JPS6153208B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は合成樹脂の成形品壁内に中空部を有す
る射出成形品およびその成形法に関するものであ
る。更に詳しくは合成樹脂およびガス体を型キヤ
ビテイーに射出して得られる成形品壁内に中空部
分を有する射出成形品およびその成形法に関す
る。

従来合成樹脂の中空型物の成形法としては、押
出法或いは射出成形法によつて得られるパリソン
を金型で挾み、パリソン内にガス体を吹き込んで
金型に密着させて冷却し、成形物を得るものであ
つた。このような従来法で得られる中空型物は例
えば第１図の成形物断面図に示す如く、内容物の
入る部分１が中空であるが、壁の部分２は中空に
はなつていない。しかるに省質源、省エネルギ
ー、合成樹脂原料の節約の観点より、例えば第２
図の成形品断面に示す如く、壁の内部を中空とし
た成形品が市場で求められるようになつて来た。
従来第２図に示すような成形物を作る場合には、
成形物の外側３と成形物の内側４とを夫々別々の
金型で成形し、それを例えば接着面５の部分で接
着していた。このような方法で得られる中空型物
は金型代、成形工賃、接着工賃等のために成形品
が高価になつてしまう。

そこで本発明者らは特願昭48−120318号に於い
て、例えば第２図に示すような壁の内部を中空に
した中空型物を、１つの金型を用いて一度の成形
で得る成形方法を開示した。しかしながら、特願
昭48−120318号で開示した方法で得られる中空型
物は壁の内部が中空であるがために、用途によつ
ては強度的に弱く、外力で凹んだり、割れたりす
る場合がある。

本発明者らは上記欠陥を克服した成形品壁内に
中空部分を有する射出成形品及びその成形法を考
案し、本発明に至つた。

本発明は特願昭48−120318号に開示されている
中空型物及びその成形法を改良した発明であり、
成形品の壁内にリブ付中空部を有する成形品壁内
に該壁面に沿う方向にゲート対応部分より不均一
に広がる中空部分を有する射出成形品である。更
に該成形品を成形する方法であり、すなわち型キ
ヤビテイーを満たすに不十分な量の溶融された合
成樹脂を型キヤビテイーに射出した後ガス体を射
出するか、或いは溶融樹脂を射出しつつガス体を
射出する中空型物の成形法に於いて、型キヤビテ
イーを満たすに不十分な量に射出された樹脂にガ
ス体が入り易い部分と入り難い部分とを作り、ガ
ス体を射出して、ガス体が入り易い部分を中空部
分とする成形品壁内に中空部分を有する射出成形
品の成形法である。

次に本発明の成形品壁内に中空部分を有する射
出成形品及びその成形方法を説明する。

第３図は特願昭48−120318号に開示した成形方
法を示したものである。該方法の第１工程は型キ
ヤビテイー６に、型キヤビテイー６を満たすのに
不十分な量の溶融樹脂７を射出する。その状態を
第３図ａに示す。次いでノズル８内に設置された
ガス体注入口９よりガス体を型キヤビテイー６内
の溶融樹脂７内に射出する。この時型キヤビテイ
ー６内の溶融樹脂７は型に接して冷却され、流動
しにくくなつた樹脂をキヤビテイー面に残しつ
つ、内部の流動し易い未冷却樹脂が型キヤビテイ
ー６の奥に押しやられ、中空体１０を形成する。
その状態を第３図ｂに示す。なおガス体を射出す
る際、ガス体と同時にガス体の周囲をつつむよう
に溶融樹脂を射出してもよい。次いで内部のガス
圧を常圧に戻す。第３図ｃではスプルーブツシユ
１１とノズル８の先端を離し、ガスを大気中に放
出している様子を示したが、ガス体注入口９を通
してガス体を型キヤビテイー６の外に放出あるい
は再使用のために回収しても良い。このようにし
て得られた成形物にはスプルー１２に穴があいて
いる。このスプルーの穴が問題となる成形品で
は、中空部内のガス圧を抜いた後、第３図ｄに示
す如く少量の樹脂をスプルー内に射出すればスプ
ルー１２の穴は無くなる。

このようにして一体中空型物を得る技術は特願
昭48−120318号に於いて開示したが、その後本発
明者らは研究を重ねた結果、型キヤビテイー６内
に型キヤビテイー６を満たすのに不十分な量の溶
融樹脂を射出する際、あるいは射出した後で、該
樹脂中にガス体が入り易い部分と入り難い部分と
を作り、ガス体を射出すると、ガス体は該樹脂の
ガス体が入り易い部分に優先的に入り、ガス体が
入り難い部分はリブとして残ることを発見した。
その差異を成形物の例で説明する。

