JPS591882Y2 - クロ−ラ用弾性履帯 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、クローラ用弾性履帯に係り、より具体的には
全体が弾性材料で無端帯状体とされたラグ付履帯におい
て、牽引力の増進を図りながら付着上の剥離性並びに排
土性を良好にした湿田用履帯に関する。

全体がゴム等の弾性材料で無端帯状体に形成され、その
帯出方向中央部に補強骨を帯長手方向所定間隔毎に列設
埋入すると共に転輪通過面と対応する接地面側に牽引ラ
グを一体に突出した弾性履帯は既知であり、農用走行車
、畦土木用無端帯走行装置、つまり、クローラ用として
多用されている。

この種弾性履帯は湿田走行機会が多いことがら安定した
走行を確保するにはスリップのないラグによる蹴出し力
の増進を図ると共に接地ラグ間等に付着して詰った泥土
類を効果的に剥離する必要がある。

そこで、牽引力を増進するためラグ高さを大にすればよ
いが、このラグ高さは機体との関連に於ける制約がある
し、又、ラグ高さを大にすれば、湿田においてはラグ間
に土が詰りラグ効果が減少するし、詰った土の剥離性も
悪くなるという問題がある。

本考案は以上の見地に鑑み鋭意研究の成果として全体が
ゴム等の弾性材料で無端帯状体に形成され、その帯出方
向中央部に補強骨を帯長手方向所定間隔毎に埋設すると
共に、無端帯状体の転輪通過面と対応する接地面側にラ
グを一体に突出した弾性履帯において、前記ラグはひと
つおきの補強骨投影域に重ね合された中央ラグと、該中
央ラグ間における補強骨投影域に各内端が重ね合されか
つ各外端が帯出方向外方に延設された一対の側部ラグと
から構成され、前記中央ラグの長手方向面外端部の外方
域には帯出方向外方の排上部が形成され、一対の側部ラ
グの各内端間には排土部が形成され、各排土部を互いに
帯長手方向に関してつなぐ排土連絡部が形成され、更に
、転輪通過面と対応する接地両側に帯長手方向の実際帯
条体を一体に形成し、この一対の実際帯条体と前記ラグ
で無端帯状体の術中中央部を剛体域に構成すると共に、
この剛体域の両側外方の帯状体両翼部が前記実際帯条体
より接地面側がらその肉厚を漸減した可撓域に構成され
ていることを特徴とするクローラ用弾性履帯の開発に成
功したのであり、以下、図面を参照して本考案の実施例
を詳述する。

図面、特に、第９図を参照すれば、本考案の無端帯状体
１からなる無端走行装置Ａが示され、同図において、２
は駆動輪、３は遊動輪、４は中間遊転輪を示し、全体が
ゴム等の弾性材料からなる無端帯状体１は駆動輪２と遊
動輪３に巻掛けられている。

帯状体１の術中中央部には第３図、第４図で示すような
補強骨５が帯長手方向の所定間隔Ｐの下で列設埋入され
ている。

補強骨５は重作業用無端走行装置Ａの場合には左右一対
の山形突起５Ａを第３図、第４図のように一体に備える
が、軽作業用無端走行装置Ａの場合には第８図で例示す
るように中央部に橋形凹入部５Ｂを形成した薄板材で形
成する場合とがあり、いずれの補強骨５でも左右一対の
翼部５Ｃを一体に連設した金属製、例えば鋳物又は金属
成形板若しくは硬質樹脂材より構成されている。

６は駆動用保合部で、補強骨５間の中央部に形成されて
おり、該保合部６には駆動輪２の係合爪が係合し、前記
補強骨５が実質的に係合力を担持して対抗する。

なお、保合部６は当初加硫時における薄膜体で閉塞され
ているが、係合爪にて破られることになり、補強骨５の
突起５Ａにも実質的に薄膜体が被着されている。

７は転輪通過面であり、補強骨５の左右一対翼部５Ｃと
対応する反接地面側に形成されており、輪体つまり駆動
輪、遊動輪、中間遊転輪の両側胴部８を実質的に担持す
るが、この通過面７は第８図で例示する如く左右一対の
ガイドレール９の頂面で形成してもよく、この実施例に
よれば中央胴部１０が深く臨入することから脱輪をより
よく阻止する点で望しい。

なお、転輪通過面７は帯長手方向に連続していること勿
論であるが、第８図で示す実施例ではガイドレール９０
頂面に切目を形成する場合もある。

無端帯状体１の接地面側にはこれと一体に中央ラグ１１
と左右一対の側部ラグ１２が帯長手方向に所定ラグピッ
チＰ１およびＰ２の下で膨出形成されており、中央ラグ
１１のピットＰ１と側部ラグ１２のピッチＰ２は第１図
に示す望しい実施例では同−若しくは略同−ピッチとさ
れ、前記補強骨５のピッチＰの略２倍とされている。

