JPS5812153B2 - セキソウポリエステルフイルム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、すべり性、透明性およびヒートシール力に優
れたポリエステル積層フィルムを提供するもので、しか
も熱的性質、機械的性質も通常のポリエステルフィルム
並に優れたポリエステル積層フィルムを提供するもので
、さらにこの様な特性を持ち、かつ安価な製造プロセス
で製造しうる積層フィルムを提供するものでもある。

従来からよく知られている様に、ポリエチレンテレフタ
レートの様ナポリエステルフイルムにヒートシール性を
付与するには、結晶融解熱７ｃａｌ／ｇ以下のポリエス
テルフィルムを積層すれば良いことを発明者らは既に提
案してきた。

しかしこの様な積層フィルムは大きな欠点が存在してい
た。

すなわちヒートシール力の大きな積層フィルムはどブロ
ッキングしやすく、すべり性が全くないということであ
る。

これの解決法として無機および有機の添加剤を添加して
も十分なすべり性が得られないのみならず、透明性もヒ
ートシール力も大幅に低下するのである。

すなわち従来までは強力なヒートシール力と、すべり性
および透明性を兼ね備えた積層ポリエステルフィルムは
存在しなかったのである。

そこで発明者らは優れたヒートシール力、透明性および
、すべり性を兼ね備えたポリエステル積層フィルムを得
る方法につき鋭意検討した結果、本発明に到達したもの
である。

本発明積層ポリエステルフィルムは、一般包装用途、電
気絶縁用途などのヒートシール性を必要とする分野に極
めて優れた特性を有する新規な積層フィルムである。

すなわち本発明の骨子は、結晶融解熱７ｃａｌ／ｇ以上
のポリエステルＡフィルムの少なくとも片面に、ポリエ
ステルＡを１０〜４０重量％含有した結晶融解熱５ｃａ
ｌ／ｇ以下のポリエステルＢが積層されてなるポリエス
テル積層フィルムに関するものである。

もちろんポリエステルＡとポリエステルＡを含有したポ
リエステルＢとからなるフィルムは、直接接触している
のが通常であるが、このフィルム層間にアンカー処理や
接着剤、あるいはポリビニリデンクロライドやポリビニ
ルアルコールの様な他のポリマーが介在していても良い
ことは明らかである。

ポリエステルＡの結晶融解熱が７ｃａｌ／ｇ以上、好ま
しくは９ｃａｌ／ｇ以上でないとポリエステルの優れた
機械的性質、電気的性質および熱的性質が発揮されない
からである。

ポリエステルＢの結晶融解熱が５ｃａｌ／ｇ以下、好ま
しくは３ｃａｌ／ｇ以下でなければならないのは、優れ
た透明性とすべり性を得るために、ヒートシール性のな
いポリエステルＡをブレンドした後でも優れたヒートシ
ール性を付与することができるためである。

またポリエステルＡのフレンド比率が１０〜４０重量％
、好ましくは２０〜３０重量％でなければならない。

すなわちブレンド比率が１０重量％以下、好ましくは２
０重量％以下ならば、十分なすべり性が得られないため
であり、また４０重量％以上、好ましくは３０重量％以
上ならば、強力なヒートシールカが得られないのみなら
ず、透明性も悪化し、複合フィルムがカールを起こすた
めである。

なお本発明ポリエステル積層フィルムの用途に応じて各
層に任意の添加剤類、たとえば安定剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤、顔料、造核剤、
滑剤；帯電防止剤などを含有せしめてもよく、また特性
を大幅に低下させない範囲内で他のポリマーとブレンド
したり、共重合したりしても良いことは明らかである。

この様にして得られたポリエステル積層フィルムの厚み
は特に限定はしないが、１０ｍｍから１ミクロン程度ま
で用途に応じて自由に選択できる。

さて本発明ポリエステルフィルムは次に述べる様な簡単
な一つの連続した工程で一挙に製造することができるが
、必ずしもこれに制約されることはない。

ポリエステルＡと、ポリエステルＡを１０〜４０重量％
含有したポリエステルＢとを判別の押出機に供給し、溶
融させ、その溶融体をパイプや口金内で合流させたのち
押出し、未延伸フィルムを得る。

該未延伸フィルムを必要に応じて長手方向あるいは幅方
向に延伸し熱処理を行なってもよい。

あるいはポリエステルＡの一軸延伸フイルム上に、ポリ
エステルＡを含有したポリエステルＢを溶融押出し、そ
れを前記延伸方向と直角方向に延伸後熱処理しても良い
。

本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸とジオー
ルとから縮重合によって得られるエステル基を含むポリ
マーの総称であり、ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、２，６ナフタレンジカル
ボン酸、アジピン酸セパチン酸、デセンシカｌ−ボン酸
などがあり、ジオールとしては、エチレングリコール、
ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コールなどがある。

