JPWO2008120745A1 - 重合性組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、シクロオレフィンモノマーと固体粉体とを含有する重合性組成物において、固体粉体の分散性を向上し、線膨張係数が低く、強度の高い樹脂成形体を与えうる重合性組成物を提供することを目的としている。本発明に係る重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、および表面処理された固体粉体を含み、前記表面処理が、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により表面処理する第1表面処理工程、およびシラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程を含むものであることを特徴としている。
Description
本発明は表面処理された固体粉体を含有する重合性組成物に関する。特に、該重合性組成物を重合して得られる樹脂成形体において、固体粉体の分散性が高く、線膨張係数が低く、強度の高い樹脂成形体を与えうる重合性組成物、これを塊状開環重合してなる樹脂成形体、及びこれを架橋してなる架橋樹脂成形体に関する。
最近の半導体回路の微細化および高多層化、スルーバイアホールやブラインドバイアホール等の小径化、ならびに小型チップ部品の表面実装などによる回路基板の高密度化に伴い、電子機器の小型軽量化、高性能化、および多機能化が進んでいる。こうした高密度化された回路基板の一つである多層回路基板は、導電体回路と電気絶縁層とが交互に積み上げられた積層体である。導電体回路(配線層)上に電気絶縁層を積み上げる方法としては、表面に導電体回路を有する基板(以下、「基板」ということがある)に、電気絶縁性樹脂のフィルム状又はシート状成形物を重ね、加熱及び加圧することによって積層する方法が一般的である。
しかしながら、電子部品の高密度化が進むにつれて、電気信号の遅延などによって電気的性能が維持できない状況にまで高速化が進展してきているため、電気信号の劣化防止が、高速伝送化のための課題となっている。電気信号の劣化は、導体からの電気信号の損失および誘電体からの電気信号の損失の和となる。例えば多層回路基板においては、特に電気絶縁層を構成する誘電体からの電気信号の損失は、電気信号の周波数の増大に伴い、顕著に増加し、GHz帯の周波数においては、電気信号が劣化する主要因となっている。そのため、多層回路基板などの電子デバイスの電気絶縁層の材料として、一般に使用されているエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等では、比誘電率、誘電正接の誘電特性が不十分であり、電気信号の高速伝送化に対応することが困難となる場合がある。
そこで、誘電特性に優れ、電子機器において、半導体素子やその他の実装部品を実装するための配線板用の材料としてシクロオレフィン樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、シクロオレフィン樹脂は線膨張係数が大きく、小型高性能化に伴う狭ピッチ化に対して寸法安定性の観点から問題が残る。このような問題を改善するために、シリカ等の固体粉体を充填することで線膨張係数をおさえることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、シクロオレフィン樹脂は、疎水性であり、表面水酸基を有するシリカ等の分散性は悪く、また親水性表面への接着性に乏しいためシリカ等の固体粉体とシクロオレフィン樹脂との間で、十分な界面密着性が得られない。
このような課題を解決するため、特許文献3には、シクロオレフィンモノマーおよび重合触媒に、固体粉体を配合してなる重合性組成物が開示されている。そして、特許文献3には分散剤の添加により固体粉体の凝集や沈降を抑制する旨が開示され、特に分散剤として、シランカップリング剤等が挙げられている。
特開2002−232138号公報
国際公開第94/20575号パンフレット
特開2002−327106号公報
しかし、上記のような固体粉体のシクロオレフィンモノマーに対する分散性はなお不十分であった。たとえば多量の固体粉体を配合しようとすると、重合性組成物の粘度が急上昇し、固体粉体の均一分散が困難であった。また、重合性組成物の重合により生成するシクロオレフィン樹脂と固体粉体との界面密着性はなお不十分であり、この結果、得られる樹脂成形体の強度も満足のいくものではなかった。
したがって、本発明は、シクロオレフィンモノマーと固体粉体とを含有する重合性組成物において、固体粉体の分散性を向上し、線膨張係数が低く、強度の高い樹脂成形体を与えうる重合性組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、シクロオレフィンモノマー中における固体粉体の分散性向上について鋭意検討を行ったところ、固体粉体に対し2段階の表面処理を施すことで、シクロオレフィンモノマー中における固体粉体の分散性が改善され、上記課題を解決しうることを見いだし本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題の解決する本発明は、以下の事項を要旨とする。
(1)シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、および表面処理された固体粉体を含む重合性組成物であって、
前記表面処理が、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により表面処理する第1表面処理工程、およびシラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程を含むものである重合性組成物。
前記表面処理が、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により表面処理する第1表面処理工程、およびシラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程を含むものである重合性組成物。
(2)前記第1表面処理剤が、下記式(I)で示されるアルコキシシランである(1)に記載の重合性組成物。
SiR1 m(OR2)nX4−(m+n)・・・(I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。mおよびnは1〜3の整数であり、かつm+nは2〜4の整数である。)
SiR1 m(OR2)nX4−(m+n)・・・(I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。mおよびnは1〜3の整数であり、かつm+nは2〜4の整数である。)
(3)前記式(I)におけるR1が、炭素−炭素二重結合を有する炭化水素基である(2)に記載の重合性組成物。
(4)前記第2表面処理剤が、下記式(II)で示される炭化水素基含有シラザンである(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性組成物。
(式中、R3、R4はそれぞれ独立に炭化水素基であり、R5〜R8はそれぞれ独立に水素または炭化水素基であり、kは0〜3の整数である。)
(5)さらに架橋剤を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の重合性組成物。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の重合性組成物を塊状開環重合してなる樹脂成形体。
(7)上記(5)に記載の重合性組成物を塊状開環重合してなる架橋性樹脂成形体。
(8)上記(7)に記載の架橋性樹脂成形体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
本発明によれば、固体粉体に特定の表面処理を施すことで、シクロオレフィンモノマー中における固体粉体の分散性が向上するため、固体粉体の充填率を増加させることができる。このため、得られる樹脂成形体の線膨張係数をいっそう低下することが可能になる。また、得られる樹脂成形体において、固体粉体が均一に分散し、しかもシクロオレフィン樹脂と固体粉体との密着性が向上するため、強度の高い樹脂成形体が得られる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、および表面処理された固体粉体を含有する。
