JPS648751B2

JPS648751B2 -

Info

Publication number: JPS648751B2
Application number: JP14449383A
Authority: JP
Inventors: Tatsuro Yamaguchi; Isahiro Minemura
Original assignee: Teijin Ltd
Current assignee: Teijin Ltd
Priority date: 1983-08-09
Filing date: 1983-08-09
Publication date: 1989-02-15
Also published as: JPS6039482A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は、柔軟で且つ優れた揆水・揆油性と洗
濯耐久性とを有する合成繊維布帛及びその製造法
に関する。（従来技術）従来、合成繊維織編物に撥水性、撥油性などの
機能性付与を目的として、その表面をフツ素含有
重合体にて被覆する方法はよく知られている。具
体的にはフツ素含有重合体の溶剤溶液又は水系エ
マルジヨンを布帛に付与し乾燥後必要に応じて加
熱処理することにより、繊維の表面にフツ素含有
重合体の皮膜を形成させる方法が一般的である。
かかる方法で得られた布帛は柔軟で且つ優れた撥
水・撥油性を呈するが、その呈する撥水・撥油性
の洗濯耐久性は乏しく、ユニホーム、おむつカバ
ー等の洗濯耐久性を要求される分野には展開が困
難であつた。一方、この様な撥水・撥油性の洗濯耐久性を向
上せんとして付与するフツ素含有重合体の量を増
加しても、洗濯耐久性の向上は僅かであり、むし
ろ風合が硬くなるという弊害を有していた。（発明の構成）本発明者は上記目的を達成せんとして鋭意検討
した結果、布帛を構成する繊維の表面とフツ素含
有重合体との間にフツ素原子含有アクリレート系
単量体、フツ素原子を含有しない共単量体（以
下、非フツ素共単量体と称することがある）、及
び架橋剤とから成る共重合体皮膜が存在すると、
共重合体皮膜は柔軟で高強度であると共にフツ素
含有重合体との間に強い接合力が発生するので、
布帛の風合は硬化することなく撥水・撥油性の洗
濯耐久性が著しく向上することが判明し、本発明
に到達した。即ち、本発明は布帛を構成する合成繊維の表面
に、分子内にフツ素原子を有するアクリレート系
又はメタアクリレート系単量体、フツ素原子を含
有しない共単量体、及び架橋剤とから成る共重合
体皮膜が形成されており、且つ該皮膜を介してフ
ツ素含有重合体皮膜が形成されていることを特徴
とする合成繊維布帛、及び合成繊維から成る布帛
の表面に、分子内にフツ素原子を有するアクリレ
ート系又はメタアクリレート系単量体、フツ素原
子を含有しない共単量体、架橋剤、及びフツ素含
有重合体とを含む処理液を付与し、次いで前記単
量体、共単量体、及び架橋剤を共重合せしめるこ
とを特徴とする合成繊維布帛の製造法である。本発明の合成繊維布帛は、布帛を構成する合成
繊維の表面に、分子内にフツ素原子を有するアク
リレート系又はメタアクリレート系単量体、非フ
ツ素共単量体、及び架橋剤とからなる共重合体皮
膜を有していると共に、共重合体皮膜を介して全
体又は部分的にフツ素含有重合体で覆われている
ことが必要である。ここで、かかる皮膜がフツ素原子を有するアク
リレート系又はメタアクリレート系単量体から成
る単独重合体皮膜の場合、この様な皮膜は硬く布
帛の風合は硬いものとなる。或いは、前記単量体と非フツ素共単量体から成
る共重合体皮膜であつて、架橋剤が共重合されて
いないものは、柔軟ではあるが強度が不足するた
めに布帛の撥水・撥油性の洗濯耐久性が不充分と
なる。また、繊維表面に前記共重合体皮膜のみが形成
されているだけでありフツ素含有重合体が存在し
ない場合は、布帛が呈する撥水・撥油性は洗濯耐
久性を有するものの、呈する撥水・撥油性の程度
は低い。一方、繊維表面に共重合体皮膜が形成されてお
らず、フツ素含有重合体のみが付与されている場
合は、布帛の呈する撥水・撥油性の程度は優れて
いるものの、撥水・撥油性の洗濯耐久性が乏しい
ものとなる。特に、本発明において提案される布帛におい
て、最も好ましいものは布帛を構成する単位が単
繊維の次元ではなく、単繊維が撚糸等によつて一
定の集合状態にあるものから構成される場合であ
る。従来、撚糸等を処理する際に処理剤は撚糸の内
部には浸透し難く、耐久性のある処理効果は期待
し難い面が残されていた。この点本発明によれ
ば、前述した単量体、共単量体、架橋剤が撚糸内
部に浸透し共重合すると共に撚糸の外周部がフツ
素含有重合体で覆われる為、布帛の撥水・撥油性
は著しく向上するのである。尚、本発明で言う合成繊維布帛としては、ポリ
エステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニ
トリル繊維等のものであるが、更にこれら繊維同
志又は他種類の繊維、例えばレーヨン、アセテー
ト等の化学繊維、綿、麻、ウール、シルク等の天