即ち、第１図において、中央ラグ１１は補強骨５の投影
域にそのラグ付根部１１Ａのほとんどが重合されると共
に、補強骨５のひとつおきに配置されており、望しい実
施例では補強骨５の横置長さとラグ付根部１１Ａが実質
的に同一長さとして帯状体１の長手方向に直交して転輪
通過面７と対応して設けられ、かつ、ラグ頂面１１ Ｂ
が断面台形として膨出し、その両端は第１図の如く帯状
体１の長手方向に互いにずれて張出す部分１１ Ｃを備
え、しかも、中央ラグ１１の中央部１１ Ｄは一部その
高さを低くして振動阻止性を良好にしている。

又、左右一対の側部ラグ１２は相隣中央ラグ１１間にお
いて補強骨５の投影域に少なくとも一部が重合している
と共に、該一対の側部ラグ１２は左右対称配置ではなく
、帯長手方向に偏在されている。

側部ラグ１２はその付根部１２Ａからラグ頂面１２Ｂに
向って断面台形状を呈して一体に膨隆しており、相隣る
中央ラグ１１間における補強骨５の平面対角位置にラグ
頂面１２Ｂが重合しており、そのラグ頂面１２Ｂは各内
端部が保合部６の外側域にあって互いに逆方向に張出た
張出部１２Ｃを有し、各外端部は付根部１２Ａが帯状体
１の端縁まで延設するが、ラグ頂面１２Ｂは帯状体１の
端縁に至らないところで終っており、ここに、中央ラグ
１１間に側部ラグ１２がＬｌ、Ｌ２．Ｌ３の大小大のピ
ッチで配置され、第１図乃至第５図で例示する望しい実
施例では中央ラグ１１および左右一対の側部ラグ１２は
帯状体１の長手方向を直交している。

そして、中央ラグ１１の長手方向両性端部の外方域には
帯出方向外方の排土部Ａが形成され、一対の側部ラグ１
２の各内端間には排土部Ｂが形成され、各排土部Ａ、
Ｂを互いに帯長手方向に関してつなぐ排土連絡部Ｃが形
成されているのである。

１４は左右一対の伸張阻止体で、補強骨５の接地両側に
帯長手方向に連続して埋入されている。

１５は左右一対の補強用実際帯条体で、転輪通過面７の
両側長手方向に沿って接地面側に一体に突出形成されて
おり、実質的に補強骨５の両翼部端縁からの亀裂を防止
している。

Ｘは剛体域であって、無端帯状体１の帯出中央部に位置
し、帯状体１の捻れを初めとして対抗する部分であり、
前記した中央ラグ１１．側部ラグ１２および左右一対の
実際帯条体１５によって構成されている。

Ｗは可撓域であって、実質的に無端帯状体１の転輪通過
面７両側外方の翼部１Ａであって、この翼部ＩＡは前記
した実際帯条体１５より接地面側からその肉厚を漸減す
ることで構成され、この可撓域Ｗの接地面側には側部ラ
グ１２．の各外端が帯出方向外方に延設された部分にお
いて実質的にラグ高さを大きくしたことを意味する。

即ち、中央ラグ１１および側部ラグ１２の全体のラグ高
さを大きくしたのではなく、左右一対の可撓域Ｗにおい
てラグ高さを大きくし、牽引力特に湿田における牽引力
を増進しているのである。

前記可撓域Ｗにおける翼部自由端は第３図に示す如く帯
状体１の接地面から伸張阻止体１４の寸法ａに対して寸
法すで示すように上方へ大きく逃がすことにより構成さ
れ、望しくは６寸法は３寸法の２．５倍以上とされる。

なお、翼部ＩＡの接地面は第３図、第４図、第７図に示
す如く曲面を呈して肉厚を漸減する方が望しいけれども
、第８図に示す如く直線面を呈して肉厚を漸減してもよ
い。

また、翼部ＩＡの反接地面側を第７図のように転輪通過
面７より膨隆させてもよいし、可撓域Ｗにおける側部ラ
グ１２の頂面ば第７図の仮想線で示す如く斜めに形成し
てもよい。

