JPWO2006046512A1 - 水性塗料 - Google Patents
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Abstract
有害化学物質を吸着無害化するとともに、時間の経過とともに吸着無害化率を向上できる水性塗料を提供する。【課題】 少なくとも炭素とカルシウムと酸化チタンとの化学成分を含む微粒子を混合した混合物と、前記混合物の微粒子をバインドする水性エマルジョンとを含んでいる。前記混合物の微粒子は、有害化学物質の酸化反応を促進する触媒として機能するものである。前記触媒による酸化反応物は、前記微粒子の表面を覆っている前記水性エマルジョンを溶解する特性を有している。【選択図】 図23
Description
本発明は、有害化学物質を吸着・無害化する水性塗料に関する。
厚生労働省は国民の健康増進を図るために環境基本法の制定などにより、室内空気汚染の低減化を促進し、快適で健康的な室内空間を確保することを目的に個別の揮発性有機化合物(VOC)に対しての室内濃度指針値を設定している。
シックハウス病は、アレルギーや中毒とは本質的に異なる。原因として最も注目されているのが、新建材の合板,集成材などに使われているユリア系,メラミン系,フェノール系接着剤に添加されている「ホルムアルデヒド」である。このほかに、トルエン,キシレン,トリクロロエチレン,メチルケルケトンなどのVOCがある。
ホルムアルデヒドは空気と一緒に人の肺に入り、人の血中に移動すると、危険物を認識する神経系のレセプター機能を壊してしまう危険性がある。人に対するホルムアルデヒドの作用は、人によって異なるが、濃度がわずかに0.01〜1.6ppmの範囲で人の眼の刺激がはじまる。眼が刺すように痛むときは2〜3ppm、激しい涙流では10〜20ppm、生命にかかわる危険濃度は30ppmとされている。ちなみに世界保健機構(WHO)による基準値は0.08ppmである。日本でも、1998年春に0.08ppmを目安として法制化されている。
住まいと健康とを守る「塗る竹炭」建築用仕上げ水性塗料は、シックハウス症候群やアンモニアガス(臭)の対策に欠かせない建築用仕上げ水性塗料として注目されている(特開2003−89770号公報)。特開2003−89770号は、竹炭,貝殻カルシウム,EM-Xセラミック,トルマリンセラミックの混合調製による複合塗料を対象とするものである。
特開2003−89770号に開示された複合塗料は、シックハウス症候群やアンモニアガス(臭)の対策に欠かせない建築用仕上げ水性塗料として注目されているが、この複合塗料は、炭素材の孔に微生物を着生させ、その着生した微生物により有害物質を除去するものである。
したがって、有害物質の除去には微生物の存在が欠かせないものであり、微生物が死滅した時点で有害物の除去が停止するという課題が残されている。
本発明の目的は、微生物による有害物質の除去に代えて、有害化学物質を酸化反応により無害化する水性塗料を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る水性塗料は、少なくとも炭素とカルシウムと酸化チタンとの化学成分を含む微粒子を混合した混合物と、前記混合物の微粒子をバインドする水性エマルジョンとを含み、
前記混合物の微粒子は、有害化学物質の酸化反応を促進する触媒として機能するものであり、前記触媒による酸化反応物は、前記微粒子の表面および前記水性エマルジョンをクラスターレベルで溶解する特性を有することを特徴とするものである。なお、前記混合物は、さらに二酸化珪素の化学成分の微粒子を含むようにしてもよいものである。
前記混合物の微粒子は、有害化学物質の酸化反応を促進する触媒として機能するものであり、前記触媒による酸化反応物は、前記微粒子の表面および前記水性エマルジョンをクラスターレベルで溶解する特性を有することを特徴とするものである。なお、前記混合物は、さらに二酸化珪素の化学成分の微粒子を含むようにしてもよいものである。
前記炭素の含有量%をX、前記カルシウムの含有量%をY、前記酸化チタンの含有量%をZとすると、これらの含有量%は、X:Y:Z=30〜50%:20〜30%:5〜15%であることが、有害化学物質の吸着無害化に最適である。また前記二酸化珪素の化学成分を添加する場合、その含有量%は、2〜10%であることが最適である。
前記炭素,前記カルシウム,前記酸化チタンの化学成分を含む微粒子の混合物として、トルマリンの微粒子,竹炭などの炭素系物質の微粒子,貝殻カルシウムの微粒子,EM-Xセラミックスの微粒子を混合した混合物を用いたことができる。また前記水性エマルジョンに変性ポリビニルアルコールを添加するようにしてもよいものである。この変性ポリビニルアルコールは良好な水溶性であり、表面に皮膜をつくることはなく、生分解性もある。また変性ポリビニルアルコールは、優れた耐油性、耐有機溶剤性を有している。また変性ポリビニルアルコールは、急性毒性、変異原性、皮膚刺激性の毒性試験において、問題のないことが確認されている。
本発明に係る水性塗料を用いて有害化学物質を吸着無害化するには、少なくとも炭素とカルシウムと酸化チタンとの化学成分を含む微粒子ならなる混合物と、前記混合物の微粒子をバインドする水性エマルジョンとを含む塗料を、有害化学物質の雰囲気中に晒す。
ここで、水性塗料に含まれる微粒子が有害化学物質の酸化反応の触媒として機能するメカニズムについて解析する。まず走査電子顕微鏡を用いて水性塗料の表面観察を行った。その観察結果を図6,図7,図8,図10及び図12に示す。これらの図から明らかなように、本発明に係る水性塗料の表面を走査電子顕微鏡で観察すると、前記塗料に含有する微粒子の表面が突起(凹凸)構造になっているとともに、その表面から内部に凹む細孔構造(ポーラス構造)になっていることが観察された。これを模式化すると、図25に示すようになっていることが考えられる。有害化学物質の分子径は、約0.0005μm(0.5nm)であるから、走査電子顕微鏡で観察した細孔構造は、その開口部が有害化学物質の分子径に比して十数倍から数千倍の大きさを有しているものと考えられ、有害化学物質の分子を受容するのに十分な容積を備えているものと考えられる。
さらに、走査顕微鏡による化学組成分析の結果、塗料に含まれる化学成分は、少なくとも炭素,カルシウム,酸化チタンであり、前記凹凸構造及び細孔構造は、微粒子のうち、炭素,カルシウム,酸化チタンの化学成分を含む領域に集中して存在することが判った。さらに、本発明に係る水性塗料の効果を検証したところ、その詳細を後述することにするが、図14〜図23に示すような有害化学物質を吸着・無害化する顕著な効果を示した。しかも、当初における有害化学物質の吸着率よりも、時間の経過とともに吸着率が高まっていることが確認された。
これらの結果に基づいて、本発明に係る水性塗料による有害化学物質の吸着・無害化のメカニズムについて解析する。本発明に係る水性塗料によれば、部屋内の有害化学物質が減少されているという実験結果が得られており、その有効性を疑う余地はないものである。
本発明に係る水性塗料による有害化学物質の吸着・無害化メカニズムを解析するにあたって、実験の結果によって時間の経過に伴って有害化学物質の吸着・無害化率が高まるという既知の常識では考えられない事実が発生していることに注目し、有害化学物質を集積固定して積極的に酸化反応で無害化し、しかも、酸化反応で生成される酸化反応物が、水性エマルジョン及び微粒子の表面をクラスターレベルで溶解して、微粒子の触媒として機能する実効表面積を拡大するというメカニズムを考え出した。このメカニズムを立証する。