当然２種以上のジカルボン酸やジオールからの共重合体
や、必要によってはジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレ
ンオキサイド、さらに他のモノマーやポリマーを共重合
させたものでも良い。

結晶融解熱とは、サンプル１０ｍｇｒを走査型熱量計（
ＤＳＣ）にセットし、Ｎ２気流中で１０℃／分の昇温速
度で昇温してゆき、そのサンプルの融解に伴う吸熱エネ
ルギーを、そのサンプル重量で割った値である。

代表的なポリエステルの結晶融解熱を第１表に示してお
く。

本発明をより理解しやすくするために実施例にて述べる
が必ずしもこれに限定されるものではない。

実施例 １ ポリエステルＡとしてポリエチレンテレフタレート（ｏ
−クロルフェノール中２５℃での極限粘度０．６２、結
晶融解熱９．８ｃａｌ／ｇ）、ポリエステルＢとしてブ
タンジオール１，４とテレフタル酸（５８モル％）、イ
ソフタル酸（４０モル％）、１．３−イソフタル酸−５
−スルフオン酸ナトリウム（２モル％）とからなるコポ
リエステル６５重量％に、分子量４０００のポリエチレ
ングリコール３５重量％をブロック共重合したコポリエ
ステル（ｏ−クロルフェノール中２５℃での極限粘度１
．３０、結晶融解熱２．１ｃａｌ／ｇ）を用いた。

ポリエステルＡを８５重量％、ポリエステルＢを１５重
量％ブレンドしたポリマーを押出機に供給し、２８０℃
で溶融押出し１０００ミクロンの未延伸フィルムを得た
。

該未延伸フィルムをロール表面上で９３℃に加熱し、長
手方向に２．８倍延伸した。

つづいてポリエステルＡを２５重量％、ポリエステルＢ
を７５重量％ブレンドしたポリマーを別の押出機に供給
し、２７０℃で溶融し、前記−軸延伸フィルム上にキャ
ストし、二層積層ポリエステルフィルムを得た。

該ポリエステル積層フィルムを、テンター内で１００℃
に加熱し、幅方向に２．８倍延伸後、幅方向に５％のリ
ラックスを許しながら２３０℃で１２秒間熱固定した。

かくして得られた二軸配向ポリエステル積層フィルムの
厚みは１２５ミクロンであり、おのおの１００ミクロン
と２５ミクロンの厚みを有していた。

第２表に得られた物性を一覧して示しておいた。

なおヒートシール力、ブロッキング、摩擦係数および表
面固有抵抗などの測定は、いずれも２５ミクロン層のポ
リエステルＢの含有率の多い方である。

以上の様に本発明ポリエステル積層フィルムは強力なヒ
ートシール力とすべり性、透明性を有するのみならず、
制電性を有した全く新規なポリエステルである。

〔実施例 ２〕 ポリエステルＡとしてポリエチレンテレフタレート（ｏ
−クロルフェノール中２５℃での極限粘度０．８９、結
晶融解熱９．７ｃａｌ／ｇ）、ポリエステルＢとして、
ブタジオール１，４と、テレフタル酸（６５モル％）、
イソフタル酸（３５モルφ）共重合したコポリエステル
（極限粘度１．３、結晶融解熱３．５ｃａｌ／ｇ）を用
いた。

ポリエステルＡを８５重量％、ポリエステルＢを１５重
量％ブレンドしたポリマーＡ′を押出機■に、ポリエス
テルＡを２０重量％、ポリエステルＢを７８重量％ブレ
ンドし、これに増粘剤、安定剤として“エピコート”１
００９（ｓｈｅ１１社製）を２重量％添加したポリマー
Ｂ′を押出機■に、それぞれ供給し、短管内でこれらポ
リマーＡ′およびＢ′を二層に厚さ方向に積層して、シ
ングル・マニホールド口金で押出した。

該押出フィルムを５０℃に冷却されたキャストドラムに
キャストし、３００ミクロンの未延伸フィルムを得た。

該フィルムをロール上で９０℃に加熱し長手方向に３．
７倍延伸し、つづいて幅方向にテンターで８５℃、３，
４倍延伸し、２３０℃で１０秒間、５％のリラックス熱
処理を行なった。

