JPS5939101Y2 - 車両用マスタシリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば自動車のブレーキマスクシリンダとし
て用いられる車両用マスクシリンダに関するものである
。

近年、車両の軽量化を計る一環として、樹脂材料で底型
したシリンダ本体内に、ピストンカップを取付けたピス
トンを組込み、ピストン及びピストンカップがシリンダ
本体のシリンダ内壁と摺動するようにしたマスクシリン
ダが提案された。

しかしながら、シリンダ本体のシリンダ内壁の仕上り精
度が機械加工を施したシリンダ内壁に比べて相当に悪い
こと、及び、ピストンの摺動によりシリンダ本体のシリ
ンダ内壁に傷がつき易いことから、ピストンカップのシ
ール作用が損なわれて液洩れ等機能上の欠陥につながる
心配があった。

本考案は、樹脂材料で底型したシリンダ本体内に金属ラ
イナを配設してこの金属ライナ内でピストン及びピスト
ンカップを摺動させることにより前記の如き心配を低減
せんとするもので、その要旨とするところは、閉塞端側
の小径部と開口端側の大径部及びこれら小径部と大径部
とを境界する中径部とからなる段付のシリンダ内壁を有
するとともに開口部の外周に車両のダツシュボードに取
りつけるための゛フランジ部を有し、且つ、前記中径部
の長さと前記大径部の長さとの和がピストン摺動行程長
よりも短く設定されたところの樹脂材料により成型され
たシリンダ本体と、前記シリンダ内壁の前記中径部及び
前記大径部にそれぞれ挿入されるべき小外径部及び大外
径部を有するとともに前記シリンダ内壁の前記小径部と
略同径の実質的に一定径の内径を有し、且つ、これら小
外径部及び大外径部が前記シリンダ内壁の前記中径部及
び大径部よりもそれぞれ長く設定されているとともにそ
の全長がピストン摺動行程長よりも若干長く設定された
ところの前記シリンダ本体に挿入された金属ライナと、
前記金属ライナの前記小外径部と前記シリンダ内壁の前
記大径部間に介装された環状シール部材と、その外周に
ピストンカップを嵌装されていて前記金属ライナの内径
に摺動可能に挿入されたピストンと、前記ピストンの外
端にその一端の頭部を当接して前記ピストンを押すブツ
シュロッドと、前記シリンダ本体の前記フランジ部と前
記ダツシュボードで挟着される延長部と前記金属ライナ
の前記シリンダ本体からの突出部分を受は止め前記ブツ
シュロッドの前記頭部とともに包容する底部とを有して
いて前記金属ライナ及び前記ブツシュロッドを前記シリ
ンダ本体に係止部材とを備えた車両用マスクシリンダに
ある。

以下、本考案の実施例を図面に基いで説明することによ
り、本考案を一層明らかとする。

１は樹脂材料で成型されたマスクシリンダ本体、２はピ
ストン、３はバルブリテーナ、４はバルブ、５は前記ピ
ストン２とリテーナ３間に張設されたピストンリターン
スプリングである。

また、６゜６′は夫々ピストンカップであり、７は図示
せぬブレーキペダルの作動を受けるブツシュロッド、９
はアルミニウム、鋳鉄、炭素鋼等任意材料よりなる金属
ライナである。

マスクシリンダ本体１は、閉塞端側の小径部１ａと開口
端側の大径部１ｃに及びこれら小径部と大径部とを境界
する中径部１ｂとからなる段付シリンダ内壁を有すると
ともに開口端部の外周に車両のダツシュボード１２に取
付ボルトで取りつけるためのフランジ部１ｄを有してい
る。

また、シリンダ内壁の中径部１ｂの長さとシリンダ内壁
の大径部１ｃの長さとの和はピストン摺動行程長よりも
短く設定されている。

金属ライナ９は、シリンダ内壁の中径部１ｂ及び大径部
１ｃにそれぞれ挿入されるべき小外径部及び大外径部を
有するとともにシリンダ内壁の小径部１ｃと略同径の実
質的に一定径を有している。

金属ライナ９の小外径部及び大外径部はシリンダ内壁の
中径部１ｂ及び大径部１ｃよりもそれぞれ長く設定され
でおり、また金属ライナ９の全長ｌはピストン摺動行程
長よりも若干長く設定されており、その大外径部の大半
がシリンダ本体の外に突出している。

金属ライナ９の小外径部の長さがシリンダ内壁の中径部
１ｂの長さよりも長いことにより金属ライナ９の小外径
部の端部がシリンダ内壁の大径部１ｃと対向するもので
、この対向部には環状シール部材８が介装されている。

ピストン２はその外周にピストンカップ６．６′を嵌装
されていて金属ライナ９の内径に摺動可能に挿入されて
いる。

ブツシュロッド７はその一端の頭部をピストン２の外端
に当接し、ブレーキペダル作動によりピストン２を図面
左方向へ押す。

係止部材１０はシリンダ本体１のフランジ部１ｄとダツ
シュボード１２とで挟着される延長部１０ｂと金属ライ
ナ９のシリンダ本体１からの突出部分を受は止めブツシ
ュロッド７の頭部とともに包容する底部１０ａとを有し
ていて金属ライナ９及びブツシュロッド７をシリンダ本
体１に係止する。

