JPS6057324B2 - 靴底の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、靴底の製造方法の改良に関するものである。

従来から、皮革製靴はその皮革の通気性や足への馴染み
がよいこと及び高級品のイメージが強い反面に地面に対
する耐接触摩擦力が低いので摩損し易い。そのため前記
皮革製靴底における摩損し易い個所を耐摩耗性に富む靴
底部材例えば天然ゴ、ム、合成ゴム若しくは合成樹脂ま
たはこれらの混用材で被覆貼着したり或いは皮革製靴底
に設けた透孔等に接着剤を塗布して前記底部材でなる充
填物を嵌め込み結合していた。然しながら前記皮革製靴
底の製造方法は、その皮革製靴底の透孔若しくは凹陥部
内に予め接着剤等を塗布し、同じく接着剤を塗布した充
填部品を嵌め込み固着するのであるが、この嵌め込み固
着法は作業が困難であつて密着力が不充分でありかつ手
数がかかるのみならず、接着剤を塗布した個所の周辺を
汚染するので製品（靴）の商品価値を著しく損いかつ密
着力不充分のために靴着用者の歩行若しくはランニング
の動作に伴つて靴底が屈曲したとき、前記充填部品と靴
底との間が剥離したり隙間ができたり充填部品が脱落し
易くなる等の欠陥があつた。本発明の靴底の製造方法は
、従来の皮革製靴底における摩耗し易い個所に設けた透
孔等内に予め接着剤を塗布して耐摩耗性のよい充填部材
を嵌め込み結合してなる製造方法に係る前述の欠陥を克
服するために、靴底主体の摩損し易い個所に設けた透孔
等内に強度と密着性が極めてよい液体ウレタンプレポリ
マー配合物を接着剤や加圧や加熱処理によらず、注入充
填と同時に密着させ一体的に硬化成形しようとするもの
である。本発明の靴底Ａの製造方法を図面に従つて説明
するとつぎのとおりである。

本発明の靴底Ａの製造方法は、第１図１乃至■で示すよ
うに、予め天然皮革若しくは合成皮革を靴底形に截断形
成し、次にその摩損し易い個所例えば第１図１及び■並
びに■乃至■等で示すように、その前部踏付部辺口の一
部及び踵部辺ハの一部またはこれらの両部に透孔２を穿
設して靴底主体ａを形成する。

同じく靴底主体ａは第２図■及び■等で示すようにその
摩耗し易い個所に上向き若しくは下向きに開口している
凹陥部２″を設け．ることもできる。前記透孔２若しく
は凹陥部２″は、第１図１乃至■で示すように、靴底主
体ａにおける前部踏付部辺口及び踵部辺ハに穿設される
とき大きな形状のものを１個或いは小さい形状のものを
複数個ま；たは複数個の小さな形状のものを平面花びら
状若しくは放射状等に形成することができる。

次に前記靴底主体ａは、その透孔２若しくは凹陥部２″
内の内周面即ち内周壁若しくは内周壁と底面等に予め接
着剤を塗布してその皮膜を形成す１ることをせずして、
直接に液体ウレタンプレポリマー配合物を注入充填接着
する。

このとき該液体ウレタンプレポリマー配合物は、液状ウ
レタンプレポリマー、それの硬化剤及び触媒をアセトン
の如きこれら三者に対する共通溶解性がありかつ低沸点
の有機溶剤で、重量比で該液状ウレタンプレポリマーの
５〜３０％に溶解したものであるから、靴底主体ａの透
孔２若しくは凹陥部２″の内周面等から靴底主体ａによ
く浸透して密着する。従つて前記液体ウレタンプレポリ
マー配合物が硬化しポリウレタンの成形物となつたとき
は、その強度が大であるのみならず靴底主体ａとの結合
力が極めてよい。ｊ また該液体ウレタンプレポリマー
配合物は、予めメチルエチルケトン、ジメチルホルムア
ミ゛ドの如きポリウレタンに対する溶解力が特に強い溶
剤を、重量比で前記液状ウレタンプレポリマーの例えば
５〜２０％程度含有せしめれば、靴底主体ａと：該ポリ
ウレタンの成形物である充填部品ｂとの密着性が接着剤
、加圧、加熱処理によらないで更に強化され、該ポリウ
レタンの成形物の充填部品ｂが靴底主体ａの透孔２若し
くは凹陥部２″内から剥離し若しくは脱落するおそれが
ない。

