JPS6150827B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はロータリーバルブを用いたラツクピニ
オン式動力舵取装置に関し、特に入力軸の外面に
軸方向の油溝および内面に通ずる油穴を設けて入
力軸と弁スプールを一体にした形式のラツクピニ
オン式動力舵取装置に係る。

従来ロータリーバルブを用いたラツクピニオン
式動力舵取装置では、ピニオン軸と弁スリーブと
をピンで結合した構造が一般的であるが、加工工
数や部品点数を削減するため、ピニオン軸と弁ス
リーブと一体に形成した例えば第５図に示す構造
のものが知られている。

しかし、ピニオン軸と弁スリーブを一体に形成
すると、トーシヨンバー２′の捩れ角を制限する
装置は、弁スリーブ６′のリヤ側端面と入力軸
１′のフランジ部端面との間に設けることになる
ので、弁スリーブが捩れを受け、弁スリーブはそ
れに対応して大きく強く設計しなければならない
欠点が生ずる。

本発明は一体形の上記欠点を解消しかつピン結
合形よりも加工工数や部品点数を減少させた小形
軽量で安価なラツクピニオン式動力舵取装置を提
供することを目的とするものである。

この目的を達成するため、入力軸端面とピニオ
ン軸端面を衝合させてトーシヨンバーの捩れ角制
限装置を設け、前記衝合する位置で入力軸及びピ
ニオン軸をハウジングに回転可能に支承する軸受
を配設し、該軸受にピニオン側に延出するオイル
シール摺接面を具えたシール用前側部材を形設
し、該オイルシール摺接面に摺接するオイルシー
ルをハウジングに装着するラツクピニオン式動力
舵取装置としたことである。

これを図の実施例について説明すると、第１図
は前記シール用前側部材を弁スリーブと別体に形
成した実施例を示す。弁スプールを兼ねた入力軸
１は管状の軸であり、その内周面にトーシヨンバ
ー２が嵌合し、リヤ側の端部でピン１１により入
力軸１にトーシヨンバー２は固定されている。ト
ーシヨンバー２の他の端部はピニオン軸３のリヤ
側に設けた穴に嵌合し、ピン１２でピニオン軸３
に固定されている。ピニオン軸３にはピニオン３
１が設けられており、ラツク軸４のラツクと噛み
合つている。ピニオン軸３およびラツク軸４はギ
ヤハウジング５にそれぞれが軸支されており、ピ
ニオン軸３は針状ころ軸受９および玉軸受１０で
両端を支持され、ラツク軸４はギヤハウジング５
のボス部内面に嵌合して摺動可能なラツクサポー
ト１３により軸支され、調整ねじ１４により調節
されたばね１５の圧力によりピニオン軸３に加圧
されている。ラツク軸４は他端を図示しない軸受
により摺動可能に軸支されかつラツク軸４上に油
圧シリンダを有する。入力軸１には弁スリーブ６
が油密に外嵌しており、弁スリーブ６はバルブハ
ウジング７に油密かつ回転可能に嵌合している。
バルブハウジング７には油入口１６および油出口
１７が設けられており、油入口１６は第２図に示
すように弁スリーブ６の外周溝６１、３個の貫通
穴６２および内周面に設けられたそれぞれ３条づ
つの軸方向溝６３，６４入力軸１の外周面に設け
られた弁スリーブの３条の高圧側軸方向油溝６
５、同じく３条の低圧側軸方向油溝６６および貫
通穴６７に通じており、入力軸１の回転に伴い油
路がきりかえられ、作動油は油入口１６から入つ
てギヤハウジング５内の油圧シリンダあるいは入
力軸１に設けた還油穴６８およびバルブハウジン
グ内の低圧室６９を経て油出口１７から出てゆ
く。弁スリーブ６の前記軸方向油溝６３，６４は
一般にはブローチ加工で軸方向全長にわたつて切
削され、両端は弁スリーブの内面に圧入嵌合した
シール用前側部材８およびシール用後側部材１８
によりふさがれているが、シール用部材８，１８
の内周面は弁スリーブ６の内周面と同一寸法に仕
上げられ、入力軸１の外周面に油密に嵌合する。
ピニオン軸３の歯車の切り上り部３２を含む入力
軸１側の外周面は、衝合する入力軸の外周面とほ
ぼ同一寸法に仕上げられ、シール用前側部材８の
内周面に圧嵌し、止め輪１９あるいはピン、溶接
等の手段で強固に固定される。シール用前側部材
８の外周面には、前記のように弁スリーブ６に圧
嵌する圧入嵌合面、玉軸受１０の内輪軌道面およ
び制御弁のフロント側を密封するオイルシール２
０の摺接面が設けられる。入力軸１は玉軸受１０
の内輪でもあるシール用前側部材８に内嵌してフ
ロント側を軸支されるので、リヤ側はバルブハウ
ジング７に嵌合した玉軸受２１で支承され、また
制御弁のリヤ側はバルブハウジング７に嵌合し入
力軸１外周面に摺接するオイルシール２２で密封
される。外径寸法をほぼ同一として衝合した入力
軸１およびピニオン軸３の端面には、第３図に示
すようにトーシヨンバー２の捩れ角制限装置が設
けられている。すなわち、ピニオン軸３には直径
方向に切り欠き３３が設けられ、入力軸１は突起
３４を残して軸方向に一定長さだけ円周部が削り
落され、突起３４が切り欠き３３内に嵌合し、そ
の間のすきまだけトーシヨンバー２の捩れが許容
されるようになつている。

