JPS6336102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は軽量気泡コンクリートパネルを用いた
外壁に、窓や戸などの開口部を設ける場合の軽量
気泡コンクリートパネルの取付け構造に関する。

軽量気泡コンクリートパネル（以下、ALCパ
ネルと呼ぶ）は、軽量かつ不然性で断熱性もあ
り、加工性にも優れ、工場での大量生産もできる
ことから鉄骨構造物に建込むなどの方法で多く使
用されている。

このようなALCパネルはその断面形状を第１
図に示すように、一般に長辺小口２（長辺部の端
面）に断面半円の溝状をなす目地３が設けられて
いる。このALC１を用いてたて壁にて外壁を施
工する場合には、ALCパネル１をたて配して長
辺小口２を互いに当接して取付け、互いに接する
目地３にモルタルを充填して円柱状のモルタルを
形成することによつて互いに固定している。さら
に、各ALCパネル１の目地３の上・下部に目地
鉄筋を挿入し、この目地鉄筋を介して鉄骨等に固
定してALCパネル１に作用する風圧力等の外力
に耐え得る構造となつている。

また、ALCパネルの外壁構造に窓や戸などの
開口部を設ける場合には開口部を補強するため
に、第２図およびその拡大斜視図を第３図に示す
ように、山形鋼や平鋼による開口補強材４ａ，４
ｂを鉄骨等に予め取付けて窓や戸などに加わる風
圧力等の外力に耐え得る構造となつている。

ところが、第２図に示す如き開口部の周囲、即
ち上・下および左右に配設されるALCパネル１
ａおよび１ｂにおいては、第４図に示すように互
いに接する目地３の中に開口補強材４ａが存在す
るため、目地３内にモルタル５を確実に充填し難
いとともに補強材４ａとモルタル５の付着性が悪
く、ALCパネル１ａおよび１ｂの取付け耐力が
期待できなかつた。そこで、従来においては、第
３図および第５図に示すようにALCパネル１ａ，
１ｂに座堀を行ない、フツクボルト６を貫通させ
てこのフツクボルト６によりALCパネル１ａ，
１ｂを補強材４ａ，４ｂに夫々締め付け固定して
いた。

しかしながら、従来の開口部周囲のALCパネ
ルの取付け構造には以下の欠点があつた。

フツクボルトをALCパネルに取付ける取付
け作業が大へんめんどうであるため、手間がか
かりすぎる。

座堀あとを補修した補修部分が収縮クラツク
や浮き上りなどにより漏水の原因となると共に
補修跡が美観を損う。

本考案は上記従来技術の欠点に鑑み、施工上め
んどうなフツクボルトを不要とし、施工工数を大
幅に軽減できると共に漏水の原因を除去でき美観
を損うことのない軽量気泡コンクリートパネルの
取付け構造を提供することを目的とする。かかる
目的を達成する本考案の構成は、開口補強材によ
り補強される開口部を設けた外壁構造の当該開口
部周囲に配設される軽量気泡コンクリートパネル
の取付け構造において、前記開口補強材に前記軽
量気泡コンクリートパネルの長辺小口に設けられ
た目地に内接する形状の取付金物を固着し、この
取付金物に前記開口補強材に隣接する軽量気泡コ
ンクリートパネルの目地を嵌込んで取付けてなる
ことを特徴とする。

以下に本考案の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。尚、本実施例においては開口部の下
部のALCパネルに適用した場合について説明し、
従来と同一部分には同一番号を附す。

本実施例の取付け構造はその要部の拡大斜視図
を第６図に示すように、開口部を補強する開口補
強材４ａに取付金物１０を固着して取付け、この
取付金物１０に開口補強材４ａに隣接するALC
パネル１ｂの目地３を嵌込んでALCパネル１ｂ
を取付けた構造である。

