JPS6326038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ラツクにおける引き出し式棚のロツ
ク装置に関するものである。

〔従来の技術〕

工場や倉庫等で使用される物品収納用のラツク
は、物品の積み下ろしを容易にするため棚を引き
出し式にしているが、収納状態から不測に突出し
ないようにするため、また、物品の積み下ろし中
に不測に後退しないようにするため、棚を収納状
態と引き出し状態とにロツクする必要がある。

そして、このためのロツク装置として、先行技
術としての実開昭54−22931号公報は、左右側枠
間に棚を前後動自在に装架して成るラツクにおい
て、棚の一側縁上面に前後適宜隔て係止突起を設
ける一方、側枠の前部内側面に、前後反転自在な
ストツパ体を、その先端が棚の側縁上面に接当す
るようにして軸支し、このストツパ体を回動操作
して、前記前後係止突起に選択的に係合させるこ
とにより、棚を収納状態と引き出し状態とにロツ
クできるようにした考案を提案している。

しかし、このようにストツパ体を回動操作して
ロツク解除する機構では、ストツパ体を回動操作
する余裕が必要で、ストツパ体の枢軸を側枠の前
端面よりも可成り前方に位置させねばならないこ
とから、ストツパ体はブラケツトを介して取付け
ねばならず、このブラケツトがラツクの前面から
可成り突出するため、外観が悪化すると共に、物
や作業者の衣服が引つ掛りやすくなる問題があつ
た。

また、このものではストツパ体の枢支高さは当
該ストツパ体の長さによつて規定されるが、スト
ツパ体は一定以上に長くできず（長くすると前倒
ししたとき棚前方に突出して作業の邪魔になるた
め）、ストツパ体は棚に近接した高さ位置に設け
ねばならないため、棚を引出した状態でロツク解
除するに際して、作業者は、棚の側面に沿わせる
ようにして腕を伸ばしてからストツパ体を回動操
作せねばならず、操作性が悪い問題もあつた。

加えて、このものでは、棚の収納位置でのロツ
クを解除する場合、ストツパ体が作業者の向かつ
て倒れ回動するため、高い段の棚をロツク解除す
る場合、ストツパ体が作業者の目に近い部位で前
倒れすることになり、作業者に心理的な圧迫を加
える点にも問題があつた。

本考案は、これらの問題を解消することを目的
とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

このため本考案では、左右側枠間に棚を前後動
自在に装架して成るラツクにおいて、前記棚の一
側縁に、前進阻止ストツパ部と後退阻止ストツパ
部とを前後適宜隔てて設ける一方、前記側枠内面
のうち前記棚よりも適宜上方の部位には、前記前
進阻止ストツパ部に対してのみ上方から係合する
前進阻止係止体と、前記後退阻止ストツパ部に対
してのみ上方から係合する後退阻止係止体とを、
それぞれ上下昇降自在で且つ横ずれ不能に装着
し、且つ、前記側枠の内側面には、ラツクの前方
から操作するようにした操作杆を前後摺動自在に
装着し、該操作杆に、前記両係止体を、操作杆の
前後動に応じて両係止体が上下逆方向に昇降する
ようにして掛け止めした構成にしたものである。

〔考案の作用・効果〕

この構成において、例えば、操作杆の押し込み
動にて、後退阻止係止体が上昇して前進阻止係止
体が下降し、逆に、操作杆を引き出せば、後退阻
止係止が下降して前進阻止係止体が上昇するよう
に関連した場合であると、棚を押し込み収納した
状態で操作杆を押し込んでおくと、前進阻止係止
体が棚の前進阻止ストツパ部に上方から係合し
て、棚はその収納位置で引出し不能に保持され
る。

そして、その収納状態から操作杆を手前に引く
と、前進阻止係止体が上昇して前進阻止ストツパ
部との係合が解除され、棚は引出し自在になると
共に、後退阻止係止体が下降して、棚の後退阻止
ストツパ部に係合し得る状態となり、棚を一杯に
引き出すと、後退阻止ストツパ部に対して後退阻
止係止体が上方から係合し、棚は引き出し位置で
押し込み不能にロツクされる。

また、棚を引き出した状態で、操作杆を押し込
めば、後退阻止係止体が上昇してその引き出し状
態でのロツクが解除されると共に、前進阻止係止
体が下降して前進阻止ストツパ部に係合し得る状
態になり、棚を収納位置まで押し込むと、前進阻
止係止体が前進阻止ストツパ部に上方から係合し
て、棚は収納状態で引き出し不能にロツクされ
る。

この場合、前進阻止係止体は前進阻止ストツパ
部にしか係合せず、後退阻止係止体は後退阻止ス
トツパ部にしか係合しないから、棚はその前後動
に応じて、収納位置と引き出し位置とにロツクさ
れる。つまり、収納状態でロツク解除すると、棚
の引出し動に応じて棚は引出し位置に自動的にロ
ツクされ、引出し状態でロツク解除すると、棚の
押し込み動に応じて収納状態に自動的にロツクさ
れる。