また靴底″主体ａに設ける透孔及び２及び凹陥部２″は
、第１図■及び■並びに第２図１，■及び■等で示され
ているように、靴底主体ａの接地面側の孔径を上面側の
孔径より小さくすれば、前記ポリウレタンの成形物の充
填部品ｂの剥離若しくは脱落阻止をよソー層強化できる
。同じく前記ポリウレタンの成形物の充填部品ｂは、第
２図■で示すように前記靴底主体ａの上面側において透
孔２の上面側周縁から周辺に広く拡張した当片部３を一
体的に形成して靴底主体ａの上面側の一部に密着結合せ
しめることもできる。この当片部３はまたポリウレタン
の成形物の充填部品ｂが靴底主体ａの透孔２若しくは凹
陥部２″から剥離若しくは脱落することを阻止すること
ができる。更に靴底主体ａは、第１図■及び■で示すよ
うに、前述の各透孔２若しくは各凹陥部２″以外の摩耗
し易い個所例えば爪先端部イ若しくは踵部辺二またはこ
れら両部等を切除し、この切除部１にも前述の液体ウレ
タンプレポリマー配合物の成形物である充填部品ｂを靴
底主体ａに一体的に密着結合成形することもできる。前
述の本発明の靴底の製造方法に係る靴底Ａは全体として
皮革製による足への馴染み、通気性が良好であつてかつ
高級品のイメージを損わないのみならす、その摩損し易
い個所も耐摩耗性のよいポリウレタンの成形物によつて
補強されているのでその耐久力も極めて良好である。

また、充填部品ｂの接地面側に滑りを抑止する切れ目若
しくは溝９、或いは小突起９″を設けることが望ましい
。更に前記靴底主体ａにおけるポリウレタンの充填部品
ｂの密着固着部に、くつ鋲等と結合したくつ鋲収納具を
装着して、くつ鋲付靴底を製造することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図１乃至■は本発明の主要部である靴底主体を示す
ものであつて、Ｉ乃至■はその接地面側を示す平面略図
の例示であり、■乃至■は前記の平面略図の各縦断面相
当略図の例示である。 第２図１乃至ｖは所定部位にポリウレタンの成形物であ
る充填部品を密着成形した靴底の横断面略図の例示であ
る。図面の符号、Ａ・・・・・・靴底、ａ・・・・・・
靴底主体、ｂ・・・・・・充填部品、１・・・・・・切
除部、２・・・・・・透孔、２″・・・・・凹陥部、３
・・・・・・当片部、９・・・・・・切れ目、９″・・
・・・・小突起。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液状ウレタンプレポリマー、それの硬化剤及び触媒
   を、アセトンの如きこれら三者に対する共通溶解性があ
   りかつ低沸点の比較的少量の有機溶剤でこれら三者を溶
   解してなる優れた強度と密着性とを有する液体ウレタン
   プレポリマー配合物を形成し、天然皮革若しくは合成皮
   革製の靴底主体ａの主として摩耗し易い前部踏付部辺ロ
   及び踵部辺ハの一部に透孔２若しくは凹陥部２′を設け
   、該透孔２若しくは凹陥部２′内にこれらの内周面等に
   接着剤を塗布することなくして、前記液体ウレタンプレ
   ポリマー配合物を注入充填し、該液体ウレタンプレポリ
   マー配合物と靴底主体ａとを注入、充填と同時に一体的
   に密着結合し該液体ウレタンプレポリマー配合物を硬化
   成形せしめることを特徴とする、靴底の製造方法。 ２ 前記液体ウレタンプレポリマー配合物は、液状ウレ
   タンプレポリマー、それの硬化剤及び触媒を重量比で該
   液状ウレタンプレポリマーの５〜３０％のアセトンの如
   き低沸点の有機溶剤に溶解してなることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の靴底の製造方法。 ３ 前記液体ウレタンプレポリマー配合物は、メチルエ
   チルケトン、ジメチルホルムアミドの如き稍沸点は高い
   がポリウレタンに対する溶解力が特に強い溶剤を、重量
   比で前記液状ウレタンプレポリマーの５〜２０％を含む
   ことを特徴とする、特許請求の範囲第１項記載の靴底の
   製造方法。 ４ 前記靴底主体ａは、その前部踏付部辺ロ及び踵部辺
   ハ以外の摩耗し易い個所例えば爪先端部イ若しくは踵端
   部ニ或いはこれら両部を切除し、該切除部１内に前記液
   体ウレタンプレポリマー配合物を接着剤を用いずして注
   入充填密着されてなることを特徴とする、特許請求の範
   囲第１項記載の靴底の製造方法。 ５ 前記透孔２は、靴底主体ａの接地面側の孔径が上面
   側の孔径より小さくかつ１個で大形のもの若しくは複数
   個の小形のものに形成されてなることを特徴とする、特
   許請求の範囲第１項記載の靴底の製造方法。 ６ 前記液体ウレタンプレポリマー配合物の充填成形物
   は、その当片部３を形成しこれを前記靴底主体ａの上面
   側の一部に注入充填と同時に一体的に密着結合せしめた
   ことを特徴とする、特許請求の範囲第１項記載の靴底の
   製造方法。