JPS5814851B2 - 超低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は鏡面を有した仕上げ焼鈍済み鋼板の表面に微小
な線状の変形領域（以下微小歪と称する）を有するきわ
めて鉄損の低い方向性電磁鋼板に関するものである。

ここで鏡面とは粗度１μ以下のものをいう。

方向性電磁鋼板は通常一方向性電磁鋼板と二方向性電磁
鋼板に分類される。

前者はミラー指数で表わすと、板面に平行に（１１０）
面を有し、圧延方向に平行に磁化容易軸（ １． Ｏ
Ｏ ）を有する結晶粒から成り、後者は板面に平行に（
１００）面、圧延方向に（００１）軸を有する結晶粒か
ら成るものをいう。

本発明は理想方位が（１１０）（００１）で表わされる
一方向性電磁鋼板（以下単に方向性電磁鋼板という）に
関するものである。

全ての結晶粒を（１１０）（００１）理想方位に近づけ
ることにより、励磁特性が向上し、一般には、それにと
もない鉄損も減少するから、従来上記組織の集積度を高
める努力がなされて来た。

この結果、今日までは板厚Ｑ．３Ｑｍｍのとき磁束密度
１．７Ｔ、周波数５０Ｈｚにおける鉄損が１． ０ ３
ｗａｔ ｔ／Ｋｙ前後の低い鉄損値を示す電磁鋼板が
工業的に生産されるようになった。

（ここでＴは磁束密度の単位でＴｅｓｌａの略、Ｔｅｓ
ｌａ ＝Ｗｂ／ｍ２である）。

一般に励磁特性を高める事は、結晶粒度を大きくするこ
とになり、励磁特性向上による鉄横減少分を相殺してし
まうことになる。

従って、現状の最高特性より更に鉄世を下げるためには
、他の手段を講じる必要がある。

この目的のためには、鋼板に張力を与える方法が知られ
ている。

工業的には、絶縁被膜によって張力を付与する方法が提
案されている。

しかしながら被膜の与える張力には限界があり、それに
よって改善される鉄世にも限界があるため、被膜の張力
の効果を加味して得られる最高特性が前述の１． ０
３ ｗａｔ ｔ ／Ｋｙ程度である。

また、鉄損を下げる他の方法が知られている。

それは、仕上げ焼鈍済みの鋼板を化学研磨或いは電解研
磨により鏡面に仕上げることにより低鉄損を得ることで
ある。

しかし、この方法においても、板而の平滑度により特性
が大きくかわり又絶縁被膜の塗布を行なうとその特性が
保たれないという欠点がある。

この他、鋼板の表面にキズを入れる方法がある。

キズの導入はナイフやカミソリの刃先や金剛砂、金タワ
シなどきわめて硬い物質で鋼板の表面をひつかいたり強
くこすることによって行なわれる。

この方法によれは鉄損の向上は期待できるが、キズの周
辺の表面のはげしい凹凸によって、鋼板を積層したとき
占積率が犬［ＩＪに劣化するだけてなく、磁歪が大＋ｉ
Ｊに増加するという欠点がある。

この欠点を改善する目的で小球或いは円盤等を一定の圧
力で鋼板表面を転がすことによって微小歪を導入するこ
とで超低鉄損が得られることを特願昭５２−０５０６６
７号（特開昭５３−１３７０１６号）発明で提案した。

その場合、より低い鉄損を得るにはＢ８が高いほど或い
は、歪導入前の鉄損が低い程効果があることを示した。

これを達成する方法として前述した板表面を鏡面：にす
る方法がある。

本発明は、この鏡面を有した鋼板に微小歪を導入するこ
とによって超低鉄損を得ようとするものである。

即ち、板面を鏡面にした鋼板に、小球或いは円盤を介し
て微小歪を導入することにより、きわめて低い鉄損の方
向性電磁、鋼板が得られるものである。

以下詳細に説明する。本発明は４．０ｆ０以下の８１を
含有する方向性電磁鋼板に適用される。

Ｓｉ含有量が４．０％を超えると鋼板の冷間加工性が極
端に劣化するため、現在の技術では工業的に方向性電磁
鋼板の製造が困，難であるからである。

本発明の方向性電磁鋼板の有する第一の特徴は最終仕上
げ焼鈍後の板表面が鏡面を有していることである。

ここでいう鏡面とは粗度１μｍ以下のものをいう。

この理由について次に説明する。第１図は表面粗度と鉄
損の関係を示す。

実線は歪導入前の相度と鉄損の関係を示し、点線はこれ
に微小歪を付与した後の関係である。

この歪付与後の鉄損値が現状の工業生産されている鉄損
Ｗ ／５ｏ． １，０ ３ ｗａｔ ｔ，／Ｋｐ以下
にするには、表面粗度は少なくとも１μｍ以下にはしな
けれはならない。