(シクロオレフィンモノマー)
シクロオレフィンモノマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。シクロオレフィンモノマーを重合することでシクロオレフィン樹脂が得られる。
シクロオレフィンモノマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。シクロオレフィンモノマーを重合することでシクロオレフィン樹脂が得られる。
シクロオレフィンモノマーを構成する脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらを組み合わせた環などの構造が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーである。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上のシクロオレフィン類;などが挙げられる。
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上のシクロオレフィン類;などが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーのうち、極性基を有しないシクロオレフィンモノマーが、低誘電正接の成形体を得ることができるので好ましい。またテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンなどの芳香性の縮合環を有するものを用いると重合性組成物の粘度を下げることができる。
これらのシクロオレフィンモノマーは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組み合わせることで、シクロオレフィン樹脂の物性を制御できる。
(メタセシス重合触媒)
メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであれば特に限定されない。かかるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、長周期型周期律表第5周期以降の金属であって、5族、6族及び8族の原子が挙げられる。それぞれの族における原子は特に限定されず、例えば、5族の原子としてはタンタルが、6族の原子としてはモリブデンやタングステンが、8族の原子としてはルテニウムやオスミウムが挙げられる。
メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであれば特に限定されない。かかるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、長周期型周期律表第5周期以降の金属であって、5族、6族及び8族の原子が挙げられる。それぞれの族における原子は特に限定されず、例えば、5族の原子としてはタンタルが、6族の原子としてはモリブデンやタングステンが、8族の原子としてはルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期律表第8族のルテニウムやオスミウムの錯体が好ましく、次の理由からルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性に優れるため重合性組成物の開環重合転化率を高くでき、本発明の成形体の生産性に優れる。また、得られる樹脂成形体に臭気(未反応のシクロオレフィンモノマーに由来する)が少ない。更に、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定で失活しにくい特徴を有する。
ルテニウムカルベン錯体は、例えば、Organic Letters,第1巻,953頁,1999年、Tetrahedron Letters,第40巻,2247頁,1999年などに記載された方法によって製造することができる。
ルテニウムカルベン錯体の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの配位子としてヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの配位子として2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの配位子として2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらルテニウムカルベン錯体の中でも特に、特開2005−104922号公報で例示される4位および5位がハロゲン原子で置換された置換イミダゾリン−2−イリデンを配位子として有するルテニウムカルベン錯体化合物が好ましい。
これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合触媒の量は、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は活性剤と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御したり、重合転化率を向上させる目的で添加される。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤を使用する場合の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもシクロオレフィンモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
(固体粉体)
本発明に係る重合性組成物は、上記シクロオレフィンモノマーおよびメタセシス重合触媒に加えて、表面処理された固体粉体を含んでなる。
本発明に係る重合性組成物は、上記シクロオレフィンモノマーおよびメタセシス重合触媒に加えて、表面処理された固体粉体を含んでなる。
本発明で使用される固体粉体は、シクロオレフィンモノマーおよび必要に応じ使用される溶剤に不溶の粒子であれば、有機、無機を問わず種々の粉体が特に制限されることなく使用され、最終的に得られる樹脂成形体の用途に応じて適宜に選択される。また、粉体の形状も特に限定はされず、球状、粒状、不定形状、樹枝状、針状、棒状、扁平状等のいかなる形状であってもよい。
また、固体粉体の平均粒径も特に限定はされないが、レーザー散乱回折式粒度分布計で測定した全粒子の50体積%が含まれるメディアン径で通常0.001〜70μm、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜25μm、最も好ましくは、0.1〜10μmである。この範囲より粒径が小さくても、大きくとも、成形が困難になり取扱いが難しくなる恐れがある。また一般に、重合体中に固体粉体を含むとき、重合体の線膨張係数を下げることができるが、粒径が前記範囲の中でもより小さい固体粉体を含むとき、重合体の線膨張係数を更に下げることができ好ましい。
固体粉体としては、無機系と有機系に分類すると以下のものが挙げられる。
まず、無機系としては、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化アンチモン、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩;窒化アルミニウム;炭化ケイ素;ウィスカー;等が挙げられる。
また、有機系では、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等が挙げられる。
また、繊維状の固体粉体としては、チョップドストランド、ミルドファイバー等の短繊維状が挙げられる。繊維の種類としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の無機繊維あるいはアラミド繊維、ナイロン繊維、ジュート繊維、ケナフ繊維、竹繊維、ポリエチレン繊維、延伸ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、延伸ポリプロピレン繊維等の有機繊維が挙げられる。
