JPS6239004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 この考案は線条体、特に光フアイバー等のよう
に製造中低張力を維持する必要のある線条体を製
造する時の蓄線装置にかんするものである。

例えば光フアイバーの線引きをする装置に於い
て、線引機の後に第１引取機をもうけ、次ぎに抗
張力試験機を置き光フアイバーの走行中に抗張力
試験を行い、巻取機に光フアイバーを導いてボビ
ンに巻き取るようにしている。ところが光フアイ
バーは抗張力試験機で断線することがある。それ
故断線した場合に線引機本体を停止せず線掛け復
旧を容易に行う為に第１引取機と抗張力試験機の
間に蓄線装置及び第２引取機を設けるのが普通で
ある。本考案者らはこの為の蓄線装置を発明し特
願昭57−100111号として特許出願した。この考案
は該装置の改良である。

ロ 従来の技術 従来用いられている蓄線装置は第１図乃至第４
図に示すようなものである。即ち第１図に示すよ
うに線引機で線引きされた光フアイバー１は第１
引取機２により一定速度で引き出され、図中矢印
の方向に進行し、蓄線機を経て第２引取機の線速
制御用ダンサーローラー１１を通つて第２引取機
９によつて引き出され、抗張力試験機２７により
抗張力試験を行つて巻取速度制御用ダンサーロー
ラー２８を通つて巻取機で巻き取られる。蓄線機
には第１図に示すように、外周に一定間隔Ｐで多
数の溝４を有する円筒状の蓄線用ガイドローラー
３がロ群、ハ群の相対向する２群に、側板７，
８，７′，８′に同一円周上に等間隔に配置して固
定された軸６に軸受５によつて回転自在に取りつ
けられている。従つて蓄線用ガイドローラー３は
複数本が同一円周上に等間隔に配列され且つ第２
図に示すように各ガイドローラー３，３′…等は
溝４の軸方向の位置が順次に少しづつずらして配
置されている。蓄線用ガイドローラーのハ群の中
心を貫通してスタンド１０の軸受１２によつて回
転自在に支持され端部にもうけた駆動用可変速モ
ーター１３によつて駆動される軸１４があり、軸
１４の先端にアーム１５が固定されている。アー
ム１５の外側の端に移動用ガイド棒１６が固定さ
れている。一方光フアイバーを蓄線用ガイドロー
ラーのロ群、ハ群に分配する分配用ガイドローラ
ー１７，１７′を回転自在に取りつけた移動ブロ
ツク１８，１８′が第３図に詳細を示すように該
移動用ガイド棒１６に沿つて横方向にスライドす
るようになつている。ガイド棒１６の両端に固定
した支持片１９，１９′及びアーム１５に軸受２
０によつて回転自在にもうけられたネジ軸２１が
ガイド棒１６に平行にもうけられている。ネジ軸
２１はアーム１５の両側にネジ部２２，２３を有
し、その各々は移動ブロツク１８，１８′とナツ
トによつて係合している。ネジ部２２，２３はそ
れぞれ右ネジ、左ネジを切つてあり、ネジのピツ
チは蓄線用ガイドローラー３の溝４のピツチＰと
同じにしてある。従つてネジ軸２１が１回転する
と移動ブロツク１８，１８′は左右反対方向に溝
４のピツチだけ移動する。第１図及び第４図に示
すようにネジ軸２１にはタイミングベルトプーリ
ー２４が取りつけられており、蓄線用ガイドロー
ラーのロ群の側板７に軸１４と同心にもうけられ
たタイミングベルトプーリー２５とタイミングベ
ルト２６によつて連結され、両タイミングベルト
プーリーの回転比は１：１となつている。

光フアイバー線引機を通常に運転中は第１図の
矢印で示すように光フアイバーは第１引取機２か
ら分配用ガイドローラー１７，１７′を通り蓄線
機を素通りして第２引取機９に引き出され抗張力
試験機２７を通つて巻取機に巻き取られる。

