JPS6023518Y2 - スライドバルブを具備するスクリユコンプレツサ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスライドバルブを具備するスクリュコンプレッ
サに関するものである。

スクリュコンプレッサは互いに噛合して回転する略凹溝
のねじ条を有する雌ロータと略凸山のねじ条を有する雄
ロータの雌雄一対のスクリュロータを、ケーシングに設
けた互いに交差する２つの平行な中空円筒内に配置し、
前記雌雄のスクリュロータは中空円筒両端に形成した端
壁内で回転自在に支承される。

雌雄スクリュロータのねじ条は前記中空円筒内壁と前記
端壁とで囲まれてＶ字状の作用空間を形成し、該作用空
間はスクリュロータの回転につれてスクリュロータの軸
方向に移動する。

作用空間がスクリュロータの軸方向に移動するにつれて
作用空間の容積は増加また減少し、気体は前記端壁の一
方に設けた吸入口から吸入され、圧縮されて、他方の端
壁に設けた吐出口から吐出される。

スクリュコンプレッサは容量調整を行うためのスライド
バルブを有し、該スライドバルブは前記２つの中空円筒
の交差部分に設けたＵ字状溝内に摺動自在に設けられ、
該スライドバルブの雌雄スクリュロータに面する側壁は
中空円筒の交差部分に相当する壁面をなし、前記作用空
間の一側を形成する。

スライドバルブがスクリュロータの軸方向に移動するこ
とによりスクリュコンプレッサの吸入側と作用空間を連
絡する連絡通路の開口面積が零から最大まで変化し、ス
クリュコンプレッサの作用空間の吸入締め切り位置が変
化して、吐出容量が変化する。

ところで、前記スライドバルブを具備するスクリュコン
プレッサのスライドバルブは作用空間側側壁に作用する
圧縮気体の圧力でケーシングに押圧されるので、スライ
ドバルブとＵ字状溝の摺動面には線状の凹溝をスライド
バルブの摺動力向に平行に複数設け、この溝に加圧液体
を供給して前記押圧力に対抗させるとともに、この加圧
液体でスライドバルブとＵ字状溝の摺動面の潤滑を行っ
ている。

これにより作用空間側の圧力が低下した場合にはスライ
ドバルブが前記加圧液体の圧力によりＵ字状溝の摺動面
から浮き上がり、スライドバルブと雌雄スクリュロータ
とが接触する恐れがあるため、スライドバルブのＵ字状
溝との摺動面を中心角が２００度を超える円弧で形威し
、該摺動面と摺動するＵ字状溝の内周も中心角が２００
度を超える円弧で形成することにより、スライドバルブ
とＵ字状溝の摺動面に供給される前記加圧液体の圧力に
よるスライドバルブの浮き上がりを防止している。

しかしながら、スライドバルブをＵ字状溝内で滑らかに
摺動可能とするために、前記スライドバルブとＵ字状溝
との間にはある程度の間隙が設けてあり、この間隙によ
って必然的にスライドバルブはＵ字状溝の摺動面より浮
き上がることになる。

また、前記スライドバルブに作用する作用空間の圧縮気
体の圧力は吸入側で低く、吐出側で高いため、前記スラ
イドバルブの摺動面に設けた線状の凹溝をスライドバル
ブの吐出側端部に設けた周方向の凹溝で連絡し、該周方
向の凹溝に加圧液体を供給することにより、吐出室側か
ら吸入室側への圧縮気体の漏洩を防ぐための密封を行っ
ているが、加圧液体のスライドバルブに対する作用力を
スライドバルブの吐出側端部で高くなるようにしている
ので、前記スライドバルブが容量調整時、吸入側から吐
出側へ移動し、前記ケーシングのＵ字状溝の両端開口縁
でスライドバルブを抑えている部分の軸方向長さが減っ
た時には前記加圧液体の圧力でスライドバルブの吐出側
端部が浮き上がり、スライドバルブの作用空間側壁面が
雌雄スクリュロータの外周と接触し、ロータあるいはス
ライドバルブが破損することがあった。

以下図面に基づいて従来のスライドバルブを具備するス
クリュコンプレッサの上記欠点添詳細に説明する。

第１図ないし第３図は従来のスライドバルブを具備する
スクリュコンプレッサを示し、第１図は第２図のＩ−Ｉ
線に沿った断面図、第２図は第１図の■−■線に沿った
断面図、第３図はスライドバルブのケーシングとの摺動
面の展開図である。

