JPWO2004037410A1 - 炭素侵入型パラジウム金属、パラジウム触媒、及びこれらの製造方法、並びに、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

炭素侵入型パラジウム金属、パラジウム触媒、及びこれらの製造方法、並びに、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

炭素侵入量がパラジウム金属1.0モルに対して0.16モル以上である炭素侵入型パラジウム金属、及び、パラジウム金属の(111)面の結晶面間隔として、2.270Å以上となる結晶面間隔を有する炭素侵入型パラジウム金属は、α,β−不飽和カルボン酸製造反応等に用いるパラジウム触媒の原料として有用なものとなる。この炭素侵入型パラジウム金属は、塩素含有率が0〜300ppmのパラジウム化合物中のパラジウムを還元することで、好適に製造することができる。

Description

本発明は、炭素侵入型パラジウム金属およびその炭素侵入型パラジウム金属を含むα,β−不飽和カルボン酸製造用等のパラジウム触媒、炭素侵入型パラジウム金属の製造方法およびパラジウム触媒の製造方法、並びに、そのパラジウム触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
XRDパターンのデータベースJCPDSによれば、一般的なパラジウム0価金属の(111)面の結晶面間隔は2.246Å(回折角;2θ=40.12°)である。
パラジウム金属には製造方法・条件等によっては、内部に炭素が侵入することが知られている。例えば、J.Am.Chem.Soc.,107(1985),p4547−4548.には、気相でのエチレン、アセチレン、一酸化炭素との相互作用によりパラジウム黒への炭素侵入が起きることが記載されている。また、J.Phys.Chem.B,101(1997),p5470−5472.には、超音波照射による水溶液中での炭素侵入型パラジウムナノ粒子の調製方法が記載されている。しかしながら、これらの方法で調製される炭素侵入型パラジウム金属の炭素侵入量はパラジウム金属1.0モルに対して0.15モル以下である。また、これらの方法では、200℃以上の高温処理や高出力超音波の照射などの厳しい調製条件によって、炭素侵入型パラジウム金属が調製されている。
一方、パラジウム金属は各種反応の触媒として利用できることが知られている。例えば、特開昭60−139341号公報、特開昭60−139643号公報および特開昭60−155148号公報には、パラジウム金属を含むパラジウム触媒の存在下、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化することでα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法が開示されており、そのパラジウム触媒は炭素数3〜6のオレフィンでパラジウム化合物を還元して製造できることが開示されている。
また、工業化学雑誌74巻4号(1971),p134−139.には、塩化パラジウム水溶液から調製したパラジウム黒触媒を用いて水中でプロピレンの液相酸化反応を行う方法が記載されている。Catalysis Today,3(1988),p245−258.には、活性炭担持パラジウム触媒を用いてプロピレン、1−ブテン、2−ブテンおよびイソブチレンを選択酸化させる方法が記載されている。特開昭56−59722号公報には、モリブデン化合物の水溶液とパラジウム触媒を用いて液相中でオレフィンを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和アルデヒドおよびα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法が記載されており、パラジウム触媒の原料としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、酸化パラジウムが使用できることが記載されている。
本願発明者らの検討によれば、上述のようなパラジウム触媒の原料である、塩化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム化合物には、通常300ppm越える塩素が含まれている。このようなパラジウム化合物を使用して調製したパラジウム金属の炭素侵入量は実質的に0であり、パラジウム金属の(111)面の結晶面間隔は2.246Å程度である。
また、国際公開WO02/083299号公報には酢酸パラジウムを還元して調製されたX線回折パターンのd値が約2.30Åの実質的に非晶質のパラジウム金属触媒を用いて、アクリル酸およびメタクリル酸を製造する方法が記載されている。本願発明者らがこの文献の実施例を追試したところ、反応成績の算出において考慮されていない多くのポリマーやオリゴマーが生成していた。これらの生成量を考慮すると、この文献の実施例欄に記載の反応成績はより低くなる。
<先行文献リスト>
特開昭60−139341号公報
特開昭60−139643号公報
特開昭60−155148号公報
特開昭56−59722号公報
J.Am.Chem.Soc.,107(1985),p4547−4548
J.Phys.Chem.B,101(1997),p5470−5472
工業化学雑誌74巻4号(1971),p134−139
Catalysis Today,3(1988),p245−258
国際公開WO02/083299号公報
上述した文献に開示されたパラジウム触媒は、各種の反応、特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化することでα,β−不飽和カルボン酸を製造する反応に用いた場合の反応成績が十分でない。
