するグループ分け手段と、
    c)前記グループ毎に、そのグループに分類されたピーク又はピーク集合から成る質量スペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    d)前記スペクトル作成手段により作成された質量スペクトルが同一物質由来のものであるとみなして同定処理を行う同定手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析データ解析装置。
  5. 前記分布調査手段は、同一質量を有するピーク又は同一質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についての二次元分布を表すマッピング画像を作成し、前記グループ分け手段は、マッピング画像の類似性を判断してグループ分けを実行することを特徴とする請求項4に記載の質量分析データ解析装置。
  6. 試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法であって、
    a)1つの微小領域に対する質量スペクトル上で複数種類の物質由来の同位体ピーク群が重なった重畳同位体ピーク群を抽出する同位体ピーク群抽出ステップと、
    b)前記重畳同位体ピーク群を構成する複数本のピークの中の特定のピークの質量から推定される理論的なピーク強度比を用いて、前記重畳同位体ピーク群をそれぞれ一種類の物質に由来する同位体ピーク群に分離するピークの組み合わせの候補を見い出す分離候補算出ステップと、
    c)前記ピークの組み合わせの候補のそれぞれについて同位体ピーク群に属するピークを含む質量範囲を設定し、全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている前記質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査ステップと、
    d)前記二次元分布に基づいて前記ピークの組み合わせの候補を選択することで重畳同位体ピーク群をそれぞれの同位体ピーク群に分離する同位体ピーク群分離ステップと、
    を含むことを特徴とする質量分析データ解析方法。
  7. 試料上の所定の二次元範囲内に設定された複数の微小領域毎の質量分析を行うことで収集される質量スペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析装置であって、
    a)1つの微小領域に対する質量スペクトル上で複数種類の物質由来の同位体ピーク群が重なった重畳同位体ピーク群を抽出する同位体ピーク群抽出手段と、
    b)前記重畳同位体ピーク群を構成する複数本のピークの中の特定のピークの質量から推定される理論的なピーク強度比を用いて、前記重畳同位体ピーク群をそれぞれ一種類の物質に由来する同位体ピーク群に分離するピークの組み合わせの候補を見い出す分離候補算出手段と、
    c)前記ピークの組み合わせの候補のそれぞれについて同位体ピーク群に属するピークを含む質量範囲を設定し、全て又は一部の複数の微小領域に対する質量スペクトルに現れている前記質量範囲に含まれる1乃至複数のピークをまとめたピーク集合についてそれぞれ二次元分布を調べる分布調査手段と、
    d)前記二次元分布に基づいて前記ピークの組み合わせの候補を選択することで重畳同位体ピーク群をそれぞれの同位体ピーク群に分離する同位体ピーク群分離手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析データ解析装置。
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