第４図は特願昭48−120318号に開示した方法で
得られた中空型物と本発明の成形品壁内に中空部
分を有する射出成形品との差異を示した図であ
る。

第４図ａは特願昭48−120318号に開示した方法
で成形した場合の円盤状中空型物の平面図であ
り、点線で囲まれた内側の部分が中空部１３を示
し、点線より外側の部分１４はガス体の入らなか
つた成形品の周縁部分を示す。第４図ａの矢印で
示した箇所の縦断面図を第４図a′に示した。第４
図ａ，a′に示す如く、特願昭48−120318号に開示
した方法ではガス体が溶融樹脂中に比較的均一に
入り、所望の箇所にリブ状にガス体の入らない部
分が形成されない。それに比較し、本発明法によ
れば第４図ｂの平面図が示す如く、ガス体が所望
の部分に枝別れして樹脂中に入り、ガス体の入つ
た中空部１３とガス体の入らなかつた成形物の周
縁部１４との外にリブ状にガス体が入らなかつた
部分１５を形成する。第４図b′は第４図ｂの矢印
箇所の縦断面図である。即ち、中空部１３の間に
リブの補強部分１５が存在した一体成形中空型物
であつて、中空部の強度を強くしている。同様
に、第２図で示した外観形状の成形物を本発明法
で成形した場合の成形物の平面図を第４図ｃに示
した。このような成形物では成形物の底の部分の
リブ１５の他に、立上り部分にもリブ１５′が形
成される。第４図c′は第４図ｃに示す矢印部分の
縦断面図である。

即ち本発明によれば、特願昭48−120318号に開
示した方法に比較して、成形物壁内部に中空部と
リブが形成された、内部リブの付いたゲート対応
部分より不均一に広がる中空部分を有する型物の
成形が可能であり、このリブのために中空部の強
度が強い成形物となる。このような接着部のない
合成樹脂製の壁内部にリブ補強中空部を有する成
形品壁内に中空部分を有する射出成形品は従来無
かつた新規なものである。しかも本発明成形法に
よれば、１つの金型で、１度の成形操作で成形が
可能であるため、従来のごとく内側と外側を夫々
別々に成形し、成形後接着して得られる成形物に
比較して非常に安価である。

なお、本明細書に於いて１度の成形操作とは、
金型が閉じた時から次に閉じる直前までの間に行
なわれる操作を意味する。

次に本発明の特徴である、型キヤビテイー内に
型キヤビテイーを満たすに不十分な量の溶融樹脂
を射出する際、あるいは射出した後で、該樹脂中
にガス体が入り易い部分と入り難い部分とを作る
方法例について述べる。

第１の方法は、溶融樹脂を型キヤビテイー内に
射出する際、射出成形機のノズル内に於いて樹脂
の流れ方向に溶融樹脂を切断した後再び結合する
か、あるいは切断したまま、ノズル先端より溶融
樹脂をスプルーブツシユを通して型キヤビテイー
内に射出する方法である。このようにして型キヤ
ビテイー内に射出された溶融樹脂は、流れ方向に
切断された履歴を持つ部分にガス体が入り易くな
る。従つて樹脂の流れを考慮し、成形品の中空に
したい部分に流れ方向に切断された履歴を持つ樹
脂が射出されるようにノズル内に溶融樹脂の切断
部品を設置すれば、ガス体はその部分に優先的に
入り、その他の部分の中央部付近にリブが形成さ
れる。

第２の方法は、ノズル内の円周方向に於ける樹
脂通路の間隔を変化させることである。このよう
な方法によつて、ノズル内の円周方向に樹脂の流
れ易い部分と、流れ難い部分とを作り、流れにく
い部分に相当する型キヤビテイー内の溶融樹脂部
にガス体が優先的に入り込み、中空部を形成す
る。

第３の方法は、ノズル内の円周方向に温度差を
設ける方法である。このような方法によつて、型
キヤビテイー内に射出された溶融樹脂に、部分的
な温度差を生ぜしめると、ガス体は、溶融樹脂の
高温部に優先的に入り込み、低温部にリブを形成
する。

以上は型キヤビテイー内に溶融樹脂を射出する
際に、型キヤビテイー内に射出された該樹脂中
に、ガス体が入り易い部分と、入り難い部分を作
る方法例である。第１、第２、第３の方法とも射
出成形機のノズルを対象として記載したが、これ
らの方法はいずれも、金型内のスプルーブツシ
ユ、あるいはホツトランナー等、射出成形機のノ
ズルと型キヤビテイー間の樹脂通路にも適用出来
る。

