JPS6236060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はアーク炉包囲体にかかり、特にその上
部構造を改良したアーク炉の包囲体に関する。

近年、エネルギー事情、作業環境の整備、およ
び騒音、発塵等公害発生に対する規制は一段と厳
しさを増し、製鋼用アーク炉においても上記要求
に対応して操業を行なう必要性に迫られている現
状にある。

例えば、アーク炉から排出される排ガスに対す
る公害防止手段としては、一般に建屋集塵方式に
より排ガスを吸引して除塵したうえで大気に放出
することにより解決をはかつているが、上記の建
屋集塵方式では、製鋼工場は開口部が多いことに
より煙以外の空気の吸込み量が大きくなり、その
ため大量の風量が必要となつて大型のフアンを設
置して運転しなければならず、設備が大掛りとな
るのに比し効率が悪いという問題がある。

一方、アーク炉において発生する音響は、通常
120dBAにも達し、その結果、作業者に難聴疾患
の職業病を生むほか、アーク炉から排出される煙
塵は作業環境を著しく悪化する。

そこで、アーク炉全体を包囲体により包囲する
ことにより前記諸問題を解消するようにした対策
が開発されている。

上記のように包囲体によりアーク炉全体を囲繞
することにより、排ガスについては包囲体内のみ
を吸引すれば足り、かつ包囲体の気密性から外部
の空気吸入量を最小限に留めることができるの
で、在来の建屋集塵方式に比し約半分以下の風量
ですみ、吸引設備もそれだけ小規模でよく、また
遮音についても包囲体により外部への騒音を遮断
し、さらに媒煙についても包囲体から外部に流出
することが防止されるので、作業環境が大巾に改
善されるなどの幾多の効果を期待することができ
る。

ところで従来の包囲体においては、第１図およ
び第２図に示すように、包囲体ａの天井部ｂに、
クレーンｃにより搬送される原料を装入するため
の開口部ｄが設けられ、この開口部ｄはスライド
式の天井蓋ｅにより開閉されるようになつてお
り、天井部ｂの下面にはアーク炉ｆから排出され
る排煙を集煙する集煙ダクトｇが設置された構成
となつている。

しかるに上記従来の構成による包囲体では包囲
体ａの天井部ｂ上に天井蓋ｅがあるため、クレー
ンｃと天井蓋ｅとのクリアランスH₁が小さくな
り、かつ包囲体ａの天井部ｂの上面と下面とにそ
れぞれ天井蓋ｅと集塵ダクトｇとが各別に設けら
れるため天井部ｂの構造が複雑になるという欠点
があつた。

本考案は、上記従来の欠点に着目し、これを改
善することを目的としてなされたもので、アーク
炉を囲繞する包囲体の天井部に形成され包囲体一
側部の開口と連通して炉直上まで開口する原料装
入用の開口部と、包囲体の天井部に取付けられ包
囲体一側部の開口の上端縁と相対する開口部の他
端縁およびこの他端縁と隣接する一側縁に沿つて
吸引口が形成された固定側の集塵ダクトと、この
集塵ダクトの前記開口部他端縁上の前記吸引口と
摺接可能に連通する吸引口および前記開口部の一
側縁上の前記吸引口と対向する吸引口を具え前記
天井部の開口部を開閉し得る可動集塵ダクトとで
なることを特徴とするものである。すなわち、ア
ーク炉を囲繞する包囲体の天井部に開口される原
料装入用開口部を集塵ダクトにより開閉する構成
とし、この開口部を閉じたときは集塵ダクトが天
井部を構成するとともに、開放した場合には開口
部に面する集塵ダクトの三方の端面から吸引する
ようにしたものである。

以下本考案の実施例を添付図面を参照して説明
する。

第３図において、アーク炉１を囲繞する包囲体
２は、その一側にクレーン３により吊持されて搬
送される原料装入用バケツト（図示せず）が進入
するための開口部４が設けられ、この開口部４は
観音開きの扉５，５により気密に閉止されるよう
になつている。

前記開口部４に続く天井部２Ａにはアーク炉１
の直上位置に至るスリツト状の開口部６が形成さ
れている。

上記開口部６の長手方向一側には、固定の集塵
ダクト７が設置され、この集塵ダクト７の一端は
前記開口部６の末端部にこれと直交して天井部２
Ａの巾方向全域にわたつて設けられる固定の集塵
ダクト８に接続され、全体としてほぼＴ字状をな
している。これら集塵ダクト７，８の開口部６に
向く端面にはそれぞれ吸引口９，１０が開口さ
れ、前記集塵ダクト８の一端８ａに接続される集
塵機（図示せず）により包囲体２内の排ガスを前
記吸引口９，１０から吸引するようになつてい
る。

