JPWO2004078177A1 - 薬物・物質依存治療薬 - Google Patents
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Abstract
下記化合物に代表される化合物を有効成分とする薬物・物質依存治療薬に関するものであり、脳移行性にすぐれ、依存性薬物・物質によって生じた精神的・身体的依存に対する薬物・物質依存状態からの回復を促進し、渇望、再燃を抑制し、薬物・物質依存および薬物・物質依存症患者の薬物療法に有用である。
Description
本発明は薬物・物質依存治療薬を提供することを目的とするものであり、薬物・物質としては、例えば、興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアンフェタミン型薬物(覚醒剤)、コカイン型薬物、催幻覚薬(LSD)型薬物、ニコチン等、および、抑制性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアルコール・バルビツール酸塩型薬物、モルヒネ型薬物、大麻型薬物、有機溶剤型薬物、ベンゾジアゼピン類等の向精神薬、更にはこれらの薬物・物質の二つ以上を併用したものが挙げられる。本発明においては、上述の薬物・物質によって生じた薬物・物質依存の治療において、従来の対症療法による治療ではなく、これら薬物・物質によって引き起こされる依存の発現自身を抑制する、脳内移行性の優れた薬物・物質依存治療薬を提供することを目的とする。
アヘン、コカイン、大麻などの天然物質、またはヘロイン、バルビツール類、覚せい剤など特定の薬物や、シンナー・トルエンといった有機溶剤を常用していると、その使用をやめることができなくなり、これらを手に入れるために生きる目的の大半が費やされるようになる。飲酒(アルコール)や喫煙(ニコチン)という、生活に深く密着した嗜好品常用においても、それらに含まれる薬物・物質が精神的または身体的な依存を生じさせるという共通の問題がある。
薬物依存は世界保健機構(WHO)において、「精神的に、時には身体的にも起こりうる状態であり、生体と薬物の相互作用によってもたらされる。その薬物の精神的な効果を体験しようとして、あるいは薬物効果が切れたときの不快を避けようとして、持続的または周期的に薬物を摂取したいという衝動を常に伴っている状態」と定義されている。同時にWHOでは、依存を形成する薬物を1.アルコール・バルビツール酸塩型 2.アンフェタミン型 3.大麻型 4.コカイン型 5.催幻覚薬(LSD)型 6.カート型 7.モルヒネ型 8.有機溶剤型の8タイプに分類している。また米国のNational Institute on Drug Abuse(NIDA)によれば、一般的に乱用される薬物として上記の他に、フルニトラゼパムを含むベンゾジアゼピン類、γヒドロキシブチレート、ケタミン、フェンサイクリジンとその誘導体、アナボリックステロイドなどが挙げられている。日本で乱用されることの多いメタンフェタミンは、アンフェタミン、メチルフェニデート、メチレンジオキシメタンフェタミン等のアンフェタミン型薬物(覚醒剤)の一種であり、コカイン型薬物、ニコチンと同じく興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質に分類されている。今のところ、これら薬物・物質依存を治療する方法、薬物として顕著な効果を示すものはなく、新規な治療薬の開発が望まれている。
ところで、オピオイドが作用するオピオイド受容体は、μ、δ、κの3つの受容体型に分類され、それぞれの受容体に結合する内因性リガンドや、数多くの合成リガンドが報告されている。またそれぞれの型の受容体に対する作動薬、拮抗薬は、各々異なった薬理学的特性を示すことが知られている。オピオイド拮抗薬を用いる薬物・物質依存の治療については、ナルトレキソン(μ拮抗薬)によるアルコール依存治療、また、ナルトレキソン、ブプレノルフィン(μ部分作動薬−κ作動薬)によるモルヒネ、ヘロインといったモルヒネ型薬物依存治療における臨床効果が知られている。さらに、コカイン乱用またはコカインの使用を阻止するために、オピオイドδ拮抗薬であるNaltrindole(NTI)を用いる方法が開示されている(米国特許5,411,965号)。しかし、一方ではNTIが、コカインの自己投与強化効果および場所条件付け報酬効果に対してなんら影響を及ぼさなかったとする報告もあり(de Vries,T.J.et al.,Psychopharmacol.,120,442,199)、オピオイドδ拮抗薬のコカイン依存に対する効果について、一定の見解が示されてきたとはいえない。加えて、コカインの使用を阻止することを開示する米国特許5,411,965号ではコカイン処置と同時に、あるいはコカイン処置前にNTIを投与した場合のコカイン強化効果に対する抑制作用が示されたにすぎず、通常治療の対象となる薬物・物質依存状態がすでに形成されている患者に対する事後投与での効果、すなわち薬物・物質依存に対する治療効果をなんら示すものではない。さらに、モルヒネ型の依存性薬物によって形成される身体依存に対するNTIの抑制作用が、米国特許5,352,680号に開示されている。しかし、本特許はNTIやその非可逆的結合性誘導体5’−NTIIが、モルヒネによる身体依存形成を防止する効果を示したものに過ぎず、これもまたその治療効果については全く記載されていない。
この他、オピオイド拮抗薬の依存性薬物・物質に対する効果としては、ナロキソンが、慢性喫煙者の喫煙量を減少させた例が知られている(Karras,A.et al.,Life Sci.,27,1541,1980)が、その一方で、ナロキソンが逆にニコチン依存ラットの退薬症候を促進し、作動薬であるモルヒネが、ニコチンの投与後に起こる退薬症候を抑制したというナロキソンの様な拮抗薬の治療薬としての有用性を否定する結果も報告されており(Malin,D.H.et al.,Psychopharmacology,112.339,1933)、ニコチン依存に対するオピオイド拮抗薬の治療効果に対する見解もまた必ずしも一定とはいえない。