次に型キヤビテイー内に溶融樹脂を射出した後
で、型キヤビテイー内に射出された該樹脂中にガ
ス体が入り易い部分と入り難い部分とを形成する
方法について述べる。

その第１の方法は、型キヤビテイーを形成する
金型面を部分的に冷却または加熱し、型キヤビテ
イー内に温度差を設ける方法である。この方法に
よれば、射出された溶融樹脂は型キヤビテイー内
に於いて部分的に冷却速度が異なり、部分的に温
度差を生じる。このような状態の溶融樹脂中にガ
ス体を射出すると、ガス体は溶融樹脂の高温部に
優先的に入り中空部を形成し、低温部にリブが形
成される。

第２の方法は、型キヤビテイーに溶融樹脂を射
出した後、ガス体を射出する前に、あるいはガス
体を射出しつつ型キヤビテイーの一部を部分的に
拡大する方法である。この方法では型キヤビテイ
ーの拡大された部分に中空部が形成され、拡大さ
れなかつた部分がリブとなる。なお、この方法の
場合に於ける型キヤビテイーを満たすのに不十分
な量とは、型キヤビテイーの一部を拡大した後の
容積に対して不十分な量と定義する。

第３の方法は、型キヤビテイーに部分的に厚み
の異なる部分を設ける方法である。この方法では
成形品肉厚（中空部分も肉厚の一部と考える）の
厚い部分にガス体が優先的に入り中空部を形成
し、薄い部分がリブを形成する。

以上、型キヤビテイー内に型キヤビテイーを満
たすのに不十分な量の溶融樹脂を射出する際、あ
るいは射出した後で、該樹脂中にガス体が入り易
い部分と入り難い部分とを作る数種の方法につい
て述べたが、これらは単独あるいは複数の組み合
わせで用いられる。

本発明に述べる合成樹脂あるいは樹脂とは、一
般の射出成形あるいは押出成形等に使用される、
熱可塑性樹脂全体を示すが、必要に応じて熱硬化
性樹脂も使用出来る。樹脂には各種添加剤が添加
され得る。

本発明に述べるガス体とは常温常圧でガス状の
物質を示し、例えば窒素ガス、炭酸ガス、空気、
ヘリウムガス等、沸点が常温以下の物質である
が、窒素ガス、ヘリウムガス等不活性ガスが好ま
しい。

次に実施例を示し、さらに本発明を詳細に説明
する。

実施例 １ 第５図に示す装置を用いて成形を行なつた。

第５図に示した装置は射出シリンダー１６内
に、樹脂の可塑化及び射出を行なうスクリユー１
７で可塑化された溶融樹脂１８を貯めてある。ス
クリユー１７のノズル１９方向への移動により溶
融樹脂１８はノズル１９よりスプルー２０を通つ
て型１１、型１２で形作られている型キヤビテイ
ー１３に射出される。一方、ガス体２４は高圧シ
リンダー２１内にピストン２２を介して油圧２３
により高圧状態で溜め込まれており、必要な時に
バルブ２５を開くことによつてガス体２４をチエ
ツクバルブ２６、ガス射出口の支持具２７、ガス
射出口２８、スプルー２０を通して型キヤビテイ
ー１３内に射出出来る。バルブ２９は高圧シリン
ダー２１内へのガス体補給口である。チエツクバ
ルブ２６は、溶融樹脂１８を型キヤビテイー１３
に射出する際、溶融樹脂の高圧シリンダー２１方
向への流入を防止するため設置されている。ノズ
ル内には樹脂の流れ制御部品３０が組み込まれて
いる。

以上のような装置を用い、直径180mmφ、厚さ
10mmの円盤状型物を成形した。樹脂はポリスチレ
ン「スタイロン＃683」（旭ダウ(株)製造品）を200
℃に加熱可塑化したもの、ガス体は窒素ガスを80
Kg／cm²に圧縮して夫々使用した。型キヤビテイー
内に射出された樹脂中にガス体が入り易い部分と
入り難い部分を作る方法としては、第６図ａに示
す形状の部品を樹脂の流れ制御部品３０とし、樹
脂の流れ方向に溶融樹脂を切断する方法を使用し
た。第６図ａの２８は樹脂の流れ制御部品３０に
対するガス射出口の位置を示し、３１の部分が流
れ方向に溶融樹脂を切断する部分であり、ここで
は５箇所付いている。

