JPS6161884B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属管の押出加工装置に関する。

一般に、Cu―Al―Zn合金（例えばブロツクリ
ング材、形状記憶合金）等の金属から管を製造す
る場合には、それらの金属が熱間加工性に優れる
が、冷間加工性に劣るため、通常押出加工が採用
され、押出加工によつて製品寸法に近い寸法の管
を製造することにより後工程での冷間加工を極力
回避するようにしている。

このような押出加工に用いられる金属管の押出
加工装置としては、従来、第１図に示すものが知
られている。ここで、この押出加工装置について
簡単に説明すると、図中符号１は筒状のコンテナ
であり、その先端面にはダイス２が設けられてい
る。また、コンテナ１の内部には、マンドレル３
が配置されている。このマンドレル３の先端部外
周とダイス２との間に環状のすきま４が形成され
ており、このすきま４から加圧板５によつて素材
６を押し出すことにより、金属管７が製造される
ようになつている。なお、符号８はシリンダ装置
であり、メインシリンダ９と、加圧板５を押圧す
るためのマンドレルシリンダ１０と、マンドレル
３が固定された支持部材１１とから構成されてい
る。そして、マンドレルシリンダ１０が加圧板５
を押圧する際には、支持部材１１がマンドレルシ
リンダ１０と等速度で逆方向に向かつて相対移動
し、マンドレル３が停止状態となるように構成さ
れている。このように構成された押出加工装置に
おいて重要なことは、製造された金属管７の周方
向における各部の肉厚を等しくするために、すき
ま４の各部の間隔を一定にすること、すなわちダ
イス２とマンドレル３との互いの軸線を一致させ
ることである。

ところが、上記の押出加工装置においては、ダ
イス２およびマンドレル３の製作誤差、それらの
取付け誤差、さらには装置全体の組立て誤差等に
より、ダイス２とマンドレル３との軸線がずれる
ことがある。ダイス２とマンドレル３との軸線が
ずれると、そのずれ量の２倍の量が金属管７の肉
厚の差として現われ、この結果いわゆる偏肉が発
生するという問題があつた。

この発明は、上記問題を解消するためになされ
たもので、ダイスとマンドレルとの間に軸線のず
れがあつたとしても、偏肉を大幅に軽減すること
ができる金属管の押出加工装置を提供することを
目的とする。

この発明は、ダイスとマンドレルとの軸線がず
れて、それらの間のすきまに間隔の広い部分と狭
い部分とが生じた場合、間隔の広い部分を通る素
材に作用する圧力と間隔の狭い部分を通る素材に
作用する圧力とに差が生じる点に着目し、この差
圧を利用して偏肉の発生を軽減するようにしたも
のである。すなわち、ダイスとマンドレルとの間
の環状のすきまのうち、間隔の広い部分を通る素
材に作用する圧力は低く、他方間隔の狭い部分を
通る素材に作用する圧力は高くなる。この圧力の
差によつて、マンドレルの先端部は、すきまの各
部の間隔が等しくなる方向に向かつて押圧される
はずである。ところが従来の押出装置において
は、マンドレルが支持部材に固定されているた
め、マンドレルはほとんど移動することがなかつ
た。したがつて、ダイスとマンドレルとの間のす
きまの広狭が解消されることなく、偏肉が発生し
ていたのである。

そこで、この発明に係る押出加工装置において
は、マンドレルを、本体部と、この本体部の先端
部に嵌合された可動部とから構成すると共に、前
記本体部の先端部と前記可動部の後端部のうち、
いずれか一方に凸面部をかつ他方に凹面部をそれ
ぞれ形成する一方、これらの凸面部と凹面部とを
係合されて、前記可動部の先端部を後端部に対し
て傾動可能となし、上述した差圧によりマンドレ
ルの先端部を自動的に変位させ、これによつてダ
イスとマンドレルとの間のすきまの各部の間隔を
等しくし、偏肉の発生を軽減しているのである。

なお、マンドレルの可動部の先端部を後端部に
対して傾動可能となして、偏肉の発生を大幅に軽
減させると、素材内の差圧が少なくなり、マンド
レルが受ける力も弱くなる。したがつて、マンド
レルの直径を小さくすることができ、これによつ
て内径が比較的小径の金属管を製造することがで
きるという利点も得られる。

以下、この発明の実施例を第２図ないし第５図
を参照して説明することにより、この発明をより
一層明らかにする。

第２図ないし第４図はこの発明の一実施例を示
すものであつて、上記従来例と同様な部分には同
一符号を付してある。この実施例においては、支
持部材１２の先端部に筒状の連結部材１３がねじ
止め固定されている。この連結部材１３の内周に
は、第３図に示すように後端側から先端側へ向か
うにしたがつて漸次小径となるテーパ孔部１４が
形成されている。一方、マンドレル１５の後端部
にも、後端側から先端側へ向かうにしたがつて漸
次小径となるテーパ部１６が形成されているが、
このテーパ部１６のテーパ角は、テーパ孔部１４
のテーパ角より２〜３゜大きく設定されている。
この結果テーパ部１６はテーパ孔部１４の壁面に
環状に線接触するようになる。したがつて、マン
ドレル１５は支持部材１２に対して傾動すること
ができ、これによつて先端部が軸線と直交する方
向へ変位可能となつている。