なお、本発明になる化合物は、オピオイドδリガンドとして公知である(PCT WO97/11948号)が、該公報には薬物・物質依存治療薬としての効果は何ら開示されておらず、本発明により新規な医薬用途を提供するものである。
一般に作用点を中枢神経系(脳内)にもつ薬物では、細胞レベルにおけるin vitro評価で高い活性を示すにもかかわらず、実際に動物に投与するin vivo評価においてはほとんど作用を示さないということがしばしばある。このような現象が起こる原因は幾つか考えられるが、そのひとつとして薬物の脳内移行性が低いことをあげることができ、化合物の脳内移行性は、中枢神経系で作用する薬物としては重要な要因となりうる。
薬物依存は世界保健機構(WHO)において、「精神的に、時には身体的にも起こりうる状態であり、生体と薬物の相互作用によってもたらされる。その薬物の精神的な効果を体験しようとして、あるいは薬物効果が切れたときの不快を避けようとして、持続的または周期的に薬物を摂取したいという衝動を常に伴っている状態」と定義されている。同時にWHOでは、依存を形成する薬物を1.アルコール・バルビツール酸塩型 2.アンフェタミン型 3.大麻型 4.コカイン型 5.催幻覚薬(LSD)型 6.カート型 7.モルヒネ型 8.有機溶剤型の8タイプに分類している。また米国のNational Institute on Drug Abuse(NIDA)によれば、一般的に乱用される薬物として上記の他に、フルニトラゼパムを含むベンゾジアゼピン類、γヒドロキシブチレート、ケタミン、フェンサイクリジンとその誘導体、アナボリックステロイドなどが挙げられている。日本で乱用されることの多いメタンフェタミンは、アンフェタミン、メチルフェニデート、メチレンジオキシメタンフェタミン等のアンフェタミン型薬物(覚醒剤)の一種であり、コカイン型薬物、ニコチンと同じく興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質に分類されている。今のところ、これら薬物・物質依存を治療する方法、薬物として顕著な効果を示すものはなく、新規な治療薬の開発が望まれている。
ところで、オピオイドが作用するオピオイド受容体は、μ、δ、κの3つの受容体型に分類され、それぞれの受容体に結合する内因性リガンドや、数多くの合成リガンドが報告されている。またそれぞれの型の受容体に対する作動薬、拮抗薬は、各々異なった薬理学的特性を示すことが知られている。オピオイド拮抗薬を用いる薬物・物質依存の治療については、ナルトレキソン(μ拮抗薬)によるアルコール依存治療、また、ナルトレキソン、ブプレノルフィン(μ部分作動薬−κ作動薬)によるモルヒネ、ヘロインといったモルヒネ型薬物依存治療における臨床効果が知られている。さらに、コカイン乱用またはコカインの使用を阻止するために、オピオイドδ拮抗薬であるNaltrindole(NTI)を用いる方法が開示されている(米国特許5,411,965号)。しかし、一方ではNTIが、コカインの自己投与強化効果および場所条件付け報酬効果に対してなんら影響を及ぼさなかったとする報告もあり(de Vries,T.J.et al.,Psychopharmacol.,120,442,199)、オピオイドδ拮抗薬のコカイン依存に対する効果について、一定の見解が示されてきたとはいえない。加えて、コカインの使用を阻止することを開示する米国特許5,411,965号ではコカイン処置と同時に、あるいはコカイン処置前にNTIを投与した場合のコカイン強化効果に対する抑制作用が示されたにすぎず、通常治療の対象となる薬物・物質依存状態がすでに形成されている患者に対する事後投与での効果、すなわち薬物・物質依存に対する治療効果をなんら示すものではない。さらに、モルヒネ型の依存性薬物によって形成される身体依存に対するNTIの抑制作用が、米国特許5,352,680号に開示されている。しかし、本特許はNTIやその非可逆的結合性誘導体5’−NTIIが、モルヒネによる身体依存形成を防止する効果を示したものに過ぎず、これもまたその治療効果については全く記載されていない。
この他、オピオイド拮抗薬の依存性薬物・物質に対する効果としては、ナロキソンが、慢性喫煙者の喫煙量を減少させた例が知られている(Karras,A.et al.,Life Sci.,27,1541,1980)が、その一方で、ナロキソンが逆にニコチン依存ラットの退薬症候を促進し、作動薬であるモルヒネが、ニコチンの投与後に起こる退薬症候を抑制したというナロキソンの様な拮抗薬の治療薬としての有用性を否定する結果も報告されており(Malin,D.H.et al.,Psychopharmacology,112.339,1933)、ニコチン依存に対するオピオイド拮抗薬の治療効果に対する見解もまた必ずしも一定とはいえない。
なお、本発明になる化合物は、オピオイドδリガンドとして公知である(PCT WO97/11948号)が、該公報には薬物・物質依存治療薬としての効果は何ら開示されておらず、本発明により新規な医薬用途を提供するものである。
一般に作用点を中枢神経系(脳内)にもつ薬物では、細胞レベルにおけるin vitro評価で高い活性を示すにもかかわらず、実際に動物に投与するin vivo評価においてはほとんど作用を示さないということがしばしばある。このような現象が起こる原因は幾つか考えられるが、そのひとつとして薬物の脳内移行性が低いことをあげることができ、化合物の脳内移行性は、中枢神経系で作用する薬物としては重要な要因となりうる。