ギヤハウジング５とバルブハウジング７はシー
ル用前側部材８を内輪とした玉軸受１０の外輪の
軸方向中間位置に衝合面があるようにし、軸受嵌
合面がそれぞれの最大直径の内周面であるように
する。このため、両ハウジングは軸受外径部をイ
ンローとして容易に結合できるようになる。

第４図は弁スリーブとシール用前側部材を一体
に形成した他の実施例を示し、その他の構造は第
１図の実施例と同様であるので、第１の実施例と
共通した部品には共通した符号を付した。

弁スリーブ６０は入力軸１に嵌合する内周面の
軸方向油溝を従来のブローチ加工以外の加工法に
より、シール用部材を必要としない軸方向の形
状、例えば図示のような円弧状に設ける。また、
リヤ側に部材を延長してシール用前側部材８０と
し、ピニオン軸３の歯の切り上り部３１を含む外
周面に圧嵌し、止め輪１９等で強固に固定する。
シール用前側部材８０の外周面には玉軸受１０の
内輪軌道面およびオイルシール２０の摺接面が設
けられる。

以上のように構成した本発明のラツクピニオン
式動力舵取装置は以下の諸効果を有する。

(1) 入力軸端面とピニオン軸端面を衝合させてト
ーシヨンバーの捩れ角制限装置を設けたので、
手動操作時に入力軸に過大トルクが加えられて
も、弁スリーブには作用しないから、弁スリー
ブを強度部材として設計する必要はなく、従つ
て小形軽量の装置にすることができる。

(2) 弁スリーブと一体に形成するはまたは別体に
形成して弁スリーブに圧嵌したシール用前側部
材をピニオン軸の外径面に圧嵌固定したので、
従来のピン結合に比較して加工工数および部品
点数が少なくなり、容易且安価に提供できると
共に軸方向に小形にできる。

(3) シール用前側部材の外周面にオイルシール摺
接面および軸受内輪軌道面を設けかつピニオン
軸の歯の切り上げ部を含む外径面に嵌合したの
で、従来使用されていなかつた前記切り上げ部
がオイルシール部、軸受部、圧入ガイド部、止
め輪溝部、トーシヨンバー固定部等の一部とし
て多重的に使用され、軸方向長さが著しく短縮
できた。

