JPS6151050B2 - - Google Patents

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JPS6151050B2
JPS6151050B2 JP53058657A JP5865778A JPS6151050B2 JP S6151050 B2 JPS6151050 B2 JP S6151050B2 JP 53058657 A JP53058657 A JP 53058657A JP 5865778 A JP5865778 A JP 5865778A JP S6151050 B2 JPS6151050 B2 JP S6151050B2
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JP
Japan
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yarn
shrinkage
heat
length
filament
Prior art date
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Application number
JP53058657A
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English (en)
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JPS54151647A (en
Inventor
Shiro Kumakawa
Yoshuki Sasaki
Katsuyuki Kasaoka
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP5865778A priority Critical patent/JPS54151647A/ja
Publication of JPS54151647A publication Critical patent/JPS54151647A/ja
Publication of JPS6151050B2 publication Critical patent/JPS6151050B2/ja
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は潜在嵩高性マルチフイラメント糸条更
に詳しくは天然の絹糸に匹敵する風合、光沢、深
味のある色を呈する潜在嵩高性マルチフイラメン
ト糸条に関する。 尚、本発明において、前記“潜在嵩高性マルチ
フイラメント糸条”なる語は、極めて短いピツチ
で単繊維内及び単繊維間に不規則な収縮性部分を
有する熱可塑性マルチフイラメント糸のことであ
り、熱収縮処理により絹様の風合、膨みを発現す
るものを意味する。 従来、熱可塑性マルチフイラメント糸をその乾
熱収縮応力以下具体的には殆どフリー状態で乾熱
の加熱体と瞬間的に接触させることにより、一部
のフイラメントを間歇的に収縮させ、これに伴い
他のフイラメントを引き吊らせてループ、たるみ
をつくり、糸全体の中で糸長差や巻縮を与えるこ
とは知られている(例えば特公昭47―47550号、
特公昭51―18535号公報参照)。このようにして得
られた糸条はその表面に多数のループ、たるみが
発生し、その結果、絹様の風合、触感を呈する
が、一方では次のような欠点がある。 (イ) フイラメント糸の断面方向及び長手方向にラ
ンダムな熱収縮処理を受けているので、織編物
ではカスリ状の縞が発生する。これは工程的に
糸全体として殆どフリーの状態で接触熱処理さ
れるので、糸自身加熱体上を円滑に走行せず、
工程自身極めて不安定であることに起因してい
る。勿論、前記カスリ状の縞を防止するには常
に一定割合で一部のフイラメントのみを選択的
に熱処理すればよいわけであるが、瞬間熱処理
による場合、常にフイラメント群の半分だけ熱
処理するようなことは到底望むべくもなく、絶
えずその割合は変動している。ましてや殆どフ
リー状態の微張力と瞬間熱処理という制約から