確かに、文献を先行調査すると、炭素,カルシウムなどが気体を吸着する事実に基づいて、脱臭剤などに利用している例を見出すことができる。これらの例では、炭素成分が備えている細孔構造に着目している。この事実に基づいた解析は、一般的に炭素の細孔構造が気体を吸着したまま保持するから、気体を除去するものであるというメカニズムによるものと考えられる。したがって、炭素の細孔構造が気体により充満した時点で交換する必要性があるものと考えられる。
しかし、本発明に係る水性塗料は、時間の経過に伴って有害化学物質の吸着無害化率が高まっているものであり、この作用は既知の現象と相反するものであり、本発明の塗料による有害化学物質の除去メカニズムを既知の技術をもって解析することは不可能である。
本発明者は、凹凸構造及び細孔構造に有害化学物質が吸着されるメカニズムに加えて、有害化学物質を酸化反応にて無害化するメカニズムについて考究し、発明として完成させた。
凹凸構造及び細孔構造に有害化学物質が吸着されるメカニズムについて解説する。走査顕微鏡の観察で得たように、前記微粒子の凹凸構造及び細孔構造は、主に炭素及びカルシウム並びに酸化チタンに起因している。そこで、この凹凸構造及び細孔構造に有害化学物質が吸着される機構として、2つの機構を考えた。1つは物理吸着であり、もう一つは化学吸着である。
前記物理吸着は、気体または液体の分子が凹凸構造の表面につく吸着で、このような力をファン・デル・ワールス力といい、この力による吸着といわれている。したがって、吸着した分子は容易に表面から脱着もする。本発明に用いた微粒子の突起(凹凸構造)にVOC分子が吸着した状態は、この物理吸着であると考えられる。この吸着は図6及び図7の顕微鏡写真のように比較的フラット(平坦)な領域にも吸着する。
一方、化学吸着は、表面分子と化学的に作用するもので、強い力で結合されている。また多孔質(ポーラス)物質が多量の凝縮性ガスを吸着することは、よく知られて事実であり、その吸着は表面積に依存する。つまり表面積と細孔構造、細孔容積などの因子が吸着現象に重要な役割を担うと考えられる。有害化学物質の分子は、物理吸着されてから細孔構造によって閉じ込められる、或いは直接細孔構造に閉じ込められて、微粒子に化学吸着されると考えられる。
有害化学物質の分子の化学的性質を調べてみると、有害化学物質が親水性を備えていることが判った。この有害化学物質の親水性により、有害化学物質が微粒子に物理吸着,化学吸着される度合が増大するものと考えられる。この有害化学物質が親水性を備えているという化学的性質に着目したことが本発明の重要な基礎をなしている。
本発明に係る塗料は、バインダーに水性エマルジョンを用いている。この水性エマルジョンは、微粒子同士を結合するものであるが、走査顕微鏡による観察による図6,図7,図8,図10及び図12からも明らかなように、微粒子の全表面が水性エマルジョンで覆われてしまうのではなく、一部が露出されていることが判る。
したがって、本発明に係る水性塗料を、有害化学物質を含む雰囲気中に晒すと、水性エマルジョンで覆われずに大気中に露出した微粒子に、有害化学物質が物理吸着する。この場合、有害化学物質が親水性を備えているため、有害化学物質と微粒子との結合度合が増しているものと考えられる。さらに、有害化学物質の分子は、物理吸着されてから細孔構造によって閉じ込められる、或いは直接細孔構造に閉じ込められて、微粒子に吸着される。この場合も同様に、有害化学物質が親水性を備えているため、有害化学物質と微粒子との結合度合が増しているものと考えられる。これらの過程を経て、揮発性有機化合は微粒子の表面に集積固定され、大気中の酸素と反応する度合・機会が大幅に増大する。
有害化学物質には、ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエンが含まれる。これらの分子が微粒子を触媒として酸化反応を経て、酸化反応物に生成されると考えられる。
具体的には、
(a)ホルムアルデヒドHCHOの酸化反応によって、蟻酸(酸化反応物質)が生成される。
HCHO+(O) → HCOOH(蟻酸) ・・・・・・・・・(1)
(b)同じようにアセトアルデヒドCH3CHOが酸化反応すると、酢酸CH3COOH(酸化反応物質)として醸成される。
CH3CHO+(O) → CH3COOH(酢酸) ・・・・・・・(2)
(c)トルエンC6H5CH3の酸化反応は、安息臭酸C6H5COOH(酸化反応物質)が醸成されるとともに、水が生成される。このことは、酸化反応の化学式から明らかである。
C6H5CH3+3(O) → C6H5COOH+H2O ・・・・・・・(3)
(a)ホルムアルデヒドHCHOの酸化反応によって、蟻酸(酸化反応物質)が生成される。
HCHO+(O) → HCOOH(蟻酸) ・・・・・・・・・(1)
(b)同じようにアセトアルデヒドCH3CHOが酸化反応すると、酢酸CH3COOH(酸化反応物質)として醸成される。
CH3CHO+(O) → CH3COOH(酢酸) ・・・・・・・(2)
(c)トルエンC6H5CH3の酸化反応は、安息臭酸C6H5COOH(酸化反応物質)が醸成されるとともに、水が生成される。このことは、酸化反応の化学式から明らかである。
C6H5CH3+3(O) → C6H5COOH+H2O ・・・・・・・(3)
ここで、酸化反応により生成される、蟻酸,酢酸および安息臭酸(酸化反応物質)が毒性を備えているか否かが問題となる。
蟻酸については、メタノールやホルムアルデヒドの酸化化合物でもある。例えば尿中の濃度は、メタノール酔いやホルムアルデヒドの暴露の検出に応用されている。また低濃度の蟻酸は、微生物や黴に効果を持つので、食品の防腐剤として使用されている。
一方、蟻酸は濃度が高いと、強い酸臭と刺激臭とをもつ。蟻酸濃度が90%以上のものは、消防法で危険物として貯蔵場所や使用については厳しい規制下におかれている。したがって、89%以下の濃度であれば、この消防法から除外されている。
さらに、詳細については後述することにして、化学反応式の証明と水素イオン指数とについて検証した。前記化学反応式(1)〜(3)から、たとえばアセトアルデヒドCH3CHOが本発明の水性塗料に吸着され、酸化反応が進行すると酢酸CH3CHOになることがわかった。この酢酸の醸成を証明すること、すなわち、アセトアルデヒドCH3COOHに曝露された本発明の塗料表面の水素イオン指数(pH)を測定するために実験を行った。pHを測定するには、pHメータとpH試験紙などの方法がある。
アセトアルデヒドに曝露された本発明の塗料表面のpHは、pH4になることが判明した。高純度の酢酸pHは濃度によって異なる。たとえば1mol/lのときにpH2.4(0.1mol/l:pH2.9、0.01mol/l:pH3.4)であることが報告されている。このことからpH4の濃度を外挿すると、0.0006mol/lの濃度に相当する極めて薄い酢酸が確かに醸成されていることが確認できた。
アセトアルデヒドに曝露された本発明に係る塗料の水溶液について;