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸製造反応等の各種の反応の触媒となるパラジウム触媒として有用な炭素侵入型パラジウム金属およびその炭素侵入型パラジウム金属を含むα,β−不飽和カルボン酸製造用等のパラジウム触媒、これらの製造方法、並びに、そのパラジウム触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、炭素侵入量がパラジウム金属1.0モルに対して0.16モル以上である炭素侵入型パラジウム金属である。また、X線回折分析により測定される回折角から算出したパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値が2.270Å以上である炭素侵入型パラジウム金属である。
本発明は、上記の炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒、特に、α,β−不飽和カルボン酸製造用のパラジウム触媒である。
本発明は、塩素含有率が0〜300ppmのパラジウム化合物を溶媒に溶解したパラジウム化合物溶液中で、該パラジウム化合物中のパラジウムを還元する工程を有する炭素侵入型パラジウム金属の製造方法である。
この炭素侵入型パラジウム金属の製造方法において、前記工程を−5〜150℃で行うことが好ましい。また、前記溶媒が、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合溶媒であることが好ましい。前記有機溶媒が、カルボン酸類、ケトン類およびアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
この炭素侵入型パラジウム金属の製造方法では、前記工程における還元を還元剤により行うことが好ましい。前記還元剤が、炭素数2〜6のオレフィン類であることがより好ましい。
このような炭素侵入型パラジウム金属の製造方法は、上述のように規定される本発明の炭素侵入型パラジウム金属の製造する方法として好適である。
本発明は、上記の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法を含むパラジウム触媒の製造方法である。
本発明は、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和カルボン酸とする反応を、上記のα,β−不飽和カルボン酸製造用のパラジウム触媒の存在下で行うα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明の炭素侵入型パラジウム金属は各種反応の触媒となるパラジウム触媒として有用であり、特にα,β−不飽和カルボン酸製造用のパラジウム触媒として有用である。また、本発明の炭素侵入型パラジウム金属およびパラジウム触媒の製造方法によれば、前述のような炭素侵入型パラジウム金属およびパラジウム触媒を製造することができる。さらに、この炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化することで、α,β−不飽和カルボン酸を高収率で製造することできる。
図1は、実施例1で調製した炭素侵入型パラジウム金属のX線回折分析チャートである。
図2は、実施例2で調製した炭素侵入型パラジウム金属のX線回折分析チャートである。
図3は、比較例1で調製したパラジウム金属のX線回折分析チャートである。
図4は、比較例2で調製したパラジウム金属のX線回折分析チャートである。
本発明の炭素侵入型パラジウム金属は、炭素侵入量がパラジウム金属1.0モルに対して0.16モル以上である炭素侵入型パラジウム金属である。この炭素侵入量は、0.19モル以上が好ましく、0.22モル以上がより好ましく、0.25モル以上が特に好ましい。また、この炭素侵入量は、0.81モル以下が好ましく、0.78モル以下がより好ましく、0.75モル以下が特に好ましい。なお、炭素侵入量は、元素分析により炭素侵入型パラジウム金属中の炭素を定量することで求めることができる。
ところで、パラジウム金属へ炭素が侵入するとパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔が広がることがX線回折分析(XRD)によって観察される。これは、パラジウム金属への炭素侵入量が多いほどパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔が広い部分の割合が増加するためと推定される。すなわち、本発明の炭素侵入型パラジウム金属は、X線回折分析により測定される回折角から算出したパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値が2.270Å以上(回折角;2θ≦39.68°)となるものである。この結晶面間隔の値は、2.272Å以上(回折角;2θ≦39.64°)であることが好ましい。また、この結晶面間隔の値は、2.290Å以下(回折角;2θ≧39.32°)であることが好ましい。なお、XRD測定により測定される、パラジウム金属の(111)面の結晶面間隔に対応する回折角は、通常38.9〜40.2°に観察される。XRD測定により測定される回折角がこの範囲に2つ以上観察される場合、そのうち最も小さい回折角から算出されたパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値が上記の条件を満たせばよい。
上述のような本発明の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法は特に限定されないが、例えば、パラジウム化合物を溶媒に溶解したパラジウム化合物溶液中で、パラジウム化合物中のパラジウムを還元する方法、パラジウム化合物を粉末のまま熱処理する方法、酸化状態のパラジウムを熱処理などにより処理する方法等が挙げられる。中でも、触媒調製の容易さと再現性の点で、パラジウム化合物を溶媒に溶解したパラジウム化合物溶液中で、パラジウム化合物中のパラジウムを還元する方法が好ましく、以下、この方法について詳細に説明する。
