JPS6363332B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、微小穴放電加工用電極構体に関する
もので、電極の回転を行つてもフレが生じず、電
極材料として市販の細径ワイヤー（電極芯線）が
使用でき、電極が消耗した場合は、電極となるワ
イヤーをくり出し可能とし、くり返し使用ができ
る寿命の長い、かつ電極の製作が容易な微小穴放
電加工用電極構体を提供するものを目的とする。

従来例の構成とその問題点 直径0.1mm以下の微小穴放電加工においては、
加工電極を停止で行う場合と回転させて行う場合
の２通りの加工方法がある。電極を回転させるこ
とにより加工速度の向上、加工穴の真円度、形状
精度の向上がはかれるが、電極のフレや電極の成
形時間を考慮して、従来は電極を停止で行う加工
が主体であつた。

電極を停止で行う加工時の電極構造としては、
電極径が非常に小さいため切削による電極製作が
困難であるために、細径ワイヤを用いるのが一般
的であり、ワイヤをホルダーに直接ハンダ付けし
たもの、あるいは細径ワイヤーにメツキ被覆し補
強してチヤツキングしたもの、ガラス，ルビー等
によつて保護，ガイドしチヤツキングしたものが
あり、また比較的太い線を用いる場合は、加工電
極となる先端部だけを電解研摩により細く仕上げ
た電極がある。

しかしながら、いずれの構造の電極も、電極の
加工側先端と電極外周との同心度は数μ以下とい
つたものが得られず、また電極を被加工物に垂直
に取り付けることが困難で電極を回転させて加工
を行うことが不可能であつた。

さらに、電極停止で放電加工を行う場合には、
ワイヤー形状が被加工物に転写されるため、十分
な寸法精度で仕上つていない市販の細径ワイヤー
を用いて加工を行う場合には真円度良好な穴の加
工は困難であつた。

一方、電極を回転させて行う加工時の電極構造
としては、チヤツキング可能な直径１mm程度の丸
棒より電極材を回転させながら逆放電にて希望径
の電極に成形するといつた手法がとられていた。
このような成形電極では、精度的に十分なものが
得られるが、直径１mmの電極材より直径30μmの
微小穴用の電極を成形する場合は約１時間程必要
となり、製作にかなりの時間を必要とする。また
成形部分（直径が30μmとなつている部分）も短
いため寿命も短く、また一度チヤツクより取りは
ずすとフレが生じるため、加工毎に成形しながら
使用する必要があるという欠点があつた。

発明の目的 本発明は以上の問題点にかんがみてなされたも
のであつて、支持管の中心軸と回転支持体の回転
中心を高精度に一致させることによつて電極を回
転させてもフレが生じず、放電により電極が消耗
した場合には回転支持体内より繰り出して使用で
き、また市販の細径の芯線を電極材として使用で
き、真円度，形状精度の良好な微小穴が加工でき
るばかりでなく、長寿命で製作容易な微小穴放電
加工用電極構体を提供することを目的とするもの
である。

発明の構成 本発明は上記目的を達成するもので、電極芯線
が挿通されてこれを摺動可能に支持し、前記電極
芯線が挿通される穴と外周との同心度が3μm以下
と十分に良い支持管と、一方から挿通された前記
支持管を同心状を保つて支持するとともに、他方
から同心状に圧入された中空円筒状の回転支持体
を保持する中空の案内管とを備え、前記回転支持
体内部まで延伸した電極芯線と回転支持体とが電
気的に導通状態にあることを特徴とする微小穴放
電加工用電極構体を提供するものである。

実施例の説明 以下に本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。

第１図は本発明による微小穴放電加工用電極構
体の一実施例の全体構成を示し、第２図は同断面
図、第３図は同正面図である。

加工電極となる細径ワイヤー（電極芯線）１が
材質セラミツクから成るワイヤーガイド（支持
管）２に摺動可能にガイドされて、やはり材質が
セラミツクから成るガイドスリーブ（案内管）４
を介しマンドレル（回転支持体）３に取り付けら
れている。ワイヤ１の端部は、導電性材料からな
るパイプ６に結合されており、このパイプ６はマ
ンドレル３に設けられた金属性ネジ５により固定
されている。第２図に示すようにワイヤガイド２
はガイドスリーブ４と2μm以下のはめあいでかん
合挿入され、案内スリーブ４の内径にはマンドレ
ル３がJIS h6―P6程度のはめあいで圧入かん合
されている。

本実施例では、ワイヤガイド２にワイヤ（電極
芯線）１とのクリアランスが1μm以下で、外周と
穴の同心度が1μm以下の光フアイバーコネクター
中子用のセラミツクパイプを用い、さらにガイド
スリーブ４の内径もラツピング加工によりワイヤ
ガイド２の外径に対して０〜2μm以下に仕上げて
ある。またマンドレル３は、外周がガイドスリー
ブ４の内径に対してJIS h6―P6のしまりばねと
している。以上のようにワイヤガイド２はマンド
レル３の外周を基準としてガイドスリーブ４によ
り保持されるため、マンドレル３の外周を基準と
して見た場合にはワイヤ１のフレは最大でも4μm
以下と非常に高精度の電極となつた。