抗張力試験機２７で光フアイバーが断線する
と、第２引取機は徐々に減速するが同時に駆動用
可変速モーター１３を駆動して軸１４が第１図ホ
の方向に回転始動する。軸１４が回転すると第４
図に示すようにアーム１１、分配用ガイドローラ
ー１７，１７′は同図ニの方向に蓄線用ガイドロ
ーラー群の外周を回転して光フアイバーが蓄線用
ガイドローラー群に巻付けられ蓄積される。この
場合側板７に固定したタイミングベルトプーリー
２５とネジ軸２１のタイミングベルトプーリー２
４がタイミングベルト２６によつて連結されてい
るのでネジ軸２１は移動ブロツク１８，１８′に
対して軸１４と同じ回転だけ第１図トの方向に回
転し、ネジ２２，２３によつて分配用ガイドロー
ラー１７は右方向に、分配用ガイドローラー１
７′は左方向に移動する。ネジのピツチと蓄線用
ガイドローラーの溝のピツチは等しくしてあるの
で光フアイバーは軸１４の回転に従つて順次整然
と蓄線用ガイドローラー群の溝４に分配巻き付け
られて蓄積される。次ぎに第２引取機は徐々に減
速しており低速で安定する。低速で引き出された
光フアイバーを抗張力試験機を通して巻取機まで
人手によつて導き復旧する。この間第１引取機と
第２引取機の引き取り速度の差で蓄線されるよう
に可変速モーター１３の回転速度を調整する。復
旧が完了すると、第２引取機を第１引取機より早
い速度で回転し、同時に駆動用可変速モーター１
３を逆転して蓄積された光フアイバーを放出す
る。即ち第２引取機以降の線速は第１引取機の引
き取り速度と放出される線速の和となる。蓄積さ
れた光フアイバーが全部放出されると第２引取機
の速度を第１引取機即ち線引機の線速と一致させ
て、始めの状態に戻る。このようにして光フアイ
バーが抗張力試験機で断線しても、線引機の線引
速度を低下或いは停止すること無く、断線の復旧
をすることができる。

ハ 考案が解決しようとする問題点 しかしながら上記に説明した従来の装置では蓄
線用ガイドローラー３の軸６が固定されているの
で軸受５の摩擦抵抗が大きく、一方光フアイバー
が蓄積される時蓄線用ガイドローラーは光フアイ
バーの線速に合致する速度に光フアイバーによつ
て回転させられるため、蓄線用ガイドローラー群
によつて光フアイバーの張力が増加し、場合によ
つては断線を生じ、断線しなくても光フアイバー
の性能の劣化の原因となつている。又蓄線用ガイ
ドローラーの回転速度が変化する時ガイドローラ
ーの慣性が光フアイバーの張力変化の原因となる
欠点がある。

ニ 問題点を解決するための手段 この考案は従来のような蓄線機に於いて蓄線用
ガイドローラーの各ローラーを通過する光フアイ
バーの線速と各ローラーの溝の周速度が一致する
回転になるように軸６を駆動して蓄線用ガイドロ
ーラーの軸受５による摩擦抵抗を減少、もしくは
ゼロとし、その結果蓄線機に良く光フアイバーの
張力の増加を抑止し、断線及び性能の劣化を防止
するものである。

具体的には蓄線用ガイドローラーのロ群は溝の
周速を第１引取機の線速度と一致するように回転
し、蓄線用ガイドローラーのハ群は第１引取機の
線速度とアーム回転による蓄線の速度の差を、両
者の回転数を差動歯車装置によつて加減算して蓄
線用ガイドローラーの軸６を駆動することによつ
て実現するものである。

ホ 実施例 以下図面に従つて本考案を説明する。

第５図は本考案の実施例を示す正面図であり、
６図はその駆動関係を示す図面である。図面に示
すように本装置の原理は従来の蓄線機と同じであ
り、図中では同一番号は同一部品を示すものであ
る。

本考案の改良部分を説明すると、蓄線用ガイド
ローラー３は側板７，７′，８，８′に軸受２９に
よつて回転自在に支持された軸６と一体に固定さ
れ、蓄線用ガイドローラーのロ群では各軸６の一
端に同一サイズのタイミングベルトプーリー３４
が固定され、それらを一本のタイミングベルト３
５が連結して凡てのガイドローラーが同一方向に
同一回転するようになつている。その軸６の内一
本にはタイミングベルトプーリー３６が固定され
ており、駆動用タイミングベルト３７に因り駆動
されるようになつている。このタイミングベルト
３７は、第６図に示すように、第１引取機２を変
速機４０を通じて駆動する可変速モーター３９の
軸から駆動されるようになつている。

一方蓄線用ガイドローラーのハ群の各軸６の反
対側の端には同一サイズのタイミングベルトプー
リー３０が固定され、それらを一本のタイミング
ベルト３１が連結して凡てのガイドローラーが同
一方向に同一回転するようになつている。その軸
６の内一本にはタイミングベルトプーリー３２が
固定され駆動用タイミングベルト３３によつて駆
動されるようになつている。