パラジウム化合物は、塩素含有率が0〜300ppmのものが好ましい。塩素含有率は低いほど目的とするパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔が広がる傾向がある。塩素含有率の上限については、200ppm以下がより好ましく、150ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が特に好ましい。また塩素含有率の下限については、10ppm以上がより好ましく、20ppm以上がさらに好ましく、30ppm以上が特に好ましい。パラジウム化合物としては、例えば、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、ビスアセチルアセトナートパラジウム等のパラジウム塩、酸化パラジウム等のパラジウム酸化物等が挙げられ、中でも、溶媒への溶解性や熱分解の容易性の点でパラジウム塩が好ましく、特に酢酸パラジウムが好ましい。ただし、市販されている工業グレードのパラジウム化合物の塩素含有率は通常300ppmを越えているため、パラジウム化合物の選定に際しては、その塩素含有率を十分考慮することが好ましい。また、塩素含有率の高い市販のパラジウム化合物を活性炭吸着等の処理をして、塩素含有率を低減したパラジウム化合物を使用してもよい。
このような塩素含有量が少ないパラジウム化合物を用いた本発明の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法によれば、前述のような炭素侵入型パラジウム金属を好適に製造できる。なお、所望の炭素侵入量となる炭素侵入型パラジウム金属は、パラジウム化合物の塩素含有量、製造条件(溶媒の塩素含有量等)を適宜選定することで製造することができる。
パラジウム化合物を溶解する溶媒としては、例えば、水;カルボン酸類、ケトン類、エステル類、アルコール類等の有機溶媒;水と有機溶媒の混合溶媒等が挙げられる。中でも、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合溶媒が好ましい。
有機溶媒は、カルボン酸類、ケトン類およびアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、炭素数2〜6のカルボン酸類、炭素数3〜6のケトン類およびターシャリーブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、炭素数2〜6のカルボン酸類を含むことが特に好ましい。炭素数2〜6のカルボン酸類は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸およびiso−吉草酸からなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましい。中でもn−吉草酸が特に好ましい。炭素数3〜6のケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機溶媒は、パラジウム塩の溶解性を考虞して適宜選択すればよい。
水と有機溶媒の混合溶媒は、水と上記のような有機溶媒の混合溶媒が好ましい。混合溶媒は、均一な状態であることが望ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。混合溶媒中の水の量は特に限定されず、任意の量とすることができるが、水と有機溶媒の合計質量に対して、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、8質量%以上が特に好ましく、10質量%以上が最も好ましい。また、混合溶媒中の水の量は、水と有機溶媒の合計質量に対して、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましく、20質量%以下が最も好ましい。
目的の炭素侵入型パラジウム金属にパラジウム以外の金属を含有させる場合は、パラジウム化合物溶液にその金属の金属化合物を溶解させておく方法が利用できる。炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒の触媒活性の観点から、炭素侵入型パラジウム金属におけるパラジウム以外の金属が50原子%以下となる量であることが好ましい。また、パラジウム以外の金属の金属化合物に含まれる塩素化合物は少ないほど好ましい。
パラジウム化合物溶液中のパラジウム化合物濃度は特に限定されないが、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、パラジウム化合物濃度は、10質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。パラジウム化合物溶液中の塩素濃度は5ppm以下が好ましく、3ppm以下がより好ましい。
パラジウム化合物中のパラジウムは、各種の還元剤によって還元できる。還元剤は特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、ホルマリン、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。還元剤としては、炭素数2〜6のオレフィン類が好ましく、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンおよび2−ブテンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
還元剤が気体の場合、パラジウム化合物中のパラジウムの還元はオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は通常0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)である。