さらに、これら固体粉体は、磁性粉体、誘電体粉体、導電性粉体等の電磁気的機能を有する粉体であってもよい。これら固体粉体は最終的に得られる樹脂成形体の用途に応じて適宜に選択される。特に、本発明においては、後述する表面処理剤による表面処理効果が優れることから、無機系の固体粉体が好ましく、無機酸化物がより好ましく、粒径が0.01〜10μmのシリカが特に好ましい。
また、固体粉体は、固体状の難燃剤であってもよい。難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
これら固体粉体は一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において使用する固体粉体は、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により表面処理する第1表面処理工程および、シラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程により表面処理されてなる。
第1表面処理剤としては、上記の中でもアルコキシシランを用いることが好ましい。アルコキシシランは、ケイ素原子に少なくとも一つのアルコキシル基が結合したシラン化合物であれば限定されないが、下記式(I)で示されるアルコキシシランが好ましい。
SiR1 m(OR2)nX4−(m+n)・・・(I)
式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
炭化水素基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜10である。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基が挙げられる。シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはアリール基を置換基として有していてもよい。中でも、R1(mが2または3である場合は、その少なくとも一つ)は炭素−炭素二重結合を有する基であることが好ましい。ここで、「炭素−炭素二重結合を有する基」とは、アルケニル基、またはアルケニル基を置換基として有するシクロアルキル基もしくはアリール基である。アルケニル基を含む基は、その炭素−炭素二重結合と、他の炭素−炭素二重結合または芳香環とで形成される共役系を有していることがさらに好ましく、炭素−炭素二重結合と芳香環とで形成される共役系を有していることが、ラジカル反応性が高いので最も好ましい。このようなアルコキシシランは、前記した固体粉体上に結合するので、メタセシス重合時または架橋反応時に、シクロオレフィン樹脂と固体粉体との間に化学結合が生じ、固体粉体とシクロオレフィン樹脂との界面密着性がさらに向上する。
また、加水分解性基Xとしては、加水分解により水酸基を形成し得る基であれば特に限定されないが、例えば、塩素原子や臭素原子などのハロゲン原子が挙げられる。上記(I)式において、mおよびnは1〜3の整数であり、かつm+nは2〜4の整数である。
式(I)で表されるアルコキシシランの具体例としては、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランが挙げられる。中でも、R1が炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシランである、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシランがより好ましい。
その他に使用できるアルコキシシランの具体的な例としては、β−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、δ−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N(ビニルベンジル)−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
また、チタネート化合物としては、公知のチタネート系カップリング剤を用いることができる。具体的な例を挙げると、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリルジイソプロピルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
また、アルミネート化合物としては、公知のアルミネート系カップリング剤を用いることができる。具体的な例を挙げると、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
本発明では、まず固体粉体表面を、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により処理する第1表面処理工程を有する。表面処理は、第1表面処理剤を固体粉体表面に接触させて行われる。第1表面処理工程の処理条件は特に限定はされず、第1表面処理剤が固体粉体表面に接触しうる条件を選択すればよい。具体的には、第1表面処理剤を直接固体粉体表面と接触させる乾式法、および第1表面処理剤を溶媒に溶解してなる溶液に固体粉体を添加し、混合させる湿式法が挙げられるが、工程が簡単で生産性に優れるので、乾式法が好ましい。
第1表面処理工程における第1表面処理剤の使用量は、表面処理される前の固体粉体100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。また、処理温度は室温程度でよく、表面処理剤の変質を防ぐため不活性雰囲気で、第1表面処理剤と固体粉体との混合物を攪拌すればよい。処理時間は特に限定はされず、10分〜60分程度であればよい。
本発明では、次いで、第1表面処理工程を経た固体粉体に、さらにシラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程を有する。
第2表面処理剤は、無置換のシラザンであってもよいが、特に下記式(II)で示される炭化水素基含有シラザンであることが好ましい。
式中、R3、R4はそれぞれ独立に炭化水素基であり、複数のR3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R5〜R8はそれぞれ独立に水素または炭化水素基である。また、kは0〜3の整数である。
ここで、炭化水素基としては、上記(I)式で説明したものと同様の炭化水素基が挙げられる。
このようなシラザン類のさらに具体的な例としては、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、テトラメチルジフェニルジシラザンなどが挙げられ、特に好ましくはヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。
第2表面処理工程では、上記第1表面処理工程後の固体粉体を、さらに前記第2表面処理剤により処理する。表面処理は、第2表面処理剤を固体粉体表面に接触させて行われる。接触させる方法は上記第1表面処理工程と同様であり、乾式法が好ましい。第2表面処理工程における第2表面処理剤の使用量は、表面処理される前の固体粉体100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。また、処理温度は40〜200℃程度が好ましく、表面処理剤の変質を防ぐため不活性雰囲気で、第1表面処理剤と固体粉体との混合物を攪拌すればよい。処理時間は特に限定はされず、10分〜60分程度であればよい。
次いで、表面処理された固体粉体を乾燥することが好ましい。乾燥の温度は特に限定されないが、40〜200℃が好ましい。乾燥時間も特に限定されないが、30分〜6時間が好ましい。乾燥に用いる装置も特に限定されず、公知のものをいずれも用いることができる。また、減圧下に乾燥を行ってもよい。乾燥を行うことにより、残留した未反応の第2表面処理剤により重合反応が阻害されることを防止できる。
表面処理された固体粉体の配合量は重合性組成物の全体積に対して、好ましくは0.1〜80体積%、より好ましくは1〜70体積%、特に好ましくは5〜65体積%である。また、固体粉体の配合量は重合性組成物の全重量に対して、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは15〜90重量%、特に好ましくは20〜85重量%である。
