JPS5950449B2 - 正面フライスカツタ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、耐久性に富みかつ面粗度を大巾に向上できる
正面フライスカッターに関するものである。

従来、スローアウェイ正面フライスカッターとして、一
般に超硬チップを取付けたものが使用されている。

しかし、この従来品によれば、チップ寿命が短かく、長
時間使用するとチップの切刃の摩耗やチッピングにより
面粗度が次第に悪くなるという欠点があった。

また、面粗度を小さくするために、刃先部に被削材に対
しある程度の巾をもって作用する仕上刃を形成したチッ
プが使用されているが、この場合でもチップの材質が超
硬であるから寿命が短かいことには変りなく、また、こ
のようなチップをカッタ一本体に複数個取付けた場合、
各チップの取付誤差に起因して面粗度が悪くなるという
欠点もあった。

本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、その目的
は、チップ寿命を大巾に向上させ、かつ、長時間使用し
ても常に高精度の切削ができるようにし、かつ、一つの
カッターでもって大きな切込深さの主切削（荒削り）と
、高精度の仕上切削とを同時に行なうことができるよう
にし、切削性能を大巾に向上させると共に、面粗度をも
大巾に向上できるようにし、さらに、主切削用チップと
仕上切削用チップを同等の取付は手段でそれぞれ所定の
位置に簡単に取付けることができるようにすることにあ
る。

すなわち、本発明は、下面周辺部に複数個のチップポケ
ットを備えた正面フライスカッタ一本体と、主切削用切
刃を備えた複数個の主切削用スローアウェイ超硬チップ
と、仕上切削用切刃を備えた１乃至数個の仕上切削用ス
ローアウェイダイヤモンドチップとを具備し、前記仕上
切削用ダイヤモンドチップは、そのチップ本体の刃先部
にダイヤモンド粉末を高温高圧下で焼結してなる多結晶
ダイヤモンド製刃先片がロー付けされ、その刃先片の先
端に被削面に対して所定の幅をもって平行に対向する仕
上切削用切刃が形成され、かつ、前記カッタ一本体に対
して径方向の位置決めをする前記チップ本体の側面から
仕上切削用切刃のノーズ部までのカッター径方向の距離
が前記主切削用超硬チップのそれよりも小さく、前記カ
ッタ一本体に対して軸方向の位置決めをする前記チップ
本体の側面から前記ノーズ部までのカッター軸方向の距
離が前記主切削用超硬チップのそれよりも大きく形成さ
れ、前記各主切削用超硬チップと仕上切削用ダイヤモン
ドチップがカッタ一本体のチップポケットに同等の取付
は手段で取付けられ、前記仕上切削用切刃が前記主切削
用切刃に対して半径方向内方に位置すると共に、軸方向
外方に突出するように構成されていることを特徴とする
ものである。

以下、本発明の実施例を図によって説明する。

まず、第１図は、所定の切込深さをもった主切削と、そ
の後の仕上切削とを一つのカッターで同時に行ない得る
ようにした正面フライスカッターの実施例を示す底面図
で、第２図はその要部の縦断正面図を示している。

同図において１は正面フライスカッタ一本体で、その下
面周辺部に等間隔で複数個のチツプポケツ）１１．１１
’を設け、これらチツブポケツ１−１１，１１’内にそ
れぞ゛れレストボタン１２，１２’とその締付ねじ１３
゜１３′およびウェッジ１４，１４’とその締付ねじ１
５．１５’を介して主切削用スローアウェイ超硬チップ
２と、仕上切削用スローアウェイダイヤモンドチップ３
とを取付けている。

この場合、通常はダイヤモンドチップ３を仕上切削用と
して１つだけ使用し、このチップ３を任意の１つのチッ
プポケット１１′内に取付け、他のチップポケット１１
内にはすべて主切削用として超硬チップ２を取付ける。