また、還元剤が液体又は固体の場合は、パラジウムの還元を行う装置に制限はなく、パラジウム化合物溶液中に還元剤を添加することで行うことができる。このときの還元剤の使用量は特に限定されないが、パラジウム化合物1モルに対して通常1〜50モル程度である。
パラジウムを還元する際の温度は特に限定されないが、その下限については、−5℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、10℃以上がさらに好ましく、15℃以上が特に好ましい。また、還元温度の上限については、150℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、45℃以下がさらに好ましく、40℃以下が特に好ましい。
このような方法によりパラジウム化合物中のパラジウムを還元することで、パラジウム化合物溶液中に0価のパラジウム金属が析出する。同時に炭素がパラジウム金属中に侵入し、所望の炭素侵入量となる炭素侵入型パラジウム金属が得られる。炭素侵入型パラジウム金属は、適宜溶媒で洗浄され、遠心分離やろ過等の固液分離手段により溶媒から分離される。分離された炭素侵入型パラジウム金属は適宜乾燥される。
本発明のパラジウム触媒は、上述のような炭素侵入型パラジウム金属を含むものであり、炭素侵入型パラジウム金属そのもの(非担持型パラジウム触媒)でも良く、活性炭等に担持させた担持型パラジウム触媒でも良い。担持型パラジウム触媒を製造する場合は、上述のパラジウム化合物溶液中に活性炭などの担体を存在させる方法、炭素侵入型パラジウム金属を製造した後に活性炭などの担体に担持させる方法等が採用できる。
本発明のパラジウム触媒は、上述のような炭素侵入型パラジウム金属を含むものであるが、パラジウム触媒に含まれる場合の炭素侵入型パラジウム金属の炭素侵入量は、パラジウム金属1.0モルに対して、通常0.16モル以上であり、0.19モル以上が好ましく、0.22モル以上がより好ましく、0.25モル以上が特に好ましい。また、この炭素侵入量は、0.81モル以下が好ましく、0.78モル以下がより好ましく、0.75モル以下が特に好ましい。
パラジウム触媒は、実質的に炭素の侵入していないパラジウム金属を含んでいても良い。このとき、パラジウム触媒に含まれる炭素侵入型パラジウム金属と実質的に炭素の侵入していないパラジウム金属の合計量を100質量部としたとき、炭素侵入型パラジウム金属が30質量部以上であることが好ましい。
パラジウム触媒は、適宜溶媒で洗浄され、遠心分離やろ過等の固液分離手段により溶媒から分離される。分離されたパラジウム触媒は適宜乾燥される。
このようにして、本発明のパラジウム触媒が得られる。
このような本発明のパラジウム触媒は、例えば、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和カルボン酸とする反応(以下、液相酸化ともいう。)の触媒として好適に使用することができる。
パラジウム触媒は、あらかじめ活性化処理してもよい。活性化の方法は特に限定されず、例えば、水素気流中の還元雰囲気下で加熱する方法が一般的である。
次に、本発明のパラジウム触媒を用いてα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。α,β−不飽和カルボン酸の製造方法としては、液相中で、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化して、α,β−不飽和カルボン酸とする反応を、本発明のパラジウム触媒の存在下で行う方法が好ましい。このような方法によれば、高収率でα,β−不飽和カルボン酸を製造可能となる。
オレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン等が挙げられる。また、α,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。
製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、原料がオレフィンの場合、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸であり、原料がα,β−不飽和アルデヒドの場合、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基となったα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がプロピレンまたはアクロレインの場合アクリル酸が得られ、原料がイソブチレンまたはメタクロレインの場合メタクリル酸が得られる。
本発明のパラジウム触媒は、プロピレンまたはアクロレインからアクリル酸、イソブチレンまたはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化に特に好適である。
原料のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドには、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等が少々含まれていてもよい。
液相酸化反応に用いる分子状酸素の源は、空気が経済的であり好ましいが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。この空気等のガスは、通常オートクレーブ等の反応容器内に加圧状態で供給される。