従って、最高粗度は１μｍとした。次に、鏡面を得る手
段について述べる。

鏡面を得る方法として知られているものの一つとして電
解研磨がある。

これは鋼板表向の絶縁被膜或いは酸化物等を弗酸等で除
去した後、例えはリン酸と無水クロム酸の電解液中で電
気的に仙磨することで得られる。

電解液はこの他に過塩素酸或いは硫酸等種々報告されて
おり、いずれもその効果がある。

又化学的に鏡面を得る方法も知られている。

例えは、リン酸と過酸化水素とを容量比で１．１の割合
で混合した液或いは過酸化水素中に弗酸２〜１０ｆＯ程
度添加した液を使用しても得られる。

この他硫酸、塩酸等でも粗度の低い面は得られる。

又仕上げ焼鈍前に塗布される焼鈍分離剤或いは仕」−げ
焼鈍雰囲気によっても得られる。

通常方向性電磁鋼板の板表面にはガラス質の絶縁被膜を
形成させているが、これは内部酸化層として地鉄中にく
い込んでいる。

本発明の方法を適用する場合、弗酸等でこれを除去する
と内部酸化層の部分が粗度を増す原因となる。

従って、この場合絶縁被膜は形成されないことが好まし
い。

このためには、焼鈍分離剤として例えばＡ４０３，Ｓｌ
０２その他還元性或いはアルカリ金属系の元素又は酸化
物を使用する必要がある。

この他仕上げ焼鈍雰囲気を高鈍度水素雰囲気あるいは真
空中で焼鈍しても得られる。

以上が粗度の低い表面を有した鋼板を得る方法であるが
、鏡面を得るにはこれらにこだわるものではなく、父上
記の方法を組合わせて使用してもよい。

次に歪の付与方法について述べる。

鋼板表面に微小な歪を導入するには例えば０．５〜２鬼
程度の小さな径の球状の回転子を鋼板表面に接して、荷
重をかけながら回転させて線引きする方法によって達成
できる。

しかし巾３００μｍ以下の線状歪を付与することができ
るならば上記の方法に限定するものではない。

特願昭５２一０５０６６７号の発明ではガラス質被膜を
介して微小歪を付与することを提案した。

これは表面にキズが残りにくい利点がある。

本発明では、板表面を有しているためキズが入りやすい
状態にある。

しかし荷重を少なくすることにより、ガラス質被膜を介
したものと同等のものが得られることが判った。

第２図ａは０． ７ ｍｍ．φの球を１００ｇの荷重で
鏡面を有した鋼板に付与した歪、ｂはグラスを介して３
００ｇの荷重で導入した歪の様子をデイスロケーション
ピットを出して見たものである。

Ｃは従来の方法の１つであるケガキ針で線引したもので
ある。

線の中央が凹み囲りにスベリ線も現われ歪が多い事が判
る。

スベリ線の発生は強い剪断力が加わったことを意味する
。

次に本発明の微小歪を付与する具体的な方法の例を挙げ
る。

例えば硬い物質でつくられた小さな球からなる回転子に
荷重をかけて′ｎｊ板表而に押しつけながら、球を回転
させて線引きする方法である。

小球を回転させるため鋼の表而には微小な歪の導入が可
能である。

球の直径は０２〜１０鬼位が適当である。

これによって付与される歪の巾は、１０〜３００μであ
る。

これより太きすぎると歪の領域が広くなりすぎ好ましく
ない。

本発明によって生ずる表面のー＼こみは高々５〜６μｍ
、通常１μｍ以下である。

第３図ａにこれを示す。ｂはケガキ針を使用した場合で
ある。

表面のへこみが大きくなると励磁特性、磁歪特性の低下
、積層した時の鉄撰の劣化をまねく。

以上は微小歪を付与する手段の一例であって、たとえば
厚みの小さな円盤を荷重をかけて回転させながら線引き
することによっても目的を達することができる。

また、上記の球や円盤あるいは丸い物体を鋼板にキズを
付けずにすべらせて線引してもよい。

鉄撰を下げるために有効な歪量は、転位ピットとして観
察できる程度であって、それ以上の歪は、局部的なはげ
しい凹凸を生ずるため、積層した鉄心では、所定の磁性
が得られなかったり、占積率の劣化をもたらすものであ
る。

