JPS6247073B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、長尺物を塗装するための塗装装置に
関する。

従来、長尺物の塗装はダイスを用いる方法、ロ
ールを用いる方法、ブラシを用いる方法、ベルト
を用いる方法、被塗物の外形とほぼ等しい口金中
に挿通させる方法などのしごき塗りが行なわれて
きた。しかしながら、これらの方法では塗装時の
剪断速度が大きくなるため、比較的厚い塗膜を均
一に塗布することが難しく、更に被塗物に凹凸が
ある場合には均一な膜厚を得ることが難しい等の
問題点があつた。

また、長尺物を塗液が入れられ固定された槽を
利用して浸漬塗装する方法も知られている。しか
しながら、この方法では、著しく長いものや重量
が大きく、運搬が難しい被塗物に対する塗装は極
めて困難である。

このため、重量が大きい長尺物の塗装について
は、人手による刷毛塗り、例えば、ロープにつる
された椅子に人間が座り、あるいはコンドラの中
に人間が乗つて行なう手作業で行なわれてきた。
しかし、これらの塗装方法によれば、高所作業の
安全性に問題があり、塗液の飛散により環境衛生
上好ましくなく、更に手作業によるため作業能率
が低い等の欠点がある。

本発明者は、特開昭56−166963号にて、上下方
向に固定的に設置された長尺物、例えば、つり橋
用ハンガーロープの塗装に特に適した塗装装置を
提案した。

まず、第１図を参照して、この塗装装置を簡潔
に説明する。被塗物の一例であるつり橋用ハンガ
ーロープ１は、上下方向に固定的に設置されてお
り、これらは複数本の鋼製ワイヤがらせん状によ
られて形成されている。このため、図面では省略
してあるが、ハンガーロープ１の外側表面にはら
せん状の凹凸が形成されている。第１図に示した
塗装装置は、２組の、塗料槽２と塗液回収手段３
と旋回手段４とを具備し、これらはそれぞれ一体
に形成されている。即ち、それぞれの組の塗料槽
２と塗液回収手段３とは、例えば溶接等によつて
連結されており、同様に、塗液回収手段３と旋回
手段４とは、例えば溶接によつて連結されてい
る。塗料槽２、塗液回収手段３及び旋回手段４は
基部５上に乗つており、それらの重量は基部５に
よつて支持されている。従つて、基部５の支持が
ない場合には、塗料槽２、塗液回収手段３及び旋
回手段４は、それらに加わる重力によつて、ハン
ガーロープ１に沿つて降下することになる。基部
５には駆動手段を形成する駆動ロープ６が連結さ
れており、駆動ロープ６は図示しない巻上げ機に
連結されている。巻上げ機によつて駆動ロープ６
を巻戻すことにより、基部５が降下し、これによ
つて、塗料槽２、塗液回収手段３及び旋回手段４
も降下する。上記した如く、ハンガーロープ１が
らせん状に形成されており、且つ塗料槽２のシー
ル部材７及び塗液回収手段３の刷毛８がハンガー
ロープ１を取り囲んでこれに接触していることに
より、あるいは旋回手段４の旋回用ローラ９によ
つて、塗料槽２、塗液回収手段３及び旋回手段４
は一体に回転しながら降下し、ハンガーロープ１
を塗装する。

第１図の塗装装置は長尺物を効率よく塗装でき
る等の優れた効果を有するものであるが、更に、
次の通りの改良すべき点を有する。

即ち、第１図の塗装装置を用いて被塗物を連続
的に塗装する場合、相当量の塗液を塗料槽２に保
持しておく必要がある。他方、塗料槽２に相当量
の塗液を保持し、従つて、液深が深い場合におい
て、塗料粘度が比較的低いとき、あるいは被塗物
形状が特に不規則なときなどには、塗液の圧力に
より塗料槽２のシール部材７と被塗物、例えばハ
ンガーロープ１との間の空隙から塗液が多量に流
出し、連続的な塗装作業に支障をきたす場合が少
なくない。

本発明は上記の通りの状況を考慮してなされた
もので、本発明に従うと、底部に被塗物が貫通す
る開口を有する塗料槽と、該塗料槽を被塗物に対
して下方に移動せしめるための駆動手段とを具備
する塗装装置において、該塗料槽の上方に配置さ
れ、下方部分にのみ開口部を有する補給槽を具備
し、該開口部が該塗料槽の内側で且つ該塗料槽の
外側壁の頂面より下方で開口していることを特徴
とする塗装装置が提供される。

本発明の目的は、長尺物の塗装に適した塗装装
置を提供することである。

本発明の他の目的は、重量が大きく、乃至は設
置されているため移動が困難な被塗物を塗装する
のに特に有効な塗装装置を提供することである。

本発明の他の目的は、長尺物を連続的に且つ均
一に塗装できる塗装装置を提供することである。

上記した目的及びその他の目的は、添付図面を
参照する本発明の塗装装置の好適実施例の次の通
りの説明から明らかになるであろう。

本発明に従う塗装装置は、第１図を参照して説
明した塗装装置とほぼ同様に構成されているの
で、説明を簡潔にするため上記塗装装置と異なつ
ている部分についてのみ説明する。