濃度の高い酢酸は腐食性物質・引火性液体に分類され、皮膚や眼に刺激を与えるが、本発明の塗料表面に醸成された濃度はpH4ときわめて薄い上に、水溶性であるため、人体に悪い影響を与えることはない。このことを証明するために、アセトアルデヒドに曝露された本発明の塗料表面の酢酸を水道水、および精製水への溶出実験を行った。溶出実験の結果、水道水のpHは7.5〜7.6であり、本発明の塗料の表面に醸成された酢酸を溶出すると、pH8.0〜8.1とアルカリ側に0.5程度シフトをする。また精製水のpHは、溶出前にpH5.8〜5.9と、水道水に比較して約1.5も酸性側であったが、溶出するとpH6.8〜6.9となり、水道水と同じようにアルカリ側に1程度シフトし、人体にはまったく無害であることになることを証明した。
濃度の高い酢酸は腐食性物質・引火性液体に分類され、皮膚や眼に刺激を与えるが、本発明の塗料表面に醸成された濃度はpH4ときわめて薄い上に、水溶性であるため、人体に悪い影響を与えることはない。このことを証明するために、アセトアルデヒドに曝露された本発明の塗料表面の酢酸を水道水、および精製水への溶出実験を行った。溶出実験の結果、水道水のpHは7.5〜7.6であり、本発明の塗料の表面に醸成された酢酸を溶出すると、pH8.0〜8.1とアルカリ側に0.5程度シフトをする。また精製水のpHは、溶出前にpH5.8〜5.9と、水道水に比較して約1.5も酸性側であったが、溶出するとpH6.8〜6.9となり、水道水と同じようにアルカリ側に1程度シフトし、人体にはまったく無害であることになることを証明した。
さらに酸化チタンは自動車などの塗装に用いられているが、この自動車の塗装に用いられる塗料は油性であり、その塗料中の酸化チタンは所望の塗装色を発色させるために用いられている。したがって、酸化チタンは油性のエマルジョンに完全に塗膜されて大気中に露出しないものであると考えられる。一方、最近メカニズムは解明されていないが、酸化チタン自体が有害ガスを分解するという現象が発見されている。
本発明に係る塗料は、化学成分として酸化チタンを含み、この酸化チタンにより所望の塗装色を発色させていることは事実である。さらに本発明は、前記酸化チタンによる発色作用に加えて、酸化チタンが紫外線照射を受けると、有害ガスを積極的に分解するという光触媒の作用を積極的に応用している。これは、水性エマルジョンを用いることにより、走査顕微鏡の観察による図6,図7,図8,図10及び図12からも明らかなように、微粒子の全表面が水性エマルジョンで覆われてしまうのではなく、一部が露出される。そこで、本発明は、水性エマルジョンを用いて、酸化チタンを大気中に露出させることにより、酸化チタンを光触媒として有効に機能させている。
さらに前記炭素の含有量%をX、前記カルシウムの含有量%をY、前記酸化チタンの含有量%をZとすると、これらの含有量%は、X:Y:Z=30〜50%:20〜30%:5〜15%の範囲に特定して、実験を行った結果、これらの範囲であれば、図14〜図23に示すような有害化学物質を除去する顕著な効果を示した。したがって、前記各化学成分の含有量%を上記の範囲に設定することが、有害化学物質の除去に最適であると考える。
また走査顕微鏡による観察の結果、化学成分中に二酸化珪素が含まれていた。前記二酸化珪素の化学成分を添加する場合、その含有量%は、2〜10%であることが最適である。二酸化珪素は、塗膜基材を結合する結合材として働くものである。
以上のように本発明によれば、有害化学物質を微粒子の表面に物理吸着,化学吸着して集積・固定することにより、有害化学物質と酸素との酸化反応を積極的に促進することができる。さらに、大気中の酸素と有害化学物質とによる酸化反応物が微粒子の表面及び水性エマルジョンをクラスターレバルで溶解するため、微粒子の触媒作用を発揮する表面積を拡大することができ、時間の経過に伴って有害化学物質の吸着無害化率を向上させることができる。このことは、塗料の備えている有害化学物質の吸着無害化作用を延命することができるという自律再生力を備えていることを意味しており、省資源に寄与する塗料を提供することができる。
さらに酸化チタンによる発色機能を利用して所望の塗装色を得ることができるばかりでなく、酸化チタンを光触媒として働かせて有害化学物質を吸着無害化することができる。このことは、炭素,カルシウムの凹凸構造及び細孔構造を利用した有害化学物質の吸着無害化作用を助長することができる。
さらに微粒子を触媒として用いた酸化反応により発生する酸化反応物は、人体に影響を及ぼさないものであることが確認されており、居住空間に塗布して安心な塗料を提供することができる。さらに前記混合物を形成する微粒子は人の健康に影響を与えることがなく、しかも経年変化を起こすこともなく、居住区間に塗布して安心な塗料を提供することができる。
さらに本発明によれば、有害化学物質の完全無害化を実現することができ、しかも、無害化処理で発生する生成物が人の健康によい影響を与えることができ、有害化学物質の無害化の技術として最適なものである。
次に、本発明について詳細に説明する。
炭素,カルシウム,酸化チタンの化学成分を含む微粒子の混合物として、トルマリンの微粒子,竹炭などの炭素系物質の微粒子,貝殻カルシウムの微粒子,EM-Xセラミックスの微粒子を混合した混合物を用い、これに水性エマルジョン(変性ポリビニルアルコールを含めてもよい)をバインダーとして用い、かつ図3に示す配合比とした本発明に係る水性塗料のサンプルを製造した。なお、水性エマルジョンとして、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂エマルジョンを用いたが、これ以外の水性エマルジョンを用いてもよい。また貝殻カルシウムには、焼成しないものと及び焼成したものとの双方を含むが、サンプルでは、焼成した貝殻カルシウムを用いた。なお、本発明で取り扱う有害化学物質には、シックハウス起因化合物,揮発性有機化合物,アンモニアなどを含む。
また炭素系物質の微粒子として竹炭の微粒子を用いたが、これに代えて木炭の微粒子、或いは、いわゆる活性炭の微粒子を用いてもよいものである。また前記水性エマルジョンに変性ポリビニルアルコールを添加するようにしてもよい。なお、図3に示す配合比に限られるものではなく、最終的に図1に示す化学成分の含有量%を示す配合比であれば、適宜調製することができるものである。また上記混合物に有機顔料と無機顔料とのうち少なくとも1種類の顔料を添加してもよいものである。この場合、添加する際の配合比は1〜13%の範囲が望ましいものである。
A.走査電子顕微鏡による本発明に係る塗料(以下、単に塗料という。)の表面構造の観察;
上述した配合比の塗料における微粒子の表面構造を観察した。塗料の表面構造を図6及び図7に示す。図6の倍率は3,000倍で撮影したものであり、その表面構造は平坦な構造と微細な凹凸で形成されている。さらに表面構造を確認するために倍率2万倍で観察したものを図7に示す。この写真より表面構造の細粒化状態(左側)が鮮明に観察された。粒子径は約0.1〜0.4μm(100〜400nm)である。
上述した配合比の塗料における微粒子の表面構造を観察した。塗料の表面構造を図6及び図7に示す。図6の倍率は3,000倍で撮影したものであり、その表面構造は平坦な構造と微細な凹凸で形成されている。さらに表面構造を確認するために倍率2万倍で観察したものを図7に示す。この写真より表面構造の細粒化状態(左側)が鮮明に観察された。粒子径は約0.1〜0.4μm(100〜400nm)である。
B.走査電子顕微鏡による化学組成分析;
(1)領域♯1の分析;
