JPS633463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、相対的に回転が可能な二つの機械
部材間においてスラスト荷重を受容するスラスト
軸受装置に関する。ここで機械部材とは回転軸と
スラスト荷重を受容する為のハウジングを指す。

(ロ) 従来技術 従来のこの種スラスト軸受装置は、例えば第１
図に示すようにハウジング１にラジアル軸受２を
介して軸３を回転自在に支持させると共に、ハウ
ジング１内側に突出したカラー４を固定し、この
カラー４の両側にスラスト円筒コロ軸受５，６を
夫々組付配置してある。

ところで、従来の上記スラスト軸受装置に於い
ては、円筒形の転動体を用いたスラスト円筒コロ
軸受５，６を使用する為、高速回転する機械また
は機械部材には適さない。即ち、その理由は転動
体の内径側と外径側との間において周速差による
回転スベリが発生し、これが軸受の発熱の原因と
なる為、限界回転数に制限が必要である。尚、ス
ラスト円筒コロ軸受５，６の限界回転数は、経験
によつてラジアル軸受２の限界回転数に対して略
半分程度であることが知られている。そこで、使
用潤滑油、冷却法等に対策を施して限界回転数を
越えても使用を可能にしたが、使用が不安定であ
ると共に、対策内容によつては高精度を要して非
常に高価である。また、多数の小型のスラスト円
筒コロ軸受を並設して高速回転に適するようにし
たが、構造が極めて複雑で高価であると共に、極
めて大きなスペースが必要である。

(ハ) 考案の目的 この考案は、上記問題を解決して高速回転する
機械または機械部材に適したスラスト軸受装置を
提供することを目的とする。

(ニ) 考案の構成 この考案に係るスラスト軸受装置は、ハウジン
グと軸の間にラジアル軸受を配置し、該ラジアル
軸受の両側にスラスト円筒コロ軸受を夫々配置
し、上記スラスト円筒コロ軸受の一方をハウジン
グに嵌合配置すると共に、他方のスラスト円筒コ
ロ軸受を軸に嵌合配置し、両スラスト円筒コロ軸
受のラジアル軸受に対向する軌道輪を該ラジアル
軸受の保持器端面に夫々当接させるようにしたこ
とを要旨とするものである。

(ヘ) 実施例 第２図はこの考案に係るスラスト軸受装置の具
体的実施例を示すもので、ハウジング７にラジア
ル玉軸受８を介して回転軸９を回転自在に支持
し、上記ラジアル玉軸受８の両側にスラスト円筒
コロ軸受１０，１１を夫々組付配置したものであ
る。

ラジアル玉軸受８は外輪１２と内輪１３との間
に保持器１４に装着された複数個のボール１５を
配してなり、ハウジング７内に嵌合して外輪１２
をハウジング７の内方突出大径側肩部７ａと外輪
固定間座１６で挾持固定すると共に、内輪１３を
回転軸９上に嵌合してハウジング７に回転軸９を
回転自在に支持させている。保持器１４は円周方
向に沿つて等間隔にボールポケツト１４ａを多数
形成した断面形状が凹形の環状体で、図面に示す
実施例では一方端を開放させた状態でボールポケ
ツト１４ａを設けた断面逆Ｌ字状の保持器本体１
４ｂに該保持器本体１４ｂの開放端側を閉じるリ
ング状の蓋体１４ｃを掌合してなる。

スラスト円筒コロ軸受１０は２枚の軌道輪１
７，１８間に保持器１９に装着された複数個の円
筒コロ２０を配してなり、一方の軌道輪１７を回
転軸９の段部９ａに嵌合係止すると共に、他方の
軌道輪１８はラジアル玉軸受８の保持器１４の本
体１４ｂ端面に当接して保持器１４及びボール１
５とともに回転するようになつている。

もう一方のスラスト円筒コロ軸受１１は同じく
２枚の軌道輪２１，２２間に保持器２３に装着さ
れた複数個の円筒コロ２４を配してなり、一方の
軌道輪２１をラジアル玉軸受８の保持器１４の蓋
体１４ｃ端面に当接して保持器１４及びボール１
５とともに回転するようにすると共に、他方の軌
道輪２２はハウジング７の内方突出小径側肩部７
ｂに嵌合係止されている。

上記構成に於いて、回転軸９が回転すると、ス
ラスト円筒コロ軸受１０の軌道輪１８及びラジア
ル玉軸受８の内輪１３が回転軸９と一体に回転
し、スラスト円筒コロ軸受１０の保持器１９並び
に軌道輪１７、ラジアル玉軸受８の保持器１４及
びスラスト円筒コロ軸受１１の軌道輪２１並びに
保持器２３がハウジング７に固定のラジアル玉軸
受８の外輪１２、外輪固定間座１６及びスラスト
円筒コロ軸受１１の軌道輪２２に対して所定方向
に回転する。そして、回転軸９のラジアル荷重は
中央のラジアル玉軸受８が受容し、回転軸９の両
方向のスラスト荷重は左右のスラスト円筒コロ軸
受１０，１１が受容する。

この考案の上記スラスト軸受装置では、中央部
のラジアル玉軸受８の保持器１４により各スラス
ト円筒コロ軸受１０，１１のラジアル玉軸受８に
対応する軌道輪１７，２１は強制的に該保持器１
４と同じ回転数で回転されるから、各スラスト円
筒コロ軸受１０及び１１の軌道輪１７，１８及び
２１，２２間の相対回転差は小さくなる。

(ヘ) 考案の効果 この考案はハウジングと軸の開口にラジアル軸
受を配置し、該ラジアル軸受の両側にスラスト円
筒コロ軸受を夫々配置し、上記スラスト円筒コロ
軸受の一方をハウジングに嵌合配置すると共に、
他方のスラスト円筒コロ軸受を軸に嵌合配置し、
両スラスト円筒コロ軸受のラジアル軸受に対向す
る軌道輪を該ラジアル軸受の保持器端面に夫々当
接させるようにしたから、スラスト円筒コロ軸受
がラジアル軸受と同程度の回転数での使用に耐え
ることができ、高速回転する機械または機械部材
に適用し得ると云う実用上極めて有効な効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスラスト軸受装置の一例を示す
図面、第２図はこの考案に係るスラスト軸受装置
の実施例を示す図面である。 ７……ハウジング、８……ラジアル玉軸受、９
……回転軸、１０，１１……スラスト円筒コロ軸
受、１２……外輪、１３……内輪、１４……保持
器、１５……ボール、１７，１８，２１，２２…
…軌道輪、１９，２３……保持器、２０，２４…
…円筒コロ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジングと軸の間にラジアル軸受を配置し、
   該ラジアル軸受の両側にスラスト円筒コロ軸受を
   夫々配置し、上記スラスト円筒コロ軸受の一方を
   ハウジングに嵌合配置すると共に、他方のスラス
   ト円筒コロ軸受を軸に嵌合配置し、両スラスト円
   筒コロ軸受のラジアル軸受に対向する軌道輪を該
   ラジアル軸受の保持器端面に夫々当接させるよう
   にしたスラスト軸受装置。