なお、第１図では１つの仕上切削用ダイヤモンドチップ
３と２つの主切削用超硬チップ２，２のみを図示し、他
の主切削用超硬チップは図示省略している。

１６．１６’は切粉排出用案内溝である。

前記主切削用超硬チップ２は、たとえば第３゜４図に示
すように、チップ原形において各側面２２が正面２１に
対し所定の逃げ角ａで傾斜する断面扁平台形状の四角チ
ップからなり、その正面２１の四隅部に主切削用切刃と
して外周切刃２３と正面切刃２５および直線状（アール
でもよい）のノーズ部２４を設けている。

この場合、各切刃２３．２５は適当な切削中１１，１□
を有し、かつチップ側辺２６に対し適当な角度ｂ１．ｂ
２で傾斜するように形成しておくのが望ましい。

この主切削用超硬チップ２は前述した方法でチップポケ
ット１１内に所望のラジアルレーキ角Ｃ、アキシャルレ
ーキ角ｄ、リード角ｅ （＝ｂにｂ２）で取付ける。

このとき、前記各切刃２３，２５がチップ側辺２６に対
し角度ｂ１．ｂ２で傾斜しているので、外周切刃２３の
実質リード角ｆはｅ十ｂ１となり、正面切刃２５はその
命中が被削材に水平に作用することになる。

これによって、超硬チップ２の正面切刃２５がサラエ刃
（仕上刃）の役目を果し、ある程度の仕上効果を発揮で
きる。

たパシこの超硬チップ２は複数個取付けられるものであ
り、従って、各チップ２の正面切刃２５のカッタ一本体
下面１７からの軸方向突出量ｍにバラつきが生じるおそ
れがあり、この超硬チップ２だけでは大巾な面粗度の向
上は期待できない。

そのために、これら複数個の超硬チップ２の間に仕上切
削用として次のようなダイヤモンドチップ３を取付ける
。

ダイヤモンドチップ３は、主として仕上切削用として用
いられるもので、たとえば第６〜８図に示す如く、チッ
プ本体３０の刃先部に多結晶ダイヤモンド製刃先片４を
ロー付して構成する。

チップ本体３０は、超硬にて各側面３２が正面３１に対
して所定の逃げ角ａ′で傾斜する断面扁平台形状に形成
し、その正面３１の一側辺部に正面３１に対し角度ｇで
傾斜するすくい面３３を設け、このすくい面３３の一方
の隅角部に扇形等の刃先片取付用凹部３４を設けておく
。

刃先片４は、天然または人工のダイヤモンド粉末を高温
高圧下で焼結してなる多結晶ダイヤモンドにて扇形板状
等に形成する。

そしてこの刃先片４をその正面４１がチップ本体３０の
すくい面３３と面一または平行となるように四部３４内
に銀ローを介して高周波加熱によりロー付けする。

然る後、該刃先片４に仕未切削用切刃として適当な切削
中１３，１４を有する外周切刃４２と正面切刃４４およ
び直線状（アールでもよい）のノーズ部４３を設ける。

この場合、両切刃４２．４４はチップ本体３０の側辺３
５．３６に対しある程度の角度ｂ３．ｂ４で傾斜するよ
うに設けておくのが好ましい。

上記ダイヤモンドチップ３は、前述した超硬チップ２と
同様の方法でチップポケット１１′内に所望のラジアル
レーキ角Ｃ′、アキシャルレーキ角ｄ′、リード角ｅ’
（＝ｂ３＝ｂ４） テ取付ケ、カっ、その刃先部がカ
ッタ一本体１に対して超硬チップ２のそれよりも半径方
向内方に位置し、かつカッタ一本体１の下面１７から軸
方向外方に突出量ｍ’ （ｒｎ’＞ｍ）だけ突出するよ
うに取付けるものとする。

このチップ２，３の半径方向の位置および突出量ｍ、
ｍ’を異ならしめる方向として、チップポケットやレス
トボタンあるいは四ケータ側に細工することが考えられ
るが、こうすれば、カッタ一本体１の加工が非常に面倒
であると共に、各チップ２，３の取付は位置が特定され
、また、少なくとも２種類以上のレストボタンまたはロ
ケータが必要となり、コストアップになる。

