JPH11752A - 球形インゴット及び該インゴットの炉への投入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インゴットを転がり落として炉に投入するこ
とができるようにして作業員の労力を軽減すると共に、
従来のダイカスト鋳造において必要としていた溶解炉に
よる脱ガス処理工程を不要とする。 【解決手段】 インゴット１を球状に成形する。また該
インゴット１は球状に成形するとき脱ガスする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は球形インゴット及び
該インゴットの炉への投入装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のインゴットはその形状が軸断面が
四角の棒状である。このために以下の通りの不都合があ
った。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】先ず、前記の如くイン
ゴットは軸断面が四角の棒状であるから、転がすことが
できず、ダイカスト鋳造を行う際に作業員が溶解炉にイ
ンゴットを一本一本つかんで投入していた。しかし、斯
かる作業は労力的に極めて大変な作業であり、また投入
した際にはね返った溶湯で火傷を負う危険性もある。

【０００４】また、棒状であるから、台板上に揃えて積
み上げ、バンドで緊締してから運搬しなければならず、
運搬が面倒である。また炉で溶解するときに、溶解に時
間がかかる。

【０００５】また、従来のインゴットは脱ガスしていな
いから、ダイカスト鋳造を行う際には金型に溶湯を注入
する前に脱ガス処理を行わなければならない。即ち、図
３には従来のダイカスト鋳造における金型に注湯する以
前の手順を簡略化して示しており、台板１０１上に積み
上げられた棒状のインゴット（アルミニウム合金）１０
２を溶解炉１０３に投入して溶かし、この溶湯を保持炉
１０４に移し替え、該保持炉１０４内の溶湯を汲みとり
ロボット１０５により汲み上げ、金型１０６に注入する
ものである。

【０００６】斯かる手順における溶解炉１０３によりイ
ンゴット１０２を溶解する工程が脱ガス処理の工程であ
る。しかし、このように先ず溶解炉により脱ガスし、そ
の後保持炉に溶湯を移し替える工程を必要とするという
ことは、作業の流れを悪くする。また溶解炉そのものが
必要である上に、該溶解炉を加熱するための燃料も必要
であり、コストアップにつながる。

【０００７】また、保持炉中の溶湯の量を常に作業員が
監視して、減った分を補わなければならず、この作業も
きわめて大変である。

【０００８】本発明は上記の点に鑑みなされたものであ
って、インゴットを球状とすることにより、転がり落と
して炉に投入することができるようになし、もって作業
員の労力を大幅に軽減することができると共に火傷の危
険性も解消することができ、また運搬する際には袋等に
詰め込むだけで済み、更に炉で溶解する際には溶解時間
が短かくて済むようになした球形インゴットを提供せん
とするものである。

【０００９】また、球状に成形するとき脱ガスすること
により、このインゴットを用いてダイカスト鋳造を行う
際に、従来の如き溶解炉による脱ガス工程を不要とする
ことができ、もって作業工程を円滑化することができる
と共にコストダウンを図ることができるようになした球
形インゴットをも提供せんとするものである。

【００１０】また併せて、球形インゴットを効率よく炉
に投入することができるようになしたインゴットの投入
装置、並びに炉中の溶湯の量に応じて自動的に所要数の
球形インゴットを投入することができるようになしたイ
ンゴットの投入装置をも提供せんとするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】而して、本発明の要旨
は、球状に成形したことを特徴とする球形インゴットに
ある。

【００１２】また、球状に成形するとき脱ガスしてもよ
い。これにより従来の如き溶解炉による脱ガス処理工程
を不要とすることができる。

【００１３】また、球形インゴットを効率よく炉に投入
するためには、球形インゴットを収納するホッパと、該
ホッパの下部に接続し、球形インゴットを自然落下にて
送る筒状の送給体と、前記送給体の下部に、先端が下を
向くようにして所要角度に傾斜させて接続した樋又は筒
状の投入体とからなる投入装置を用いればよい。