図8におけるpoint2〜3は個々の分析点である。それぞれの分析点の結果を図9の表に示す。図9に示したpoint1は図8の全域における分析結果を示す。
(1)領域♯1の分析;
図8におけるpoint2〜3は個々の分析点である。それぞれの分析点の結果を図9の表に示す。図9に示したpoint1は図8の全域における分析結果を示す。
図9の表から分かることは、炭素が57〜82mass%(重量%)と多い。特にpoint2の領域は竹炭特有の単純な炭素系物質であると思われる。またpoint3には、30μm程度の二酸化チタン(TiO2,酸化チタン)が観察された。トルマリンの化学成分はリチウム(Li),マグネシウム(Mg),鉄(Fe),アルミニウム(Al),カルシウム(Ca)などの合金元素を含んだ(Na,Ca)(Li,Mg,Fe,Al)9B3Si6(O,OH)31などの珪酸類を含み、数々の金属元素成分の入り混じった硼珪酸塩鉱物であるが、個々の元素としては確認できたが、化合物としては確認できなかった。
(2)領域♯2の分析;
図10におけるpoint4〜7は個々の分析点である。また分析結果のpoint7は図10の全域における分析結果を示す。それぞれの分析点の結果を図11の表に示す。図9の表と図11の表とを比較すると、C濃度(竹炭特有な単純な炭素系物質)は50〜60%付近で、残りの鉱物特有の粘土組成である二酸化珪素SiO2が8〜16%付近、酸化アルミニウムAl2O3は5%付近と低めで、かつ、point4に示した微粒子群は約1〜2μmの大きさであり、分析すると、炭素(C)と二酸化チタン(TiO2)の混合粒子であった。
図10におけるpoint4〜7は個々の分析点である。また分析結果のpoint7は図10の全域における分析結果を示す。それぞれの分析点の結果を図11の表に示す。図9の表と図11の表とを比較すると、C濃度(竹炭特有な単純な炭素系物質)は50〜60%付近で、残りの鉱物特有の粘土組成である二酸化珪素SiO2が8〜16%付近、酸化アルミニウムAl2O3は5%付近と低めで、かつ、point4に示した微粒子群は約1〜2μmの大きさであり、分析すると、炭素(C)と二酸化チタン(TiO2)の混合粒子であった。
(3)領域♯3の分析
図12におけるpoint1〜6は個々の分析点である。また分析結果のpoint1は図12の全域における分析結果を示す。それぞれの分析点の結果を図13の表に示す。図13の表から分かることは、領域を大きくして分析すると、全域に炭素が分析される。特にpoint2の領域では、竹炭特有の単純な炭素物質が特定できる。またpoint4,5では二酸化珪素SiO2,アルミナAl2O3を含んだ組成のものが観察できた。さらにpoint2,6では二酸化チタン(TiO2)を多く含んだものが観察できた。これはEM-Xセラミックスの組成であると思われる。
図12におけるpoint1〜6は個々の分析点である。また分析結果のpoint1は図12の全域における分析結果を示す。それぞれの分析点の結果を図13の表に示す。図13の表から分かることは、領域を大きくして分析すると、全域に炭素が分析される。特にpoint2の領域では、竹炭特有の単純な炭素物質が特定できる。またpoint4,5では二酸化珪素SiO2,アルミナAl2O3を含んだ組成のものが観察できた。さらにpoint2,6では二酸化チタン(TiO2)を多く含んだものが観察できた。これはEM-Xセラミックスの組成であると思われる。
C.実験方法
本発明に係る有害化学物質の捕捉剤の特性を評価するために、以下の実験方法で行った。
本発明に係る有害化学物質の捕捉剤の特性を評価するために、以下の実験方法で行った。
(1)実験方法
図2に示すように、塗料をアルミニウム板に平坦状に塗布して乾燥させた後、45mm×100mmの寸法にカットし、これを試験片1とした。図2に示すように前記試験片1を試薬瓶(φ7.5mm×12.5mm)に入れてシックハウス起因化合物(VOC)の経時変化を観察した。試薬瓶の口と蓋との合わせ面は摺り合わせになっており、図2の右側に示すように、気体であっても漏洩しないものである。しかしながら実験の厳密性を確保するために、図2の左側に示すように、試薬瓶2の口と蓋との摺り合せ面を専用シール4でシールして、シックハウス起因化合物が試薬瓶2から外部に漏洩しない環境で実験を行った。
図2に示すように、塗料をアルミニウム板に平坦状に塗布して乾燥させた後、45mm×100mmの寸法にカットし、これを試験片1とした。図2に示すように前記試験片1を試薬瓶(φ7.5mm×12.5mm)に入れてシックハウス起因化合物(VOC)の経時変化を観察した。試薬瓶の口と蓋との合わせ面は摺り合わせになっており、図2の右側に示すように、気体であっても漏洩しないものである。しかしながら実験の厳密性を確保するために、図2の左側に示すように、試薬瓶2の口と蓋との摺り合せ面を専用シール4でシールして、シックハウス起因化合物が試薬瓶2から外部に漏洩しない環境で実験を行った。
(2)使用したシックハウス起因化合物
有害化学物質に含まれるシックハウス起因化合物として、ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエンを用いた。これらの化合物としては、下記のものを用いた。
a)ホルムアルデヒド:含量37%(10〜15%メチルアルコール)、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
b)アセトアルデヒド:含量99.5%、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
c)トルエン:含量99.8%、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
有害化学物質に含まれるシックハウス起因化合物として、ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエンを用いた。これらの化合物としては、下記のものを用いた。
a)ホルムアルデヒド:含量37%(10〜15%メチルアルコール)、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
b)アセトアルデヒド:含量99.5%、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
c)トルエン:含量99.8%、U.S.A製シグマアルドリッチジャパン(株)
(3)シックハウス起因化合物の時間変化
図2に示すように、前記試験片1を500mlの試薬瓶2内に封入し、さらに揮発性有機化合物であるホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエンを試薬瓶2に必要量を滴下した。試薬瓶2の容積に対する試験片1に塗布した塗料の面積は、6畳間の床面積に換算すると、ちょうど壁面の2枚分に相当した面積になる。
図2に示すように、前記試験片1を500mlの試薬瓶2内に封入し、さらに揮発性有機化合物であるホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエンを試薬瓶2に必要量を滴下した。試薬瓶2の容積に対する試験片1に塗布した塗料の面積は、6畳間の床面積に換算すると、ちょうど壁面の2枚分に相当した面積になる。
(4)検知管