そこで、本発明では、チップ側に細工することによって
、これらの問題を解消している。

すなわち、ダイヤモンドチップ３のチップ本体３０の各
側面３２の正面３１に対する逃げ角ａ′を、前記超硬チ
ップ２の各側面２２の正面２１に対する逃げ角ａと同等
に形成し、さらに、超硬チップ２の原形が一辺の長さが
Ｌｌの正方形であるのに対し、チップ本体３０の巾Ｌ２
をＬｌより小さく、高さＬ３をＬｌより大きく形成し、
以って、前記カッタ一本体１に対して径方向の位置決め
をする前記チップ本体３０の側面３２から仕上切削用切
刃のノーズ部４３までのカッター径方向の距離（＃Ｌ２
）が前記主切削用超硬チップ２のそれ（≠Ｌ、）よりも
小さく、前記カッタ一本体１に対して軸方向の位置決め
をする前記チップ本体３０の側面３２から前記ノーズ部
４３までのカッター軸方向の距離（ξＬａ ）が前記主
切削用超硬チップ２のそれ（＃Ｌ、）よりも大きく形成
している。

こうすれば、このダイヤモンドチップ３を任意のチップ
ポケット１１′に超硬チップ２と同じ取付手段で取付け
るだけで、自動的にその刃先部が超硬チップのそれより
も半径方向内方に位置し、かつ軸方向外方に突出した状
態で取付けられることになる。

なお、この実施例では前記刃先片４の正面４１をチップ
本体３０のすくい面３３と面一または平行で正面３１に
対し角度ｇ （ｇ＞ｄ’）で傾斜しているので、上記方
法でチップ本体３０の正面３１のアキシャルレーキ角ｄ
′を正のすくい角で取付けても、刃先片４の正面４１の
実質上のアキシャルレーキ角ｊは負のすくい角となる。

また、上記ダイヤモンドチップ３の各切刃４２．４４は
チップ本体３０の側辺３５，３６に対し角度ｂ３．ｂ４
で傾斜しているので、外周切刃４２の実質上のリード角
ｆ′はｅ′＋ｂ３となり、正面切刃４４はその命中が被
削材に水平に作用することになり、以って所定の仕上切
削を行ない得るものとなる。

この場合、ダイヤモンドチップ３を仕上切削用として用
いるようにしているので、その切込深さは僅か（０，０
１〜０．５ｍｍ程度）でノーズ部４３の範囲内であり、
従って刃先片４の外側辺部には必ずしも外周切刃４２を
設ける必要はない。

上記の如く構成した正面フライスカッターを用いるなら
ば、被削材５に対し、まず複数個の主切削用超硬チップ
２の各切刃２３，２５とノーズ部２４にて所定の切込深
さｔｌで切削し、その後さらに仕上切削用ダイヤモンド
チップ３にて仕上切削することができる。

このとき、複数個の超硬チップ２にて主切削した後を１
枚のダイヤモンドチップ３にて仕上切削するものであり
、かつその仕上切削時の切込深さｔ２は極く僅か（０，
０１〜０．５ｍｍ程度）で、しかも該チップ３の仕上用
正面切刃４３が被削材５に対し、ある程度の巾１３をも
っていわゆるサラエ刃として作用するので高精度の仕上
切削を行なうことができる。

またこの実施例では、各超硬チップ２もその正面切刃２
３がサラエ刃としである程度の仕上効果を発揮できるよ
うにしであるので、ダイヤモンドチップ３にか・る負荷
が一層軽減され、より高精度の仕上切削が行なわれるよ
うになっている。

ただし、この場合、たとえ仕上切削用チップ３にかかる
負荷を軽減したとしても、この仕上切削用チップに従来
と同様つまり前記超硬チップ２と同様のチップを用いた
ので゛は、ダイヤモンドチップに比べて刃先の摩耗およ
び勿ケが著しく、長時間使用すれば面粗度が悪くなり、
所期の仕上面精度を得ることができなくなる。