このように本考案は、棚をロツクするための係
止体は側枠の内側面に沿つて装着しており、ラツ
クの前方には操作杆が僅かに突出するのみである
から、外観が悪化したりロツク装置に物や衣服が
引つ掛る幣害を防止又は低減できる効果を有し、
また、操作杆による係止体の掛け止め位置は自在
に設定でき、操作杆を棚よりも適宜上方に位置さ
せることができるから、ロツク解除に際しての操
作性を向上できる効果も有する。

加えて、ロツク解除に際しては、操作杆を指で
摘んで押したり引いたりするものであるから、回
動式ストツパのように作業者に心理的な圧迫を加
えることはなく、作業環境を向上できる効果も有
する。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面（第１〜７図）に
基づいて説明すると、図において符号１は、左右
に配設した側枠４間に棚６を前後動自在で上下多
段に装架して成るラツクを示す。前記側枠４は、
断面矩形の前後支柱２，２′を前後横梁３，３で
連結することによつて形成されており、これら左
右側枠４の上端と下端とは、開口方向横梁５，５
にて連結されている。

前記棚６の左右両側面には、外向き開口コ字状
の側部材７を固着し、該側部材７の後端部にロー
ラ９を軸支する一方、前記左右側枠４における前
後支柱２，２′の内側面間には、断面Ｌ字状のブ
ラケツト１０，１０′を介して内向き開口コ字状
の案内レール８を固着し、該案内レール８内に前
記側部材７の後端に設けたローラ９を回転自在に
嵌挿すると共に、前部支柱２に固着したブラケツ
ト１０にはコロ１１を軸支し、該コロ１１にて前
記棚６の側部材７を回転自在に支持している。

前記棚６における左側縁の上面には、その前端
寄り部位には前進阻止ストツパ部１２を、後端寄
り部位には後退阻止ストツパ部１３をそれぞれ凹
み形成している。これらストツパ部１２，１３
は、側部材７の上面に切線を設けてから下向き膨
出させて形成しており、前進阻止ストツパ部１２
はラツク１前方に向かつて上向き傾斜し、後退阻
止ストツパ部１３はラツク１後方に向かつて上向
き傾斜するようにしている。

なお、棚６におけるストツパ部の形態として
は、実施例のような凹み形成することに代えて、
上向きに突起を設けても良い。

符号１４は、前部支柱２の内側面のうち棚６よ
りも適宜上方に配設したロツク装置で、該ロツク
装置１４は、前部ブラケツト１０に固着した下向
き開口の箱状ガイド枠１８に前後動自在に嵌挿し
た操作杆１５と、同じく前記箱状ガイド枠１８内
に上下動自在で且つ横ずれ不能に嵌挿した前後一
対の係止体１６，１７とで構成されており、前記
両係止体１６，１７の上端に形成した折曲げ部１
９を、前記操作杆１５の上端面に掛け止めする。
このとき、前記係止体１６，１７の各折曲げ部１
９が接当する操作杆１５の上端面を、前後両端部
を傾斜させた側面視逆台形状の案内面２０に切り
込み形成することにより、操作杆１５の前後動に
伴つて、両係止体１６，１７が上下逆方向に昇降
するように構成する。

そして、後部係止体１７の下端面を、ラツク１
後方に向かつて下がる傾斜面に形成することによ
り、当該後部係止体１７が前記前進阻止ストツパ
部１２にのみ係合するように構成する一方、前記
前部係止体１６の下端面を、ラツク１前方に向か
つて下がるようにした傾斜面に形成することによ
り、該前部係止体１６が後退阻止ストツパ部１３
のみに係合するように構成する。つまり、後部係
止体１７を前進阻止係止体とする一方、前部係止
体１６を後退阻止係止体とする。

なお、第４〜７図で示す符号２１は、上下多段
に設けた棚６のうち複数のものを同時に引出せな
いようにした二重引出し防止装置で、以下に述べ
るように構成されている。

すなわち、棚６における側部材７上面に、高さ
寸法Ｈの突き上げ体２２を前後方向に沿つて設け
る一方、側枠４における前部支柱２の後方に縦杆
２３を上下動自在に装着し、該縦杆２３に、前記
各棚６の突き上げ体２２上面に接当し得るコロ状
の接当子２４を設けると共に、前記縦杆２３のう
ち各段の棚６に対応した部位には、前記操作杆１
５の後端部に形成した鉤部２５の前面に臨むスト
ツパ２６を設けたものものである。

以上の構成において、第４図に示すように、棚
６を押し込んだ状態で操作杆１５を矢印Ａ方向に
押し込んでおくと、操作杆１５における案内面２
０の案内作用により、前部係止体１６は上昇し、
後部係止体１７が下降するから、後部係止体１７
が棚６における前進阻止ストツパ部１２に嵌り込
み、棚体は収納位置で引き出し不能にロツクされ
る。

