JPS6313406Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用エンジンのシリンダ・ブロツ
クに係り、特に、そのスカート部の側面に前後方
向に亘つて補強リブを一体に形成したものに関す
る。

エンジンの基体をなすシリンダ・ブロツクは、
ピストンが往復運動する複数のシリンダ孔を有
し、その上部にシリンダ・ヘツドが取り付けられ
るものであつて、従来例えば第１図および第２図
に示す如く構成されている。第１図はシリンダ・
ブロツク１の縦断面図、第２図は同じく底面図
で、このシリンダ・ブロツク１には、複数のシリ
ンダ孔２が形成され、このシリンダ孔２を形成す
る側壁３内に冷却水を通過せしめるウオータ・ジ
ヤケツト４が設けられている。また、側壁３の下
部には外方に円弧状に拡開したスカート部５が一
体的に連設され、これの下端縁にはオイル・パン
取付用の取付フランジ６が一体連設されるととも
に、後端部に変速機取付部７が突出する様に一体
に形成されている。なお、８はクランク軸の軸
受、９はオイルパン内に連通する如く設けられた
クランク室、１０は上記シリンダ・ブロツク１の
下面に設けられたオイル・パン結合用ねじの取付
孔である。

ところで、かかる従来のシリンダブロツク１に
於いては、燃焼爆発力に起因して発生する大きな
振動がそのシリンダ・ブロツクに伝わつて鳴動す
るとともに、これの下部のオイル・パンにも振動
を惹起して外部に大きな騒音を放射することとな
つていた。特に、これまでのシリンダ・ブロツク
１にあつては横方向およびねじれ方向の剛性につ
いては格別に積極的な補強構造を採用したものが
なく、該シリンダブロツク１の固有振動数が500
〜1.25KHz付近である場合に、これが燃焼室内で
発生する燃焼圧力変動の繰り返し周波数や回転に
伴う加振力と共振することとなり、上記周波数域
の振動騒音を著るしくする。またクランク軸から
バルク部を介してスカート部５に力が加わる結
果、スカート部５が開き振動を生じ、同様に騒音
の主要な原因となつていた。

本考案はかかる従来の問題点に鑑みて成したも
のであり、補強リブの形成によつて横方向および
ねじれ方向の剛性を向上させるとともに、スカー
ト部の開き振動を抑制し、さらには変速機との結
合剛性を高めて、全体としてエンジン騒音を効果
的に抑制する様にした自動車用エンジンのシリン
ダ・ブロツクを提供することを目的とする。

すなわち、本考案に係る自動車用エンジンのシ
リンダ・ブロツクは、一端が変速機取付部に連続
し、かつ他端がシリンダ・ブロツクの他端近傍に
至る薄板状の補強リブを、オイル・パン取付フラ
ンジのフランジ面より上方でかつクランク軸の略
中心を通る高さ位置のスカート部両外側面に、上
記オイル・パン取付フランジより外側に突出した
状態に突設するとともに、この補強リブの突出量
を、一端の変速機取付部側から他端へ向かつて
徐々に小さくしたことを特徴とするものである。

以下、本考案をハーフスカート形シリンダブロ
ツクとして構成した一実施例を図面に基づいて説
明する。

第３図、第４図および第５図は本考案にかかる
シリンダ・ブロツク１１のそれぞれ正面図、縦断
面図および底面図である。なお、基本的構成は第
１図および第２図に示すものと同一であるので、
それの同一構成部分には同一符号を付す。

