JPS6216900B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えば自動預金機、光学式読取機など
のようにホツパ内に収納された紙葉類を１枚ずつ
分離して搬送するようにした紙葉類分離装置に関
するものである。

第１図は従来の紙幣分離装置の一例を示すもの
で、紙幣群１がホツパ２内に投入されると、ホツ
パ２の押板２ａが前進し、紙幣群１を前面板２ｂ
およびピツクアツプローラ３に軽く押し付ける。

この状態でピツクアツプローラ３は軸４に取付
けたカム５がアイドラ６と係合したときに駆動さ
れ、１枚目の紙幣１ａを下方に押し下げる。軸４
に取付けたフイードローラ７と、ゲートローラ８
は例えば、互いに入り組んで係合しており、この
二つのローラ間に入つた紙幣にはフイードローラ
７からは紙幣を繰り出す方向の力が作用し、ゲー
トローラ８からはこれが停止しているため、紙幣
を停止させようとする力が作用する。

この結果、もし紙幣が２枚重なつてローラ間に
入り込んだ場合にはフイードローラ７側の紙幣の
みが搬送され、ゲートローラ８側の紙幣が停止さ
せられるため、重なつた紙幣が１枚ずつ分離され
ることになる。

このようなゴムローラの摩擦力によつて紙幣を
繰出し分離する装置において、取出された紙幣同
志の間隔が常に一定であることが要求される。す
なわち、紙幣を鑑別するとき紙幣同志の間隔があ
まり小さくて接近し過ぎていると、先行する紙幣
の鑑別処理が間に合わないという問題が発生し、
また、不良紙幣と判定した場合でもこのような紙
幣を排出するためのゲート機構の応答が間に合わ
なくなるという問題が生じ、装置全体の信頼性を
著しく低下させることになる。

このように紙幣間に発生する紙幣間隔の乱れは
本発明者の実験によれば、特に１枚目、２枚目間
の紙幣に多く発生している。

この現象を更に詳しく説明する。

第２図ａは紙幣を取込む前の状態を示す。ホツ
パ２に投入した紙幣群１の後方を押板２ａによつ
て押し、紙幣群１を前に移動させたとき、１枚目
の紙幣１ａはピツクアツプローラ３のゴム部に接
続するため下方に下がらず、第２図ａのようにむ
しろ上方に上がり気味の傾向を生ずる。しかも、
分離作用の発生するフイードローラ７、ゲートロ
ーラ８の係合点Ａと、底板２Ｃとが離れているた
め、１枚目の紙幣１ａがＡ点を通過するタイミン
グが遅れる。一方、２枚目の紙幣１ｂは第２図ｂ
に示すように１枚目の紙幣１ａが移動したときそ
れに引きづらして下方に下がり、通常はＡ点付近
まで到達しそこで停止することになる。この結
果、２枚目以降の紙幣は、一定のタイミングでフ
イードローラ７によつて繰り出されるため、以降
の紙幣間隔は一定に保たれる。

第３図は上述の紙幣の流れを示したもので、第
１図に示す分離装置によれば、１枚目の紙幣１ａ
と２枚目の紙幣１ｂとの間隔T₁が狭まり、２枚
目の紙幣１ｂと３枚目の紙幣１ｃとの間隔T₂、
３枚目の紙幣１ｃと４枚目の紙幣１ｄとの間隔
T₃は一定となる。

本発明は上述の事柄にもとづいてなされたもの
で、紙葉類間に発生する紙葉類間隔の乱れ、特に
１枚目、２枚目間の間隔の乱れを取り除き、紙葉
類の取出しタイミングが常に一定となるようにし
た紙葉類分離装置を提供することを目的とするも
のである。

本発明の特徴とするところはホツパ内に収納さ
れた紙葉類をピツクアツプローラにより分離手段
へ１枚ずつ送出する装置において前記ピツクアツ
プローラに摩擦係数の異なる２つの摩擦部材を、
低摩擦部材が高摩擦部材に先行して紙葉類に接触
するように取付け、前記高摩擦部材が分離手段を
構成するフイードローラと協働して紙幣を分離し
搬送する以前に予め小さな力で紙葉類を押し下げ
ることにより紙葉類下端が係合点Ａの近傍に来る
ようにしたものである。