シックハウス起因化合物の検出には、(株)ガステック社製の検知管を用いた。ホルムアルデヒド検知管はNo.91(2〜100ppm)とNo.91L(0.1〜40ppm)、アセトアルデヒド検知管はNo.92(10〜300ppm)とNo.92L(1〜20ppm)、トルエン検知管はNo.122(5〜600ppm)とNo.122L(1〜100ppm)を用いた。測定は室温20℃で行った。
シックハウス起因化合物の検出には、(株)ガステック社製の検知管を用いた。ホルムアルデヒド検知管はNo.91(2〜100ppm)とNo.91L(0.1〜40ppm)、アセトアルデヒド検知管はNo.92(10〜300ppm)とNo.92L(1〜20ppm)、トルエン検知管はNo.122(5〜600ppm)とNo.122L(1〜100ppm)を用いた。測定は室温20℃で行った。
D.実験結果
塗料によるシックハウス起因化合物の無害化メカニズムを明らかにするために以下の実験を行った。
塗料によるシックハウス起因化合物の無害化メカニズムを明らかにするために以下の実験を行った。
(1)ホルムアルデヒド濃度の時間変化
500mlの密閉試薬瓶にホルムアルデヒドを約30ppm滴下した後、塗料を塗布したアルミニウム板(図2の試験片1)を封入し、ホルムアルデヒドを曝露した。その後、0〜2時間後におけるホルムアルデヒド濃度の変化を図14に示す。これをバージン材と呼ぶ。試薬瓶内のホルムアルデヒドの濃度は、30分で約24ppm、1時間で約10ppm、2時間では約6ppmになり、時間の経過にしたがって低減した。2時間後に前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
500mlの密閉試薬瓶にホルムアルデヒドを約30ppm滴下した後、塗料を塗布したアルミニウム板(図2の試験片1)を封入し、ホルムアルデヒドを曝露した。その後、0〜2時間後におけるホルムアルデヒド濃度の変化を図14に示す。これをバージン材と呼ぶ。試薬瓶内のホルムアルデヒドの濃度は、30分で約24ppm、1時間で約10ppm、2時間では約6ppmになり、時間の経過にしたがって低減した。2時間後に前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
大気中に24時間放置した後、ホルムアルデヒド約10ppmを試薬瓶内に滴下した後、塗料を塗布したアルミニウム板(始めに曝露試験したバージン材を2回目使用)を入れて、図14と同じような曝露実験を行った。ホルムアルデヒド曝露後、26〜28時間放置した前記アルミニウム板に再度ホルムアルデヒドを曝露したときの濃度変化を図15に示す。試薬瓶内のホルムアルデヒドの濃度は、30分で約0ppmに急速低減した。ホルムアルデヒド濃度が低いために吸着効果も大きい。2時間の実験後に前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
大気中に62時間放置後、ホルムアルデヒドを1回目と同じ約30ppm滴下した後、前記試験片(始めに曝露試験したバージン材を3回目使用)を入れて、図14と同じような曝露実験を行った。90〜92時間後におけるホルムアルデヒド濃度の変化を図16に示す。試薬瓶内のホルムアルデヒドの濃度は、30分で約8ppm(バージン材では24ppm)、1時間で約3ppm(バージン材では10ppm)、2時間では約1.5ppm(バージン材で6ppm)となり、時間の経過にしたがって低減した。注目すべき変化は、ホルムアルデヒドに初めて曝されたバージン材(図14)に比べて、シックハウス起因化合物であるホルムアルデヒドの吸着無害化速度が速いことであった。これは注目すべき事実である。
(2)アセトアルデヒド
500mlの密閉試薬瓶にアセトアルデヒドを約45ppm試薬瓶内に滴下した後、塗料を塗布した試験片(アルミニウム板=バージン材)を封入し、アセトアルデヒドを曝露した。その後、0〜2時間後におけるアセトアルデヒド濃度の変化を図17に示す。試薬瓶内のアセトアルデヒドの濃度は、30分で約15ppm、1時間で約10ppm、2時間では2ppm以下に低減した。2時間後に試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
500mlの密閉試薬瓶にアセトアルデヒドを約45ppm試薬瓶内に滴下した後、塗料を塗布した試験片(アルミニウム板=バージン材)を封入し、アセトアルデヒドを曝露した。その後、0〜2時間後におけるアセトアルデヒド濃度の変化を図17に示す。試薬瓶内のアセトアルデヒドの濃度は、30分で約15ppm、1時間で約10ppm、2時間では2ppm以下に低減した。2時間後に試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
大気中に24時間放置した後、アセトアルデヒド約20ppmを滴下後、試験片(始めに曝露試験したバージン材を2回目使用)を入れて、図17と同じような曝露実験を行った。26〜28時間後におけるアセトアルデヒド濃度の変化を図18に示す。試薬瓶内のアセトアルデヒドの濃度は、30分で約5ppm、1時間で約3ppm、2時間では0.5ppmに低減した。アセトアルデヒド濃度が低いために吸着無害化効果が大きいことは図16と同じである。2時間の実験後には前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置した。
大気中に62時間放置後、アセトアルデヒドを1回目と同じ約45ppm滴下した後、試験片(始めに曝露試験したバージン材を3回目使用)を入れて、図17と同じような曝露実験を行った。90〜92時間後におけるアセトアルデヒド濃度の変化を図19に示す。試薬瓶内のアセトアルデヒドの濃度は、30分で約2ppm(バージン材では15ppm)、2時間では約1ppm以下(バージン材で1.5ppm)となり、時間の経過にしたがって低減した。ホルムアルデヒドと同じように注目すべき変化はアセトアルデヒドに初めて曝されたバージン材の試験片(図17)に比べて、シックハウス起因化合物であるアセトアルデヒドの吸着無害化速度が速い。
(3)トルエン
500mlの密閉試薬瓶にトルエンを約100ppm滴下後、試験片(バージン材)を封入し、トルエンを曝露した。その後、0〜2時間後におけるトルエン濃度の変化を図20に示す。試薬瓶内のトルエンの濃度は、30分で約55ppm、1時間で約50ppm、2時間では20ppm以下に低減した。2時間後に前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
500mlの密閉試薬瓶にトルエンを約100ppm滴下後、試験片(バージン材)を封入し、トルエンを曝露した。その後、0〜2時間後におけるトルエン濃度の変化を図20に示す。試薬瓶内のトルエンの濃度は、30分で約55ppm、1時間で約50ppm、2時間では20ppm以下に低減した。2時間後に前記試験片を密閉試薬瓶から取り出して大気中に放置する。
大気中に24時間放置した後、トルエン約100ppmを滴下後、試験片(始めに曝露試験したバージン材を2回目使用)を入れて、図20と同じような曝露実験を行った。26〜28時間後におけるトルエン濃度の変化を図21に示す。試薬瓶内のトルエンの濃度は、30分で約55ppm、1時間で約12ppm、2時間では2ppmに低減した。トルエン濃度が図20と同じであっても吸着無害化効果は図20よりも大きかった。2時間の実験後には試験片を取り出して大気中に放置する。
