JPS6049429B2 - 耐極低温性容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は液体窒素温度約−１９６０Ｃの極低温て使
用可能な耐極低温性容器に関し、特に赤血球、血小板、
血漿等の血液成分及ひ細菌、酵素その他−の生理学的溶
液又は食品、薬品等の冷凍保存用等に適したプラスチッ
ク容器に関する。

従来、血液の保存方法として、ＡＣＤ抗凝固剤 によ
る血液保存法（ＡＣＤ溶液を収容したガラスびん又は軟
質塩化ビニール製容器中て保存する方法）、緩速凍結法
（−８０〜−８５℃で軟質塩化ビニル製容器中で保存す
る方法）等が知られているが、前者の方法は保存中に血
液の代謝が進行し、血液の使用可能期間が採血後２田間
と短く、後者の方法は高濃度グリセリン等の凍害防止剤
を添加するため、使用時その洗浄によつて赤血球回収率
が低くなり、赤血球の質も数年て低下してしまう゛など
の欠点があり、いずれの方法も長期間の血液保存法とし
ては適していない。

そのため、血液成分等の生理学的溶液を液体窒素中て
瞬間凍結し、−１５０〜−２０００Ｃ程度の極低温下て
保存する急速凍結保存法が開発されている。

しかし、この場合、このような極低温に耐え、かつ滅菌
処理が可能で、しかも使用上簡便な保存用容器が必要と
なる。たとえば従来の血液保存用に使用されている軟質
塩化ビニル製容器は−１９６℃の極低温においては耐性
を有せず。凍結時において、僅かな衝撃によつても亀裂
が生じてしまう。また、アルミニウム、ステンレススチ
ール等の金属製の容器は加工上、容器の注出入口の封緘
・開封が困難となり、容器内に液体窒素が流入してしま
うおそれもあり、又不透明な為保存液の状態を外から見
ることができず、取り出す前に保存液の良否が確認でき
ないという問題があると共に、製造費が高価となる。
耐高低温性の良好な高分子材料として弗素果樹脂及びポ
リイミドが知られており、内層４弗化エチレンー６弗化
プロピレン共重合体、外層ポリピロメリットイミド積層
体から成る袋状容器が血液の冷凍保存に使用されている
例もある。

特にポリイミドはほとんど融点を示さない耐熱性と液体
ヘリウム温度（４′Ｋ）においても柔軟性を有する極低
温耐性を有しており、すぐれた材料と言えるが、ポリイ
ミドは透明ではあるが褐色に強く着色している為に内容
物によつては外部からの透視が不可能である。又ポリイ
ミドは高分子材料の中でも最も熱伝導率が低いものの一
つで、保存内容液の回収率・性能に影響する凍結スピー
ドが遅くなる事や、ヒートシール等の条件がきびしくな
りシール不良等のトラブルの原因ともなつている。又ポ
リイミドは価格の点で非常に高価である。また、米国特
許３５７６６５０に記載されたように２軸配向したポリ
オレフィンフィルムを使用した極低温で使用する容器と
いつたポリエチレンの適用も提案されているか、ヒート
シール操作によつて、シール部分及びその周辺の延伸が
もどつてしまい、実際の使用においてはシール部に衝撃
を受けない様に金属製の網等で保護する必要があるなど
の欠点を有している。通常の高密度ポリエチレン（分子
量量大て５０万程度）てはせいせい−１０００Ｃまての
適用が限界であり、−１９６℃といつた低温には耐えら
れないのが現状である。この発明は上記事情に鑑みてな
されたものであつて、オートクレーブ滅菌が可能で、−
２００′Ｃ程度の極低温での使用に耐えることができ、
また急速凍結、急速解凍における急激な温度変化にも耐
えることができ、かつ製造上簡単であり、収容する生理
学的溶液に対し悪影響を及ぼすおそれのない不活性内面
を有し、溶液との接触透明性が良好で、かつ従来にない
比較的安価な容器を提供することを目的とする。

すなわち、この発明は低圧重合法による極めて高い分子
量の無延伸ポリエチレンから成る内層と、該内層の外側
に積層された、２軸延伸ポリエチレンテレフタレート等
の耐熱耐極低温性樹脂層とによつて形成されていること
を特徴とする耐極低温性容器を提供するものてある。