【００１４】更にまた、前記投入装置における投入体の
先端近傍部に、該投入体の通路の遮断、開放を行う遮断
装置を設けると共に、前記投入体の適所に、通過した球
形インゴットの数をカウントする計数装置を設け、更に
前記投入体の先端下方に配置した炉内に溶湯の収容量計
測装置を設けると共に、前記遮断装置、計数装置、溶湯
の収容量計測装置を制御装置に接続し、溶湯の収容量計
測装置からの測定信号に基づいて制御装置により遮断装
置と計数装置を制御するようになした場合には、炉中の
溶湯の量に応じて自動的に所要数の球形インゴットを投
入することができ、もって自動的に炉中の溶湯の不足量
を補うことができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しつつ説明する。図１は本発明に係る球形イ
ンゴットの正面図である。図中１はアルミニウム合金の
インゴットであり、球状に成形している。また該インゴ
ット１は球状に成形するとき脱ガスしている。尚、脱ガ
ス処理は適宜の手段を用いて行う。

【００１６】次に、図２に示した球形インゴットの炉へ
の投入装置について説明する。図中、２は投入装置であ
る。３は球形インゴットを収納するホッパ、４は該ホッ
パ３の下部に接続し、球形インゴットを自然落下にて送
る筒状の送給体である。また、５は前記送給体４の下部
に、先端が下を向くようにして所要角度に傾斜させて接
続した樋状の投入体である。尚、６は前記送給体の支持
脚である。

【００１７】而して、球形インゴット１は球状であるか
ら、ホッパ３内に袋や箱から直接こぼせば、下にあるも
のから順に送給体４を経て樋状の投入体５に転げ落ち
る。そして該樋状の投入体５において速度を弱められ、
その先端から順に保持炉に転がり落ちるものである。し
たがって、一個一個投入する必要がなく、且つまた炉の
近くにいる必要がないから火傷を負う危険性もない。

【００１８】また、図２に示した投入装置には、更に次
の各装置が付加されている。７は前記投入体５の先端近
傍部に設けた遮断装置であり、投入体５の通路の遮断、
開放を行うものである。また、該遮断装置７は、本実施
形態では板状のダンパー８と該ダンパー８を駆動するソ
レノイド、エアシリンダ等の駆動源９とをもって構成し
ている。そして、該駆動源９は後記制御装置に接続して
いる。尚、本実施形態では球形インゴット１は全て同一
の直径のものを用いる。

【００１９】１０は前記投入体５の先端近傍部に設けた
計数装置であり、通過した球形インゴットの数をカウン
トするものである。尚、該計数装置としては従来公知の
適宜のものを採用すればよい。また、計数装置１０も後
記制御装置に接続している。

【００２０】１１は前記投入体５の先端下方に配置した
保持炉１２内に設けた溶湯の収容量計測装置である。
尚、該溶湯の収容量計測装置１１は、本実施形態では溶
湯の表面の位置を測定し、その結果を後記制御装置に送
るものを用いており、従来公知の適宜のものを採用すれ
ばよい。また、該溶湯の収容量計測装置１１も後記制御
装置に接続している。

【００２１】１３は前記遮断装置７、計数装置１０、溶
湯の収容量計測装置１１を接続した制御装置であり、溶
湯の収容量計測装置１１からの測定信号に基づいて遮断
装置７と計数装置１０の制御を行うものである。尚、そ
の他図２中、１４は溶湯、１５は汲みとりロボット、１
６は金型である。

【００２２】而して、このように構成した場合の作用は
次の通りである。即ち、保持炉１２内の溶湯の量の状態
は、溶湯の収容量計測装置１１から制御装置１３に信号
として送られる。そして制御装置１１において所定の基
準量と比較し、量が減って基準量以下になると、該制御
装置１１は遮断装置７と計数装置１０に信号を送る。こ
れによりダンパー８は上昇して投入体５の通路は開放さ
れる。

【００２３】そして、投入体５の通路を転がり落ちる球
形インゴット１の数を計数装置１０がカウントする。カ
ウントした数は信号として制御装置１３に送られ、該制
御装置１３で所定の基準数値と比較する。そしてカウン
トした数が所定の基準数値に達した場合には制御装置１
３は再び信号を送り、遮断装置７により投入体５の通路
を遮断させると共に計数装置１０の作動を停止させる。