大気中に62時間放置後、トルエンを約130ppm滴下した後、試験片(始めに曝露試験したバージン材を3回目使用)を入れて、図21と同じような曝露実験を行った。90〜92時間後におけるトルエンの濃度の変化を図22に示す。試薬瓶内のトルエンの濃度は、30分で約100ppm(バージン材では55ppm)、2時間では約50ppm以下(バージン材で20ppm)となり、この場合にはバージン材の方が優れて吸着効果を示した。この理由は他のシックハウス起因化合物に比べてトルエン濃度が高かったため、つまり前記試験片に塗布したシックハウス起因化合物を捕捉(吸着)する本発明の捕捉剤のVOC吸着能力が飽和状態に達したと考えることができる。
図3に示す混合物の配合比を種々変化させて同様に実験を繰り返した。そして、図14〜図22に示す特性を示す、炭素,カルシウム,酸化チタンの化学成分を調べたところ、図1の表に示すような含有量%を得た。図1の表に示す炭素,カルシウム,酸化チタンの化学成分の割合が、有害化学物質の除去に最適のものであると思われる。
E.考察(シックハウス起因化合物の無害化メカニズム)
本発明に係る捕捉剤を使い、0〜2時間曝露→24時間大気中放置→26〜28時間曝露→62時間大気中放置→90〜92時間における曝露を行った結果を図23に示す。高濃度トルエン曝露の場合、図23に示したように大きな効果は得られなかったように見える(吸着の飽和)が、図23に示したように全体として見れば無害化のメカニズムが確実に寄与していると考えられる。したがって、50ppm程度の濃度曝露であればシックハウス起因化合物の吸着→分解(無害化)→シックハウス起因化合物の吸着→分解(無害化)のサイクル性が認められる。また図19のように長時間曝露であれば、確実に低減化の傾向が認められる。
本発明に係る捕捉剤を使い、0〜2時間曝露→24時間大気中放置→26〜28時間曝露→62時間大気中放置→90〜92時間における曝露を行った結果を図23に示す。高濃度トルエン曝露の場合、図23に示したように大きな効果は得られなかったように見える(吸着の飽和)が、図23に示したように全体として見れば無害化のメカニズムが確実に寄与していると考えられる。したがって、50ppm程度の濃度曝露であればシックハウス起因化合物の吸着→分解(無害化)→シックハウス起因化合物の吸着→分解(無害化)のサイクル性が認められる。また図19のように長時間曝露であれば、確実に低減化の傾向が認められる。
(1)シックハウス起因化合物(VOCなど)分解の化学反応式;
本発明に係る捕捉剤によるシックハウス起因化合物の無害化メカニズムを以下のように考える。シックハウス起因化合物は親水性であり、サンテク塗膜に含有されている竹炭、貝殻焼成炭(カルシウム)、自然(EM-X)セラミックス、トルマリンセラミックスなど(SiO2、Al2O3など)に吸着される。
本発明に係る捕捉剤によるシックハウス起因化合物の無害化メカニズムを以下のように考える。シックハウス起因化合物は親水性であり、サンテク塗膜に含有されている竹炭、貝殻焼成炭(カルシウム)、自然(EM-X)セラミックス、トルマリンセラミックスなど(SiO2、Al2O3など)に吸着される。
具体的には、課題を解決するための手段の欄に説明したように、
(a)ホルムアルデヒドHCHOの酸化によって、蟻酸ができる。
(a)ホルムアルデヒドHCHOの酸化によって、蟻酸ができる。
HCHO+(O) → HCOOH(蟻酸) ・・・・・・・(1)
(b)同じようにアセトアルデヒドCH3CHOが酸化すると、酢酸CH3COOHになる。
(b)同じようにアセトアルデヒドCH3CHOが酸化すると、酢酸CH3COOHになる。
CH3CHO+(O) → CH3COOH(酢酸) ・・・・・・(2)
(c)トルエンC6H5CH3の酸化は、安息臭酸C6H5COOHと水ができることは酸化反応の化学式からよく説明できる。
(c)トルエンC6H5CH3の酸化は、安息臭酸C6H5COOHと水ができることは酸化反応の化学式からよく説明できる。
C6H5CH3+3(O) → C6H5COOH+H2O ・・・・・・・(3)
F.化学反応式の証明と水素イオン指数
上述した酸化反応処理が行われる環境について考察する。図25に示すように本発明に係る塗料の混合物を形成する微粒子(トルマリン,自然(EM-X)セラミックス,炭素素材,貝殻焼成炭(カルシウム)など)の表面に凹凸構造,細孔構造を備えているものと考えられる。そして図25に示すように、有害化学物質の分子は凹凸構造Rに物理吸着する。そして、有害化学物質の分子は、細孔構造のうち、開口面積の大きいマクロポアO1から侵入し、比較的開口が大きいミクロポアO2を通して開口が小さいミクロポアO3に化学吸着されると考えられる。その吸着の度合はミクロポアO3の表面積に関係する。
上述した酸化反応処理が行われる環境について考察する。図25に示すように本発明に係る塗料の混合物を形成する微粒子(トルマリン,自然(EM-X)セラミックス,炭素素材,貝殻焼成炭(カルシウム)など)の表面に凹凸構造,細孔構造を備えているものと考えられる。そして図25に示すように、有害化学物質の分子は凹凸構造Rに物理吸着する。そして、有害化学物質の分子は、細孔構造のうち、開口面積の大きいマクロポアO1から侵入し、比較的開口が大きいミクロポアO2を通して開口が小さいミクロポアO3に化学吸着されると考えられる。その吸着の度合はミクロポアO3の表面積に関係する。
本発明者は検証した結果、シックハウス起因物質が親水性であることが判った。したがって、シックハウス起因物質が塗料微粒子の備えている凹凸構造・細孔構造に物理吸着・化学吸着される。これにより、シックハウス起因物質は微粒子の表面に集積固定され、大気中の酸素と反応して、上述した(1),(2),(3)の酸化反応が生じる。
化学反応式(1)〜(3)に示すように、酸素(空気)が重要な要素になっている。本発明の水性塗料は走査電子顕微鏡による表面構造の観察の結果、細孔構造を有している。このため密閉試薬瓶内のシックハウス起因化合物は、本発明に係る塗料の細孔構造,凹凸構造に捕捉(吸着)される。さらに密閉試薬瓶内に充満していた酸素は、捕捉されたシックハウス起因化合物と反応し、徐々に酸化されて、蟻酸HCOOHや酢酸CH3COOH、安息臭酸C6H5COOHとなって無害化される。
G.化学反応式の証明と水素イオン指数;
上述した化学反応式(1)〜(3)から、たとえばアセトアルデヒドCH3CHOが塗料に捕捉され、酸化が進行すると酢酸CH3COOHになることがわかった。この酢酸の醸成を証明すること、すなわち、アセトアルデヒドに曝露された塗料表面の水素イオン指数(pH)を測定するために以下の実験を行った。なお、pHは水溶液中の水素イオンH+と、水酸化物イオンOH-の量によって定まり、水素イオン濃度〔H+〕が高いほど酸性を示し、水酸化物イオン濃度〔OH-〕が高いほどアルカリ性を示す。中性はpH7で、pH値が7より小さいときは酸性、7より大きいときはアルカリ性になる。
上述した化学反応式(1)〜(3)から、たとえばアセトアルデヒドCH3CHOが塗料に捕捉され、酸化が進行すると酢酸CH3COOHになることがわかった。この酢酸の醸成を証明すること、すなわち、アセトアルデヒドに曝露された塗料表面の水素イオン指数(pH)を測定するために以下の実験を行った。なお、pHは水溶液中の水素イオンH+と、水酸化物イオンOH-の量によって定まり、水素イオン濃度〔H+〕が高いほど酸性を示し、水酸化物イオン濃度〔OH-〕が高いほどアルカリ性を示す。中性はpH7で、pH値が7より小さいときは酸性、7より大きいときはアルカリ性になる。