以下本発明の一実施例を第４図により説明す
る。

第４図は本発明の紙葉類分離装置を自動預金機
に採用した例を示すもので、第１図と同一符号の
ものは同一部分を示す。

ホツパ２内に収納された紙幣群１のうちの１枚
目の紙幣１ａに当接して配置されているピツクア
ツプローラ９はフイードローラ７と同一直径のロ
ーラにより形成され、ピツクアツプローラ９とフ
イードローラ７とはタイミングベルト１０により
結合され、両者は同期して回転する。

前記ピツクアツプローラ９の円周上には摩擦係
数の異なる二種類の摩擦部材９ａ，９ｂが取付け
ており、低摩擦係数の部材より成る一方の摩擦部
材９ａによる紙幣の繰り出しは高摩擦係数の部材
より成る他方の摩擦部材９ｂによる紙幣の繰り出
しに先行して行なわれる。また、摩擦部材９ｂは
フイードローラ７に取付けてある摩擦部材７ａと
同じタイミングで紙幣と当接し、分離、搬送する
作用をする。

前記摩擦部材９ａ，９ｂの摩擦係数は下記の条
件を満足するように選定すればよい。

押板２ａによる紙幣押付力をＦ、フイードロー
ラ７とゲートローラ８の係合点Ａにおける搬送抵
抗をＲ、紙幣同志の摩擦係数をμ_１、摩擦部材９
ａと紙幣の摩擦係数をμ_２とすると、 Ｆ（μ_２＋μ_１）＜Ｒ μ_２＞μ_１ ここで、搬送抵抗Ｒは、フイードローラとゲー
トローラが入り組むような形で紙幣に抵抗を与え
ているような場合には、二つのローラのオーバラ
ツプ量によつて変わり、その値は多重フイードが
発生しないような値に調整されるべきものであ
る。

上式の関係を満足するようにすれば、分離動作
に先立つて、紙幣が下方に送出され、係合点Ａで
抵抗を受け進めなくなるまで移動する。Ａ点まで
下がると摩擦部材９ａによつてはそれ以上紙幣は
進むことができないためその位置で停止すること
になり、後続する摩擦部材９ｂとフイードローラ
７の摩擦部材７ａが紙幣と接触してから始めて紙
幣はＡ点を乗り越えて、分離搬送される。

第５図は本発明の他の実施例を示すもので、こ
の実施例ではピツクアツプローラ９を複数個設
け、一方側のピツクアツプローラ９には低摩擦係
数の部材９ａを取付け、他方側のピツクアツプロ
ーラ９には高摩擦係数の部材９ｂを取付けるよう
にしたものである。

本発明によれば、紙葉類を分離、搬送する前に
常にその動作に先行して紙葉類を下方に押し下
げ、紙葉類下端の位置を一定に揃えることができ
るので特に１枚目、２枚目間の紙葉類間隔の乱れ
をなくし、すべての紙葉類に対してその取出し位
相の取揃え効果が発生するため、折れた紙葉類が
混在した場座でも安定して一定の間隔で取込みが
できる。

このため、例えば、紙幣鑑別やリジエクトミ
ス、ジヤムの発生を防止することができ、装置の
信頼性を一段と向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の紙葉類分離装置の一例を示す概
略図、第２図ａ，ｂは紙幣の取出し状態を説明す
るための図、第３図は紙幣の間隔を説明するため
の図、第４図は本発明の紙葉類分離装置の一実施
例を示す概略図、第５図は本発明の紙葉類分離装
置の他の実施例の概略図である。 １……紙幣群、２……ホツパ、７……フイード
ローラ、８……ゲートローラ、９……ピツクアツ
プローラ、９ａ，９ｂ……摩擦部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ホツパ２内に収納された紙葉類１をピツクア
   ツプローラ９により分離手段７，８へ１枚ずつ送
   出する装置において、 前記ピツクアツプローラ９に摩擦係数の異なる
   二つの摩擦部材９ａ，９ｂを、低摩擦部材９ａが
   高摩擦部材９ｂに先行して紙葉類に接触するよう
   に取付け、前記高摩擦部材が分離手段を構成する
   フイードローラ７と協働して紙葉類を分離し搬送
   する以前に予め小さな力で紙葉類を押し下げるよ
   うにしたことを特徴とする紙葉類分離装置。