JPS6031083Y2 - 浸漬式燐酸塩金属表面処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として自動車車体等の塗装前処理に用いら
れる浸漬式燐酸塩金属表面処理装置の改良に関する。

浸漬式で金属表面に燐酸塩処理を行うと、燐酸塩化合物
を主成分とする多量のスラッジが副生ずる。

特に、自動車車体等の大型処理槽においては、副生じた
スラッジは槽底に堆積する。

堆積量が増加すると、被処理物はスラッジを遂次出槽側
へと掻集めるようになり、出槽側にスラッジの小山が形
成される。

被処理物がこの小山状のスラッジに触れ、その結果、該
スラッジが被処理物に併合して出槽し、そのためにゴミ
不良等の原因となり、以後の洗浄工程の煩雑化、塗装不
良の発生等の悪影響を及ぼしている。

本考案の目的は、かかる大型処理に適用しても、槽底に
堆積するスラッジを被処理物と接触しない箇所に効率よ
く集積せしめ、これを系外に排出して濾過することを可
能にした浸漬式燐酸塩金属表面処理装置を提供すること
にある。

即ち、本考案の要旨は、処理槽底部の被処理物の入槽側
に処理時に副生ずるスラッジの集積槽を設け、該集積槽
内のスラッジのスラリーを排出および濾過する手段を配
設し、および処理液の循環液および／または濾過手段か
らの濾液を処理槽の槽底に沈降したスラッジに噴射せし
め、該スラッジを集積槽内に強制移動させる手段を設け
たことを特徴とするコンベア式浸漬式燐酸塩金属表面処
理装置に存する。

以下、添付図面に基づき本考案について説明する。

第１図および第２図の本考案装置において、１は処理槽
であり、底部の被処理物Ａの入槽側にスラッジの集積槽
２を有し、出槽部にオーバーフロ一槽３が連設されてい
る。

なお、オーバーフロ一槽３の設置位置は、処理槽１の入
槽部または側部であってもよい。

上記集積槽２は進角錐形殻状の形状を有するが、これ以
外に逆円錐形殻状、逆台錐形殻状等適宜の凹部を形成で
きる形状をしていてよい。

集積槽壁面の角度は、その槽内に堆積したスラッジの移
動が容易であればよく、スラッジの性状により適宜に設
定されてよい。

また、集積槽の容量は、スラッジ量により適宜設定され
てよい。

集積槽２の底部には排出管４が取付けられ、該管４は弁
５Ａを有する管４Ａと５Ｂを有する管４Ｂとに分岐され
ている。

管４Ｂはポンプ６に接続し、そしてフィルター７が管８
を介してポンプ６と接続し、フィルター７の前後に弁９
，１０が取付けられている。

また、管８にはフィルター７を迂回して弁１１を有する
管１２が接続されている。

一方、オーバーフロ一槽３の底部には、弁１３を有する
循環液取出し管１４が取付けられ、これにポンプ１５が
設けられている。

熱交換器１６が管１７を介してポンプ１５と接続し、熱
交換器１６の前後に弁１８，１９が取付けられている。

また、管１７には熱交換器１６を迂回して弁２０を有す
る管２１が接続されている。

管８と管１７は主管２２に接続され、該主管２２にはそ
れぞれ弁２３を有する支管２４が取付けられている。

かかる支管２４は、第２図から明らかな如く、処理槽１
の底面上方に位置して適当間隔で配設され且つ矢印方向
に噴射するノズル孔を有する循環用ライザー２５と接続
している。

また、集積槽２内においても、主管２２に取付けられた
弁２６を有する支管２７に接続してライザー２８が配設
されている。

かかる本考案装置を使用して、金属表面を処理する手順
は以下の通りである。

先ず、処理槽１およびオーバーフロ一槽３に所定量の処
理液を供給する。

次いで、コンベア式搬送装置２９によって被処理物Ａを
入槽せしめ処理を開始する。

入槽と同時に、処理槽１内の液位は上昇し、やがて被処
理物Ａの体積量に等しい液量分が堰３０を越えオーバー
フロ一槽３内に流れ込む。

次に、弁１３．１８，１９．２３を開放しポンプ１５を
作動せしめ、上記オーバーフロ一槽３に流入した液量分
を、熱交換器１６を経てライザー２５より処理槽１内に
循環させる。

なお、熱交換器１６はかかる循環液を加温して、正常な
燐酸塩被膜処理を行うのに処理液の温度を適温に保持す
るためのものであるが、特に加温の必要がない場合は、
弁１８．１９を閉め弁２０を開放すればよい。