なお、ここで、重合性組成物の全体積および全重量とは、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒剤および固体粉体、ならびに後述する任意成分を含む場合には、これらの全成分からなる組成物の体積および重量を意味する。固体粉体の配合量が上記範囲より少ないと、固体粉体配合の効果を得られない恐れがあり、この範囲より多い場合は、成形性が悪くなる恐れがある。
本発明の重合性組成物には、各種の添加剤、例えば、連鎖移動剤、架橋剤、架橋助剤、重合反応遅延剤、ラジカル架橋遅延剤、分散剤、溶剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、充填材、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、予め後述するモノマー液又は触媒液に溶解又は分散させて用いることができる。
本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤を含むことが好ましい。連鎖移動剤を含むことにより、開環重合の際の発熱による架橋反応が進行することを防止でき、生成するシクロオレフィン樹脂の分子量を調整することができる。
重合性組成物が連鎖移動剤および後述する架橋剤を含む場合、得られる重合体は架橋性重合体となる。架橋性重合体の架橋は加熱により進行する。連鎖移動剤を含有する重合性組成物を開環重合した後の架橋性重合体は、開環重合が進行したときの最高温度(ピーク温度)より高い温度に加熱することで、架橋反応が進行し、優れた物性の架橋樹脂成形体を与えることができる。このため、架橋性重合体を金属箔などの他の基体材料と重ねた後、加熱すると、架橋体と他の基体材料との界面の密着度が著しく向上する。連鎖移動剤としては、通常、ビニル基を有する化合物を用いることができる。
連鎖移動剤としては、ビニル基以外に、架橋に寄与する基を有するものが好ましい。かかる架橋に寄与する基とは、具体的には、炭素−炭素二重結合を有する基であり、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等が挙げられる。特に、式:CH2=CH−Q−Yで表される構造を有する化合物が好ましい。式中、Qは二価の炭化水素基を表し、Yはビニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Qで表される二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、およびこれらが結合してなる基等が挙げられる。中でも、フェニレン基および炭素数4〜12のアルキレン基が好ましい。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋体や架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
かかる連鎖移動剤の好ましい具体例としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ヘキセニル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸デセニルなどのYがメタクリロイル基である化合物;アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イルなどのYがアクリロイル基である化合物;ジビニルベンゼンなどのYがビニル基である化合物;などが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルおよびジビニルベンゼンが特に好ましい。
上記の他に連鎖移動剤として用いることのできる化合物としては、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレートなどのアクリル酸エステル;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシランなどのシラン類;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
これら連鎖移動剤は一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。連鎖移動剤を使用する場合その使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。連鎖移動剤の使用量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後架橋可能な架橋性樹脂を効率よく得ることができる。
本発明の重合性組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、シクロオレフィンモノマーの重合で得られるシクロオレフィン樹脂の官能基と架橋反応して架橋構造を形成させる。官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、活性ハロゲン原子、エポキシ基などがあげられる。架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で、あるは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物が好ましく、ラジカル発生剤が特に好ましい。
ラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それによりシクロオレフィン樹脂を架橋する作用を有する。
ラジカル発生剤が架橋反応を起こす部位は、主にシクロオレフィン樹脂の炭素−炭素二重結合であるが、飽和結合部分でも架橋することがある。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド;などが挙げられる。中でも、特に開環重合におけるメタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
これらは一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。架橋剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤の使用量が少なすぎると、架橋が不十分になって高い架橋密度の架橋樹脂成形体が得られないおそれがある。逆に、架橋剤が多すぎると生産性に劣り、また架橋効果は飽和して不十分な効果しか得られない場合もある。
架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合は、ラジカル架橋遅延剤を用いることができる。ラジカル架橋遅延剤は、メタセシス重合による重合熱および外部から加えられる熱によって架橋剤であるラジカル発生剤が分解して、メタセシス重合初期にラジカルが発生するのを抑制させる目的で使用され、重合体の流動性及び保存安定性を向上させる。
ラジカル架橋遅延剤としては、例えば、ヒドロキシアニソール類、ジアルコキシフェノール類、カテコール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類が挙げられ、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのヒドロキシアニソール類が特に好ましい。
これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。ラジカル架橋遅延剤の含有量は、(ラジカル発生剤:ラジカル架橋遅延剤)とのモル比で、通常1:0.001〜1:1、好ましくは1:0.01〜1:1である。
本発明の重合性組成物には、重合反応遅延剤が配合されていてもよい。重合反応遅延剤を添加することで、メタセシス重合触媒の重合活性を制御し、重合性組成物のゲル化時間(ポットライフ)を伸ばし、加工性を向上させることができる。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホスフィン類;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等が挙げられる。中でも、本発明の重合性組成物の可使時間を効率よく制御でき、重合反応の阻害が少ないので、ホスフィン類が好ましい。