然るに、本発明によれば仕上切削用チップ３としてダイ
ヤモンドチップを用いているので、チップ寿命を大巾に
向上でき、長時間使用しても常に所期通り高精度の仕上
切削を行なうことができる。

しかもダイヤモンドはチップ刃先部のみに使用し、ダイ
ヤモンド使用量を必要最小限に抑えているので、ダイヤ
モンドチップを比較的安価に製作できる。

ところで、上記実施例では、複数個の主切削用超硬チッ
プ２に対し、仕上切削用ダイヤモンドチップ３を１個だ
け取付けた場合について説明したが、該ダイヤモンドチ
ップ３を２個以上取付けてもよい。

また、前記各チップ２，３をカッタ一本体１に取付ける
際、図例の如く、各チップ２，３のラジアルレーキ角Ｃ
，Ｃ’を５〜２０度（たとえば１２度）とし、アキシャ
ルレーキ角ｄ、ｄ’をで゛きるだけ大きな正のすくい角
で５〜２５度（たとえば１５度）とし、たパシダイヤモ
ンドチツプ３の実質上のアキシャルレーキ角ｊは−５〜
−１０度（たとえば−６度）とし、リード角ｅ、ｅ’を
できるだけ小さく０〜３０度たとえば２度２５分として
用いるならば、チタンやアルミニウム、アルミ合金等の
非鉄金属、強靭な繊維質の新材料のように非常に加工し
難い材料でも、スムーズにかつ効率よく切削できるので
ある。

ただし、本発明によるときは、上記各チップのすくい角
を特定するものではなく、たとえば鋼や鋳鋼その他の一
般加工用としてラジアルレーキ角を負のすくい角に設定
し、ステンレスやダイス鋼などの難削材用としてリード
角をできるだけ大きくしてもよく、各チップ２，３の各
すくい角は被削材に応じて自由に決定できる。

また、各チップ２．３の形状も特に限定せず、三角、丸
角等のチップを用いてもよい。

ダイヤモンドチップ３の刃先片４もチップ本体３０の一
隅角部のみに設ける場合に限らず、工具上の隅角部に取
付けてもよい。

また、刃先片４の正面４１をチップ本体３０の正面３１
と面一もしくは平行に取付けてもよい。

この場合、仕上切削用切刃の各すくい角が主切削用切刃
の各すくい角とほぼ同一になる。

なお、該刃先片４の正面４１のチップ本体３０の正面３
０に対する傾斜角に応じて該仕上切削用切刃の各すくい
角を任意に決定できる。

各チップの取付手段は、レストボタン１２，１２’を用
いる場合に限らず、ロケータ−やクランプ金具を用いて
もよいし、ウェッジのみで取付けてもよく、その取付手
段は所望に応じて任意に決定し得る。

その他各部の具体的構造は、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内で任意に設計変更し得るところである。

以上説明したように、本発明によるときは、ダイヤモン
ドチップを用いているので、従来の超硬チップのみによ
る正面フライスカッターに比べてその寿命を大巾に向上
でき、長時間使用しても、常に所期通り良好な切削面を
得ることができる。

しかも、仕上切削用チップに関し、ダイヤモンドは刃先
部のみに使用し、その使用量を必要最小限に抑えている
ので、比較的安価に製作できる。

また、一つのカッタ一本体に主切削用超硬チップと仕上
切削用ダイヤモンドチップを取付けているので、一つの
カッターでいわゆる荒削りから仕上切削まで同時に行な
うことができ、大きな切込深さでしかも仕上面精度の非
常に優れた切削加工を行なうことができ、切削工程を大
巾に短縮できる。