本発明は薬物・物質の依存治療薬を提供することを目的とし、具体的には、興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアンフェタミン型薬物(覚醒剤)、コカイン型薬物、催幻覚薬(LSD)型薬物、ニコチン等、および、抑制性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアルコール・バルビツール酸塩型薬物、モルヒネ型薬物、大麻型薬物、有機溶剤型薬物、ベンゾジアゼピン類等の向精神薬、更にはこれらの薬物・物質の二つ以上の併用によって生じた薬物・物質依存の治療において、従来の対症療法による治療ではなく、これら薬物・物質によって引き起こされる依存の発現自身を抑制する、脳内移行性の優れた薬物・物質依存治療薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記に述べた課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、一般式(I)で示される化合物が、血液脳関門を通過しやすい脂溶性の高い化合物であり、薬物・物質依存治療として特に有用であることを見出し、発明の完成に至った。すなわち、本発明は一般式(I)
[式中R1は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル(ここでアラルキルはアリールアルキル、アリールアルケニルを意味する)、炭素数3から7のアルケニル、フラニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)、チオフェニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)を表し、
R2は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表し、
R3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイロキシ、または炭素数7から13のアラルキロキシを表し、
−X−は2から5の炭素原子からなる架橋(ただし、そのうち1以上の炭素原子が窒素原子、酸素原子、または硫黄原子で置き換わってもよい)を表し、
mは0から3の整数を表し、
nは0から10の整数を表し、
m個のR4、n個のR5はそれぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、SR6、SOR6、SO2R6、(CH2)pOR6、(CH2)pCO2R6、SO2NR7R8、CONR7R8、(CH2)pNR7R8、または(CH2)pN(R7)COR8(ここで、pは0から5の整数を表し、R6は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R7、R8はそれぞれ別個に、水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表す)を表し(ただし上記m個のR4、n個のR5のうち、二つの隣接するR4、二つの隣接するR5、または隣接するR4、R5が結合して、ベンゼン縮合環、ピリジン縮合環、シクロペンタン縮合環、シクロヘキサン縮合環、またはシクロヘプタン縮合環を形成してもよい)、
R9は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数2から5のアルケニル、炭素数7から13のアラルキル、(CH2)pOR6、または(CH2)pCO2R6(p、R6は前記定義に同じ)を表し、R10、R11は結合して−O−、−S−、−CH2−を表すか、それぞれ別個にR10が水素、R11が水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表す]で示されるインドール誘導体、またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする薬物・物質依存治療薬、上記一般式(I)で示されるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた、薬物・物質の依存治療方法および上記一般式(I)で示されるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた、薬物・物質の依存治療のための使用に関する。
本発明者らは、上記に述べた課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、一般式(I)で示される化合物が、血液脳関門を通過しやすい脂溶性の高い化合物であり、薬物・物質依存治療として特に有用であることを見出し、発明の完成に至った。すなわち、本発明は一般式(I)
[式中R1は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル(ここでアラルキルはアリールアルキル、アリールアルケニルを意味する)、炭素数3から7のアルケニル、フラニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)、チオフェニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)を表し、
R2は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表し、
R3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイロキシ、または炭素数7から13のアラルキロキシを表し、
−X−は2から5の炭素原子からなる架橋(ただし、そのうち1以上の炭素原子が窒素原子、酸素原子、または硫黄原子で置き換わってもよい)を表し、
mは0から3の整数を表し、
nは0から10の整数を表し、
m個のR4、n個のR5はそれぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、SR6、SOR6、SO2R6、(CH2)pOR6、(CH2)pCO2R6、SO2NR7R8、CONR7R8、(CH2)pNR7R8、または(CH2)pN(R7)COR8(ここで、pは0から5の整数を表し、R6は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R7、R8はそれぞれ別個に、水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表す)を表し(ただし上記m個のR4、n個のR5のうち、二つの隣接するR4、二つの隣接するR5、または隣接するR4、R5が結合して、ベンゼン縮合環、ピリジン縮合環、シクロペンタン縮合環、シクロヘキサン縮合環、またはシクロヘプタン縮合環を形成してもよい)、
