JPS642861B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、個室単位で空調と換気が独立し、し
かも施工容易でかつ省エネルギーを図つたホテル
客室などの個室空調設備に関する。

ホテルの客室を中央ダクト方式によることなく
それぞれ個別の空調機で空調を行なう場合には、
騒音が小さいこと、ユニツトが備品として扱える
こと、建築構造と調和すること、省エネルギーで
あること、不特定多数の客に簡便に操作できるこ
と、などが基本的な課題となる。

本発明はこのような課題に十分満足してこたえ
られ、かつ施工性がよく、しかも空調と換気が独
立した空調システムの提供を目的としてなされた
ものである。

図面に示した実施例に従つて本発明の個空用調
設備を説明すると、第１図はホテル客室の代表例
を示した平面図であり、B.U.はバスルームユニ
ツト、Ｂはベツト、１０はカウンターテーブルを
示しており、図は対称的な２室を示すが右側の室
ではこのカウンターテーブル１０を外した状態を
示している。このカウンターテーブル１０の下部
空間は後に詳述する空気熱源ヒートポンプユニツ
トが設置される。このために、このカウンターテ
ーブル１０の下方における外壁には開口部８が設
けられる。一方、バスルームユニツトB.U.の天
井部には換気用送風機Ｆが設置され、その送風機
Ｆの吐出側空気はダクトD₁，D₂およびD₃によつ
て空気熱源ヒートポンプユニツトの１部を構成す
る平板１の開口部に通ずるようにしてある。

以下、まずカウンターテーブル１０の下部空間
に設置される本発明に従う空気熱源ヒートポンプ
ユニツトの構造について説明し、このヒートポン
プユニツトとバスルームユニツトB.U.に設けら
れた換気用送風機Ｆとの関係について説明する。

第２図は、カウンターテーブル１０の下方にお
いて外壁開口部８の内側に本発明に従う空気熱源
ヒートポンプユニツトを組込んだ縦断面図、第３
図はその―′線矢視図、第４図は概略正面図
を示している。図示の如く、本発明に従う空気熱
源ヒートポンプユニツトは、コンクリートを主材
とする鉛直な平板１の一方の面に、室内側機器
（室内側フアン２、室内側熱交換器３）とこれら
を収納するケーシング４とを、それらの荷重の実
質上全てを支持させるようにこの平板１に装着さ
せ、またこの平板１の他方の面において室外側機
器（室外側フアン５、室外側熱交換器６）および
圧縮機７をそれらの荷重の実質上全てを支持させ
るようにこの平板１に装着させてある。このよう
にして室内側と室外側の各機器を平板１の左右に
支持させたユニツトの全体を建物側壁に設けた開
口部８よりも屋内側に位置させ、この平板１をス
リーブ９によつて固定する。すなわち、建物の外
壁開口部８を取囲むような大きさのスリーブ９を
この開口部８の屋内側周縁にその１端を固定する
と共にその他端を平板１の周縁に固定する。これ
により、平板１に支持されている室外側機器およ
び圧縮機などはそつくりこのスリーブ９の内に収
まることになる。このようなスリーブ９を用いる
ことによつてユニツト本体を建物外壁より内側の
カウンターテーブル１０の下方空間内にそつくり
設置することができる。したがつて、建物の外壁
に突出して建物の外観を損うこともないし、ま
た、室内においてもユニツト自体が露出すること
もない。

平板１はコンクリート板であり、例えばガラス
繊維入りコンクリート板または多孔性耐熱材を埋
込んだり積層したコンクリートボードなどを使用
する。この平板１に対する各機器の支持は、この
平板１のほぼ1/2高さの位置においてその両側に
水平に取付けられた仕切板１１と１２を利用す
る。すなわち、室内側においては、この仕切板１
１の開口に室内フアン２の吐出口を支持させてフ
アン２自体をこの仕切板１１から吊るし、室内側
熱交換器３およびそのドレンパン１３をこの仕切
板１１の上に設置する。そしてこれらの機器全体
を、下面に吸込口を上面に吹出口を有するケーシ
ング４の中に収め、このケーシング４も平板１お
よび仕切板１１に支持させる。他方、室外側にお
いても、仕切板１２の開口に室外フアン５の吐出
口を下に向けて固定してフアン５自体をこの仕切
板１２の上に設置すると共に、室外側熱交換器６
を仕切板１２から懸架させその下端は平板１に受
けさせる。また第３図に示すように圧縮機７およ
びこれに付属する機器などもこの仕切板１２に載
置する。送風機用モーター１４および１５もこの
仕切板１１および１２にそれぞれその荷重を支持
させることもできる。