然繊維との混紡・交織品等であつてもよい。ま
た、布帛の形態としては、織物、編物、不織布、
カーペツト等が含まれる。以上、述べてきた本発明の合成繊維布帛を得る
ためには、分子内にフツ素原子を有するアクリレ
ート系又はメタアクリレート系単量体、非フツ素
共単量体、架橋剤、及びフツ素含有重合体を含む
処理液を布帛に付し、次いで前記単量体、共単量
体、及び架橋剤を共重合せしめることが必要であ
る。ここで、フツ素原子を有するアクリレート系又
はメタアクリレート系単量体（以下、フツ素含有
単量体と称すことがある）と非フツ素共単量体、
及び架橋剤とを付与し共重合せしめてからフツ素
含有重合体を付与する場合は、共重合体皮膜が撥
水・撥油性を呈するためフツ素含有重合体が均一
に付与できない。本発明で用いられる分子内にフツ素原子を有す
るアクリレート系又はメタアクリレート系単量体
としては、〔R₁はＨあるいはメチル基 R₂はメチル基ｎ＝３〜21〕或いは〔R₄はＨあるいはメチル基、ｎ＝１〜４であつ
て、パーフルオロ基中には不飽和結合を有す。〕などが例示される。また、本発明での非フツ素共単量体は前記フツ
素含有単量体と共重合可能な単量体であり、かか
る単量体としては、例えば一官能アクリレート又
はメタアクリレート、多官能アクリレート又はメ
タアクリレート等のビニル結合を有する化合物が
挙げられる。更に、フツ素含有単量体及び非フツ素共単量体
と併用される架橋剤としては、ジアリルフタレー
ト、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタ
レート、トリアリルイソシアナート等が挙げられ
る。また、フツ素樹脂としては、典型的にはフルオ
ロアルキル基含有のアクリレート重合体が挙げら
れ、スコツチガード（ミネソタ・マイニング・ア
ンド・マニユフアクチユアリング・カンパニー
製）、アサヒガード（明成化学製）等の商品名で
市販されている。この様なフツ素含有単量体、非フツ素共単量
体、架橋剤、及びフツ素含有重合体を布帛付与
し、次いでフツ素含有単量体、非フツ素共単量
体、架橋剤を共重合せしめて皮膜を形成するので
あるが、その際の共重合方法としては、次の方法
が好ましい。 (1) フツ素含有単量体、非フツ素共単量体、架橋
剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリ等の重合開
始剤、及びフツ素含有重合体を含む水溶液、あ
るいは水分散液、あるいは溶媒溶液を布帛に付
与し、次いで90℃〜140℃で１〜10分蒸熱処理
する方法。 (2) フツ素含有単量体、非フツ素共単量体、架橋
剤、ベンゾフエノン等の光増感剤、及びフツ素
含有重合体を含む水溶液、あるいは水分散液、
あるいは溶媒溶液を布帛に付与し、次いで紫外
線を照射する方法。 (3) フツ素含有単量体、非フツ素共単量体、架橋
剤、及びフツ素含有重合体の水溶液、あるいは
水分散液、あるいは溶媒溶液を布帛に付与し電
子線又はプラズマを照射する方法。更にこの様にして得られた布帛に必要に応じて
乾熱処理を施してもよい。尚、フツ素含有単量体、非フツ素共単量体、架
橋剤、及びフツ素含有重合体をフイラメント糸に
付与し、フツ素含有単量体、非フツ素共単量体、
架橋剤を共重合せしめてから製織・製編してもよ
いことは言うまでもない。（作用）本発明の構成を採用することにより、先ず単繊
維間に浸透し易いフツ素含有単量体、非フツ素共
単量体、及び架橋剤が布帛を構成している単繊維
表面間に浸透した状態で繊維表面上で共重合体皮
膜が形成されると共に、共重合体皮膜に親和性を
有するフツ素含有重合体が共重合体皮膜を被覆す
る。この為にフツ素含有重合体と共重合体皮膜と
の界面は化学的吸引力により接合される。特に、
布帛が撚糸等の糸条（繊維）で構成されている場
合は、フツ素含有重合体は単繊維間にも一部浸入
しているためにフツ素含有重合体皮膜は一層強化
される。その結果、フツ素含有重合体皮膜は充分な耐久
性を有しているので、フツ素含有重合体の有する
優れた撥水・撥油性を充分に呈すると共に、撥
水・撥油性の洗濯耐久性を向上せしめることがで
きるのである。しかも、本発明にて繊維表面上に
形成せしめた共重合体皮膜は極めて柔軟で高強度
のものである為、撥水・撥油処理を施しても布帛
の有する柔軟性は損なわれないのである。（発明の効果）本発明の布帛は柔軟で且つ優れた撥水・撥油性
と洗濯耐久性とを有している為に、ユニフオー
ム、おむつカバー等に充分に適用できる。（実施例）以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、実施例中の撥水性、撥油性、耐久性の評価は
次の方法で行なつた。 (i) 撥水性（スプレー法） JIS Ｌ−1079−66に準拠したもので20cm×20
cmの試験片を直径15.2cmのわくにしわを生じな
いように取り付け、スプレーの中心をわくの中
心と一致させて常温の水250mlを漏斗に注入し、
これを試験片上に散布する。次に余分の水滴を
落した後ぬれた状態を判定標準表と比較対照し
て評価する。次表に撥水性の点数と状態の判定
基準を示す。