R9は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数2から5のアルケニル、炭素数7から13のアラルキル、(CH2)pOR6、または(CH2)pCO2R6(p、R6は前記定義に同じ)を表し、R10、R11は結合して−O−、−S−、−CH2−を表すか、それぞれ別個にR10が水素、R11が水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表す]で示されるインドール誘導体、またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする薬物・物質依存治療薬、上記一般式(I)で示されるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた、薬物・物質の依存治療方法および上記一般式(I)で示されるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた、薬物・物質の依存治療のための使用に関する。
上記のように、本発明は一般式(I)に示す化合物を有効成分とする薬物・物質依存治療薬である。
一般式(I)に示す化合物のうち、R1としては、水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルメチル、炭素数5から7のシクロアルケニルメチル、フェニル、ナフチル、炭素数7から13のフェニルアルキル、炭素数7から13のフェニルアルケニル、炭素数3から7のアルケニル、フラン−2−イル−(炭素数は1から5)アルキル、チオフェン−2−イル−(炭素数は1から5)アルキルが好ましく、特に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル、ベンジル、フェネチル、シンナミル、3−ブテニル、トランス−2−ブテニル、プレニル、アリル、フラン−2−イルメチル、フラン−2−イルエチル、チオフェン−2−イルメチル、チオフェン−2−イルエチルが好ましく、なかでもシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、3−ブテニル、トランス−2−ブテニル、プレニル、アリルが特に好ましい。
R2としては、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、プロピオノキシ、メトキシ、エトキシが好ましく、特に、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシが好ましい。
R3としては、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、プロピオノキシ、メトキシ、エトキシ、ベンジロキシが好ましく、特に、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシ、ベンジロキシが好ましい。
−X−としては、炭素数2から5のアルキレン(ただし、そのうち一つの炭素原子が窒素原子、酸素原子、または硫黄原子で置き換わってもよい)が好ましく、さらには、炭素数2から5のアルキレン、−(CH2)2−O−、−(CH2)2−S−が好ましい。
R4、R5としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、SR6、SOR6、SO2R6、(CH2)pOR6、(CH2)pCO2R6、SO2NR7R8、CONR7R8、(CH2)pNR7R8、(CH2)pN(R7)COR8(ただし、pは0から5の整数を表し、R6は水素または炭素数1から5のアルキルであり、R7、R8はそれぞれ別個に、水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数4から7のシクロアルキルアルキルである)が好ましく、特に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒロドキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジメチルカルバモイル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アミノが好ましい。もちろんm、nがともに0であって無置換であるものも好ましいもののひとつである。また、二つの隣接するR4、二つの隣接するR5、または隣接するR4、R5が結合して、ベンゼン縮合環、ピリジン縮合環、シクロペンタン縮合環、シクロヘキサン縮合環、シクロヘプタン縮合環を少なくとも一つ形成するものも好ましく、特にベンゼン縮合環を形成するものが好ましい。
R9としては、水素、炭素数1から5のアルキル、アリル、ベンジルが好ましく、特に水素、メチルが好ましい。
R10、R11としては、結合して−O−であるもの、またはR10は水素で、R11が水素、ヒドロキシ、メトキシのものが好ましく、特に両者が結合して−O−であるものが好ましいが、もちろんこれらに限られるものではない。
これら一般式(I)に示す化合物は、例えばPCT WO97/11948に示される方法に従って製造することができる。
薬理学的に好ましい酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンセンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等があげられ、中でも塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩等が好まれるが、これらもまた、これらに限られるものではない。
