JPS6127151Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はチツプインダクターに関する。チツプ
インダクターとしては従来色々なものが提案され
或いは実用化されているが、それらは大別して２
通りに分類でき、１つは積層法によるチツプイン
ダクター、他は角型磁心を用いるチツプインダク
ターで、これらの共通の利点は小型であることで
ある。図面によりそれらの若干の構造を示す。第
１図は積層チツプインダクターであり、磁性体
（絶縁性のもの）塗料３の層（図には層間の境界
が示されていないがこれは焼成後のものである）
にコイル用の導体１を印刷し、これを何層か反復
して導体１が磁性層３の間から間へと渦巻きパタ
ーンを形成してコイルになるようにし、外層を保
護層とし、外部端子用の電極２を積層体の両端に
被覆形成してコイルの引出端としたものである。
この型のインダクターは全体が一体化し、小型
で、プリント基板等への直づけによる半田づけが
可能であり、リードレスの構造を有するなどの利
点を有するが、最大の難点は導体が膜体をなすか
ら積層コンデンサ構造に類似して分布容量が大き
く自己共振周波数点が低いことである。従つて、
誘電損失も大きくＱが低くなる。また、インダク
タンスを変えたい場合はそれに応じて積層数を変
えなければならないから、インダクタンス値によ
つてインダクターの厚みが変わり、寸法の統一が
困難となる。磁性塗膜の厚みの制御も容易ではな
く、Ｌ、Ｑ値のばらつきの原因となる。またコイ
ル用導体には銀や銀−パラジウム等の高価な金属
を用いる必要があるし、薄膜状の導体であるため
直流抵抗が大きくなる。さらにコイル用導体の周
辺はすべて磁性体で埋められるから閉磁路構造と
なつて磁化の飽和が早く直流重畳特性が悪い。そ
の上、印刷法で形成されるコイルのターン数は大
きく取れないから大きなインダクタンス値はとれ
ない。

第２図は角形磁心を用いるチツプインダクター
の１従来例である。このインダクターは全体的に
扁平な直方体の形をし中央部分は四辺が溝になつ
ている角形磁心４の溝に巻線５を施してコイルと
し、それらの両引出線を角形磁心の両端面に引出
してこれらを膜状電極６に半田７で接続し、さら
にコイルの保護のために樹脂８を溝に充填して全
体を扁平な直方体形に仕上げたものである。この
例もチツプインダクターとしての種々の利点を有
するけれども、磁心の両端部分の広い面に電極膜
を有するため、渦電流損失が大きくＱが極めて低
くなる（２〜10程度）欠点を有する。また厚み
（第２図の上下方向）の方向の溝深さＢは幅方向
の溝深さＡよりもどうしても浅くせざるを得ない
ので巻線の絶対巻数を増やすことができないため
インダクタンス値の大きさが制限された。またコ
イル保護のために絶縁樹脂を注型する処理が必要
で余計で難しい工程を必要とした。

第３図は角形磁心を用いる他の従来例を示す。
磁心９は外形寸法がちがう２つの角形つばを角形
の柱体で接続した形をなしており、つばの間に形
成される溝に巻線１０を施してコイルとし、この
コイルの末端１３，１３を大形つばの部分に引出
して電極１５へ半田１４により固定し、さらに保
護キヤツプ１２を嵌合したものである。この例に
よつても幅方向の寸法は大きく取れないのでイン
ダクタンスは大きくできないし、またコイルの末
端が外部へ露出するため外部接触による断線の発
生があり信頼性が劣り、さらに、外部端子となる
電極がインダクターの底面に限られるため、プリ
ント基板への取付けが行い難くまた接続強度も劣
るなどの欠点があつた。

本考案は従来技術の欠点の少くとも主要な部分
を除去したチツプインダクターを提供することを
目的とする。

本考案のチツプインダクタは特にコイル巻線の
引出端を確実に外部へ引出しうる構造を有するも
ので、引出端の確認と正確な半田付け、及びこの
半田によるチツプインダクターの密封と強化、及
びプリント基板の配線への確実な電気接続を可能
にする。これは本体部であるインダクタンス部の
構造のすぐれた特徴と相俟つて目立つた作用効果
を与えるものである。

以下、図面に関連して本考案のチツプインダク
ターの実施例を詳しく説明する。第４図ないし第
９図は本考案の好ましい実施例による正四角形チ
ツプインダクターの拡大図を示す。本チツプイン
ダクターは磁性体、非磁性体セラミツク、或いは
樹脂等の絶縁体から製作されるほぼ四角形の筒状
体２１とその中を貫通した軸孔２２に遊嵌したつ
づみ形磁心２３とを含んでいる。

磁心２３は第６図のように小径の中心円柱部２
４と両端の大径部２５，２６から成るフエライト
焼結体等の磁心であり、小径円柱部２４には第７
図にように巻線２７が所定回数巻回されその両端
２８，２９は大径部２５，２６をめぐつて端面へ
引出され、これら端面に形成された導電膜３０，
３１の面へ曲げつけられる。この状態でつづみ状
磁心２３は筒状体２１の貫通孔２２へ挿入され
る。