また歪の付与は鋼板の片面、両面いずれでもよい。

第４図ａは微小歪付与前後の特性を示す。

素材のＢ８特性（グラス付）は、１９５Ｔ台のものであ
る。

素材の鉄損Ｗ１７／５ｏが１． ０ ７ ｗａｔ ｔ／
％のちのは鏡面研磨＋微小歪付与後、Ｗ１７／５ｏが０
． ８ ２ ｗａｔ ｔ ／Ｘｙと大巾に改善される。

第４図ｂは磁束密度Ｂ８の変化を示したものである。

次に線状の微小歪の線の方向について述べる。

第５図ａは鏡面研磨した鋼板の片面に微小歪を付与した
とき、線の方向と圧延方向のなす角αに対する圧延方向
（Ｌ方向）に磁化したときの鉄拶Ｗ１７／５ｏの素材（
グラス付）の鉄槓に対する改善率を示す。

（尚、板厚減少による補正はＯ．Ｏｌｍｍに対し０．０
１ ８ ｗａｔｔ／Ｋｐとした。

）α〈１０°では鉄世はかえって劣化するが、αの増加
とともに減少しα≧３０°では８係以−し、α≧４５°
では１０係以上の向上率を示した。

従って、鉄損の大巾な向上を図るためには、αは３０°
以上、好ましくは４５°以−ヒがよい。

巻鉄心の場合は、Ｌ方向の鉄損を考慮すれは充分である
が、用途によっては圧延方向に直角な方向（Ｃ方向）に
磁化したときの鉄損も重要となる。

Ｃ方向の鉄損はＬ方向とは逆にαを小さくすることによ
って向−卜させることが出来る。

第５図ｂにこれを示す。

また線の形状は直線である必要は必ずしもなく、曲線状
、ジグザグ状、波線状あるいは線が交叉しても本発明の
目的を達成できる。

第６図ａは、鏡面研磨後の鋼板表面に０．７ヘの球を、
１００ｇの荷重をかけなからＣ方向に転がして線状歪を
付与したときの線の間隔と鉄損の関係を示したものであ
る。

この場合の最適間隔は２． ５ ｍｍである。

最適間隔は荷重によって変わり、ｂ図の様に荷重を２０
０ｇにすると最適間隔は５ｍｍと広くなってくる。

このように導入間隔は歪の大きさによって変動する。

本明細書記載の方法による微小歪の場合いずれも最適間
隔はｌ ｍｍ以上である。

従来の方法、特公昭５０−３５６７９号発明の適正間隔
０．１ 〜１．ｍｍより少ない密度で済むから導入の手
間が省けることはもとより従来法では０．０２Ｔ位あっ
た歪付与にともなう励磁特性（Ｂ８）の劣化を最小限（
０．００３Ｔ程度）に押えることが出来る。

ここでＢ８は磁化力３００Ａ／ｍにおける磁束密度を表
わす。

本発明の電磁鋼板を得るための微小歪を付与する工程は
二次再結晶を完了した後に行なうが、鋼板表面は１μｍ
以下の相度を有する。

金属面が出ている。

従って実際使用する場合には、鋼板表面に絶縁被嘆を付
着させる必要がある。

ここでは、歪導入後にリン酸系化合物、有機系化合物あ
るいは紫外線硬化樹脂の被膜等を塗布する必要がある６
コーティングの時、鋼板の温度は８００℃以下、望まし
くは７００’Ｃ以下で行なわれるのが好ましＧ）。

以下、実施例にもとづき本発明を説明する。

実施例 Ｉ Ｃ： ０．０４８％，Ｓｉ ： ２．９５％，Ｍｎ
：０．０８５％，Ｓ：００２５係，Ａ，！：０．０２７
％，Ｎ：０．００６８％，残部は鉄と微量の混入不純物
から成る鋼塊を熱延し、得られた熱延板を焼鈍した後、
試料Ａは板厚０．３０１１１１ｍに試料Ｂは０．３５ｍ
７ｎに冷延した。