他方、収納状態で操作杆１５を矢印Ｂ方向に引
き出すと、操作杆１５の安定面２０における後方
部の傾斜面のガイド作用により、後部係止体１７
が上昇してロツク解除される一方、前部係止体１
６が自重によつて下降し、その下端が側部材８上
面に接当するが、前部係止体１６の下面は後方に
向けて上向き傾斜しているので、前進阻止ストツ
パ部１２に係合することはなく、前部係止体１６
の下端面が接当した状態で棚６は引き出される。

そして、棚６が一杯に引き出されると、第７図
に示すように、前部係止体１６がその自重によ
り、後退阻止ストツパ部１３に嵌まり込み係合
し、棚６は、その引出し位置で押し込み不能に保
持される。また、引き出し状態で操作杆１５を矢
印Ａ方向に押すと、前部係止体１６が上昇して棚
６はロツク解除されると共に、後部係止体１７が
下降して側部材７上面に接当し、その接当状態で
棚６が押し込まれるが、後部係止体１７の下面は
ラツク１前方に向かつて上向き係止しているか
ら、棚６の押し込みによつて後退阻止ストツパ部
１３に係合することはなく、収納状態まで押し込
むと、後部係止体１７が前進阻止ストツパ部１２
に嵌り込み係合し、棚６は収納位置にロツクされ
るのである。

なお、何れかの段の棚６を引き出すと、側部材
７の上面に設けた突き上げ体２２によつて接当子
２４が押し上げられ、それに伴つて、縦杆２３が
突き上げ体２２の高さ寸法Ｈだけ上昇し、縦杆２
３に設けたストツパ２６が、収納状態の棚６に対
する操作杆１５の後端鉤部２５に下方から係合
し、それら収納状態にある他の棚６に対する操作
杆１５が引出し不能にロツクされ、収納状態の棚
６は引き出し不能となる。従つて、棚６が同時に
引き出されて重心が前寄りになつて、ラツク１全
体が転倒することが防止される。

なお、操作杆１５と両係止体１６，１７との上
下逆駆動の関連は、第８図のように前記実施例と
は逆方向に作動させても良い。

すなわち、第８図の例は、前部係止体１６の下
面をラツク１前方に向かつて上向きの傾斜面に形
成して、前進阻止ストツパ部１２に係合するよう
に形成する一方、後部係止体１７の下端面をラツ
ク１後方に向かつて上向きの傾斜面に形成し、後
退阻止ストツパ部１３に係合するようにしたもの
である。すなわち、前部係止体１６を前進阻止係
止体とし、後部係止体１７を後退阻止係止体とし
たもので、このようにすると、操作杆１５のＡ方
向への押し込み操作にて収納状態のロツクが解除
され、Ｂ方向への引き出し操作にて、引き出し状
態でのロツクが解除される。

さらに、第９図に示すのは、操作杆１５を前後
に長く形成して、係止体１６′，１７′を前後適宜
隔てて配設し、それら両係止体１６′，１７′を案
内面２０′，２０′に掛け止めする一方、棚６の一
側縁における後端部には、１つの孔を穿設して前
進阻止ストツパ部１２′と後退阻止ストツパ部１
３′とを相対向して形成したものである。この例
では、操作杆１５の引き出し操作で棚６の収納状
態でのロツクが解除され、操作杆１５の押し込み
操作にて棚６の引き出し状態でのロツクが解除さ
れるが、操作杆１５の操作方向とロツク解除との
関係は逆にしても良いことは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はラツク
の斜視図、第２図は側面図、第３図は第２図の
−視拡大平面図、第４図は第３図の−視一
部切欠断面図、第５図は第４図の−視断面
図、第６図は第４図の−視平面図、第７図は
作用説明図、第８図は別の実施例を示す要部断面
図、第９図は更に別の実施例を示す概略断面図で
ある。 １……ラツク、２，２′……支柱、４……側枠、
６……棚、７……側部材、８……レール、９……
コロ、１１……支持ローラ、１２……前進阻止ス
トツパ部、１３……後退阻止ストツパ部、１５…
…操作杆、１６，１６′，１７，１７′……係止
体、２０……案内面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右側枠間に棚を前後動自在に装架して成るラ
   ツクにおいて、前記棚の一側縁に、前進阻止スト
   ツパ部と後退阻止ストツパ部とを前後適宜隔てて
   設ける一方、前記側枠内面のうち前記棚よりも適
   宜上方の部位には、前記前進阻止ストツパ部に対
   してのみ上方から係合する前進阻止係止体と、前
   記後退阻止ストツパ部に対してのみ上方から係合
   する後退阻止係止体とを、それぞれ上下昇降自在
   で且つ横ずれ不能に装着し、且つ、前記側枠の内
   側面には、ラツクの前方から操作するようにした
   操作杆を前後摺動自在に装着し、該操作杆に、前
   記両係止体を、操作杆の前後動に応じて両係止体
   が上下逆方向に昇降するようにして掛け止めした
   ことを特徴とするラツクにおける引出し式棚のロ
   ツク装置。