内層材としての低圧重合法による極めて高い分子量の無
延伸ポリエチレンは、分子量が粘度法で１００万以上、
光散乱法て３００万以上であつて、分子量のこのような
値が極低温に耐える物性を与える。

これは極めて高い溶融粘度を有している為通常は粉末品
をブレス成形、ラム押出Ｌ等でブロック状成形品とした
後平削り等によつて所望の０．０２５〜０．１２５ｗＩ
ｎのフィルムとして使用する。このフィルムはその極め
て高い分子量から高い耐衝撃強さを有し、−１９６゜Ｃ
においても一定の柔軟性と良好な物理的性質を保持して
いる。又溶融粘度が極めて高いことから１２１てＣ−３
紛のオートクレーブ滅菌においても内面が融着すること
はなく、かつ通常の高密度ポリエチレンよりも３０〜５
０度高い条件で融着シールが可能であり、更にポリエチ
レンの不活性さと共に低分子溶融物が少く衛生性も良く
、化学的にも安定で長期間赤血球等を保存したとしても
内容物の変質等悪影響はほとんど問題とならない。又本
発明において無延伸のポリエチレンてある為高度に延伸
して低温耐性を持たせた低分子量のポリエチレンの様に
容器本体と熱により延伸がもどつているシール部に差が
なく、低温下でのクラックの発生の心配もない。上記の
ポリエチレン内層は単層の袋の製造に用いることができ
るが、シール時の熱圧によりシール部分が薄くなり、シ
ール部分が裂けやすくなるため、十分なシール強度が得
られない。

更にシール時にフィルムがシール・バーに接着して表面
が汚れる等安定したシール作業が得られない。又高分子
量であつてもポリエチレン本来の柔軟性は保持されてお
り、通常極低温下での厳しい取り扱いや、あるいは赤血
球解凍時の遠心分離操作等への・適性上、外層て積層す
る必要がある。外層樹脂としては内層のポリエチレンよ
り熱溶融温度熱接着温度が高いことが必要で、かつ−１
９６℃といつた極低温下ても常温とほぼ同じか又は大き
くは物性の劣化しないものが使用てき、そのような物質
としては、２軸延伸ポリエチレンテレフタレート、延伸
または無延伸のポリエチレンナフタレート、ポリバラパ
ン酸樹脂、パーフロロアルコキシ樹脂、ポリテトラフロ
ロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン交互共重
合体、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン
共重合体、塩化−３フッ化エチレン樹脂、または芳香族
ポリイミド樹脂の０．０１２〜０．０７５Ｔｎｍ厚のフ
ィルムである。

内層と外層は接着剤により接着するが、接着剤は低温耐
性、滅菌耐性を持つ必要があり、ポリエステル、ポリウ
レタン、エポキシ系の反応硬化型接着剤等の最高の耐熱
・耐低温性のある接着剤が使用てきる。なお接着力を向
上させる為に内層及び外層フィルム共に公知の方法によ
つて表面の処理をすることが有効で、コロナ放電処理、
プラズマ処理、あるいは化学的処理等を行うことは当然
てある。この発明で用いられる内層ポリエチレンの厚み
はシール強度、耐ピンホール性の点から０．０２５Ｔｆ
ｒＩｎ以上が好ましく、また急速凍結を容易にするため
の観点から０．１２５Ｔ＄Ｌ以下とすることが好ましい
、又外層のフィルムは、０．０１２〜００７５７ｒ０ｎ
の範囲で用いることが好ましいが、容器シール部の安定
性、強度、熱伝導性から、内層ポリエチレンは比較的厚
くし、外層は比較的薄くするようにして積層し、かつ全
体の厚みが０．１５ｗＬ以下が好ましく、０．１２５Ｔ
０Ｔ１以下とすることが更に好ましい。