これを脱炭焼鈍、ＭｇＯ塗布、仕上げ焼鈍の順に処理し
て二次再結晶を完了させた。

次いで試刺Ａは絶縁被膜を介してＱ， ７ ｍｙｎの球
を２００ｇの圧力で鋼板の上を走査した。

又試料Ｂは弗酸で絶縁被膜を除去した後、リン酸＋無水
クロム酸の電解液で電解研磨し０． ３ ０ ｍａｎの
板厚の鏡面を有した鋼板を得た。

この鋼板上を径０． ７ ｍｍの球を１００ｇの圧力で
掃過した。

次にその磁気特性を示す。

尚、歪付与方向は圧延方向と直角方向で付与間隔は５ｍ
７ｎである。

実施例 ２ Ｃ： ０．０５０％， Ｓｉ ： ２．９７’％，Ｍｎ
： ０．０８５％Ｓ ： ０．０２５ ，Ａ／：：
０．０２８％，Ｎ：０．００７０係，残部は鉄と微量の
混入不純物から成る鋼塊を熱延した後、熱延板焼鈍、冷
延（０．３５ｍｍ）、脱炭焼鈍、ＭｇＯ塗布、仕上焼鈍
の順に処理して二次再結晶を完了させた。

次いで、鋼板表面の絶縁被膜を弗酸で除去した後、過酸
化水素水に１０％の弗化水素水を添加した化学研磨液で
研磨し、０３０朋厚の鏡面をもった鋼板を得た。

この表面に直径１ ｍｍの球を荷重１５０ｇで鋼板に接
してすべらせながら間隔５ｍｍで圧延方向と直角方向に
直線的に線状の歪を付与した。

かくして得られた鋼板の特性を示す。次に、これに紫外
線硬化型の絶縁被膜を塗布した後の鋼板の特性を示す。

Ｃ：０．０４５％，Ｓｉ：２．９８％，Ｍｎ：ｏ．ｏｓ
ｏ％，Ｐ：０．００５％，Ｓ 二 ０．０ ２ ５％
， Ａｌ： ０．０ ２ ６％ ，Ｎ：０．００６５
％、残部は鉄と微量の混入不純物から成る鋼塊を熱延、
熱延板焼鈍、冷延、脱炭焼鈍、ＭｇＯ塗布、仕上焼鈍の
順に処理して二次再結晶を完了させた。

この鋼板表面の絶縁被膜を除去した後、化学研磨により
鏡面を得た。

この表面に径ｌ ｍｍの球を荷重１００ｇで鋼板に接し
て、すべらせながら間隔２．５ｍｍでＣ方向と３５°を
なす方向に直線的に線状歪を付与した。

歪付与前後の鋼板の磁性は 歪付与前 Ｌ方向 Ｂ８＝１−．９６１Ｔ Ｗ ／５ｏ＝１．０
４Ｗ／Ｋ５＝Ｃ方向 Ｂ８−］−．４００Ｔ Ｗ ／
５ｏ＝２．８０Ｗ／ＫＰ歪付与後 Ｌ方向 Ｂ８＝１．９５９Ｔ Ｗ ／５ｏ＝０．９０
Ｗ／％Ｃ方向 Ｂ８＝１．．３９６Ｔ Ｗ ／５ｏ＝
２．１０ｗ／／／Ｋｓ’実施例 ４ Ｃ 二 Ｏ．０４８％，Ｓ ｌ ： ３．ｏｏ％，
Ｍｎ ： ０．０８５％，Ｓ：０．０２６％， Ａ
７： ０．０ ２ ４係，Ｎ：０．００６０％、残部は
鉄と微量の混入不純物から成る鋼塊を熱延、熱延板焼鈍
、冷延（ｏ３ｏｍｍ）、脱炭焼鈍の順に処理を行なった
後、焼鈍分離剤としてＭｇ０３０係，Ａｔ２０３５０係
，Ｓｉ０２２０係を水にといた後、これを塗布し仕上焼
鈍を行なった。

