JPS6244206Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は同期機構を有する変速段と同期機構の
ない変速段とを有し、かつパワーアシスト機構を
備えたトランスミツシヨンの誤動作防止装置に関
する。

自動車用トランスミツシヨンにおいては、より
軽い操作力で確実なシフト操作が行えるようにパ
ワーアシスト機構を装備したものがある。

このパワーアシスト機構付トランスミツシヨン
の従来例を第１図に示し簡単に説明すると、ギヤ
シフトレバー１をシフト操作すると、この操作力
に応じてパワーアシスト装置２内に作動流体圧供
給通路３を介して作動流体が供給され、この流体
圧により操作力を倍力しトランスミツシヨン４内
のギヤチエンジを行うようになつており、これに
より、ギヤシフトレバー１に加える運転者のシフ
ト操作力の軽減を図つている。尚、図中、５はク
ラツチハウジング、６はコントロールカバー部、
７はリンケージである。

ところで、自動車用トランスミツシヨンにおい
ては同期機構を持たない変速段を有しているもの
があり、例えば大型トラツク等では後退及び一速
の変速段には同期機構がついていない。このよう
な同期機構を持たない変速段を有するトランスミ
ツシヨンにパワーアシスト機構を組み込んだ場
合、同期機構を有する変速段へのシフト操作につ
いてはメーンギヤとメーンシヤフトとが同期した
後にシフトされるので問題はないが、同期機構の
ない変速段、例えば１速及び後退の位置にシフト
する場合、パワーアシスト機構付ではシフト操作
力が通常のマニユアルのものよりも大きいため、
カウンタシヤフト側の回転が減速されるまで待た
なくともシフト操作が可能であり、運転者が無理
やりシフト操作したときにトランスミツシヨン内
のクラツチギヤ等を破損させることがある。

尚、同期機構のないシフト段へのシフト操作の
円滑化を目的としたものとして本出願人により先
に提案されたものがある（実開昭59−021156号公
報）。

本考案は上記の実情に鑑みてなされたもので、
同期機構のない変速段へのシフト操作及び車速が
所定値より大きいことを検出した時に、作動流体
圧供給通路を閉鎖してパワーアシスト機構の作動
を停止させる構成とすることにより、従来の問題
点を解決することを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。尚、第１図と同一部分には同一符号を
付して説明を省略する。

本考案の１実施例を示す第２図及び第３図にお
いて、パワーアシスト装置２に接続された作動流
体圧供給通路３に通電時に開作動する通路開閉手
段としての電磁弁１１が介装されている。この電
磁弁１１は、コントロールカバー部６内に装着さ
れ同期機構のない変速段へのシフト操作を検出す
る検出スイツチ１２（第３図に示す）を介してバ
ツテリ１３のプラス側端子に電気的に接続されて
いる。また、前記電磁弁１１、検出スイツチ１２
及びバツテリ１３の直列回路の検出スイツチ１２
と並列に常開のリレー１４が接続されている。こ
のリレー１４は、車速センサ１５からの信号に基
づいて車速が所定値以下か否かを判別し所定値以
下のときに出力するコントロールユニツト１６に
接続され、このコントロールユニツト１６が出力
したときに励磁されて閉成する。

第３図に同期機構のない変速段へのシフト操作
検出機構を示す。

図において、コントロールカバー部６にはリン
ケージ７のシフト側と連結しているインナーシヤ
フト２０が回路自在に軸支され、該インナーシヤ
フト２０にシフトレバー２１がスプライン嵌合し
ている。このシフトレバー２１はリンケージ７の
セレクト側と連結するセレクトレバー２２の回動
によつてインナーシヤフト２１の軸方向に移動し
第３図中に示されている各セレクト位置において
図示しない各シフト段毎のフオークシヤフトに連
結するようになつている。

また、シフトレバー２１上面とコントロールカ
バー部６のカバーに固定した前述の検出スイツチ
１２との間にはボール２３が介装されており、シ
フトレバー２１が同期機構のない１速と後退のセ
レクト位置に移動することより該シフトカバー２
１上面に形成した溝部２１ａにボール２３が落ち
ると検出スイツチ１２がオフとなる。インナーシ
ヤフト２０のコントロールカバー部６外部に突出
した部分には、従来同様にパワーアシスト装置２
が連結されている。２４はシフトレバー２１のセ
レクト位置をチエツクするためのコイルスプリン
グ、２５はガイドプレートである。