液相酸化に用いる溶媒は特に限定されないが、水;アルコール類;ケトン類;有機酸類;有機酸エステル類;炭化水素類等が使用できる。アルコール類としては、例えば、ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。液相酸化に用いる溶媒は、炭素数2〜6の有機酸類、炭素数3〜6のケトン類、ターシャリーブタノールが好ましく、特に酢酸、n−吉草酸が好ましい。溶媒は1種でも、2種以上の混合溶媒でもよい。また、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合は、水との混合溶媒とすることが好ましい。混合溶媒中の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して、下限は2質量%以上が好ましく、5質量%以上より好ましい。また、上記水の量の上限は70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。混合溶媒は、均一であることが望ましいが、不均一な状態で用いても差し支えない。
液相酸化反応は、連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると連続式が好ましい。
液相酸化を行う反応液中のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの量は、溶媒100質量部に対して、通常0.1質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以上である。また、上記原料の使用量の上限は、通常80質量部以下であり、好ましくは70質量部以下である。
分子状酸素の量は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して、通常0.1モル以上であり、好ましくは0.3モル以上であり、より好ましくは0.5モル以上である。また、分子状酸素使用量の上限は、通常30モル以下であり、好ましくは25モル以下であり、より好ましくは20モル以下である。
通常、パラジウム触媒は液相酸化を行う反応液に懸濁させた状態で使用されるが、固定床で使用してもよい。反応液中のパラジウム触媒の量は、液相酸化を行う反応器内に存在する溶液100質量部に対して、その反応器内に存在するパラジウム触媒として通常0.01質量部以上であり、好ましくは0.2質量部以上である。また、触媒の使用量の上限は、通常60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
液相酸化を行う温度および圧力は、用いる溶媒および原料によって適宜選択される。反応温度の下限は、通常60℃以上であり、好ましくは70℃以上であり、上限は、通常200℃以下であり、好ましくは150℃以下である。また、反応圧力の下限は、通常0.5MPa(ゲージ圧)以上、好ましくは2MPa(ゲージ圧)以上であり、上限は、通常10MPa(ゲージ圧)以下であり、好ましくは7MPa(ゲージ圧)以下である。
本発明のパラジウム触媒を用いることにより、高収率でα,β−不飽和カルボン酸を製造できる理由は明確ではないが、所望の炭素侵入量となる炭素侵入型パラジウム金属を用いることで、液相酸化を行う反応液中でのパラジウム触媒の分散性が向上するためと推定される。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は「質量部」を意味する。
(原料および生成物の分析)
原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。オレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドの反応率、α,β−不飽和アルデヒドの選択率、ポリマー・オリゴマーの選択率、α,β−不飽和カルボン酸の選択率および収率は以下のように定義される。
オレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドの反応率(%)
=(B/A)×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%)=(C/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%)=(D/B)×100
ポリマー・オリゴマーの選択率(%) =(E/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の収率(%) =(D/A)×100
ここで、Aは供給したオレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Bは反応したオレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Cは生成したα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成したα,β−不飽和カルボン酸のモル数、Eは生成したポリマーおよびオリゴマーの総質量(単位:g)を供給したオレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドの分子量で除して算出したオレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒド換算のポリマーおよびオリゴマーのモル数である。ここで、α,β−不飽和アルデヒドの酸化反応の場合には、C/B=0である。
(塩素含有率の測定)
塩素含有率は、ダイオネクス社製AQ2211(商品名)(カラム;AS−12A、流速;1.5ml/min)によるイオンクロマトグラフ法によりパラジウム化合物中の塩素を定量することで求めた。
(炭素侵入量の測定)
炭素侵入量は、エレメンタール社製VarioELIII(商品名)による元素分析により炭素侵入型パラジウム金属中の炭素を定量することで求めた。
(XRDにより測定される結晶面間隔の値の算出)
株式会社リガク製RU−200A(商品名)によるX線回折分析(XRD)(X線;Cu−Kα/40kV/100mA、スキャンスピード;4°/min)を行い、得られた回折角をブラックの条件式に代入して、パラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値を算出した。
(炭素侵入型パラジウム金属の調製)