また、この実施例においては、マンドレル１５
自体もその先端部が後端部に対して傾動し得る構
造になつている。すなわち、マンドレル１５は、
支持部材１２に連結された本体部１７と、この本
体部１７の先端部にねじ止め固定された筒状部１
８と、この筒状部１８に後端部が挿入された可動
部１９とから構成されている。これら筒状部１８
と可動部１９との間の構造は、前述した連結部材
１３とマンドレル１５の後端部との間の構造と同
様になつており、筒状部１８の内周にはテーパ孔
部２０が形成され、可動部１９の後端部には、テ
ーパ角がテーパ孔部２０のテーパ角より大きく設
定されたテーパ部２１が形成されている。そし
て、これによつて可動部１９が本体部１７に対し
て傾動し得るようになつている。

さらに、この実施例においては、ダイス２２が
後端側の大径部２３と、先端側の小径部２４とか
ら構成されており、内径が比較的小さい金属管７
を製造し得るようになつている。

なお、内径が小さい金属管７を製造する点につ
いては、引張装置（図示せず）を設置し、この引
張装置によつて金属管７を引つ張るようにすれ
ば、より一層小径のものを製造することができ
る。

次に、上記構成の押出加工装置と従来の押出加
工装置とによつて金属管を製造した際の実験例を
示す。ブロツクリング用銅合金（Cu―30Zn―3Al
―3Mn―1Si）のφ200インゴツトからφ80×5tの
金属管を製造した。従来の押出加工装置では偏肉
が７％であつたのに対し、この発明の押出加工装
置では、偏肉が３％しか現われなかつた。

また、第５図はこの発明の他の実施例における
支持部材２５とマンドレル２６との連結構造を示
すものである。この実施例においては、支持部材
２５にねじ止め固定された連結部材２７の内周に
球面座２８が形成され、これに対応してマンドレ
ル２６の後端部に球面部２９が形成されている。
この場合には、球面どうしの接触であるから、マ
ンドレル２６の傾動を円滑に行わせることがで
き、接触部間の強度を大きくすすることができ
る。なお、球面どうしを接触させて連結する点に
ついては、上記実施例におけるマンドレル１５自
体の構造に適してもよいのは勿論である。

以上説明したように、この発明の金属管の押出
加工装置によれば、筒状をなすコンテナと、この
コンテナの先端部に設けられたダイスと、前記コ
ンテナ内の素材を押圧する加圧板と、この加圧板
に相対移動自在に設けられかつ前記コンテナの内
部に軸線をコンテナの軸線方向に向けて配置され
たマンドレルとを備え、かつこのマンドレルを、
前記加圧板から前記コンテナ内に突出した本体部
と、この本体部の先端部に嵌合された可動部とか
ら構成すると共に、前記本体部の先端部と前記可
動部の後端部のうち、いずれか一方に凸面部をか
つ他方に凹面部をそれぞれ形成する一方、これら
の凸面部と凹面部とを係合させて、前記可動部の
先端部を後端部に対して傾動可能となしたもので
あるから、素材によつてマンドレルに働く力が引
張力であることにより、マンドレルの可動部の先
端部が傾動し易い上に、凸面部と凹面部との係合
関係により、可動部の先端部の傾動角度が大きく
とれ、従つて、マンドレルとダイスとの間の環状
のすきまにおいて、間隔の広い部分と狭い部分が
生じても、その間隔の差が自動的にかつ円滑に修
正され、金属管の偏肉を大幅に軽減することがで
き、しかもマンドレルの直径を小さくし得て、そ
の分内径の小さい金属管を製造することができる
等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の金属管の押出加工装置の一例を
示す縦断面図、第２図ないし第４図はこの発明の
一実施例を示し、第２図は縦断面図、第３図は支
持部材とマンドレルとの連結構造を示す拡大縦断
面図、第４図はマンドレルの先端部の構造を示す
拡大縦断面図、第５図はこの発明の他の実施例を
示す拡大縦断面図である。 １……コンテナ、４……すきま、５……加圧
板、６……素材、７……金属管、１５……マンド
レル、１７……本体部、１９……可動部、２０…
…テーパ孔部（凹面部）、２１……テーパ部（凸
面部）、２２……ダイス、２６……マンドレル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒状をなすコンテナと、このコンテナの先端
   部に設けられたダイスと、前記コンテナ内の素材
   を押圧する加圧板と、この加圧板に相対移動自在
   に設けられかつ前記コンテナの内部に軸線をコン
   テナの軸線方向に向けて配置されたマンドレルと
   を備え、前記加圧板により、前記コンテナ内に挿
   入された素材を、前記ダイスの内周と前記マンド
   レルの先端部外周との間に形成される環状のすき
   まから押し出して金属管を製造する金属管の押出
   加工装置において、前記マンドレルを、前記加圧
   板から前記コンテナ内に突出した本体部と、この
   本体部の先端部に嵌合された可動部とから構成す
   ると共に、前記本体部の先端部と前記可動部の後
   端部のうち、いずれか一方に凸面部をかつ他方に
   凹面部をそれぞれ形成する一方、これらの凸面部
   と凹面部とを係合させて、前記可動部の先端部を
   後端部に対して傾動可能となしたことを特徴とす
   る金属管の押出加工装置。