JPS6362311B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は取鍋やタンデイシユなどの溶鋼用鍋に
おいて、その鍋底に設けたインサートノズル周囲
の煉瓦構造に関するものである。

（従来の技術） 取鍋やタンデイシユ等の溶鋼用鍋の底部は、第
３図に示すように、その表面を鉄皮２で被覆し、
この鉄皮２の内面（上面）に断熱材３を介して上
下二層の永久張り煉瓦４，５を層着し、最内層に
はワーク煉瓦６が張設された構造となつている。

これらの煉瓦層において、永久張り煉瓦４，５
を二層に形成したのは、厚みを確保すると共に上
下の煉瓦層の目地を重ならないようにずらして溶
鋼が目地を介して断熱材３から鉄皮２側に到達し
難くすることにより断熱材３等を保護し、さら
に、該永久張り煉瓦４，５が損傷して取り替える
場合にはその取り替え量を少なくしてコストの低
減を図るためである。

而して、このように構成された鍋底の適所には
溶鋼注入用のインサートノズル１２が設けられて
いるが、従来から、このインサートノズル１２の
周囲は上下桝煉瓦９，１０により囲繞され、上桝
煉瓦９をワーク煉瓦６と永久張り煉瓦４の端面に
当接状態で固着させると共に下桝煉瓦１０を永久
張り煉瓦５と断熱材３の端面に当接状態で固着さ
せた構造となつている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上下桝煉瓦９，１０は耐溶損性
を保持させる点からAl₂O₃が90％クラスの材質の
耐火煉瓦を使用しているが、一方、ワーク煉瓦６
はAl₂O₃が70％クラスの材質の耐火煉瓦を使用し
ており、桝煉瓦９，１０よりも膨張率が大きいと
共に永久張り煉瓦４，５はコストの点から、ろう
石煉瓦を使用しているために、これらの膨張率の
差による応力が、上桝煉瓦９に直接作用してワー
ク煉瓦６と永久張り煉瓦４との境界部における該
上桝煉瓦９に剪断応力が発生して横亀裂ａが生じ
る。

このため、上桝煉瓦９が割れてワーク煉瓦６か
ら剥離し、溶鋼と共に流出して製品に悪影響を及
ぼすばかりでなく、鍋の修理回数が多くなると共
に寿命が低下するという問題点があつた。

本発明はこのような問題点を解消することを目
的とした溶鋼用鍋におけるノズル部周囲の煉瓦構
造を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明の溶鋼用鍋
におけるノズル部周囲の煉瓦構造は、実施例に対
応する図面に示すように、溶鋼用鍋主体１の底部
に設けた溶鋼インサートノズル１２の周囲に上下
桝煉瓦９，１０を配設すると共に溶鋼用鍋主体１
のワーク煉瓦６及び永久張り煉瓦４の端面と、前
記上桝煉瓦９の外周面との間に桝煉瓦の亀裂発生
防止用枕煉瓦１１を介在させたことを特徴とする
ものである。

（作 用） 鍋内に収容された溶鋼の高熱によつてワーク煉
瓦６と永久張り煉瓦４とは夫々異なつた膨張率で
膨張するが、この膨張による押圧力を枕煉瓦１１
のよつて全面的に受止し、上桝煉瓦９の外周に均
一な押圧力として伝達して上桝煉瓦９に剪断応力
が生じるのを防止するものである。

（実施例） 本発明の実施例を図面について説明すると、１
は取鍋やタンデイシユ等の溶鋼用鍋主体で、その
底部は表面側に張設した鉄皮２の内面（上面）に
断熱材３を介してろう煉瓦よりなる上下二層の永
久張り煉瓦４，５を層着してあり、最内層には
Al₂O₃が70％クラスの材質の耐火煉瓦よりなるワ
ーク煉瓦６が張設されてなるものである。

７はこの溶鋼用鍋主体１の底部の適所に貫設し
た平面方形状のノズル装着用孔で、ワーク煉瓦６
から上層部の永久張り煉瓦４の下端に達する部分
を大口径に形成すると共に下層部の永久張り煉瓦
５から断熱材３の下端に達する部分を小口径に形
成してノズル装着用孔７内に向かつて突出した下
層部の永久張り煉瓦５の端部上面を段部８に形成
してある。

