JPS5912445Y2 - 自動車用変速機の潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用変速機の潤滑装置に関し、詳しくは
経済性を重視した高速領域での走行と、駆動力を重視し
た低速領域の走行を切換えることができる副変速機への
潤滑の改良に関するものである。

前輪駆動を行う自動車用変速機では、クラッチ装置と主
変速機との間の空間に終減速装置が配置される関係で、
副変速機がこの終減速装置の上方の空所を利用して配置
されている。

そのため副変速機では、インプットシャフト内の軸受部
、インプットギャとカウンタギャの歯面、メインシャフ
トの二一ドル軸受、カウンタギャの軸受部と同期機構の
スプライン嵌合部、カウンタドリブンギャの二−ドル軸
受部等の潤滑を行うのに、従来はスプラッシュ潤滑で行
い、潤滑不良は油量の増大で補っている。

しかしながらこの方法では、油量が多いにもかかわらず
油が特定の個所に集中してしまい、個々の潤滑部に不足
なく確実に給油し難い。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、高
所に配置されている副変速機の各潤滑部に油を適確に供
給して、従来のスプラッシュ潤滑に比べ少ない油量で同
等以上の潤滑を行い得るように改良した自動車用変速機
の潤滑装置を提供するものである。

この目的のため本考案の潤滑装置は、副変速機の下に終
減速装置がある点に着目し、この終減速装置のリングギ
ャでかき上げた油を油棚で受け、その後にこの油棚から
油を他の油棚、ギヤに設けたかき込み用のフィン、油孔
等を用いると共にギヤの回転を利用し、ギヤ、シャフト
等を経て各潤滑部に供給することで潤滑を行うように構
或したことを特徴とする。

なお、本考案の構或中、リングギャでかき上げた油を受
ける油棚を設けた点については、実開昭４９−３７６７
７号公報に関連する先行技術があり、また、潤滑油をイ
ンプットシャフトの内側に導くようにしたものとしては
、実開昭５１−３６９号公報に記載の先行技術が知られ
ている。

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体的に説明
する。

図において、符号１は変速機ケース、２はエンジン動力
を入力するインプットシャフト、３はこのインプットシ
ャフト２に同軸上に配置されたメインシャフトであり、
これらの両シャフト２，３の間に副変速機４が設けられ
ている。

また、メインシャフト３には主変速機５の変速用のギヤ
６等が設けられて、ここで所定の変速を行うようになっ
ており、この主変速機５で変速された動力が後輪側に伝
達されると共に、ハイポイドピニオン７から上記副変速
機４の下に配置されている終減速装置８のリングギャ９
を介して前輪側に伝達される。

副変速機４においてインプットシャフト２とメインシャ
フト３の両端部の間に二一ドルの軸受１０が介設されて
おり、上記シャフト２の端部にインプットギャ１１が一
体或形され、このギャ１１がシャフト２，３と平行に配
置されたカウンタシャフト１２に軸受１３により回転自
在に設けられているカウンタギャ１４に噛合っている。

またメインシャフト３には上記力ウンタギャ１４と噛合
うカウンタドリブンギャ１５が、軸受１６により回転自
在に支承されると共に、曲玉型スペーサ１７により抜け
止めして嵌合しており、これらのインプットシャフト２
、ギャ１５及びメインシャフト３との間に同期機構（シ
ンクロメッシュ機構）１８が設けられている。

上記同期機構１８のスリーブ１９に係合しているシフト
フォーク２０は、ピン２１を介して操作用のリンク２２
に連結されており、このリンク２２によるシフトフォー
ク２０の揺動によりスリーブ１９を第１図の左側に移動
することで、インプットシャフト２とメインシャフト３
が直結して高速領域の変速が行われる。

これに対して逆にスリーブ１９を第１図の右側に揺動す
ることで、ギャ１５とメインシャフト３が結合すること
によりインプットシャフト２の動力がカウンタギャ１４
を介し減速してメインシャフト３に伝達され、これによ
り低速領域で変速が行われる。

次いでこのような副変速機４に対する潤滑装置について
説明すると、上記終減速装置８のリングギャ９の略真上
近接した個所で、リングギャ回転方向の遅れ側の接線方
向に第１の油棚２３が逆つ字形に屈曲して設けられ、こ
の第１の油棚２３の下方のインプットギャ１１の下部に
他の第２の油棚２４がそのギャ１１に沿うように彎曲し
て近接配置されている。

上記第１の油棚２３は第２図に示されるように、シャフ
ト２と反対側の側部を変速機ケース１の側壁部１ａに固
着して取付けられ、第２の油棚２４の方は第１図に示さ
れるように、前端を上記変速機ケース１の前壁部１ｂに
固着して取付けられている。