【表】 (ii) 撥油性 A.A.T.C.C.標準試験法118−1975で実施判定
した。判定は次表の種々の油の浸透に対する耐
浸透性に基づく。判定値は１級から10級に区分
され、１級が撥油性最低で、10級が撥油性最高
である。

【表】

【表】 (iii) 撥水・撥油性の洗濯耐久性試験中性洗剤１ｇ／を含んだ40℃の洗濯液中で
家庭洗濯機で洗濯をし、洗濯耐久性を検討し
た。洗濯なしをL₀とし、連続100分洗濯した場合
をL₁₀とし、連続300分洗濯した場合をL₃₀とす
る。又ドライクリーニング耐久性テストとして
30℃のパークレン液（浴比１：30）で30分間ラ
ウンダオメーターで処理したものをD₅とした。尚、以下の実施例において、％はすべて重量％
を意味する。実施例１ポリエチレンテレフタレートフイラメント糸
（150デニール／48フイラメント）に仮撚加工を施
してトロピカル織物を得た（目付180ｇ／m²）。本
試料を通常の精練プリセツト工程を通した後蛍光
染料ミカホワイトATN（日本化薬社製）１％
owf、分散剤デイスパーVG（明成化学製）0.5
ｇ／、CH₃COOH0.2c.c.／からなる組成の染
液に浴比１：30、染浴温度120℃、染色時間30分
なる条件で蛍光染色後、下記パツテイング浴に浸
漬しマングルにて均一に絞つた（ピツクアツプ率
54％）。