第１図、および第２図において１はケーシングであり、
２および３は互いに交差する２つの平行な中空円筒で、
４および５は該中空円筒２，３の交差部分である。

６および７は該中空円筒の内壁であり、８は中空円筒の
内壁６，７で囲まれる作用空間である。

９，１０は該作用空間８内に回転自在に設けた略凸山の
ねじ条を有する雄ロータ、略凹溝のねじ条を有する雌ロ
ータで、１１，１２．１３は雌雄スクリュロータ９，１
０を支承スる軸受である。

１８は駆動側軸受部から潤滑油が外部に漏れるのを防ぐ
ため雄ロータ９の駆動側軸部１７に設けたメカニカルシ
ールであり、２０は雄ロータの軸方向に作用するスラス
ト荷重を受けるため駆動側軸部１７と反対側の軸部１９
に設けたバランスピストンである。

２１は中空円筒３゜３の一方の開口端に設けた吸入口、
２４はその他方の開口端に設けた吐出口で、吸入口２１
、吐出口２４はそれぞれ吸入室２２、吐出室２５に連通
している。

２７は中空円筒２，３の一方の交差部分５にスクリュロ
ータの軸方向に平行に設けたＵ字状溝（第１図）で、２
８は該０字状溝２７内に摺動自在に設けたスライドバル
ブであり、その雌雄スクリュロータに面する側壁２９．
３０は中空円筒２，３の内壁に相当する壁面をなす。

３１は該スライドバルブ２８に設けたロッドで、該ロッ
ド３１には油圧シリンダ３３内に設けたピストン３２が
固定しである。

３４は前記Ｕ字状溝２７に平行に吐出室２５に突出する
ように設けた案内筒ある。

３５はスライドバルブ２８にスライドバルブの摺動力向
に平行に設けた案内溝であり、３６は該案内溝３５に嵌
合摺動する案内片で、該案内片はケーシング１に設けた
保持ピン３７によりケーシングに固定される。

４６はケーシングに設けた給油通路で、給油通路４６は
スライドバルブの摺動面に設けた連通溝４３と連通し、
該連通溝４３は連通路４７を介して潤滑油を作用空間に
噴射するための噴射口４８に連通ずる。

第３図において、３８ないし４１はスライドバルブのＵ
字状溝との摺動面に設けた凹溝で、スライドバルブの摺
動力向に平行に設けた凹溝３９はスライドバルブの吐出
側端部に周方向に設けた凹溝３８と連通し、凹溝３８は
前記連通溝４３に連通ずる。

凹溝４０は案内溝３５に沿って設けた凹溝４１に連通し
、凹溝４１は戻り連通溝４５に連通ずる。

戻り連通溝４５は連通路５７を介してスライドバルブの
噴射口５８（第１図）に連通ずる。

スクリュロータの回転につれて、雌雄スクリュロータの
ねじ条と、中空円筒内壁と、中空円筒両端に設けた端壁
により形成されるＶ字状の作用空間がスクリュロータの
軸方向に移動する。

作用空間がスクリュロータの軸方向に移動するにつれて
作用空間の容積は増加または減少し、気体は開口２３、
吸入室２２を通って吸入口２１から作用空間内に吸入さ
れ、圧縮されて、吐出口２４から吐出室２５に吐出され
、排出口２６から排出される。

圧縮機の運転中ケーシングに設けた給油溝４６から常に
連通溝４３に潤滑、密封、冷却用の潤滑油が供給され、
該潤滑油は連通路４７を通って噴射口４８から作用空間
内に噴射されて該潤滑油は作用空間の冷却を行うととも
に雌雄スクリュロータ９，１０の摺動部分の潤滑および
作用空間の各部間隙のシールを行う。

同時に連通溝４３からスライドバルブの前記凹溝３Ｂ、
３９に潤滑油が供給され、スライドバルブの摺動面の潤
滑を再吐出気体の消費量に変動が生じた場合、その圧力
又は温度の変化を検知器（図示せず）で検知し、検知器
の検知信号に基づいて油圧シリンダ３３の油供給孔５２
．５３を介してピストン３２の一方に油圧を作用せしめ
、スライドバルブ２８を移動させる。

このときスライドバルブ２８は案内片３６て回転を阻止
されながら０字状溝２７内を摺動する。

スライドバルブが第２図の一点鎖線の位置に移動すると
、スライドバルブ２８の吸入側端部４４がケーシング１
の端部５０から離れ、中空円筒内壁に吸入側と作用空間
とを連絡する連絡通路５４が形成される。