ここで、外周と穴の同心度が、1μm以下と十分
に小さいワイヤガイド２を作製する方法につい
て、第４図ａ，ｂを用いて説明する。

ワイヤガイド２を焼結材料、たとえばセラミツ
クスで作る場合、真空押出し成形によりガイドの
製作が可能となる。第４図ａは真空押出し成形金
型の左方向側面図、第４図ｂは正面断面図であ
る。すなわち、金型は口金７，ピン８，ピン８を
埋め込んだピンホルダー９から成り、セラミツク
の練成材１０が第４図ｂ左方より矢印の方向へピ
ンホルダー９のすきま９′を通り送り込まれる。
送り込まれた練成材１０はピン８と口金７により
パイプ状となり金型の外部へ押し出されて行く。
ここでピン８と口金７の組合せ精度を高めること
により押し出されたセラミツクパイプの穴と外周
の同心度は10μm以下のものが得られる。この素
材を焼成後、穴にワイヤを通し、ワイヤをガイド
としてパイプの外周をセンタレス研削盤を用いて
円筒研削を行うと同心度3μm以下の高精度ワイヤ
ガイド２が得られる。

押出し成形によるパイプ製作においては、穴径
に対してパイプの外径が太くなつても、あるいは
穴が深くなつても何ら製作上は問題が生じない。

またガイドスリーブ４においては、ワイヤガイ
ド２にはめ合う穴のみが規定の寸法公差に入つて
いれば良いため、ラツピング，ホーニング加工と
いつた様々の加工法が可能であり、０〜2μmの公
差以内の寸法に押えるのは容易である。

さらにマンドレル３においては、外周部を円筒
研削盤によつて研削するだけで、ガイドスリーブ
４とJIS h6―P6のはめあいは容易に確保できる。

加工電極となる非常に細いワイヤー１をマンド
レル３中で真直性良好に保持するため、及びマン
ドレル３との電気的導通を得るため、第５図に示
す様にワイヤー１の後端に導電性材料から成るパ
イプ６をカシメもしくはハンダ付け等によつて結
合し、第２図に示したように金属性ネジ５によつ
てマンドレル３に固定される。ワイヤ径が数十
μmの微小径の場合にはワイヤ１を直接金属性ネ
ジ５で固定することは困難であり、不完全な導通
状態となる。しかしながらパイプ６を介してワイ
ヤをマンドレル３に固定することにより、パイプ
６はワイヤ１に比べて十分な太さを有しているた
めワイヤ１とマンドレル３の導通は十分なものが
得られる。ワイヤガイド２の外径とガイドスリー
ブ４の穴径はJIS h6―H7程度のはめあいである。

実際の放電加工は、マンドレル３を第６図の如
くスクロールチヤツク１１等でチヤツキングする
か、第７図に示す様に、Ｖブロツク状の軸受１２
により支持してマンドレル３にプーリー１３を付
けてベルト１４にて直接回転させて行う。加工電
極となる細径ワイヤ１と放電加工電源との電気的
導通はマンドレル３の外周の金属を経て得るよう
になし、ワークとの間で電圧を加えることにより
放電加工が行える。加工を行つてワイヤー１の消
耗が進んだ場合には第２図に示すネジ５をゆる
め、ワイヤー１を重力による自然落下あるいはピ
ンセツトにより引き出すことで再び加工可能とな
る。

ワイヤーガイド２の材質は、セラミツクの他
に、ルビー，焼結金属，硬質金属等も考えられ
る。パイプ６の材質については導電性であればい
かなる材料であつても良い。またガイドスリーブ
４の材質もセラミツクの他にルビー，焼結金属，
一般の金属でも可能である。

本実施例では、ワイヤ１とワイヤガイド２のク
リアランスは1μ程度であり、ほとんど無視でき
る。

また、以上の説明では、電極を回転させて用い
る場合について示したが、電極を回転させずに加
工を行うことも可能である。

発明の効果 以上説明したように本発明によれば、中空円筒
状の回転支持体の回転中心と支持管の穴の中心ず
れがほとんど生じないように支持管が、案内管を
介して回転支持体に保持され、電極芯線は支持管
により摺動可能にかつ同心度が3μm以下と十分に
良い状態で支持されるため、電極を回転させても
ほとんどフレが生じず、真円度，形状精度の高い
微小穴が得られ、電極が消耗した場合には回転支
持体内より繰り出して使用でき、また市販の細径
芯線を電極として使用できるため、長期間の使用
に耐え、製作容易な微小放電加工用電極が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の微小穴放電加工用電極構体の
一実施例を示す全体構成図、第２図は同側面断面
図、第３図は同正面図、第４図ａ，ｂはワイヤガ
イドの製造に使用される金型の側面図及び断面
図、第５図は上記実施例の要部構成図、第６図、
第７図は同実施例の使用法を説明する図である。 １……ワイヤー（電極芯線）、２……ワイヤー
ガイド、３……マンドレル（回転支持体）、４…
…ガイドスリーブ（案内管）、５……パイプ固定
ネジ、６……パイプ、７……口金、８……ピン、
９……ピンホルダー、１１……スクロールチヤツ
ク、１２……軸受、１３……プーリー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電極芯線が挿通されてこれを摺動可能に支持
   し、前記電極芯線が挿通される穴と外周との同心
   度が3μm以下である支持管と、一方から挿通され
   た前記支持管を同心状を保つて支持するととも
   に、他方から同心状に圧入された中空円筒状の回
   転支持体を保持する中空の案内管とを備え、前記
   回転支持体内部まで延伸した電線芯線と回転支持
   体とが電気的に導通状態にあることを特徴とする
   微小穴放電加工用電極構体。 ２ 電極芯線と回転支持体間の電気的導通を得る
   手段として電極芯線端部に導電性材料から成る管
   と前記管を回転支持体に接触及び固定させる押し
   ネジを設けたことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の微小穴放電加工用電極構体。