９，１０は、Al₂O₃が90％クラスの材質の耐火
煉瓦からなる上下桝煉瓦で、下桝煉瓦１０はノズ
ル装着用孔７に露出した断熱材３と下層部の永久
張り煉瓦５の内周端面にその外周面を全面的に密
接させて一体に固着してあり、この下桝煉瓦１０
の上面に上桝煉瓦９を一体に積層してある。

上桝煉瓦９の外周面と上層部側の永久張り煉瓦
４及びワーク煉瓦６の露出内周端面間には一定巾
の空間部が設けられ、この空間部にワーク煉瓦６
と同一材料からなる角筒枠状の枕煉瓦１１を介在
させて、該枕煉瓦１１の内周面を上桝煉瓦９の外
周面に全面的に密着させると共に外周面を上層部
の永久張り煉瓦４およずワーク煉瓦６の内周端面
に全面的に密着、固定させてある。

１２は上下桝煉瓦９，１０の内周面に装着した
インサートノズルである。

而して、使用時にはこのインサートノズル１２
をゲートバルブ（図示せず）により閉止し、鍋内
に溶鋼を収容するものであるが、高温の溶鋼によ
つてワーク煉瓦６と永久張り煉瓦４，５が平面方
向に膨張する。この時、前述したように、ワーク
煉瓦６と永久張り煉瓦４，５の膨張率が異なり、
その膨張によつて上桝煉瓦９側に向かつて押圧力
が生じるが、上桝煉瓦９とワーク煉瓦６及び永久
張り煉瓦４間に枕煉瓦１１を介在させているの
で、この枕煉瓦１１によつてワーク煉瓦６と永久
張り煉瓦４との膨張による押圧力を受止し、上桝
煉瓦９に全面に亘つて均一な押圧力として伝達し
て上桝煉瓦９に剪断応力による横亀裂の発生を防
止するものである。即ち、枕煉瓦１１は枡煉瓦よ
りも軟らかいために、亀裂が生じることなく変形
し、前記膨張を吸収するものである。

（発明の効果） 以上のように本発明の溶鋼用鍋におけるノズル
部周囲の煉瓦構造によれば、溶鋼用鍋主体の底部
に設けた溶鋼インサートノズルの周囲に上下桝煉
瓦を配設すると共に溶鋼用鍋主体のワーク煉瓦及
び永久張り煉瓦の端面と、前記上桝煉瓦の外周面
との間に桝煉瓦の亀裂発生防止用枕煉瓦を介在さ
せているので、鍋内に収容された溶鋼の高熱によ
つてワーク煉瓦と永久張り煉瓦とは夫々異なつた
膨張率で膨張するが、この膨張による押圧力を枕
煉瓦のよつて全面的に受止して上桝煉瓦の外周に
均一な押圧力として伝達し、上桝煉瓦に剪断応力
が生じるのを防止することができるものであり、
従つて、上桝煉瓦に亀裂が発生することがなく、
鍋の修理回数を減少させることができると共に寿
命を大幅に向上させて長期の使用に供することが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施例を示すもの
で、第１図は鍋底部の縦断正面図、第２図はその
平面図であり、第３図は従来の煉瓦構造を示す簡
略縦断正面図である。 １……溶鋼用鍋主体、４，５……上下永久張り
煉瓦、６……ワーク煉瓦、９，１０……上下桝煉
瓦、１１……枕煉瓦、１２……インサートノズ
ル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶鋼用鍋主体の底部に設けた溶鋼インサート
   ノズルの周囲に上下桝煉瓦を配設すると共に溶鋼
   用鍋主体のワーク煉瓦及び永久張り煉瓦の端面
   と、前記上桝煉瓦の外周面との間に桝煉瓦の亀裂
   発生防止用枕煉瓦を介在させたことを特徴とする
   溶鋼用鍋におけるノズル部周囲の煉瓦構造。