Ｖ字状の作用空間がこの連絡通路５４の軸方向区間を通
過する間、吸入口２１から該Ｖ字状作用空間に吸入され
た気体は戻り室５５を介して吸入室２２に戻るため圧縮
されず、Ｖ字状の作用空間がスライドバルブ２８の一点
鎖線で示す端面４４′を通過後始めて圧縮が開始される
。

よって、吸入締め切り後の作用空間の実質的容積は吸入
締め切り位置が４４から４４′に移るため減少し、吐出
量は全負荷時より減少する。

この従来のスライドバルブを具備するスクリュコンプレ
ッサにおいては、前記スライドバルブに設けた凹溝３Ｂ
、３９に供給される潤滑油によりスライドバルブと雌雄
スクリュロータとが接触するのを防ぐためにスライドバ
ルブ２８の０字状溝２７との摺動面を中心角が２００度
を超える円弧で形成腰該摺動面と摺動する０字状溝２７
の内周も同様に中心角が２００度を超える円弧で形成七
、Ｕ字状溝の両端開口端６９（第１図）でスライドバル
ブを抑えて、浮き上がりを防止している。

しかしながら、スライドバルブ２８を０字状溝２７内で
滑らかに摺動可能とするため、スライドバルブ２８と０
字状溝２７との間には、ある程度の隙間を設けてあり、
この隙間の範囲においてスライドバルブ２８は０字状溝
２７の摺動面より浮き上がることになる。

また、前記スライドバルブ２８に作用する圧縮気体の圧
力は吸入側で低く、吐出側で高いため、前記スライドバ
ルブの摺動面に潤滑油を供給する前記凹溝３９をスライ
ドバルブの吐出側端部４２の近くに設けたスライドバル
ブの円周方向の凹溝３８で連絡し、吐出側端部４２′で
スライドバルブに対する作用が高くなるようにしている
のでスライドバルブ２８が容量調整時、吸入側から吐出
側に移動し、前記ケーシングの０字状溝２７の両端開口
縁６９（第１図参照）でスライドバルブを抑えている部
分の軸方向の長さが減った時には、前記潤滑油の圧力で
スライドバルブの吐出側端部４２が浮き上がり、スライ
ドバルブがこじられて、スライドバルブの作用空間側の
壁面が雌雄スクリュロータの外周と接触し、ロータある
いはスライドバルブが破損したり、スライドバルブとケ
ーシングのＵ字状溝との摺動面の隙間の維持が不安定と
なり、吐出室側から吸入室側への圧縮気体が漏洩するこ
とがあった。

本考案は以上説明したスライドバルブと雌雄スクリュロ
ータとの接触事故を防止できる構造容易なスクリュコン
プレッサを提供することを目的とするものである。

以下本考案を図面に基づいて詳細に説明する。

なお、第１図ないし第３図と同様の部分には同一の記号
を使用する。

第４図および第５図は本考案の一実施例を示し、第４図
は、本考案のスライドバルブを具備するスクリュコンプ
レッサの要部の縦断面図、第５図は第４図の■−■線に
沿った断面図である。

第４図および第５図において、５９は断面が略半円形状
の案内頭部であり、６０は該案内頭部５９に設けたねじ
穴、６１は該ねじ穴に連通ずる芯出し用穴である。

案内頭部５９の下端には、スペーサ６７を設けこのスペ
ーサの厚みを変更することにより、スライドバルブ２８
とケーシングのＵ字状溝２７間の摺動部の隙間を適正に
維持することができる。

と同時に、スライドバルブの下端開口と摺動自在に嵌入
し、該スライドバルブの円周方向に対する揺動をも阻止
している。

６２はねじ部６３、芯出し部６４を有するボルトであり
、ケーシング１の下部に設けたボルト挿入穴６６よりス
ペーサ６７を介して前記案内頭部５９のねじ部６３と螺
着するよう構成されている。

スライドバルブ２Ｂに前記案内頭部５９に摺動自在に嵌
合する断面が略半円形状の案内溝６８を該スライドバル
ブの吐出側端部に設けた凹溝３８および４１よりも吸入
側で、かつスクリュロータの軸方向に平行に設け、前記
穴６６を通して挿入したボルト６２のねじ部６３を案内
頭部５９のねじ穴６０にねじ込んで案内頭部５９をケー
シング１のＵ字状溝部に固定する。

なお、スライドバルブ２８の０字状溝２７との摺動面に
は第３図と同様に凹溝３８ないし４１、連通溝４３，４
５が設けてあり、潤滑油を連通溝４３を介して凹溝３８
．３９に供給し、スライドバルブの作用空間側に作用す
る圧力に対抗せしめるとともに、該潤滑油でスライドバ
ルブ２８と０字状溝２７との摺動面の潤滑を行っており
、該摺動面を潤滑した後潤滑油は凹４４０．４１を介し
て連通溝４５に集められ、スライドバルブに設けた油通
路５７を通って噴射口５８から作用空間に噴射され回収
される。