さらに、ジエン構造またはトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーは、シクロオレフィンモノマーであると同時に重合反応遅延剤としても働く。このようなシクロオレフィンモノマーとしては、1,5−シクロオクタジエンやビニルノルボルネンなどが挙げられる。
これら重合反応遅延剤の使用量は、使用する化合物や目的に応じて任意に設定されるが、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:重合反応遅延剤)のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
さらに、本発明の重合性組成物は、固体粉体の分散性を向上させるため、分散剤を含有していてもよい。分散剤は、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ベタイン系分散剤、非イオン性分散剤などが挙げられる。これらは単独でも二種類以上を併用しても良い。これらの中でも特に非イオン性分散剤が好ましく使用される。
架橋助剤は、樹脂成形体を架橋する際の架橋反応速度を向上させる目的で使用される。架橋助剤は、メタセシス重合後の成形体のラジカル架橋において好適に使用できる。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋助剤の量は特に制限されないがシクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
溶剤は、メタセシス重合触媒やラジカル発生剤を必要に応じて溶解するために少量使用される。また、溶剤は、重合性組成物を溶液重合する場合に、媒体として使用することができる。いずれの場合も溶剤は触媒に不活性でなければならない。かかる溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、メタセシス重合触媒の溶解性に優れ工業的に汎用されている芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。また、メタセシス重合触媒の活性を低下させないものであれば、液状の酸化防止剤、液状の可塑剤、液状の改質剤を溶剤として用いてもよい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
本発明の重合性組成物の粘度は、通常10,000mPa・s以下、好ましくは5,000mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下となるように設定することが特に望ましい。この範囲より粘度が高いと成形が困難になることがある。重合性組成物の粘度は、たとえば固体粉体の配合量が増加すると、増大する傾向にあり、また表面処理剤の使用量や分散剤の配合量が増加すると、減少する傾向にある。
なお、重合性組成物の粘度は、後述するように、シクロオレフィンモノマー液にメタセシス重合触媒を添加した直後、E型粘度計を用いて20rpmで測定される値である。
重合性組成物は、その調製する方法によって特に制約されない。重合性組成物は、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーに固体粉体および、連鎖移動剤、架橋剤などの添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる重合を行う直前に行うことが好ましい。また、固体粉体は、モノマー液に添加して用いることが好ましい。
本発明では、メタセシス重合の触媒液を添加するときのモノマー液の温度を通常−10℃〜25℃、好ましくは−5℃〜20℃、より好ましくは−5〜15℃、特に好ましくは−5℃〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いとメタセシス重合触媒を入れた瞬間に重合が急激に進行して、重合性組成物の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。
さらに触媒液を添加してからの重合を開始するまでの重合性組成物の温度を好ましくは、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜20℃、特に好ましくは−5〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合が急激に進行して、重合性組成物の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。この温度よりも低いとモノマー液が凍結したり、経済性がなる悪く場合がある。また、触媒液の添加は、窒素など不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
触媒液添加前のモノマー液および触媒液添加後の重合性組成物の冷却方法は特に限定されず通常用いられる方法で行われる。例えば、冷水、氷浴、氷塩浴、メタノール−ドライアイス浴などで冷却することができる。
モノマー液の調製に際して、シクロオレフィンモノマーに固体粉体およびその他の添加剤を入れる順序は特に限定されない。また、固体粉体を添加する前に分散剤を添加することで固体粉体の分散性が向上することがあるため、分散剤の添加後に固体粉体を添加することが特に好ましい。
モノマー液の調製に用いる混合装置などは特に限定されず、モノマー液の粘度などによって適時選択すればよい。例えばミックスマラー、ボールミル、ニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールミル、バンバリミキサー、リボンミキサー、ホモジナイザー、二軸押し出し機、らいかい機などホイール型、ボール型、ブレード型、ロール型の装置などが挙げられる。
本発明の成形体は、上記重合性組成物を、実質的に溶剤を用いない塊状開環重合して得られる。
本発明の重合性組成物を塊状開環重合して成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状開環重合する方法、(b)重合性組成物を成形型の空間部に注入し、次いで塊状開環重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状開環重合する方法などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は粘度が低いので、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、(c)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。
(a)の方法によれば、フィルム状、板状等の樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を必要に応じて乾燥させ、次いで塊状開環重合する。塊状開環重合するために重合性組成物を加熱する。加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された重合性組成物を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
(b)の方法によって得られる樹脂成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状などが挙げられる。
成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;などを用いることができる。