加工速度にも自ずと限界がある。 (ロ) フイラメント糸を部分的に収縮させる結果、
糸表面にはループ、たるみが発生するが、この
ようなループ、たるみは糸の取扱性低下の因を
つくり、特に製編織性を著しく損ねるばかり
か、織編物の外観まで低下させる原因となる。
このため、前記ループ、たるみを熱処理により
一旦消去する方法も提案されているが、この場
合、再度糸全体が加熱されるので、高収縮部分
と低収縮部分との収縮差が縮まり、最初に有し
ていた風合、触感を再現することは期待できな
い。 (ハ) 極めて低張力下に部分熱収縮した糸条である
ので糸にフロー(flow)部分が残つて製織時、
糸が不規則に伸長されてヒケがが生じ、又、織
編物においては、ヒジ抜けが起り易い。 (ニ) 糸全体としては一応高収縮成分と低収縮成分
が存在するが、何分片面加熱方式の瞬間熱処理
により、得られる為、両者が分離して存在し、
(所謂“混在”ではない)従つて染仕上等で熱
を受けて収縮差が生じても、糸は引吊つた形に
しかならず、混在時のような、ふつくらと膨ん
で絹様になる効果が低くなる。 以上のように、従来の収縮差を利用した絹様加
工糸においては常に染斑、ヒジ抜け、或いは製織
性の低下といつた問題を伴い、糸構造上の絹様特
性を充分に生かすことができない現状にある。 それ故、本発明の目的は従来品に比べてより改
善された絹様風合並びに光沢を呈するのみなら
ず、製織性に優れしかも織編物においてもヒジ抜
け、カスリ状の縞が発生することのない、潜在嵩
高性糸条を提供することにある。 本発明者等は、上記の目的を達成せんとして鋭
意研究した結果、従来の概念と異つて糸の長手方
向に沿つて間歇的に交絡点を有し、しかも交絡点
間では、一部フイラメントが張り出し部を形成し
たフイラメント糸において、前記張り出し部を地
糸に沿うごとく略直線状に収縮させた場合、極め
て有用な潜在特性、取扱い性を有することを究明
し、本発明に到達したのである。 かくして、本発明によれば 複数本の捲縮を有しない連続単繊維が略直線状
態で集合された糸条であつて、該糸条の長手方向
に沿つて少くとも50ケ/mの交絡点が存在し、且
つ隣り合う交絡点間にある単繊維群においては単
繊維内及び単繊維間に不規則な沸水収縮差が存在
し、しかも次式によつて定義されるK値が1以下
であることを特徴とする潜在嵩高性マルチフイラ
メント糸 K=交絡点の長さ/開繊部の長さ が提供される。 更にこれについて述べると、本発明による潜在
嵩高性マルチフイラメント糸においては規則的な
集束部分及び異収縮部分を有し、しかも熱収縮処
理の度合の少いフイラメント糸が云わば張力担持
糸としての機能を有する点において、従来の糸
(つまり、熱収縮したフイラメントが芯糸的役割
を果し、未熱処理フイラメントが糸表面に浮き出
たもの)と本質的に相違している。従つて本発明
による潜在嵩高性糸条は以下の特長を有する。 (イ) 糸の長手及び断面方向に規則的な熱収縮処理
を受けているのでカスリ状の縞が発生する懸念
がない。 (ロ) 予め付与した張り出し部のみを熱収縮させる
ので、外見的には通常のフラツトヤーン(Flat
Yarn)と何等変りなく、(ループ、たるみが存
在しないので)交絡点が存在することと相俟つ
て糸の取扱性が格段に向上する。 (ハ) 熱処理の度合の少いフイラメントが張力担持
体として働くので、製織時のヒケの問題もなく
なる。 (ニ) 張り出し部自体、流体撹乱処理によつて付与
されるので、張り出し部を構成するフイラメン
トは糸全体から無作為に選ばれることになつて
混在型の異収縮フイラメント糸となる。 更に本発明による潜在嵩高性マルチフイラメン
ト糸の内在する特長として前記マルチフイラメン
ト糸(100cm)を水の上に浮かべた時に生じる締
束部C及び開繊部bの長さにつき夫々累計し、
100cm当りの夫々の個数で除した平均長さl1及びl2
において、l2がl1より大であること、即ちl1/l2
KとするときK<1であることが必要である。こ
れは、本発明にあつては元々交絡点の長さ(糸の
長さ方向)は絹様風合の現出という観点からは必
