JPS6116302Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクレーンの吊荷振れ角検出装置に関す
るものである。

大型クレーン等において吊下げた吊荷は理想的
には絶対に振れないことが必要であり、さもない
と正確なハンドリングを行なうことができない。
ところが実際には吊荷を全く振れなくするという
ことは実現不可能であり、このため各種の工夫を
積み重ねて吊荷の振れを可及的減衰させる努力が
なされているのが現状である。

第１図は、従来のこの種の減衰装置を説明する
もので、同図に示す装置においては、横行レール
１上を車輪２を介して走行するトロリ３に軸承さ
れたトロリーシーブ４と、吊荷５を吊下げる吊り
ビーム６に取付けられた吊りビームシーブ７との
間に巻上ワイヤロープ８を張架して吊荷５を吊り
下げ、振れ減衰用として、トロリ３上に取付けら
れたドラム９と吊りビーム６との間に、途中で交
叉するようにワイヤロープ１０を張架してある。
したがつて、吊荷５が振れると、ドラム９を回転
させ、巻込時においては緩むことなく巻き込み、
巻戻し時には制動力を作用させて吊荷５の振れを
減衰させることができる。

しかし、このような構造を採用すると、巻上ワ
イヤロープ８のほかに振れ防止用のワイヤロープ
１０が必要となり、またドラム９およびこれに附
属する駆動装置、制動装置、制御装置などが必要
となり、きわめて複雑な構造となるばかりか、高
揚程となると減衰機構全体が大型となり、トロリ
３自身の重量も増加し、全体として大形、大重量
となることは否めない。

一方、第２図は振れ防止制御を行なうための振
れ角検出機構を説明するもので、図中第１図と同
一部分は同一符号をもつて示してある。この装置
においては、トロリ３にほぼＺ字状に形成された
検出レバー１１をピン１２によつて回動自在に軸
承させ、この検出レバー１１の一端に設けた２つ
のローラ１３によつて吊下げ用ワイヤロープ８の
途中を挾持し、他端には検出器１４が連結されて
いる。したがつて、吊荷５が振れると吊下げ用ワ
イヤロープ８が振れ、この結果検出レバー１１が
ピン１２を回動中心として揺動され、この揺動量
が検出器１４によつて検出されることになる。

ところが、このような検出機構を採用すると、
ワイヤロープ８を２個のローラ１３によつて挾持
する構造であるため、ワイヤロープとローラ間に
は若干の遊びを必要とし、またローラおよびワイ
ヤロープの摩耗によつてこの遊びが大きくなり、
吊荷の微小な振れ角は正確に検出することができ
ない。

また、トロリーシーブ４と吊りビームシーブ７
とは同一垂直線上にないため、ワイヤロープ８の
傾斜角度が吊荷５の高さによつて異なるため、吊
荷の高さによる補正が必要である。

さらに、ローラ１３はワイヤロープ８との点接
触であるため、ワイヤロープのストランドの影響
を受けて振動し、これが検出器１４の外乱とな
り、ワイヤロープ８の走行速度が早いため衝撃も
大きく、検出機構が破損し易いなどの欠点があつ
た。

本考案は以上のような従来の欠点を除去したも
のであり、構造が簡単でしかも正確な振れ角の検
出が行なえる吊荷の振れ角検出装置を提供するも
のである。

以下、図面に示す実施例と共に本考案の詳細を
説明する。

第３図は本考案の一実施例を示すもので、図中
第１図および第２図と同一部分は同一符号をもつ
て示してある。

本実施例にあたつては、トロリーシーブ４はほ
ぼＬ字状に形成されたリンクレバー１５の一端に
回転自在に軸承され、かつこのリンクレバー１５
の中央部はこれを軸承するブラケツト１６を介し
てトロリ３側に取付けられている。そして、左、
右一対をなすリンクレバー１５の他端はこれらを
連結する連結ロツド１７にそれぞれ回動自在に軸
承されている。また、連結ロツド１７はトロリ３
の側部中央に取付けられた検出器１８中に摺動自
在に嵌合されている。この検出器１８は例えば差
動トランスなどの電気的な検出器であることが望
ましいが、公知の検出器であれば何でもよい。

一方、連結ロツド１７の端部はダンピングシリ
ンダ１９中に嵌入されており、吊荷の振れのエネ
ルギーを吸収して急速に減衰させる。

本実施例は以上のように構成されているため、
吊荷５の振れによつてワイヤロープ８が振れる
と、トロリーシーブ４を介してリンクレバー１５
が回動して連結ロツド１７が移動し、この移動量
が検出器１８によつて振れ角として検出される。
同時に、ダンピングシリンダ１９によつてその振
動は吸収され、振動エネルギーは急速に減衰され
る。

なお、ワイヤロープの振れはトロリーシーブ４
によつて検出されるため、構造的に極めて堅牢で
あり、ワイヤロープとトロリーシーブとの巻付角
も大きいため、ワイヤロープのストランドによる
振動も発生しない。また、リンクレバー１５およ
び連結ロツド１７の連結点に作用する荷重と動き
方向は常にどちらかの一方向であるため、遊びも
なく、吊荷の振れは正確に検出できる。

さらに、ダンピングシリンダ１９に供給される
作動油を振れ角検出器１８によつて検出して一定
量以上になつた場合において、この作動油の供給
を制御できるように構成することができる。この
ダンピングシリンダ１９は必らずしも２個取付け
る必要はなく、連結ロツド１７のどちらか一端に
１個取付ける構造を採用してもよいことはもちろ
んである。

以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば以下に記載するような効果が得られる。

(1) トロリーシーブとリンクレバーを利用して振
れ角の検出を行なつているため、構造がきわめ
て単純化され、かつ堅牢である。

(2) トロリーシーブを利用して振れ角の検出を行
なつているため、ワイヤロープとトロリーシー
ブとの巻付角を大きく設定でき、したがつてワ
イヤロープのストランドによる振動も発生しな
い。

(3) リンクレバーと、連結ロツドの連結点に作用
する荷重と動き方向は常にどちらかの一方であ
るため、遊びがなく、吊荷の振れをきわめて正
確に検出できる。また、実施例に示すように、
連結ロツドを利用して吊荷振れ減衰用のダンピ
ングシリンダを付設することも可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来構造の説明図、第３
図は本考案の一実施例の側面図である。 １……横行レール、２……車輪、３……トロ
リ、４……トロリーシーブ、５……吊荷、６……
吊りビーム、７……吊りビームシーブ、８……吊
り下げワイヤ、１１……検出レバー、１５……リ
ンクレバー、１６……ブラケツト、１７……連結
ロツド、１８……検出器、１９……ダンピングシ
リンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横行レール１上を走行するトロリ３の対称位置
   に回動自在に軸承されかつその一端にトロリーシ
   ーブ４を軸承してなる少なくとも一対のリンクレ
   バー１５と、これら一対のリンクレバー１５の他
   端間を連結する連結ロツド１７と、この連結ロツ
   ド１７の変位を検出するよう前記トロリ側に取付
   けられた検出器１８とを備えたことを特徴とする
   クレーンの吊荷振れ角検出装置。