まず、第２ａ図及び第２ｂ図を参照して、本発
明に従う塗装装置の第一の実施例を説明する。塗
料槽１２は第１図に示した塗料槽２と同様な構成
であるが、若干これより薄い構造である。塗料槽
１２の下部にはシール部材１７が取り付けられて
いて、塗液の流出をできるだけ押えている。塗料
槽２の上方には適当な設置部材によつて補給槽２
１が設置されており、これにより、補給槽２１は
塗料槽１２に対して固定的に設置されている。補
給槽２１は下方に液供給口２２を有し、他の部分
は密閉構造になつている。補給槽２１の液供給口
２２は塗料槽１２の内側で且つ塗料槽１２の外側
壁の頂面より下方で開口している。所望により、
例えば、液供給口２２を一時的に閉じる装置及び
補給槽２１の上方部分を一時的に開く装置を設け
て、補給槽２１への塗液の供給を容易にできるよ
うに構成できる。

補給槽２１内に塗液がある場合、上記の通りの
構造であるので通常第２ａ図に示した状態にあ
る。即ち、補給槽２１の液供給口２２はほぼ塗料
槽１２の塗液の液面の位置と一致しており、補給
槽２１内の空気室２３の圧力と液圧との和が大気
圧とつり合つており、液供給口２２から塗液は供
給されない。ハンガーロープ１に対して塗料槽１
２が下降して塗装が行なわれ塗液が消費される
と、液面が下がり、第２ｂ図に示した如く、液供
給口２２と塗液の液面との間にすき間ができるた
め、液供給口２２を通して空気と塗液とが交換さ
れ、塗液が補給槽２１から塗料槽１２へ供給され
る。そして、徐々に塗料槽１２の液面が上昇し、
第２ａ図に示した状態に至り、補給槽２１からの
塗液の供給は停止する。塗装作業中、第２ａ図に
示した状態と、第２ｂ図に示した状態を順次繰り
返すことにより、液面をほぼ一定の比較的低い水
位に保持することができる。

塗液は密閉的に保持される補給槽２１から供給
され、且つこれによつて塗料槽１２を小型化する
ことができる。このため、塗液の溶剤の揮発量を
少なくすることができ、塗液の汚れ面積を減少せ
しめることができる。更に、塗料槽１２内の塗液
の水位を比較的低い位置に保持することができ、
塗液の圧力による、塗料槽１２のシール部材１７
と被塗物との間の塗液の流出を減少せしめること
ができる。

次に、第３ａ図及び第３ｂ図を参照して、本発
明に従う塗装装置の第二の実施例を説明する。第
３ａ図及び第３ｂ図に示した塗装装置の塗料槽１
２及びシール部材１７等は、第２ａ図及び第２ｂ
図に示した塗装装置のものと同様に構成されてい
る。他方、補給槽３１は、補給槽３１の下方部分
に直結した液供給口３２と、補給槽３１の上方空
気室３３に連通した通気口３４とを備えている。
液供給口３２は通気口３４より下方にて開口して
おり、これによつて、通気口３４が塗料槽１２内
の液面の高さを規定する。

補給槽３１内に塗液がある場合、上記の通りの
構造であるので、通常第３ａ図に示した通りの状
態にある。即ち、補給槽３１の通気口３４はほぼ
塗料槽１２の塗液の液面の位置と一致しており、
補給槽３１の空気室３３の圧力と補給槽３１及び
液供給口３２の液圧との和が大気圧とつりあつて
おり、且つ補給槽３１の空気室３３の圧力と通気
口３４の液圧との和が大気圧とつりあつている。
従つて、この場合、補給槽３１から塗液は供給さ
れない。ハンガーロープ１に対して塗料槽１２が
下降して塗装が行なわれ塗液が消費されると、液
面が下がり、第３ｂ図に示した如く、通気口３４
と塗液の液面との間にすき間ができる。このため
外気が通気口３４を介して補給槽３１の空気室３
３に供給され、これによつて、塗液が補給槽３１
の液供給口３２から供給される。そして、第２ａ
図及び第２ｂ図を参照して説明した第一の実施例
と同様に、塗料槽１２内の塗液の液面の高さをほ
ぼ一定に保つことができる。

第二の実施例に従う塗装装置においては、塗液
の液面下にある液供給口３２から塗液が供給され
るため、液の泡立ち及び供給液の脈動を最少に押
えることができる。更に、第二の実施例に従う塗
装装置は、第一の実施例に従う塗装装置と同等に
機能し、液面をほぼ一定に保つように液を自動的
に供給することができる。また、第二の実施例に
従う塗装装置においては、図示しない塗液供給手
段によつて、加圧された塗液を液供給口３２から
供給すると、空気室３３内の空気は通気口３４か
ら外部に排出され、これによつて、比較的容易
に、補給槽３１内に塗液を再供給できるという特
徴も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明者が提案した塗装装置の断面
図。第２ａ図及び第２ｂ図は、本発明の第一の実
施例に従う塗装装置の簡略図。第３ａ図及び第３
ｂ図は、本発明の第二の実施例に従う塗装装置の
簡略図。 １……ハンガーロープ、２，１２……塗料槽、
７，１７……シール部材、２１，３１……補給
槽、２２……液供給口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 底部に被塗物が貫通する開口を有する塗料槽
   と、該塗料槽を被塗物に対して下方に移動せしめ
   るための駆動手段とを具備する塗装装置におい
   て、該塗料槽の上方に配置され、下方部分にのみ
   開口部を有する補給槽を具備し、該開口部が該塗
   料槽の内側で且つ該塗料槽の外側壁の頂面より下
   方で開口していることを特徴とする塗装装置。 ２ 該開口部が、該補給槽の下方部分に直結した
   液供給口と該補給槽の上方部分に連通した通気口
   とを備えており、該液供給口が該通気口より下方
   で開口している特許請求の範囲第１項記載の塗装
   装置。