ずしも好ましいものとは云えず、該交絡点の存在
を一見消失せしめたかの如き、風合を得るために
はK値が1未満であることが不可欠なのである。
又、交絡数が、余りにも多くなると膨み部分の個
数が少くなり、絹様の風合が望めなくなるので
高々130ケ/mに留めるのが適当である。 尚、交絡度(ケ/m)は第1図に示すように熱
処理後のフイラメント糸50cmを水の上に浮かべ、
その時部分的に生じる紡錘状の開繊部bの間に存
在する締束部Cの数を測定し、1m当りの交絡数
に換算する。 以下、第2図により、本発明に係る潜在嵩高性
マルチフイラメント糸条の製造の一例を説明す
る。この例はポリエステル未延伸糸を出発原糸と
して使用するもので、該未延伸糸1はパツケージ
2から取り出された後、テンサー3を経て供給ロ
ーラー系4と延伸ローラー系5との間で延伸され
て延伸糸6となる。この延伸糸6は延伸ローラー
系5より乱流ノズル7、糸屈曲ガイド8,8′,
8″を経てバツフアー9を通過した後、ヒーター
10上を定張下に走行し、引出しローラー系11
から捲取装置12に至る。ここで中間ローラー系
5の表面速度は引き出しローラー系11のそれよ
りも大きい表面速度で回転するように調節されて
いるので、延伸糸6は一定のオーバーフイード下
に乱流ノズル7で処理され、張り出し部を形成す
る。一方、ガイド群8,8′,8″(これは2段ガ
イドでもよい)は、延伸糸6のノズル通過時に
は、該糸をオーバーフイード下に保つと同時に、
プレートヒーター上では張力下に維持する役割を
果すものである。しかも、これらガイド群は、張
り出し部を付与された糸条を押圧しつつ屈曲走行
させるのでヒーター上で糸条が躍ることもなく、
均一な熱処理効果を奏することができる。勿論、
ガイド8,8′8″に代えて回転ローラーを用いる
こともできるが、この場合は設備費、作業性の点
で若干不利である。尚、バツフアー9は乱流ノズ
ル7から噴出する流体による糸揺れ(特にヒータ
ー上での)を防止する機能を有する。 上記の例は、未延伸糸を出発原糸として、これ
を延伸し通常沸水収縮率を15%以下とした糸条に
乱流処理、張り出し部の熱収縮処理を連続して実
施するものであるが、未延伸糸の代りに沸水収縮
率が15%以下の延伸糸を用い、これを第2図の中
間ローラー系5から処理域に供給してもよい。更
に、又予め張り出し部を付与したフイラメント糸
条を第2図のヒーター上で定長又は緊張下に熱収
縮処理を施してもよい。 本発明において、出発原糸として用いるフイラ
メント糸としては、ポリエステル、ポリアミド、
ポリプロピレン等を素材とし、全デニールが15〜
250de好ましくは30de〜75de単繊維デニールが
1.7de以下、沸水収縮率が15〜5%のマルチフイ
ラメント糸条が好適に用いられる、更に、本発明
が元々、絹様素材を狙つていることからして、フ
イラメントの断面も或る程度重要であり、円形よ
りは異形特に、三角断面のものが好ましく採用さ
れる。このようなフイラメント糸にその長手方向
に沿つて間歇的に張り出し部を付与するには公知
のインターレースノズル(例えば特公昭36―
12230号公報、特公昭37―1175号公報参照)に圧
空圧1〜5Kg/cm2・G、オーバーフイード1〜15
%好ましくは1.5〜6%の下に、糸速200m/mm以
上好ましくは500m/min以上で通過させればよ
い。 この乱流処理によつて得られる交絡糸に要求さ
れる条件として、前記交絡数が少くとも50ケ/m
あること及び糸条には実質的にたるみ、張り出し
部のみが存在し、フイラメント軸が360゜捩られ
て生じるクルノードループは可及的に排除される
ことが必要である。前者については余りにも長い
張り出し部は収縮に困難をきたすだけでなく、風
合的にも絹の膨みを得るに不適であり、又後者に
ついてはクルノードループの存在は、熱収縮処理
によつても直線状に収縮することがないばかりか
張り出し部の収縮を阻害し、粗硬感のある糸条し
か得られないからである。 第3図は乱流処理後のフイラメント糸条の側面
図であり、マルチフイラメント糸13を構成する
フイラメント(単繊維)14の一部は種々の大き