被処理物Ａが処理を完了して出槽した場合、処理槽１内
の液位は低下するが、上述の如く、オーバーフロ一槽３
より循環液が処理槽１内へ返送されるため、液位は堰３
０の位置まで自動的に復元する。

このようにオーバーフロ一槽３を設置することにより、
処理槽１内の液位は常に処理するに適した液位に保てる
ことができる。

なお、オーバーフロ一槽３の容量は被処理物Ａの入槽に
より溢流してくる液量を受は入れ、且つポンプ１５の運
転時にこれが空気を吹い込んだすせず正常に運転できる
ような液量の容量であればよい。

一方、被処理物Ａが入槽から出槽するまでの間、処理槽
１内で燐酸塩化合物を主体とするスラッジが、多量に副
生して槽底に沈降する。

しかして、沈降したスラッジは自刃またはこれに加えて
ライザー２５よりの循環液の噴射作用により、容易に移
行して集積槽２内へ落下する。

集積槽２内のスラッジは高濃度スラリーとなる。

そこで、弁５Ｂ、９．１０を開放してポンプ６を作動せ
しめ、上記スラリーをフィルター７に供給して固液分離
し、固形物であるスラッジを系外へ放出する。

炉液は管８を経て、オーバーフロ一槽３からの循環液と
主管２２で合流した循環液および炉液の一部は、弁２６
の開放により支管２７を経てライザー２８により、集積
槽２内を矢印方向に噴射される。

かかる噴射作用により、集積槽２内のスラッジは底部へ
円滑に移行する。

なお、処理の初期段階（集積槽２にスラッジが集積して
いない段階）においては、集積槽２からの排出液をフィ
ルター７に供給せず、管１２を通して循環液としてライ
ザー２５．２８に供給してもよい。

本考案装置による処理にあって、ライザー２５より返送
される循環液の噴射量は、沈降したスラッジを集積槽２
へ十分に移行せしめる量であることが好ましく、スラッ
ジの量および性状に応じて適宜求められ、弁２３にて調
整される。

通常、０．８〜１．２ｍ、７分の流速が得られる程度の
量である。

ライザー２５の設置間隔（ピッチ）は、水平部で５０ｃ
ｍピッチ、入出槽部の斜面では上中下の等ピッチとなる
ように設定すればよい。

また、ライザー２８における噴射量は、集積槽２内に堆
積したるスラッジ量およびスラリーの性質により弁２６
によって適宜調整すればよい。

また循環ポンプ１５を停止後（作業終了後）、濾過操作
のみを継続する場合には、弁１３および弁２３を閉じ、
ポンプ６の作動により実施することができる。

以上の構成から成る本考案装置を用いて金属表面処理を
実施すれば、従来装置の欠点、即ち処理槽内におけるス
ラッジ除去が不可能かまたは不完全なため被処理物への
スラッジ付着によるゴミ不良の発生等が解消され、更に
洗浄工程も簡素化できると共に、従来は定期的に槽内を
空にして行っていた清掃業務の必要性がなくなり、作業
効率が大巾に向上する。

また、当該集積槽の設置部位は、処理反応の前半で大部
分のスラッジが生ずること、および循環液の流れ方向が
被処理物の進行方向と対抗流となるため新鮮液による洗
浄作用が加わることから、出槽側に設けるよりも、図示
の如く入槽側に設ける方が効果上有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の一例の全体を説明するためのフロ
ーシート、および第２図は該装置の本体である処理槽付
近を明示する透視図である。 １は処理槽、２はスラッジの集積槽、３はオーバーフロ
一槽、４は排出管、６はポンプ、７はフィルター、１５
はポンプ、１６は熱交換器、２５．２８はライザー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ■ 処理槽底部の被処理物の入槽側に処理時に副生ずる
   スラッジの集積槽を設け、該集積槽内のスラッジのスラ
   リーを排出および濾過する手段を配設し、および処理液
   の循環液および／または濾過手段からの濾液を処理槽の
   槽底に沈降したスラッジに噴射せしめ、該スラッジを集
   積槽内に強制移動させる手段を設けたことを特徴とする
   コンベア式浸漬式燐酸塩金属表面処理装置。 ２ 集積槽の形状が逆円錐形または逆角錐形の殻状をし
   ている上記第１項記載の装置。 ３ 処理槽内の液位を被処理物の人出槽に拘らず一定に
   保持するために処理槽にオーバーフロ一槽を連設せしめ
   、且つオーバーフロ一槽内の循環液を処理槽内に返送す
   る手段を設けた上記第１項または第２項記載の装置。