pHを測定するにはpHメータとpH試験紙などの方法がある。前者はpH0〜14が±0.1以下の精度で測定できる。またpH値の異なる2液校正液を用いて正確に校正することが可能である。他方、pH試験紙もpH1〜11の範囲がpH値1間隔の標準変色表から判別できる。試験紙の変色をすぐに比べることができるので、水溶液のpH(水素イオン濃度)を容易に測定できるなどの特長がある。
H.アセトアルデヒドに曝露された本発明に係る塗料表面のpH;
密閉ガラス容器に30〜40ppm濃度のアセトアルデヒドを滴下した後、アルミニウム板に塗布した塗料を12時間曝露させた後、大気中に20分放置した。その後、塗料の上にpH試験紙を5分間置いて、試験紙の変色を調べた。この結果、アセトアルデヒドに曝露された塗料の表面はpH4になることが判明した。高純度の酢酸pHは濃度によって異なる。たとえば1mol/lのときにpH2.4(0.1mol/l:pH2.9、0.01mol/l:pH3.4)であることが報告されている。このことからpH4の濃度を外挿すると、0.0006mol/lの濃度に相当する極めて薄い酢酸が確かに醸成されていることが確認できた。
密閉ガラス容器に30〜40ppm濃度のアセトアルデヒドを滴下した後、アルミニウム板に塗布した塗料を12時間曝露させた後、大気中に20分放置した。その後、塗料の上にpH試験紙を5分間置いて、試験紙の変色を調べた。この結果、アセトアルデヒドに曝露された塗料の表面はpH4になることが判明した。高純度の酢酸pHは濃度によって異なる。たとえば1mol/lのときにpH2.4(0.1mol/l:pH2.9、0.01mol/l:pH3.4)であることが報告されている。このことからpH4の濃度を外挿すると、0.0006mol/lの濃度に相当する極めて薄い酢酸が確かに醸成されていることが確認できた。
I.アセトアルデヒドに曝露されたサンテク塗料の水溶液;
濃度の高い酢酸は腐食性物質・引火性液体に分類され、皮膚や眼に刺激を与えるが、塗料表面に醸成された濃度はpH4ときわめて薄い上に、水溶性であるため、人体に悪い影響を与えることはない。このことを証明するために、アセトアルデヒドに曝露された塗料表面の酢酸を水道水、および精製水への溶出実験を行った。実験はpH試験紙のときと同じように、密閉ガラス容器に30〜40ppm濃度のアセトアルデヒドを滴下した後、アルミニウム板に塗布した塗料を12時間曝露させた後、大気中に20分放置した。その後、100mlの水道水および精製水中へサンテク塗料を入れて、超音波洗浄器で5分間の溶出を行った。その結果を図4の表及び図5の表に示す。
濃度の高い酢酸は腐食性物質・引火性液体に分類され、皮膚や眼に刺激を与えるが、塗料表面に醸成された濃度はpH4ときわめて薄い上に、水溶性であるため、人体に悪い影響を与えることはない。このことを証明するために、アセトアルデヒドに曝露された塗料表面の酢酸を水道水、および精製水への溶出実験を行った。実験はpH試験紙のときと同じように、密閉ガラス容器に30〜40ppm濃度のアセトアルデヒドを滴下した後、アルミニウム板に塗布した塗料を12時間曝露させた後、大気中に20分放置した。その後、100mlの水道水および精製水中へサンテク塗料を入れて、超音波洗浄器で5分間の溶出を行った。その結果を図4の表及び図5の表に示す。
水道水のpHは図4の表に示すように7.5〜7.6である。本発明の塗料の表面に醸成された酢酸を溶出すると、pH8.0〜8.1とアルカリ側に0.5程度シフトをする。これは、貝殻カルシウム(CaO)がアルカリであり、CaO+H2O=Ca(OH)2(消石灰)となる。pHは12程度であるため、酢酸と混合されると、pH8程度になるものと考えられる。また精製水のpHは図5の表に示すように、溶出前はpH5.8〜5.9と、水道水に比較して約1.5も酸性側であったが、溶出するとpH6.8〜6.9となり、水道水と同じようにアルカリ側に1程度シフトし、人体にはまったく無害であることになることを証明した。
J.酢(酢酸)は酸性なのに、なぜ体内ではアルカリ性を示すのか。
また、醸成される酸化化合物である酢酸などは揮発性を有しているため、前記ポーラス内で醸成された酢酸などの分子が大気中に揮発する。
また、醸成される酸化化合物である酢酸などは揮発性を有しているため、前記ポーラス内で醸成された酢酸などの分子が大気中に揮発する。
前記酢酸は、酸性度の高い血液を弱アルカリ性に改善する働きがあることはよく知られている。酢の成分の中で重要な働きをするのが「クエン酸」であり、この「クエン酸」は、筋肉の痛みやこりの改善,便秘の改善,殺菌・抗菌作用,ビタミンCの破壊を防止するとともに、「クエン酸」と一緒に摂取した食べ物の吸収を助けるという働きがある。
また酢を飲むと、早く疲労が回復する。酢は疲労回復に効果あり、乳酸を分解し、糖分を早く補給させるのに効果的である。肩こりで悩む主婦4人に、酢を飲んで肩こりも解消するかを実験したデータがある。この結果、酢を飲んだグループは、水を飲んだグループよりも明らかに乳酸値が下がった。このように酢が体内に入れば、乳酸値が確実に下がるという報告があるので、「継続して飲むことが大切」であるとの指摘がある。酢は疲労回復・胃腸病・水虫・肥満、肝臓病・高血圧・便秘・口臭、糖尿病・筋肉痛・風邪・貧血、打ち身・わきが・美肌・狭心症、不眠・肩こり・動脈硬化・殺菌効果、利尿作用・神経痛・腎臓病・痛風などに効果的と言われている。
糖尿病の改善効果;
出願人の力野正也と鹿児島大学農学部との共同研究において、脂肪および糖尿病(血糖値)の改善効果が認められたとの報告があった。その詳細について説明する。
出願人の力野正也と鹿児島大学農学部との共同研究において、脂肪および糖尿病(血糖値)の改善効果が認められたとの報告があった。その詳細について説明する。
現在、ヒトのI型糖尿病のモデル動物としてNODマウス(non-obese diabetic mouse)が知られており、ICR(正常)系マウスに由来するインスリン依存性や非肥満性I型糖尿病の発症機構の解析などに広く用いられている。このNODマウスを用いて、飼育環境に本発明の水性塗料を塗布した曝露実験(実験群15例)と、塗布していない環境中における曝露実験(対照群15例)についての比較研究を行った。なお尿糖の判断は血清血糖値を測定した。
25週齢までの結果、実験群の糖尿病発症率が20%と低率であったのに対して、対照群の発症率は60%と極めて高かった。発症時期と病勢については実験群では、18,19,23週齢のそれぞれ1例(合計3例で共に3+)であり、尿糖マイナス(正常値はマイナス)が11例であった。これに対して対照群では16週齢3例,19週齢2例、22週齢1例、23週齢2例、25週齢1例(合計9例)で発症し、尿糖2+が2例、3+が2例、4+が4例、死亡が1例で、尿糖マイナスが6例あった。
これらのことから、飼育環境に本発明に係る塗料を塗布した実験群において糖尿病の改善効果が間接的に認められた。これは前述した酢酸等が大気中に微量放散されている効果であると考えられる。
今や国民の10人に1人が糖尿病か、その可能性があるといわれている。食べ物からとった糖質(デンプン,砂糖など)は体内でブドウ糖に変わる。血液中のブドウ糖は、膵臓で作られる「インスリン」というホルモンの働きで、脳や筋肉などの組織に取り込まれ、エネルギー源となる。