このようにして、室内側機器はケーシング内に
収められながら平板１に支持され、室外側機器は
露出したまま室内側とは反対側に平板１に支持さ
れ、かつ冷媒配管、電気配線並びにドレン管など
の配設によつて１つの空気熱源ヒートポンプユニ
ツトが構造される。

このユニツトにおいて、平板１の大きさと室内
側ケーシング４の縦断面の大きさとの関係は第４
図に見られるように前者の方がかなり大きくなる
ようにし、このケーシング４よりもはみ出した部
分における平板１に開口２３〜２６を設ける。こ
の開口２３〜２６は室外側においては外気に開放
されることになり、これらは室内と室外に通ずる
開口となる。この開口のうち２３と２４は排気
口、２５は給気口、２６はドレン孔として利用す
る。排気口２３と２４はいづれか１方をその設置
位置に合わせて選択的に使用し、不使用の方はめ
くらにしておく。

第５図は第４図の開口２３〜２６の使用状態を
説明するための図であり、第５図の例では排気口
２４の側に排気チヤンバー２７を取付け、排気口
２３の側はめくら板２８を取付けた状態を示す。
また、給気口２５には給気チヤンバー２９を、ド
レン孔２６にはドレン管３２が取付けてある。排
気チヤンバー２７の中には、室内側から室外側へ
は空気を通すが逆の方向には通さないチヤツキダ
ンパーが収蔵してあり、給気チヤンバー２９の中
には電動ダンパーが収蔵してある。電動ダンパー
はヒートポンプユニツトとは別系統で制御できる
ようにしておく。

第１図の個室図に示したバスルームユニツト
B.U.の換気用送風機Ｆの吐出空気はダクトD₁，
D₂，D₃を経てこの排気チヤンバー２７に接続さ
れる。すなわちバスルームB.U.の排気、ひいて
は個室全体の排気はこの排気チヤンバー２７から
平板１の開口２４を経て室外に排出される。換気
用送風機Ｆを駆動すると、バスルーム内の空気は
もとより、このバスルームユニツトのドアが閉つ
ているときでもこのドアのガラリを通じて個室内
の空気がバスルーム内に入り込むので個室全体の
空気の排気がなされる。この換気用送風機Ｆの駆
動と給気チヤンバー２９内に収蔵された電動ダン
パーの開動作とは連動させておき、送風機Ｆによ
る排気が開始されたときはこの給気チヤンバー２
９から平板１の開口２５を通じて外気が室内に取
入れられるようにし、個室全体の換気が行なわれ
るようにする。そのさい排気チヤンバー２７から
平板１の開口２４または２３を通じて室外に出た
排気を室外側熱交換器６に吹きつけるようにする
と、室内の冷暖房された空気の熱回収が行なわれ
る。この換気運転の発停はヒートポンプユニツト
の発停制御とは別系統とし、室内に設けられた発
停スイツチはもとよりホテルフロントからも発停
制御できるようにすることができる。

他方、ヒートポンプユニツトの制御は平板１に
取付けられたコントロールボツクス３０内の制御
器によつて行なわれるが、これらの操作スイツチ
盤はベツドＢのヘツドボードやナイトテーブルに
設置され在室者が自由に操作できるようにしてあ
るが、この操作もホテルフロントから遠隔制御で
きるようにすることができる。

このようにして、室内の換気運転とヒートポン
プユニツトによる冷暖房運転とは独立して行なわ
れ省エネルギーが達成されると共に、バスルーム
の使用時間外でも換気が可能となる。この本発明
設備においてヒートポンプユニツトの平板１はユ
ニツトを構成するための重要な構成部材である
が、これが遮音、防水、防振機能のほか建物の建
材の１部として利用される構造材ともなり、ユニ
ツトの建物との取合い部材としてまた給気および
バスルームの換気用送風機Ｆからの排気取入部材
としても効果的な役割を果たす。