成形型の空間部(キャビティー)に本発明の重合性組成物を注入する圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された重合性組成物を加熱することによって塊状開環重合させることができる。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチームなどの加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法によって得られる樹脂成形体としては、例えば、塊状開環重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグなどが挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維、などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に本発明の重合性組成物を含浸させるには、例えば、該重合性組成物の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該重合性組成物を含浸させた後に、所定温度に加熱して、含浸物を塊状開環重合させることによりシクロオレフィン樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、重合性組成物を含浸させてから前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが用いられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を塊状開環重合させるための加熱温度((b)の方法においては金型温度)は、通常30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常1秒〜20分、好ましくは10秒〜5分以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより塊状開環重合反応が開始する。塊状開環重合反応が開始すると、重合性組成物の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)でピーク温度に到達する。さらに塊状開環重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。ピーク温度を、この重合反応により得られる成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。また、連鎖移動剤を配合した重合性組成物から得られる成形体の場合、重合転化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、重合転化率は、例えば、成形体を溶剤に溶解して未反応モノマーを抽出し、得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより定量分析することで求めることができる。塊状開環重合がほぼ完全に進行している成形体は、未反応モノマーが少なく、臭気の発生が少ない。
重合性組成物が架橋剤を含有する場合には、塊状開環重合反応時のピ−ク温度が高くなりすぎると、塊状開環重合反応のみならず、一挙に架橋反応も進行してしまうおそれがある。したがって、塊状開環重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、開環重合における重合性組成物のピーク温度を、好ましくは200℃未満に制御する必要がある。ただし、生産性等の観点から、塊状開環重合反応と架橋反応とを同時に進行させてもよい。
ラジカル発生剤を含有する重合性組成物を用いる場合、塊状開環重合でのピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
本発明の架橋樹脂成形体は、架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性樹脂成形体を加熱して架橋させることにより得ることができる。架橋性樹脂成形体を加熱して架橋させるときの温度は、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。この温度は、前記塊状開環重合でのピーク温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。また、加熱して架橋させる時間は特に制約されないが、通常、1分から10時間である。
架橋性樹脂成形体を加熱して架橋させる方法は特に制約されない。架橋性樹脂成形体がフィルム状である場合は、必要に応じてそれを複数枚積層し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
なお、上述したように、生産性等の観点から、塊状開環重合反応と架橋反応とを同時に進行させて、重合性組成物から直接架橋成形体を得ても良い。重合性組成物を加熱し、重合、架橋する方法は特に制約されない。たとえば、重合性組成物を型枠内に注入し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
上記成形体または架橋成形体は、積層体として用いても良い。積層体は、上記成形体または架橋成形体からなる構成層を有し、より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の成形体または架橋成形体で形成されている。このような積層体のさらに具体的な例としては、銅箔などの基体材料と、本発明の成形体または架橋成形体から形成される構成層を含む積層体が挙げられる。また、積層体は、多層積層基板のように、銅箔などの基体材料と、成形体または架橋成形体からなる樹脂層とが交互に積層されてなる複合材料であってもよい。ここで、成形体または架橋成形体からなる樹脂層が複数含まれている場合には、それぞれの樹脂層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
上記基体材料としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板製造用基板;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)性フィルムや導電性ポリマーフィルム等の樹脂フィルム;ノイズ抑制シート、電波吸収体などが挙げられる。また、基体材料の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよい。
積層体を得る方法に格別な制限はなく、本発明の成形体を構成層に含む積層体を得る場合には、たとえば本発明の重合性組成物を用いて得られた成形体を前記基体材料に重ね合わせて積層体を得てもよく、また成形体同士を重ね合わせて積層体を得てもよい。さらに重合性組成物を適当な基体材料あるいは成形体上に塗工し、該重合性組成物を重合して積層体を得ることもできる。
また、本発明の架橋樹脂成形体からなる構成層を含む積層体を得る場合には、例えば(1)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性樹脂成形体を、基体材料に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)重合性組成物を基体材料上に積層し、塊状開環重合及び架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性樹脂成形体を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、という方法が挙げられる。
前記(1)の方法により積層体を得るには、例えば、架橋性樹脂成形体と、基体材料としての金属箔とを重ね合わせて熱プレスなどによって加熱することにより架橋させて、金属箔と強固に密着した金属箔張積層板を得ることができる。得られる金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、0.5kN/m以上、好ましくは0.8kN/m以上、より好ましくは1.2kN/m以上である。
前記(2)の方法により積層体を得るためには、重合性組成物の塊状開環重合温度を高く設定して架橋反応も起きる温度で加熱する。しかし、前記(1)の方法のように、一旦架橋性樹脂成形体の段階を経る方が界面の引き剥がし強さが大きくなる。
本発明の樹脂成形体、架橋樹脂成形体は、塊状開環重合により製造可能であり、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