さの張り出しフイラメントよりなる張り出し部1
5を形成し、この張り出し部15の両端には締束
部Cが存在する。そして、このような糸において
張り出しているフイラメント以外は地糸部即ち、
担持糸を形成するので、この糸を一定の張力下
(通常0.1g/de以下の張力でたるみが消去されな
い範囲の張力)に置いた場合、張力は全て地糸に
集中し、張り出し部が消去されることはない。従
つて、前記糸を張力下に熱収縮処理に付するこ
と、張り出し部は円滑に収縮し所謂フリー収縮の
形をとるので、セツト効果は大で、張り出し部分
の収縮率は大巾に低下する。 一方、地糸部は張力下に保たれているので所謂
緊張熱処理となり、従つてフリー熱処理に比べて
その熱セツト効果は少なくなる。この結果両者の
間にセツト効果の差即ち、より大きい収縮率の差
が発生する。 第4図は熱セツト時に於ける張力と収縮率との
関係を示したもので、横軸にはたるみ乃至張り出
し部15にかかる張力をT1地糸部にかかる張力
をT2として表し、一方縦軸には熱処理後の夫々
の部分の熱収縮率をS1(たるみ、乃至張り出し
部)S2(地糸部)として表してある。この図から
判るように糸を低張力でセツトする程、セツト効
果が大きく(非晶部が緩和して安定な形をとり易
いため)、収縮率はより低下する傾向を示す。つ
まり高張力下でセツトされる地糸部は、ほぼセツ
ト前の収縮率S2を、低張力下にセツトされるたる
み、張り出し部のそれは極端に低下してS1とな
り、かくして同一糸条内でも、△Sという最大の
収縮差を得ることができる。 第5図は、熱収縮処理後の糸の外観を示してい
るが、見掛上、通常のフイラメント糸つまりフラ
ツトヤーンのそれと何等変りがなく略直線状態で
ある。しかしながら第5図に示すように単繊維毎
にみればそれらの長手方向に沿つて、たるみが収
縮してなる低収縮部P、実質的に収縮を起して
いない高収縮部Phとより成る。 尚、低収縮部Plとは、上述の説明からも明らか
なように異収縮フイラメントが混在してなるもの
で、現実には高収縮性の地糸の周囲にたるみを形
成していた単繊維が収縮して、引揃え状態乃至フ
ラツトヤーンの状態になつたものである。この引
揃え状態を得るのに最も重要なことは第3図にお
ける、張り出し部が、個々の単繊維の張り出し
(半弧状)として形成されていることが必要で、
これにより始めて円滑な収縮が惹起されるのであ
る。この点たるみ、張り出しに類似したものとし
てクルノードループ(第6図16で示す所謂タス
ラン固有のループで糸が糸軸の回りに360゜捩ら
れつつループを形成したもの)があるが、このよ
うなループは本発明では実質的に排除される。と
言うのも、このクルノードループを熱収縮処理し
ても第6図に示すように、単繊維が直線状に収縮
せず、糸表面には突起状物が残存する。これは捲
縮部分を形成するばかりだけでなく糸全体に粗硬
感を与えることになり、絹の風合とは程遠いもの
となるからである。 また、この様に単繊維がループにまでならなく
て、単にたるみ、張り出しの場合でも、その熱処
理が不充分でたるみ、張り出しが充分消去せず残
つている場合には、やはり織物には凸凹感が発生
し所謂変り糸的織物となる。即ち、たるみ、張り
出し部を充分消去してほぼ直線状のフイラメント
とし、これを織物にして染仕上する際糸に熱収縮
差を発生せしめてふくらませる事によりはじめて
表面は非常になめらかであるが全体として、ふつ
くらとした絹独特の風合が出るのである。その為
には収縮処理して得られる元糸(第5図)にルー
プが混つては不可なのは勿論のこと、たるみ、張
り出し部も熱処理の際充分弛緩熱収縮せしめて消
し去る事が必要である。またこの様に略直線状の
フイラメント糸にする事によつて、この糸を普通
のフイラメント糸と同様、容易に取扱うことが出
来問題なく製織出来るという意味でも有効であ
る。 また、元糸(第5図)にループが混つている
と、仮にこれを熱収縮で消し去つたとしても繊維
にはねじれが残り、これが特有のキラキラした変
り糸的光沢を発して、絹独特のマイルドな光沢と
は全く異つたものになるので、この意味でも元糸
