JPS6226236Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ボールペンにおいて筆記部を胴に
対して使用時に前進させるものの機構、さらに詳
細には胴に対してサヤを回すことにより、筆記部
を胴先端より突出或いは収納できるようになした
実用新案登録出願番号昭55−153076号（実開昭57
−76088号）のくり出し機構を更に改良した考案
に関する。

従来、この種のポールペンにおける繰り出し機
構は、溝カムだけによるもの、あるいは、バネを
併用したカム形式のもの等が提案されているが、
前者においては、筆記時や収納時に不慮にカムが
回されてしまう場合があり、筆記不能になつた
り、或いは衣服等に収納中にボールペンレフイー
ルの先端が軸先より突出せる場合は、先端のボー
ルが衣服に触れ、衣服を汚してしまうし、後者に
おいては、くり出し時にくらべ弱い弾撥力になつ
てしまうバネの性質により、衝撃を受けたときな
どボールペンレフイール先端のチツプが軸先より
突出して、硬い面に当つた場合はチツプの破損や
インキがでなくなる可能性があるなど、いずれの
ものにおいても筆記部の収納状態にてボールペン
レフイールを確実に保持できるものがない。本考
案は、このような従来の不都合さに鑑みなされた
考案、つまり、筆記部をくり出したときはもちろ
ん収納したときも確実な保持を有し、前述のごと
くカムが不慮に回されたりせず、振動や衝撃に対
しても、その保持が充分安全なようになされた考
案、即ち実用新案登録出願番号55−153076号の、
くり出し機構の構成部品を減少させ、製作組立を
より容易にし、しかも多部品の組合せ機構にあり
がちな芯振れ現象や、せり合い抵抗現象を減少さ
せ、作動の安定性、円滑性を高めることができる
ように改良せんとするものである。

以下本考案を添付図面を参照し詳細に説明す
る。

最初に第１図イに示す本考案の一実施例のボー
ルペン収納時について説明すると、図において参
照符号１は胴であつて、該胴１の後部（筆記側を
前とする）に軸方向の切り溝３ａを有するガイド
３を圧入固装し、最後部に継手管５の前側５ａを
かたく圧入し、ガイド３の突起３ｂを継手管５の
切り欠き５ｃにはめ入れて回り止めとする。

継手５の後側５ｂは、さや２の前方端内周に緩
装できるようになつている。さや２の前部内側に
回り止め６を固く圧入し、回り止め６の内側にら
せん４の後部係止段４ｂを嵌入し、回り止め６の
ボツチ６ａとらせん４の後部係止段４ｂとが係合
して、らせん４はさや２の回転によりさや２と一
緒に回転する。

さや２を後方にひくと、さや２と回り止め６は
らせん４からぬける。らせん４の後部係止段４ｂ
の前方段部は継手管５の後端縁に係合してらせん
４の後バネ１１による前方への引張りに対する支
持を与える。らせん４は継手管５とガイド３との
内周に緩装し、前方端に係止段４ｄを設け、該係
止段４ｄの後方段部はガイド３の前方端縁に係合
して前バネ１０によるらせん４の後方への押圧力
に対して支持を与える。らせん４にはらせん溝４
ａを切り、らせん４の内周に緩装されるスライダ
ー７のピン７ａがこのらせん溝４ａに嵌入し、ピ
ン７ａはさらに前記ガイド３の切り溝３ａに嵌入
している。ピン７ａがらせん溝４ａと切り溝３ａ
とに嵌入しているので、さや２を回すことにより
らせん４を回転させるとスライダー７は軸方向に
前進し、逆に回すと軸方向に後退する。スライダ
ー７の前端内側にテーパー先具１４を固着し、該
テーパー先具１４の内側の先端孔１４ａを介し、
スライダー７中に係止段１５ａを有したボールペ
ンレフイール１５が緩装されている。