これら一般式(I)に示す化合物は、必要な安定性試験に合格した後、そのまま、または公知の薬理学的に許容される酸、担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口または非経口的に投与することができる。投与剤型としては、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、座剤等を挙げることができる。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.0001mg〜1gであり、経口剤の場合、0.005mg〜10gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
また、薬物・物質依存に対する治療効果を高めることを目的とした各種補助剤を製剤中に含有させることができ、また各々別個の製剤で併用させることもできる。併用される薬剤として格別に限定されるものはないが、具体的に例示すれば、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗痙攣薬、交感神経作動薬、NMDA受容体拮抗薬、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニン受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬、オピオイド作用薬、GABA受容体機能促進薬、抗炎症薬等を挙げることができる。更に具体的には、クロザピン、クエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、フルオキセチン、カルバマゼピン、ジアゼパム、ギャバペンチン、バルプロ酸、カルバマゼピン、クロニジン、フェントラミン、プラゾシン、ケタミン、イフェンプロジル、メキシチレン、ケタンセリン、塩酸サルポグレラート、べンゾジアゼピン、バルビツレート、フルオキセチン、オンダンセトロン、ジフェンヒドラミン、ナルトレキソン、ジクロフェナック等が挙げられる。更にアルコール依存治療にはジスルフィラムやアカンプロセート、ニコチン依存治療にはニコチン代替療法(ニコチンガムやニコチンパッチ、ニコチンワクチン)やブプロピオン等とも併用できる。その他薬物・物質依存の治療に用いられる電気ショック療法等と組み合わせて治療することも可能である。
治療対象となる薬物・物質依存には、興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはメタンフェタミン、アンフェタミン、メチルフェニデート、メチレンジオキシメタンフェタミン等のアンフェタミン型薬物(覚醒剤)、コカイン等のコカイン型薬物、LSD等の催幻覚薬型薬物、ニコチン等、および、抑制性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアルコール・バルビツール酸塩型薬物、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、ジヒドロコデイン等のモルヒネ型薬物、THC等の大麻型薬物、シンナー(トルエン・酢酸エチル)等の有機溶剤型薬物、ベンゾジアゼピン類(トリアゾラム、フルニトラゼパム等)、ハルシオン等の向精神薬によって生じる薬物・物質依存を例として挙げることができる。さらに、本発明で用いられる化合物は依存性薬物・物質のうち二つ以上の薬物・物質により生じる薬物・物質依存に対しても効果を発現するものである。
一般式(I)に示す化合物のうち、R1としては、水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルメチル、炭素数5から7のシクロアルケニルメチル、フェニル、ナフチル、炭素数7から13のフェニルアルキル、炭素数7から13のフェニルアルケニル、炭素数3から7のアルケニル、フラン−2−イル−(炭素数は1から5)アルキル、チオフェン−2−イル−(炭素数は1から5)アルキルが好ましく、特に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル、ベンジル、フェネチル、シンナミル、3−ブテニル、トランス−2−ブテニル、プレニル、アリル、フラン−2−イルメチル、フラン−2−イルエチル、チオフェン−2−イルメチル、チオフェン−2−イルエチルが好ましく、なかでもシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、3−ブテニル、トランス−2−ブテニル、プレニル、アリルが特に好ましい。
R2としては、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、プロピオノキシ、メトキシ、エトキシが好ましく、特に、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシが好ましい。
R3としては、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、プロピオノキシ、メトキシ、エトキシ、ベンジロキシが好ましく、特に、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシ、ベンジロキシが好ましい。
−X−としては、炭素数2から5のアルキレン(ただし、そのうち一つの炭素原子が窒素原子、酸素原子、または硫黄原子で置き換わってもよい)が好ましく、さらには、炭素数2から5のアルキレン、−(CH2)2−O−、−(CH2)2−S−が好ましい。