【表】これを湿潤状態のまま、ただちに蒸熱装置に入
れて100℃飽和蒸気で５分間処理した。次いで、
水洗后通常の乾燥工程を通して得られた布帛の撥
水・撥油性及び風合を第１表に示した。また、比較の為、上記パツデイング液をアサヒ
ガードAG−710と水との系とし、アサヒガード
AG−710の使用量を５倍（10％sol）にして同様
の処理をした布帛の結果を第１表に併せて示し
た。

【表】ここで、風合は、感触による官能検査で評価し
たものである。尚、〇は柔軟な風合を示し、△は
やや硬い風合を示す。第１表より明らかなように、分子内にフツ素原
子を有するアクリレート系化合物並びにフツ素原
子含有アクリレート重合体（アサヒガードAG−
710）を表面に付与し湿熱処理を施して得られた
布帛は優れた撥水・撥油性と洗濯耐久性を有する
と共に、柔軟な風合をも呈する。実施例２、比較例２ポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸（150
デニール／48フイラメント）を用い、ポンチロー
マ組織に編成した編物を通常の精練プリセツト工
程を通した後、実施例１と同様の染色条件で染色
後下記パツテイング浴に浸透しマングルにて均一
に絞つた（ピツクアツプ率70％）。

【表】

【表】これを湿潤状態のまま、ただちに蒸熱装置に入
れて100℃の飽和蒸気で５分間処理した。熱処理
後未反応加工剤を除去すべく湯洗を実施した。又
比較の為、従来公知の含フツ素系重合体水系エマ
ルジヨンアサヒガードAG−710（明成比薬社製）
の８％溶液を浸漬し120℃で２分間乾燥し、次い
で160℃で１分間乾熱処理したものを比較例２と
した。これら組成ののパツデイング液を付与して得ら
れた布帛の撥水・撥油性と洗濯耐久性を測定し第
２表に示した。

【表】

【表】第２表より明らかな様に、フツ素原子含有重合
体と水とからなるエマルジヨンを付与した後、乾
熱処理した比較例２に比較し、本発明のものでは
優れた撥水・撥油性と洗濯耐久性を有する布帛が
得られる。

Claims

【特許請求の範囲】１布帛を構成する合成繊維の表面に、分子内に
フツ素原子を有するアクリレート系又はメタアク
リレート系単量体、フツ素原子を含有しない共重
量体、及び架橋剤とからなる共重合体皮膜が形成
されており、且つ該皮膜を介してフツ素含有重合
体皮膜が形成されていることを特徴とする合成繊
維布帛。２該布帛を構成している繊維束が、分子内にフ
ツ素原子を有するアクリレート系又はメタアクリ
レート系単量体、フツ素原子を含有しない共単量
体、及び架橋剤とからなる共重合体皮膜で覆われ
ている単繊維で主として構成されており、且つ該
繊維束の表面が主としてフツ素含有重合体で覆わ
れている特許請求の範囲第１項記載の合成繊維布
帛。３合成繊維から成る布帛の表面に、分子内にフ
ツ素原子を有するアクリレート系又はメタアクリ
レート系単量体、フツ素原子を含有しない共単量
体、架橋剤、及びフツ素含有重合体とを含む処理
液を付与し、次いで前記単量体、共単量体、及び
架橋剤を共重合せしめることを特徴とする合成繊
維布帛の製造法。４重合触媒の存在下に湿熱処理により共重合せ
しめる特許請求の範囲第３項記載の合成繊維布帛
の製造法。５光増感剤の存在下に、紫外線照射により共重
合せしめる特許請求の範囲第３項記載の合成繊維
布帛の製造法。６電子線照射により共重合せしめる特許請求の
範囲第３項記載の合成繊維布帛の製造法。７プラズマ照射により共重合せしめる特許請求
の範囲第３項記載の合成繊維布帛の製造法。