前記案内頭部５９をケーシング１に固定することにより
、スライドバルブ２８は該案内頭部と前記案内溝６８と
の係合により回り止めされ、かつ０字状溝２７の摺動面
から浮き上らないように案内される。

従って、スライドバルブ２８の浮き上がす量はスライド
バルブ２８と０字状溝２７との間の隙間の大きさに関係
せず、案内頭部５９と案内溝６８との係合部の隙間の大
きさによって決まる。

以上のように本考案は、スライドバルブ２８の０字状溝
２７との摺動面下端一区間内に、該スライドバルブの摺
動方向と平行に略半円形状の案内溝６８を設け、該案内
溝内に摺動自在に嵌合する略半円形の断面を有する案内
頭部５９を配置し、該案内頭部の下端にスペーサ６７を
設け、相対するケーシング１の０字状溝２７の下部より
係止用ボルト６２を嵌挿させて前記案内頭部５９を固定
した構造としたことにより、スライドバルブ２８とケー
シングの０字状溝２７との摺動面の隙間を適正に維持す
ることができる。

さらに、万一案内頭部５９と案内溝６８の摺動部の摩耗
に伴ない、スライドバルブ２８とケーシングの０字状溝
２７の摺動部の隙間を一定に維持できなくなった場合に
おいても、前記案内頭部５９の下端に設けたスペーサ６
７を削り込むことにより、前記スライドバルブとケーシ
ングのＵ字状溝間の隙間調整を確実に、しかも容易に行
うことができる。

また、前記スライドバルブ２８が容量調整時、吸入側か
ら吐出側に移動し、スライドバルブの吐出側端部４２が
次第に吐出口から吐出室内に吐出してゆき、前記ケーシ
ングのＵ字状溝の両端開口縁６９でスライドバルブを抑
えている部分の軸方向の長さが減少しても、案内頭部５
９と案内溝６８により、該スライドバルブの吐出側端部
４２の浮き上りを確実に防止できるからスライドバルブ
の作用空間側側壁が雌雄スクリュロータの外周と接触す
ることはなく、かつ吐出室側から吸入室側へ圧縮気体が
漏洩することもなくなり、体積効率の低下も防止できる
。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来のスライドバルブを具備する
スクリュコンプレッサを示し、第１図は第２図のＩ−Ｉ
線に沿った断面図であり、第２図は第１図の■−■線に
沿った断面で、第３図はスライドバルブのケーシングと
の摺動面の展開図である。 第４図および第５図は本考案の一実施例を示し、第４図
は本考案によるスクリュコンプレッサの要部の断面図で
あり、第５図は第４図の■−■線に沿った断面図である
。 １・・・・・・ケーシング、２，３・・・・・・中空円
筒、９・・・・・・雄型スクリュロータ、１０・・・・
・・雌型スクリュロータ、２１・・・・・・吸入口、２
４・・・・・・吐出口、２８・・・・・・スライドバル
ブ、５９・・・・・・案内頭部、６２・・・・・・ボル
ト、 ６７・・・・・・スペーサ、 ６８・・・・・・案内溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに噛合して回転する略凹溝のねじ条を有する雌ロー
   タと略凸山のねじ条を有する雄ロータの雌雄一対のスク
   リュロータをケーシングに設けた互いに交差する２つの
   平行な中空円筒内に配置し、前記雌雄スクリュロータの
   ねじ条、前記中空円筒内壁と、中空円筒両端に設けた端
   壁とでケーシング内に、Ｖ字状の作用空間を形成腰前記
   ２つの中空円筒の交差部分にスクリュロータの軸方向と
   平行にＵ字状溝を設け、該Ｕ字状溝内にスライドバルブ
   を摺動自在に設けたスライドバルブを具備スるスクリュ
   コンプレッサにおいて、前記スライドバルブの前記Ｕ字
   状溝との摺動面の下端−区間内に、該スライドバルブの
   摺動力向と平行に略半円形状の案内溝を設け、該案内溝
   内に摺動自在に嵌合する略半円形の断面を有する案内頭
   部を配設し、該案内頭部の下端にスペーサを設け、相対
   するケーシングの前記Ｕ字状溝の下部より係止用ボルト
   を嵌挿させて前記案内頭部を固定したことを特徴とする
   スライドバルブを具備するスクリュコンプレッサ。