R4、R5としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、SR6、SOR6、SO2R6、(CH2)pOR6、(CH2)pCO2R6、SO2NR7R8、CONR7R8、(CH2)pNR7R8、(CH2)pN(R7)COR8(ただし、pは0から5の整数を表し、R6は水素または炭素数1から5のアルキルであり、R7、R8はそれぞれ別個に、水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数4から7のシクロアルキルアルキルである)が好ましく、特に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒロドキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジメチルカルバモイル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アミノが好ましい。もちろんm、nがともに0であって無置換であるものも好ましいもののひとつである。また、二つの隣接するR4、二つの隣接するR5、または隣接するR4、R5が結合して、ベンゼン縮合環、ピリジン縮合環、シクロペンタン縮合環、シクロヘキサン縮合環、シクロヘプタン縮合環を少なくとも一つ形成するものも好ましく、特にベンゼン縮合環を形成するものが好ましい。
R9としては、水素、炭素数1から5のアルキル、アリル、ベンジルが好ましく、特に水素、メチルが好ましい。
R10、R11としては、結合して−O−であるもの、またはR10は水素で、R11が水素、ヒドロキシ、メトキシのものが好ましく、特に両者が結合して−O−であるものが好ましいが、もちろんこれらに限られるものではない。
これら一般式(I)に示す化合物は、例えばPCT WO97/11948に示される方法に従って製造することができる。
薬理学的に好ましい酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンセンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等があげられ、中でも塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩等が好まれるが、これらもまた、これらに限られるものではない。
これら一般式(I)に示す化合物は、必要な安定性試験に合格した後、そのまま、または公知の薬理学的に許容される酸、担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口または非経口的に投与することができる。投与剤型としては、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、座剤等を挙げることができる。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.0001mg〜1gであり、経口剤の場合、0.005mg〜10gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
また、薬物・物質依存に対する治療効果を高めることを目的とした各種補助剤を製剤中に含有させることができ、また各々別個の製剤で併用させることもできる。併用される薬剤として格別に限定されるものはないが、具体的に例示すれば、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗痙攣薬、交感神経作動薬、NMDA受容体拮抗薬、カルシウムチャンネル遮断薬、セロトニン受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬、オピオイド作用薬、GABA受容体機能促進薬、抗炎症薬等を挙げることができる。更に具体的には、クロザピン、クエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、フルオキセチン、カルバマゼピン、ジアゼパム、ギャバペンチン、バルプロ酸、カルバマゼピン、クロニジン、フェントラミン、プラゾシン、ケタミン、イフェンプロジル、メキシチレン、ケタンセリン、塩酸サルポグレラート、べンゾジアゼピン、バルビツレート、フルオキセチン、オンダンセトロン、ジフェンヒドラミン、ナルトレキソン、ジクロフェナック等が挙げられる。更にアルコール依存治療にはジスルフィラムやアカンプロセート、ニコチン依存治療にはニコチン代替療法(ニコチンガムやニコチンパッチ、ニコチンワクチン)やブプロピオン等とも併用できる。その他薬物・物質依存の治療に用いられる電気ショック療法等と組み合わせて治療することも可能である。
治療対象となる薬物・物質依存には、興奮性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはメタンフェタミン、アンフェタミン、メチルフェニデート、メチレンジオキシメタンフェタミン等のアンフェタミン型薬物(覚醒剤)、コカイン等のコカイン型薬物、LSD等の催幻覚薬型薬物、ニコチン等、および、抑制性の中枢作用を有する依存性薬物・物質、特にはアルコール・バルビツール酸塩型薬物、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、ジヒドロコデイン等のモルヒネ型薬物、THC等の大麻型薬物、シンナー(トルエン・酢酸エチル)等の有機溶剤型薬物、ベンゾジアゼピン類(トリアゾラム、フルニトラゼパム等)、ハルシオン等の向精神薬によって生じる薬物・物質依存を例として挙げることができる。さらに、本発明で用いられる化合物は依存性薬物・物質のうち二つ以上の薬物・物質により生じる薬物・物質依存に対しても効果を発現するものである。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。ただし、下記実施例は例示のためのみ記載するものであり、いかなる場合においてもこれに限定されない。
分配係数を指標とした化合物の脂溶性の評価