(第5図)にはループが混つていてはいけない。 このようにして得た第5図に示す熱処理糸を例
えば沸水中でリラツクスすると、糸の長手方向に
沿つて芯部として存在する地糸部更には第5図の
高収縮部Ph1〜Phnが収縮することにより、単繊
維間空隙が増大し、糸全体としては第7図に示す
ように、高度の膨み、柔軟性、しなやかさが現出
してくる。 以上のことから、本発明においてはこのたるみ
を消去する熱収縮処理時の糸張力も臨界的であ
る。即ち、プレートヒーター上又はスリツトヒー
ター中で糸を乾熱収縮応力以下の張力(糸全体を
フリー熱収縮させた場合)の下で処理したのでは
糸全体としての収縮が生じ、事後の沸水処理にお
いても目的とする膨みが生じなくなる。それ故、
本発明においては、この糸張力(プレートヒータ
ーと引出しローラーとの間の張力又はスリツトヒ
ーターと第1糸道展回ガイドとの間の張力)は少
くとも0.02g/de以上に維持することが望まし
い。 一方、たるみの太さ、個数もかなり大事であ
り、これを第8図により説明すると糸に0.05g/
deの荷重をかけた状態でのたるみの見掛上の長
さLは1〜15mm、高さHは0.5〜3.5mmの範囲にあ
るものが1cm当り3ケ以上存在することが適当で
ある。また、たるみの均一分散という点からみる
と、マルチフイラメント糸を構成する単繊維のう
ち少くとも20%以上がたるみを有していることが
好ましい。かかる要件の中でも特に見掛上の長さ
Lは重要でこれが1mm以下になると微細な捲縮例
えばウーリー臭が現出し、充分な膨み効果が期待
できなくなる。 また、たるみを収縮消去するにはプレートヒー
ター又はスリツトヒーターの温度、処理時間も適
正範囲に維持する必要があるが前者については一
般には130〜250℃、後者については0.01〜0.1秒
の範囲から適宜選ぶことができる。 かくして、たるみを消去した熱処理糸は捲取装
置に供給され、捲取られるが、捲取装置としては
図に示したリング撚糸機の他、摩擦駆動されるボ
ビンを使用してもよく特に制約はない。 本発明による潜在嵩高性マルチフイラメント糸
条は、冒頭に述べた如く、外観は通常の未加工フ
イラメント糸と何等変りがないにも拘らず、熱の
作用により糸の断面及び長手方向に部分収縮が生
じ、糸全体として膨み、きしみ感が現れるという
特徴を有する。従つて、かかる特徴をどの段階で
得るかは最終製品を得る過程で任意に設定すれば
よい。例えば糸段階でオーバーフイードしつつ沸
水中を通過せしめる方法、綛状態で沸水処理する
方法、更には編物、織物とした後精練、染色仕上
げ段階で収縮処理を施してもよい。また、フイラ
メント糸がポリエステルより成る場合、これに公
知のアルカリ減量処理を施すことにより、繊維間
空隙をより高めることも有用である。 以上の如く、本発明によればマルチフイラメン
ト糸を構成する単繊維内及び単繊維間により鮮明
にして、斑のない熱収縮差を附与された糸条を提
供することができる。そして、かかる糸は見掛上
ストレートにして円滑な表面を有しているので捲
取時から編織物に至る過程で糸の取扱い上、何等
トラブル発生の懸念がないという利点がある。し
かも、編織物にとつて仕上げ、染色精練処理は不
可欠であるが、これらの処理時に同時に糸を収縮
させるだけで、均整にしてしなやかで膨みのある
絹様製品が得られる。 実施例 1 第2図に示した工程を利用し、第1表に示す条
件で加工を行い、得られた潜在嵩高性糸条を用い
て第2表に示す設計条件でパレス(織物)を製造
する。次にこの織物をデイヤニツクスイエロー
GR―E染料(G.I.デイスパーズイエロー60)を
用いて染色した際の、織物品位その他についての
評価結果を第3表に示す。 第1表(加工条件) (1) 未延伸糸1 ポリエチレンテレフタレート未
延伸糸143de/36fil(三角断面糸) (2) 供給ローラー系4の表面速度 170m/min (3) 延伸ローラー系5の表面速度 500m/min (4) 延伸倍率 2.933倍 (5) 延伸糸6の沸水収縮率 6.7% (6) 引出しローラー系11の表面速度
465m/min (7) 乱流ノズル7 特公昭37―1175号公報第3図