二次再結晶を完了させた鋼板の表面にはほとんど絶縁被
膜（グラスフイルム）の形成がなされていなかった。

この表面にＱ， ５ ｍｍ径の球を１ ５（１の荷重で
鋼板に接して転がしながら間隔５ｍｍでＣ方向に直線的
に掃過して、線状の歪を付与した。

かくして得られた鋼板の特性を示す。

歪付与前 Ｂ８−１９６０ＴＷ１ｈｏ−１０９ｗ／′Ｋ
９歪付与後 Ｂ ａ ＝１．９ ５ ７ Ｔ Ｗ １，
”５０ ＝０．９ ８ ｗ，／／Ｋ９実施例 ５ Ｓｉ：２．８％を含有した一方向性電磁鋼板の成品の表
面被膜を除去した後、電解研磨により０．２９ｍｙｎの
板厚の鏡面を有する鋼板を得た。

この鋼板表面上を直径１ ｍｍとｌＱｍｍの２種類の球
で圧延方向と直角方向に５ｍｍの間隔で掃過し微小歪を
導入した。

この特性を次に示す。Ｂ８（Ｔ） Ｗ ／５ｏ（ｗ
Ａｐ） ヵ鏡面研磨後 １．９５２ １．０３球径
１ｍｍ １．９５０ ０．８６１ご・［ｆ
゛（ｉｌ＋後 口１５４ １．０二一［求イ
゛Ｈ Ｏ ｒｒｒｍ ｌ，９ ５
０ ０．８ ９

【図面の簡単な説明】

第１Ｉヅ１は人、而ｉＴｌｔｒらと鉄１ξｉ，０），
［．ｌ。 １１１糸Ｘｉ，１ミずトく、之倉２［〉ン１ハ１岡÷反
人［自１（Ｃ・、りベされたイＵ）士β）斯を東．、位
ビ゛ノ１・ｆ’ｌ＜ テ−７Ｊ、” ”’Ｊ’６！’ケ
ハ（ Ｘ １ ０ ０）で、冫｛はｅｔａ（ ６ｆｌ磨
後に例’−ｊＬ７ノ１二１ｆ．．， ｂは絶縁破膜ｆ”
Ｊにｆ＋’ｊｕた斤、，、は−ｙ−イ−フ］「ツヂにょ
り例ｌ４し７たｂｖ褌代態を小寸（）ンｌ、第３ ［”
Ｘｌ ａは１１狡小歪を付与し７／：二本発明’ｒ”ｊ
ｉｗ ４’ｆＩＪｌｎ板？フ）ｌｌ’ｊ’ｉｌ′ｌｌ（
７−）！ｔｔ’ｔ’４４）ｌＱ４．＄’＋’，白（Ｘ
２ ０ ０ ）、第３ 図ｉ）ハＪ− ｉノの−刀−′
７ヤ爪ヱ−導人し２／１二−■−ス゛を小−ε目司し＜
ｔ’ｌＪｉ ｔｌ′ｏ＋の顕１｝及ａ′！，’Ｌ’．
真Ｃ ×ｐｘ ００ ）、第４ １””ｌはＫ：ｉｌ：
ｌ＆人’ｌｒＬｌ ’＼（ノ））ｆＤ．’Ｉ 人（こよ
る’ｌ’！ｒＩ’＋ｏ）向１ク買ｚ［、−ｔｉＩＺｌ第
５ 図ハ千ｌ’ｌ”，ｒ ．）Ｊ’ Ｉ１”Ｊと特件向
十率６）関係’，Ｐ ’ｔＪ、寸＋ｒ／ｌ ＥＥ、贋マ
１、ＪＪ’ｉ’：ｉセノ）１（’Ｂ士率、１）は（リ７
向０）向１＋を・＋ 、−（１−’ ［’Ｘｌ、ノ゛１
″Ｔ， ６ Ｍは｛茂小泪例Ｉプ坪力と１・１り間Ｉ夕
［”ｌ］ど鉄Ｊｊｔ＋’／）園１作；，．ｊｅ１＜す［
図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鏡面を有する仕上げ焼鈍済み鋼板の表面に押圧によ
   りへこみを形成して線状の微小歪を付与することを特徴
   とするｓ＋ ４％以下を含む超低鉄損一方向性電磁鋼板
   の製造方法。 ２ 鏡面を有する仕上げ焼鈍済み鋼板の表面に押川によ
   りへこみを形成して線状の微小歪を付与したのち、絶縁
   被膜を施すことを特徴とするＳｉ ４係以下を含む超低
   鉄損一゛方向性電磁鋼板の製造方法。