光フアイバー分配用のガイドローラー１７，１
７′を蓄線用ガイドローラー群の外側を回転させ
る軸１４にはタイミングベルトプーリー３８が固
定され駆動用可変速モーター１３のタイミングベ
ルトプーリーからタイミングベルトによつて駆動
されるようになつている。

本装置の作動を第６図に従つて説明すると、光
フアイバー線引機で線引きされた光フアイバーは
可変速モーター３９から変速機４０を通じて第１
引取機２のホイールによつて引き出される。可変
速モーター３９の回転数をn₁、変速機４０の変速
比をi₁とし、ホイールの外径をＤとすると、光フ
アイバーはπＤ×n₁×i₁の速度で引き出される。
可変速モーター３９の回転（回転速度n₁）は伝達
比i₂をもつタイミングベルト伝達を経て、さらに
変速比i₃をもつタイミングベルト伝達によりタイ
ミングベルトプーリー３６にn₁×i₂×i₃の回転数
を与える。タイミングベルトプーリー３６の回転
はタイミングベルトプーリー３４及びタイミング
ベルト３５によつて蓄線用ガイドローラーのロ群
の各ガイドローラー３にn₁×i₂×i₃の回転数を与
える。従つて蓄線用ガイドローラーのロ群のガイ
ドローラー３の溝の外径をｄとすれば、その周速
度はπｄ×n₁×i₂×i₃となる。ここでπＤ×n₁×i₁
＝πｄ×n₁×i₂×i₃となるように変速比を設定し
ておくと第１引取機の引き出し速度と蓄線用ガイ
ドローラーのロ群の溝４の周速度が一致する。

又可変速モーター３９の回転は伝達比i₂のタイ
ミングベルトによつて伝達軸４３に伝達される。
その回転数は可変速モーター３９の回転数をn₁と
すれば、n₁×i₁である。この伝達軸４３の回転は
伝達比i₄の歯車により作動装置４２の２本の入力
軸の左側の一本に伝達されその回転数はn₂＝n₁×
i₂×i₄である。一方光フアイバー分配用のガイド
ローラーを回転する可変速モーター１３の回転は
伝達比i₇でタイミングベルトプーリー３８に伝達
され軸１４、アーム１５、光フアイバー分配用ガ
イドローラー１７，１７′を蓄線用ガイドローラ
ー群の外側に光フアイバーを巻き付ける。第４図
に示すようにガイドローラー群の一周の巻き付け
長さをＬとすると軸１４、アーム１５が一回転す
ると光フアイバーはガイドローラー群に２回巻き
付けられるので、その巻き付け長さは２×Ｌとな
る。従つて可変速モーター１３の軸の回転数をn₅
とすれば光フアイバーの蓄線巻き付け速度はv₃＝
n₅×i₇×２×Ｌとなる。可変速モーター１３の回
転は伝達比i₆のタイミングベルト伝達により、差
動装置４２の残りの入力軸にn₆＝n₅×i₆の回転を
与えるようになつている。差動装置はその入力軸
にそれぞれn₂，n₃の回転が与えられると出力軸に
n₄＝ｎ_２＋ｎ_３／２の回転を出力する。この出力軸の回
転 n₄は伝達比i₅のタイミングベルト伝達によりタイ
ミングベルトプーリー３２に伝達され、n₄×i₅の
回転を与える。タイミングベルトプーリー３２の
回転はタイミングベルトプーリー３０及びタイミ
ングベルト３５により蓄線用ガイドローラーのハ
群の軸６に伝達され、各ローラーにn₄×i₅の回転
を与える。従つて蓄線用ガイドローラーのハ群の
ガイドローラーの溝の直径をｄとすると、このガ
イドローラーの溝の周速はπｄ×n₄×i₅となる。

上記の構造にして、巻き付け駆動用可変速モー
ター１３を回転しないとき即ちn₅＝０のとき第１
引取機の引出し速度v₁即ち蓄線用ガイドローラー
のロ群のガイドローラーの溝の周速v₂＝πｄ×n₁
×i₂×i₃を蓄線用ガイドローラーのハ群のガイド
ローラーの溝の周速v₄＝πｄ×ｎ_２／２×ｉ_５＝ πｄ×ｎ_１×ｉ_２×ｉ_４／２×ｉ_５と等しくなる。即ち
v₄＝v₂となる ようにi₄とi₅を決定する。