糖尿病は、このインスリンが欠乏あるいは作用の不足によって、ブドウ糖がうまく利用されず異常が起こり、慢性的に高血糖が続く病気。糖尿病には、インスリンがほとんど分泌されないために起こるI型糖尿病(インスリン依存型)と、インスリンの分泌量が少ないあるいは、うまく働かないために起こるII型糖尿病(インスリン非依存型)の2つに大きく分かれる。I型糖尿病は、ウイルス感染や自己免疫疾患が原因で、主に若年(12〜14才)で発病する。II型糖尿病は遺伝の影響や肥満、食べ過ぎ、飲みすぎ、運動不足といった生活習慣が原因で、主に中年以降に発病し、日本人の糖尿病患者の95%が、このII型糖尿病にあたるといわれている。
糖尿病の特徴は、さまざまな合併症を引き起こし、糖尿病になって5〜6年で手足のしびれや便秘,下痢といった神経障害、7〜10年で網膜症、15年ほどで腎症があらわれている。この他にも心筋梗塞や、脳梗塞の原因となる動脈硬化も促進されるといわれている。
反応プロセス;
この本発明に係る塗料による糖尿病などの改善効果を証明するには、以下のような反応プロセスが考えられる。
a)酸性による細孔構造の生成→表面積の増大→シックハウス起因物質の捕捉増大
b)アセトアルデヒド→酢酸の生成→酢酸分子の大気中放散→呼吸系からの肺への吸入→血中への溶出→血液の粘度低下(血液のサラサラ化)→糖尿病を含めた生活習慣病の改善
上記a)の反応プロセスが、b)の反応プロセスを引き起こし、改善効果が得られるものと考えられる。
この本発明に係る塗料による糖尿病などの改善効果を証明するには、以下のような反応プロセスが考えられる。
a)酸性による細孔構造の生成→表面積の増大→シックハウス起因物質の捕捉増大
b)アセトアルデヒド→酢酸の生成→酢酸分子の大気中放散→呼吸系からの肺への吸入→血中への溶出→血液の粘度低下(血液のサラサラ化)→糖尿病を含めた生活習慣病の改善
上記a)の反応プロセスが、b)の反応プロセスを引き起こし、改善効果が得られるものと考えられる。
酢酸の醸成により脂肪および糖尿病(血糖値)の改善効果が認められたことの研究報告例に関して、「アセトアルデヒド→酢酸の醸成→酢酸分子の大気中放散→呼吸系から肺への吸入→血中への溶出→血液の粘度低下(サラサラ化)→糖尿病を含めた生活習慣病の改善」という機序を推測した。今回の酢酸醸成の実験結果は図らずも、これらの推測を立証したことになる。
酢(酢酸)は前述したようにpH2.5〜3と、きわめて酸性度の高い食品である。にもかかわらず、血液を弱アルカリ性に改善する働きがあるのは、なぜなのだろうか。これは酢が体内に入ると胃に吸収され、肝臓に運ばれて代謝される。このときにアルカリ性のミネラルなどを生成し、酸性に傾いたpHがアルカリに戻す作用があるためと考えられている。このように酢は酸性でありながら、肺や胃を通して血中に入ったときにアルカリ性としての性質をもつために、アルカリ食品ともいわれる。また酢は血小板凝集や白血球が毛細血管に詰まるのを抑制し、血液をサラサラにするといわれるメカニズムとも一致する。
諸効果誘発の本質:
本発明の塗料には、防虫・防ダニ効果・防腐・防カビ効果・脱臭効果・空気清浄効果・抗菌効果などがあると考えられる。この理由について説明する。シックハウス起因物質などを物理的ないしは化学的に吸着し、その後、シックハウス起因物質を酸化させることによって、きれいな空気(たとえば酢酸などによる無害化)を放出すると考えられる。たとえば酢酸などの物質が空気中に放散されることにより脱臭・除湿効果や、カビや腐敗の防止、はては病院や特別養護老人ホームなどの環境の抗菌性が確保されると考えている。これは、本発明に係る水性塗料の構成物質からきれいな空気が放出されると思われる。
本発明の塗料には、防虫・防ダニ効果・防腐・防カビ効果・脱臭効果・空気清浄効果・抗菌効果などがあると考えられる。この理由について説明する。シックハウス起因物質などを物理的ないしは化学的に吸着し、その後、シックハウス起因物質を酸化させることによって、きれいな空気(たとえば酢酸などによる無害化)を放出すると考えられる。たとえば酢酸などの物質が空気中に放散されることにより脱臭・除湿効果や、カビや腐敗の防止、はては病院や特別養護老人ホームなどの環境の抗菌性が確保されると考えている。これは、本発明に係る水性塗料の構成物質からきれいな空気が放出されると思われる。
また図24に示すように、有害化学物質のアンモニアについて吸着無害化の実験を行った。アンモニアは、刺激性のある気体で一般家庭ではトイレ、ペットの体臭、排泄物、肉の腐敗した生ごみ、し尿処理場、下水処理場などから出てくるガスである。アンモニアは、分子量が小さいので活性炭などの物理吸着では消臭しにくいガスである。また病人の介護、加齢臭もアンモニアである。特に尿の臭いの主体は、塩基性物質のアンモニアであり、アンモニアは尿素が酵素によって分解されて出る刺激のある揮発性ガスである。たばこにもアンモニア0.6%が含まれる。
そこで、試薬瓶内にアンモニアを充満させて、本発明の水性塗料で吸着無害化させる実験を行った。本発明の塗料を塗布した試験片を3片用意して、それぞれ1片ずつ試薬瓶に入れ、アンモニアを封入し、蓋で試薬瓶を密閉して経過時間に対するアンモニア濃度の変化を調べた。このような実験を3回行った。その結果を○,△,□で示している。本発明の塗料は、微粒子の表面にアンモニアを物理吸着するとともに、化学吸着しているため、短時間でアンモニアを吸着・無害化していることが判った。
以上説明したように本発明によれば、有害化学物質を吸着・無害化し、その反応により醸成される化合物が人体の健康改善に寄与することができる。
さらに本発明は、使用頻度により有害化学物質を吸着・無害化する働きを延長することができる。
Claims (6)
- 少なくとも炭素とカルシウムと酸化チタンとの化学成分を含む微粒子を混合した混合物と、前記混合物の微粒子をバインドする水性エマルジョンとを含み、
前記混合物の微粒子は、有害化学物質の酸化反応を促進する触媒として機能するものであり、
前記触媒による酸化反応物は、前記水性エマルジョン及び前記微粒子の表面をクラスターレベルで溶解する特性を有することを特徴とする水性塗料。 - 前記混合物は、さらに二酸化珪素の化学成分を含む微粒子が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料。
- 前記炭素の含有量%をX、前記カルシウムの含有量%をY、前記酸化チタンの含有量%をZとすると、
これらの含有量%は、X:Y:Z=30〜50%:20〜30%:5〜15%であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料。 - 前記二酸化珪素の含有量%は、2〜10%であることを特徴とする請求項2に記載の水性塗料。
- 前記炭素,前記カルシウム,前記酸化チタンの化学成分を含む微粒子の混合物として、トルマリンの微粒子,竹炭などの炭素系物質の微粒子,貝殻カルシウムの微粒子,EM-Xセラミックスの微粒子を混合した混合物を用いたことを特徴とする請求項1に記載の水性塗料。
- 前記水性エマルジョンに変性ポリビニルアルコールを添加したことを特徴とする請求項1に記載の水性塗料。
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