血液から脳への移行には血液脳関門と呼ばれるバリアが存在し、脳中への移行には脂溶性の高さが重要な要素となる。化合物の脂溶性を見積もるパラメータの一つに分配係数Pがあり、分配係数Pは水中の化合物濃度に対すn−オクタノール中の化合物濃度の比として定義され、大きい値を示すほどその化合物の脂溶性が高いことを表す。分配係数Pは実験的に求めることができるほか、計算により求めることもできる。化合物1〜4について、Crippenらにより報告されている分配係数Pの対数logP値(Crippen,G.M.et al.,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21,1987)をCS Chem DrawR(CambridgSoft)を用いて算出し、その計算結果を表1に示した。なお、化合物1、3が本発明化合物であり、化合物2、4は比較対照化合物である。
血液から脳への移行には血液脳関門と呼ばれるバリアが存在し、脳中への移行には脂溶性の高さが重要な要素となる。化合物の脂溶性を見積もるパラメータの一つに分配係数Pがあり、分配係数Pは水中の化合物濃度に対すn−オクタノール中の化合物濃度の比として定義され、大きい値を示すほどその化合物の脂溶性が高いことを表す。分配係数Pは実験的に求めることができるほか、計算により求めることもできる。化合物1〜4について、Crippenらにより報告されている分配係数Pの対数logP値(Crippen,G.M.et al.,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21,1987)をCS Chem DrawR(CambridgSoft)を用いて算出し、その計算結果を表1に示した。なお、化合物1、3が本発明化合物であり、化合物2、4は比較対照化合物である。
覚せい剤による精神依存獲得後の回復過程に対する化合物1の促進効果(覚醒 剤依存治療効果)
覚せい剤による精神依存獲得後の回復期における化合物1の回復促進効果についてConditioned Place Preference法(Suzuki,T.et al.,Psychopharmacology,102,438,1990;Spyraki,C.,The psychopharmacology of addiction,p96,Oxford Medical Publication,New York,1988;以下、CPP法と略す)、により検討した。精神依存を形成させる覚せい剤として塩酸メタンフェタミンを用いた。また薬物依存治療薬として化合物1を用いた。
実験にはSD系雄性ラットを使用した。実験装置は白・黒の2−compartmentからなるCPP装置を用いた。実験はまず動物に薬物の感覚効果と装置内環境(白・黒)との条件付けトレーニングを6日間行い、条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによりテストを行った。薬物依存性はテストセッションにおける動物の白・黒ボックス内滞在時間を指標とし、薬物誘発の感覚効果を動物が好むかどうかで評価した。その結果、覚せい剤(2.0mg/kg、皮下)投与によって条件付けしたボックス側内の滞在時間が長くなり、覚せい剤依存形成が認められた(第2図、治療開始0日)。このようにして得られた覚せい剤依存獲得ラットを群分けし、溶媒または化合物1(0.3mg/kg)を1日2回皮下に投与した。溶媒または化合物1投与開始2、4、6、7日後に再びテストを試行し、覚せい剤依存状態の変化を観察した。
その結果、第1図に示されるように、溶媒投与群では覚せい剤依存状態は投与開始7日後まで維持されていたのに対して、化合物1(0.3mg/kg、皮下投与)の連日投与により投与開始4日後から明らかな覚せい剤依存状態からの回復がみられ、投与開始7日後には有意な回復が認められた。この結果は、化合物1が、依存獲得後の事後投与でも作用を示す、つまり、覚せい剤依存治療効果を有することを示している。
なお、第1図において*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
覚せい剤による精神依存獲得後の回復期における化合物1の回復促進効果についてConditioned Place Preference法(Suzuki,T.et al.,Psychopharmacology,102,438,1990;Spyraki,C.,The psychopharmacology of addiction,p96,Oxford Medical Publication,New York,1988;以下、CPP法と略す)、により検討した。精神依存を形成させる覚せい剤として塩酸メタンフェタミンを用いた。また薬物依存治療薬として化合物1を用いた。
実験にはSD系雄性ラットを使用した。実験装置は白・黒の2−compartmentからなるCPP装置を用いた。実験はまず動物に薬物の感覚効果と装置内環境(白・黒)との条件付けトレーニングを6日間行い、条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによりテストを行った。薬物依存性はテストセッションにおける動物の白・黒ボックス内滞在時間を指標とし、薬物誘発の感覚効果を動物が好むかどうかで評価した。その結果、覚せい剤(2.0mg/kg、皮下)投与によって条件付けしたボックス側内の滞在時間が長くなり、覚せい剤依存形成が認められた(第2図、治療開始0日)。このようにして得られた覚せい剤依存獲得ラットを群分けし、溶媒または化合物1(0.3mg/kg)を1日2回皮下に投与した。溶媒または化合物1投与開始2、4、6、7日後に再びテストを試行し、覚せい剤依存状態の変化を観察した。
その結果、第1図に示されるように、溶媒投与群では覚せい剤依存状態は投与開始7日後まで維持されていたのに対して、化合物1(0.3mg/kg、皮下投与)の連日投与により投与開始4日後から明らかな覚せい剤依存状態からの回復がみられ、投与開始7日後には有意な回復が認められた。この結果は、化合物1が、依存獲得後の事後投与でも作用を示す、つまり、覚せい剤依存治療効果を有することを示している。
なお、第1図において*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