パラジウム化合物として酢酸パラジウム(塩素含有率62ppm、アルドリッチ社製)1.1部を、溶媒である92質量%n−吉草酸水溶液62.0部に添加し、80℃において加熱溶解した。得られた反応液を室温まで放冷し、攪拌装置を備えたオートクレーブに仕込み密閉した。回転数を1200rpmに合わせて攪拌を開始し、窒素ガスの導入と放出を数回繰り返してオートクレーブ内部を窒素置換した。その後、プロピレンガスを0.6MPa(ゲージ圧)まで導入し、ヒーターにより50℃まで昇温して1時間保持した。
その後、氷浴により20℃まで冷却し、オートクレーブ内部のガスを放出した後、オートクレーブを開放した。オートクレーブ内の反応液を遠沈管に移液し、遠心分離により炭素侵入型パラジウム金属を沈降させた後、上澄み液を除去した。80質量%酢酸水溶液を添加して遠心分離と上澄み液の除去を3回繰り返すことで炭素侵入型パラジウム金属を洗浄し、黒色の炭素侵入型パラジウム金属を得た。得られた炭素侵入型パラジウム金属の炭素侵入量はパラジウム金属1.0モルに対して0.31モルであり、XRDにより測定される回折角から算出したパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値は2.282Å(2θ=39.46°)であった。なお、得られたXRDチャートを図1に示す。
(パラジウム触媒の性能評価)
攪拌装置を備えたオートクレーブに、液相酸化の溶媒としてp−メトキシフェノールを200ppm含有する80質量%酢酸水溶液150部を仕込み、上記の炭素侵入型パラジウム金属0.5部をパラジウム触媒として分散させた。さらに液相酸化する原料としてメタクロレイン5.0部を添加した。オートクレーブを密閉した後、攪拌回転数400rpmで攪拌を開始し、ヒーターにより90℃まで昇温した。90℃に達した時点で3.5MPa(ゲージ圧)まで空気を導入し攪拌回転数を1000rpmに増加させて、そのまま40分間保持することで液相酸化反応を実施した。
反応終了後、氷浴により20℃まで冷却した。また、オートクレーブのガス出口には、冷水を入れた吸収管とガス捕集袋をこの順に取り付けた。オートクレーブのガス出口を開くことで、ガスを回収しながらオートクレーブ内の圧力を開放した。オートクレーブ内の反応液を遠沈管に移液し、遠心分離によりパラジウム触媒を沈降させた。上澄み液をPTFE製のメンブレンフィルター(孔径:0.5μm)に通して回収した。
この結果、メタクロレイン反応率83.5%、メタクリル酸選択率76.8%、ポリマー・オリゴマー選択率5.3%およびメタクリル酸収率64.1%であった。
パラジウム化合物として酢酸パラジウム(塩素含有率80ppm、田中貴金属社製)1.0部を用い、溶媒として93質量%n−吉草酸水溶液150部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして炭素侵入型パラジウム金属の調製を行った。得られた炭素侵入型パラジウム金属の炭素侵入量はパラジウム金属1.0モルに対して0.32モルであり、XRDにより測定される回折角から算出したパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値は2.281Å(2θ=39.48°)であった。なお、得られたXRDチャートを図2に示す。
この炭素侵入型パラジウム金属をパラジウム触媒として使用すること以外は、実施例1と同様にして、パラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率86.4%、メタクリル酸選択率72.5%、ポリマー・オリゴマー選択率8.0%およびメタクリル酸収率62.6%であった。
実施例1の手順で調製した炭素侵入型パラジウム金属を85質量%酢酸水溶液50部に分散し、さらに活性炭(比表面積;840m/g、細孔容積;0.42cc/g、平均細孔径;2.0nm)5.0部を添加して20℃にて1時間攪拌した。得られた分散液を窒素気流下にて吸引ろ過して、活性炭担持パラジウム触媒を得た。この活性炭担持パラジウム触媒のパラジウム担持率は10質量%であった。
この活性炭担持パラジウム触媒5.5質量部をパラジウム触媒として使用し、液相酸化の溶媒としてp−メトキシフェノールを200ppm含有する75質量%酢酸水溶液150部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、パラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率85.3%、メタクリル酸選択率75.2%、ポリマー・オリゴマー選択率6.5%およびメタクリル酸収率64.1%であった。
実施例1の炭素侵入型パラジウム金属をパラジウム触媒として用いて、液相酸化の溶媒としてp−メトキシキノンを200ppm含有する70質量%ターシャリーブタノール150部を用い、液相酸化する原料として液化イソブチレン6.5部を用い、空気を3.5MPa(ゲージ圧)まで導入する代わりに窒素を0.6MPa(ゲージ圧)まで導入後40体積%の酸素を含有する酸素/窒素混合ガスを3.5MPa(ゲージ圧)までを導入したこと以外は、実施例1と同様にして、パラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、イソブチレン反応率43.5%、メタクロレイン選択率37.9%、メタクリル酸選択率8.6%、ポリマー・オリゴマー選択率15.8%およびメタクリル酸収率3.7%であった。
<比較例1>
パラジウム化合物として酢酸パラジウム(塩素含有率480ppm、PMC社製)1.0部を用い、溶媒として90質量%n−吉草酸水溶液150部を用いたこと以外は、実施例1の炭素侵入型パラジウム金属の調製方法と同様の調製を行った。得られたパラジウム金属の炭素侵入量はパラジウム金属1.0モルに対して0.07モルであった。また、XRDにより測定される回折角から算出したパラジウム(111)面の結晶面間隔の値は2.264Å(2θ=39.78°)であった。なお、得られたXRDチャートを図3に示す。