次に作用を説明する。

車速が所定値より大きい場合には、コントロー
ルユニツト１６からの出力はなくリレー１４は開
成されている。このような状態のときに、同期機
構のないシフト段、例えば第３図に示す１速及び
後退（Ｒで示す）位置へシフトしようとしてシフ
トレバー２１を前記シフト段のセレクト位置まで
移動させると、ボール２３が溝部２１ａに落ち検
出スイツチ１２がオフとなる。これにより、電磁
弁１１への通電が断たれ作動流体圧供給通路３を
閉鎖し、パワーアシスト装置２への作動流体圧の
供給が断たれる。このため、１速又は後退のシフ
ト段へシフトしようとしてもこのときのシフト操
作力は運転者のシフト力だけとなり、このシフト
操作は不可能となり、スリーブ及びクラツチギヤ
等の破損を防止できる。

一方、同期機構を有するシフト段（２速〜６
速）へシフトする場合には、シフトレバー２１の
溝部２１ａ以外の上面によりボール２３が上方に
押され検出スイツチ１２はオン状態となるため、
電磁弁１１はバツテリ１３に接続され通電されて
作動流体圧供給通路３は開通状態となる。従つ
て、パワーアシスト装置２へ作動流体圧を供給で
きるので、軽いシフト操作力によつてシフトする
ことができる。

また、停車時等の車速が所定値以下のとき言い
換えればカウンタシヤフト等の回転速度が低く同
期機構がなくともシフト操作が円滑にできるとき
には、コントロールユニツト１６からの出力によ
つてリレー１４が励磁されリレー１４の接点が閉
成されるため、この場合には、同期機構を持たな
いシフト段へシフト操作しても電磁弁１１は通電
されておりパワーアシスト装置２への作動流体圧
供給は可能でパワーアシスト装置２が作動するよ
うになつている。

ところで、このようなパワーアシスト装置２を
備えたトランスミツシヨンは前にも述べたように
シフト操作力が増大するため、クラツチ接続時で
もシフト操作が可能であり、このクラツチ接続時
に無理やりシフト操作するとクラツチギヤ、スリ
ーブ等を破損する恐れがある。

そこで、第２図中破線で示す如く、電磁弁１１
の通電回路にクラツチ接続時にはオフとなるクラ
ツチスイツチ３０を設けるようにしてもよい。

このようにすれば、クラツチ接続時には電磁弁
１１へは通電されずに閉作動するので、パワーア
シスト装置２は作動せず、クラツチ接続時でのシ
フト操作ができなくなり、このような誤動作を防
止できこのような誤動作に伴うクラツチギヤ、ス
リーブ等の破損を防止できる。

以上述べたように本考案によれば、所定値より
大きい車速で走行しているときに同期機構を持た
ないシフト段へシフト操作しようとしたときには
パワーアシスト装置への作動流体圧の供給を停止
するようにしたので、同期機構を持たないシフト
段への誤動作によるシフト操作を防止することが
でき、クラツチギヤ、スリーブ等の破損を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す簡略構成図、第２図は本
考案の１実施例を示す簡略構成図、第３図は同上
実施例のシフト操作検出部の詳細図を示す。 ２……パワーアシスト装置、３……作動流体圧
供給通路、４……トランスミツシヨン、６……コ
ントロールカバー部、１１……電磁弁、１２……
検出スイツチ、１４……リレー、１５……車速セ
ンサ、１６……コントロールユニツト、２１……
シフトレバー、２１ａ……溝部、２３……ボー
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同期機構を有する変速段と同期機構のない変速
   段とを有すると共に、運転者のシフト操作力に基
   づいて供給される作動流体圧により前記シフト操
   作力を倍力してトランスミツシヨン内に伝達する
   パワーアシスト機構を備えたトランスミツシヨン
   において、前記同期機構のない変速段へのシフト
   操作を検出する検出手段と、車速が所定値以下か
   否かを検出する検出手段と、両検出手段が同期機
   構のない変速段へのシフト操作及び車速が所定値
   より大きいことを検出した時に前記作動流体圧供
   給通路を閉鎖する通路開閉手段とを設けたことを
   特徴とするパワーアシスト機構付トランスミツシ
   ヨンの誤動作防止装置。