JPS6360141B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は繭糸と他の長繊維、紡績糸との複合纒
絡糸の製造方法に関する。

（従来の技術） 通常の製糸工程においては自動繰糸機を用い
て、まず煮熟繭から正緒を求めてそれから引出し
た繭糸を何本か引揃え、必要に応じて新しい繭糸
を補充しつゝ集束、接着させて目的とする繊度の
生糸の製造を行なつている。

（発明が解決しようとする問題点） このような生糸を原糸とする絹製品は、優れた
風合い、光沢、吸放湿性などを有する反面、伸縮
性、かさ高性に欠け、耐摩耗性、耐洗濯性にも劣
るなどの欠点も併せ持つており、和装分野には適
するが洋装用織・編物の原糸には不適当とされて
きた。そのため、生糸の欠点を化学繊維など実用
的形質の優れた他繊維によつて補うことを目的と
して、繰糸工程において繰解繭糸群の中心に他繊
維を挿入したのち、仮よりを与えて繭糸と他繊維
を平行に接着させながら繰糸する複合繰糸法が試
みられている（特開昭58−104225号公報）が、こ
の方法によつて他繊維の周囲を繭糸によつて均一
に被覆することは困難であり、しかも後の加工々
程における繰返しなどの作業によつて分繊してし
まう場合が多いなどのため最終製品において複合
効果を発揮させることは困難である。

これに対し、煮熟繭から引出した繭糸群をオー
バーフイードさせながら他繊維とともにタスラ
ン・ノズルなどのエアジエツト・ノズルに送込ん
で複合化させる方法が考えられる。この方法によ
ると空気噴流によつて繭糸と他繊維とを混合さ
せ、あるいは他繊維の外周に繭糸を絡みつかせる
ことができる。しかし繰糸湯から引出した複数の
繭糸を一担集束させてエアジエツト・ノズルに送
り込んだのでは繭糸が粘着性を有するためフイー
ドローラなどに巻付くトラブルを生じ易く、また
繭糸同士が走行過程で互いに接着してしまいエア
ジエツト・ノズル内にあつても分繊しないため常
に安定した混合または纒絡状態を確保することは
難しく、さらに複合化された糸条をそのままボビ
ン等に巻取ると巻取り糸層内に固着を生じ、繰返
しが困難となる場合も生じる。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、繭糸と他の繊維との複合纒絡糸を製
造するに際して、上記欠点を改良することを目的
としたもので、繰糸工程においてエアジエツト・
ノズルを用いて繭糸と他繊維との複合糸を製造す
る方法において、これを通常の自動繰糸機の糸道
内に組込み、繰解部の煮熟繭から引出した繭糸群
を集束抱合させることなくフイードローラを介し
て分繊状態のまゝ他繊維と一緒にエアジエツト・
ノズルへ送込み、それぞれのオーバーフイード率
を適宜に変更することにより繭糸と他繊維との間
に任意の複合纒絡状態を与えたのち、オイリング
装置により所要の油剤を塗布して複合糸の直繰巻
取り行なうことを特徴とする。

（実施例） 本発明を図面によつて説明する。

第１図は本発明による方法を自動繰糸機におい
て実施する場合の１例を示す側面図概要で、第２
図はそのうちの接緒器の通糸管の形態と繭糸が分
繊した形でフイードローラを通過する状態の斜視
図、第３図は本発明の方法によつて得られた複合
纒絡糸の形態を示す側面図である。

第１図において繭糸１は繰解部の繰糸槽２中の
複数個の繭３から解離されたあと、繭糸全体の繊
度が細かくなつたとき新しい繭糸を補充するため
に設けられている接緒器４を通つてフイードロー
ラ５，５′に導かれる。その際複数の繭糸が一本
に集束・接着されることを防ぎ、分繊した状態で
エアジエツト・ノズルに供給するために、第２図
に示すように接緒器４の通糸管４′の断面を可能
な限り大型の楕円形もしくは長方形（10mm前後と
する）としておく。接緒器のプロペラは常時回転
しているが、この通糸管は固定されているため複
数の繭糸は新しい繭糸が補充されて絡みついた時
以外は常に一直線に並んだ形でフイードローラに
至る。フイードローラ５とそのトツプローラ５′
は、それぞれの表面をポリエチレンなど繭糸が粘
着し難い樹脂で覆われ、このことにより繭糸の巻
付きを防止するとともに複数の繭糸を集束するこ
となく平行に配列した形でエアジエツト・ノズル
に送り出すことができて好ましい。