磁心２０を挿入した筒状体２１の両端には導電
性キヤツプ状端子（以下キヤツプと称する）３
２，３３が嵌合される。第８〜９図はキヤツプの
詳細を示す（キヤツプ３２，３３は同一なので片
方の３２のみを示す）。キヤツプ３２は筒状体２
１の外周に密に、または緩く嵌合しうる四角形筒
状部３６と、筒状体２１の両端に座着しうる肩３
５を介して筒状部３６へ結合する四角形端面３８
とを有する。この端面の中央部分は内方（磁心の
方）へ切り起こされて板ばね状の切り起こし巻心
押え部３７を形成し、同時にこの押え部のまわり
に半田の侵入を許容する開口４２を形成する。

第４図に示すように、キヤツプ３２，３３は巻
線を施した磁心２３を筒状体２１の貫通孔２２へ
挿入した後に筒状体２１の外周両端へ嵌合され且
つ接着剤４１で固着され、それにより巻線端２
８，２９を介してつづみ形磁心２３はほぼ位置ぎ
めされる。次に半田３９，４０を両端部のキヤツ
プの切り起こし巻心押え部３７のところに施すこ
とにより、各部分は一体に結合される。巻線部２
８，２９と、つづみ形磁心の端面３０，３１と、
キヤツプ３２の切り起こし巻心押え部３７とは半
田で相互に結合される。なお本チツプインダクタ
ーの寸法は実際には３×３×６mmのように小さい
から、半田の量は極く少量で済む。

本考案のチツプインダクターの構造は上記の通
りであるから、種々の利益が提供される。

先ず、キヤツプ３２の使用により巻心を筒状体
２１の貫通孔へ保持することが容易になしうる。
また切り起こし押え部３７がスプリングの働きを
するから、磁心２３や筒状体２１に寸法のばらつ
きがあつても、このような厚みの変動は吸収され
る。また、キヤツプ３２を高耐熱性の接着剤４１
で筒状体２１へ固定すれば、キヤツプ３２の開口
４２を通して半田づけを行うだけで全体を一体的
に結合でき、しかも巻線両端とキヤツプ３２との
電気接続を完全にしうる。従つて、つづみ形磁心
両端の導電膜３０，３１は好ましいとは言え省略
しても良いし、また導電膜を用いる場合でもこれ
らに対する半田付着性を気にする必要がなく、作
業能率が高くなる。本チツプインダクターは後述
のように特性の面からもすぐれている。

第１０図は本考案のチツプインダクターをプリ
ント基板４３の導体４０，４１の間に取付けた様
子を示す。４４，４５はキヤツプ３２，３３の外
部端子となる四角形部分３６へ半田づけされた半
田である。自動機械対応できる大切な要素であ
る。このように本考案のチツプインダクターには
方向性がなく自動装着及び自動半田づけ作業など
が容易になる。

上記の作用効果の外に、正方形の外装を用いた
ため円筒状のつづみ形磁心を利用できることによ
り、小形であるにも拘らず巻線数の選択の余地が
大きくなる。

次に、本考案のチツプインダクターのＱは第２
図に示した従来の角形チツプインダクターに比し
て大きくなることが分つた。これは外部端子用電
極による渦電流が、本考案の場合は端面に限定さ
れるのに対し、従来のものは側面側にも生じるた
めと思われる。第１１図は0.06mmφの巻線を56回
施して30μＨとした本考案のインダクターａと第
２のインダクターｂ（電極のないもの）及びｃ
（電極をつけたもの）のＱ−ｆ特性を示す。明ら
かに本考案のチツプインダクターは高く、且つ変
動の小さいＱを有するが、第２図のインダクター
のＱは電極をつけることによりｂからｃの値へ急
激に落ちる。

以上のように、本考案はすぐれたチツプインダ
クターを提供することができた。本考案の範囲内
で多くの変形例が可能なことは明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のチツプインダクターを示し、Ａ
は断面図、Ｂは斜視図、第２図は従来の他のチツ
プインダクターを示し、Ａは斜視図、Ｂは断面
図、Ｃは端面図、第３図は従来の他のチツプイン
ダクターを示し、Ａは斜視図、Ｂは断面図、Ｃは
端面図、第４図は本考案のチツプインダクターの
正面断面図、第５図は本考案のチツプインダクタ
ーの筒状体の斜視図、第６図は本考案のチツプイ
ンダクターの磁心の斜視図、第７図は同磁心に巻
線を施した斜視図、第８図は本考案のチツプイン
ダクターのキヤツプの正面断面図、第９図は同キ
ヤツプの左側面図、第１０図は本考案のチツプイ
ンダクターをプリント基板へ取付けた斜視図、及
び第１１図は本考案のチツプインダクターを従来
品と比較するグラフである。図中主な部分は次の
通りである。 ２１……筒状体、２２……貫通孔、２３……つ
づみ形磁心、２７……巻線、２８，２９……巻線
端部、３２，３３……キヤツプ、３７……切り起
こし巻心押え部、３９，４０……半田。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 四角柱状の外形と円柱状貫通孔とを有する磁性
   または非磁性筒状体、前記筒状体の貫通孔に嵌合
   された巻心、前記巻心に巻回され両端が前記巻心
   の両端面に引出されている巻線、及び前記筒状体
   の両端に嵌合して前記巻心の両端面を押える導電
   性キヤツプ状端子より成り、前記キヤツプ状端子
   は部分的に切り起こされて前記巻線の両端を露出
   させる開口と前記巻心の両端を押える巻心押え部
   を提供しており、さらに前記開口を介して半田が
   施こされている、チツプインダクター。