さらに、仕上切削用チップを工夫して、主切削用チップ
と仕上切削用チップを同等の取付は手段で取付けること
ができるようにしであるので、仕上切削用チップを取付
けるためにカッタ一本体のチップポケットに特別の加工
を施す必要がなく、カッタ一本体を容易に製作できると
共に、仕上切削用チップ専用のレストボタンやロケータ
を不要にし、主切削用と仕上切削用の各チップに対して
同等のレストボタンやロケータを使用で゛き、これによ
って大巾なコストダウンを図ることができる。

しかも、仕上切削用チップの取付は位置に制約をうける
ことなく、任意のチップポケットに簡単に取付けること
ができ、チップの取付け、カッターの組立て時の作業性
を向上できる。

また、このように仕上切削用チップを主切削用チップと
同等の取付は手段で取付けるだけで、自動的に仕上切削
用切刃を主切削用切刃よりも半径方向内方に位置させ、
かつ、軸方向外方に突出させて取付けることができ、仕
上切削用切刃に過負荷がかかることなく、主切削と、仕
上切削を適正に行わせて切削性能を向上できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は超硬チップとダイヤモンドチップを併用した正
面フライスカッターの実施例を示す底面図、第２図はそ
の要部の縦断面図、第３図は超硬チップの一例を示す正
面図、第４図はその側面図、第５図はその取付状態を示
す要部の側面図、第６図はダイヤモンドチップの一例を
示す斜視図、第７図はその正面図、第８図はその側面図
、第９図はその取付状態を示す要部の側面図、第１０図
は第１図のカッターによる切削状態を示すチップ投影面
からみた説明図、第１１図はそのチップ回転方向に沿っ
て断面した説明図である。 １・・・・・・カッタ一本体、１１，１１’・・・・・
・チップポケット、２・・・・・・主切削用超硬チップ
、２３・・・・・・その外周切刃、２４・・・・・・そ
のノーズ部、２５・・・・・・その正面切刃、３・・・
・・・仕上切削用ダイヤモンドチップ、３０・・・・・
・そのチップ本体、４・・・・・・多結晶ダイヤモンド
製刃先片、４２・・・・・・その外周切刃、４３・・・
・・・そのノーズ部、４４・・・・・・その正面切刃、
ｃ、ｃ’・・・・・・ラジアルレーキ角、ｄ、ｄ’・・
・・・・アキシャルレーキ角、ｅ、ｅ’・・・・・・リ
ード角、ｆ、ｆ’・・・・・・外周切刃の実質リード角
、ｊ・・・・・・ダイヤモンドチップの実質アキシャル
レーキ角。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下面周辺部に複数個のチップポケットを備えた正面
   フライスカッタ一本体と、主切削用切刃を備えた複数個
   の主切削用スローアウェイ超硬チップと、仕上切削用切
   刃を備えた１乃至数個の仕上切削用スローアウェイダイ
   ヤモンドチップとを具備し、前記仕上切削用ダイヤモン
   ドチップは、そのチップ本体の刃先部にダイヤモンド粉
   末を高温高圧下で焼結してなる多結晶ダイヤモンド製刃
   先片がロー付けされ、その刃先片の先端に被削面に対し
   て所定の幅をもって平行に対向する仕上切削用切刃が形
   成され、かつ、前記カッタ一本体に対して径方向の位置
   決めをする前記チップ本体の側面から仕上切削用切刃の
   ノーズ部までのカッター径方向の距離が前記主切削用超
   硬チップのそれよりも小さく、前記カッタ一本体に対し
   て軸方向の位置決めをする前記チップ本体の側面から前
   記ノーズ部までのカッター軸方向の距離が前記主切削用
   超硬チップのそれよりも大きく形成され、前記各主切削
   用超硬チップと仕上切削用ダイヤモンドチップがカッタ
   一本体のチップポケットに同等の取付は手段で取付けら
   れ、前記仕上切削用切刃が前記主切削用切刃に対して半
   径方向内方に位置すると共に、軸方向外方に突出するよ
   うに構成されていることを特徴とする正面フライスカッ
   ター。