次ぎに第１引取機の引出し速度v₁即ち蓄線用ガ
イドローラーのロ群の周速v₂が巻き付け線速度v₃
と等しくなるように、可変速モーター３９，１３
の回転数をn₁，n₅即ちn₅＝ｖ_２／ｉ_７×２×Ｌとしたと
き、 蓄線用ガイドローラーのハ群の溝の周速v₄＝
πｄ×（ｎ_１×ｉ_３×ｉ_４−ｎ_５×ｉ_６）／２×ｉ_５が
０、即ちn₁×i₃×i₄＝ n₅×i₆となるようにi₆を決定する。そうすると差
動装置の両入力軸の回転が差動装置によつて相殺
されてn₄＝ｎ_２＋ｎ_３／２＝０となる。そのときは第２
引 取機の引出し速度は０であり、蓄線用ガイドロー
ラーのハ群は回転せず停止する。

このようにタイミングベルト、及び歯車の伝達
比を決定すると、上記説明から分かるように蓄線
用ガイドローラーのロ群の溝の周速は第１引取機
の引出し速度と一致し、又蓄線用ガイドローラー
のハ群の溝の周速v₄はガイドローラーのロ群の周
速v₂＝v₁と蓄線速度v₃との差となり、常に蓄線用
ガイドローラーのロ群ハ群ともそこを通過する光
フアイバーの線速度と一致する。

以上の説明では蓄線体は蓄線用ガイドローラー
の群としたが、２本の相対する円筒状の蓄線体の
場合にも本考案は使用できる。又蓄線用ガイドロ
ーラーと軸６を一体としたが、軸６に軸受によつ
てガイドローラー３を回転自在に取り付けた構造
の場合でも同様の効果を有する。

ヘ 考案の効果 以上詳しく説明したように本考案によれば、光
フアイバー等の抗張力の小さい線条体を蓄線する
とき蓄線体の周速と線条体の線速が常に一致して
いるので、線条体を蓄線するとき線条体に掛かる
張力が変化せず、従つて断線や線条体の性能の劣
化を防止できるものであり、有効なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の蓄線機の正面図、第２図は蓄線
用ガイドローラーの配列を示す正面図、第３図は
そのＢ部を示す詳細図、第４図はＡ−Ａ断面図で
ある。第５図は本考案の実施例の蓄線機の正面
図、第６図はその駆動系統を示す系統図である。 １……線条体、光フアイバー、２……第１引取
機、３……蓄線用ガイドローラー、４……溝、
５，１２，２０，２９……軸受、６，１４……
軸、７，７′，８，８′……側板、９……第２引取
機、１０……スタンド、１１……線速制御用ダン
サーローラー、１３……駆動用可変速モーター、
１５……アーム、１６……移動用ガイド棒、１
７，１７′……分配用ガイドローラー、１８，１
８′……移動ブロツク、１９，１９′……支持片、
２１……ネジ軸、２２，２３……ネジ部、２４，
２５，３０，３２，３４，３６，３８，４１……
タイミングベルトプーリー、２６，３１，３３，
３７，４４……タイミングベルト、２７……抗張
力試験機、２８……巻取速度制御用ダンサーロー
ラー、３９……可変速モーター、４０……変速
機、４２……差動装置、４３……伝達軸、n₁，
n₂，n₃，n₄，n₅……回転数、i₁，i₂，i₃，i₄，i₅，
i₆，i₇……伝達比、イ……線条体移動方向、ロ、
ハ……蓄線用ガイドローラー群、ニ、ホ……アー
ム回転方向。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定間隔の溝をもうけた蓄線体を同軸に相対向
   して配置し、一方の蓄線体の中心を貫通して可変
   速モーターによつて駆動される軸をもうけ該軸に
   より蓄線体の外側を回転する分配用ガイドローラ
   ーによつて線条体を蓄線体に一定のピツチで巻き
   付け、巻き戻しするようにした線条体の蓄線装置
   において、蓄線体は一定の間隔に溝をもうけた複
   数本の回転自在な棒状の蓄線用ガイドローラーを
   軸中心を空間に固定して同一円周上に等間隔に配
   列したガイドローラー群により構成して相対向し
   て配置した構造を有し、一方の蓄線用ガイドロー
   ラーの群は入線する線条体の引き出し装置と連結
   して表面の周速度が常に線条体の入線速度に一致
   するように駆動し、他方の蓄線用ガイドローラー
   の群は前記引き出し装置と分配用ガイドローラー
   の回転装置に連結した差動装置により常に表面速
   度が線条体の入線速度と蓄線速度との差になるよ
   うに回転してその表面速度が常に出線速度と一致
   するよう駆動することを特徴とする蓄線装置。