このような準備のもとで、まず型キヤビテイー
１３内に型キヤビテイー容量の60％に相当する容
量の溶融樹脂１８を射出し、次いで、ガス体２４
を型キヤビテイー１３内の溶融樹脂中に射出し、
その後ノズル先端と金型のスプルー部を離し、ガ
ス体を大気中に放出した。冷却後、型から取り出
した成形物は第４図ｂ，b′に示す形状をした壁内
部にリブ補強中空部を有する一体中空型物であ
り、内部のリブ１５はノズル内で溶融樹脂を切断
した箇所に対応し、数も一致し、五箇所であつ
た。

実施例 ２ 実施例１の金型を第４図ｃに示す外観形状の金
型に変更し、樹脂の流れ制御部品３０を第６図ｂ
に示す形状の樹脂の流れ制御部品３２に変えてノ
ズル１９内の円周方向に於ける樹脂通路の間隔を
変化させ、ノズル１９内の円周方向に樹脂の流れ
易い部分３３と流れ難い部分３４を作り、実施例
１の要領で成形したところ、第４図ｃ，c′で示し
た成形物が得られた。リブ１５，１５′の数はノ
ズル１９内の円周方向に樹脂の流れ易い部分３３
の数と一致し、四箇所であつた。

実施例 ３ 第６図ｂの樹脂の流れ制御部品３２を第６図ｃ
に示す形状の樹脂の流れ制御部品３５に変更し、
ノズル１９の表面を円周方向に８等分し、その１
つ置きに合計四箇所スペースヒーターを取り付
け、夫々を200℃にコントロールした。スペース
ヒーターの取り付けられていない部分のノズル１
９の表面温度は約180℃であつた。以上のような
準備のもと、実施例２の要領で成形を行なつたと
ころ、第４図ｃ，c′で示した成形物が得られた。
リブ１５，１５′の数及び位置はノズル１９の表
面ヒーターが取り付けられていない部分と一致し
た。

実施例 ４ 第６図ａの樹脂の流れ制御部品３２を第６図ｃ
に示す形状の流れ制御部品３５に変更し、実施例
１で使用した円盤状金型の型キヤビテイー１３の
金型面をスプルーを中心に放射状に10等分し、１
つ置きに80℃の温水で加熱し、その間を20℃の水
で冷却した。型キヤビテイー１３の金型表面を表
面温度計で測定したところ、温水で加熱した部分
は75℃、水で冷却した部分は40℃になつていた。
このような準備のもとに、実施例１の要領で成形
操作を行なつたところ、第４図ｂ，b′に示す成形
物が得られた。内部リブ１５は20℃の水で冷却し
ている部分に一致した。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来法による中空型物例の縦断面図、
第２図は特願昭48−120318号の方法による中空型
物例の縦断面図、第３図は特願昭48−120318号に
開示された一体中空型物の成形工程説明図、第４
図ａ，a′は特願昭48−120318号に開示された方法
により得られる一体中空型物例の平面図及び縦断
面図、第４図ｂ，ｃ及びb′，c′はそれぞれ本発明
法による内部リブの付いたゲート対応部分より不
均一に広がる中空部分を有する型物の平面図及び
縦断面図、第５図は本発明を実施するに適する成
形装置の具体例図、第６図はノズル内に於ける溶
融樹脂の流れを本発明法に適するように制御す
る、樹脂の流れ制御部品の平面図である。 図において、１……成形物の中空部分、２……
成形物の壁部分、３……成形物の外側、４……成
形物の内側、５……成形物の接着面、６……型キ
ヤビテイー、７……溶融樹脂、８，１９……ノズ
ル、９……ガス体注入口、１０……中空体、１１
……スプルーブツシユ、１２，２０……スプル
ー、１３，１３′……中空型物の中空部、１４…
…中空型物の外側部、１５，１５′……中空型物
のリブ、１６……射出シリンダー、１７……スク
リユー、１８……溶融樹脂、２１……高圧シリン
ダー、２２……ピストン、２３……油圧、２４…
…ガス体、２５，２９……バルブ、２６……チエ
ツクバルブ、２７……支持具、２８……ガス射出
口、３０，３２，３５……樹脂流れ制御部品、３
１……溶融樹脂を切断する部分、３３……樹脂の
流れ易い部分、３４……樹脂の流れ難い部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 成形品壁内に該壁面に沿う方向にゲート対応
   部分より不均一に広がる中空部分を有する射出成
   形品。 ２ 型キヤビテイーを満たすに不十分な量の溶融
   された樹脂を型キヤビテイーに射出した後、ガス
   体を射出するか或いは溶融樹脂を射出しつつガス
   体を射出する中空型物の成形法に於いて、型キヤ
   ビテイーに射出された樹脂にガス体が入り易い部
   分と入り難い部分とを作り、ガス体を射出して、
   ガス体が入り易い部分を中空部分とすることを特
   徴とする射出成形法。