かかるシリンダ・ブロツク１１では、これのス
カート部５の両外側面に、変速機取付部７から先
端部に向つて薄板状の補強リブ１２が一体的に突
設されている。この補強リブ１２は、オイル・パ
ン取付フランジのフランジ面より上方に位置し、
かつブロツク内に配置されるクランク軸の中心線
に略一致する高さ位置にあつて、水平方向に設け
られている。そして、この補強リブ１２の先端縁
は、上記オイル・パン取付フランジより外側に大
きく突出した状態となつている。また、かかる補
強リブ１２はクランク軸の軸受が受ける衝激荷重
（振動）に対して充分な剛性を示す。この場合に
於いて、スカート部５の後部では開閉振動が前部
より大きく、かつシリンダ・ブロツク１１と変速
機との結合剛性を向上させる必要があるので、特
に、その変速機取付部７側が幅広つまり突出量が
大となつており、ここからシリンダ・ブロツク１
１先端側へ向かつて徐々に突出量が小さくなつて
いる。なお、同時にその肉厚を変速機取付部７側
で大きく設定しても良い。

かかる構成になるシリンダブロツク１１に於い
ては、エンジンの運転中に、変形するクランク軸
がこれを支承するバルク部やベアリング・キヤツ
プ部に対して作用する片当りに依つて、そのシリ
ンダブロツク１１が第５図の矢印Ｘ方向にうねる
様な振動圧力を受けても、クランク軸の略中心の
高さにある上記補強リブ１２が極めて大きな剛性
を示してその振動圧力を抑制する如く作用し、し
たがつて、そのシリンダブロツク１１から発生す
る振動騒音並びにそのシリンダブロツク１１下部
に連続するオイル・パンから発生する騒音を抑制
することができる。特に、エンジン燃焼室内で発
生する燃焼圧力振動の周波数やその回転に伴う加
振力が、シリンダブロツク１１の固有振動数に共
振することに依る振動騒音の増大を防止して、こ
のシリンダブロツク１１外へ放射する騒音を効果
的に軽減することができる。

またクランク軸からバルク部を介してスカート
部５に伝えられる拡開力に対しても、上記補強リ
ブ１２がクランク軸略中心の高さ位置にあるので
最も効果的に抑制でき、騒音発生の原因となるス
カート部５の開き振動を低減できる。

さらに、上記補強リブ１２は変速機取付部７側
で突出量が大となつているので、変速機との結合
剛性を高めることができる。またシリンダ・ブロ
ツク１１先端側の突出量が小さいことから、シリ
ンダ・ブロツク１１先端側の質量増大を回避で
き、変速機と結合した状態で問題となるシリン
ダ・ブロツク１１のねじれ振動を抑制できる。

以上要するに、本考案に依れば、シリンダブロ
ツクの変速機取付部から、スカート部外側面に沿
つてほぼ前端部までクランク軸の略中心の高さ位
置に薄板状の補強リブを一体的に形成したことに
依り、そのシリンダブロツクの横方向およびねじ
れ方向の剛性を向上させうるとともに、スカート
部の開き振動を効果的に抑制し、さらには変速機
との結合剛性を高めて、全体としてエンジン騒音
の発生を効果的に抑制することができる。なお、
上記リブはシリンダブロツクの成形時に一体的に
設けられるため、簡単かつ安価に得られ、実用上
頗る有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダ・ブロツクの縦断面
図、第２図は同じく底面図、第３図は本考案にか
かるシリンダ・ブロツクの正面図、第４図は同じ
く縦断面図、第５図は同じく底面図である。 ２……シリンダ孔、３……側壁、４……ウオー
タ・ジヤケツト、５……スカート部、７……変速
機取付部、８……軸受、１１……シリンダブロツ
ク、１２……補強リブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下端縁にオイル・パン取付フランジが形成され
   たスカート部を有するとともに、一端に変速機取
   付部が形成された自動車用エンジンのシリンダ・
   ブロツクにおいて、一端が上記変速機取付部に連
   続し、かつ他端がシリンダ・ブロツクの他端近傍
   に至る薄板状の補強リブを、オイル・パン取付フ
   ランジのフランジ面より上方でかつクランク軸の
   略中心を通る高さ位置のスカート部両外側面に、
   上記オイル・パン取付フランジより外側に突出し
   た状態に突設するとともに、この補強リブの突出
   量を、一端の変速機取付部側から他端へ向かつて
   徐々に小さくしたことを特徴とする自動車用エン
   ジンのシリンダ・ブロツク。