一方、第１図において、６に示すようにパーン
状もしくはチーズ状に巻かれた天然繊維、化学繊
維、合成繊維など他繊維の糸条７は張力調整装置
８により張力を一定に調整されたのち、繰糸槽内
に設けられた誘導管９を経てフイードローラ１
０，１０′によつて送り出され、鼓車１１によつ
て所定の角度を保ちつつエアジエツト・ノズル１
２に入る。この他繊維はフイラメント、紡績糸の
いずれを用いても良い。エアジエツト・ノズルに
よつて複合、纒絡された糸条は鼓車１３を経て既
存の繊度感知器１４を通過し、従来の繰枠自動停
止用の鼓車１６，１７を経てオイリング装置１８
に至る。このオイリング装置は糸条を巻取つたと
きの固着を防止するために糸条の表面を油剤でカ
バーするものである。このオイリング装置を経た
のち絡交１８により均一な速度で左右に径復運動
を与えられながら糸条はボビンに巻取られる。こ
のように、新たに誘導管、フイードローラ、エア
ジエツト・ノズルを設け、接緒器の通糸管の形態
を変えたこと以外には、つとめて自動繰糸機に既
設の器具をそのまゝ利用することができる。

次に繭糸および他繊維のフイードローラ及び複
合糸の巻取機構について説明する。フイードロー
ラ５および１０の回転速度は複合纒絡糸の巻取速
度に対応して任意に設定できるもので、トツプロ
ーラ５′及び１０′はそれぞれフイードローラ５及
び１０に接触して摩擦により回転する。繭糸及び
他繊維はそれぞれローラ５と５′及びローラ１０
と１０′の間を通つて送出されるが、こゝで、繭
糸のオーバーフイード率を他繊維のそれより高く
するとその差分だけ繭糸が他繊維を芯として周り
に纒絡し、逆に他繊維のオーバーフイード率を高
くすると繭糸が芯となり他繊維がそれに纒絡す
る。このような繭糸と他繊維との複合纒絡状態は
繭糸と他繊維とのオーバーフイード率とエアジエ
ツト・ノズルの供給空気圧力とを変更することに
より用途別に任意に調節することが可能である。

巻取機構に関しては、自動繰糸機では定速回転
する小枠によつて生糸の巻取りを行なつている
が、この方法をそのまゝ利用する場合には、巻取
糸層の厚さの増加に伴つて巻取速度が増大し、オ
ーバーフイード率もこれに同調して増大させるこ
とが必要となるので、本発明ではフリクシヨンロ
ーラ方式に改め、定速回転するフリクシヨンロー
ラ２０に接触して回転するボビン２１又はコーン
に一定の速度で巻取ることゝしている。前述のよ
うに糸条には巻取り直前にオイリングを施してい
るので巻取糸層内に糸条固着はなく、この状態の
まゝ次の撚糸工程・あるいは製織・編工程に移す
ことができる。

第３図１は化学繊維をコア（芯）とし、繭糸が
周囲に纒絡するように複合纒絡繰糸した例であ
る。これは巻取速度に対する化学繊維のオーバー
フイード率を２％繭糸のそれを８％としたもの
で、繭糸のエーバーフイード率を高めることによ
り繭糸の纒絡を多くし、複合糸のかさ高性を付与
することが可能である。同図２は繭糸をコアとし
化学繊維を周囲に纒絡させたもので、オーバーフ
イード率は化学繊維を８％、繭糸を２％とした１
例である。

（発明の効果） このように本発明によるときは、自動繰糸機内
においてエアジエツト・ノズルを用いて繭糸と他
繊維との複合繰糸を行ない両糸条を積極的に送り
出すフイードローラのオーバーフイード率を変え
ることにより、任意の複合纒絡状態を付与し、効
率的に複合繰糸を行なう効果を有する。さらに、
繰製された複合糸は糸条相互の固着防止のためオ
イリング装置により所要の油剤（植物油と界面活
性剤を主体とした混合液、濃度約10％）が塗布さ
れた後、ボビンへ直接巻取られるため、製糸工場
において揚返し工程、仕上げ工程等を経ることな
く、このまま直接織物、編物メーカ等へ出荷する
ことができ、工程が大きく省略される。

繊度感知機構は、通常用いられている接触式定
繊感知器を使用しており、糸条の太さが細限繊度
域へ達した時に自動的に新しい有緒繭が接緒され
るため、人手を要さず自動的に複合糸を繰製する
ことのできる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方法を自動繰糸機において
実施する場合の概要側面図、第２図は第１図の要
部を拡大した斜視図、第３図１，２は本発明の方
法によつて得られた複合纒絡糸条の例を示す拡大
側面図である。 １……繭糸、２……繰解部繰糸槽、５……フイ
ードローラ、８……他繊維糸条、１０……フイー
ドローラ、１２……エアジエツトノズル、１８…
…オイルリング装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 繰糸工程においてエアジエツト・ノズルを用
   いて繭糸と他繊維との複合糸を製造する方法にお
   いて、これを通常の自動繰糸機の糸道内に組込
   み、繰解部の煮熟繭から引出した繭糸群を集束抱
   合させることなくフイードローラを介して分繊状
   態のまゝ他繊維と一緒にエアジエツト・ノズルへ
   送込み、それぞれのオーバーフイード率を適宜に
   変更することにより繭糸と他繊維との間に任意の
   複合纒絡状態を与えたのち、オイリング装置によ
   り所要の油剤を塗布して複合糸の直繰巻取り行な
   うことを特徴とする繭糸と他繊維との複合纒絡繰
   糸方法。