この取付金物１０は抽出して第７図ａに示すよ
うに、ALCパネル１ｂの長辺小口２に設けられ
た目地３に嵌合する断面形状に形成されている。
本実施例では、目地３の形状が半円形をなす
ALCパネル１ｂを用いたことにより、これに合
わせた断面半円形に板状部材でわん曲して形成さ
れている。この取付金物１０の全長はほぼ100〜
200mm程度に形成され、わん曲部分の背部には取
付片を一体に具えており、この取付片を開口補強
材４ａに溶接によつて取付けられる。なお、取付
金物としては第７図ａのものに限らず第７図ｂの
取付金物１１の如くわん曲部の側部に突出した取
付片を具えた形状にしてもよい。要は、取付金物
としては、一方の側がALCパネル１ｂの目地３
に内接できると共に反対側が開口補強材４ａに容
易に溶接できる形状であればよい。このような取
付金物１０は、開口補強材４ａに隣接するALC
パネル１ｂの目地３の上方部と下方部に夫々対応
する二ケ所の位置にて固着されている。

尚、本実施例においては、取付金物１０は内部
が中空のものを用いたが、強度上の点から必要と
あれば中空のものに限定する必要はない。しかし
ながら、ALCパネル外壁の耐火性、遮音性など
の要求に対応して目地内にモルタル充填を行う場
合があるため、この取付金物の内部は中空構造に
しておくことが望ましい。また、取付金物の長さ
としては、ALCパネルに作用する風圧力等の荷
重に応じて適宜選定すればよい。

このような取付け構造においては、開口部の下
部に配設されるALCパネル１ｂ，１ｃのうち、
開口補強材４ａに接するALCパネル１ｂを、取
付金物１０に目地３を嵌込んで取付け、残りの中
央部分のALCパネル１ｃを従来と同様目地３ど
うしを接して配設し、上記取付金物１０内および
互いに接した目地３内にモルタル５を充填する。
こうして、ALCパネル１ｂ，１ｃは取付金物１
０により風圧力等の荷重に対し十分な取付け耐力
が得られ、構造上強力なものにすることができ、
従来の如きフツクボルトを不要とすることができ
る。

尚、上記実施例においては開口部の下部に配設
されるALCパネル１ｂ，１ｃの場合について説
明したが、これに限らず開口部の上部側に配設す
るALCパネル１ｂ，１ｃや開口部の左右両側に
なる長尺のALCパネル１ａについても適用でき
ることはいうまでもない。また、たて配された
ALCパネルに限らず横配されたALCパネルにも
応用することができる。

以上、説明したように本考案によれば、取付金
物にALCパネルの目地をはめ込んでALCパネル
を取付ける構造であるため、強力な構造にできる
と共に、施工上めんどうなフツクボルトを不要に
でき、施工工数を大幅に軽減できる。その結果、
ALCパネルにフツクボルト用の孔あけや座堀り
などの加工が不要となり、補修による漏水や美観
上の問題が解決できると共に、ALCパネルの強
度の点から好ましい。また、建物の変形や振動に
よつてフツクボルト部分に集中荷重を生じALC
パネルにクラツクを発生する従来の如き問題も解
消することができ、施工上、性能上優れた利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は従来例に係り、第１図は
ALCパネルの断面形状の一例を示す断面図、第
２図は開口部の外壁構造を示す正面図、第３図は
開口部の要部の拡大斜視図、第４図は第３図中の
Ａ部の横断面図、第５図は第３図中のＢ部の縦断
面図、第６図〜第７図ｂは本考案の実施例に係
り、第６図は開口部のALCパネルの取付け構造
を示す要部の拡大斜視図、第７図ａおよびｂは
夫々取付金物を示す斜視図である。 図面中、１，１ａ，１ｂ，１ｃはALCパネル、
２は長辺小口、３は目地、４ａ，４ｂは開口補強
材、５はモルタル、１０，１１は取付金物であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 開口補強材により補強される開口部を設けた外
   壁構造の当該開口部周囲に配設される軽量気泡コ
   ンクリートパネルの取付け構造において、前記開
   口補強材に、前記軽量気泡コンクリートパネルの
   長辺小口に設けられた目地に内接する形状の取付
   金物を固着し、この取付金物に前記開口補強材に
   隣接する軽量気泡コンクリートパネルの目地を嵌
   込んで取付けてなることを特徴とする軽量気泡コ
   ンクリートパネルの取付け構造。