テーパー先具１４の内側段部１４ｂとボールペ
レフイール１５の係止段１５ａとの間に軸線方向
にレフイールバネ１６を介装し、該レフイールバ
ネ１６の弾撥力によりボールペンレフイール１５
の後退力は、スライダー７の後端内側に螺合嵌着
したストツパー８の端面８ａにボールペンレフイ
ール１５の後端１５ｂが当接することにより支持
される。スライダー７の外周にはバネ止めリング
９を固着し、バネ止めリング９の前方には前バネ
１０を、後方には後バネ１１を受けるようにし、
前バネ１０の他方端は胴１の前方内側に固装した
金輪１３の後端の肩で受け、後バネ１１の他方端
は胴１の内側中程に固着したバネ止め１２の肩で
受ける。

ボールペンの非使用時においては、後バネ１１
が胴１の内側中程に固着したバネ止め１２の肩を
介し、スライダー７の外周に固着しているバネ止
めリング９に働いてスライダー７を前方に引張
り、スライダー７のピン７ａがらせん４の後方の
係止溝４ｃにかかつて、らせん４を前方に引張
り、らせん４の後部係止段４ｂの前方段部が継手
管５の後端縁にかかつて、その位置を支持され
る。使用時においては、前バネ１０が、胴１の前
方内側に固装した金輪１３の後端の肩を介し、ス
ライダー７の外周に固着しているバネ止めリング
９に働いて、スライダー７を後方に押圧し、スラ
イダーのピン７ａがらせん４の前方の係止溝４ｅ
にかかつて、らせん４を後方に押圧し、らせん４
の係止段４ｄがガイド３の前方端縁にかかつて、
その位置を支持される。

次に第１図および第２図に示す実施例の作用に
ついて説明する。

第１図イに示す状態、つまりボールペンの非使
用時においては後バネ１１が、胴１の内側中程に
固着されたバネ止め１２を介してバネ止めリング
９に働いてスライダー７を前方に引張り、スライ
ダー７のピン７ａが、らせん４の係止溝４ｃにか
かつてらせん４を前方に引張り、らせん４の後部
係止段４ｂが継手管５の後端縁にかかつてその位
置を支持され、さや２は継手管５の後部５ｂに嵌
入して胴１の後端縁と接触している。スライダー
７が後方位置に支持されるから、ボールペンレフ
イール１５及びテーパー先具１４は胴１の中にか
くれている。（対応カム関係図、第１図ロ） さや２を時計方向に回転させると、回り止め６
のボツチ６ａを介してらせん４がさや２と一緒に
回転し、この回転によつてスライダー７はピン７
ａとらせん４のらせん溝４ａ及びガイド３の切り
溝３ａとの嵌合により前方に移動する。

スライダー７の前方移動につれ、スライダー７
の外周に固着しているバネ止めリング９も前方に
移動し、後バネ１１は次第にのび、前バネ１０は
次第に圧縮される。さらに、さや２を回転させる
とバネ止めリング９が前バネ１０をさらに圧縮
し、やがてスライダー７のピン７ａは前バネ１０
の弾撥力によりらせん４の係止溝４ｅにかかつ
て、その位置を支持する。

この状態において、ボールペンレフイール１５
及びテーパー先具１４は金輪１３の前方に突出し
て筆記状態となる。（第２図イ、第２図ロ） ボールペンレフイール１５及びテーパー先具１
４を胴１内に引込める収納の際は、さや２を反時
計方向に回転させると、スライダー７のピン７ａ
がらせん４の係止溝４ｅからはずれ、らせん４の
らせん溝４ａとスライダー７のピン７ａとガイド
３の切り溝３ａとの嵌合関係によりスライダー７
が後方に移動し、スライダー７の外周に固着して
いるバネ止めリング９も後方に移動する為、前バ
ネ１０は次第にのび、後バネ１１は次第に圧縮さ
れる。