一方、前記集塵ダクト７の反対側には可動の集
塵ダクト１１が設けられている。この可動集塵ダ
クト１１は、前記天井部２Ａの開口部６を閉止し
得る大きさを有し、天井部２Ａ上に設置されたレ
ール１２上を固定の集塵ダクト７に向け移動自在
とされている。

この可動集塵ダクト１１の開口部６側の端面に
は吸引口１３が開口され、また集塵ダクト８に接
する端面にも吸引口１４が開口されていて、この
吸引口１４は前記集塵ダクト８の吸引口１０に接
して摺動自在に構成されている。なお、上記集塵
ダクト８と可動ダクト１１との接合面間には遮蔽
板１５が設置されている。この遮蔽板１５は可動
集塵ダクト１１に設置する。

前記固定側の集塵ダクト７と可動集塵ダクト１
１との吸引口９，１３が開口される端面は、互い
に入りくむように、例えば第３図示のように固定
側の集塵ダクト７の端面上部は傾斜して張り出
し、可動集塵ダクト１１の端面は前記張り出した
部分が接するよう上向きの傾斜面に形成するなど
により閉止時の密閉性が考慮されている。しかし
この当接時にも吸引口９，１３の下方部は開口部
６内に開口された状態におかれ、包囲体２内の排
ガス、排煙を吸引し得るようになつている。

図において１６はクレーン３によりバケツトを
吊持するワイヤロープを示している。

つぎに前記実施例の作用について説明する。

原料を装入するときは、扉５，５を第３図実線
図示のように開放し、可動集塵ダクト１１を同図
の状態にスライドさせて開口部６を全開する。こ
れによりクレーン３のワイヤロープ１６は開口部
４を通ることができる状態になり、バケツトを吊
持して開口部４からアーク炉１の炉頂に運搬し、
原料を装入する。この間、アーク炉１から発生す
る排ガスや煙は、開口部６に面する集塵ダクト
７，８，１１の各吸引口９，１０，１３を通じ集
塵機に吸引される。

アーク炉１への原料の装入が完了し、バケツト
が開口部４から退出したのち可動集塵ダクト１１
を移動して開口部６を閉じ、扉５，５を閉止して
開口部４を閉じれば、包囲体２の開口部はすべて
閉鎖される。

アーク炉１の操業中に発生する排ガスは、開口
部６を閉鎖している可動集塵ダクト１１が炉の直
上位置におかれ、これと固定ダクト７を通じて吸
引され、その吸引された排ガスは集塵ダクト８Ａ
を通じ集塵機へ送られる。そして可動集塵ダクト
１１が閉じられた状態におかれるときは、集塵ダ
クト８の吸引口１０の端部即ちダクト１１の移動
距離の長さは遮蔽板１５によつて閉じられ、包囲
体２の内部の空気のみを吸引する。

以上説明したように、本考案は、アーク炉を囲
繞する包囲体の天井部に開口される原料装入用開
口部を集塵ダクトの一部を構成する可動集塵ダク
トにより開閉自在に形成し、この集塵ダクトを閉
じたとき包囲体の天井部の一部を構成し且つ包囲
体内の空気を吸引するダクトを形成するように
し、開放したときは前記開口部に臨む各集塵ダク
トの端面に開口した吸引口を通じて空気を吸引す
るようにしたので、従来のように集塵ダクトとは
別に天井蓋を設ける必要がなく、そのため包囲体
の高さをそれだけ低く形成することができ、クレ
ーンとのクリアランスもそれだけ大きくとれ、し
かも包囲体の構成が簡素化され、製作費も低廉と
なるなどの種々の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の包囲体を示す側面図、第２図は
同正面図、第３図は本考案による包囲体の一実施
例を示す斜視図、第４図は同側面図、第５図は同
正面図である。 １……アーク炉、２……包囲体、４，６……開
口部、５……扉、７，８……固定ダクト、９，１
０，１３，１４……吸引口、１１……可動ダク
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アーク炉を囲繞する包囲体の天井部に形成され
   包囲体一側部の開口と連通して炉直上まで開口す
   る原料装入用の開口部と、包囲体の天井部に取付
   けられ包囲体一側部の開口の上端縁と相対する開
   口部の他端縁およびこの他端縁と隣接する一側縁
   に沿つて吸引口が形成された固定側の集塵ダクト
   と、この集塵ダクトの前記開口部他端縁上の前記
   吸引口と摺接可能に連通する吸引口および前記開
   口部の一側縁上の前記吸引口と対向する吸引口を
   具え前記天井部の開口部を開閉し得る可動集塵ダ
   クトとでなるアーク炉の包囲体。