このパラジウム金属をパラジウム触媒として使用すること以外は、実施例1と同様にして、パラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率71.3%、メタクリル酸選択率48.0%、ポリマー・オリゴマー選択率21.5%およびメタクリル酸収率34.2%であった。
<比較例2>
パラジウム化合物として酢酸パラジウム(塩素含有率1100ppm、エヌイーケムキャット社製)1.0部を用い、溶媒として93質量%n−吉草酸水溶液150部を用いたこと以外は、実施例1の炭素侵入型パラジウム金属の調製方法と同様の調製を行った。得られたパラジウム金属の炭素侵入量は実質的に0であり、炭素侵入は観測されなかった。また、XRDにより測定される回折角から算出したパラジウム(111)面の結晶面間隔の値は2.244Å(2θ=40.16°)であった。なお、得られたXRDチャートを図4に示す。
このパラジウム金属をパラジウム触媒として使用すること以外は、実施例1と同様にして、パラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率32.9%、メタクリル酸選択率42.8%、ポリマー・オリゴマー選択率36.0%およびメタクリル酸収率14.1%であった。
<比較例3>
比較例1の手順で調製したパラジウム金属を用いて、実施例3と同様な方法により活性炭担持パラジウム触媒を得た。反応溶媒として75%酢酸水溶液150部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、触媒性能評価を行なった。この結果、メタクロレイン反応率72.5%、メタクリル酸選択率46.0%、ポリマー・オリゴマー選択率22.2%およびメタクリル酸収率33.4%であった。
<比較例4>
比較例1のパラジウム金属をパラジウム触媒として用いて、窒素を0.6MPa(ゲージ圧)まで導入した後空気を3.5MPa(ゲージ圧)まで導入したこと以外は実施例4と同様にしてパラジウム触媒の性能評価を行った。この結果、イソブチレン反応率23.6%、メタクロレイン選択率10.2%、メタクリル酸選択率2.5%、ポリマー・オリゴマー選択率54.7%およびメタクリル酸収率0.6%であった。
以上の結果を表1、2にまとめて示す。
Figure 2004037410
Figure 2004037410
このように、本発明の炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒を用いることで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を高収率で製造できることが判明した。
産業上の利用の可能性
本発明の炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒は、例えば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を得るための反応に用いた場合の触媒活性が高く、このパラジウム触媒を用いることで、α,β−不飽和カルボン酸を高収率で製造できる。

Claims (13)

  1. 炭素侵入量がパラジウム金属1.0モルに対して0.16モル以上である炭素侵入型パラジウム金属。
  2. X線回折分析により測定される回折角から算出したパラジウム金属の(111)面の結晶面間隔の値が2.270Å以上である炭素侵入型パラジウム金属。
  3. 請求項1または2記載の炭素侵入型パラジウム金属を含むパラジウム触媒。
  4. α,β−不飽和カルボン酸製造用である請求項3記載のパラジウム触媒。
  5. 塩素含有率が0〜300ppmのパラジウム化合物を溶媒に溶解したパラジウム化合物溶液中で、該パラジウム化合物中のパラジウムを還元する工程を有する炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  6. 前記工程を−5〜150℃で行う請求項5記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  7. 前記溶媒が、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合溶媒である請求項5または6記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  8. 前記有機溶媒が、カルボン酸類、ケトン類およびアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項7記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  9. 前記工程における還元を還元剤により行う請求項5〜8のいずれかに記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  10. 前記還元剤が炭素数2〜6のオレフィン類である請求項9記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  11. 請求項1または2記載の炭素侵入型パラジウム金属を製造する請求項5〜10のいずれかに記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法。
  12. 請求項5〜11のいずれかに記載の炭素侵入型パラジウム金属の製造方法を含むパラジウム触媒の製造方法。
  13. 液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和カルボン酸とする反応を、請求項4記載のパラジウム触媒の存在下で行うα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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