【００２４】以上のことから、炉中の溶湯の量に応じて
自動的に所要数の球形インゴットを投入することがで
き、もって自動的に炉中の溶湯の不足量を補うことがで
きる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、上記の如くインゴットを球状
とすることにより、転がり落として炉に投入することが
できるようになしたものである。したがって、従来の如
く一つ一つインゴットを炉中に投入する必要がなく、作
業員の労力を大幅に軽減することができる。且つまた作
業員が炉の近くにいる必要がないから、火傷の危険性も
解消することができる。

【００２６】また、インゴットは球状であるから、従来
の棒状のインゴットの如く揃えて積み上げ、バンドで緊
締してから運搬するといった手間がかからず、単に袋等
に入れて運搬することができる。したがって、運搬しや
すくなる。また、球状であるから、外表面から芯部に均
等に加熱され、従来の棒状のインゴットに比べて溶解時
間が短縮される。

【００２７】また、インゴットを球状に成形するとき脱
ガスした場合には、このインゴットを用いてダイカスト
鋳造を行う際に、従来の如き溶解炉による脱ガス処理工
程を不要とすることができる。したがって、作業工程を
円滑化することができると共にコストダウンを図ること
もできる。

【００２８】また、ホッパと、該ホッパの下部に接続し
た筒状の送給体と、該送給体の下部に傾斜させて接続し
た樋又は筒状の投入体とをもって構成したインゴットの
投入装置を用いれば、球形インゴットを効率よく炉に投
入することができる。

【００２９】更にまた、前記投入装置における投入体
に、その通路の遮断、開放を行う遮断装置と、通過した
球形インゴットの数をカウントする計数装置を設け、更
に炉内に溶湯の収容量計測装置を設けると共に、遮断装
置、計数装置、溶湯の収容量計測装置を制御装置に接続
し、溶湯の収容量計測装置からの測定信号に基づいて制
御装置により遮断装置と計数装置を制御するようになし
た場合には、炉中の溶湯の量に応じて自動的に球形イン
ゴットを投入することができる。したがって、自動的に
炉中の溶湯の不足量を補うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る球形インゴットの正面図である。

【図２】本発明に係る球形インゴットの投入装置の説明
図である。

【図３】従来のダイカスト鋳造における金型に注湯する
以前の手順の説明図である。

【符号の説明】 １ 球形インゴット ２ 球形インゴットの炉への投入装置 ３ ホッパ ４ 筒状の送給体 ５ 樋状の投入体 ７ 遮断装置 ８ ダンパー ９ 駆動源 １０ 計数装置 １１ 溶湯の収容量計測装置 １２ 保持炉 １３ 制御装置 １５ 溶湯の汲みとりロボット １６ 金型

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 球状に成形したことを特徴とする球形イ
   ンゴット。
2. 【請求項２】 球状に成形するとき脱ガスしてなる請求
   項１記載の球形インゴット。
3. 【請求項３】 球形インゴットを収納するホッパと、該
   ホッパの下部に接続し、球形インゴットを自然落下にて
   送る筒状の送給体と、前記送給体の下部に、先端が下を
   向くようにして所要角度に傾斜させて接続した樋又は筒
   状の投入体とからなる球形インゴットの炉への投入装
   置。
4. 【請求項４】 投入体の先端近傍部に、該投入体の通路
   の遮断、開放を行う遮断装置を設けると共に、前記投入
   体の適所に、通過した球形インゴットの数をカウントす
   る計数装置を設け、更に前記投入体の先端下方に配置し
   た炉内に溶湯の収容量計測装置を設けると共に、前記遮
   断装置、計数装置、溶湯の収容量計測装置を制御装置に
   接続し、溶湯の収容量計測装置からの測定信号に基づい
   て制御装置により遮断装置と計数装置も制御するように
   なした請求項３記載の球形インゴットの炉への投入装
   置。