かくして得られた二軸配向ポリエステルフィルムの厚み
は２８ミクロンであり、おのおのＡ層の厚みは２００ミ
フロンＢ層の厚みは８ミクロンであった。

なお、ヒートシール力、摩擦係数の測定はともにＢ′面
同志であり、ヒートシール時の温度は表中（）に示した
扇度で１Ｋｇ／ｃｍ２の圧力で、１秒間ヒートシールを
行ない、これを２０℃で、１８０°剥離強度をフィルム
幅当りの力に換算したものである。

摩擦係数の測定は１００×７５ｍｍ角の２枚のサンプル
をかさね合わせ、その上に２００ｇの荷重（接触面積６
３．５×６３．５ｍｍ角）をのせ、下のサンプルを１５
０ｍｍ／分の速度で引張った時の張力を、荷重２００ｇ
で割った値である。

本発明フィルムは、強力なヒートシール力、すべり性、
透明性を兼ねそなえた積層フィルムである。

〔実施例 ３〕 ポリエステルＡとしてポリブチレンテレフタレ−ト（ｏ
−クロルフェノール中２５℃での極限粘度１．７、結晶
融解熱１０．０ｃａｌ／ｇ）、ポリエステＢとして、ブ
タンジオール１．４とテレフタル酸（６５モル％）、イ
ソフタル酸（３５モル％）とからなるコポリエステル１
００重量部に、分子量１０００のポリテトラメチレング
リコールを５０重量部ブロック共重合させたもの（ｏ−
クロルフェノール中２５℃での極限粘度１．２、結晶融
解熱２．８ｃａｌ／ｇ）を用いた。

ポリエステルＢにポリエステルＡのポリエチレンテレフ
タレートを２５重量％ブレンドし、これに増粘剤として
“エピコート”１００７（ｓｈｅ１１社製）を４重量％
、さらに結晶核剤としてポリプロピレン（テトラリン１
３５℃での極限粘度〔μ〕＝２．２、アイラタクチツク
・インデックスＩＩ＝９７）を１重量％添加した。

該ブレンド物Ｂ′と、ポリブチレンテレフタレートとを
、実施例２と同様に２層に積層してトータル８０ミクロ
ンの未延伸シートを得た。

このうちポリブチレンテレフタレート層の厚みは６１ミ
クロンであった。

評価項目単位物性 ポリエステル８２面同志のＫｇ／ｃｍ１０．８ヒートシ
ールカ（１８０℃） 静／動摩擦係数 ０．７６１０．５５ヘイズ
％ ７．３ このように本発明フィルムは、強いヒートシール力と、
透明性、すべり性をかねそなえた全く新規なフィルムで
あり、ラミネートフィルム、レトルト用包装フィルムお
よび成型用フィルムなどに広く用いられる。

〔実施例４〕 ポリエステルＡとしてポリエチレン−２，６−フタレー
ト（ｏ−クロルフェノール中２５℃での極限粘度０．６
７、結晶融解熱１０．３ｃａｌ／ｇ）、ポリエステルＢ
としてエチレングリコールと、テレフタル酸（８０モル
％）、イソフタル酸（２０モル％）とからなる共重合ポ
リエステル（ｏ−クロルフェノール中２５℃での極限粘
度１．０、結晶融解熱３．０ｃａｌ／ｇ）を用いた。

ポリエステルＡを９０重量％、ポリエステルＢを１０重
量％ブレンドしたものをポリマーＡ′とし、ポリエステ
ルＡを３０重量％、ポリエステルＢを７０重量％ブレン
ドしたものをポリマーＢ′とする。

各ポリマーＡ′およびＢ′を別々の押出機に供給し、マ
ニホールドを２個有した口金内で２層に積層し、静電荷
を印加しながら４０℃に冷却されたキャストドラムにキ
ャストした。

該未延伸フィルムをロール上で長手方向に１３５℃で３
．４倍延伸し、つづいてステンター内で幅方向に１３０
℃で３．３倍延伸し、２４０℃で１２秒間、５％のリラ
ックスをさせながら熱処理した。

かくして得られた２層積層二軸配向ポリエステルフィル
ムの厚さは２５ミクロンであり、ポリマーＡ層の厚みは
１８ミクロンであった。

ポリマーＢ′層同志の静摩擦係数は０．４１、動摩擦係
数は０．３３、トータルヘイズは３．２％であった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 結晶融解熱７ｃａｌ／ｇ以上のポリエステルＡフィ
   ルムの少なくとも片面に、ポリエステルＡを１０〜４０
   重量％含有した、結晶融解熱５ｃａｌ／ｇ以下のポリエ
   ステルＢが積層されてなるすべり性ヒートシール性およ
   び透明性に優れたポリエステル積層フィルム。