JPS6116173Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車座席の後部高さ調節装置に関す
るものである。

自動車の座席、特に運転座席は、運転者が適正
な運転姿勢をとり得るように、背もたれ角度や前
後位置を調節できるようになつている。そして近
年では、更に高さも調節できることが望まれてき
た。この座席高さの調節は座席全体を上下動させ
る方式と、座席の前部と後部とを別別に上下動さ
せる方式とがあり、その後者の方が好ましい。

座席の前部と後部を独立的に上下動させる場
合、座席はその前後両部において座席横方向の枢
軸を介して前後位置調節装置へ支持させ、これら
各枢軸を独立的に上下動させることになる。

本考案は、ねじ機構を用いて座席後部高さを無
段階調節可能とすると共に、このねじ機構の操作
が軽快に行い得るようにしたものである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。本実施例は座席のクツシヨンの後部を前後
位置調節装置の可動レールに対して上下動させる
ようにしたもので、第１図は平面図、第２図は第
１図中の−線断面図、第３図は第１図の右方
から見た図であり、第１，２図の左右方向が前後
方向であり、第２，３図の上下方方が上下方向で
ある。前後位置調節装置は、周知の如く、座席の
左右両側部下側に前後方向に配設された一対のス
ライドレール機構を含み、これらのスライドレー
ル機構は第３図に二点鎖線で描かれ、かつ符号１
で示される。スライドレール機構１は自動車床に
固定される固定レール１ａとに対して前後方向へ
のみ動き得るように組合された可動レール１ｂと
を有する。各可動レール１ｂ上には座席の周知の
背もたれ角度調節装置の互に枢着された両フレー
ムのうちの一方フレーム部材２が設置・固定さ
れ、背もたれ角度調節装置の他方フレーム部材に
背もたれが固着される。

第２図に二点鎖線で描かれた３は座席のクツシ
ヨンのフレーム部材で、このフレーム部材３はそ
の前部において図示しない座席横方向の枢軸を介
しフレーム部材２（又は可動レール１ｂ）に支持
される。フレーム部材３の後部は本考案の高さ調
節装置４によりフレーム部材２に支持される。

高さ調節装置４は左右のフレーム部材２にボル
トで固着される一対の取付板５を有する。この両
取付板５により座席横方向の軸６の両端を回転自
在に支持させている。この軸６の一端部にはレバ
ー７が固着され、またその他端部にはＬ形レバー
８がその中央部を固着されてる。このＬ形レバー
８はその一方のアーム部８ａが座席横方向におい
てレバー７と重なるように軸６に固着されている
もので、レバー７とレバー８のアーム部８ａの先
端は座席横方向の枢軸９によつてクツシヨンのフ
レーム部材３と連結される。レバー８の他方のア
ーム８ｂの先端は前後方向のねじ棒１０にねじ係
合しためねじ部材１１の左右一側に座席横方向の
段付ボルト１２（第４図参照）で枢着される。め
ねじ部材１１の他側には軸６に固着されたレバー
１３の先端が座席横方向の段付ボルト１４（第４
図参照）で枢着される。ねじ棒１０の後端部は取
付板５に一体形成された支持部１５により回転自
在に支持され、またねじ棒１０の前端部は可動レ
ール１ｂ（又はフレーム部材２）に固着された支
持部材１６により回転自在に支持される。支持部
１５は上方に向つて開いたＵ形断面を与えられて
おり、ねじ棒１０の後端にはワツシヤ１７を介し
て支持部１５の後端に係合するフランジ１０ａが
設けられ、支持部１５の前端にワツシヤ１８を介
して係合するリング１９が連結ピン２０によつて
ねじ棒１０上に固着されている。フランジ１０ａ
とリング１９によりねじ棒１０の前後方向移動が
規制される。リング１９はねじ棒１０に対するめ
ねじ部材１１の後進端を規定し、めねじ部材１１
のねじ棒１０に対する前進端はピン２２でねじ棒
１０に固着されたリング２３によつて規定され
る。めねじ部材１１の前方においてねじ棒１０上
にコイルスプリング２４が設置されている。この
コイルスプリング２４の前端はねじ棒１０にピン
２５で固定したリテーナ２６により受止され、コ
イルスプリング２４の後端はめねじ部材１１によ
り受止されており、このコイルスプリング２４は
その巻回軸方向に沿つて付勢力を有し、この付勢
力によつてめねじ部材１１を後方へ付勢するよう
になつている。コイルスプリング２４がめねじ部
材１１に加える付勢力は、座席荷重に基づいてめ
ねじ部材１１に加わる前方向付勢力と略同じ大き
さとする。ねじ棒１０の前端にはこれを回転操作
するためのハンドル２１が固着されている。