この積層体を用いて袋状容器とする場合、第１図に示す
様に積層体のポリエチレンフィルム１面が相接するよう
に重ね合わせ、かつその間の適当箇所に本発明で用いる
超高分子量ポリエチレン成形品よりなる液体注入口、注
出口４を介在させた条件で周囲をヒートシールすれば袋
状の容器とすることができる。又外層としてエチレン−
テトラフロロエチレン交互共重合体等熱成形性のあるフ
ィルムを使用した場合、第２図Ａ，ｂ，ｃに示す様に本
積層体を真空成型法又は圧空成形法を用いて１０ＷＩＩ
程度の浅絞りを行いかつシール部の注入口、注出口をチ
ューブ状に成形した後、ポリエチレン面が相接するよう
に重ね合わせて周囲をヒートシールすることにより特別
の注入口、注出口なしで、液体の収能に便利な容器とす
ることができる。この容器は血液等を収容する場合、あ
らかじめ蒸気滅菌して使用に供せられる。〈実施例１〉 片面を接着処理した厚さ０．０９８７ｒｒｆｎの超高分
子量ポリエチレン切削フィルム（ヘキスト社製ＨＯｓｔ
ａｌｅｎＧＵＲｌ光分散法による平均分子量約３．５百
万）とポリエステルイソシアネート系接着剤を３．８ｙ
／ｄ塗布した厚さ０．０２５？のパーフロロアルコキシ
樹脂フィルム（ＤＵＰＯｎｔ社製テフロンＰＦＡ−ＣＬ
Ｐ）を貼り合わせ２層の積層シートを得た。

これを深さ５Ｔ＄Ｌでシール部を全周につば状に有し、
シール部の一部が半円状に絞られたトレイ状金型を用い
てポリエチレンを内側として圧空成形し、得られたトレ
イ状成形シートをポリエチレン面が相接するように重ね
合わせて周囲を熱・封緘し、容量４００ｍＬの容器を得
た。この容器に生理食塩水３８０ｍｔ充填したのち、シ
ール部に設けられていたチューブ状注入・出口部を熱封
緘し、１２ｒＣ−６吟間高圧蒸気滅菌した後、一度室温
にもどし、その後これを液体窒素槽に垂直に投入し、瞬
間凍結させた。凍結は約２分で完了した。更にこの容器
を４０℃温水中で解凍した。この凍結−解凍は３回繰り
返して行つたが、シール部の剥離、容器の破損はなく内
容液の流出もなく良好であつた。さらにこの実施例で得
た容器について急性毒性試験、溶出物試験、発熱性物質
試験、微生物透過試験を所定の方法ておこなつた結果、
全く異常は認められなかつた。

以上詳述した様に本発明に係わる耐極低温性容器は、ヒ
ートシール性が良好で製造上も簡単であり、しかも高圧
蒸気滅菌に耐えさらに−１９６゜Ｃの極低温下ても柔軟
性および十分な機械的強度を有し、更に毒性等の問題も
ないなど種々の利点を有し、更に従来のＦＥＰ／ポリイ
ミド積層体にくらべて大巾に安くなり、かつアンプル状
の成形等も可能であるなどの生理学的溶液類の低温保存
用容器として好適なものてある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は袋状容器の断面
図、第２図ａは圧空成型した積層シートの斜視図、ｂは
ａのシートを重ねてヒートシールして得た容器の平面図
、ｃはその断面図てある。 １・・・・・内層、２・・・・・・外層、３・・・・・
・接着剤、４・・・・・・液体注出入口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 低圧重合法による極めて高い分子量の無延伸ポリエ
   チレンから成る内層と、該内層の外側に積層された、２
   軸延伸ポリエチレンテレフタレート、延伸または無延伸
   のポリエチレンナフタレート、ポリパラバン酸樹脂、パ
   ーフロロアルコキシ樹脂、ポリテトラフロロエチレン、
   エチレン−テトラフロロエチレン交互共重合体、テトラ
   フロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、塩
   化−３フッ化エチレン樹脂、または芳香族ポリイミド樹
   脂とによつて形成されていることを特徴とする耐極低温
   性容器。 ２ 内層ポリエチレンの平均分子量（以下分子量と呼ぶ
   ）が粘度法で１００万以上、光散乱法で３００万以上で
   あることを特徴とする前記第１項記載の容器。 ３ 内層が０．０２５〜０．１２５ｍｍの厚みを有する
   ことを特徴とする前記第１項又は第２項記載の容器。 ４ 外層が０．０１２〜０．０７５ｍｍの厚みを有する
   ことを特徴とする前記第１項又は第２項又は第３項記載
   の容器。