JPS5928425B2 - 連続鋳造用鋳型銅板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は連続鋳造（以下連鋳）用鋳型銅板に係り、詳し
くは、表面に炭素繊維材の被覆層を具え、高強度、高硬
度で耐摩耗性に優れる鋳型銅板に係る。

＝般に、連鋳鋳型銅板の鋳片と接触する面には、Ｃｒメ
ッキあるいはＮｉメッキが行われている。

これは銅板が直接、鋳片と接触すると、鋳片表面に銅（
以下Ｃｕという）が付着し、とのＣｕが鋳片表層部の結
晶粒界に侵入し、鋳片表面にひび状あるいは星状の割れ
を引起こすので、それらを防止するためである。

また、銅板上にＣｒメッキ層あるいはＮｉメッキ層が存
在しても、鋳型表面に次のような問題が生じる。

１）Ｃｒメッキの場合は、硬いので耐摩耗性は優れてい
るが、通常、第１図ａに示す如（、鋳型銅板１の下部で
は剥離を起こし易い（第２図ａにおいて符号２はＣｒメ
ンキの剥離部を示す）。

２）Ｎｉメンキの場合は、剥離し難いが、軟らかいので
耐摩耗性が劣るほか、第１図すに示す如（、鋳型銅板１
の溶鋼のメニスカス直下の高温となる部位において熱割
れ３が多発し易い。

このような、剥離したり割れが多発したメッキ鋳型を使
用すると、鋳片表面性状が劣化するので、そのような現
象が発生すると使用中止し、メッキ面を機械切削した後
、新しくメッキをやり直す必要がある。

以上要するに、鋳型銅板の鋳片との接触面にＣｒメンキ
や、Ｎ１メッキが行われているが、この鋳型銅板であっ
ても、耐使用回数が十分でな（、より寿命の長い鋳型銅
板の開発が望まれている。

本発明は上記欠点の解決を目的とし、具体的には、上記
要請に十分応じられるものとして耐摩耗性、耐熱割れ性
ならびに耐食性に優れる鋳型銅板を提供する。

すなわち、本発明は鋳片と接触する面に炭素繊維材の被
覆層を具えて成ることを特徴とする。

以下、図面によって本発明について詳しく説明する。

まず、第２図は本発明の一つの実施例に係る鋳型銅板の
縦断面図であって、鋳型銅板１の鋳片と接触する面１ａ
上に被覆層４を設ける。

この被覆層４は炭素繊維材から構成し、この被覆層４は
通常耐熱性の無機接着剤５を用いて、鋳型銅板１の鋳片
と接触する面１ａ（以下、接触面という）を被覆すれば
十分である。

このように、鋳型鋼板の接触面に炭素繊維材から成る被
覆層を設けると、その被覆層が高強度、高硬度であるた
め、耐摩耗性に優れ、耐熱割れ性、耐熱疲労性ならびに
耐食性が良好であるので、耐久性が向上し、優れた連鋳
鋳型銅板が得られる。

また、このように、炭素繊維から成る被覆層を耐熱性の
無機接着剤で被覆する場合に、接着剤は耐熱度が１００
０〜１３００℃程度のものを使用するのが好ましいが、
耐熱度がこれ以下であっても、鋳型銅板表面温度は、高
速鋳込の場合でもせいぜい４００〜６００℃であるから
、密着性に関し全く問題がない。

なお、通常用いられる接着剤を例示すると、東亜合成化
学■製、商品名アロンセラミックＤ、にならびにＣ等で
ある。

また、炭素繊維材としては、＝般に市販され℃いるもの
であれば何れでも良く、これら炭素繊維材は通常薄布状
のものとして使用すれば十分であって、炭素繊維材とし
ては、東洋レーヨン■製、商品名１トレカ１のクロス、
マント、プリプレグ、呉羽化学■製りレハカーボンファ
イバーのクロス、シート、ペーパー等が使用できる。

また、炭素繊維材から成る被覆層は上記の如（接着剤を
介して被覆しな（とも、何れの方法で取付けても良い。

ヶ次に、実施例について説明する。

まず、厚さ２００ｍＸ巾１０２０〜１５４０ｍ×長さ７
００ｒｒａｎのＣｕ −Ｃｒ合金から成る鋳型銅板の鋳
片との接触面に、東洋レーヨン■製トレカのクロス（厚
さ１．０ｍ）を接着剤（東亜合成化学■製アロンセラミ
ック）を用いてはり付けて鋳型銅板をつ（つた。

また、比較のために、上記のところと同様な鋳型銅板に
おいても、接触面にＣｒメンキ（厚さ０．５ｒｒａｎ）
とＮｉ メッキ（厚さ１．５ｍ）とを行って、従来例に
係る２種の鋳型銅板をつ（つた。

次に、上記の３種の鋳型銅板を連鋳機に取付けて、何れ
も鋳込速度ｉ、ｏ〜Ｌ４ｍ１分で造船用厚板及び熱延、
冷延鋼板用等の鋳片を連続鋳造し、この際の使用可能回
数を求めたところ、次表の通りであった。

なお、上記使用可能回数中には改削、補修して使用した
場合も含めた。

この結果、従来例に係る鋳型銅板の平均寿命はＣｒメン
キのもので１９６回、Ｎｉメンキのもので８５１回であ
るのに対し、本発明に係る鋳型銅板１３０２回であつ℃
、従来例の１．５〜６．６倍に寿命が延び、その優秀な
ことがわかった。

また、この際、改削、補修等を行なえば使用できる状態
のものは未だ使用可能であるとして使用したが、このと
きに、本発明に係るものは被覆層が炭素繊維材から成る
ため、素材そのものの特性によつ℃優秀性が示されるほ
か、それに加えて、部分補修が極めて容易であった。

すなわち、部分的に使用に耐えぬ程度損傷したときは、
その損傷部分だけを）・ンドグラインダーで取除いた後
、その除去部分と同じ大きさの新しい炭素繊維材をはめ
込んで接着するだけで補修は完了できた。

また、上記の結果から、炭素繊維としては、１．０ｍ厚
前後が最適であり、０．２ｒＩａｒＬ厚以下だと補修イ
ンターバルが短くなるので手間がかかったが、あまり厚
（なると炭素繊維材が高価になるので、経済性の点から
あまり厚（ない方が好ましかつｔうまた、炭素繊維材か
ら成る被覆層を設けると、それにより鋳型銅板の剛性が
大幅に増大し、その銅板の歪（変形）がほぼ防止できた
。

以上詳しく説明した通り、本発明は鋳片との接触面に被
覆層を形成し、この被覆層を炭素繊維材から構成して成
る鋳型銅板であるから、高強度、高硬度で耐摩耗性に優
れ、被覆層の一部が破損し℃も、その部分のみを補修す
れば問題がない。

また、鋳型鋼板の表面は炭素繊維材で補強されているた
め、剛性が向上し、熱変形が全（生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図ａならびにｂは従来例に係る鋳型銅板のメッキ部
分の損傷状況を示す説明図、第２図は本発明の一つの実
施例に係る鋳型銅板の縦断面図である。 符号、１・・・・・・鋳型銅板、１ａ・・・・・・接触
面、２・・・・・・Ｃｒメンキの剥離部、３・・・・・
・熱割れ、４・・・・・・被覆層、５・・・・・・接着
剤。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋳片と接触する面に炭素繊維材の被覆層を具えて成
   ることを特徴とする連続鋳造用鋳型銅板。