なお、図示のスリーブ９をヒートポンプユニツ
トの取付けに用いた実施例において、このユニツ
トの取付け取外しを簡易にする目的のもとに、こ
のスリーブ９と平板１との接合を改善する工夫
と、カウンターテーブル上の吹出口とユニツトの
接続においてこの作業を簡易化する工夫が施され
ている。すなわち、前者においては第６図に示す
ようなクリツプ金具１６を使用し、後者において
は第７図に示すような弾力性の給気ダクト３１を
使用するのである。クリツプ金具１６は、２枚の
金属片１７と１８をボルト１９によつて組合せた
もので、図示のように予めボルト１９を差込んで
組合せておいたものを、平板１とスリーブ９のフ
ランジ部２０と（この間にはパツキン２１が介在
する）を重ね合わせた上から差込み、次いでボル
ト１９を締め付ければ平板１とスリーブ９との接
合が簡単に行なえる。また、給気ダクト３１は、
ケーシング４とカウンターテーブル１０との間で
その弾力を利用して圧縮しながら嵌め込んで固定
するものであり、ビス止めやその他機械的な係止
機具は不要である。したがつて、このユニツトの
据付けやメインテナンス時の取外しにさいして、
このダクトが自由に取付け取外しができるので非
常に作業が簡易となる。

以上のように本発明は、ホテル客室またはこれ
に類する建物の個室（例えばマンシヨン）等の個
別空調において、外壁開口部に設置された特殊構
造の空気熱源ヒートポンプユニツトとバスルーム
に設けられた換気用送風機との連携によつて空調
と換気を独立して行なえるようにしたものであ
り、低騒音、個室ごとのユニツト化、易施工性、
省エネルギー、建築構造との調和、操作簡易性、
遠隔制御性、等の諸目的を同時に達成したホテル
客室等の個別空調設備を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に従う空調設備を説明するため
のホテル客室の代表例を示した平面図、第２図は
本発明に従う空気熱源ヒートポンプユニツトの実
施例を示す縦断面図、第３図は第２図の―′
線矢視図、第４図は第２図の―′線矢視図、
第５図は給排気チヤンバーを取付けた正面図、第
６図はクリツプ金具の説明断面図、第７図は給気
ダクトの斜視図である。 B.U.……バスルームユニツト、Ｆ……換気用
送風機、Ｄ……排気ダクト、１……平板、２……
室内側フアン、３……室内側熱交換器、４……室
内ケーシング、５……室外側フアン、６……室外
側熱交換器、７……圧縮機、９……スリーブ、１
０……テーブルカウンター、１１，１２……仕切
板、１６……クリツプ金具、２３〜２４……排気
口、２５……給気口、２７……排気チヤンバー、
２９……給気チヤンバー、３１……給気ダクト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外壁開口部に設置された空気熱源ヒートポン
   プユニツトと占有空間内に設置されたバスルーム
   とを備えたホテルの客室またはこれに類する建物
   の個室において、前記のヒートポンプユニツトが
   鉛直な平板の一方の面と他方の面にそれぞれ室内
   側機器と室外側機器をそれらの荷重の実質上全て
   を支持させるように装着して構成した空気熱源ヒ
   ートポンプユニツトであり、この平板に室内と室
   外とが連通する開口を設けると共にバスルームに
   換気用送風機を設け、この換気用送風機の吐出空
   気を前記平板の開口に導くためのダクトを施設し
   てなる個室用空調設備。 ２ 該平板の開口の１つに給気チヤンバーが設け
   られている特許請求の範囲第１項記載の個室用空
   調設備。 ３ 空気熱源ヒートポンプユニツトはテーブルの
   下部空間内に収納され、外壁開口部からこのテー
   ブル下部空間内に延び出したスリーブ内にこのユ
   ニツトの室外側機器が収まるように、このスリー
   ブ開口縁と平板の周縁とが接続された特許請求の
   範囲第１項または第２項記載の個室用空調設備。