以上の如き構成においては、座席荷重がフレー
ム部材９を介してレバー７，８の先端に加わり、
軸６を第２図で時計方向に回転せんとし、この回
転力がレバー８，１３とボルト１２，１４を介し
てめねじ部材１１に伝達し、めねじ部材１１が前
方へ付勢される。しかしながら、この付勢力はコ
イルスプリング２４の力によつて略相殺されるの
で、ねじ棒１０とめねじ部材１１とのねじ係合部
には両者を相対的に前後方向へ移動させる大きな
力は加わらない。

座席後部高さを増したい場合には、ハンドル２
１によりねじ棒１０を一方向へ回転させ、これと
ねじ係合しためねじ部１１を後方へ移動させる。
このめねじ部材１１の移動によりレバー７・８が
軸６を中心にして第２図で反時計方向に回動し、
従つて座席後部高さが増す。

座席後部高さを減じる場合には、ハンドル２１
によりねじ棒１０を他方向へ回転させてめねじ部
材１１を前方へ移動させればよい。

めねじ部材１１の位置はハンドル２１の回転操
作により無段階に高えることができるので、座席
後部高さは無段階に調節できる。その上、座席荷
重によつてめねじ部材１１に加わる前方への力が
コイルスプリング２４の力により略相殺されるた
め、座席後部高さを減じる場合はもちろんのこ
と、増す場合でもハンドル２１を軽快にしかもコ
イルスプリング２４をねじ棒１０上に配設してめ
ねじ部材１１に力を加えるようにしている。従つ
て、コイルスプリング２４は、座席後部高さとは
無関係にめねじ部材１１を一定方向に押圧するこ
ととなる。よつて、レバー１３の軸６まわりの回
転が円滑となる。

その上に、コイルスプリング２４をねじ棒１０
上に配したから、コイルスプリング２４の付勢力
は支持部材１６，１５は作用しない。よつて、支
持部材１６，１５に強度を要しなくなると共に、
支持部材１６，１５とねじ棒１０との間での摩擦
力が増大せず、ねじ棒１０の回転操作が円滑とな
る。更に、コイルスプリング２４は、その巻回軸
方向に沿つて付勢力を有する。そして、この様な
コイルスプリング２４が、可動レール１ｂに対し
て前後方向のねじ棒１０上に沿つて配されている
から、座席の上下方向に関して格別なコイルスプ
リング２４の配設空間を要さない。よつて、座席
を大型化させなくて済むと言う利点もある。

また、コイルスプリング２４の付勢力により座
席荷重を相殺させているから、座席荷重の大小に
係わりなく、ねじ棒１０の円滑な回転操作だけで
座席後部高さを無段階に調節できることともな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は
第１図中の−線断面図、第３図は後方から見
た図、第４図は第２図中の−線断面図であ
る。 １ｂ……可動レール、３……座席クツシヨンの
フレーム部材、４……高さ調節装置、５……取付
板、６……軸、７，８，１３……レバー、１０…
…ねじ棒、１１……めねじ部材、１５，１６……
支持部、２１……ハンドル、２４……コイルスプ
リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車座席の前後位置調節装置の可動レールに
   対して前後方向のねじ棒を、回転し得るが前後方
   向には移動しないように取付け、このねじ棒にね
   じ係合させてねじ棒の回転操作により前後方向に
   移動するようにしためねじ部材と座席後部とを、
   このめねじ部材の前後方向移動を上下方向変位に
   変換する変換機構を介して連結し、前記ねじ棒上
   には座席荷重に基づいて上記めねじ部材に作用す
   る前後一方向の力と略相殺する力をめねじ部材に
   加えるよう巻回軸方向に付勢力を有するコイルス
   プリンングを該ねじ棒に沿つて設置したことを特
   徴とする、自動車座席の後部高さ調節装置。