またインプットシャフト２の外周のギャ１１の手前から
内側の軸受１０の方向に油孔２５が穿設され、同時にこ
の油孔２５の外側開口部にフイン２６が、油棚２４の油
をかき込んで油孔２５に流入するように取付けられる。

本考案による潤滑装置は上述のように構或されているか
ら、終減速装置８のリングギャ９が回転するのに伴って
下方に溜っている油が、そのリングギャ９の回転により
かき上げられ、且つ上方において接線方向に放出される
際、その放出される油が第１および第２の油棚２３，
２４でとらえられる。

第１の油棚２３の油はそこから下方の第２の油棚２４に
流下し、これにより第２０油棚２４には多量の油が溜ま
るようになる。

かくして第２の油棚２４に溜る油は、直接インプットギ
ャ１１に付着し、そのギャ１１と噛合うカウンタギャ１
４にも付着して両歯面の潤滑が行われ、更にこのカウン
タギャ１４を経てカウンタシャフト１２の軸受１３及び
カウンタドリブンギャ１５の方にも流れてそれらの潤滑
が行われる。

また、油棚２４の油はインプットシャフト２に取付けら
れているフイン２６の回転により油孔２５にかき込まれ
、インプットシャフト内側の軸受１０に供給されて、そ
の軸受１０が潤滑される。

軸受１０に供給される油は、更にメインシャフト３に沿
って流れることにより、同期機構１８のハブスプライン
嵌合部、カウンタドリブンギャ１５の軸受１６に供給さ
れてこれらの潤滑が行われる。

このように本考案によると、終減速装置８のリングギャ
９でかき上げられた油を、第１および第２の油棚２３，
２４で受取ってギャ１１に直接付着すると共に、イン
プットシャフト２の内側の軸受１０、同期機構１８の内
側のスプライン嵌合部、カウンタドリブンギャ１５の内
側の軸受１６に順次、流し込むようになっているので、
特に従来のスプラッシュ潤滑で油を供給し難く潤滑不足
を招いていた上記軸受１０， １６等の潤滑が確実に行
われる。

また油の無駄が減じることで油量は従来に比べて少なく
てすむ等の利点も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による潤滑装置の一実施例を示す縦断面
図、第２図は第１図のＩＩ − ＩＩ断面図である。 １・・・変速機ケース、２・・・インプットシャフト、
３・・・メインシャフト、４・・・副変速機、５・・・
主変速機、６・・・変速ギヤ、７・・・ハイポイドピニ
オン、８・・・終減速装置、９・・・リングギャ、１０
・・・軸受、１１・・・インプットギャ、１２・・・カ
ウンタシャフト、１３・・・軸受、１４・・・カウンタ
ギャ、１５・・・カウンタドリブンギャ、１６・・・軸
受、１７・・・スペーサ、１８・・・同期機構、１９・
・・スリーブ、２０・・・シフトフォーク、２１・・・
ピン、２２・・・リンク、２３， ２４・・・油棚、２
５・・・油孔、２６・・・フィン、１ａ・・・側壁部、
１ｂ・・・前壁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 終減速装置の上方に配置される副変速機が、インプット
   シャフト２に一体結合したインプットギャ１１，該イン
   プットシャフト２と同軸上に配置されたメインシャフト
   ３に回転自在に嵌合するカウンタドリブンギャ１５、上
   記インプットギャ１１及びカウンタドリブンギャ１５と
   噛合うカウンタギャ１４上記インプットシャフト２とカ
   ウンタドリブンギャ１５の間に位置してメインシャフト
   ３に設けられる同期機構とを有し、該同期機構により上
   記インプットシャフト２とメインシャフト３との直結で
   高速の動力を取出し、上記カウンタドリブンギャ１５と
   メインシャフト３を結合させて上記力ウンタギャ１４に
   より減速した低速の動力を取出すように構威された自動
   車用変速機において、上記終減速装置の上部にそのリン
   グギャによりかき上げられる油を受ける第１の油棚２３
   を設けると共に、該第１０油棚及び上記インプットギャ
   １１の下部に第１の油棚から流下する油を受ける第２の
   油棚２４を設け、該第２の油棚がら油を直接インプット
   ギャ１１とカウンタギャ１４の噛合部に供給し、且つか
   き込み手段により上記インプットシャフト２内側に導い
   てそこの軸受、前記同期機構のスプライン嵌合部及び上
   記カウンタドリブンギャの軸受に供給して潤滑を行うよ
   うに構或したことを特徴とする潤滑装置。