延長部１０ｂはシリンダ本体１のフランジ部１ｄのボル
ト挿通孔に嵌挿された金属カラー１３と溶着されている
が、この溶着を止めても支障はない。

尚、１１は係止部材１０およびブツシュロッド７上に防
埃等のため設けられたブーツである。

如上の如き槽底の本考案は次の効果を奏する。

■ 樹脂材料で成型したシリンダ本体内に実質的に一定
径の内径を有した金属ライナを挿入し、この金属ライナ
内をピストン及びピストンカップが摺動するようにした
ため、ピストンカップに所期のシール作用を期待でき、
ピストンカップのシール作用の不良による液洩れを従来
よりも低減できる。

■ シリンダ本体のシリンダ内壁を小径部く中径部及び
大径部とからなる段付のシリンダ内壁とし、これら中径
部及び大径部の各長さの和をピストン摺動行程長さより
も短くし、金属ライナの小外径部及び大外径部をシリン
ダ内壁の中径部及び大径部にそれぞれ配設するとともに
金属ライナの全長をピストン摺動行程長よりも若干長く
設定したため、シリンダ本体又はシリンダ内壁の全長に
亘り金属ライナを配設する場合に比べ、シリンダ本体及
び金属ライナの各長さを短くでき、従って重量及び材料
費を低減でき、且つ金属ライナの挿入作業も容易である
。

■ 金属ライナの小外径部の長さをシリンダ内壁の中径
部よりも長くして金属ライナの小外径部の端部をシリン
ダ内壁の大径部と対向させ、この対向部に環状シール部
材を介装したので、シリンダ本体と金属ライナの熱膨張
差や金属ライナ及びシリンダ内壁の各部の長さ寸法のば
らつきの影響を受けることなく環状シール部材が金属ラ
イナとシリンダ内壁間をシールし、金属ライナとシリン
ダ内壁間から液洩れを生じる恐れもない。

■ シリンダ本体のフランジ部と車両のダツシュボード
とで挟着させる延長部と金属ライナのシリンダ本体から
の突出部分を受は止めブツシュロッドの頭部とともに包
容する底部とを有する係止部材によって金属ライナとブ
ツシュロッドをシリンダ本体に係止させたので、金属ラ
イナとブツシュロッドとを別々の係止部材でシリンダ本
体に係止させる場合に比べて部品点数が少なくて済む。

■ 係止部材を取り外し、金属ライナのシリンダ本体外
へ突出した部分を把むことにより金属ライナや環状シー
ル部材をシリンダ本体から簡単に取り出すことができ、
従って金属ライナや環状シール部材が損傷した時はこれ
らのみを交換することで再生でき、経済的である。

■ 金属ライナの内径をシリンダ内壁の小径部と略同−
にしているので、ピストンとシリンダ本体の閉塞端間に
配置する部品の組み込み及び取出し時にこれら部品が金
属ライナの内端やシリンダ内壁の小径部端に引掛って作
業性を悪化させる心配もない。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の実施例の中央断面図である。 １・・・・・・本体、２・・・・・・ピストン、６．−
・・・・・ピストンカップ、７・・・・・・ブツシュロ
ッド、８・・・・・・シール部材、９・・・・・・金属
ライナ、１０・・・・・・係止部材、１２・・・・・・
ダツシュボード、１３・・・・・・金属カラー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 閉塞端例の小径部と開口端例の大径部及びこれら小径部
   と大径部とを境界する中径部とからなる段付のシリンダ
   内壁を有するとともに開口端部の外周に車両のダツシュ
   ボードに取りつけるためのフランジ部を有し、且つ、前
   記中径部の長さと前記大径部の長さとの和がピストン摺
   動行程長よりも短く設定されたところの樹脂材料により
   底型されたシリンダ本体と、 前記シリンダ内壁の前記中径部及び前記大径部にそれぞ
   れ挿入されるべき小外径部及び大外径部を有するととも
   に前記シリンダ内壁の前記小径部と略同径の実質的に一
   定径の内径を有し、且つ、これら小外径部及び大外径部
   が前記シリンダ内壁の前記中径部及び大径部よりもそれ
   ぞれ長く設定されているとともにその全長がピストン摺
   動行程長よりも若干長く設定されたところの前記シリン
   ダ本体に挿入された金属ライナと、 前記金属ライナの前記小外径部と前記シリンダ内壁の前
   記大径部間に介装された環状シール部材と、その外周に
   ピストンカップを嵌挿されていて前記金属ライナの内径
   に摺動可能に挿入されたピストンと、 前記ピストンの外端にその一端の頭部を当接して前記ピ
   ストンを押すブツシュロッドと、前記シリンダ本体の前
   記フランジ部と前記ダツシュボードとで挟着される延長
   部と前記金属ライナの前記シリンダ本体からの突出部分
   を受は止め前記ブツシュロッドの前記頭部とともに包容
   する底部とを有していて前記金属ライナ及び前記ブツシ
   ュロッドを前記シリンダ本体に係止する係止部材とを備
   えた車両用マスクシリンダ。