本発明の薬物・物質依存治療薬は、一般式(I)に示すインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とし、薬物・物質依存治療の薬物療法に有用である。
Claims (10)
- 一般式(I)
[式中R1は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル(ここでアラルキルはアリールアルキル、アリールアルケニルを意味する)、炭素数3から7のアルケニル、フラニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)、チオフェニルアルキル(ただしアルキル部の炭素数は1から5である)を表し、
R2は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表し、
R3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイロキシ、または炭素数7から13のアラルキロキシを表し、
−X−は2から5の炭素原子からなる架橋(ただし、そのうち1以上の炭素原子が窒素原子、酸素原子、または硫黄原子で置き換わってもよい)を表し、
mは0から3の整数を表し、
nは0から10の整数を表し、
m個のR4、n個のR5はそれぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、SR6、SOR6、SO2R6、(CH2)pOR6、(CH2)pCO2R6、SO2NR7R8、CONR7R8、(CH2)pNR7R8、または(CH2)pN(R7)COR8(ここで、pは0から5の整数を表し、R6は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R7、R8はそれぞれ別個に、水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表す)を表し(ただし上記m個のR4、n個のR5のうち、二つの隣接するR4、二つの隣接するR5、または隣接するR4、R5が結合して、ベンゼン縮合環、ピリジン縮合環、シクロペンタン縮合環、シクロヘキサン縮合環、またはシクロヘプタン縮合環を形成してもよい)、
R9は水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数2から5のアルケニル、炭素数7から13のアラルキル、(CH2)pOR6、または(CH2)pCO2R6(p、R6は前記定義に同じ)を表し、R10、R11は結合して−O−、−S−、−CH2−を表すか、それぞれ別個にR10が水素、R11が水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表す]で示されるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする薬物・物質依存治療薬。 - 一般式(I)においてR10、R11が結合して−O−であるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする請求項1記載の薬物・物質依存治療薬。
- 一般式(I)においてR1が炭素数4から7のシクロアルキルアルキルまたは炭素数3から7のアルケニルであるインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする請求項2記載の薬物・物質依存治療薬。
- 一般式(I)においてR1がシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、3−ブテニル、トランス−2−ブテニル、プレニル、またはアリルであり、R2が水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシであり、R3が水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシ、またはベンジロキシであり、−X−が炭素数2から5のアルキレン、−(CH2)2−O−、または−(CH2)2−S−であり、m、nは独立して0または1であり、R4、R5がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒロドキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジメチルカルバモイル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルまたはアミノであり、R9が水素、メチルであるインドール誘導体、またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする請求項3記載の薬物・物質依存治療薬。
- 薬物・物質依存が興奮性の中枢作用を有する薬物・物質により生じる依存であることを特徴とする請求項1〜4記載の薬物・物質依存治療薬。
- 薬物・物質依存がニコチンあるいはアンフェタミン型薬物(覚醒剤)により生じる依存であることを特徴とする請求項1〜4記載の薬物・物質依存治療薬。
- 薬物・物質依存がコカイン型薬物により生じる依存であることを特徴とする請求項1〜4記載の薬物・物質依存治療薬。
- 薬物・物質依存が抑制性の中枢作用を有する依存性薬物・物質により生じる依存であることを特徴とする請求項1〜4記載の薬物・物質依存治療薬。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた薬物・物質の依存治療方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインドール誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を用いた薬物・物質の依存治療のための使用。
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