記載のもの (圧空圧1Kg/cm2) (8) 乱流ノズル通過時の糸のオーバーフイード率
7% (9) ヒーター10 温 度 200℃ 有効加熱長 36cm (10) ヒーター10と引き出しローラー系11の間
の糸張力 0.06g/de (11) 乱流ノズル7通過後の延伸糸条外観
張り出し部ありサイズ(平均)H=0.7mm L=6mm 密 度 5〜6ケ/cm 交絡数 62ケ/m (12) 捲取装置12 リング撚糸機 (イ) スピンドル回転数 7000rpm (ロ) 張 力 0.16g/de (13) 捲取糸条 l1(第1図)3mm l2(第1図)5mm K値=0.6 第2表(織物設計及び仕上げ条件) (1) 糸使い 経S300T/m,緯S,Z2000T/m
交互打込み (2) 筬密度 19.8羽/cmの2本入れ (3) 緯密度 39.6本/cm (4) リラツクス 連続精練機で95゜×10min (5) プリセツト 180℃×45sec (6) アルカリ減量 35g/l,100℃のNaOH水
溶液、減量率20.7% (7) 染 色 ユニエース(日本染色機械KK製)
で、130℃×45分 (8) フアイナルセツト 160℃×45sec (9) 仕上げ密度 経67.5本/cm、緯40.0本/cm 第3表 (1) 工程安定性 断糸率0.6%(n=1000) (2) 捲取糸 一次降伏点 1.5g/de外観 ほぼ
直線状、 (3) 製織性 良 好 (4) 織 物 染斑(経筋)なし (5) 収縮処理後の触感、風合 絹様の膨みソフト
感に富んでいる。 (6) ドレープ性 良好(絹様類似) (7) クリープテスト 1.2% 尚、(5),(6)の項目は官能検査、(7)の項目はJIS.
L1080―1967の試験法による。 以上の例から判るように、本発明による糸条は
比較的高い一次降伏点を有し、且つ集束している
ので、製織性に優れているばかりか、染斑特に経
筋の懸念もなく、絹類似の風合を呈する織物が得
られる。 比較例 1 実施例1において、乱流ノズル7、ガイド群
8,8′8″、バツフアー9及びヒーター10を取
り除き、代りに直径4.0cmの180℃に加熱したロー
ルを設けて延伸糸に瞬間熱処理を施した。 尚、該ロールと引き出しローラー系11との間
の張力は0.001g/deであつた。この時の工程安
定性、熱処理糸の外観並びに熱処理糸を実施例1
と同様にして得た織物の性状について第4表に示
す。
【表】 上記の表から明らかなように、熱収縮処理時に
単繊維を引き吊らせて、ループ、たるみを形成し
て得た、触感、風合の良好なものは、製織性が悪
い。一方、ループ、たるみの少いものは製織性は
良化するが、工程安定性、織物風合が悪い。この
製織性を改善するため熱処理後のフイラメント糸
を20g/deの張力下、210℃に加熱したプレート
ヒーター(有効接触長4cm)上を60m/minで走
行させつつたるみ、ループを消去して、略ストレ
ート状のフイラメント糸とし、これより織物を得
た。 この場合、製織性は通常フイラメント並に良好
に向上したが、沸水処理した織物は膨みに乏し
く、絹特有のきしみ、腰等が急激に低下している
ことが認められた。 比較例 2 実施例1において、特公昭34―8969号第8図の
乱流ノズル7通過時の延伸フイラメント糸のオー
バーフイード率を15%、圧空を5Kg/cm2とする以
外は同様の操作を行つた。乱流ノズル7から取り
出した糸にはクルノードループとたるみ乃至張り
出しが、前者が40%、後者が60%の割合で混在し
ていた。そして、プレートヒーター10上で熱処
理を受けた糸の表面には突起状物が10ケ/cmで存
在しており、風合、触感は組硬感のあるハードな
ものであつた。 実施例 2 実施例1において乱流ノズル7における圧空圧
及び延伸ロール5と引取ロール11との間のオー
バーフイード率を種々変更して交絡数の異る潜在
嵩高性マルチフイラメント糸条を得、これを同様
に織成に供した。この時の交絡数、K値と織物の
風合との関係を第5表に示す。
【表】 K値が1以下でも交絡数が50ケ/m未満のもの
