JPS5932569Y2 - 焼結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、粉末体にアイソスタティックな圧縮圧力を作
用させながら加熱焼結する焼結装置の改良に関する。

従来から、ゴムや合成樹脂の如き可撓性膜からなる袋状
体を耐圧容器内に収納し、耐圧容器内に油圧等液圧や気
圧、その他パンチ圧力を加えて加圧することにより、可
撓性膜の内部に充填される焼結粉末に外周全域から均一
な圧縮圧力、即ちアイソスタティックな圧縮圧力を作用
させながら加熱焼結する装置が知られており、この場合
加熱手段として可撓性膜の外部から加熱すると、ゴムや
合成樹脂等からなる可撓性膜が耐熱性に優れず、熱によ
り容易に変質劣化変形を起してしまうため通常は可撓性
膜と焼結粉末との間に耐熱断熱材を介在させると共に、
可撓性膜からなる袋状体の内部に通電電極を挿入配置し
て、焼結粉末をジュール熱によって通電加熱焼結したり
、放電焼結する方法が採られている。

しかして、このような従来の装置に於いては、高温とな
る通電電極を、可撓性膜を貫通して内部に挿入配置する
必要があるため、袋状体の水密気密構造が複雑となり、
また、可撓膜の電極貫通部では、電極及び電極の支持部
材や絶縁部材等の介在により、その部分だけ可撓性がな
いか、あるいはその部分付近だけ、他の部分に比較して
充分な可撓性が得られなくなり、袋状体を外周からアイ
ソスタティックに加圧したとしても、前記電極貫通部付
近から袋状体の中心に向う加圧力は、他の袋状体部分か
らの加圧力と等しくなり得ず、従って袋状体内部の焼結
粉末体を外周全域から真に均等に加圧することが困難で
あった。

本考案は以上の点に鑑み、可撓性膜からなる袋状体の内
部に通電電極を挿入することなく、袋状体の構造を簡単
にすると共に、内部の焼結粉末体を袋状体の全外周から
真に均等加圧しながら加熱焼結することを目的として提
案されるものであり、予め加圧成形してなる焼結粉末体
を導電性粉末中に埋め込み充填し、該導電性粉末の周り
を少くとも一層以上の耐火断熱絶縁性粉末で覆い、これ
ら粉末層を可撓性膜で包み込むようにして、該可撓性膜
の外部から、液圧等によりアイソスタティックプレスを
行なうと共に、可撓性膜を囲繞してコイルを設け、この
コイルに加熱用高周波電流を流すことにより、コイル内
に存在する前記導電性粉末並びに焼結粉末体を高周波加
熱することを特徴とするものである。

以下図面に基づき本考案を説明する。

図面は、本考案の１実施例装置を示す断面図であり、１
は予め加圧成形して一体形または分割集合なる焼結粉末
体、２は該焼結粉末体１を内包する通常２分割粉末型ま
たは介在導電性粉末層、３は該導電性粉末層を包囲して
配置される通常２分割の粉末型である耐火、断熱、絶縁
性粉末層であり、４は前記各粉末層及び粉末体を内在包
囲し、好ましくは脱気して密閉される可撓性膜あるいは
更に弾性をも有する膜からなる袋状体、５は内部に収納
される前記袋状体４と内壁との間に加圧室６を形成する
耐圧容器であり、バッキング７を介して蓋体８と締付は
部材９により耐圧密閉される。

１０と１１は、前記耐圧容器５に設けられる圧油の供給
並びに排出口であり、油は貯油槽１２からポンプ１３に
よって加圧室６内に供給される。

１４は袋状体４を囲繞して加圧室６内に設けられる線輪
、１５は該線輪に接続される高周波電源（使用周波数は
通常４００ ＫＨｚ〜４ ＭＨｚ、程度）である。

前記袋状体４を構成する可撓性膜としてはゴム・合成樹
脂あるいは薄い金属の板や、これ等を数種張り合わせた
膜が用いられ、また耐火断熱絶縁性粉末３としては、ア
ルミナＡｌ２Ｏ３や該アルミナを一度熔融したアランダ
ム、あるいはジルコニアＺｒＯ２等が適宜採用され、こ
れ等粉末の１種を用いる他、２種の粉末で２層構造とし
て、導電性粉末に接する内側の層を耐熱性の高い粉末と
し、可撓性膜に接する外側の層を断熱性に優れた粉末と
する等、各種の構成が採られる。

導電性粉末２としては炭素（グラファイト）粉末等が用
いられ、また焼結粉末体１は導電性粉末に限らず、非導
電性粉末の焼結も行なわれる。

加圧室６に供給される圧力媒体としては、油圧の他・各
種液圧・空気圧・ガス圧等が適宜用いられる。

以上の構成に於いて、ポンプ１３から高圧油を供給し、
加圧室６の圧力を高めると、袋状体４を形成する可撓性
膜は全外周から圧縮され撓みながら内部の粉末に周囲全
体から均一に圧縮圧力を加えることになり、各粉末層２
，３は粉末量流動し／ なから内部の焼結粉末体１の外周全域からアイソスタテ
ィックな圧縮圧力を作用すると共に、導電性粉末層２が
焼結粉末体１の全外周に均質密度で接触介在することに
なる。

この状態に於いて、高周波電源１５から、高周波電流を
線輪１４に通電すると、線輪内に存在する各粉末は高周
波加熱され、焼結粉末体１が金属等導電性粉末からなる
場合には、焼結粉末体１と導電性粉末体２には、電磁誘
導による渦電流が生じ、渦電流損によって発生する熱の
ために内部から均一に加熱される。