なお、第６図は中央ラグ１１と左右一対の側部ラグ１２
とのラグパターン、特に、側部ラグ１２の配置が異る実
施例である。

即ち、各内端が相隣る中央ラグ１１間の補強骨５投影域
に対称配置で重合し、その各外端は帯出方向外方に延設
されたものである。

なお、図示しないけれども、中央ラグおよび側部ラグは
これが帯状体の長手方向に対して斜交配置された斜めラ
グであっても構わないこと勿論である。

以上のように構成された本考案の実施例によれば、無端
帯状体１は第９図に示す駆動輪２、遊動輪３等に巻掛け
され、駆動輪２の係合爪が保合部６に順次係合すること
により循環回走されてここに機体を走行する。

而して比較的硬い圃場等のように沈下量りが少ない条件
下においては第１０図にその例を示す如く接地中が小と
なる訳であるが、この部分は剛体域Ｘであることにも基
づいて直進走行性能がよくなり、走行抵抗が少なくなり
、消費馬力も小にできるのである。

又、旋回時においても帯状体１の両翼部１Ａが地表面よ
り浮き出ていることから横方向抵抗が少なく、停止側（
制動側）のねじり抵抗が小さくなり、従って馬力消費が
少なくなるばかりでなく旋回半径が小となるし、このと
き、無端帯状体１の帯出中央部は剛体域であることから
、捻れに対抗できるのである。

次に、湿田走行においては第３図示の如く剛体域Ｘのラ
グ高さＨに対して可撓域Ｗのラグ高さＨｌが大で゛ある
ことから、湿田における牽引力の増強が図れるし、剛体
域Ｘにおけるラグ高さが可撓域Ｗのそれよりも小である
ことは無端帯状体１の帯出中央部のラグ間における土の
詰まりを少なくしているので、スリップ現象が少なくな
るのであり、無端帯状体１の両翼部１Ａのラグ高さを大
きくしたとしても、この部分は可撓域Ｗであることから
して、排土性、剥離性は向上できるのである。

即ち、第１１図に示す如く無端帯状体１の巻掛は部にお
いては両翼自由端が伸張阻止体１４のラインに破線で示
す如く近づこうとする傾向になるが、このとき、両翼部
ＩＡは可撓域Ｗとされていることからその傾向はより強
くなり、側部ラグ１２間に詰った土は押し出されること
となり、排土性、土離れ、剥離性を良好にするのである
。

本考案は以上の通りであり、圃場の硬軟を問わずそれ等
に即応した走行性能を発揮するクローラ用弾性履帯とし
て実益大で゛ある。

特に、中央ラグの長手方向両端には排土部が、側部ラグ
の内端間にも排土部が形成され、両排土部を排土連絡部
で帯長手方向につないだことによって、接地面間におけ
る各ラグ間に付着する土はそれぞれ流動され、ラグ間に
詰まるのを防止できるのであり、中央ラグ両端の排土部
は可撓域とあいまってより付着した土を剥離することと
なり、ここに、スリップが少なく、牽引力が大きなりロ
ーラを提供できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の基本実施例を示す一部接地面側からの
平面図、第２図は第１図の裏面図、第３図は第２図３−
３線の、第４図は第２図４−４線の各断面図、第５図は
第２図５−５線矢示図、第６図はラグパターンを変更し
た本考案の一部平面図、第７図は本考案の他側を示す断
面図、第８図は同じく別例の断面図、第９図は無端走行
装置の概略側面図、第１０図は走行形態を示す断面図、
第１１図は排土形態を示す断面図である。 １・・・無端帯状体、ＩＡ・・・両翼部、５・・・補強
骨、７・・・転輪通過面、１１・・・中央ラグ、１２・
・・側部ラグ、１４・・・実際帯状体、Ｘ・・・剛体域
、Ｗ・・・可撓域。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全体がゴム等の弾性材料で無端帯状体に形成され、その
   帯出方向中央部に補強骨を帯長手方向所定間隔毎に埋設
   すると共に、無端帯状体の転輪通過面と対応する接地面
   側にラグを一体に突出した弾性履帯において、前記ラグ
   はひとつおきの補強骨投影域に重ね合された中央ラグと
   、該中央ラグ間における補強骨投影域に各内端が重ね合
   されかつ各外側が帯出方向外方に延設された一対の側部
   ラグとから構成され、前記中央ラグの長手方向面外端部
   の外方域には帯出方向外方の排土部が形成され、一対の
   側部ラグの各内端間には排土部が形成され、各排土部を
   互いに帯長手方向に関してつなぐ排土連絡部が形成され
   、更に、転輪通過面と対応する接地両側に帯長手方向の
   実際帯条体を一体に形成し、この一対の実際帯条体と前
   記ラグで無端帯状体の帯出中央部を剛体域に構成すると
   共に、この剛体域の両側外方の帯状体両翼部が前記実際
   帯条体より接地面側からその肉厚を漸減した可撓域に構
   成されていることを特徴とするクローラ用弾性履帯。