本発明の樹脂成形体、架橋樹脂成形体は、低誘電正接などのシクロオレフィン樹脂の本来有する特性をそのまま備えている上、従来のシクロオレフィン樹脂からなる成形体に比べて線膨張率が低く、また成形体の強度が高く、金属箔等の他の基材への密着性も高い。
このような特徴を有する本発明に係る樹脂成形体、架橋樹脂成形体は、プリプレグ;樹脂付き銅箔;プリント配線板、絶縁シート、層間絶縁膜、オーバーコート、アンテナ基板、電磁波吸収体、電磁波シールドなどの電子部品材料として好適である。
本発明の重合性組成物を用いれば、成形体等を製造する際に、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
(実施例)
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
(実施例1)
ガラス容器中に、固体粉体としてシリカ(アドマテックス社製、製品名SO−E2、平均粒径0.5μm)を100部入れ、第1表面処理剤としてp−スチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、製品名KBM−1403)を1部(固体粉体に対し1%)を入れて窒素を流しながら攪拌機(日本精機製作所社製 エクセルオートホモジナイザー)で15分間攪拌した。次いで、これを氷水で冷却しながら、第2表面処理剤としてジビニルテトラメチルジシラザンを1部(固体粉体に対し1%)を入れて1段階目と同様にして15分間攪拌した。得られた表面処理シリカをイナートオーブンに入れて、100℃で窒素を流しながら1時間乾燥させた。
ガラス容器中に、固体粉体としてシリカ(アドマテックス社製、製品名SO−E2、平均粒径0.5μm)を100部入れ、第1表面処理剤としてp−スチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、製品名KBM−1403)を1部(固体粉体に対し1%)を入れて窒素を流しながら攪拌機(日本精機製作所社製 エクセルオートホモジナイザー)で15分間攪拌した。次いで、これを氷水で冷却しながら、第2表面処理剤としてジビニルテトラメチルジシラザンを1部(固体粉体に対し1%)を入れて1段階目と同様にして15分間攪拌した。得られた表面処理シリカをイナートオーブンに入れて、100℃で窒素を流しながら1時間乾燥させた。
メタセシス重合触媒として、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.127部、トリフェニルホスフィン0.197部をフラスコに入れ、真空脱気と窒素封入を繰り返し、最後に窒素封入した。窒素を流しながらテトラヒドロフラン(和光純薬製)2.38部を入れて溶解し、メタセシス重合触媒のテトラヒドロフラン溶液(触媒液)を調製した。
シクロオレフィンモノマーとしてテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン80部および2−ノルボルネン20部、ならびに酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン0.28部をガラス容器に入れ、ここに上記表面処理シリカを100部投入して攪拌機で攪拌した。これを氷水で冷却し、さらに、連鎖移動剤としてメタクリル酸ウンデセニル(東京化成社製)1.7部と、有機過酸化物の架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(化薬アクゾ社製、製品名カヤブチルD)1.14部を投入してモノマー液を得た。このモノマー液に上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.26ml投入して攪拌し、重合性組成物を得た。
ここで、この重合性組成物の粘度をE型粘度計で測定した。
ここで、この重合性組成物の粘度をE型粘度計で測定した。
このようにして調製した重合性組成物を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、厚み75μm)の上に流延し、その上にガラスクロス(旭シュエーベル社製2112、厚み75μm)を敷いて、さらにその上に重合性組成物を流延した。その上からさらにPENフィルムをかぶせ、ローラーで重合性組成物をガラスクロス全体に含浸させた。重合性組成物がガラスクロス端部から滲出するのを確認し、十分な量の重合性組成物がガラスクロスに含浸されたことを確認した。次いで、これを135℃にセットしたホットプレートに1分間静置した後、重合性組成物を塊状重合させて上下のPENフィルムを剥離して厚さ約0.1mmのプリプレグを得た。
上記のようにして作製したプリプレグを100mm角の大きさに切り出し、これを6枚重ねにし、その両面を銅箔(TypeGTS、厚み35μm、シランカップリング剤表面処理品、古河サーキットフォイル社製)で挟み、熱プレスにて、3MPa、基板表面温度200℃、で15分間プレスし、厚さ約0.8mmの両面銅張積層板を作製した。得られた積層板を25mm×100mmのサイズに切り出し、表面の銅箔をアルカリ脱脂、ソフトエッチング、および10%硫酸処理した。この銅箔の処理面にドライフィルムレジスト(日立化成工業社製 RY−3215)をラミネートし、JIS C6481の引きはがし強さのパターンが反転して印刷されたフィルムフォトマスクをレジストの上に重ねて、フォトレジスト用露光装置(オーク製作所製 EXP−2805)にて露光した。次いで、1%炭酸ナトリウム水溶液にてレジストを現像し、塩化銅(II)水溶液にて銅箔のエッチングを行い、さらに5%水酸化ナトリウム水溶液にて残ったレジストを剥離してピール強度測定用サンプルを作製した。このようにして作製したサンプルの銅箔をJIS−C6481に従って、クロスヘッドの速度を50mm/分に設定した引っ張り試験機にて90°剥離試験を行い導体のピール強度を測定した。
(粘度の測定)
重合性組成物を室温でE型粘度計により回転数10rpmで測定して、以下の基準にて評価した。
A:粘度が、600mPa・sec未満
B:粘度が、600mPa・sec以上1,000mPa・sec未満
C:粘度が、1,000mPa・sec以上2,000mPa・sec未満
D:粘度が、2,000mPa・sec以上5,000mPa・sec未満
E:粘度が、5,000mPa・sec以上
重合性組成物を室温でE型粘度計により回転数10rpmで測定して、以下の基準にて評価した。
A:粘度が、600mPa・sec未満
B:粘度が、600mPa・sec以上1,000mPa・sec未満
C:粘度が、1,000mPa・sec以上2,000mPa・sec未満
D:粘度が、2,000mPa・sec以上5,000mPa・sec未満
E:粘度が、5,000mPa・sec以上
(線膨張係数の測定)
両面銅張積層板を40℃の塩化第二鉄溶液(サンハヤト社製)に浸漬し、表面の銅箔を取り除いた。次いで、これを5mm角に切り出し、試験片を得た。この試験片についてTMA装置(SIIナノテクノロジー社製)により50℃〜100℃までのZ方向(厚み方向)の線膨張係数(αz)測定を行い、以下の基準にて評価した。なお、TMAとは、試験片に圧縮、引張り、曲げなどの非振動的荷重を加えてその物質の変形を温度又は時間の関数として測定する方法である。
A:αz<50ppm/℃
B:50ppm/℃≦αz<60ppm/℃
C:60ppm/℃≦αz<70ppm/℃
D:70ppm/℃≦αz
両面銅張積層板を40℃の塩化第二鉄溶液(サンハヤト社製)に浸漬し、表面の銅箔を取り除いた。次いで、これを5mm角に切り出し、試験片を得た。この試験片についてTMA装置(SIIナノテクノロジー社製)により50℃〜100℃までのZ方向(厚み方向)の線膨張係数(αz)測定を行い、以下の基準にて評価した。なお、TMAとは、試験片に圧縮、引張り、曲げなどの非振動的荷重を加えてその物質の変形を温度又は時間の関数として測定する方法である。
A:αz<50ppm/℃
B:50ppm/℃≦αz<60ppm/℃
C:60ppm/℃≦αz<70ppm/℃
D:70ppm/℃≦αz
(実施例2)
第2表面処理剤として、ジビニルテトラメチルジシラザン1部に代えて、ヘキサメチルジシラザン1部を使用した以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