は(実験No.1〜3)フイラメントライクの風合で
あり、又K値が1以上のものは(実験No.12〜13)
ウーリーライクな風合を示す。K値が1以下で且
つ交絡数が50〜130ケ/minのものは絹様の膨み
とソフト感に富む風合を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図はマルチフイラメント糸条に内在する交
絡部及び開繊部についての説明図、第2図は本発
明に係るマルチフイラメント糸条を製造する工程
の一例を示す略線図、第3図は張り出し部を有す
る、熱収縮処理前のフイラメント糸条の側面図、
第4図は第3図のフイラメント糸条を張力下に熱
処理した際に生じるフイラメント内及びフイラメ
ント間の沸水収縮差について説明するグラフ、第
5図は第3図のフイラメント糸条を張力下に熱処
理(収縮)した際の側面図、第6図はクルノード
ループを有するフイラメント糸条の熱処理後の側
面図、第7図は第5図のフイラメント糸条を95℃
で20min間熱水でリラツクスした際の側面図、第
8図は張り出し部のサイズについての説明図であ
る。 第1図において、b……開織部、c……締束
部、l1……締束部の長さ、l2……開繊部の長さ。 第2図において、1……未延伸糸、4……供給
ローラー系、5……延伸ローラー系、6……延伸
糸、7……インターレース(乱流)ノズル、8,
8′,8″……ガイド、9……バツフアー、10…
…ヒーター、11……引き出しローラー。 第3図において、13……マルチフイラメント
糸条、14……単繊維、15……張り出し部。 第5図において、Pl1〜Pln……低収縮部、Ph1
〜Phn……高収縮部。 第6図において、16……熱収縮したクルノー
ドループ。 第8図において、H……張り出し部の高さ、L
……張り出し部の長さ、である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 複数本の捲縮を有しない連続単繊維が略直線
    状態で集合された糸条であつて、該糸条の長手方
    向に沿つて少なくとも50ケ/mの交絡点が存在し
    且つ隣り合う交絡点間にある単繊維群においては
    単繊維内及び単繊維間に不規則な沸水収縮差が存
    在し、しかも次式によつて定義されるK値が1以
    下であることを特徴とする潜在嵩高性マルチフイ
    ラメント糸条。 K=交絡点の長さ(l)/開繊部の長さ(l) 〔尚、上記l1,l2は潜在嵩高性マルチフイラメ
    ント糸条(試料長100cm)を水の上に浮かべた時
    に生じる締束部及び開繊部の平均長さとする。〕 2 交絡数が高々130ケ/mである特許請求の範
    囲第1項記載の潜在嵩高性マルチフイラメント糸
    条。 3 単繊維デニールが1.7de以下、トータルデニ
    ールが75de以下である特許請求の範囲第1項記
    載の潜在嵩高性マルチフイラメント糸条。
JP5865778A 1978-05-17 1978-05-17 Latent high bulking multifilament yarn Granted JPS54151647A (en)

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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5215646A (en) * 1975-07-25 1977-02-05 Du Pont Fiber and method of making same
JPS5291939A (en) * 1976-01-29 1977-08-02 Toray Industries Bulky yarn and its manufacture
JPS52114753A (en) * 1976-03-23 1977-09-26 Toray Industries Bulky yarn and its manufacture

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