さらに、さや２を回すと、バネ止めリング９が
後バネ１１をさらに圧縮し、やがてスライダー７
のピン７ａは後バネ１１の弾撥力により、らせん
４の係止溝４ｃにかかつて、その位置でらせん４
を支持し、第１図イの状態に復する。

以上のように、バネ止リング９をスライダー７
の外周に固着するように改良した本考案は、実用
新案登録出願番号昭55−153076号とは、その繰り
出し機構に於て大きく相違し、次の如き特徴を有
している。

即ち、一定区間バネ止リングを軸線方向に摺動
させるべくなしたジヨイントなる部品を不要に
し、構成部品を減少させ製作組立をより容易に
し、多部品の組合せ機構にありがちな芯振れ現象
や、せり合い抵抗現象を減少させて作動の安定
性、円滑性を高め、さやを一方向に回転させれば
筆記部がくり出されて露出し、逆に回転させれ
ば、ボールペンレフイールはスライダーの後退時
にテーパー先具と共に胴中に収容される長さのも
のなので、テーパー先具とレフイールのボール先
端からなる筆記部が筒内に入り込んで邪魔になら
ず、しかも筆記時、収納時ともに確実な保持がで
きるため、従来のこの種のボールペンにありがち
な、収納時の不確実性保持等による不慮の回動、
振動やシヨツクに対しての衣服汚損現象やボール
ペンレフイールの先端破損現象が皆無であり、そ
の実用的価値は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図イは本考案ボールペンの実施例の不使用
時における側断面を示す図。同図ロは、同図イに
対応する説明図。第２図イは本考案ボールペンの
実施例の使用時における側断面を示す図。同図ロ
は、同図イに対応する説明図。第３図イは本考案
ボールペンの実施例の不使用時における外観斜視
図。同図ロは使用時における外観斜視図。第４図
イないしタは、本考案ボールペンの実施例の主要
部品の外観斜視図。 図中、１……胴、２……さや、３……ガイド、
３ａ……切り溝、４……らせん、４ａ……らせん
溝、５……継手管、６……回り止め、７……スラ
イダー、７ａ……ピン、８……ストツパー、９…
…バネ止めリング、１０……前バネ、１１……後
バネ、１２……バネ止め、１３……金輪、１４…
…テーパー先具、１５……ボールペンレフイー
ル、１６……レフイールバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 胴１の後方内側に切り溝３ａを有するガイド筒
   ３を圧入固装し、該ガイド筒３の内側にはさや２
   にこれと一体に回転するように後端部が取り付け
   られたらせん４を嵌挿し、該らせん４には前後の
   端部に係止溝４ｅ，４ｃを備えたらせん溝４ａを
   設け、上記らせん４の内側には外面にピン７ａを
   有するスライダー７を嵌挿してピン７ａをらせん
   ４のらせん溝４ａとガイド筒３の切り溝３ａに嵌
   合し、上記スライダー７の前端にはテーパー先具
   １４を取付け、スライダー７およびテーパー先具
   １４の内部にはスライダー７の後退時にテーパー
   先具１４と共に胴１中に収容される長さのボール
   ペンレフイール１５を嵌挿し、その後端をレフイ
   ールバネ１６によりスライダー７に螺着したスト
   ツパー８に支持させ、上記スライダー７の外周に
   はバネ止めリング９を固着し、該バネ止めリング
   ９の前後には、前端を胴前端部内の金輪１３の後
   端に支持させた前バネ１０と後端を胴内中央部に
   設けたバネ止め１２に支持させた後バネ１１を配
   設し、前記スライダー７のピン７ａがらせん４の
   後方の係止溝４ｃに係止するときは後バネ１１が
   圧縮してテーパー先具１４を胴１中に保持し、ま
   た、上記ピン７ａが前方の係止溝４ｅに係止する
   ときは前バネ１０が圧縮してテーパー先具１４を
   胴１から突出するようにしてなるボールペン。