第2表面処理剤として、ジビニルテトラメチルジシラザン1部に代えて、ヘキサメチルジシラザン1部を使用した以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
第1表面処理剤として、p−スチリルトリメトキシシラン1部に代えて、ビニルトリメトキシシラン1部を使用した以外は実施例2と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
第1表面処理剤として、p−スチリルトリメトキシシラン1部に代えて、ビニルトリメトキシシラン1部を使用した以外は実施例2と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
表面処理シリカの乾燥を行わなかった以外は実施例3と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
表面処理シリカの乾燥を行わなかった以外は実施例3と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
第1表面処理剤として、p−スチリルトリメトキシシラン1部に代えて、ヘキシルトリメトキシシラン1部を使用した以外は実施例2と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
第1表面処理剤として、p−スチリルトリメトキシシラン1部に代えて、ヘキシルトリメトキシシラン1部を使用した以外は実施例2と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
重合性組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例5と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
重合性組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例5と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
固体粉体としてシリカ(電気化学工業社製、製品名UFP−80、平均粒径0.034μm)を100部を用いる以外は実施例1と同様にして表面処理シリカを得た。
固体粉体としてシリカ(電気化学工業社製、製品名UFP−80、平均粒径0.034μm)を100部を用いる以外は実施例1と同様にして表面処理シリカを得た。
また、上記表面処理シリカを20部用いる以外は実施例1と同様にして重合性組成物を得て、実験を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを使用しなかった以外は実施例3と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを使用しなかった以外は実施例3と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
第1表面処理剤としてのアルコキシシランを使用せず、第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを1部使用した以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
第1表面処理剤としてのアルコキシシランを使用せず、第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを1部使用した以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
表面処理剤として、ビニルトリメトキシシラン1部、ヘキサメチルジシラザン1部の混合物を使用し、表面処理工程を1回にした以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
表面処理剤として、ビニルトリメトキシシラン1部、ヘキサメチルジシラザン1部の混合物を使用し、表面処理工程を1回にした以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
第1表面処理剤としてのアルコキシシランを使用せず、第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを1部使用した以外は実施例4と同様の実験を行った。しかし、固体粉体をシクロオレフィンモノマー中に分散させて調整した重合性組成物の粘度が高いため、ガラスクロスへの含浸ができなかった。このため、良好なプリプレグの作製ができず、線膨張係数及びピール強度の測定ができなかった。結果を表2に示す。
第1表面処理剤としてのアルコキシシランを使用せず、第2表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザンを1部使用した以外は実施例4と同様の実験を行った。しかし、固体粉体をシクロオレフィンモノマー中に分散させて調整した重合性組成物の粘度が高いため、ガラスクロスへの含浸ができなかった。このため、良好なプリプレグの作製ができず、線膨張係数及びピール強度の測定ができなかった。結果を表2に示す。
表1の実施例と比較例からわかるように、特定の第1表面処理剤および第2表面処理剤で固体粉体(シリカ)表面を順次処理することで、シクロオレフィンモノマーに分散しても、粘度上昇が少ない固体粉体が得られた。また、かかる固体粉体とシクロオレフィンモノマーとからなる重合性組成物によれば、粘度上昇を抑制しつつ固体粉体の充填率を増加させることができる。このため、得られる樹脂成形体の線膨張係数をいっそう低下することが可能になる。また、得られる樹脂成形体において、シクロオレフィン樹脂と固体粉体との密着性が向上するため、強度の高い樹脂成形体が得られる。
また表2の実施例と比較例からもわかるように、粒径の非常に小さい固体粉体を使用すると、通常重合性組成物の粘度が高くなりすぎる(比較例4)、酷いときにはシクロオレフィンモノマーへの分散ができないため、ガラスクロスへの含浸ができずプリプレグが作製できないなどの加工面の問題が出てくる。しかし、特定の第1表面処理剤および第2表面処理剤で固体粉体表面を順次処理することで、粒径の非常に小さい固体粉体を使用したときにも重合性組成物の粘度が低く保ち、ガラスクロスへの含浸を可能とし、プリプレグの作製が可能となる(実施例7)。固体粉体の粒径を小さくすることで、実施例1〜6及び比較例1〜3よりも少ない充填量で、線膨張係数を同等近くにまで下げることができる。
本願特定の技術を応用し、更に発展させることにより、線膨張係数を更に下げることが示唆できた。
Claims (8)
- シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、および表面処理された固体粉体を含む重合性組成物であって、
前記表面処理が、アルコキシシラン、チタネート化合物およびアルミネート化合物からなる群から選択される第1表面処理剤により表面処理する第1表面処理工程、およびシラザン類から選択される第2表面処理剤により表面処理する第2表面処理工程を含むものである重合性組成物。 - 前記第1表面処理剤が、下記式(I)で示されるアルコキシシランである請求項1に記載の重合性組成物。
SiR1 m(OR2)nX4−(m+n)・・・(I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。mおよびnは1〜3の整数であり、かつm+nは2〜4の整数である。) - 前記式(I)におけるR1が、炭素−炭素二重結合を有する炭化水素基である請求項2に記載の重合性組成物。
- さらに架橋剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状開環重合してなる樹脂成形体。
- 請求項5に記載の重合性組成物を塊状開環重合してなる架橋性樹脂成形体。
- 請求項7に記載の架橋性樹脂成形体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
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