(4) 入力軸、ピニオン軸、シール用前側部材、弁
スリーブ等の断面変化を少くできるので、材料
歩留が良く、加工工数が少ないので、安価に提
供できる。

(5) シール用前側部材の内面を弁スリーブの内面
と同一直径にしかつピニオン軸の外径面に圧嵌
したので、入力軸が弁スリーブおよびシール用
前側部材でピニオン軸と同軸に軸支され、ピン
連結のようにピニオン軸と入力軸との間に軸受
を必要としない。

(6) ギヤハウジングおよびバルブハウジングの衝
合位置の内面を最大直径に形成してシール用前
側部材を含めて構成した軸受の外輪を嵌合し、
軸受外径部をインローとして両ハウジングを結
合したので結合作業が正確且容易に行い得る。
また両ハウジングの内面加工は１回のチヤツク
で全部の内面が加工できるから、両ハウジング
の中心線は正確に一致し高精度の装置が得られ
る他に、フロントおよびリヤーのカバー部材を
必要としない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明の実施例を示し、
第１図はラツクピニオン式動力舵取装置の入力軸
についての縦断面図、第２図は第１図の―線
における横断面図、第３図は第１図の―線に
おける要部の横断面図、第４図は他の実施例を示
す第１図同様の縦断面図、第５図は従来技術の一
例を示す第１図同様の縦断面図である。 符号の説明 １…入力軸、２…トーシヨンバ
ー、３…ピニオン軸、４…ラツク軸、５…ギヤハ
ウジング、６…弁スリーブ、７…バルブハウジン
グ、８…シール用前側部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 弁スプールを兼ねた入力軸と、入力軸に内嵌
   しかつ一端で入力軸に固定されたトーシヨンバー
   と、トーシヨンバーの他端に外嵌し、該他端と固
   定されたピニオン軸と、ピニオン軸に形成された
   ピニオンに噛み合うラツクを有するラツク軸と、
   ピニオン軸およびラツク軸を支承するギヤハウジ
   ングと、入力軸に外嵌する弁スプールと、弁スリ
   ーブに外嵌するバルブハウジングとを具えたロー
   タリバルブを用いたラツクピニオン式動力舵取装
   置において、入力軸の一端面とピニオン軸の一端
   面とが衝合する部分に形設されるトーシヨンバー
   の捩れ角制限装置と、前記衝合する位置で入力軸
   及びピニオン軸をハウジングに回転可能に支承す
   る軸受と、該軸受に形設され、ピニオン側に延出
   するオイルシール摺接面を具えたシール用前側部
   材と、ハウジングに装着され、オイルシール摺接
   面に摺接するオイルシールとを具えることを特徴
   とするラツクピニオン式動力舵取装置。 ２ 前記シール用前側部材はその内面が弁スリー
   ブの内面と同一直径であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載のラツクピニオン式動力舵
   取装置。 ３ 前記シール用前側部材は弁スリーブと別体で
   あり、外周面に弁スリーブとの圧入嵌合面、およ
   び軸受の内輪軌道面を具えたことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項又は第２項記載のラツクピニ
   オン式動力舵取装置。 ４ 前記シール用前側部材は弁スリーブと一体で
   あり、外周面に軸受の内輪軌道面を具えたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   のラツクピニオン式動力舵取装置。 ５ 前記ギヤハウジングおよび前記バルブハウジ
   ングは、その衝合位置の内面が最大直径に形成さ
   れ、前記シール用前側部材を含めて構成された軸
   受の外輪を前記衝合位置で嵌合し、軸受外径部を
   インローとして両ハウジングが結合されたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載のラツクピ
   ニオン式動力舵取装置。 ６ 前記シール用前側部材はピニオン軸のピニオ
   ンの歯の切上部を含む外径面に圧嵌固定されたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のラツ
   クピニオン式動力舵取装置。