こうして、焼結粉末体１は、自ら発生する熱により内部
から均一に加熱されると共に、周囲に包囲接触する導電
性粉末の発熱によっても加熱され、周りを加熱雰囲気で
包まれた状態で熱拡散処理が行なわれるようになり、焼
結粉末体１内部に於いては、温度勾配が小さい状態で均
質に拡散結合が行なわれることになる。

そして、充分な熱処理が済んだ所で、例えば粉末体１の
収縮を検出して加圧室６の圧力を更に高め、目的に応じ
て５０〜５０００ ｋｇ／ｃｒｉｔ程度の高圧縮圧力を
焼結粉末体の全周囲から加えて焼結を完了させる。

この加熱焼結に当ってその期間中袋状体４内部を強制的
に脱気してやることが必要な場合が少なくない。

このように、焼結粉末が導電体からなる場合には高周波
コイル内に置かれた焼結粉末体１は１誘導加熱されて焼
結するものであるため、導電性粉末２を周囲に接触媒介
させなくても焼結を行なうことは可能であるが、外周全
域からの導電性粉末の発熱による加熱雰囲気の中で焼結
を行なった方が、焼結粉末体内部の温度勾配が少なくな
り、熱的歪みの無い均質な焼結を行なうことができる。

本考案では、導電性粉末の他、非金属やセラミック・サ
ーメット等の誘電体粉末の焼結も行なうことができ、そ
の場合には、焼結粉末体１を構成する誘電体は、周囲に
接触介在する粉末体１が導体の場合よりも少し厚く介在
させられる導電性粉末層２の誘導加熱によって全外周か
ら加熱されると共に、焼結粉末体内部も、誘電損失によ
って内部からゆるやかに加熱されて良好な焼結が行なわ
れる。

以上のようにして、導電体、誘電体を問わず良好な焼結
が行なわれることになるが、誘導加熱される導電性粉末
層２と可撓性膜４との間には耐熱性断熱性の高い粉末層
３が介在しているため、誘導加熱や誘電加熱によって内
部で発生した熱の外部への放散漏洩を防止し焼結粉末体
を集中的に加熱して効率のよい焼結が行なわれるととも
に、比較的熱に弱い可撓性膜を熱から保護し、熱による
変質・劣化・変形等を防止して可撓性膜の寿命を伸ばす
ことができる。

また、導電性粉末層２も加圧加熱されることになるが、
耐熱性の高い炭素（グラファイト）粉末等を用いれは、
或いは層の厚さ方向に粒度を調整すること等により粉末
結合を生ずることはなく、軽い衝撃振動によって容易に
くずれ落ち、剥離するため、容易に内部の焼結体を取り
出すことができる。

またセラミック等誘電体を焼結する場合は、耐火断熱層
３を構成する粉末と、焼結粉末体１とが似たような種類
の粉末となることもあるが、中心部に集中蓄積される熱
によって焼結粉末体１が集中的に加熱されると共に、粉
末層３は圧力媒体によって冷却されるため、耐火断熱粉
末３は粉末結合を生ずることがなく、容易に内部の焼結
体１を取り出すことができる。

このように本考案によれば、袋状体を構成する可撓性膜
の外周から内部の焼結粉末体をアイソスタティックに加
圧しながら、高周波加熱によって焼結を行なうものであ
るから、通電加熱のように可撓性膜の内部に通電電極を
挿入配置する必要がなく、袋状体を簡単な構成として真
に全外周から内部の粉末を均等に加圧することができ、
また高周波加熱により、焼結粉末体内部を均一に加熱す
ると共に、周りを包囲する導電性粉末層も同時に加熱さ
れるため、焼結粉末体内部に於ける圧力歪みや温度勾配
が少ない状態で焼結が行なえ、この結果機械的応力歪み
や熱的歪みによる割れ等のない均質で良好な焼結を行な
うことができ、また、焼結粉末として導電体、誘電体の
別なく焼結が行え、セラミックやサーメットの焼結に於
いても、加圧力が全外周から均等に与えられつつ、加熱
も誘導加熱される導電性粉末によって全外周から均等に
加熱されると共に、誘電体からなる焼結粉末体内部も誘
電加熱によって内部から均一に加熱されることにより、
内部の温度勾配が少ない状態で焼結が行なわれるため、
比較的大きく、且つ均質なセラミック等を受ることかで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例装置を示す断面図である。 １は焼結粉末体、２は導電性粉末層、３は耐火断熱絶縁
性粉末層、４は袋状体、５は耐圧容器、６は加圧室、７
はバッキング、８は蓋体、９は締付は部材、１０は供給
口、１１は排出口、１２は貯油槽、１３はポンプ、１４
は線輪、１５は高周波電源。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加圧成形してなる焼結粉末体を内包する導電性粉末層と
   、該導電性粉末層を包囲して配置される耐火断熱絶縁性
   粉末層と、前記焼結粉末体並びに前記各粉末層を包囲内
   在せしむる可撓性膜からなる袋状体と、該袋状体を収納
   する耐圧容器と、該耐圧容器と前記袋状体との間に形成
   される加圧室に対する圧力媒体の加圧供給装置と、前記
   加圧室に前記袋状体を囲繞して設けられる線輪と、該線
   輪に接続される高周波電源とを備えてなることを特徴と
   する焼結装置。